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 ブロロロ・・・・・・・



 お昼過ぎ。一つの車が、奈緒達の居る波座間ビーチへとやって来た。


???:「ふー、やっと着いたか。」  そして一人の男が車から降り立つ。


???:「麻奈華が奈緒が『女の子』になったと聞いたが・・・・・」

 と、男が独り言を言っていると、その向かい側から一人の女性が走ってやって来た。

麻奈華:「あなた〜〜♪」

 その女性はそう、奈緒と浩、祐貴と藍の母親の麻奈華である。そしてこの男は、奈緒達の父親で、名前は『煎杜 戎壱(じゅういち)』。職業は刑事で、主に時効寸前になった罪人などの調査を行ういわゆる『時○刑事』というやつだ。つまり時効寸前な犯人がこの捕らえられる間に更生したのかを調査する刑事課。と言っても戎壱はただ逃げ回っている時効寸前の犯人だけを捕らえる刑事であり、調査し、その上で更生したと認定した犯人には特例で時効にすることが出来る。

 ※・実際にはそんな刑事課は存在しません(多分)。

 で、時効寸前の犯人は大抵の人数が沖縄かその周辺の離島、または海外へと逃亡しているが、外国だと時効期間止まってしまうので、国内のもっとも警備の低い沖縄へと雲隠れしているものが多い。それゆえ戎壱も奈緒が小学二年の頃に沖縄へと転任してきたのだ。

 そしてある程度奈緒達兄妹が大きくなった時期に奈緒達とその母親である麻奈華は沖縄から元々住んでいた関東へと戻ってきたのである。本当は戎壱も一緒に行きたかったのだがまだある程度残っていた為、一人単身赴任状態で沖縄に残っていたのだ。まあ、その戎壱の父親である祖父ちゃんもいる為、一人ではないが。

戎壱:「OH!麻奈華、元気にしてたか?って言うか何だその格好は!?」

 戎壱が驚くのも無理はない。何故なら麻奈華は先ほど(第七話にて)『O・H・C(オーク)』のフードファイトにてドクターをやっていたのだが、その格好が青色の水着に夏用の薄くて透けそうなほどのピンクのナース服を身に着けたままでこちらにやって来たからだ。

麻奈華:「えへへ〜♪ どう?興奮した?」

戎壱:「あ、ああ。もの凄い興奮した!」 っと顔を真っ赤にして答える。

麻奈華:「ありがと、あなた♪ ね、今夜。良いでしょう?」 こちらもモジモジしながら上目で言ってくる。

戎壱:「ああ、なんせ二年振りだからな。今夜は寝かせないぞう?」

麻奈華:「うふふ♪」

 っと惚気話をしながら二人は奈緒達がいる会場へと足を運んで行った。





奈緒の憂鬱
第八話:シュララ
作:SAYA




 忘れている人の為に登場人物紹介です♪(by佐夜)


 煎杜家

父: 煎杜  戎壱(じゅういち)職業は刑事。娘が大好きな父親。奈緒も好き。
母: 煎杜  麻奈華(まなか) 職業は医者。しかも自分の個人病院持ち。
長男:煎杜  浩(こう)    ルックス、学業、性格良しと自慢の兄貴。
 次男(長女) 那雄(奈緒)   主人公。指輪を取ると女の子になる。
三男:煎杜  祐貴(ゆうき)  藍と二卵性双子。エロ餓鬼。
次女:煎杜  藍(あい)    祐貴と二卵性双子。ブラコン。


 学校でのバンドメンバー(最近練習はしていないけど)

烏戒 明(うかい あきら)パート:ベース    奈緒の幼馴染で、現在関東地方にて、奈緒に似た女の子を捜索中。
緑山 和也(みのりやま かずや)パート:ギター 奈緒のクラスメートで意外な特技が大食い。
豊寺 理奈(ゆなでら りな)パート:ドラム   同じく奈緒のクラスメートで沸点が低い。
木野 灯(この あかり)パート:キーボード   世界的資産家『KONOグループ』の一人娘。


 沖縄時の古き友人とその周辺の人達。

 轟 剛(とどろき つよし)  奈緒が沖縄に居た時の友人。名前(漢字)が某スロットキャラに似ている。
 大城 ひなた         同じく奈緒の友人。剛と幼馴染で二人は恋人・・・・・・なのかな?
 比嘉 (名前未定)      奈緒のストーカーもどき。奈緒を見るだけで昇天するHENTAI。
 久保寺            『O・H・C(オーク)』のナレーション。後日再登場するかも?


 では本編へどうぞ♪




奈緒:「・・・・・・・・・・!?」  何となく身震いがした。

浩:「ん? 奈緒、どうした?」

奈緒:「いや、何か嫌ーな感じがして。」

祐貴:「嫌な感じ?」

奈緒:「ああ、突然父さんに後ろからハグされて頬擦りされた時くらいの感じ。」

藍:「え?お姉ちゃん、お父さんに頬擦りされるの嫌なの?」 と首を傾げて聞いてくる。

奈緒:「当たり前だ。何が悲しゅうて自分の父親に頬擦りされて喜ぶ息子がいるか!」

浩・祐貴:「「全面的に同意。」」

藍:「えー? 藍はお父さんのスリスリ、大好きだよ?」

奈緒・祐貴:「「「・・・・・・・・・・。」」」

浩:「奈緒、残念だがその例え、どうやらその通りになりそうだぞ?」

奈緒:「え゛!?」 俺が凍り付いた瞬間、

戎壱:「OH!MYドーター(我が娘達よ)♪」 と突然現れて俺と藍(丁度隣に居た)を後ろからハグした。

奈緒:「ひい!(凍)」 俺は小さく悲鳴を上げ、
藍:「んん〜〜〜〜♪」 藍は喜んで自分から父さんに頬擦りをする。

浩:「相変わらずだな、親父。」
祐貴:「うん。姉ちゃんが気の毒だ。」 と思いながらも助けようとはしない非常な奴等。

奈緒:「へ、ヘルプミ〜〜〜〜〜!!!」

 俺の悲痛な叫びが木霊した。





第五種目:トレジャーハンター

 このテーマパークがオープンして早五日。観光客や地元の人間にもあまり建物の奥までは知られていないし、パンフレットがあるからと言ってどんな物なのかすら知らない。ゆえにこれを一つの競技として案内してもらおうということなのだ。
 傍目、第二競技の案内リレーに似ているような気がするが、あれは失敗だったらしい。何せゆっくりと説明出来なかったらしいのだ。まあ、俺達が走ってる間にナレーションの久保寺が全部を説明するなんて無理に等しい。

 って事で、今度はこのテーマパーク(約、東京ドーム6つ分の広さ)を宣伝すべく、各地に隠されている宝箱全部で400個以上(多いよ!)を探す競技だ。制限時間内に宝箱に入っているポイントを出来るだけ多く集めるのだ。つまり、現在最下位のチームもここで挽回できたりする絶好のチャンスなのだ。

 勿論全部が全部、お宝(ポイント)という訳ではなく400個以上もある箱の内、約100個はBAD箱、つまり減点になるのだ。そしてそれは現在の総合ポイントから引かれる事になる。だから最初からBAD箱を引きまくるとトップどころか最下位にまで落ちる可能性もあるのだ。現在総合トップの俺達にとっても何の優越感もない。

 ちなみに今、順位はこうなっている。

一位 奈緒チーム:350P

二位 東流チーム:310P

三位 ─────:170P

 っと、ただえさえ東流チームとの差が40Pしかないのだ。油断は禁物。



浩:「って事で、西側が和也と理奈。東側がひなたと剛。北側が俺と奈緒だ。中央は後回しだ。」

ひなた:「東側・・・・・アミューズメントパーク側ね。」

和也:「西側はホテル側か。」

剛:「何で奈緒達はビーチ側何だ?」

理奈:「向こうはね、聞いた話だと海の中にも箱があるらしいの。長時間潜って探せるの、奈緒と浩さんしかいないから。」

奈緒:「・・・・・・・・・・・・・・・・。」

浩:「親父・・・・・そろそろ奈緒から離れたらどうだ?」

戎壱:「えーーーーーー?」 不満そうな声を上げる。

浩:「えーじゃない。」

戎壱:「うー。せっかく奈緒が本物の『娘』になったっていうから飛んで来たってのに・・・・・」

浩:「まさかとは思うが、それだけの理由で会いに来た訳じゃないよな?」

戎壱:「当たり前だ。まあ、それについては夜にでも話そう。」

浩:「分かった。分かったからいい加減奈緒から離れろエロ親父。」

戎壱:「むぅ・・・・・・」   渋々奈緒から離れて母さんの下へ行った。

剛:「・・・・・・じゃあ、行くか!」

全員:「おーー!!」





 第五種目のトレジャーハンターはただ決められた場所を探す物じゃなく、1チームに渡された三つの携帯にメールでヒントが出てくるという実にハイテクと言うか何というか。

 最初にそれぞれ一つの携帯に三つのヒントがあり、宝箱を開けたり、時間が経つ毎にどんどんヒントが増えていくというシステムだ。ただ、BAD箱にはヒントが無い為、ヒント外の箱を開ける時は注意が必要だ。そして制限時間は午前十一時〜午後五時までの六時間となっている。長いがこれ位時間が無いと探すのに無理らしい。

 ちなみにどうでもいいけど今の俺の格好は女の子のお嬢様風バ−ジョン(水色のビキニと黄緑色の長いパレオ使用)

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 海側は俺と兄さんのエリア。俺と兄さんは海に潜って、ヒントにある『珊瑚の下×15個』を頼りに珊瑚の下周辺をくまなく探していた。

奈緒:「・・・・・・・・・・・(兄さん。これはどう思う?)」 何故か水中を漂っている金色の箱を掴んだ。

 何故か水中に浮かんでいた、いかにも怪しそうな金色の箱を掴み、兄さんに見せる。

浩:「・・・・・・・・・(触らぬ神に祟り無し、だ。ほっとけ)。」

 ちなみに支給されている携帯は完全防水で水中でも使用可能である(通話は不可)

奈緒:「・・・・・・・・(OK。んじゃこれは比嘉さんにでもあげますか♪)」

浩:「・・・・・・・・・(なかなか酷いなお前・・・・・)」

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 ホテル側の和也達──────────

和也:「ひ、ひぃぃ!!(トラウマ)」
理奈:「ひぇぇぇぇ!!(ある意味トラウマ)」

 先ほど糸数に吹っ飛ばされた和也はトラウマになっていた。理奈の場合、身体ががたい糸数が着ているかなりアンバランスなビキニ姿に恐怖感を持ってしまっていた。まるでジャ○子だ。

糸数:「・・・・・何よ?(野太い声)」 悲鳴を上げる二人に対し不機嫌な声で問う。

和也・理奈:「「な、何でもありません!!(怯)」」

金城:「ジャイ子。あまり怖がらせるな。怯えてるじゃないか。」

糸数(ジャイ子):「誰がジャイ子よ!!」

 ドゴン!!

金城:「チュらさん!!」 変な奇声を上げながら金城が視界内から吹っ飛んで見えなくなった。

和也・理奈:「「おおう!(汗)」」

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 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 アミューズメント側の剛達────────

ひなた:「・・・・・で、どうするのよこんなにたくさん・・・・・・・」 思わず溜め息が零れる。

 それは仕方ない事で、その理由は、目の前にある大量の宝箱。

剛:「一つ一つ直感で開けていくしかないだろ───っと。」 剛が一つ手に取り、開けた。

ひなた:「・・・・・また10P?」

剛:「・・・・・・・ああ。」

ひなた:「ま、まあ、『塵も積もれば山になる』って言うしね(苦笑)」

剛:「積もってもまだ100Pしかないだろうが!!」

 そう、ここまで剛達が開けた箱、全て10Pなのだ。実に割りに合わない計算だ。

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 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

奈緒:「もう!お父さん、いい加減離してってば!!」 周りには人が結構いるため男言葉が使えない。

戎壱:「う〜ん。スリスリ(喜)」

奈緒:「ひぃぃぃぃぃ!!!!(悲鳴)」 父さんは髭こそ生えていないが、男にスリスリされるのは嫌だ!

麻奈華:「もう!貴方だけずるい!私もする〜!スリスリスリ・・・・・・・」

奈緒:「うひゃあああぁぁぁぁ!!!(奇声)」

浩:「すまん奈緒。頑張ってこの腐親の相手をしててくれ。後は任せろぅー!」  ピューーー!

 と、両親の愛(?)を嫌々受ける俺を他所に兄さんはそそくさと宝探しを続行した。

奈緒:「お兄ちゃんの薄情者〜〜〜!!」

 もはや自分が何を言っているのかすら分からない・・・・・・・・・





 そして、午後五時半過ぎ。もうほとんどの宝箱が開けられ、時間も残っている箱も数えるほど無い。もうこの頃にはほとんどのチームの全員が集合し、ポイントの計算や、自分が行かなかった所はどうだったか、などと話を膨らませていた。そして俺達も結果が出る会場へと集合した。依然俺の両脇には母さんと父さんがベッタリと張り付いて離してくれない。正直ウザイ。

剛:「・・・・・っとこれで全部か?」

理奈:「うん。多分これで合ってると思う。」

和也:「はぁぁぁ!つっかれたーーーー!!」  ポキポキを伸びをする。一体何があったんだろう?

ひなた:「後はもう結果を待つだけだよね?」

浩:「ん〜、そうだな。時間はまだあるけどもうほとんど残ってないしな。」

灯:「ん?ねぇ奈緒ちゃん。その箱は何?」 灯が俺の腰に括り付けている金色の箱を指して言う。

奈緒:「ふぁぁああwww・・・・・ん?ああ、これか?これはな・・・・・」 っと言おうとした時、

比嘉:「おーい!奈緒ちゃーん!」 っとこれまた五月蠅い人がやって来た。

奈緒:「比嘉さん。何ですか?」 精一杯の(引きつった)笑顔で返事する。

比嘉:「いやだなあ。奈緒ちゃんが呼んだんじゃないかー。」 っと笑顔で歯をキラン(☆)っと輝かせる。

奈緒:「そういや、そうでしたね。・・・・・はいこれ。」

 っと初番で手に入れていた金色の箱を比嘉さんに渡す。一瞬『迷った』が今の俺達の総合計ポイントは約800P前後。もしこの箱が100Pだったとしても最後の競技で何とかなるはずだ。

比嘉:「な・・・・奈緒ちゃん。これ、本当に貰っても・・・・・・いいの?」 何故か恐る恐る聞いてくる。

奈緒:「いいんですよ。サクッと貰っちゃってください。私からのプレゼントです♪」 自分で自分の事を『私』と言ってて違和感が無いのは恐らく女の自分に慣れてしまったんだと思う。慣れって怖いね。ホント。

比嘉:「な、奈緒ちゃん!!」 何故か両手を握られた。

奈緒:「・・・・・え?」

比嘉:「ありがとう!!この恩は絶対に忘れないぜ!!」 っと本当にサクッと俺から箱を持っていった比嘉さん。





奈緒:「一体何だったんだろうね。あれ?」

浩:「って何をあげたんだ奈緒?」

奈緒:「ん?あ、ほらさっきの金色の箱のやつ。如何にもって感じの箱だったじゃん?」

浩:「いや、それはそうなんだが・・・・・・・・」

 っと、二人で話していると、

ひなた:「そういや理奈ちゃん。『SP(スペシャルポイント)』っていう箱、見た?」

理奈:「え?それってあの『ヒント』のやつ?」

和也:「俺達は見てないな。それ。」

剛:「やっぱ見てないか。」

奈緒:「え?何、その『SPヒント』ってのは?」

浩:「そういや俺達にはそのヒントが来なかったな。」

ひなた:「浩兄さん達も見てなかったんだ?」

奈緒・浩:「「ああ(うん)。」」

理奈:「そのヒントって言うのはね。『水中に漂う者』だって。」

剛:「ん?そっちはそれか?俺達は『ごーるでんぼっくす』って書いてあるぞ?」

奈緒:「『ごーるでんぼっくす』?」  =金色の・・・箱・・・・・?

浩:「・・・・・・・奈緒。お前がさっきまで持っていたのって・・・・・・・」

奈緒:「いや、まさか・・・・・。偽物・・・・・なんじゃないの・・・かな・・・・」 そう思いたい・・・・・。

理奈・ひなた・和也・剛:「「「「・・・・・・え?(ま、まさか!)」」」」

灯:「奈緒ちゃん・・・・・やっちゃったねwww」 胸で十字を切る真似をする灯。





 結果として、あの『箱』の中身は1000Pだったそうで、比嘉さん達『東流チーム』は−190Pから一気にトップへと躍り出て、わずか10Pの差で俺達は二番手になってしまった。ちなみにこの競技中、『東竜チーム』は開けた箱のほとんどがBAD箱だったらしく俺がアレを渡してなかったらドベ(最下位)だったらしい。

剛:「ま、すんなり優勝が決定してしまうのも面白くないしな。」

和也:「・・・・全部10Pしか出なかった奴がよく言うよ。」

ひなた:「・・・・・・・・・・・・・・・・・(苦笑)」

理奈:「と、ところで、(こほん)。最終競技は『ビーチバレー』だったよね?」

奈緒:「うん。六人でやる普通のバレーだけどね。」  ・・・・・・・・・むぅ。

 先ほどの(比嘉さんに1000Pの金箱を上げてしまった事)罰として俺はしばらく『女』でいるときの間、こいつ等の前で『男言葉』を使う事を禁じられたのだ。バイトである程度慣れてしまっていたとはいえ、ずっと女言葉(中性的な言葉は可)を使っていると頭の中まで女の子思考になってしまいそうだ。

奈緒:「・・・・・・・・・・・・・・」

灯:「うー!しおらしい奈緒ちゃんもキュートで可愛い!!」

奈緒:「わぁ!?」  いきなり後ろから灯に抱きつかれた。

灯:「うーん。良い匂いだよぅ〜・・・・・」 と、マタタビをあげた猫みたいにスリスリしてきた。

奈緒:「ちょ、ちょっと灯、胸、胸当たってるってば!!」 灯の豊かな双山が俺の右腕にソフトタッチしている。

灯:「いいじゃない。『女の子同士』なんだから♪」 っと俺の意見を一蹴した。

奈緒:「だから違うってばぁ〜〜〜〜〜!!!」 いや、違わないけどさ・・・・・・・





最終競技:『ビーチバレー』

 ビーチバレーといってもこの競技は砂浜でやる普通の六人制でやるバレーだ。そう、普通のバレー。

 第五種目が終わった瞬間に17チーム中、上位4チームが最終競技に参加することになる。

 現在トップは『東流チーム』。次に俺達だ。後の三位と四位の名前はどうでもいいか(酷い扱い)。んで、俺達もそして東流チームの皆さんも只者じゃない為、三位、四位のチームをことごとく撃沈させていった(ホントに酷い扱い)

 そしていよいよ長かった大会(実質一日しか経っていないけど)もこの決勝で終わりだ。

奈緒:「長かったね・・・・・・・」
浩:「ああ、軽くこの大会だけで半年位経った気がするな。気のせいだと思うが・・・・・・」

 うん・・・・・本当に長かった。マジで(by作者)

和也:「んっしゃ!さっさと終わらせて優勝するぞ!」
剛:「ああ、誰かさんの所為でこうなってしまったが、四の五の言ってられないしな。」
ひなた:「剛。あまり奈緒を苛めたら死んじゃうよ?」
理奈:「いや、ウサギじゃないんだから(笑)」
灯:「ん〜♪」
奈緒:「灯、いい加減、離してよ・・・・・・・」



久保寺:「さあ!泣いても笑ってもこれが最後の試合(競技)だぁ!」

浩:「何かやたらとテンション高いな?」

藍:「これが最後だからじゃないかなー?」  いつの間にこっちに来たんだ?

祐貴:「名残惜しいってやつ?」

奈緒:「・・・・ってか何であんた達がいんの?」 今、さらっと自然に女言葉になってなかったか?

祐貴:「何でって、なあ・・・・・?」  祐貴が藍の方を見る。

藍:「せっかくお姉ちゃんがドレスアップしてるってのに見に来ない訳がないよー。」

 今、俺の格好はさっきの清純派ビキニ(+パレオ)ではなく、昨日みたいなポニテの黒ビキニでも無く、闘神の炎をイメージした赤のビキニ、そして黒のパレオ(さっきのよりは少し短いやつ)の格好だ。ちなみに髪は一本に纏め、後ろに垂らし、さらに垂れている髪を包帯か何かでグルグル巻きにされている。まるでミイラだ。

 格好がコロコロ変わっているが、要は活発な看板娘→清純なお嬢様→バーサーカー(闘神)な順になっているらしい。


祐貴:「姉ちゃんも大人になったなー(笑)」

奈緒:「うるさい。好きでこんな格好してる訳じゃないの。・・・・って祐貴、鼻血出てるよ?」

祐貴:「おおう!?」 気付けばダラダラと流れ出てるじゃないか。

奈緒:「ほら、上向いて。」 安っぽいハンカチで祐貴の鼻を押さえてやる。すると、

 「お姉さまー!私(あたし)のも拭いてーー!!」

 と、祐貴同様、女の子の集団が鼻血をダラダラ流しながらこちらに走ってきた。(多分中学生以下)

奈緒:「わぁーーーーーーww!!?」  あっという間に俺は少女軍団の波に飲まれ込まれた。

剛:「まるでバイオハザードだな。」





糸数:「ふははははぁww!!」

 ドン!

理奈:「きゃあ!」 糸数(がたい女の人)が打ったスパイクが容赦なく理奈に当たる。それも一度ではない。

和也:「理奈!」  思わず駆け寄る和也。

理奈:「だ、大丈夫、大丈夫だから。」 っと無理矢理笑って自分で立とうとする。

奈緒・浩・剛:「くっ・・・・・・。」 俺達はただ苦虫を噛む事しか出来ない。

 この最終戦。俺達は苦戦を強いられていた。相手は比嘉さん以外全員が武術家だけどこっちは理奈とひなたが素人だ。この二人を護ろうとすれば穴が開き、そこに決められる。かといってこの二人から少しでも離れると今みたいに強烈なスパイクが容赦なく理奈とひなたに襲い掛かるのだ。ひなたの方は中学の時バレー部だった為、辛うじて受けられるが、理奈の方は全くの素人。あんな強烈なスパイクを見切れるはずが無い。・・・・・ああ、ちなみに和也は頑丈だから当たっても大丈夫だろう。多分。

糸数:「ふはははぁ!弱い弱いィ!!」 ガアアアア!!っと雄叫びを上げる糸数さん。正直コワイ。

金城:「糸数。もう少し落ち着け。みんなが引いてる。」

 確かに。この一方的な試合展開により、場が完全に引いてしまっているのだ。かといって中止には出来ない。

糸数:「うらあぁぁwww!!!」 ドカン!

 ドンッ!

理奈:「きゃああ!!」 咄嗟に手でガードしたものの、完全に力を流せずに吹っ飛ぶ理奈。

和也:「くっ。この野郎、卑怯だぞ!さっきから理奈ばかり狙いやがって!」

浩:「和也、やめろ!」 兄さんが糸数に向かっていく和也を止めた。

和也:「─────っくそ!」 やるせない怒りが和也を焦らせる。

 すると相手側から声がかかった。

許田:「ごめん・・・・・でも、俺達も負けられないんだ。どうしても・・・・・・」

 その声にはとても悲しい感じがした。・・・・・・・けど、

奈緒:「どうしてこんな事を・・・・・・」

許田:「それは・・・・・・・」

糸数:「次、行くぞ!!!」

剛:「奈緒!来るぞ!!」

奈緒:「む!」

 沈黙の中、誰もがまともに動けず、ただただ相手(糸数)の放つスパイクを受けるしかない・・・・・と思われた。その時、

和也:「っ!?理奈、危ない!!」 和也が危険を察知して理奈に駆け寄る。

 今まで糸数は放ってきたスパイクを胴体、つまり頭だけ避けて打ってきたのだ。そりゃあそうだろう。頭などの危険球をそう何度も放てば退場ものだからだ。しかし今、その軌道がズレたのかその球が理奈の頭部に目掛けて飛んで来た。その危険を察知し、咄嗟に理奈を庇おうとした和也だったが、


 ドゴッ・・・・・・


和也:「ぐはっ!?」  和也が理奈を庇ったが、庇った場所が悪かった。

理奈:「え・・・・・?」

 身体と頭の中間、そう、首の横にクリーンヒット。頚動脈直撃だ・・・・・・・。

 その衝撃に耐え切れず、和也の身体が吹っ飛ぶ。

理奈:「かず・・・・・や・・・・・・」 吹っ飛んだ和也をただ茫然と見つめる。

奈緒・灯:「「和也(君)!」」

浩:「お、おい・・・・ヤバイんじゃないか?」

剛:「かなり危ない当たり方したぞ・・・・・」

久保寺:「し、CMだ。早く! 放送事故だ!」

ひなた:「は、早く救急車、いや麻奈華さんを!!」





奈緒:「和也、和也!しっかりして!」 ペチペチと和也の頬を叩くが反応が無い。

浩:「母さん。こっちだ早く見てくれ!」

麻奈華:「ええ・・・・・・」 奈緒を下がらして和也の容体を確認する。



 向こうでは東流チームが『ワザとではない』と抗議しているが、これはそういう問題ではない。俺達が気にしている事は、別に和也の容体がどうのこうのという事ではない。それ(和也が犯られた事)によって生じる『別の』問題だ。

ひなた:「理奈ちゃん、大丈夫?」 ひなたが放心状態の理奈に声を掛ける。

理奈:「・・・・・・・・・・r・・・・。」 が、理奈は何かボソボソと呟いている。

ひなた:「え?理奈ちゃん・・・・・?」 様子がおかしい理奈の肩に手を掛けようとした時、

理奈:「私の、和也に、何してくれとんじゃワレコラ────ww!!!」
 金髪にはなってないが、某、七玉龍(ドラ○ンボール)の主人公みたいに頭の髪の毛が全て逆立っている。おお・・・・・


奈緒:「ああ・・・・。やっぱり切れちゃったよ・・・・・・」

ひなた:「え?ええ!? ちょ、理奈ちゃん!?」 違う意味で心配し始めるひなた。


 ・・・・・そう、理奈は切れやすいのだ。通常時、和也が抑制剤代わり(つか身代わり)になる為、最近は滅多に切れる事はなくなったが(あくまで一緒に行動している時は見ていない)。その抑制剤の和也が気絶しているという事はどうなるか俺達にも分からない。下手したら俺達にも火の粉が飛んでくる恐れもある。


理奈:「ク○○ンの事か─────────www!!!?」

剛・浩:「「「いや、そんな事誰も何も聞いてないし。」」」  思わず突っ込む兄さんと剛。

 いきなり理奈が切れた事で、周りにいた大会関係者、ホテル管理者、そして観客や東流チームの全員が理奈に注目した。

ひなた:「あ、理奈ちゃん!?」

 いきなり切れて訳の分からない事を口走った理奈は急に走り出した。その進路先には和也を気絶させた糸数がいる。どうやら今回は無差別攻撃ではないらしい。思わず俺達(奈緒、浩、灯)はホッとした。

理奈:「ハアアアアアアアア───────────」

 もの凄い勢いで突進していく理奈。流石に向こうも驚いてはいたが、糸数だけは冷静に武術の構えを取っていた。

理奈:「アアアアアアアアア───────────!!!」

 そして理奈は糸数との間合いに入り、攻撃しようと殴りかかった。が、

糸数:「ギガントナッコゥ(ナックル)!!」

 ドゴン!!

 リーチの違いからか、理奈の拳は糸数には届かず、逆に糸数の拳が理奈の顔面にめり込んだ。そう、マンガみたいな感じで。ひなたと灯、その他のほとんどのみんながその光景を直視出来なかった。

 あんな小娘(少女)が切れたところであんな巨体女に勝てる訳がない。

 多分、俺と兄さん、灯以外はそう思ってるんだろう。実際そうだったらよかったが、実際は違う。

 ガシッ・・・・!

 四、五秒位だろうか。理奈の顔に糸数の拳がめり込んでいたが、理奈は逆の手で顔にめり込んだ拳を剥がした。

糸数:「・・・・・んな!?」 これには流石の糸数もビックリ。そして、

 ドゴン!!!

糸数:「ふぐぉ・・・・!?」

 一瞬にして糸数の懐に入り込んだ理奈は油断した糸数の腹部に下から拳を入れた。どこにそんな力があるのか、90kgもある巨体を2、3メートルも浮かせた。もちろん理奈の怒りはこれだけでは終わらない。糸数を上空へと舞い上げた理奈はすかさずジャンプし、目にも止まらぬ攻撃で糸数を瞬殺した。その所要時間、2秒。ようやく理奈が着地した時、糸数はもはや原型を留めてはいなかったが死んではいなかった(らしい)。

奈緒:「お〜い、理奈〜〜〜〜〜?」 恐る恐る声を掛ける。

理奈:「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」 返事が無い。ただの屍のようだ(笑)

 思い切って声を掛けようか迷ったその時、

 ガシャン・・・・・・

比嘉:「あ・・・・・・・・・」  バケツに躓いた比嘉。

理奈:「・・・・・・・・・・」  理奈が比嘉を見る。

比嘉:「も、もしかして次、俺・・・・っすか?」  恐る恐る理奈に問うが理奈は無言で比嘉に近づく。

理奈:「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

比嘉:「ひ、ヒィィ!?」 足の速さには自信があるという比嘉。理奈が来る前に逃げようと真っ先に駆け出した。が、

 ガシッ!

比嘉:「うわぁ!?」 一瞬で追いつき比嘉の頭を鷲掴みにする理奈。その姿はまるで修羅だ。


 ──────────うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ──────────


 比嘉の悲鳴が木霊した・・・・・・・・・・・



奈緒:「ヤバイな。理奈の奴。完全に無差別モードに入ってるよ・・・・・・」

灯:「それより、急いで避難しないと大変な事に・・・・・・」

浩:「・・・・・もう遅いと思うけどな。」

 先ほど糸数が殺られた時は皆、硬直して動けなかったが、比嘉が殺られると同時に理奈に危険を感じたのか、周りの人達がいっせいに逃げ出した。しかしそれはやってはいけない事で・・・・・・・

理奈:「・・・・・・・・・・・・・(ギロリ)」 逃げ出す人達をキョロキョロと見る。

剛:「一体どうするつもりなんだあいつ?」

奈緒:「さぁ? 予測出来たら苦労はしないよ。それよりも俺達も逃げないと。」

浩:「いや、それも難しいな。ほれ。」 諦めた表情で理奈を指差す兄さん。・・・・・・・え?

 理奈は既にボコボコにした比嘉の両足を掴み、何とジャイアントスイングをし始めたではないか。ただトドメとして比嘉を投げつけるなら別にいいが兄さんが言っている事はどうやら違うようだ。

浩:「ある程度覚悟してはしておけよ。」 っと兄さんは近くの岩にしがみ付いた。

奈緒:「え?兄さん?」  何やってんの?

剛:「な、奈緒。何か俺達、あの理奈に吸い寄せられている様な気がするんだけど?」

奈緒:「え?・・・・まさかだろ? おい灯、逃げ────」  灯に『早く逃げろ』と言おうとしたが既に灯は避難していた。

剛:「や、ヤバイぞ・・・・。ひな────」  剛もひなたに『逃げろ』と言おうとしたがひなたもまた既に避難していた。


理奈:「─────────────────!!!」


 理奈のジャイアントスイングはどんどん規模が大きくなっていき、そして、





 理奈の起こした大きな竜巻は、沖縄県以外の都道府県(沖縄の方言で『内地』という)にも知られることになる。

女性アナウンサー:「突然ですがここで臨時ニュースです。先ほど沖縄南部で台風12号が発生しました。近隣住人の方々はくれぐれもご注意下さい。」

男性アナウンサー:「熱帯低気圧も発生していないというのに突然発生するとは、これも温暖化の影響ですかね?」


明:「おお・・・・・さすが沖縄・・・・・・。」  家でゆったりしていた明(久々の登場)。

明:「・・・・つか、奈緒達大丈夫か?巻き込まれてなきゃいいが。」  と、ジュースを飲みながら心配する。





 一方、そんな明の心配事が見事に的中している俺達は、砂浜を這う様に理奈から遠ざかろうとしていた。すると、

和也:「──────っく。な、何だ一体?」 目を覚ました和也。

奈緒:「和也!」 俺はすかさず和也を呼ぶ。

和也:「え?奈緒?一体どうしたんだこれは?あの竜巻は一体・・・・・・」

奈緒:「ごめん!後で謝るから許して!」

和也:「え?何────っぐおぅ!?」

 せっかく目を覚ましたところ悪かったけど、和也と蹴飛ばして理奈の方へと飛ばした。

剛:「お前、酷い奴だな・・・・・・」

奈緒:「だってこれしか手が無かったの!!これで止まってくれたらいいけど・・・・・・」


 ────────ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ──────────


 竜巻の中から和也の悲鳴が木霊した─────────。

 つづく。





 ・・・・・・・っと言うわけでどうでしたか?もう大会だけの話が長すぎて長すぎてまとめるのも大変なんですよ。PCだって持ってないから学校か、ネットカフェからでしか更新出来ないし、ネットカフェだとお金も掛かっちゃうし・・・・・・


 と、とにかく今回で大会編は終わるので、沖縄編は次で終わりです。何かこう、もうちょっと沖縄っぽい雰囲気が出したかったのですが沖縄ってどういう所だったかなって忘れかけているので観光地なんかも『ちゅら海水族館』くらいしか知りません(汗)。あとは南部にある平和記念公園(遊ぶところじゃないし)くらいかな?


 二話以降出てこなかった明も次で復活する予定で、学校編(二学期)では他のTS小説にもあるような他の生徒との絡みもあるので是非ご期待下さい。


 ではオマケ(?)をどうぞ♪





 《──佐夜と明──》

佐夜:「はああああああああああ!!やっと書き終わったあぁぁぁぁぁ!!!」

 ポキポキポキポキ・・・・・・・・・・・・・(背伸びをする音)

明:「あの・・・・・佐夜さん?」

佐夜:「ん?どしたの、暗い顔して?」

明:「ナオちゃんは一体、どこに居るんですか!?」

佐夜:「おおう!?(汗)」

明:「有力な情報を手に入れてるってのにどこにもいないんですよ!?・・・・って、こら!目を逸らすな!」

佐夜:(明って本当に鈍いね・・・・・)

明:「目を逸らすって事はナオちゃんがどこにいるのか知ってるんですね!?」

佐夜:「いや、知ってるけどそれ言っちゃったらこの話、終わっちゃうよ?それにね─────」

明:「そんなの関係ねぇ!!」

佐夜:「・・・・・・・えっと、小○よしお?」

明:「ネタじゃない!とにかく教えて下さ──────(消去)」

佐夜:「・・・・・だから言ったのに。いや、言う前に消されちゃった(笑)」

灯:(ここにも犠牲者が・・・・・・)






 ────────ではまた♪

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