イラスト・ストーリー
REVERSIBLE
                CREATED BY MONDO    


「おはようっ、裕斗(ゆうと)っ。……さ、入って入ってっ!」
「…………おい、涼子(りょうこ)。日曜の朝っぱらからヒト呼び出して、今度はいったいなんなんだ?」
「ふっふ〜んっ、実はすっごいもの見つけたのよっ」
「ま、またお前んちの実家の蔵からかあっ? じいさんが戦時中に中国の奥地からかっぱらってきたっていう……」
「ひっ、人聞きの悪いこと言わないでよねっ。それに今度は、ほんっとすっごいんだからっ」
「…………それで何度えらい目に会ってきたと思ってんだ……」


〈登場人物〉
 金森 涼子
(かなもり りょうこ) 好奇心旺盛で快活な女の子。
 長谷川 裕斗(はせがわ ゆうと) 涼子のBF。いつも尻に敷かれている。




「へへっ、これこれ♪ これなのよ見つけたのは」
「……なんだそれ? 薬か何かか?」
「ふふっ。実はこれ、『性転換薬』 なんだよっ」
「せ…………せいてんかんやく?」
「うんっ。中国奥地の少数部族に伝わる秘伝の薬でさ、一族の男や女どちらかが極端に少なくなったときに使うんだって」
「ほんとかよ……」
「でね、この赤い丸薬は男を女に、青い方は女を男に変えるんだって。じいちゃんの覚書にそう書いてあったわ」
「赤と青? なんかうさん臭いぞ……」
「うさん臭いかどうかはこれから確かめるんじゃない」
「た……確かめるって、おいっ! 飲むのか? それ……」
「うん。面白そうでしょ」
「……あ、あのなあ。そんな古いもの飲んだら絶対腹くだすぞっ」
「大丈夫よっ。封はきちんとしてあったし」







「…………で、おれも飲むのか?」
「当然でしょ。あたしが男の子になるわけだし、裕斗が女の子になってくれないとバランス悪いじゃない。
 ……それに男同士なんて、はっきり言って不毛だわ」
「そ、そういう問題か?」
「そういう問題よ」
「で、でももし元に戻れなかったらどーすんだよ?」
「ああ、心配ないわよ。元に戻るときは反対の色の薬を飲めばいいんだって。言われてみれば当たり前よね」
「そんな安直な……」






「……いい? いち、にーの、さんで飲むからね。わかった?」
「わ、わかったよ。…………うううっ」
「よお〜っし、いち、にーの、さんっ!」

 ……………………………………………………………………………………



「あ、ああっ、あ、あんっ……
う、うあ、あ、ああんっ、…………
あ、ああんっ、あ……うああっ、
おっ、うああっ……うあ、あっ……ああっ、あっ、ううっ、おああっ!!」














「んっ、……んああっ、あっ、ああっ……あっ、あ……
あああっ、うあっ、あ…………
あ、あ、あんっ、あ、あああんっ、
ああっ……あっああんっ!!」

 ……………………………………………………………………………………


「へえ〜っ、男の身体ってこんな感じがするんだ……。あっ、背が高くなってる」
「…………」
「……おっ、あーっ、あーっ。声も低くなってる。……ふう〜ん、結構男前だな、うんっ」
「…………お、おい、涼子……」
「わ〜っ胸まっ平ら……って当たり前か。ふ〜ん。……おっ、これが男の…………わっ、なんだ?
 …………うわっ、すごいすごいっ。すごいぞこれっ」
「……おいっ」
「なんだよさっきからっ。おっ、…………ふう〜ん、へえ、可愛い……」
「え……っ?」
「目はぱっちりだし髪の毛サラサラだし、顔つきも身体つきも完全に女の子だな……」
「お、おい……」
「ほーっ、胸も立派になっちゃって。……ほらっ」
「きっ、きゃああああああっ!!」
「おっ♪ 『きゃあ』 なんて、声も仕種もすっかり女の子してるじゃないか」
「いっ、いきなり抱き寄せて胸つかむからだっ」
「とかなんとか言っちゃって、しっかり恥じらってるぞ、お前」
「…………あ、あのな……っ」
「で、アレもなくなったんだろ?」
「う……っ、う、うん…………っじゃなくて、おい涼子っ!」
「ちっちっちっ。涼子じゃない。今日からおれは涼一、金森涼一だ。
 ……よろしくな、ゆうみちゃん」
「ゆ……ゆうみ、ちゃん??」
「そっ。『裕子』 じゃありきたりだし、『裕美』 で 『ゆうみ』。
 う〜ん、匂いまで女の子だ」
「嗅ぐなっ」








「……ほらっ、鏡見てみなよ」
「う……っ、こ、これが…………おれ?」
「こらこら、ゆうみみたいな可愛い女の子が、そんな甲高い声で 『おれ』 なんて言うんじゃないっ」
「うっ、あ、あ…………あ、あの、『ボク』 じゃ、駄目?」
「駄目だよっ。
 ボーイッシュな女の子もいいけど、やっぱりおれはおしとやかな女の子らしい子が好きだなっ」
「…………おいっ、なんか異常に適応してないか? 涼子」
「へへっ、ばれたか。
 実はあの薬、二個飲んだんだ」
「二個?」
「そっ。一個だけだと身体が変化するだけなんだけど、ふたつ飲むと感じ方や人格まで変わることができるんだ。
 だから今のおれは、正真正銘、心身ともに男なのさっ」
「…………」
「――というわけで、ほらっ。ゆうみももひとつ飲みなよ」
「え……遠慮しとく…………」

「…………ま〜、そう言わずに……ほれっ」
「うっ!! んーっ、んっ、ん――――――――っ !! ごくっ……
 ……………………………………………………………………………………
 ……………………………………………………………………………………
 ……………………あ…………り、りょう、い……ち、くん?」
「気分はどう? ゆうみっ」
「…………ゆうみ……………………あたし、ゆうみ…………」
「おっ♪」
「あたしは…………ゆうみ……………………ふふっ、女なんだ、あたし……」
「…………ゆうみ、ちゃんっ」
「なあに? 涼一くんっ」
「あ……あははっ。完璧に女の子だ」
「ふふふ…………ん、んんっ、だ……駄目…………」
「あ……ご、ごめん。ゆ、ゆうみがすごく可愛かった……から」
「……じゃあ、罰として…………もう一回♪」









「デートしよっか、ゆうみ」
「……うんっ♪」





「……きゃっ!」
「大丈夫か? ……やっぱヒールのある靴は早過ぎだよ、ゆうみ」
「ううん、せっかく涼一くんが貸してくれたんだもん。絶対履きこなしてみせるわ」
「…………仕方ないな〜っ。ほらっ、つかまりなよ」
「わっ。…………ふふっ、優しいんだ。涼一くん……」
「そりゃ、男だからな」
「うんっ♪」


「……お、おい、つかまるのはいいけど、あんまりくっつくなよ」
「どうして?」
「ど……どうしてって……その、は、恥ずかしいじゃないか。
 ゆうみも元は男なんだから分かるだろ、これ……」
「う〜ん、…………やっぱり分かんないわっ。
 だって今のあたしは、女の子なんだもんっ!」




















「……よーし、今日は男同士になってナンパしにいこっか、裕斗っ」
「だああっ……だううううっ…………(←女の子になりきってたときの言動を思い返してドツボにはまっている)」
「そうだっ、女の子同士で男ひっかけてオゴらせよっか? うん、そっちの方が断然いいわっ」
「…………好きにしてくれ……」

                                                        END


 どうも、MONDOです。
 今回は、イラストと会話文だけでお話を構成してみました。
 「薬で人格まで身体に合わせて変わってしまう」 なんて、『神変・黄金城』 や 『ライト・ライト・ストーリー』 でありましたが、そういうのにはなんとなく背徳的な匂いを感じたりします。
 わたしが書くと、こんな風にコメディっぽくなってしまうのですが……。

                    1999.8.15 読み返してみると、結構恥ずいぞこれ……の、
MONDO




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