おんなになぁれ!

作:TAROTA

仕様上(誤字にあらず)の注意
「女の子になりたいな…なれるかな」を先にお読みください。
・TS及びTG物、初心者の方は、読んでも面白くないと思います。



ボクはまだ女の子になっていなかった。

あの運命の日から、3ヶ月は経過しただろうか。

だが、いまだに女の子になる兆候すら現れていない。

フラグ立て忘れたのだろうか?

もうバットエンドを見るしかないのか?

「今日限りTGR(トランス・ジェンダー・リサーチ)を解散する」

と、ありもしない組織の解散を決意したとき。

「TGRに物申す」
「あきらめないで下さい」
「MM(まけない めげない)」

とか書かれた手紙が大量に下駄箱に放り込まれていた。

まだ美少女転校生になっていないのに、この大量の手紙はいったい何事?

一つ一つの手紙を見ると、どれも同じ差出人からのものだった。

「ふーん。阿佐ヶ谷君か…これはこれは…」

知らない名前だな…

まさか、5000円で売ってくれるとか言うのだろうか?

って何を??

ともかく、その日の放課後、ボクはその差出人に会ってみることにした。


旧校舎の1F。一番奥の部屋。そこが、差出人の欄に書かれていた住所だった。

「よくきた!」

部屋を開けた瞬間、いきなりそう言われた。

広い教室の教壇に一人の男子生徒。

眼鏡をかけた、ちょっとやせ気味の男。

「あ、阿佐ヶ谷さんですか?」

「斉藤一夫でも良いぞ…」

「それじゃ宮田英太郎さんということで…」

「ほう…やるな…」

「お互いに…」

差出人の本名は軽部亮。3年。ボクの一つセンパイだった。

彼もボクの同志で、TSへの知識がボクより深い。

話している内にその事が解り、ボクは彼を「師匠」と呼ぶことにした。

「ふーむ。君に資質があるとは思ったが、運命の書なんてものにまで書かれている程とはなぁ…」

「はい。でも、まだこの通り男のままなんです」

「君がまだ試していない方法がまだあるだろう…」

「あ?え?やっぱり、中国の奥地で泉に落ちないと駄目か?」

「今は冬だぞ。風邪をひくのが落ちだろうな。それに費用もかかりすぎる。
 やめておいた方が無難だろうな。
 それよりも、もっと手軽な手段がある」

そう言ってから師匠が取り出したのは、何の変哲もない一本の缶ジュースだった。

「このジュースを飲めば?って、あれ?」

手にとってみると、やけに軽い。中身は入っていないようだ。

「空き缶?」

「そう、空き缶だよ!」

集中線が描かれるくらいの断言だった。

「空き缶でTSですか?」

念の為に聞き返す。

こくんと、師匠はうなずき、続けて解説をはじめる。

「統計によると…空き缶でTSは2件が該当する。
 キーワードは同姓(同名)…」

「あ!」

空き缶を踏んで滑って幽体離脱!

なるほど、そんな方法もあったな。

ボクはこの方法を…
1.試してみることにした
2.丁重にお断りした



1-1.試してみることにした。

がしっ!

ボクは師匠の手をがっしりと握る。

「やります!やってみせます!」

「うむ」

「この空き缶で立派な女の子になってみせます!」

「よし、それでこそ男だ!」

なんだか意味がよく解らないが…

「さて、問題は場所だな。作品ではどちらも屋外で成功している。
 やはり屋外が妥当だと私は思うね」

ボクは…
1:「はい、早速、外に行きましょう!」
2:「いえ、だからこそ、屋内でやる事に意義があるのです」



1-2.丁重にお断りした。

「すいません師匠、痛いのはちょっと…」

「むぅ、確かに元の体は瀕死になるからなぁ」

失敗したら命ないってことじゃん

「しかし、他人の計画を否定するくらいだから代案はあるんだろうねぇ…」

1.あります
2.ないです



1-1-1.

「はい、早速、外に行きましょう!」

「よし、目指すは商店街だ!」

ボクは師匠に言われるままに商店街に行く事にした。

夕暮れの商店街は混んでいた。

「うむ、まさに絶好の乗り移りポイントといえよう、老若男女よりどりみどり…」

「いや、男と老人はちょっとぉ^^;;」

「うむ、まぁ選択肢は多いに越したことはない」

「え?でも作品では場所はあんまり関係なかったような…」

「ま、細かいことは気にするな、昨今、場所に縛られた乗り移りゲームも出ることだし」

「え?それって主人公死んでるような…」

「ええい、命一つで女の子になれるなら安いもんじゃろ!」

安い…のか…?

「さっさと、逝く!」

師匠に押されて足元ふらふら…

よろけて踏み出した後ろ足には果たして空き缶が

お見事一本!すってんころりん。

星が綺麗だった……

(エンド2へ)



1-1-2.

「いえ、だからこそ、屋内でやる事に意義があるのです」

「そうか、どうしても屋内でやるというのだな」

「はい」

「その意気や良し!」

「では、早速転んでみたまえ…」

「え?」

そう咄嗟に言われると、硬直してしまう。

「さぁ、さぁ、さぁ」

師匠に詰め寄られ、ボクは…
1.すいません師匠、ボクが間違ってました。
2.お、屋内と言ってもここじゃないんです。
3.押し切られた



1-2-1.

「あります」
「ほう…」
「『女の子どうし』です!」
♪ポペペペン ペレレレレ レレレレン〜 能天気な音楽が鳴り響いた
「じゃあ、まず事故に遭わないと…」
車で轢こうとする師匠。
うう…

「じゃあ、『Repeat』とか『Lien』とか…」
「まず死ななきゃ…」
包丁を握り締める師匠
うう…

「何で最近、死ぬとか事故とかのシチュエーション多いんですかね」

「楽だからだろう…」

「あと、薬と機械」

「現段階の医学&科学では無理だぞ」

「それじゃあ、

 未来からタイムパトロールがやってきて、同姓同名の女性と間違えられて
 性転換銃かなんかで撃たれて女の子になっちゃって転校する羽目に…
 落ちでスカート姿披露っていうのは?」

「なつかしいねぇ」

「タイトルよく覚えてないんですが、コロコロでしたよね?」

「永井豪だったような…」

「単行本に収録されてないんですかね?」

「さぁ?」

横道にそれてしまった…

「ま、とにかく未来はバタフライ効果で♪アイヤイヤだから当てにならんぞ…」

「それじゃ…ううんっと…」

そのとき、僕の頭に天啓のようにある考えが浮かんだ。

それは…
1.未来や現代が駄目なら過去の技術はどうでしょう
2.意識改革というのはどうでしょう…



1-2-2

「ないです」

「自分の意見がないのに、文句言わない」

「すいませんです」

「うむ、まぁよい。
 では。こういうのはどうかな?
 君は常日頃から「女の子になりたい」と思っているのだろう」

「はい、その気構えだけは誰にも負けません」

ぐっと、気構えのポーズを取る。

「でも、なれない。物理的手段を駆使しても駄目だ…
 気構えだけで、その思ったことを口にしたことはあるかな?」

「いえ、ないです」

「言霊という思想があり、口に出した言葉には力が備わるといわれておる。
 思ったことを口に出してみるというのが成功の秘訣だというではないか」

「なるほど」

「『ちぇ、女はいいよな…○○××で』という言葉がある。
 この呪文を唱えた者は、『男はいいわね…』と呟いている女性と入れ替われるのが定石なのだ」

「おお、そんなパターンもありましたな」

1.言霊作戦即時実行!
2.いやいや、ここは慎重に
3.駄目だ駄目だ駄目だ、そんな方法じゃ駄目だ!



1-1-2-1.

「すいません、師匠。ボクが間違ってました」
「うむ、解ればよい。では外に行くかね」

<1-1-1へ>



1-1-2-2 「お、屋内と言ってもここじゃないんです」

「ほう。どこかね…」

「それは……屋上!」

「屋外やん!!」

的確な師匠の突っ込みをかわして、ボクは一目散に逃げ出した。

廊下を駆け抜け、階段を二段飛びで駆け上がる。

後ろから

「待てぇルパァーン!」

と的確だか何だか良く解らない声をあげて師匠が追い掛けてくる。

階段をどんどん駆け上がり……

重く閉ざされた屋上への扉を開ける。

寒風の中、そこに3年の女生徒がいれば、なんかのゲームになるんだが、

そんな事はなく、ただ、空き缶だけが散乱していた…

え?空き缶??

どうやら、風でごみ箱が倒された為のようだ。

しばし、呆然とそんな光景を眺めていると

「追い詰めたぞルゥパーン」

扉が再度開く。

慌ててどこかに逃げようにも、屋上から逃れる術もない。

しまった。

「ふふふ…ここから落ちるときは『女失恋の痛手』という事にすれば、憑依確立100%
 瀕死でマッドな医者に拾われて脳移植か、体が死んで金持ちの女の子に乗り移るか
 さぁ2択だ、選び給え〜」

ボクはじりじりとフェンスまで追い詰められ…

られるまえに、例の空き缶に足をとられて…

最後に、夕焼けの空が見えた…

(エンド3へ)



1-1-2-3.押し切られた

ボクは師匠に詰め寄られたままズリズリと後退する。

すると、何かを踏んだ。

それは何時の間にか床に落ちていた空き缶だった。

「え?あ?」

と思う間もなく

すてん…

ごん!

僕の意識は闇に消えた…

(エンド3へ)



1-2-1-1 未来や現代が駄目なら過去の技術はどうでしょう

「ほう…古代の技術ね」

「いわゆる、魔術ですね…悪魔を呼び出して願い事を…ってやつです」

「ランプの精を呼び出して…が筆頭の3つの願いってのもあるぞ」

「変わったところでは、風呂上りにナニしてると、それが偶然儀式の手続きで…ってのもありますね」

「うむ、何はともあれ、骨董品屋じゃな」

「やっぱそうなりますかね…」

ボクと師匠は商店街外れのいかにもなお店の前に移動した。

「うーむ、店先に信楽焼きのたぬきの置物…」

「このたぬきが、怪しげな魔界の実を持ってると楽なんですけどね…」

「葉っぱでもいいんだがな」

置物一つから、話が展開できるとはやるなぁ^^;;

とりあえず、店内を物色してみることにする。

「ここのじいさん、人の名前当てにこないぞ…」

「そのネタ高度ですよ…」

雑然とした店内を漁るが、これは…というものが見つからない。

「うーむ、息子の誕生日だと言えば、2つセットの指輪くらい売ってくれても良さそうなものなのに…」

「息子いる年齢なんですか?」

「メダリオンもないし…」

捜索失敗?一応、店主のじいさんに聞いてみることにした。

「願い事を叶える?そりゃ…お前、流れ星に決まっておるがな…」

「流れ星?」

「意外に新しいかもしれませんね」

「うむ、温故知新。流れ星に願ってTSというのはいいかも知れない」

という訳で。流れ星に願いをこめて〜

おんなになぁれ ☆ミ

お休みなさぁい 

(エンド1へ)



1-2-1-2 意識改革というのはどうでしょう…

「意識改革。つまり、思うことを口に出して自己暗示にかけるというのはどうでしょう」

「ほう…」

「女になりたいんだぁ!って願望を表に出すんです」

「うむ、方向性は非常に良いが、実践が甘いな…」

「と言いますと?」

「『ちぇ、女はいいよな…○○××で』という言葉がある。
 この呪文を唱えた者は、『男はいいわね…』と呟いている女性と入れ替われるという法則がある」

「おお、それ戴きですよ!早速実行しましょう!」

(1-2-2-1へ)



1-2-2-1:言霊作戦実行!

「よし、ではまず、女の子に羨望する気持ちをまとめないとな…」

「ちぇ!女はいいよなぁ…(ピー!!:少年少女文庫検閲により削除)で…
 というのはどうです?」

「検閲にひっかかってるぞ…」

「じゃあ…
 ちぇ、女はいいよなぁ子宮があって」

「そういう、ストレートな事では無くな、
 もっと間接技で攻めたほうが『受け』がいいぞ」

いや、別に受けなくてもいいのだが…

「例えば、
 女は生理休暇が使えていいなぁ… とか、
 女のお洒落はいいなぁ… とか、
 スカート履いてみたいなぁ… とか、
 お化粧なんかはしなくてもあなたは私にもう夢中…
 だとか、そういう事だ!」

勢いで脱線したようだが…

「なんだか、師匠の願望が覗けたような気がします」

「あくまで、例えだ、例え!」

ムキになるところが怪しい。

「女はいいよな…ぺたんこ座りが出来て…
 これでどうでしょう」

「うーむ。萌えツボで来たか…。とりあえずいいだろう」

なんとかOKが貰えたぞ。

「さぁ、後は実践だな。早速、それを口ずさみながら校内を歩こう!」

師匠につれられて、ブツブツ言いながら校内を歩き回ること30分。

「しかし…これで誰と入れ替わるんでしょうねぇ〜」

「さぁ、男になりたいって言ってる女性だろう…」

「気になりますよ相手が…」

「うーむ、確かに相手は美人の方が好都合だな。
 よし、観察しよう」

「え?」

「それらしい女性を見つけるんだ」

こうして、ボクと師匠の探索の旅が始まった。

(エンド4へ)



1-2-2-2:いやいや、ここは慎重に

「作戦を始める前に周到な準備が必要だと思います」

「ほう…たとえば?」

「利害が一致する女性…
 これを探し出しておいたほうが良いと思いませんか?」

「ふむぅ。
 確かに美人の方が好都合だな。
 よし、観察しよう!」

「はい」

「それらしい女性を探し出すぞ!」

こうして、ボクと師匠の探索の旅が始まった。

(エンド4へ)



1-2-2-3:

「駄目だ駄目だ駄目だ、そんな方法じゃ駄目だ!」

「ほう代案があるとでも…」

(1-2-1へ)



今回もまた…
(マルチなエンディング)
はわわ…


エンド1:声萌え

気がつくと見知らぬ天井だった。
学校の保健室でも、病院のベットの上でもない。
小奇麗に片付いた女の子の部屋?
ボクは目を覚まし、きょろきょろと見まわす。
洋服ダンスの上のくまのぬいぐるみも…
大きな鏡のついた化粧台も…
すべて見知らぬものだった。
まさか、これは…そっと手を見る。
細い手首。ピンクの袖口。
視線をさらに下に向けると、小さくだが、はっきりと解るふくらみが2つ。
こわごわと、あちこちをなで回してみる。
ふみゅ…柔らかい。気持ち良い。
そーっと、股間に手を伸ばせば、アレに触れず、ペタンコな股に…
ゆ…夢にまでみた女の子の体!!
やった、万歳!!
そうだ、目が覚めたら変身していたと言ったらアレをやらねば。
ボクは、そーっと鏡にかかってる布を持ち上げる。
ピンクのパジャマを着た、髪の長い女の子がそこにいた。
顔立ちもなかなか可愛い。

「こ、これがボクぅ…」

やった、念願のセリフ。
その声もとても可愛らし…可愛い…可愛くない?
っていうか、いつもの声だったような…

「あーあーあー」
のどがオカシイのかと思い何度も発声練習をしたが、一向にいつもの声以外は出てこない。
まさか、他にもどこか落ち度が…
と思い、体をまさぐるが、いつもと違う女の子の感触。
思わず、

「あふっ」

と喘いでしまったが、いつもの声じゃオカマみたいでゲンナリだ。
こ、これはもしかして…



「うむぅ〜人格交換だけど声優は一緒っていう例のパターンだな」

あれから、なんとか着がえて、学校に行き、師匠に事情を説明した。
偶然にか、乗り移ったのは、同じ学校の後輩(1年)の体。
牧野紗枝ちゃんという娘だった。

「確かに解りやすいんだがなぁ…」

「何とかならないんですかねぇ」

ボクの体をなめるような師匠の視線が覆う。
身震いが走る。

「我輩は…突然女の子になった親友というのに弱くてな…」

がばっと、ボクの体を抱きしめる。

「やめてください。この体は紗枝ちゃんのものなんですよぉ」

喋った瞬間、いきなり解放される。

「しかし、同時に声萌えな訳で…これじゃあ、魅力半減なのじゃよ」

こうしてボクは、師匠にも見捨てられた。

(BAD END?)

あとがきへ



エンド2:ラムネ

気がつくと見知らぬ天井だった。
学校の保健室でも、病院のベットの上でもない。
小奇麗に片付いた女の子の部屋?
ボクは目を覚まし、きょろきょろと見まわす。
洋服ダンスの上のくまのぬいぐるみも…
大きな鏡のついた化粧台も…
すべて見知らぬものだった。
まさか、これは…そっと手を見る。
細い手首。薄い布が手にまとわりついている。
ひょっとしなくても、ネグリジェ!?
視線を下に向けると、薄い布越しに大きな2つのふくらみが揺れている。
こわごわと、あちこちをなで回してみる。
ふみゅ…柔らかい。気持ち良い。
そーっと、股間に手を伸ばせば、アレに触れず、ペタンコな股に…
ゆ…夢にまでみた女の子の体!!
やった、万歳!!
そうだ、目が覚めたら変身していたと言ったらアレをやらねば。
ボクは、そーっと鏡にかかってる布を持ち上げる。
ネグリジェ姿の官能的な女性がそこにいた。

「こ、これがボクぅ…」

そう言った声も甲高い女のものだ!
顔立ちには、どことなく以前の面影が残って…
っていうか、そのまま?
長い髪を掻き揚げて顔をじっくり見てみる。
確かに、ボクの顔だ…
ボクの顔が女の子の体に収まってる!!
こりゃ変だ、変だよ変!!
部屋の中を捜すと、ボクが乗り移った?人物の情報がわかった。
木村美知恵。20歳。短大生だ。
学生証の写真には綺麗な女性が写っている。
これじゃ、いくら体が変わっても、誰もボクを美知恵さんだとは思わないだろう。
ましてや、ボクそのものでもない。



「うーむ。成る程。道理で面影の強い女性に変身したと思ったら…」
あれから、なんとか着がえて、学校に行き、師匠に事情を説明した。
授業中はこの姿じゃ出入りできないので、勿論今は放課後だ。

「人格交換で顔だけ元のまま…そんなのが一作品あったな。
 確かに解りやすいんだが…」

「何とかならないんですかねぇ」

ボクの体をなめるような師匠の視線が覆う。

全身に身震いが走る。

「我輩は…突然女の子になった親友というのに弱くてな…」

ボクの胸をいきなり揉み始める。

「あ…くぅん…やめてください師匠」

「この体つき、声、確かに最高なんだが…」

いきなり揉むのが止まる。
助かったような残念なような…

「しかし、美少女でなければ意味がない…」

こうしてボクは、師匠にも見捨てられた。

(BAD END?)

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エンド3:囚人服

瞼を貫く白い光で目が覚めた。
ピンクのカーテンの隙間から柔らかな朝の光が漏れている。
枕元の可愛いマスコットキャラの時計はまだ7時前を差している。

こ、ここはどこだ…
ばっと、目が覚めた。
こわごわと自分の手を見る。
しまのシャツにつつまれたいつもの手…
あれ?
視線を下に向ける。
平らな胸に、縞のシャツ。
さらに下では、確かめるまでもなく、元気に主張する部分が…
下に着ているのも同じく青と白のストライプのズボン。
なんだか囚人服みたいな格好。
またいつものがっかりパターンとはねぇ…
しかし、何だってこんな格好をしているんだ?
それにここは何処なんだ?
どうも女の子の部屋のようだが。
机の上に都合良く学生証が…

市立栄和中学校
2年3組浅香美代

写真の女の子はなかなか可愛らしい。
が、まったく見知らぬ女の子だ。
ボクは見知らぬ女の子の部屋で目を覚ました事になる。
夢遊病で外に出たままのボクを見つけて保護してくれたのかもしれない。
とにかく、部屋を出て家の人に挨拶したほうが良さそうだ。
そう思い、部屋を出て行こうとした時、視線の端に誰かが映ったような気がした。
え?っと思いそちらの方向に目を向けると、パジャマ姿の女の子がいた。

「あ、その…」

と言いかけて気がついたが、その娘は、鏡の中にいたのだ。

「え?あ?」

ボクが驚く仕草を見せると、彼女も驚く。
思い切って鏡に近づくと、ボクの姿の変わりに、女の子が映っていた。
どこかでみたような、女の子…
そうだ…

「美代ちゃん」

そう声にあげたとき、
扉が開き、見知らぬ顔が覗いた。

「あら?美代。今日は早起きね… でも気を抜かないで、早く着替えて下降りてきなさい」

それだけ言うと出ていってしまった。
どうやら、他人から見ると自分は美代ちゃんに見えるらしい。
だが、自分から見ると…
囚人服を着た元の自分なのだ。



「うーん。やってはいけない事をやってしまったな作者…」
説明を聞いて師匠が感想を漏らす。
「傷を負った人間がここには多いだろうに…」

あれから、着替えるのは大変だった。
なにせ体のサイズは主観的には変わらないので、下着や制服を身につけるのは女装してる気分だ。
おまけに囚人服は脱げないし、何を着ても主観的には囚人服のままなのだ。
おかげで、鏡を常に見ながら試行錯誤での着替えだ。
いたいけな少女の着替えを覗き見ているようで気が引けた。
とにかく、客観的には中学生の女の子なので、それらしく振るまわなくてはならない。
学校でも大変な苦労があった。
で、中学校の方が終わりが早かったので、なんとか放課後に師匠に会うことができたという訳だ。
美代ちゃん部活サボってごめんね。

「それにしても…」

じろじろと舐めまわすような師匠の視線が気恥ずかしい。

「な、何じろじろ見ているんですか…
 いつものボクと変わらないんですよ」

「しかし、我輩の視点からは君が中学生の可愛い女のコに見える…」

がばっと、いきなり抱きしめられる。

「我輩は…突然女の子になった親友というのに弱くてな…」

頬擦りまでされる。

「や、やめてくださいよぉ、僕の立場からは男が抱き合ってるんですよぉ」

「だから、我輩にとっては最高に美味しいシチュエーションなのだよ」

「この姿、まだ14歳ですよぉ」

「良いではないか、良いではないか…」

こうして、ボクは師匠に気に入られてしまった。

(HAPPY END?)

あとがきへ



エンド4:観察編

「お?今、通ったあの娘、怪しくなかったか?」
「いや、普通の女性に見えましたけど?」
探索の為に僕らは町に出ていた。
「それはどうかな?
 『今日こそ女になるんだ』って、
 心の中の呟きが聞こえたぞ…」
「師匠エスパーだったんですか?」
「いや、なんとなくそう思っただけ」
「それに、見た目女性なのに「女に…」ってどう言うことです?
 おかまさんですか?」
「うーむ、女装して街を歩くのが快感になった同志かもしれん、追うぞ!」
いや、同志を探すのが目的じゃないんだが…
とりあえず、後をつけてみることにした。

「ごめーん待った?」
「いや、全然」
タバコの吸殻が嘘を物語っている。
ターゲットは、男と手を繋いで、雑踏に消えて行った。

「デートに急ぐ女性だったみたいですね」
「うむぅ…勝負の日だっただけか…」
物陰に隠れながら、がっくりする。
実はがっくりは、今日これで何十回目だ。
師匠が怪しいと睨んだ女性はみんな普通の女性だったのだ。
「今日は引き上げましょうよ、師匠…」
「む!」
ピキュルルルーン という効果音が聞こえたような気がする。
今日何度目かの当たりの反応だ。
「あそこの、男子学生…
 怪しいとは思わんかね」
指差す先にいるのは、学ランを着た小柄な男の子。
キョロキョロと当たりを見回しながら、足早にどこかに向かおうとしている。
「え?男ですか?師匠もヤキが回りましたかね…」
「いや、あの小柄な体。愛らしい顔立ち。
 何かあるに違いない」
「可愛らしい男の子なら別におかしくないでしょう」
「女の子に変身してしまった男の可能性が強い。
 しかも推測によると変身したてだ」
もしそうなら、その方法を教えて貰える。
「追いますか…」

晴空高等学校。全寮制の男子高校である。
ターゲットは、ここに入っていった。
更衣室に入っていくのを確認して、裏に回り込むことにした。
カーテンの隙間から覗きこんだ光景は衝撃的だった。
男子学生2人が抱き合っていたからだ。
ターゲットの可愛い男の子が、いかにも体育会系の逞しい男に抱かれている。
可愛い男の子の学生服が脱がされると、胸に膨らみが見える。

「おお…これは…」
「女の子になった男の子が、親友に抱かれる…萌え〜!」

思わず小声でだが騒いでしまう。
やがて、2人は、あんな事やこんな事まで始めてしまう。

「うーむ更衣室で行為とは大胆な」

師匠がつまらない冗談をいう。
あれ?
今気づいたが2人が呼び合ってる名前。

「師匠、師匠…」
「なんだ、いま、いいとこなのに…」
「2人が呼び合ってる名前…」
「名前?」
「モモコとケンジです」
「ほう、女の子になったのはモモコね…
 って女みたいな名前だな」
「そうじゃなくて、元から女ですよきっと」

『よく来てくれたねモモコ』
『寂しかったのケンジ』
そんな会話も聞こえる。

これは…全寮制の学校に入って離れ離れになった彼女が、学生服を着て、忍び込んで会いにきた…ってパターン

「そういや、よく騙されましたね、このシチュエーション」
「表紙買いすると騙されるんだよなぁ…」

ボクと師匠の探索はまだまだ続く。

(トゥルー エンド)



☆あとがき☆

ブラックリスト直行!(笑)
どうも、作者のtarotaです。
メタTS(八重洲さん命名ありがとうございます)シリーズ第2弾のテーマは誰もが通る甘い罠…ブラックリスト編でした。
苦い思い出を、思い出してしまった方すいません。
私も、よく騙されましたからねぇ…
特に「もう一度…」いや、もういいです。
なんかこのシリーズ、ノリで書いてるから、面白いのか面白くないのか解らなくなっちゃうんですよね。
独り善がりと言えば独り善がりな話だけに…
(解らないと面白くないけど、解るとダメージ負うだけだからねぇ今回は^^;)
共感を得て、笑って(泣いて)いただければ幸いです。
落ちが尻つぼみになっちゃうのは何とかしたいんだけど…宿命かなぁ?(仕様?)

ホームページ公開しました☆

宜しかったら来てくださいね…ってここのリンクから飛べるんで、もう来て下さった方も多いとは思いますが。




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