シアワセの価値 作 K




 僕はまだ死にたくない、心から思う。死にたいと思った事もあったけれど、あれは一時的な感情だった。今は心からそう思える。これまでの僕の十五年の人生が最高にシアワセだったかと問われるとそんなことは無いが、それなりにシアワセだったと思う。
 多いとは言えないが親しい友達もできた。本当にやさしくしてくれたお父さん、お母さん。僕は何の恩返しもできないまま死んでしまうのか。
 そんなのは嫌だ。僕の人生はまだこれからなのに。


 医大付属の病院、五階の一人用の病室。面会時間も過ぎたので僕は一人でベットの上に横になっている。
 僕は、川村高志。特別裕福ではないけれと、やさしいお父さんとお母さんに育てられた。実際、両親に怒られた思い出はない。僕も両親をうっとうしく思ったことも無かった。小学校、中学校と地元の公立校にかよった。小、中学校といっても他校といっしょになることも無いので、九年間同じようなメンバーですごした。
 特に勉強ができたわけでもない、特に目立っていたわけでもない。勉強もそこそこでき何人かの親しい友達とのシアワセな少年時代だった。両親は僕のことを、「手のかからないいい子だ。」と言っていた。クラスメートは「高志は、気のやさしいいいやつだよ。」といっていた。
 そして、今年。僕は電車通学する私立高校に入学した。僕は電車通学も面白いな、と思っていた。両親も「あの高校なら進学校だし安心でしょう。」と言っていた。だが入学して僕の人生は大きく動く。電車通学するほどの学校なので、今までの仲間はいなかった。そして、生来の気やさしさが裏目に出た。
 小さなキッカケがもとでいじめの対象となってしまった。どんなキッカケかは僕も覚えていない。その程度の些細なことだったはずだ。
 僕はいじめのせいで学校に行くが嫌になったが、下手に休んで両親に心配させるのも気まずいので通学しつづけた。
 そして、二学期も中ごろ。いじめに精神的に追い詰められつつあるころ、ちょっとした熱を出した。お母さんは心配してくれ、「一日休んでしっかり直しなさい。」と言ってくれた。僕はお母さんの言うとおりその日は学校を休んだ。
 その一日は、僕にとっていい気分転換になった。いじめでまいっていたが、うちではこんなに居心地がいいんだし。もう少しがんばれば、いじめもおわるよ。がんばろう。気持ちを取り直していた。
 しかし、次の日学校に行って僕の顔を見ると、いじめをしている一人の会話が聞こえた。
 「あいつ、学校きてるよ。昨日休んだから自殺でもしたのかと思ったよ。ハハハハハ。」
 僕は心底傷ついていた。本当に自殺しようか。あいつの名前を書いて、恨んで、死んでやろうか。
 その日だった、僕は急に強烈な頭痛を感じ倒れこんだ。教室が騒然と成っているのが分かるような気が、うすれゆく意識のなかでも感じていたが。目の前は真っ暗になり、耳も聞こえなくなり、意識を失った。



 僕の入院生活はもう2ヶ月になろうとしていた。容態は、平行線。僕が病院のベットの上で始めて目を覚ましたとき、僕の口には人工呼吸気が口をふさいでいた。
 体が思うように動かない。医師の先生も両親も病気の説明はよくはしてくれないが、一人部屋にいろいろな機械。重い病気のようだ。
 今日は、お父さんの弟の博之叔父さんがお見舞いにやってきてくれた。しかし、人工呼吸気のマスクのせいもありしっかり話すこともできなかった。いつも来てくれるお母さんや、出きるだけ来るようにしてくれているお父さんは、曖昧な僕の声を聞き取ってくれていた。親の愛情のなせる技だろうか。
 今の僕は心から思う。こんなにやさしいお父さんとお母さんがいるだけで大きなシアワセじゃないか。学校のいじめなんて、クラス変えすれば無くなるじゃないか。そんなことで死のうと思うなんて。なんて、安易な考えだったんじゃないか。
 僕は死にたくない。いや、生きたい、生きつづけたい。それが僕のシアワセだし、両親のシアワセでもあるんじゃないのか。
 だけど体は僕の言うことを聞いてくれないようだ。頭が痛い、胸が苦しい。僕の部屋に看護婦さんがやってきて、僕の様子を見てまた外にすぐ駆け出していった。どうしたのかな、やばいのかな、苦しいよ。お父さん、お母さん。





 「・・・う、うん。ここはどこだ。」僕は目を覚ました。目を開けたが真っ暗で何も見えない。しかし感覚で水の中に浮きながら寝ているのが分かった。
 プシューと言う音がして目の上にある天井が開き、光が差し込んできた。目が慣れて外の風景が見えてきた。何か機械がいっぱい並んでいる、機械というかコンピューターの山が見えた。そして、僕の前に白衣姿の一人の男が近ずいてきているのに気がついた。
 「やあ、目が覚めたかい。C-0001。」
 「何を言っているんだ? このおっさんは」と僕は思ったのだが自分の口からはまったく別の言葉が出ていた。
 「はい、マスター。」
 「うーん、マスターか?、君は最新型だから燃料補給も人間とまったく同じ食事でいいから、特別な事態が起こらない限りは研究所に戻ってこなくていいから、僕の事をマスターと呼ぶ必要は無いんだけどね。Bシリーズの初期設定をそのまま残ってしまったのか。まあ、ほかの呼び方も無いから私はマスターと言うことでよろしく。」
 「はい,マスター。」
 僕はまた答えていた。かわいい声で、??? 声がおかしい。頭もおかしてのかな、さっきから口から考えていないことを言ってしまう。しかし、他人から強要されているのではなく心の奥底からそうしなければならないような感じがしてくる。
 「さて、そのまましょうがない。C-0001 A2ルームに服があるからそれを着てきなさい。」
 「はい,マスター。」
 目の前の男の指示にそう答えて、僕は A2ルームに入った。そこに入ると真正面に裸の、綺麗だけど、なぜか表情の乏しい少女が立っていた。
 僕はただその綺麗な少女の姿に目を奪われていた。そして、その少女も裸でいることを恥ずかしがることも無く僕をじっと見返していた。
 「なんなんだ、この娘は、僕に裸を見られているはずなのにまったく動じずに。ねえ君?」
 ぼくは声をかけ一歩踏みよった時、彼女もこちらに一歩近寄ってきた。
 「え?」
 僕が声出した時、同時に彼女も口をあけた。
 「ま、まさか。」僕は彼女に近ずいてはっきり認識した。それは鏡だった。その少女は僕の今の姿だった。



 僕は全身がうつる大きな鏡の前に立って、僕の、今の僕の姿を見入っていた。
 潤んだつぶらな瞳、つんとした綺麗な鼻、みずみずしい形のいい唇、それらの土台となる白くほっそりとした顔。またの顔を美しくおおう肩まで伸びたさらさらの髪の毛。そこから目を落とすと、胸には二つの隆起が、その先にはピンク色のものがツンと上を向いている。細いウエスト、下半身には・・・。
 「C-0001 着替えが済んだらロビーに来なさい。」
 さっきの男の声がした。言われたように僕は着替えを始めた。着替えのある場所はなぜかやはり知っていた。
 それよりも僕は、自分が身につけようとしているものにドギマギしていた。「こ、これは。パンティーとブラジャーじゃないですか。これを僕は着けようとしているのか?。」僕は女性用下着・上下ワンセットを持ちながら前方の鏡を見上げた。ぼくは、心からドギマキしていた。しかし、鏡の中の美少女の僕は感情をあまり示さない顔のままでいた、口をぽかんと小さくあけているところだけ僕の感情を過剰をあらわしていた。
 鏡の中の少女は手に持った下着を着け始めた。まずパンティーの方を腰まで引き上げる。すると僕の下半身を今まで感じたことの無かった股間に密着した下着の感触がした。さらにブラジャーを着ける流暢に初ブラ之装着を済ませた。「ありゃま、さも当然に着けちゃったよ。」心の中でつぶやきながらも、ぼくは胸を心地よく締め付けるかんしょんを感じていた。さらに、白とブルーのワンピースを着て、ひざ上の長い靴下と靴をはくと鏡の前には一人の美しい少女が立っていた。
 「これで表情がぱっと明るければ、最高にかわいいんだけどな。」と僕は思っていた。今の僕の体、この少女は体をほぼ僕の思い通りに動かせるがマスターの命令とこの少女の表情だけは思いのままにならなかった。



 僕は、マスターと一緒に車の中にいた。その車の中で僕はすべてを認識した。この少女、僕の今の体はロボットであった。何年か前から街中で見かけるようになった人型サポートロボット。いろいろなところで、接客等のサービスを行っている。その、ロボットも工場出荷時のままでは、みんな同じロボットのままである。そこで,ロボットの個性と人間と信頼関係を築くため、いわゆるホームステイのような事をしてロボットの最終調整を行うようになっていた。そのロボットの、今出まわっているものは B型 と呼ばれているものである。
 ぼくは C型 と言う最新型の試作ロボットになっているようであった。ロボットは工場出荷時に基本データは入力済みである。そのおかげて、マスターを認識し、室内の事もわかっており、女性下着の着け方まで知っていたのである。
 僕は死んでいなかったのである、ここは天国ではなかった。今まで観察したところでは僕が十五年間暮らしてきた世界のようである。
 いや、正しくは僕は死んでこのロボットに心として宿ったのだろうか。どうしてこうなったかは理解はできないがこれからどうなるかは理解していた。
 これからホームステイに預けられに行くんだ。どんなところなんだろう、僕にやっていけるんだろうか、基本データはしっかりしているから分からないことは無いだろうけど、僕の心は。
 「さあ、ついたぞ。ここのお宅に君を預ける。」
 「あ!!」
 僕は声をあげた、この体の口からも声が出たらしい。いまの僕の少女ロボットの体は工場出荷とほぼ同じ状態なので、感情も表情もまだほとんど無いらしい。その僕が驚嘆の声をあげたのでマスターは僕をびっくりした様子で見つめていた。しかし、僕はそれどころではなかった。
 「ここは僕の家だ。僕が十五年間暮らした、お父さんと、お母さんと僕の家だ。ひょ、表札は「川村」だ。まだこの家にいるんだ、お父さんも、お母さんも。」
 「おい、大丈夫か。データ異常でも起きたのか ?」
 「いえ、何でもないです。」
 「そうか、それならいいが。じゃあ車を降りて家の人に挨拶だ」
 僕はマスターに促され、懐かしい我が家へ足を踏み入れていった。



 僕は、懐かしい我が家の応接間でマスターの隣に座り、お母さんと向かい合っていた。
 「・・・というわけでありまして、このロボットは最新型でありますので燃料補給は人間とまったく同じ食事で結構です。それと、お手数ですが風呂とトイレも貸してやってください。そこまで人間と同じようにできてますので。でわ・・・」
 マスターは僕の今の体の説明を終えると帰っていった。うちにはお母さんと僕の二人きりになっていた。
 「僕はどうしよう、こんな姿だけだけど、僕だよ高志だよ、お母さん。というべきだろうか。」僕が考えているとお母さんが僕に声をかけてきた、僕は無意識に返事をしていた。
 「はい、何でしょう奥様・・・。」
 僕は愕然とした。「お母さん」と声をかけたいのに、お母さんに「奥様」なんて答えるなんて。そうか、そうなんだ僕はロボットなんだ僕は死んだんだ僕はこれからロボットとして生きていかなければならないんだ・・・。
 「夕食の用意してくださる。 C-00・・・ 何番でしたっけ? ごめんなさいネ。ついこの前、息子が急にいなくなってね。何をする気も無くて、さっきの主任さんでしたっけあの方の話も上の空で。」
 お母さんは笑っていた。しかし、とてつもなく悲しく見える笑顔だった。



 僕はそつ無く夕食の用意をこなせた、さすが最新ロボットの基本性能。そしてお父さんが帰ってきた。懐かしい、「僕がここにいるよ。」と言いたい。でも僕は今はロボットである、お父さんに声をかけた最初の言葉も
 「お帰りなさいませ、旦那様。」という言葉が僕の口から出ていた。
 そして、お父さん、お母さん、僕は食卓についていた。お父さんとお母さんは意識的に死ぬ前の「僕」の話題を避けているようだった。しかし、お父さんが禁断の話題を口にした。
 「なあ、そろそろ気持ちを切り替えよう、このまま私たちが悲しんでしては高志も安らかに眠れんぞ、博之も二人きりじゃあ沈みっぱなしだろうからこんな娘を家に手配してくれたんじゃないのか。」
 「そうね、あの子の為にもね。わたし達が立ち直らないとね。明日から家事もしっかりやるわ、よろしくね。」
 お母さんは僕を見て微笑んだ。深い深い感じのする笑顔だった。お父さんもそれきり無言で遠くを見詰めているよう目をしていた。



 「ねえ、えーと Cちゃん お風呂に入っちゃってくださいね。」
お母さんは今の僕、女の子型ロボットの事をこう呼ぶようにしたのだった。
 「はい、奥様。」
 そして僕はかって知ったる我が家の風呂場の脱衣序で下着姿になっていた。「うーん、男って救いがたいなー。こんな状況で、今の体は女なのに頭ん中は興奮状態だよ。」などと考えながら下着を脱ぎ風呂場に入っていった。
 「うーん、やらかい胸だなー。ほんとよく出来たロボットだよなー。ほんとの女の子の胸を触ったことは無かったけどこんな風にやらかいんだろーなー。あそこはどうなってるのかなー・・・」。
 調子に乗ってつい長風呂になっていた。お母さんの声が聞こえたような気がしたが、自分の体に全神経を集中しているので答えられなかった。すると
 「大丈夫 !?。Cちゃん!」
 お母さんが血相を変えて飛び込んできた。僕は一人遊びと、慣れない長風呂と体にのぼせていた。お母さんは僕を風呂がまから抱き上げると僕を抱いて、僕の耳元でつぶやいていた。
 「心配させないで! ちゃんと返事しなさい ! もう、私のそばから誰もいなくなるなんでイヤ・・・」
 お母さんはそう言って僕をじっと見つめ、つづけて僕に言った。
 「ごめんなさいね、もう少しこのまま抱かれていて。夕食の時あの人ともう悲しい顔はしないと約束したけと、今日だけ、今だけは高志の変わりに抱かれていて・・・。おねがい・・・」
 そして、どれくらい経っただろうか。お母さんは僕を抱いていた手を解いた。
 「ごめんなさいね、あなたはまだ生まれたてで感情もしっかり形成されてないからこんな私を変に・・・。」
 お母さんは僕の顔を見て呆然としていた。僕はお母さんがこれほどに僕を愛してくれていたんだと、心からシアワセだった感じるとともに、これからの僕はこの愛情を受ける資格が無いとロボットなんだ、と言う事実のかなしさの二つ感情が入り混じって胸がいっぱいになっていた。そして自分の二つの瞳が熱くなっているのにきずいた。
 「あなた、私の為に・・・、高志の為に涙を流しくれるのね・・・、ありがとう・・・。」
 僕は鏡を見た、そこには、表情の乏しい少女。今の僕の顔のつぶらなみ瞳から大粒の涙がぽろぽろとこぼれおちていた。



 「ごめんなさいね、あなたの為に部屋を用意する時間が無くて。今日はしょうがないから高志が使っていた部屋で寝てね。」
 お母さんはそう言ってくれた。僕は久しぶりに自分の部屋に入った。そこは僕がいたころのままに残っていた。いつもお母さんがかたずけてくれていたっけ、こんなに綺麗だってことはお母さん、家事をやる気が無くなっても僕の部屋だけは掃除してくれていたんだ。ぼくは嬉しかった。そして悲しかった、もう僕はいないんだ。人間としての僕は。
 僕はなかなか寝付けず、ベットの上でひざを抱いて座っていた。ふと、僕は部屋を出た、僕の部屋は二階にあり一階に降りる階段がある、その階段のほうから音が聞こえる、そこには人影があった。
 「高志・・・。」
 父が僕の名を呼ぶ、そして、すすり泣いていた。僕は愕然としていた。お父さんの泣く姿を始めて見た。おばぁちゃん(つまりお父さんのお母さん)が死んだときも泣いている姿を見なかった。それが今。
 僕はそっと近ずいてお父さんの肩を抱いた。お父さんは、ちょっとびっくりしたようだった、僕と会った目は潤んでいた。そして、お父さんは僕のひざの上で泣きながらつぶやいていた。
 「高志・・・、高志・・・、高志・・・。」



 次の日の朝、お母さんと僕は朝の台所に立っていた。いっしょに朝食の用意をしている。お父さんは玄関から新聞を持って現れた。今日は休日なのにみんな早起きだった。早速三人で食卓についていた。
 「今日は博之も来るして、いつまでも沈んだ顔はしてられんよな。」
 お父さんはそう言って、お母さんを、そして僕を見た。三人とも目がちょっと赤かった、昨日泣いた為だろうだけどそれでお父さんとお母さんが立ち直ってくれるなら、僕は嬉しいよ、ロボットになって生き帰って来た甲斐があった。僕をこれほど愛してくれたお父さんとお母さんへのほんのちょっとの恩返し。これほど僕にとって価値のあるシアワセがあるだろうか。



 そして、昼過ぎ博之叔父さんがやってきた。お父さんとお母さん、叔父さん、そして僕も応接間のソファーに座っていた。僕は席をはずそうとしたが三人とも「ここにいなさい。」と言ってくれた。「ロボットなんかの僕を家族同様にあつかってくれるなんて・・・」僕は嬉しかった。
 「兄さん、この娘いい娘だろう。」
 「「本当に」」
 お父さんとお母さんは言ってくれた、僕は嬉しかった。
 「そりゃぁ、そうだろう。その娘は高志だ。」
 「「「え !!」」」
 お父さんとお母さん、そして僕の三人は異口同音に声を上げた。
 「高志は分かってるよな。だだ、そうか基本設定が強すぎるせいで、お父さんとかお母さんとか言えなかっただろうけど、そろそろ昨日の出荷から一日経つから。そろそろ基本設定より感情のほうが優先されるはずだ。」
博之叔父さんは僕にそう言った。そして僕を見つめている三人に僕は口を開いた。
 「お父さん,お母さん。」
 「高志・・・。」
 「本当に・・・。」
 僕は音さんとお母さんに抱きついた、「お父さん、お母さん。」と僕の口から言える。改めて僕は口にした。
 「お父さん・・・。お母さん・・・。」
 僕とお父さんとお母さんが抱き会っているのを満足そうに見ていた叔父さんが、この状況を説明してくれた。
 僕が死ぬ前に、僕の意識(正確には記憶)を電気情報としてとりだし、それを今のこの体に移したとのことだった。叔父さんは人間サポートロボットの大手メーカーに勤めていて、僕の命が助からないと知って、今の僕の体を用意してこのような処置をした。との事だった。
 「僕嬉しいよ、たとえロボットだとしても。またお父さんとお母さんに会えたんだから。」
 「高志、何か勘違いしてないか?。その体は確かにうちのメーカーで作られたものだが正真正銘、人間のものだ」
 「え、今の僕の体。ロボットじゃないの !?」
 「今の科学力を甘く見てもらっては困る。生体部品とナノテクとクローン技術の結晶として造られたお前の体は人工人間ではあるが、DNAレベルまで人間そのものだ。それに記憶は高志なのだから、中身も外見も人間そのものじゃないか。」
ちょっと冗談めかした口調で博之叔父さんはそう言った後、真面目な表情になってから言葉を続けた。
 「それに、人間の意識をロボットの中に閉じ込めてみろ、どんなことになるか。自我があるのに他人だけの為に働くんだぞ、その意識は人間だろうとロボットだろうとか悲しいんじゃないかな。ついでに言うと C型 はコストがかかりすぎる為にプロジェクト途中で中止、情報は抹消。」
「それって?」
「高志が普通の人間で無い、という証拠は何処にも無い。という事だ。兄さん、お姉さん、高志。この街で、というのは無理だけど何処か引っ越して三人で普通に暮しな。」
 僕は嬉しかった。お父さんもお母さんシアワセになった。そして僕も、ロボットではなく人間として生きていけるんだ。これからの人生でもっと大きな、すばらしいシアワセを手に入れるんだ。
 「・・・ところで叔父さん、何で僕は男なのに女の体にいれられたの?」
 「そりゃぁー、男型ロボットは力仕事用だから無骨なメカニックの機械で十分。でも綺麗な女の子はいくらでも需要があるからな、もうすぐ色恋沙汰用の女の子型ロボットも実用化されるそうだよ」
 「それならお目にかかり・・・、てっ僕はこれから女の子じゃないか!。」
 「今度は高志の女子高生姿を見せてくれよなー。」
 「おっ、叔父さん何言ってるんだよー、お父さん、お母さん何とか言ってよ。」
 「「そうか、高志も女子高生になるんだねー。」」
 お父さんもお母さんも妙にはハモリつつつぶやいていた。


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