海でRB-1
作:a-mode
大学4年、理系なので就職先も推薦でほぼ決まった夏の昼下がり、俺たちゼミ仲間4人はクーラーの無いゼミ室で茹だっていた。
「明日は休んで、海行ってナンパでもしようぜ。」と誰かが言い、特に特定の彼女もいない俺たちは即決した。
日帰りなので、海でのナンパの成果を最大限にするため、出発前に“日焼けサロン”で小麦色のたくましい体を演出してから行くことにした。
帰りの“お持ち帰り”を考え、車は2台出すことにした。
つよしと和幸が出すことになり、俺(たける)はつよしの車に、みきやは和幸の車に乗ることにした。
駅前に朝8:30から開店している日焼けサロンがあるというので、待ち合わせて4人でそこに行った。
駅前の細長いビルをエレベータで上っていくと、4Fと5Fが日焼けサロンになっていた。
4Fで受付を済ませてロビーのいすで順番を待っていると、案内の女性が現れ「お2人さま中へお入りください。」
と案内された。先につよしとみきやが案内され、中に入っていった。思えばこの時、運命は分かれたのだった。
先に入った2人は30分後いい感じの小麦色になって出てきた。
「じゃ、外の喫茶店で待ってるからな。」とつよしが言い、店を後にした。
続いて和幸とおれが案内された。中に入っていく途中、受付で電話が鳴り、案内の女性が「少々お待ちください。」
と言って部屋の外に出て行ってしまった。
中を見渡すと、普通の日焼けマシンの他に、奥のほうに最新型かと思われる日焼けカプセルが2台置いてあった。
まだ梱包のビニールの一部が残っていたので、おそらく業者から配達されてきたばかりなのだろう。電源は入っているようだった。
俺たち2人は案内の女性がなかなか戻って来ないので、その最新型のマシンを見学していた。
密閉型でなかなか寝心地もよさそうだったので、「ちょっと入ってみようぜ。」といって海パン姿になり蓋を閉めた。
受付の女性は電話が長引いているのか、部屋の外から電話の途中で「もう中にお入りですかぁ!?」と大きめの声で呼んだ。
俺たちは中にはいったまま「入りましたぁ!」とそろって応えた。
「電話が長引きそうですので、左側のボタンを押してブザーが鳴るまでくつろいでお過ごしくださーい!」と言われたので、
「ずいぶんいいかげんだなぁ・・・」と思いつつ、左側の赤いボタンを押した。
しばらくするとブーンという鈍い音がして、意識が遠のいていくのを感じた。
“ピー”とブザーが鳴る音とともに目覚めた。あれ、眠ってしまったのかな?いい具合に焼けたかな?と思っていると、
さっきのカプセルとは場所が違っていることに気づいた。あれあれ?と思っていると、
「お客さま!」さっきの案内の女性が慌てた顔で近づいてきた。
「お客さまは、もしかして、、、新庄たけるさまでしょうか?」
「?・・そうだけど?」と応えたとき、声に違和感を感じた。ヘリウムガスでも飲んだように声が高くなっていたのだ。
「あぁ、なんてこと・・・」受付の女性の顔から血の気が引き、振り返って電話をかけ始めた。どうやら店長を呼び出しているようだった。
ことの事態が分からず、周囲を見回すととなりにも俺が入っているカプセルと同じ透明カプセルがあり、中で女性が眠っていた。
プロポーション抜群で、モデルさんかな?と思った。髪はやや短めで栗色と金色の中間くらいの色でグラデーションがかかっていた。
小さいが、やや厚めの唇がきれいな形をし、果物を連想させた。
アンダーバストは小さいのに胸は挑発的に盛り上がって、ノーブラなのかピンクのへそ出しタンクトップから乳首の輪郭が浮き上がっていた。
ウェストはおれの腕ほどしかなく、ジーンズのショートパンツから、ツルツルではりのある太ももがはちきれそうに伸びていた。
思わず見とれてしまったが、何かいつもと違い自分の中に欲情のようなものが湧いてこないのに違和感を感じた。「焼き疲れかな?」
ところで俺の体はしっかり焼けたのかな?と思い自分の体を見おろした。するとなぜか海パン一枚だったはずなのに白いシャツを着ていた。
???海パンを確認しようとしたが、そのシャツの胸が高く盛り上がり邪魔をした。
???よく自分の胸を見るとシャツの隙間から深い、ふくよかな谷間が見えるではないか!
そしてとなりに眠っている女性と同じように乳首が盛り上がっている。
そんな、、、まさか?と思いつつ立ち上がって鏡を見ようとすると、いつもと違い足が内側に折れ、尻がやけに重くバランスを崩した。
「お客さま!」そのとき店長らしき男が入ってきて俺の体を支えた。店長の腕がおれの胸に押しつけられる格好になり、
えもいわれぬ感覚が走った。
「キャァァァ!」(「キャァァァ!」?)その声でとなりで眠っていた女性も目覚めたようだった。
どうやら俺たちが入ったカプセルはそこの店が業務を拡張しようとしていた「レンタルボディ用のマシン」だったようだ。
すなわち俺たちのいまの体はレンタルボディということだ。
国家免許は申請中、すなわち未だ取得していないため無免許で機械を稼動してしまったことになる。
しかも元にからだに戻るには霊力が回復するまで最低1ヶ月かかるということだ。
このことが世間にばれては日焼けサロンの資格も失ってしまうため、俺たちが口外しないことを条件に、全ての便宜をはかると店長が提案してきた。
「仮の住まい、衣類、化粧品、免許証からパスポートその他ありとあらゆる社会的資格、体以外は全て予定通り行えるよう手はずいたしますので、
何卒・・・」
「とりあえず今からの海どうしよう・・・」二人の女性はきれいな顔を見合わせた。
「水着、日焼け止めからアクセサリーまでひととおりご用意いたしますので、予定通り楽しんできてください。」
「そういう問題じゃないんだけど・・・」と言い終わらないうちに案内の女性が奥から黒いショルダーバッグを二つ持ってきた。
値札みたいなタグに「旅行セット(海)」と書いてあった。
しかたがないのですっかり姿が変わってしまった俺たち2人は先のやつらが待っている喫茶店に行くことにした。
もう1時間が過ぎていた。
俺と和幸は店を出て、ブティックのショーウィンドゥに写った自分たちの今の姿を見てみた。
「これが今のおれたち・・・・・・」
どこからどう見ても二人とも、20歳前後の今風の挑発的な夏美人だ。
俺のほうは和幸と少し違い、黒くてセミロングのきれいな髪。顔立ちは美人のお姉さん風だった。
下のほうは和幸に負けず挑発的だ。
白いシャツと思っていたのは最近流行りのバックレスというやつで、すべすべの背中と肩が大きく見え、なまめかしかった。
胸は和幸と同じくらい大きく、やはり乳首の形が見えている。
下はミニの黒いタイトスカートで、やはりすべすべのはりのある脚が伸びていた。
「まいっちゃうよなぁ。俺たちナンパするはずだったのに、これじゃナンパされまくりだよ・・・」
おれが自然に出てしまう色っぽい声で言うと、
「まぁしょうがねぇじゃないか。待ってるあいつらを喜ばしてやろうぜ。」
とガラスの前でくるくる回りながら和幸がかわいい声で言った。まんざらでもないようだった。
二人とも自分の胸を持ち上げ重さを感じていると、周囲の男たちの視線を感じ、はっとした。
二人の挑発的な夏美人がガラスに写る自分の体を見ながら、自分の胸をもてあそぶ姿は午前中の街中では刺激が強すぎた。
足早にそこを去ることにしたが、通り過ぎる全ての男が俺たちに視線を浴びせるので、なんだか恥ずかしくなってきてしまった。
歩くだけでも胸の揺れを感じるし、お尻が左右に振れるのを感じる。だいいち大事なものが無くなっているのでなんとも頼りない。
が、じゃまものがないので歩きやすくもある。
喫茶店の中に入っていくと、おいつらが奥の席に座っていた。
すかざず、俺たちの艶姿をチェックし、指差しているようだった。おそらく、あんな女をナンパできたらいいななんて話してるんだろう。
俺たちは近づいていき「お待たせぇ。」と言うと2人がきょとんとしてしまった。
「ええっと、どちらのお姉さんでしたっけ?」とつよしが鼻の下を伸ばしながら言うと
「おれだ、おれ。たけるだ!」と美人の口からは絶対に飛び出ない言葉が色っぽい声で出たので、
つよしとみきや一瞬トリップしてしまった。
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