カオルの日常    第壱話

作:SATO

<カオル>

僕の名前は皆野薫(ミナノ カオル)。まあどこにでも居ると言えばどこにでも居る中学二年生。だった。少なくともこの日までは。

そろそろ学校全体が夏服になるかならないかという時期だ。

この日は朝からどうも気分が優れなかった。

頭が少し痛かったが、そこまで痛い訳じゃないのでとりあえず学校に行くことにした。

あとで思い返してみたらこれがいけなかったのかも知れないけど。

学校に着くと桐野裕也(キリノ ユウヤ。友達の間ではユウって呼ばれている。僕とは小学校から同じクラスだから仲がいい。親友ってヤツかな?)と会った。

ユウ「大丈夫か?カオル。顔赤いぞ。熱あるんじゃないか?」

自分では分からなかったけど、周りから見ると顔色が悪いらしい。

カオル「少し頭が痛いけど・・・多分大した事無いと思うよ。」

ユウ「それならいいけど・・・気分が悪くなったらすぐ言えよ。」

ちなみにユウは保健委員をやってる。そういうこともあって周りの体調には敏感らしい。

結局僕は授業を受けることにした。幸い今日は体育も無い。部活は休むことになりそうだけど。

1,2時間目は何とか我慢できた。でも3時間目になるとなんだか頭がグラグラしてきた。

まあ3時間目が大嫌いな数学だったこともあるかもしれないけど。

なぜかZガンダムのワンシーンが脳裏をよぎった。

「動け!ジ・O!何故動かん!」(マニアック・・・)

もう何がなんだか分からなくなってきた。

そんな僕に気付いたらしい先生が

数学教諭「皆野。大丈夫か?保健室行くか?」

と聞いてきたので僕はコクッと小さく頷いた。

僕は保健室に行こうと立ち上がったが、うまく足に力が入らずによろけて尻餅をついてしまった。

数学教諭「だ、大丈夫か?おい、このクラスの保健委員は誰だ?一人じゃ不安だから付いて行ってやれ」

ユウ「あ、ハイ。行くぞカオル。歩けるか?」

カオル「うん。なんとか。」

とは言ったものの、熱が高くなってきたのか、思うようにまっすぐ歩けない。ユウに肩を借りて何とか歩くことが出来た。

「失礼しまーす。」

と言って保健室に入ったが、先生の姿が見当たらない。職員室に居るのだろうか?

すでに気分の悪さは計器類の針()を振り切っていた。

僕はベッドの上に腰掛けた。

ユウ「とりあえず熱測っとくか。ホイ、体温計。」

僕は体温計を受け取り、脇にはさんだ。それからしばらくして「ピピピッ」と体温計が鳴った。

ユウ「えーと熱は・・・よ、42度?カオル、お前・・・いよいよ大丈夫か?」

カオル「大丈夫じゃないから保健室に来たんじゃないか・・・」

ユウ「そりゃそうだけど・・・俺先生呼んでくるよ。」

そう言ってユウは保健室を出た。それにしても頭が痛くて何も考えられない。

僕はそのままぼーっとしていた。と、言うより気を失っていたんだけど。

<ユウ>

ユウ「あっれー?どこいったんだ???」

職員室に先生を探しに来たんだけどぜんぜんまったく影も形も見当たらない。朝見かけたから学校にはいるはず・・・

ほかの先生によるとプリントのコピーを撮りに事務室に行ったらしい。

俺は少しヤケクソ気味に職員室を後にした。

<カオル>

どのくらい経ったかな・・・意識が朦朧としていたので良く分からないけど5分とか10分とかそんなもんだろ。

先生を探しに行ったユウはまだ戻っていない。先生を探すのに手間取ってるのかな・・・?

なんだか体が重い気がする。何か違和感を感じる。ぐったりとなっていたのでその理由を確かめはしなかった。確かめるべきだったかどうかは分からないけど。

「パタパタパタ・・・」という音が聞こえてきた。ユウが戻ってきたらしい。僕は少し安心したような気がした。

養護教諭「皆野君、ごめんね待たせちゃって。」

と言って2人が入って来た。

この先生は去年養護教諭になったばかりでまだ若く、割と美人な方だと思う。ちなみに名前は新崎真帆(ニイザキ マホ)先生。

???二人がなにやら不思議そうな目で僕を見ている。

ユウ「・・・カオル・・・それ・・・どうしたんだ?」

僕はユウが何を言いたいのかが良く分からなかった。

カオル「?何?何が?」

ユウ「だからそれ・・・髪・・・」

カオル「髪?」

ぼくは自分の頭に手をやってみた。すると、髪が肩の少し上あたりまで伸びていることに気付いた。

カオル「な、なんだこれ?」

僕はとっさに近くにあった鏡に目をやった。そこに映った僕は、もともと中性的な顔の上に髪が伸びているので女の子のようにしか見えなかった。そういえば少しふっくらした感じになっている。

マホ「あ・・・皆野君、胸!胸!」

カオル「え?・・・あ!」

胸が少し重いと思っていたら胸には女の子のような膨らみがあった。手で少し触れてみても、感覚があるので本物としか思えない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

!まさか!

急に不安が込み上げてきて、そっと股間に触れてみた。

無い!

予想はしていたけど実際に目の当たりにしてしまい、驚きと不安で冷や汗がダラダラ流れてきた。

ユウ「そういえばお前、体大丈夫なのか?」

カオル「なんか頭痛とかおさまったみたいだけど・・・むしろこっちのほうが大丈夫じゃないよ・・・」

マホ「それよりどうするの?一応病院に行ったほうがいいと思うけど・・・」

カオル「病院でどうにかなるレベルを超えてるような気がするけど・・・そ、それにいろいろ検査とかされるのあまり好きじゃないし・・・と、とりあえず授業には出た方がいいような気もするし・・・」

本当は授業なんてどうでもよかったんだけど、病院はなんか嫌なのでつい言ってしまった。

マホ「それはそうだけど・・・うーん・・・それじゃあ放課後にもう一回ここに来なさい。一応病院に行ったほうがいいわ。」

カオル「あ・・・じゃあとりあえず教室に戻ります。」

そう言って僕が保健室を出ようとすると、

マホ「ちょっと待って。下着とかそのままだと少し心許無いでしょ?予備の下着があったはずだから。」

そう言って先生は棚からビニール袋に入ったブラとショーツを取り出した。新品らしい。当たり前だけど。

マホ「はい、これ着けてみて。あ、それと桐野君、ちょっと向こう向いてて。」

ユウは真っ赤になってゆっくりと後ろを向いた。少し残念そうにも見えたけど。

僕は渡された袋を開けて下着を取り出した。下着を見て赤面してしまったことは言うまでもない。

これを着けてしまうと完全に女の子になってしまうような気がしたので少し戸惑っていたけど、胸が服にすれて気持ち悪いので仕方なく着けることにした。

ギクシャクしながらブラをつけ終わると、次にショーツを取り出した。

さすがに恥ずかしいので、後ろを向いて履くことにした。

マホ「とりあえずこれでいいけどあとでちゃんとサイズの合ったものを買った方がいいわね。それとちゃんと放課後来るのよ?」

僕たちが保健室を出たとき、「キーンコーンカーンコーン」とチャイムが鳴った。

<ユウ>

保健室を出て教室へ向かうとき俺はまだ困惑気味だった。

俺の横を歩いているのはカオル・・・のはず。でも俺の目に映るのは(服装をのぞけば)まぎれもなく女の子だ。でも顔つきは丸みを帯びている気がするので違和感は感じるが、根本的な顔立ちはカオルだ。あーもう自分で何言ってるのか分からなくなってきた・・・とにかく混乱している。

そういえば背が少し縮んだような・・・もともと背は高い方ではなかったけど、明らかに低くなっている。

そんなことを考えながらカオルを見ていると、さすがに我慢できないらしく、

カオル「さっきからなんなんだよ!ジロジロと!」

と言われてしまった。

ユウ「いや・・・なんか・・・状況がまだいまいち理解できなくて・・・」

カオル「理解できないって・・・分かるだろ?こういう状況だよ。」

・・・そこで会話が途切れてしまった。

<カオル>

教室にやっと着いた。廊下が妙に長く感じた。この体()に慣れていないと言うか、誰かに見られてる気がするような、変な気分だった。

休み時間ということで教室はざわついていたけど、僕が入るとその声が「ピタッ」と止まってしまい微妙な気まずいようななんとも形容しがたいような雰囲気になってしまった。(予想はしてたけど・・・)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

リカ「・・・カオル?」

長い沈黙のあと北原梨花(キタハラ リカ。1年生の時から同じクラスなので結構仲がいい。別に異性としては意識してないけど。って言うかもう異性じゃないのかも・・・)が口を開いた。僕はその問いに小さく頷いた。すると、「どうしたのそれ」と訊くよりも先に、

リカ「かっわいーーーーーーーーーーーーーーー。」

そうじゃないだろ。普通は。

でもその絶叫()を境に沈黙が途切れ、

「どうしたんだよそれ?」

「ねえ、その胸本物?」

「これどういうこと?どう見ても女の子だよ?」

と、お決まりのように大量の質問が浴びせられた。

カオル「保健室にいって気が付いたらこうなっていました!以上!質問禁止!」

だがそれでみんなが納得するはずがない。第2波を浴びせられていると、

「キーンコーンカーンコーン」

みんなが慌てて席に着いた。

(た、助かったー)

と、安心したにもつ束の間。今度は事情を知らない国語の先生の質問責めに遭ったのは言うまでもない。

<リカ>

―話は飛んで昼休み―

どっから見ても女の子・・・それにしてもカオル・・・かっわいーーー。

そんなことを考えながら私はかおるをうっとり眺めている。

カオル「な、なんだよもう。気持ち悪いな。」

リカ「べっつにぃー。それにしても・・・下手すると私より胸大きくない?」

カオル「なななな何言ってんだよ!!!って言うかお前もともと胸小さい・・・」

ドスッ!!!

カオルのウィークポイント(みぞおち)に強烈な一撃を叩き込んだ。

カオル「!!!!!!―――――――〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜・・・・・・・・・・・・」

カオルは苦しそうにもがいている。カオルの弱点は熟知してるし。

カオル「いったーーーーー!何やってんの!(ブライ○=ノア風)あー痛ーーーーーい」

?なんかカオルの喋り方が少し変わったような・・・

そういえば男女では脳のつくりが違うので感じ方とか考え方とかも男女で違ってくる・・・と「発掘!あ○ある大辞典」でやっていたような・・・なんかカオル本格的に女の子になってきたな―――。

<カオル>

やっと授業が終わった・・・なんか長い(ある意味短い)一日だった。

そういえば保健室に来いって言われてたんだっけ。

僕は保健室に向かった。廊下を歩いていると、なんか見られてるような気がする。それに服とかが少し大きいような気もする。歩くたびに上履きがカポカポいってる。やっぱり体が縮んでいるらしい。そういえば少し目線が低いような気が・・・ま、いっか。

―そして保健室―

マホ「あ、来たわね皆野君。それじゃ今から病院行くわよ。」

カオル「え?今からですか?」

マホ「そうよ。こういうことは早いほうがいいわ。行きは私が送って行くけど帰りは家の人に来てもらって。」

異常なまでの展開の早さだけどとりあえず病院に着いた。

カオル「あ、母さん。」

病院の入り口の所に母さんが居た。ちなみにここへ来る前に電話で連絡しておいた。

カオル母「?・・・・カ、カオル?電話で言っていたけど本当だったなんて・・・」

実際電話の声だけでは先生が電話に出るまで信じてもらえなかった。無理も無いけど。

僕は2人に連れられ病院内に入り、診察室に入った。診察室に居たのはまだ若い女医だった。

女医「・・・またマホの冗談かと思ったけど・・・本当に本当なの?」

マホ「当たり前でしょ。私が嘘ついたことってある?」

女医「あるじゃない、何度も。」

どうやら2人は知り合いみたいだ。

女医「皆野薫君ね?さっそく本題に入るけど痛むところは無い?」

カオル「あ、少し違和感はあるけど別に痛くはないです。」

と訊かれ、その後も3,4問診された。

女医「それじゃあいくつか検査するからこっちに来て。」

と言って案内されたのはCTスキャンか何かの機械が置いてある部屋だった。

僕は機械のベッドのようになっている部分に寝かされた。しばらくすると「ウィィィィン」と音を立てながら筒のような部分にベッドの部分が入っていった。

その後も血を採られたり、いろいろ検査された。

前も言ったけど僕は検査とかの類はあまり好きじゃない。少し前にあった内科検診も意地を張って受けなかった。でも今回ばかりはそうはいかない。後に延ばしても結局することになるだろうし、何より僕自身が不安だった。いきなり高熱が出て女の子の体になって平気で居られる人間がいる筈がない。

女医「検査の結果が出るのは1週間後になりますので、またその後日来て下さい。ではお大事に。」

いろいろあったけどとりあえず帰れる・・・でもこれから僕はどうなってしまうんだろう・・・

カオル「ハアァァ・・・」

さっきから幾度となくため息が出ている。

僕は元に戻れるんだろうか・・・

もし元に戻れなかったらどうすれば良いんだろう・・・

その前になんでこんなことになってしまったんだろう・・・

いくつもの不安と疑問が脳裏を駆け巡る。

カオル母「最初にカオルを見たとき驚きはしたけど、本当は少し安心したわ。大丈夫そうで。」

カオル「さほど大丈夫でもないけどね・・・」

カオル母「それより明日学校どうする?行きたくないなら無理に行かなくてもいいと思うけど。」

カオル「ん・・・べつにいいよ。休んでどうこうなる訳でもないし。」

あーあこれからの僕の日常が音を立てて崩れていく・・・

つづく、と思う


テストの前後に書きました・・・もちろん勉強ほとんどしてません。たまに「いいんだろうか」と思ったりしている今日この頃です。まあいいんでしょう。

はじめて書いたので話のまとめ方とか、かなり下手っぽい・・・とりあえずこれからいろいろ学んでいきたいと思います。

続編書けたら書きます。テストもあるけど・・・

じゃまた

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