女の子になりたいな…なれるかな?

作:TAROTA



今日、僕は女の子になるらしい。


それというのも、ひょんな事から手に入れた「その人の人生の全てが書かれている」とかいう予言書に書いてあるからだ。

ちなみに購入金額は230円。

胡散臭い程、胡散臭い値段だった。

だから最初は全然気にしてなかったんだけど、いくつかの予言が当たっていたことに最近気付いたので、僕の中での注目度が急上昇した逸品だ。

ちなみに予言は4行詩でかかれている。

非常に解りづらいので、いつも後手後手にまわってしまうのだが、今度は違う。

「××年×の月XX番目の日、女の子になる」

そうはっきりと、ここだけ期日指定で書かれているのだから!

どんな方法で変わって、その後どうなるのかは、解読不明なので、妄想力だけが膨らんだ。

お陰でその手の作品を読むのが趣味になった。

だから今日という日を、カレンダーに印をつけるくらい待ち望んでいたのだ。

ついでに「あと××日」の看板も作った。


そんな訳で・・

その日、僕は朝から忙しかった。

理由は簡単、寝坊したからだ。

というのも、昨日興奮して眠れなかったからだ。

やはりここは

目を覚まして、顔を洗いに行くと、見知らぬ美少女が見つめ返していた・・

というのがパターンだと思ったが、

残念ながら見つめ返してきたのは、いつもの寝ぼけた顔だった。

しかし驚くことに、首から下だけが、丸みを帯びた女の子の体になっていた!?

という訳でも無い事は、確かめるまでもなく、アノ部分が主張していた。

僕は気落ちしながらも、遅刻しないように、手早く身支度を済ませると、玄関を飛び出した。



学校までは歩いて行ける距離だが、もう走らないと間に合わない。

ペースをあげて、タバコ屋の角を曲がったとき・・


!!!ごちーん!!!

勢いよく誰かとぶつかってしまった。

 ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆


こ、これは良くある衝突入れ替わりという奴か!?


 ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆


クラクラする頭を持ち上げて、ぶつかった相手を見ると・・

やはり、見知らぬ少女だった。

駄目じゃん、自分が見えなくっちゃ。

念のため、自分の体を調べてみたけれど、特に変わりはなかった。

ぶつかった相手を良く見ると、見知らぬ学校の制服を着た、かなりの美人だ。

ああ、こんな娘が朝、鏡を見た時に見つめ返してくれればなぁ…

「どうして、鏡を見たら見つめ返してくれないんです?」

はわ・・思った事がそのまま口から出てしまった。

「え?」

彼女は、あっけにとられた顔で僕をみている。

「あ、いえ、その…」

「いたた…」

彼女は痛そうに足をさする。

勢いよくぶつかったからな…入れ替わりそうなくらい。


お怪我はありませんか?と言うつもりだったが、口から飛び出したのは違う言葉だった。

「一緒に雷に撃たれてみませんか?」

その瞬間、彼女は100M3秒台はありそうな勢いで逃げていった。

ひょっとしたら、運命の出会いという奴を逃したのかも知れない。

が、僕はそんなありきたりな事は考えず、

「何ぃ!通常の3倍だとぉ!?」と思った。<何のこっちゃ


それから学校に着くまでに…


OLと一緒に歩道橋の階段から転げ落ちたり…

車にはねられてマッドサイエンティストの家で目覚めたり…

おじいさんを助けたら貰った不思議な杖を試したり…

小学生くらいの女の子に悩みを打ち明けたり…


と、本当に色々な事があったのだが、特に女の子になるような事はなかった。

そんなこんなで、学校についたのは3時間目の事である。



「よう、随分と早いお着きで・・」

友人Aが暖かく僕を迎えてくれる。

「ここに着くまでにTS小説が5本は書けそうな目にあったからな」

「よくは解からんが、次の授業は体育だから、隣の教室で着替えだぞ」

「ぐあ、あれだけの目にあって、この上体育かい」

僕は特に運命を呪うこともなく、隣の教室で着替えを始めた。

シャツを脱ぎ捨て、上半身裸になる。

「!?」

友人Bがマジマジと僕の事を凝視する。


「お、おまえ…」

「え?」

「む、胸…」

「え?え?」

「む、胸……
 胸にあざができてるぞ」

あ、ほんとうだ。確かにあれだけの目に会っていれば痣の一つもできるだろう。

逆に言うとこの程度で済んでラッキーというべきか。

それにしても、そんなにどもって言うことかな。

「お、俺どもり症だからさ…」

そんな、とって付けたような解説しなくても。

「今朝はいろいろあったからね、心配してくれてありがとな」

「あ、ああ・・」


今日の体育はサッカーだった。

僕はDFにまわった。

あんまり動き回りたくないしね。

でも、こんなときに限って、僕のチームは攻め込まれまくっていた。

お陰で十分もたたない内に、意識が朦朧とし、僕は倒れてしまった。



気が付くと保健室のベットの上だった。

おお、これは!?

恐る恐る自分の体を確かめてみる。

な・・

ない!!

男の子には有り得ない2つの膨らみがない!!


まぁ、今回は特に誰とぶつかったとか、事前になんか飲んだとかじゃないから仕方ないか。

まてよ・・ひょっとしたら、急に倒れたのは、仮性半陰陽による体の変化が原因かも知れないぞ。

なるほど、それならいきなり女の体になっていないのも納得できる。

とにかく、保健の先生の診断を待とう。

「ただの睡眠不足と疲労ね、あと、朝食を抜いたのも原因かも」

噂の美人校医、松村恵理子(24)独身は、あっけなく判断を下した。

「年はどうでもいいでしょ、あと独身かどうかも・・」

「先生、誰に話してます?」

「何でもないわ。とりあえず、休んだから良くなったでしょう、もう授業に戻りなさい」

うーん、半陰陽でもないのか、という事は!?

「先生、幽霊離脱薬に足りないものは何ですか?」

「はぁ?」

「アレするたびに性別が変わる、妖しい薬でもいいんですけど」

「何なのよそれ」

「どうせ、貧血で倒れた女の子がいるんでしょ?」

「それはまぁ、いますけど・・」

「やっぱり!ここが乗り移りポイントって奴ですね!
 先生、早く薬でも機械でもいいから出して下さい〜!」

松村先生は、危険を感じて飛び退いた。

「何なの?もう落ち着いて話なさい」

「僕は今日、女の子にならなくちゃいけないんだ!」

「はぁ!?」

「それが運命だからです」

「あなた大丈夫?」

「少年よ少女を目指せ!
 ♪BOY CHANGE GIRL♪少年はいつか少女に変わる日が来るのです!」

「精神鑑定したほうがいいかしら?」

「先生、僕、変でしょうか?」

「あ?え?その…
 し、思春期だもんね。異性の事が気になるのは当然よ。」

なんかとってつけたような説明。

「うん、君は大変に正常な男の子といえましょう。
 うん、元気元気、もう大丈夫ね! 先生が保証するわ☆
 じゃあ、学生の本分に戻りたまえ!」

有無を言わさず、廊下に向けて強制スクロールされられる。

時間はちょうど4時間目の前の休み時間だ。

仕方なく、僕は教室に戻ることにした。



「あの…どうかしたんですか?」

主人公の去った保健室の、白いカーテンで仕切られたベットから、一人の少女が顔を覗かせる。

「あ、ごめんね。起こしてしまったかしら。まだ寝ててもいいのよ。」

「いえ、もう大丈夫ですから」

その少女は、朝主人公が衝突した少女であった。

運命の出会いに続いて再会までも逃した事を主人公はまだ知らない。



4時間目

この時間は化学だった。おお、早速薬品棚に激突して、怪しい液体を浴びなくては!

と思ったが残念ながら教室移動がなかった。

解かってないなぁ!

昼休み

学食の食事の中に性転換薬でも混ざっていたら学校中パニックになって面白いだろうなぁ…

と思ったが、流石にそんな事なかった。

ちぇっ

5時間目

この時間は現国だった。さすがに現国ではTS的シチュエーションにならないな・・っと思い気を抜いた瞬間、眠りに落ちていた。

眠ったつもりなのだが、妙に意識がはっきりしているような、それでいて夢の中にいるようなふわふわとした感じをうける。

宙に浮かんでいるような感じだ。ふと、下をみると、自分の体が見える。

おお、これが幽体離脱という奴だね!やったぜ父さん!

という訳で、いつ設定解除になるか解からないので、早速女の子の体に潜り込むことにした。

狙うはグリーンのターゲット!じゃなかった、お約束どおりこのクラスのヒロインだかマドンナだかアイドルだか。

とにかく、クラスで一番可愛いと評判の下坂美津音さんだ。

真剣な眼差しで黒板の内容をノートに書き写している彼女に背後から忍びよると、彼女と同じ体勢をとり、体の中に浸透する。

もちろん、乗り移る瞬間は「美津音さん、失礼します」という一言も忘れない。

じんわり・・

手足、いや体全体にジーンと感覚が戻っていく。押さえられた血管に血が戻っていく感覚に似ている。

やがて、目の焦点が定まってくると、彼女のノートがはっきりと見えた。

色白くか細い手が、可愛いキャラクターのついたシャープを握っている。

シャープペンを離し、自分の目の前に持ってくる。思ったように動くようだ。

今度はその手で頬をなでる。すべすべした柔らかい肌を感じる事ができる。

おお、グレイト!

それでは、いよいよお決まりの……

ごくっと、喉がなる。

意味もなくあたりをきょろきょろと見回す。

では…

僕は女子の制服(ちなみにブレザー)に包まれた、男の子にはない、その2つの丸みを帯びた物体に目をやると、そっと両手で押さえつけた。

ふにゃ

あふぅ…

す、すごい、ゆ、夢のようだ…

………

夢だった(笑)

気が付くと、いつもの自分の席の、いつもの自分の体だった。

あれぇ?夢??

黒板を見ると、寝る前より4行後の文を解説しているところだった。

ちなみに内容は「邯鄲の夢」だった。

できすぎ…

っていうか、なぜ現国で「邯鄲の夢」?

まぁとにかく夢であることは間違いなかった。

なぜなら、美津音さんは今日はお休みだからだ。 



結局、授業中は何も起きる事はなく、放課後を迎えてしまった。

仕方なく、僕は科学部に行って見ることにした。


科学部の部長は何を隠そう、僕の友人Aなのだ。

という訳で話が早い。

「どこぞの部族が隠し持ってる怪しいキノコをくれ」

「何だそれは]

「食べると女性化するとかいう」

「おまえ、女になってみたいのか?」

「いやその…女性しか入れない村にある紫の鍵を手に入れなければならんのでな」

「その村の女の子とでも仲良くなって、とってきてもらえ」

「ああ、お前、TSシーンを否定したな。
 ここは、やっぱり自分が女性になって取りに行くべきだろう。
 その村にとっては神聖なものなんだし」

「お前、最近変だぞ」

「そ、そうかな?」

「とにかく、今実験の準備で忙しいんだから帰ってくれ」

「おお、怪しい機械の実験か、是非俺も人体実験させてくれ」

「悪いが、人体に関係ない実験なのだ。それじゃな、また明日」

ううむ、ここはやはり実験の事故で誰かと入れ替わるか、女の子になっちゃうかが黄金パターンなのに解からんやつめ。

仕方なく、僕は他のクラブを回ることにした。

なんか、このパターンばかりで恐縮だが、あれから15もの部活を回ったが、まるで意味はなかった。

SF研も、漫研も、ラグビー部も、華道部も、お料理研も、水泳部も、みーんな駄目だったという訳だ。

彼がぶつくさ言いながらクラブを回っている横で、同じように部活巡りをしている転校生の女の子の姿があったのだが、彼の眼中には入らなかったようである。

こうして、彼女との接点イベントは失われていくのであった。



そんな訳で、僕は今、途方に暮れたまま、自分の家の自分のベットの上に寝そべっていた。


ちなみに帰路にもいろんな事に出会ったのだが、同じなので省略する。

帰ってからシャワーを浴びたが変化がみられなかったことも省略する。

夕食を食べたが、妹と入れ替わることもなかったというのも省略する。

階段を滑り落ちても、姉に憑依することもなかったというのも省略する。

通販でなんか目ぼしいものはないかと探していたことも省略する。


まぁ、とにかく、あと数時間で貴重な「今日」という時間が終わることだけは確かだった。

うーむこれはどういうことだ!?

まさか、この本の予言が外れるのか?

ひょっとして、この予言が出たときはユリウス暦だからずれてるとか?

いや、発行は5年前だし…

では?では?

そう、あれこれと考えを巡らせている内に、僕はいつしか眠りに落ちていった。



うーん困ったね・・ここまで引っ張って書いた割に、ナイスなエンディングが思い浮かばない。

仕方ない、マルチエンディング方式を採用させてもらおう^^;

お好きなオチで締めてください。



<オチ1>


なーんてね、あの頃は本当に、いろんな事を考えていたわね。

でも、まさかあんな方法で変わっちゃうなんて・・・

やっぱり、現実は小説より奇なりよね。

アタシは、あの頃の日記を閉じると、彼との待ち合わせに遅れないように身支度をはじめた。

<FIN>



<オチ2>


目がさめると、体が動かなかった。

え?

必死で体を動かそうとするが、無駄だった。

そうしていると、不意にまばゆい光が窓から注いできた。

そこで、一旦意識が途切れ…

次に気が付くと、エイリアンに囲まれていた。

目が大きくて灰色なやつ。

どうやら、円盤の中で台の上に寝かされているらしい。

少しだけ動かせる頭で周りを見回すと、隣の台にも誰か寝かされているようだった。

若い女性のようだ。

彼女は完全に気を失っている(寝ている?)らしく、ピクリとも動かなかった。

死んでいるのかもしれない。

エイリアンの一人が、彼女の髪の毛を束ねると、何か器具を額に当てた。

カパッと、彼女の額から上の部分が取れて、中身が剥き出しになる。

人間の脳の仕組みでも知るつもりだろうか。

やがて、僕にもエイリアンの一人が近づいてくる。

僕の頭も割って、男女の脳の違いでも調べるつもりなのだろう。

やめてくれ!

と思ったところで僕は意識を失った。


次に目が覚めたとき、僕はその一緒にいた女性の体の中で目を覚ました。

その日から、新しい僕の女としての人生が始まった。

<FIN>


(蛇足)

さて、目覚めたのは、次の内誰の体の中?

1.保健の先生、松村恵理子

2.クラスで一番の美女、下坂美津音

3.謎の転校生

4.自分の姉または妹

5.見知らぬ女性

選んだ答えで、あなたの嗜好がわかるかも。



<オチ3>


深夜。

人々が眠りについたその時間。

高級マンションの一室に男達の一団が集まっていた。

「以上です」

小柄な男が報告をそう言って結んだ。

「ふむ」

「思った以上の逸材ですな…」

「ああ、確かにな」

「これなら、我等の同志として迎えいれることができそうですな」

彼らの手元には資料が乱雑に置かれている。

中には、報告に昇った少年のプロフィール。

少年の手にしていた予言書。

ここまでに少年が取ってきた行動の詳細などがある。

「5日後には、F−208号も到達日時に達します」

「うむ。では、また5日後に・・」

主催らしき男がそう締めくくると、男達はマンションを後にして、思い思いの場所…偽りの日常空間へと帰っていった。


彼らの目的は、自分等の嗜好を世に広めること。

そして、若手の育成であった。

<FIN>



☆あとがき

2作目の投稿となりました。Tarotaです。

反則技なこの作品を最後まで読んでくれてありがとうございます。

一応主題は「主人公に性転換を強要させる」物語って事で。

でも、ちょっとやりすぎましたかね^^;;

こんな作品でも笑えて貰えれば幸いです。

では、また次回作でお会いしましょう☆

(次回はまた華代ちゃんの予定です)


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