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対戦(華代ちゃんシリーズ)
作:KCA
(原案者:真城 悠)

「華代ちゃん」シリーズの詳細については

http://ts.novels.jp/novel/kayo_chan/kayo_chan.html を参照して下さい



 こんにちは。初めまして。私は真城華代と申します。
 最近は本当に心の寂しい人ばかり。そんな皆さんの為に私は活動しています。
まだまだ未熟ですけれども、たまたま私が通りかかりましたとき、お悩みなど
ございましたら是非ともお申しつけ下さい。私に出来る範囲で依頼人の方のお
悩みを露散させてご覧に入れましょう。どうぞお気軽にお申しつけ下さいませ。

 報酬ですか? いえ、お金は頂いておりません。お客様が満足頂ければ、
それが何よりの報酬でございます。

 さて、今回のお客様は――

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カキィン!
ズシャァァァァァッッ!!!

"You Win"

「おっしゃぁ、これで20連勝だぜ!」

「ちくしょ〜」 「つ、つぇー」

「へっへっへっ、約束は忘れてないだろうな、おふたりさん」

「ち。わかってるって、明日、晩メシおごるから」

少々狭いが、クーラーの効いた快適な部屋で、3人の学生が対戦ゲームに
興じていた。

金欠の大学生にとって、テレビゲームは格好の暇つぶしだ。
何せ、飲みに出たりカラオケに行ったりすれば、1回で3、4千円は飛ぶ
ことになる。それに比べたら、1本6000円のゲームソフトを買ったとしても、
1ヵ月、いや半月でも遊んだなら、十分元は取れる。

「どうだ、もうひと勝負やるか?」

ツンツン髪を茶髪に染めた青年−渋谷基樹の誘いに、この部屋の主である
渡辺正は首を振る。

「その前にちょっと休憩。今のままじゃモッちゃんに勝てそうにないから」

「そうだよォ。モッちゃんこのソフト持ってないはずだろ。なんでこんなに
強いのさ!?」

最新ゲーム機とこの人気格闘ゲームを持ってきた、少年といっても通りそ
うな童顔の男性、毛利雅史は「納得できん!」と鼻息を荒くした。

「ふふん、俺、ゲーセンでこのゲームが出たときに1万円近くつぎ込んで
るからな。ま、経験の差ってヤツ?」

基樹は得意げにふたりの顔を見回すと、ふと腕時計に目をやる。

「お、こんな時間か。電車が無くなるから俺帰るよ」

「あ、コンビニに行きたいから僕も出る」

「じゃあ雅史、コーラの1リットル、ついでに買ってきといて」

× × ×

「はぁ、なかなか対戦楽勝法ってないもんだなぁ」

基樹と別れたあと、コンビニに寄ってゲーム雑誌を立ち読みする雅史。なん
とか基樹が使う"護法剣使いの美少女"を倒す方法を探してみたのだが……。

「−おにいちゃん、なにか悩みごとあるでしょ?」

突然、声をかけられて驚いた雅史が振り向くと、小学生くらいの少女がニコ
ニコと立っている。

(ふーん、近頃の小学生は、これくらいの時間にも遊び歩いてるんだ)

妙なことに感心する雅史の視線を誤解したのか、少女がポンッと手を叩いた。

「……あ、ごめん。おにいちゃん」

 肩から下げていたポシェットからごそごそと何かを取り出して、差し出す。

「……申し遅れました。あたし、こーゆー者です」」

 ――ココロとカラダの悩み、お受け致します。 真城 華代――

少女の差し出した名刺を読んで、目が点になる雅史。

「ねえ、よかったらあたしにおにいちゃんの悩み、話してみてよ」

「あ、ああ、うん……」

(最近の小学生では「笑うせぇるすまん」ごっこでもはやってんのかな?)

などと思いながらも、せっかくなので少女にグチを聞いてもらう。

「いや、悩みってほどでもないんだけどさ。対戦格闘でどうしても勝て
ない奴がいるんだ。僕と友達のふたりとも十連敗しちゃってさ。なんと
か鼻を明かしてやりたいんだけど……」

ちょっと溜め息。

「まぁ、僕らはまだコマンドミスを連発する程度の腕前だからね。せめ
て、キャラを自分の手足のように自在に動かせたら、いい勝負になると
思うんだけどなぁ」

フンフンと真剣な顔で聞いていた少女が、パチンと掌を打ち鳴らした。

「なぁんだ。それくらいならおやすいご用だわ」

と、雅史の腕を引っ張ってコンビニを出る。雅史に目を閉じさせたのも
つかの間、すぐに「もういいわ」と少女は声をかける。

「さ、これから帰ってすぐにそのゲームを練習してみて」

「?」

わけがわからないものの、いつまでも見知らぬ少女に付き合っているわけ
にもいかない。潮時とばかりに、雅史は正の部屋に帰ることにした。


「遅かったな」

「あ、うん。ねぇ、正、もうちょっとあのゲーム練習しない?」

少女の言葉を信じたわけではないが、結局、上達のためには地道な練習を
するしかないのだろう。

「ああ、もちろん。そのために、オマエも残ったんだろう?」

キャラクター選択画面で、ふたりはそれぞれの持ちキャラを選択する。
雅史は"鍛冶神の命を受けた女戦士"を、正は"蛇腹剣使いの美女"を選んで
決定ボタンを押した。

クラッ……。

「えっ!?」

強烈な目眩に襲われた雅史は思わず目を閉じる。

次の瞬間、体中にムズムズとした違和感を感じて慌てて目を開いた。

ソックスを履いていたはずの足元が、いつのまにか膝上丈の革ブーツに
包まれていた。白のチノパンはそのまま裾がふくらはぎから太腿へとはい上
がり、膝上15センチばかり上でひとつに融合してミニのフレアスカートへ
と変形する。しかもスカートの下からは、白く健康的なハリを持った柔らか
そうな肌が覗いていた。
半袖のTシャツは胸元が大きく開いた胴着に変わったかと思うと、急激に
胸元が盛り上がり豊かな乳房が形作られる。胴着の上に申し訳程度の肩当て
が付着する。
ザワザワと音を立てて髪の毛が伸びながら、鮮やかな金髪へとその色を
変える。

コントローラーを掴んでいたはずの両手は、いつの間にかショートソード
とシールドを握っていた。

「な……」

「なんだこりゃあ!?」

驚きの声をあげるよりも早く、聞こえてきた悲鳴に目をやると、目の前に
は、ボンデージめいたレオタードとレザーのアーマーに身を包んだグラマー
な美女が唖然として突っ立っている。その姿は、正がいつも使っている女性
キャラクターにそっくりだった。

「なんでオレが、女になってるんだよ!」

「もしかして……正?」

「そういうオマエは…雅史か?」

よく見れば、いつのまにか辺りの風景もアパートの一室から豪華な欧州邸
宅風の広い舞踏部屋に変わっていた。間違いなく"蛇腹剣使い"のステージだ。

(さぁ、これでおふたりとも思う存分練習ができますよ)

どこからともなく聞こえてきた少女の声にも、ふたりは反応できず、呆然
と突っ立ったままだった。



今回の依頼はちょっとした発想の転換ってヤツでうまくいきました。
何せ、ゲームのキャラクターに同化してしまえば、自分の手足のように
動かすことなんて簡単ですからね。

あ、オマケとして今回はおふたりのご友人の方もあとで同じく持ちキャラ
の美少女に同化してさしあげました。やっぱり、勝負は対等の条件で行わな
いといけませんから。

みなさんも困っていることがあったらあたしに依頼して下さいませ。深刻な
問題も、ちょっとした悩みもたちまち解決しちゃいますよ。それではみなさん、
ごきげんよう。


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<後書き>

こんにちは、お久しぶりのKCAです。
私の職場でただいま「キャリバー」対戦がブームになっているところから、
ふと思いついて書いてみましたが、ちょっと反則クサいですねぇ。
ちなみに、私の持ちキャラは"大刀使いの家出娘"です。
お目汚しをしてしまいましたが、久々の作品ということでご勘弁を。
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