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 雪の降る日。彼の「ヒーロー」が現れた。
 命の次に大事にしているであろうガクランをぼろぼろにして、自分を助けてくれたその男。

「ま、待って……待ってくれよっ!」

 幼い少年はあわてて車から駆け下り、雪道を走って「ヒーロー」を追いかけた。
 いつの間にかその少年の姿は、背の高いガクランボンタン姿に変わり……そして似たような格好をした男に追いつくと、後ろからその身体を抱きしめた。

「やっと逢えたぜ……オレはあんたに憧れて、この学校に進学したくらいなんだ── ……!?」

 胸の内を吐露する彼──秋津明義は次の瞬間、違和感をおぼえた。

「……あんた、なんか随分いい匂いがするな?」

 甘い香り、まるで……

「それに……なんかやたらと柔らけぇし……」

 秋津が抱きしめた感触は、筋肉のヨロイではなく……まさにマシュマロのような柔らかさ。

「…………」

 耳の裏側、首筋、脇の下……身体のあちこちから嫌な汗が吹き出してくる。
 冷や汗、それも脂汗が混じったような──

……う、……う、あ──」

 男には決して “ありえない” その感触に、全身の汗が止まらない。

「女の子は柔らかくていい匂いがするものなのよ、秋津クン」
……!!」

 鈴を転がすような、綺麗な女性の声が耳朶を打った。
 その、耳をくすぐる心地よさが、秋津にとってはまさに「悪夢」だった──

「うわあああああああっ!! て、てめえっ!! いっ、いつの間にすりかわりやがったっ!?」

 秋津は両手を放し、身を引き剥がすようにとび退った。
 いつの間にか、男──大原 修が、「大原乙女」になっていた……

「私は生まれ変わったの……そして秋津クン、あなたもね」
……えっ?」

 言われてふと気づくと、頭ひとつは背が上のはずだったのに、視線が乙女と同じ高さになっていた。
「なっ……」
 同時に胸のあたりがずしりと重くなる。
 否、胸元が膨らんだだけじゃなく、身体全体の筋肉が削がれて、非力になったことが何故か実感できた。

「お、おいっ……」

 髪の毛が爆発的に伸び、ふわふわとしたウェーブがかかる。

「や、やめ……っ」

 手足は華奢に、肌の色は輝く白に。

「やめろ……や、やめ──」

 身にまとう服も、白とピンクのワンピースに変わっていく。フリルだらけで乙女チックな代物だ。

「ああああああっ!! 男の中の男になるはずのこのオレがああああああああっ!!」

 スカートの上から股間をまさぐる。だが、まっ平ら。

「・・・!!」

 その反対に、胸元はやたらと盛り上がっていた。それこそ腕を動かすのにも邪魔になるくらいに。
 衣服だけでなく、肉体も「少女」と化したことを突きつけられる。

「あなた、私に憧れていたんでしょ? そして、ずっと私の背中を追いかけていた……だから私と同じになるの」
「違うっ、ちが……わなくないですっ、乙女先生っ♪」

 そこにいるのは不良学生だった面影などまったくない、うら若き少女。
 むしろ「姫」と呼びたくなる高貴さを放っていた。

「おっ、おいこらっ、元に……いえ、ありがとうございます先生。わたくしも乙女先生と同じになれて、とっても嬉しいですっ♪」

(……な!? く、口が勝手に!? オレがこんな女になって喜ぶはずが──)

「まあ、本当に素敵で可愛いらしいわっ。秋津クン……いえ秋津さん、あなたにも女の子の名前をつけてあげましょう」
「や、止め……ではなく、乙女先生、今のわたくしにふさわしい名前を♪」

(冗談じゃねぇっ!! 女の名前なんてつけられたら、心まで女に──)

 心の中で、「男の意識」が頑なに抵抗を続けていた。
 だが、その思いに反して「少女」になった身体は両手の指を胸の前で組み、目の前の女性へにっこりと微笑んだ。

(だああああ止めろっ!! 頼むから止めてくれえええええ──っ!!)

 そして、乙女は即決で「彼女」の名前を決めた。

「愛の夢と書いて『愛夢(あいむ)』ちゃん。……ううん、ちゃん付けより『愛夢姫』とでも呼びたいわねっ」
「まぁ、素敵な名前♪ ありがとうございます乙女先生。……わたくし秋津愛夢、必ず立派な『姫』になりますわ♪」

(違うううぅっ!! 女になんてなりたくないっ!! なんでオレがこんな目にィィィィィ──ッ!?)

 心の奥底に押し込められた、秋津明義のその絶叫はもはや誰にも聞こえない。
 そこには、ただひたすら優しい微笑をかわし、互いを見つめ合う女性教師と「姫」がいるだけだった……



でっかい胸は無限大〜♪(殴)
(illust by MONDO)






教育と更生を求めて、学校を渡り歩く一人の教師がいた。
不良生徒たちに新たな道を指し示し、「ゴッドファーザー」の二つ名を誇りとして名乗る、爽快な女。
その名は──






ゴッドファーザー乙女

Lesson3 「ハンター・ミッション」

作:城弾





「・・・どうわああああああっ!!」

 一月末のある日。
 秋津明義は絶叫とともに、突っ伏していた教室の机から跳ね起きた。
 まわりにいる連中が、何事かと一斉に注目する。
 男子たちはすぐに興味を失って視線を戻したが、「女子」たちはそのまま興味津々なまなざしで秋津の顔を見つめる。対照的だった。
「…………あ」
 今は昼休み。
 校庭に出たりせず机で居眠りしていたのだが、この有様だ。「──ゆ、夢か……なんつーシャレにならねぇ夢を──」
 荒く息を継ぎ、額をぬぐう秋津。脂汗だけは夢ではなかった。
 そんな秋津に、三人の「女子」が声をかけてきた。

「どうしたの? 秋津のお兄ちゃん」

 江原エリが下から顔を覗き込んでくる。小学生にしか見えない……否、肉体的にはマジで小学生「女子」だったりする。

「顔色が優れませんわよ? 秋津さん」

 袴姿の「女子」生徒、福本文乃がおっとりとした口調で問いかける。

「べ、別にあんたの心配なんてしてないんだからねっ!」

 パステルカラーで目が痛くなりそうな服──というよりコスプレしているのが堂島だりあ。
 髪もピンクのツインテールとアニメキャラじみている。どうやらツンデレ「女子」キャラらしい。

「…………」
 エリ、文乃、だりあの三人とも、いずれも元は不良男子だったのだが、謎の女性教師大原乙女によって現在の姿にされている。
「……な、なんでもねーよっ。あっちいけっ」
 しっしっ、と三人を邪険に扱う秋津。
「あーっ、ひっどーいっ! 女の子に対してそんな言い方っ」
「……っ!」
 だりあの突き抜けるような甲高い声が、秋津の脳天を直撃する。
「お兄ちゃん……私が何かしたなら謝るから、だから怒らないで……」
「……うっ」
 半べその小学生女子に上目遣いで謝られたら、いくら不良でもバツが悪い。
「まあっ、御機嫌斜めですのね」
「……!!」
 そしてやや場違いな物言いの、大正浪漫娘。
 あまりの不ぞろいさに、秋津はそこでキレた。
「い・い・か・らっオレの目の前から消えやがれっ! オカマどもっ!」
「ふーんだ、言われなくても消えるもん。……ねぇみんな聞いてっ。秋津がひどいんだよ〜」
「えー、なになに?」
「何かされたの? だりあ」
 だりあたちが寄っていった先には七人もの「女子」生徒がいた。その “ひどい現実” を再認識し、秋津はげんなりとした表情を浮かべた。
(あれから五人、女に変えられたからなぁ……そりゃあんな夢も見るか)
 二十人の爪弾き者で構成されたZ組。そこが不良クラスと言われていたのは、もはや昔のこと。
 男子校の中にもかかわらず、クラス半分の十名が女子と化し……いつしか「共学クラス」と言われる始末。
(キレイ過ぎて居心地悪いぜ……)
 秋津の言葉通りだった。
 乙女によって女子に変えられた元・不良たちは、内に秘めた「理想の姿」になったせいか、とにかくやたら女性的であった。
 そして女性に抱くイメージのひとつ、「きれい好き」が教室環境に反映されていた。汚れっぱなしだった教室は塵一つ残すことなく掃除され、そして清潔になった。
 黒板横の花瓶には、常に花が生けてある。
 そもそも「女の子がいる」だけで場が明るくなる。……それがたとえ、元・男だったとしてもだ。

「しっかしよぉ……あいつらがみんな、ちょっと前まで俺らと同じ男だったとは、未だに信じられないぜ」

 教室の隅っこで、残った男子のひとり、財津全次郎がつぶやいた。ライオンのたてがみを思わせるぼさぼさ頭の持ち主だ。
「これもみんな、あのオカマ野郎のせいだ」
 横にいた秋津は歯を鳴らし、不快感をあらわにした。
「しかも、あいつらほんとにしょーもない理由で変身しやがったな……」
 女子の一団を眺めて、二人はぼそぼそと話し続ける。
「権藤の奴は、あのオカマがレディースディで映画を見ているのを、『女は安くついていいな』って皮肉ったら女子になっちまうし──」
 “映画つながり” なのか、ひと昔前の女優めいたカールの強い茶髪(地毛と認められて校則違反は問われなかったらしい)の、派手めな容姿になっている。
「権藤源太郎が、銀河のアイドルになれとか言われて『権藤銀河』……あのオカマはいつもそうだ。わけがわかんないぜ」

「そういや変身した時も、なんかわけわからんこと叫んでいやがったな…… 『宇宙キタ──ッ』 とかなんとか」

 「銀河」という名前のせいらしい。
 着ているのはオーソドックスなセーラー服。襟とスカートが薄紫色で、胸元のスカーフは黄色。

「……で、堀江の奴は女性アイドルの写真集見てて『いいなぁ』ってつぶやいたら、そのまんまそのアイドルになっちまったしな──」

 それは多分、「好みのタイプ」という意味だったのだろう。
 堀江 久(ひさし)改め「堀江ほのか」。ちなみにこの名前、だりあが乙女に進言したものである。
 愛称は「ほっちゃん」。腰にまで達する艶やかなロングヘアが魅力的な女子と化した。
 こちらは白のブラウスに臙脂色のプリーツスカートとスクールリボン、クリーム色のブレザーという格好だ。

「飯塚の奴は出来のいい弟にひがんで、『兄より優れた弟なんざいねぇっ!!』ってわめいたら『妹』にされちまった」
「…………」

 飯塚 功(いさお)改め「飯塚育美」。肉体年齢は13歳。
 内心では弟を認めていたのか、「妹」になった途端に兄様ひと筋なブラコンになった。
 スカイブルーのジャンパースカートが似合う、三つ編みがチャーミングな女の子だ。

「いっちばんワケわかんねーのが十文字(じゅうもんじ)と北川だ。逃げたのはいいが女になって帰ってきやがった」

 十文字仁(じん)と北川浩二の二人は、Z組からの逃亡を図った。
 二人揃って逃げ出したのはいいが、その際に二人の足並みが全く揃わず、「どうせなら女の子と逃げる方が」などとお互いおバカなことを思い、それをつい同時に口にしたら揃って女性化した……のだとか。
 女性化を嫌っての逃亡だったので、なってしまったなら逃げる意味はない──と、すごすご戻ってきたのである。
 しかも、互いに相手の願いを叶えた形なので、元・男の「現・女同士でラブラブ」という、ホモなんだかレズなんだかわからない関係になってしまった。
 乙女に「十文字樹里」「北川このみ」と名付けられ、今も二人でいちゃついている。ちなみに着ている制服は、深い青色をした肩釣りタイプのジャンパースカートと、襟の部分が特徴的なグリーンとクリーム色のセーラー服だ。

「樹里……」
「このみ……」

 熱い視線を絡ませあって、その手も恋人つなぎでべったりくっついている。
 私服の衣装は揃ってゴスロリ──樹里は黒、このみは白。これも互いの好みと自分の好みが一致したためか、エスカレートの一途をたどっている。
 さらに、だりあにそそのかされて出向いた池袋で「BL」にはまり、腐女子への道を着実に歩んでいたりもする。「道ならぬ恋」が、自分たちにダブってしまったらしい。
「後楽高校に王真高校、百紀高校……とうとう作者の分じゃ足りなくて、『ロボTRY』の白塁学園高校の制服まであるぜ」

 その節はお世話になりました。

「……やべえな」
「ああ。逃げてもムダ、おとなしくしててもダメ……このままじゃ全滅だ」
 もちろん「Z組全員女性化」を意味している。

「だったら俺らと手を組まねぇか?」

 秋津たちの背後から、男子生き残りのひとり、松田元紀が声をかけてきた。
 高校生だが髭を蓄え、老けて見える。顔つきも悪人ヅラだ。
「ああ? てめーとオレがか? ふざけんなっ。タイマンならいつでも応じてやるぜ。……もっとも、またオレが一方的にぶちのめすだけだがな」
 秋津は淡々とした口調で答えた。自慢というより、事実を並べただけだ。
「オメーの強さはやりあって身に沁みてるぜ。だからこそ手を組みてぇ」
「組むって……何をするってんだ?」
 確かに一理ある。秋津は話を聞く気になった。胡散臭そうに尋ねる。
 もっとも、だいたいの予想はできているが。
「決まってんだろ? あいつをやるんだよっ」
 松田は低い声で答えた。

「何っ!? るのか?」 「ああ……、るんだよ」

「…………」
 両者の間に決定的な溝を感じた財津は、「面倒はごめん」とばかしに立ち去った。
「話は聞いてやる。三行で説明しろ」
 秋津はどこか不機嫌そうに、松田に問いかけた。

「大原の帰宅ルートを調べる。
 人気のない場所に来たら大人数で押さえつける。
 そしてあとはやりたい放題。
 城弾は新作を書いているらしい」

「三行でって言ってんだろうがっ!! しかもなんだ最後のはっ!? 全然カンケーねーじゃねーかっ!!」
 何故かやたらに怒る。
「そこまで怒るか? まるで序盤はヒロインだったのに、後半は完全に壊れた『早すぎたヤンデレ』の女性キャラみたいだぞ」
「知るか! オレは北海道のどっかにあるレストランで日本刀腰にぶら下げつつウェイトレスしている奴くらい穏やかだ」
 彼なりのユーモアで返す秋津。
「……でよ、タイマンじゃねーのかよ?」
「力ずくでやった結果があれだろうが」
 松田の視線の先には、ファッション雑誌を熱心に見ているポニーテールのセーラー服少女がいた。
 近田千鶴。元は巨漢のパワーファイターだったのに、今ではすっかり普通の少女である。
「大人数でやるのか……気が乗らないぜ」
 男なら一対一。秋津の信条に反していた。
「そうか、なら構わねぇ。『心のヒーロー』があんな姿になったのが我慢できねぇと思って声をかけたんだがな……」
「!?」
 その一言が殺し文句だった。
 秋津の憧れた「伝説の不良」は、いまや物腰柔らかな女性教師……言ってみれば「乙女」に「修」を奪われ取って代わられた形だ。
 それを思うと、怒りが沸きあがってきた。
「待てよ、松田」
 背後から肩をつかむ。松田がゆっくりと歩いていたのは、これを見越していたとしか思えない。
 その証拠に、振り返ったその顔はニヤついていた。
「なんだ? 気が乗らねぇんじゃなかったのか?」
「気が変わった。オレも参加するぜ」
 そうだ、これは復讐だ……秋津は昏く燃えていた。
 その様子に、にやりと笑う松田。何か裏がある顔つきだが、秋津は気がつかない。
「よし、それじゃお前も、この大原『狩り』に参加だな」
 松田はそのまま秋津の肩を “わざとらしいほど親しげに” 抱いて言った。
(「狩り」か……確かに大人数で一人を狙うのは、喧嘩じゃなくて狩りに近いな)
 秋津は軽く嫌悪感を抱いたが、「復讐心」がそれを上回った。
 静かにうなずく。
「それじゃハンター・ミッション、打ち合わせといこうか」
 襲撃メンバー──ハンターは秋津を含めて六人。
 リーダー格……むしろ「主犯格」とでも呼びたい松田元紀(まつだ もとき)
 秋津以外の参加者は沼田典也(ぬまた のりや)。乱橋竜太郎。進道宗一。戸村哲郎。
 決行は三日後、木曜の放課後とされた。
(待ってろよカマ野郎っ。てめーなんざオレのあこがれたあの人じゃねぇ……だから遠慮なくぶちのめしてやるぜっ)
 秋津は心中でそう意気込んで見せたが、自分自身どこか乗り切れない。
(くそっ……なんでこんなにすっきりしねぇんだっ!?)
 自分で自分をだまそうとしても、それができない。もやもやしたその気持ちが、イライラをさらに加速させた。



 翌日。一時間目のロングホームルームが終了した。
 以前とは違い、大半が乙女に対して従順な「女子」に変わったのできちんと着席している。ただし服装だけは、てんでんばらばらだが。
 一方、「まだ」女性化してない十名も下手に逆らって女性にされてはたまらない。現時点では静かに話を聞いている。
 ただし、襲撃を目論んでいる面々は「いい気にしてられるのも今の内だ」という思いを内に秘めていた。
 だが秋津だけは、未だ逡巡していた。



 教室から去ろうとした乙女に、秋津は廊下で声をかけた。
「何かしら? 秋津クン」
 軽く首をかしげて可愛らしい笑顔。本当に元・不良──そして男とは思えない柔らかさ。
「いや……さ、最近この辺りに痴漢が出る、らしいぜ」
「痴漢ですって? 女の敵よね」
 いきなり話に割って入ってきたのは尾藤美優。
「てめーもちょっと前は、似たようなもんだったろうが」
 話の腰を折られて、秋津はむっとした調子で言い返した。
 乙女に女性化させられた男子第一号である美優は、元々はスケベ少年、尾藤 蛮だった。乙女の胸を欲したら、自分が巨乳娘になってしまったのである。
「あたしも電車の中で何度も触られて、どれだけ嫌なことかわかったわ。ほんと男って最低っ」
 元・男だから男を嫌うのはまだわかるが、この場合は完全に女性としての憤りだ。
「尾藤さん、ちょっと違うかな?」
「何がですか? 先生」
「最低なのは男の人じゃなくて、そういう悪い心……心の弱さなのよ」
「へっ、『罪を憎んで人を憎まず』ってか? 立派なもんだ……とにかくよ、そのムダにでけーおっぱい揉まれたくなかったら、人のいないトコ歩かねー方がいいぞ」
 言うだけ言うと、秋津は乙女に背を向けて去っていった。
「なによあいつ、悪態ばかりついて」
「いいのよ。あれが秋津クンの優しさなの。ただ照れくさいだけ……男の子ってそういうところがあるみたいだから」
 憤慨する美優を優しく諭す乙女。
「わっかんなぁい」
 もはや二人とも、最初から女性として生を受けたかのような発言だった。



 一方、その秋津はというと──
(あー何やってんだオレ? なんでわざわさ「襲われる」みたいなことあいつに教えてんだ?)
 人知れず頭を抱えていた。
(あいつは憎い相手だろが。オレから「大事な存在」を奪った女──)
 ここだけだと、まるで三角関係のもつれにしか聞こえない。
(それをなんで……自分で自分がわからねぇ……)
 秋津は目をそむけていた。乙女が、かつて自分が憧れた存在のたどり着いた姿だということから。
 男の中を目指した男が、女の中の女に。その変貌を認めたくなかった。
 しかし、乙女がかつて憧れた存在であることは直感で認識していた。
 この二人の出会い。そして「再会」も運命的だったのだ。



 襲撃決行の木曜日。
 あれから調べた結果、乙女は帰宅前に商店街に立ち寄って買い物をすることがわかった。
 商店街に入る前に、乙女は何故か河川敷を通る。そこで待ち伏せとなった。
 少しずつ春めいているとは言えど、夕暮れはまだまだ寒く、そして日が落ちるのも早い。
 六時ともなると、子どもたちもみんな家路につく。
 河川敷には、松田たちが潜んでいるだけだ。
「こんなところでやるのかよ?」
 喧嘩ならともかく、「婦女暴行」を目論んでもいる。ひと気はないが、叫び声を上げられたらたまらない。
「こんなところだからいいんじゃねーか。輪姦されたのがモロわかりでよ、『乙女』としちゃ恥ずかしくて生徒に顔なんか向けられねーぜ……ひゃははっ」
(卑劣な奴だ。不良にも不良の「仁義」ってのがあんだろうがっ)
 それもあって、秋津は以前から松田が気に入らない。
「おい来たぞ、大原だ」
「……よし」
 見張り役の進道から声をかけられ、松田はケータイで何処かへ電話をかけた。
 数分後、三人の男が乙女の前に立ちふさがった。
「誰だ?」
 怪訝な顔を浮かべる秋津。見たことのない連中だ。
「ちょっとつてがあってな……帝江州組の組員に」
「ま、うちのガッコのOBでもあるがな」
「“偉大なる先輩” というわけだ」
「ヤクザだと?」
 不良が「アマチュア」ならやくざは「プロ」。そんな奴らまで引っ張り出してきたのか?
 秋津は、松田の自分の手を汚さないやり方にも憤りを感じた。
 だが……



 三人の男と鉢合わせした乙女は、驚きに目を見開いていた。
 松田に「助っ人」として呼ばれた三人は、下卑た笑いを浮かべて近寄っていく。
「おおっ、きれいなねーちゃんじゃねーか」
 キャップを被ったピアスの男がニヤニヤしながら言った。
「いい舎弟を持ったな、黒須」
 パンチパーマの男が、隣に声をかける。
「ああ、元紀の奴、いい女だからちょっと一発やってくれなんて言ってたが……コイツは確かに上玉だぜ」
 黒須と呼ばれたそりこみの男が、口の端をイヤらしくつり上げた。
 三人とも年格好は二十代後半くらい。揃って目立つ位置にタトゥー──刺青を入れていた。
 乙女は驚いている。だが、その顔に恐怖はない。
 そして……にっこり微笑んだ。「──イガちゃん、クイーン、えっちゃん……久しぶり」

「「「え……?」」」

 戸惑ったのは三人の男だけではなかった。松田たちもだ。

「こいつらと大原は」
「以前にも出会っているっ」
「こいつらとの間に何があったのかッ」


 さらに、彼らをさらに戸惑わせる三人の男のリアクション。
「お前……もしかして、修か?」
「今は乙女よ。大原乙女」
「やっぱり……オレだよオレ、黒須越楠(くろす えっくす)」
「お、俺のことも覚えているか?」
「もちろんよクイーン。杭頭九院(くいず くいん)。そして五十嵐五十雄……イガちゃん。懐かしいわ」
「おおーっ、久しぶりだなぁ大原。女子高生がすっかりいい女じゃねーか」
「うふふっ。今は先生やってるのよっ」
「マジか!?」
「ええ」
「信じられねぇなぁ。昔はよく一緒につるんで悪さした仲なのに」
「もうっ、恥ずかしいわ。あのころわたしもヤンチャだったから……」
「相手の高校に乗り込んでいきなり窓ガラスを割って回ったりもしたっけ」
「恥ずかしい……もう生きてはいけませんわ」
 頬を押さえて照れる乙女。四人は完全に和んでいた。



 いきなり始まった「プチ同窓会」に、松田たちは唖然となった。
「ど、どういうことだ?」
 完全に目論見が外れ、松田がぽつりとつぶやく。
「もしかしたらあいつら、同級生だったんじゃねーのか?」
「あ……」
 現在の乙女を見ていると忘れがちになるが、元は秋津たちの高校の先輩で、「伝説の」不良男子だったのだ。
 黒須たち三人のOBがその時の同級生というのは、大いにありえることだ。
「まさか知りあいだったとはな……」
 苦虫を噛み潰す表情を浮かべる松田。
「へっ、ブザマだな。助っ人呼んどいて、それが『獲物』の知り合いってか? ……調査不足もいいとこだぜ」
 反対に笑いをかみ殺している秋津。もちろん松田の失態に対してだ。
「……くっ」
(しかし、あいつらは福本の言ってた「法則」に当てはまらないようだし……ん? 五十嵐? 50……ローマ数字のLかっ?)
 なぜか妙なことを知っている秋津だった。ここはいわゆるひとつの「ご都合主義」である。
(じゃあ、杭頭とかいう奴は「QUIZ・QUEEN」でQ、黒須は「クロス」、下の名前はそのままX……作者の野郎、掲示板で受けたアドバイスをそのままネタにしやがったっ!)

 多大に感謝しております。

「それにしても……大原はまともになったっていうのに、俺たちはヤクザの下っ端か……」
「久美ちゃんは可愛いけど、それだけでやってられないしなぁ」
「どこで道を踏み外したんだろうなぁ……」

 乙女の方は聖職者。こっちはおよそ日の当たる道を歩んでいない……昔の仲間のあまりの違いに、我が身を嘆くチンピラ三人。
 プチ同窓会は旧交を温める段階から、今を省みる段階に移っていた。
 松田たちも静観するしかなかった。何せチンピラとはいえ『プロ』のヤクザ。下手に割って入るとややこしくなるかもしれない。
「三人とも、まだやり直せるわよ」
「お前みたいにか? 無理言うな。こちとらきれいな身体じゃないんだぜ……」
 黒須は自嘲染みた笑みを浮かべて、乙女に腕の刺青を見せた。
「思えば中学の頃だよな……あそこで道を踏み外しちまった……」
「ああ……『ワルいのが男らしい』って勘違いしちまってよ……」
「やり直せるもんならやり直してえなぁ……」

「だったら三人とも、明日からやり直しましょう……ねっ」

「だからそういうことはこれを見てから──えっ?」
 杭頭も左腕の刺青を見せようとしたが……いつの間にかそれがきれいさっぱり消えていた。
「あ……あれっ?」
「お前もか? イガ」
 三人まとまって街灯の下に行くが、皆、腕の刺青がなくなっている。
 それどころか、腕そのものがどんどん細く、華奢になっていく。
「お、おい! イガっ! お前の髪っ!?」
 言われた五十嵐は、帽子が脱げ落ちたことに気づいた。それは、大量の髪の毛に押されたからだ。
「な、なんだ? この髪はっ!?」
 叫ぶその声が、甲高くなっていく。
 そしてそれは五十嵐だけではなかった。
 剃り込みを入れていた黒須は、五十嵐ほどではないが頭部を生え揃った髪で覆われた。特に前髪が長めで、眉毛に掛かるほどの長さだった。
 杭図はショートカットになった。頭の左右に小さな房がくくられる。
 そしてチンピラらしい服装は、三人とも揃いのセーラー服に変わり、スカートからむき出しの足は細い少女のものになった。
「はい、これできれいな体に戻れたでしょ?」
「お、大原……先生っ!」
「「先生〜っ!!」」
 同級生で対等な立場だったはずなのに、女子中学生に変貌した三人は、乙女を「先生」と慕った。
 そう……チンピラ三人は、「道を踏み外した」中学生の時代に巻き戻されたのである。
「がんばってね〜。気をつけて帰るのよー」
「「「はーい」」」
 人生のやり直しを望んだ彼らは、長らく顔向けできなかった家族の元に帰っていった。



「…………」
 このあまりといえばあまりの出来事に、首謀者の松田は唖然とした面持ちで棒立ちになった。
「おめー、こうなっちまうこと考えなかったのか?」
「……ちっ」
 秋津のその一言に、松田は舌打ちをして残りのメンバーに目配せした。
 秋津以外の五人が乙女を取り囲む。実力行使に出るつもりだ。
「待て。もうやめとけ」
 松田が女になろうと知ったことではない。だが、何故か止めないといけない気がして、秋津は彼らと乙女の間に割って入った。
 「伝説の不良」を、こんなやつらに汚されたくなかった。その思いが秋津をして、乙女の盾になる選択をさせたのだ。
「秋津クンッ!?」
 驚く乙女を一瞥し、秋津は松田たちをにらみつけた。牽制のつもりだった。
 ところが五人はまったく躊躇せず、秋津に向かって手にした得物を振り上げた。
「ぐあっ! て、てめーらっ!!」
 さすがの秋津も五人を相手に、しかも乙女をかばいながらでは防戦一方だ。
「引っかかったな秋津。てめーの古臭い不良スタイルなら、そうくると思ったぜっ」
「なんだと?」
「自覚してなかったようだな。積極的にかかわろうとしない男連中の中で、お前だけは大原にからみ続けてたからな」
「お、オレが、コイツを……?」
 指摘されて衝撃を受ける。自分が乙女を意識し続けていたことを。
 殴られるより、そちらの方でダメージを受けた。
「さすがのてめーも手も足も出まい。大原もこいつを見捨てて逃げたりもできねーし、この混乱じゃお得意の能力も使えねーだろがっ」
 つまり、最初から秋津もろとも乙女を葬るつもりだったのだ。
 松田の場合、むしろ秋津に対する恨みの方が大きい。
「秋津クンっ! わたしは平気だから逃げなさいっ!」
「女見捨てて逃げるなんて真似できるかよっ! オレは男なんだっ!!」
 意地を見せるも、松田たちのチェーンや鉄パイプが容赦なく秋津の身体に浴びせられた。
 自慢の……そして憧れの存在を真似たヘアスタイルが崩れていく。
 本人の膝も崩れた。その場に倒れ伏す。
「秋津クンッ! しっかりしてっ!!」
 ストッキングが破れるのも構わず膝をついて秋津を抱きかかえる乙女。
 秋津はぐったりしていたが、眼光は消えていない。かすかに笑った。
「ひゃははははッ! いいざまだなぁ秋津ぅ! どうだっ、オカマに介抱される気分はよぉっ!」
 嘲笑する松田。屈辱を与えるべく、動けなくなったところで攻撃を止める。
「バカよ秋津クン。こんなになって──」
 冷たいものが、秋津の頬を濡らした。
 乙女は秋津を抱きかかえて、泣いていた。
「へへっ……お、オレはコイツらや……女になった連中とは違うんだ……男としての生き方を貫くためなら、し、死んでもいいって思ってる。……あの日、自分のガクランをズタボロにしてまでオレを助けてくれた、あんたのようにな──」
 秋津は朦朧としていた。「修」と「乙女」の区別をつけられないくらい。
「待っててね、いま救急車呼んであげるから」
「おおっとそうはいかねえぜ先生。あんたの場合は俺たちの『相手』もしてもらうからな」
 自分の下半身を指差し、下卑た笑い声を上げる松田。
 それを見つめる乙女の顔に一瞬、今まで見せなかった「怒り」が浮かんだ。
「あなたたちの弱い心、取り除かないといけませんね」
 静かな口調。そっと秋津を横たわらせると、乙女はゆっくりと立ち上がった。

「このゴッドファーザー大原乙女が、極楽へ行かせてあげるわ」

 一瞬、その気迫に飲まれた松田たち。
 だが、
「お、おお。常に優雅な笑みをたたえていた大原が、ついに牙を剥いた」
「ご、極楽にだと? 行かせてもらおうじゃねーかー」
「てめーのスカートの中身でな」
 五人は得物を手に、乙女に一斉に襲いかかった。
 しかし、乙女は攻撃を最小限の動きでかわし、そして柔らかく受け流した……それはまさに柳に風の如し。
 調子に乗って秋津をリンチしていた面々は、あっと言う間に息を上がらせ、動きを鈍らせた。
「無駄な動きが多い。昔のわたしのように」
「うるせぇぇぇっ!!」
 松田は手にした鉄パイプを振り回すが、まるで当たらない。
 とうとうバテて、その動きが止まる。
「ここからはわたしのターンね」
 乙女には珍しく挑発的なポーズをとる。左手を前に突き出して五人を指差した。

「さぁ、あなたたちの罪を数えなさい」
「今更数えられるかぁ」


 松田は鉄パイプを振り上げたが、その眉間に乙女の右手の人差し指が触れた。
 沼田、乱橋、進道、戸村たち四人も、同時に額へ一撃される。
 痛くもなんともない……ただ触られただけ。しかし、それだけで何故か戦意が霧散してしまう。
「お、俺たちは五人がかりで一撃も当てられなかったのに……」
「逆に、こうも簡単に俺たちの額に……」
「しかもなんだ? あの華麗な動きは……」
「う、美しい……」
「俺も……あんな風に──」
 全員が乙女のその動きに魅了された。つまり「負け」を認めた。

「バカが」

 秋津は半身を起こして短くつぶやいた。結末を悟ったのだ。
 そして……その通りになった。



 松田たち五人は、全員女子生徒にされた。
 それもやたらと華奢で小柄な女子ばかりだった。
 自分たちが支配しやすい姿──理想の異性に自分たちがなってしまったのだ。
 揃いも揃って150cmに届かない低身長。それでも肉体年齢は17才のまま。
 つまり女子が大きくなる時期を過ぎているので、もはやこれ以上背が伸びないことを意味している。
 松田元紀改め、「松田桃子」。
 沼田典也は「沼田夏樹」、乱橋竜太郎は「乱橋麗子」に。
 進道宗一は「進道 咲」、戸村哲郎は「戸村多恵子」と新しい名前をつけられた。
 この五名、支配欲が反転したしたせいか、このあとクラスでやたらと使われることが多くなった。

「やっちまったな……ま、オレも連中の仲間だったわけだからこんなこと言うのも変だが」

 よろよろと立ち上がった秋津が、笑顔を見せた。
「寝てなきゃダメよ秋津クン。今すぐ救急車を呼んであげるから」
「いらねえよ。ちょっと撫でられただけだ」
 その割にはふらついているが、それは「男の意地」というものだろう。
 乙女は笑みを浮かべると、秋津の胸に飛び込んだ。
「お、おい……?」
 男には無敵でも女には弱い。いくら元・伝説の不良でも今は女性。抱きしめる形になり、秋津は戸惑いを見せた。
「良かった。秋津クンが死ななくて」
「あのくらいで死にゃしねーっての」
 軽口を叩くが、乙女の嗚咽は止まらない。とうとう本格的に泣きだしてしまう。
 困り果てた秋津だが、胸を貸すことにした。そして完全に気持ちの整理がついた。
(コイツ……本当に女なんだな。なんだよこの狭い肩幅……)
 どこをどう見ても女性。そしてその涙が決定的だった。
(もうオレの憧れたあの人はいないんだ……そうか、追いかける相手はいなくなったのか……)
 秋津はやっとそれを理解した。一抹の寂しさが募る。
(コイツは違う……断じてオレの憧れた相手じゃない。間違ってもこいつに憧れるな。……あんな風になりたくないならな)
 秋津は少女に変えられた松田たち五人を一瞥すると、ある決心をした。



 翌朝。秋津の変貌に、Z組の全員が仰天した。
 トレードマークのリーゼントをやめて前髪を下ろし、不良スタイルも改めて正規の学生服を着てきたのだ。
「秋津クン、いきなり変わっちゃったけどどうしたの?」
「やだなぁ先生、更生させる立場がそれじゃ」
「え?」
「やめたんだよ。不良なんて」
 それだけ言うと秋津は自分の席についた。
(ツッパリってのはファッションじゃねぇ……生き方だ)
 秋津は乙女に対して、静かに闘志を燃やしていた。
(コイツは最後のプライドだ。たとえクラス全員が女にされても、オレは絶対に「男」を貫いてやるっ!)
 見た目は「まとも」になったが、内に秘めた「男の意地」はますます強くなった。
 不良スタイルを、あえて捨てさせるほどに。


次回、「ゴッドファーザー乙女」 最終回
「さよなら乙女先生」


あとがき

 起承転結の「転」です。
 タイトルこそ「ゴッドファーザー乙女」ですが実質的に主人公の秋津の心境の変化。
 いや。むしろ心の奥底にあるものに対する認識と言うべきか。

 この辺りは次回のラストで結実するかと。

 最初は単純に襲撃に乗ったものの土壇場で裏切って乙女を助けたために怒りの矛先が向いてのリンチと言うはずでした。
 しかし陰謀としたほうがまとまりやすくて変更しました。

「さぁ。お前の罪を数えろ」(元ネタの方)はこの話のためにキープしてました(笑)

 文中にもある通り「L」「Q」「X」はある人の助言から。
 この場を借りてお礼申し上げます。

 次回。「ゴッドファーザー乙女」最終話。「さよなら乙女先生」で、またお会いしましょう。

 お読みいただきありがとうございました。

 城弾










−おまけ「パロティ原典集」−

「ハンター・ミッション」
 今回のサブタイトルは、少年マガジンで連載していた「ハンマーセッション」から。
 「脳天に叩きこむ」と言う意味から転じて、「衝撃的授業」という意味。内容は、学園に逃げ込んだ詐欺師が教師に成りすまして問題を解決していくというもの。ちなみにここまでの三作のタイトルの元は、全て実写ドラマ化されている。

「女の子は柔らかくていい匂いがするものなのよ」
 永井豪先生の「おいら女蛮」の「悪夢」の場面。
 主人公の女 蛮子(すけ ばんじ)は夢の中で女体化していたが、転入先では手違いから女子生徒扱いに。

「『愛夢(あいむ)』ちゃん。……ううん、ちゃん付けより『愛夢姫』」
 「海賊戦隊ゴーカイジャー」のゴーカイピンクことアイム・ド・ファミーユ姫のこと。
 ちなみに衣装は描写の通り。

「教育と更生を求めて学校を渡り歩く一人の教師がいた──」
 同じく「ゴーカイジャー」のオープニングナレーションから。
 過去の戦隊ヒーローがゲスト出演する時と、そうでない時の二種類があるが、今回は後者のパロディ。

「源太郎」
 「仮面ライダーフォーゼ」の主人公、如月「弦太郎」のもじり。
 拙作「着せ替え少年」で多用したライダーパロディ。元ネタの登場人物の、名前の字面を変えるのがパターンだった。

「あのオカマはいつもそうだ。わけがわかんないぜ」
 「魔法少女まどか☆マギカ」に登場した、キュウべえの台詞「君たちはいつもそうだね」「わけがわからないや(よ)」から。

「宇宙キタ──ッ」
 「仮面ライダーフォーゼ」の主人公、弦太郎が変身直後に叫ぶ台詞。
 意味としては「宇宙のパワーが来た」。

「愛称・ほっちゃん」
 声優の堀江由衣さんの愛称が「ほっちゃん」。

「兄より優れた弟なんざいねぇ」
 「北斗の拳」の登場人物、ジャギの台詞。伝承者争いを義弟ケンシロウに負けたことで、激しい憎悪を燃やしていた。

「三行で説明しろ」
 「這いよれ! ニャル子さん」の、定番のやり取り。主にもう一人の主人公というべき八坂真尋がよく言う台詞。
 これに対して「四行」で返すのがお約束。

「序盤はヒロインだったのに──」
 「かってに改蔵」のヒロイン(笑)、名取羽美のこと。
 最初は主人公の勝 改蔵の方が変な奴だったが、回を追うごとにこちらが壊れてきて、「電波」キャラにもなっていった。

「北海道のどっかにあるレストランで──」
 「WORKING!」の舞台であるファミリーレストラン「ワグナリア」は、北海道にも店舗がある。
 日本刀下げているウェイトレスは、轟八千代のこと。

 ※ ちなみに上記三つ(八坂真尋、名取羽美、轟八千代)は、いずれも声優の喜多村英梨さんが担当したキャラクター。

「帝江州組」
 拙作「美少女組長奮戦記」に登場した、架空のやくざの組。

「こいつらと大原は」「以前にも出会っているっ」「こいつらとの間に何があったのかッ」
 「ジョジョの奇妙な冒険」第二部で、カーズ、エシディシ、ワムウの「柱の男」が目覚めた時の、主人公ジョセフ・ジョースターの台詞から。

「恥ずかしい……もう生きてはいけませんわ」
 「海賊戦隊ゴーカイジャー」第29話「アバレ七変化で新合体」でコスプレしまくったアイム姫が、その写真を残りのメンバーに見せられた時のリアクション。

「いわゆるひとつの」
 長嶋茂雄巨人軍終身名誉監督の口癖。

「このゴッドファーザー大原乙女が、極楽へ行かせてあげるわ」
 アニメ版「GS美神」(原作タイトルはこの後「極楽大作戦」とつく)での主人公。美神令子の決め台詞「このゴーストスイーパー美神令子が、極楽へ行かせてあげるわ」から。ちなみにあとから原作に逆上陸した。

「お、おお。常に優雅な笑みをたたえていた大原が、ついに牙を剥いた」
 「聖闘士星矢」の冥王ハーデス編の序盤で、寝返ったかつての同胞、デスマスクとアフロディーテに対して初めて攻勢に転じたのを表した元・教皇シオンの台詞。
 それにしてもあれが寝返ったふりという芝居なら、デスマスクの演技力はアカデミー賞ものである(笑)。

「ここからはわたしのターンね」
 「天装戦隊ゴセイジャー」の登場人物、ゴセイナイトの決め台詞「ここからは私のターンだ」から。

「さぁ、あなたたちの罪を数えなさい」
 「仮面ライダーW」の主人公コンビ、左 翔太郎とフィリップの決め台詞「さぁ、お前の罪を数えろ」から。

「今更数えられるかぁ」
 同じく「仮面ライダーW」の劇場版「A〜Z/運命のガイアメモリ」のゲストキャラ大道克己が、上記の台詞に対して切り替えした台詞。テロリストとして多くの罪業を重ねたゆえの言葉。

「バカが」
 コミック版「ゲッターロボ」で、大軍勢で攻めて来たメカザウルス軍団を道連れに、自爆という選択をした巴武蔵に対する神隼人の台詞。



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