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パラレルTSストーリー「切望」シリーズ
作:KCA



0.物語の始まり


−−アレ、俺はどうしてこんな所にいるんだ?

気が付くと、俺は真っ白なフカフカした絨毯のようなものに腰を
下ろして、ぼうっと辺りを眺めていた。

頭上に青い空が広がっている以上、ここが屋外だということは
わかったが、それにしては、足元の絨毯?は見渡す限り続いている。

−−ここは、どこだ? いや、それ以前に……俺は一体誰なんだ!?

ヤバい。これが本とかマンガではありがちだが、実際目にする
ことはまずない、記憶喪失というヤツだろうか?

……などと、思った途端、あっさり自分の名前が思い出せた。

−−松沼伸二。そうだ、俺の名前は"松沼伸二"だ。

名前を思い出した途端、色々な記憶も同時に甦ってくる。

今年の春、受けた大学すべて見事なまでに不合格で、現在一浪中の
予備校生であること。

気分転換も兼ねて、予備校の夏合宿−某有名避暑地のペンションで
2週間缶詰になって勉強するのだが、日曜には自由時間がもらえる−
に参加したこと。

その日曜の自由時間に、親しい友人たち男女4、5名とテニスに
出かけたところまでは覚えてるんだが……。

で、最初の問題に戻るわけだ。

−−ここは一体どこなんだ?

「あ、こんな所にいた。駄目ですよぅ、ちゃんと列に並んでくれなきゃ」

唐突に、背後から可愛い…というか甘ったるい女の子の声が、僕に話し
かけてきた。

慌てて振り向くと、そこには、黒のアンサンブルに身を包んだ、中学生
くらいの少女がニコニコしながら立っていた。

声に劣らず顔の方も可愛かった。無邪気に首を傾げている様なんて、
ロリコンじゃないはずの俺でさえ、思わずお持ち帰りしたくなるほどだ。

ただ、喪服のようなその服装と、背中に着いた白い翼のようなものが、
見事にかみ合っていないが。
新手のコスプレだろうか? うーん、こんなキャラいたっけ……??

首をひねる俺を尻目に、羽付き少女は手に持ったバインダーのような
ものをペラペラとめくり、何かを探している。

「あ、あったあった! えーと、勝沼紳一さんですよね。この度は
まことにごしゅーしょーさまで……」

嬉しそうな顔で、翼をパタパタさせながら−うーん、スゴい凝った
仕掛けだ−バインダーの中身を少女は読み上げ始める。

「は? えーと……俺の名前は、松沼伸二なんだけど」

「え!?」

硬直する少女。ピタリと翼の動きも止まる。

「人違いってヤツじゃない?」

「人違い……」

少女はオウムのようにボンヤリと繰り返す。

「あ、もしかして俺をここに連れて来たのも君なのかな?」

「! わぁ〜〜〜ん、どーしよー!? また、やっちゃったぁ!!」

突然ぺたんと地面?に座り込み、泣き出す少女。

慌ててなだめすかしながら、聞きだした事情をまとめると大体
こうだ。
その少女、ファジィは俗に天使と呼ばれる存在−正確には、
まだ見習いなんだそうだ−で、死すべき運命の者の魂を霊界
に案内する仕事をしているんだそうだ。

で、今回はその"勝沼紳一"とかいうヤツがターゲットだった
のだが……間違えて俺を連れてきてしまったというワケだ。

普通なら信じられる話じゃないんだが、ファジィの翼−本物だった!−
と、地面?が雲で出来ているという事実の前には、嫌でも信じざるを得ない。

「参考までに聞くけど、その勝沼紳一って、どういう奴なの?」

「はい。何でも財閥の若き総帥なのをいいことにやりたい放題、
最近では修学旅行途中の女子高生の一団を監禁して、全員その
……ごーかんしちゃったそうです」

「ちょ、ちょっと待て! 俺がそんな悪党に見えるのか、オイ!?」

さすがに頭にきた俺が詰め寄ると、ファジィは慌てて首を振った。

「い、いえ、全然。で、でも、人は見かけに寄らないとは言います
から……あ、そ、それでですね。その勝沼さんは今日の朝、死刑執
行されて、めでたくお亡くなりになったはずだったんですよ」

なにがめでたいのかは知らんが…いや、確かにそういう男の風上
にも置けないヤツが死ぬのはめでたいことか。

「でもぉ、予定時刻になっても勝沼さんの魂が来られないものです
から、こちらからお迎えに行ったんです」

「−で、そこで間違えて俺を連れて来てしまったと」

ジロリ。

「わぁーーん、ごめんなさいですぅ」

ふう……まあ、ここでこの娘をいぢめてても事態は改善されんしな。

「じゃあ、間違いだとわかったんなら、さっさと元に戻してくれ」

「は、はい! ただ今すぐ速やかに伸二さんの魂は下界に戻させて
もらいますです」

というワケで、俺はファジィの上司のもとに連れて行かれたのだが……。


「あ、無理ね。その件ならもう手遅れよ」

女神の如き−というか、実際そうなのだろうが−美人の上司ベルは、
にこやかにファジィと俺の訴えを一蹴してみせた。

「なぬぅ!?」

「だって、キミの身体、車に跳ねられて意識不明の重態だったんだもの。
確かに、死亡予定リストには載ってないから、普通ならそこで奇跡的な
回復で一命をとりとめたハズなんだけど、気合を入れるべき魂が無くちゃ
あ、アッサリ死んじゃったわ」

「そんなバカな! それじゃあ、俺はこのまま死んじまうのかよ!?」

「まあまあ、慌てない慌てない。確かに、死すべきでない者を殺したと
あっては、霊界のメンツに関わるわ。あまり使いたくないけど、この際
だから裏技使ってあげる」

と、ニコヤカな顔を崩さないベルは、ある提案を俺に持ち掛けてきた
のだった。


「お待たせしましたぁ」

「よぉ、ファジィ。それがリストか?」

「ハイ、伸二さん、この中から選んで下さい」

女神ベルによると、何万人かにひとりくらいの割合で、俺とは
逆に、死すべき定めにも関わらず生き残ってしまう強運の持ち主がい
るらしい。そこで、俺の魂はそういう人の身体に取り憑いて、その人
になりかわって生活していくことになるのだという。

他人の人生を無理矢理奪い取るようであまり気は進まないが、ベル
いわく、「借金だけらけで家賃を1年も滞納している店子を放り出して
別の人に部屋を貸すのは、大家としては当然の義務」なんだそうだ。
この場合、その人の肉体が部屋ってワケか。
まあ、俺としてもこのまま死んでしまうのはさすがにイヤだし、
背に腹は変えられない。

というわけで、憑依可能な相手をファジィにリストアップして
もらったのである。

どれどれ−−

********************************

NO.1:永瀬聖花 16歳(♀)

リセエンヌ女学園高等部に通う女子高生。同時に、今年の春デビューした
ての新人アイドルでもある。歌うことは好きだが、本人はそれほどアイド
ルという地位に執着していないらしい。


NO.2:篠原香奈 22歳(♀)

竹井事務所に所属する、聖花の敏腕マネージャー。元アイドルだったが、
2年前、声を潰してマネージャーに転身した。厳しくも面倒見のいい
お姉さんで、聖花の信頼は厚い。


NO.3:江島るみえ 19歳(♀)

マスミプロ所属の実力派アイドル。クールな外見のわりに、実は12歳のころ
から芸能界で頑張ってきた苦労人。ポッと出でアイドルの自覚に欠ける聖花
のような娘を嫌っている。

NO.4:曽根田みちる 17歳(♀)

日本有数の財閥、曽根田グループ総帥の孫娘。美人でプロポーションも
抜群だが、その育ちゆえか非常にプライドが高く、高飛車。リセエンヌ
女学園高等部に通っており、生徒会長も務める。


NO.5:伊藤真由美 19歳(♀)

昨年、高校を卒業して以来、曽根田家で働いているメイド。よく働き、
明るく器量良しなので、周囲の評判は上々。主にみちるの世話をしており、
みちるも真由美には比較的気を許している。


NO.6:五條志津香 17歳(♀)

リセエンヌ女学園高等部に通う女子高生。美人だが、無口でミステリア
スな雰囲気を持つため、親しい友人は少ない。園芸部に所属しており、
花やハーブを育てるのが趣味。


NO.7:館山沙織 18歳(♀)

央花学院高校に通う、資産家のお嬢様。現在日本でもっとも将来を
嘱望されているピアニストでもある。ただし、本人は音大に進むか、
このままプロになるか現在悩んでいるらしい。


NO.8:五條かをる 21歳(♀)

志津香の姉で、浪速製薬に勤めるOL。やや地味だが、暖かみのある
笑顔と性格で、職場の男性に非常に人気があり、女性の同僚にもウケ
がいい。妹の引込み思案が悩みの種。


NO.9:志摩奈津実 17歳(♀)

央花学院高校に通う女子高生。新体操部のキャプテンであり、その
実力はインターハイクラス。ボーイッシュな性格や格好から、後輩
の女生徒にファンが多く、男性と縁がないのがちょっと不満。


NO.10:白鳥雪那 16歳(♀)

央花学院高校に通う女子高生。いわゆる深窓のお嬢様で、箱入りに
育てられたため他人、とくに男性と面と向って話すのが苦手。それを
危惧した両親の勧めで、共学の央花に入った。


NO.11:敦賀 唯 17歳(♀)

奈津実のクラスメイトで親友。女子テニス部のキャプテンでもある。
さっぱりとした性格は奈津実と同様だが、女の子らしい外見から、
沙織と人気を二分する校内のアイドル的存在。


NO.12:仲田亜季 15歳(♀)

リセエンヌ女学園中等部の生徒なのだが、病弱で休みがち。ここ1ヵ月
ほどは学校に行かず、入院している。そのため、内気で沈みがちだが、
優しい性格のため、病院内の子供や老人には慕われている。


NO.13:仲田妃香里 17歳(♀)

亜季の姉で、中花学院高校2年生。美人というより元気で可愛い印象。
亜季の治療費などで家計が大変なことを知っており、自分の学費や
小使いはウェイトレスのバイトで稼いでいるしっかり者。


NO.14:鈴代美代子 20歳(♀)

亜季の入院している清涼総合病院に勤める看護婦。仕事熱心で面倒見
がよいが、時々ドジをやらかすオマヌケさん。すごいグラマーで、
看護婦の制服は特注だったらしいと、もっぱらの噂。


no.15:神無月恵 23歳(♀)

浪速製薬の社長秘書。トップモデルばりの美貌を持つが、ベテラン顔負け
の有能さを示し、いつもクールな表情を崩さないところから、社内では
「雪女」の異名で呼ばれている。

……………………

まだまだ残りがあるようだが、俺はパタンとファイルを閉じた。

「−なあ、ひとつ聞いていいか?」

「ハイッ、なんでしょーか?」

ニコニコと笑うファジィの顔に気勢を削がれながらも、俺は
思い切って尋ねる。

「リストにあがっているのが、なんで女性ばっかりなんだ!?」

「ああ、そのことでしたら、読者のニーズに……」

スパーーン!!!

と、どこからかベルが現れてファジィにハリセンチョップで
突っ込みを入れ、すぐさま姿を消した。

「あわわわわわ、い、いまのはきみつじょーほーでした。
えーと……そうそう、伸二さんが出された、「外見がよくて
将来性がそこそこあって、若い人」という条件を満たす体が、
なかなか見つからなかったんですよ」

「な、なんてご都合主義な……」

「それとも、中風で通院中の福留猛さん(74歳)がいーですか?」

「−いや、遠慮しとく」

「りすとらで解雇されたばかりの多田琢磨さん(45歳)ってのも
ありますが」

「−いらん」

「あ、コレは若いです! 岩城明くん、なんと生後6ヵ月!」

「若過ぎるって!! わかったわかった、こっちのリストから選べば
いーんだろ?」

俺は仕方なく、再びリストに目を通し、その結果、ひとつの名前を
指差した。


<To Be Continued>

× ×××××××××××××××××××××××××××××

はいっ、以上が導入部です。
つまり、憑依物のパラレルストーリーを提案したかったワケですね。
同時にこれは、憑依系鬼畜ゲーム「絶望」のパロディー、というか
オマージュにもなっています。いや、あのゲームでいちばん気に
入ってるエンディングってのが、主人公が勤労少女田中ひかりに
なって、真面目に働く喜びに目覚める話だったものですから……。
このHPに来る方々なら、私と同様の感想を持った方も多いので
は? ちなみに次点は田中あき(女学生)と岬冴子(女教師)ですね。

この設定に興味をそそられた方は、商業目的以外なら、自由に利用
してストーリーを作って下さって結構です。
−というか、ぜひ他の方の書く話も見てみたいし(笑)。

なお、以下が、基本的な設定、お約束となっています。


・憑依対象は、前述の15人でも、あるいはNO.16以下の新しい
キャラクターでも構わない。ただし、12〜30歳ぐらいの女性に限る。

・憑依後、3日以内なら、解除可能(クーリングオフですな)。つまり、
「そのまま、ずっと別人になりすます」という終わりかたも、
「どうやらこの娘になるのは大変そうなのでやめとこう」という
振り出しに戻るエンドも可能ということ。

・憑依作業は伸二の主観時間でほぼ数秒で完了する。天使ファジィや
女神ベルの助けがあるので、憑依自体が失敗することはない。

・憑依後、その肉体の主導権はすべて伸二に移る。元の持ち主の魂は、
封印された上で伸二の潜在意識内におしこめられているため、伸二に
対する影響はほとんど無い(が、まったくのゼロでもない)。その後、
封印された魂は伸二の潜在意識に少しずつ溶けて融合していく
(つまり、再分離するタイムリミットが3日)。

・憑依後、伸二は、その肉体の脳に残っている記憶や、体が身につけた
技能をある程度自由に使用できる。ただし、過去の記憶を思い出すに
は多少精神集中が必要だし、スポーツや単純作業ならともかく、芸術
などの感性(人格)が大きく関わる分野では、実力を発揮できない。

・憑依を解除した場合、元の身体の持ち主は、憑依中の行動を朧げにの
み覚えている(脳に記憶が残っているだけで、実体験ではないため)。

・憑依後も、伸一にはファジィの姿が見える。

*松沼伸二 19歳(♂)
ごく普通の予備校生。強いて言うと、人よりちょっとスケベで、
やや状況に流されやすい性格をしている。

*ファジィ ?歳(♀?)
某マルチを彷彿とさせる、ドジな見習い天使。基本的には善良で
職務に忠実。ただ、気が弱いため伸二の強い願いには逆らえない
ことも多い。通常時、普通の人の目には見えない。

*ベル ?歳(♀)

ナイスバディで悪戯好きな女神様。本名がベルダンディーかどうかは謎。
気まぐれに伸二のピンチを救ってくれることもある。


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