華代ちゃんシリーズ 


「高嶺の花」

作・真城 悠

*「華代ちゃん」の公式設定については

http://geocities.co.jp/Playtown/7073/kayo_chan00.html を参照して下さい


 こんにちは。初めまして。私は真城華代と申します。

 最近は本当に心の寂しい人ばかり。そんな皆さんの為に私は活動しています。まだまだ未熟ですけれども、たまたま私が通りかかりましたとき、お悩みなどございましたら是非ともお申し付け下さい。私に出来る範囲で依頼人の方のお悩みを露散させてご覧に入れましょう。どうぞお気軽にお申し付け下さいませ。

 さて、今回のお客様は…。

 

 

「きゃあっ!来たわよ!」

「ホントホント!」

 バスケットボール部の新入部員が騒いでいる。いや、バスケ部員だけではない。体育館で練習している女子学生全員が注目していた。

 テニス部のエース、伊集院英次が入ってきたのである。

 練習もそっちのけで棒立ちになって騒いでいる女子に向かって軽く手を振り、白い歯を見せる伊集院。

 きゃあ〜!と黄色い声が挙がる。

「英次さま〜!」

「素敵〜」

 等と言う声援まで上がる。

「こらあ!お前ら!真面目に練習せんか!」

 顧問教師の激が飛ぶ。

 しぶしぶ練習に戻る女子生徒たち。体育館は再び活気を取り戻す。

「どうしてテニス部が体育館使ってるんだよ」

「この雨じゃ仕方が無いさ」

 バスケ部の男共が陰口を叩く。それは他の部にしても同じ事だった。全校の女子生徒の視線を一同に集める伊集院が面白くなかったのだ。

 

「はい、それじゃあ素振りの練習」

 号令を掛ける伊集院。一斉に従う部員達。

 同じく熱心に練習している伊集院。しかし、その目は体育館のある一点を見つめていた。

 

「指導しているところも素敵ねえ」

 もう、「何でもアリ」のモテようである。

「誰か好きな人はいるのかしら」

「何言ってるのよ!公然の秘密じゃない!」

「ほら、そこ、静かに」

 新体操部の部長、瀬石綾乃が声を掛ける。すらっとした長身で美人、まさしく新体操部の華であった。

「はい」

 

「ふーん。それって悩みなのかなあ」

 華代は考えていた。

「僕にとっては悩みだね」

「えーと、つまりこうよね」

 と言って、黒板に文字を書き始める。

 そこは誰もいない放課後の教室である。

「あなたはその…新体操部の瀬石さんが好きなのね」

「声が大きいよ!」

 思わず赤面する伊集院。

「あ、ごめんなさい」

 恐縮する華代。

「でも、聞いた話じゃあなたモテモテなんでしょ?」

「そんなもの…一番…な人に通じなきゃ意味は無いよ」

「おおー、熱いねえ」

 からかう華代。

「とにかく、彼女にいい所を見せたいんだ」

「瀬石さんだっけ?」

「ああ」

「瀬石さんって試合とかには来てくれないの?」

「彼女も部を率いる身だからね。そんなに暇じゃない」

 伊集院はいかに彼女がなびいてくれないかをアピールした。身持ちが固いらしい。そしてそんな貞淑なイメージもまた、彼女の魅力となっている、と言う。

「それで、彼女にいい所を直接見せ付けてアピールしたいのね」

「まあ…そうだ」

「そいでもって一気に告白に持ちこむ…と」

 無言で頷く伊集院。

 ういういしいなあ、と独り言を漏らす華代。

「オッケー。まかせてよ」

「受けてもらえるの?」

「うん!」

 固い握手をして部屋を出て行く伊集院。

 少し考えた後、確信する様にこうつぶやく。

「やっぱ…尊敬されるには…彼女の専門種目でいいところを見せないと…ね」

 

「駄目だ駄目だ!」

 突然大きな声を出す伊集院。

 大きな声など日常的に飛び交っている体育館ではあったが、それとなく注目していたのだろう。体育館全体がなんとなく伊集院たちテニス部を注目する。

「そうじゃない。こうやるんだ」

 そう言って部員達の前に出てくる伊集院。その視線はやはり新体操部の瀬石に向かっている。瀬石も、それとなく視線をくれているのが視界の隅に入る。余計に力が入る伊集院。

「まずラケットはだなあ…ん?」

 何が起こったのか分からなかった。手しにたそのラケットがしなしなと柔らかくなっていくのである。

「!?」

 他の部員も異変に気がつく。

 ラケットは一部に小さな棒のみを残して長い長いリボンに変わった。

 な、何だこりゃ?

 怪訝な表情の伊集院の身体に異変が襲った。

「…?…ん?…う、ううう…」

 突如苦しみ始めた伊集院に、部員達も普通でない雰囲気を感じ取る。

「せ、先輩?」

 体育館が次第に沈黙し始める。

「か…からだ…が…」

 と言って自分の胸を抱きしめる様にしてよろける伊集院。

「からだ?」

 新入部員の一人が受ける。

 な、何だ?この胸の異様な感触は?

 ぱっ!と手を離す。

 豊かな乳房がぷるるんっ!と震えた。

「きゃあああー!」

 見ていたテニス部の女子が悲鳴を上げる。

「な、なんだ…?これ…は?」

 その変化は止まらない。見た目にもはっきりと分かるほどお尻が大きくなってくる。半ズボンから出たその脚がぐぐぐ…と内股に曲がって行き、無駄毛を消滅させながら美しい脚線美を見せ付ける。

「せ、先輩…」

 呆然としているテニス部の後輩。

 余りの事に、手にしていたバスケットボールを取り落とした事に気付かず、立ち尽くしている男子バスケットボール部員。

 地面にバウンドして転がって行くボールをそのままに固まっているバレー部員。

 伊集院の腰はきゅうっと引き締まって行く。肩幅は縮まり、身体つきが柔らかく女性的なそれになる。

「こ、これは?…一体…?」

 すっかり可愛らしくなったその声。目の前で柔らかく、可憐に変わっていくその手。固かったその髪質が嘘の様にさらさらになり、胸にまで垂れてくる。

 体育館に黄色い悲鳴が響き渡る。

「い、伊集院さまが、伊集院様があー!」

「いやー!」

 変わり果てた自分の身体を見下ろしている伊集院。

 そ、そんな…こんな…はずじゃ…

 と、変化が新たな段階に入った。

 男子用テニスウェアがぴっちりと身体にはりつく。

「あ…」

 それは見る間に変形し、すべすべの肌触りのレオタードへと変わっていく。

「きゃー!伊集院さまー!」

 自分の身体を見る伊集院。そこには大胆に自分の美しい体型をさらす、あられもないレオタードがあった。ぽっちりと出ていた胸の先がどこからともなく現れたパッドでふ…とカヴァーされる。腰に巻かれるリボン。

「あ…」

 伊集院はレオタードに身を包んだ美少女になってしまった。

 こ、これは…?お、俺は…お、女に…!?しかもこんな…

 手が勝手に動き、長い髪をポニーテールにまとめる。

 い、いやだ…や、やめてくれええ!

 伊集院の心の叫びとは裏腹にうなじが露出する。健康的な色気が漂う。

 男子生徒たちは身体の前の部分を押さえて座りこんでしまう。

 す…とすます姿勢をとる伊集院の身体。

 こ、これは…ま、まさか!

 そして先ほど変形を終わって床に落ちていたリボンを拾い上げる。

 や、やめろおおおー!

「いやー!やめてえー!」

 女子の悲鳴がこだまする。中にはショックで泣き崩れる娘もいる。

 伊集院の手は勝手に動いてリボンをくるくるくるっと回転させる。それはまるで生き物の様に空中を舞う。

 軽やかなステップを踏んでその身体は華麗な新体操を踊り始める。

 必死に抗おうとするが、踊る身体を制御する事が出来ない

「か、からだが…勝手に…ああ!」

 その声がギャラリーに届くことは無かった。

 そして、意思に反して華麗な新体操を踊り続ける伊集院は悪夢を見た。

 瀬石さんが、他の聴衆と同じく呆然とこちらを見ている!

 ああっ!せ、瀬石さん!あ、あなたに…こんな姿を…。い、いやだああ…な、なんでこんな…ああ!

 その目尻から羞恥の涙をほとばしらせながら、レオタード姿の美少女となった伊集院は踊り続けた…。

 

 

 いやー、恋のキューピッドとはこのあたし華代のことですね。今回は大奮発して独自の解釈まで加えちゃいました。えへ。

 これからは恋の悩みがあったらあたしのところにどうぞ!ってなわけでまたお会いしましょう!では!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

 どうも。このところパソコンの前から離れられない真城です。これで「華代ちゃん」は真城本人のものとしては第十五作を迎えました。

 まだまだコスプレは終わらない!まだこんなのがあったのかレオタード編です。

 今回はちょっと「犠牲者」ぶりが際立ってます(泣)。ちなみにこれはやはり「うる星やつら」のとあるエピソードが元になっています。ちょっとタイトルを失念してしまったのですが、「呪い」アイテムが多数登場する、相変わらずの不条理ドタバタです。あたるにはついている限り人を殴り続ける「呪いの(ボクシング)グローブ」、メガネには戦い続ける「闘魂パンツ」、そして面堂には踊り続ける「呪いのトゥシューズ」でした。そう、「うる星」では面堂はバレリーナ姿(古いアニメなのでヴィジュアル的にはイケてませんけど)で倒れるまで踊るのです(笑)。

 「華代ちゃん」ではバレリーナは「主役」で一度やっているので、こうなりました。

 ともあれ、まだまだ続きます「華代ちゃん」。何しろ「もうマンネリなのでこれからは「集団性転換パニック」が基本」とか言って、その舌の根も乾かない内に単数性転換ものの二連発ですからね。まだまだイケるでしょう。

 という訳で次作の執筆に向かいますのでこれで!

 

 

 

 

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