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 幼き頃の夢。六日目────────────
 
 
 ドゴンッ!!!
 
 小さな島のどこにでもある道場から何かが壁にぶつかる音がした。
 
 
 「いたい・・・・いたいよぅ・・・・・(泣)」 そこには幼い頃の俺(ナオ)が頭を抱えて蹲っていた・・・・・
 「はぁ・・・・はぁ・・・・・」 そしてその隣には同じくボロボロになった兄さんがお腹を抱えていた。
 
 「コラァ!! 誰が休んでいいと言った!!? 立たんか!!!」 少しだけ若い祖父ちゃんが怒鳴る。
 
 ナオ:「い・・・いやだよぅ・・・・・いたいよぅ・・・・・・」
 コウ(浩):「じ・・・・じいちゃん。こんなのむりだよ。もう体、動かないよ・・・・・」
 
 「やかましい!!いいから立て!!やったー(お前等)のその曲がった性格叩き直してやる!!!」 
 
 「「っ!!?」」 幼い頃のナオ(俺)と兄さんはこの時から生きた心地がしなかった・・・・・・
 
 幼い頃の俺はあー君こと烏戒明との再会を誓った後、藍と祐貴は転勤した母さんと元から単身赴任している父さんの下へ。俺と兄さんは祖父ちゃん達に引き取られた。そこで初めて会った祖父ちゃんは俺達を見て
 
 「男の子たるものが女の子の格好をしてるとは何たることだ!ワン(わし)が鍛えてやる!!」
 
 といい、もはや虐待の粋を超えたようなしごきが始まった。それはもう俺達にとって地獄に他ならなかった。母さんの所為でこんな格好をされ自分を女の子だと思い込んで過ごしてきた日々。それを祖父ちゃんの手で強制的に男へと戻されたのだ。親や祖父ちゃんを怨んだり、自殺しようかとも考えた。けどそんな度胸も無く、一緒にしごかれている兄さんや唯一俺達に優しくしてくれる祖母ちゃんや友達(ひなたと剛)を残して一人で向こうの世界には行けなかった。
 
 けどそれは今となっては俺は祖父ちゃんに感謝している。もしあのまま明と一緒にいられてもいつかは絶対に俺が男だとバレていたからだ。だから今はもう祖父ちゃんは怨んではいない。
 
 
 
 けど・・・・・・・・・・
 
 「あー君・・・・・あー君・・・・・・・(泣)」 時刻は夜十時辺り、身体中を痣だらけになったナオが布団に蹲り静かに泣いていた。握り締めたその手にはあー君から貰った指輪を握り締めて。
 
 「あー君・・・・・帰りたいよ・・・・・・あー君たすけてぇ(泣)」
 いつしかその泣き声は布団の外に漏れ出し、隣で寝ていた兄さんの耳に入る。そして、
 「・・・・・ナオ、泣くな。」
 
 「ぐすっ・・・・・おにい・・・ちゃん?(涙)」
 「ナオ。あきらに会いたい?」 
 「うん・・・・あいたい・・・・・あー君にあいたいよぅ・・・・・・」
 「そっか・・・・・でもごめんナオ。今は無理だよ。大きくならないとあきらに会えないんだ。」
 
 「ひっく・・・・なんで?・・・・あー君・・・・あー君」
 いつまでも泣き止もうとしないナオをコウ(浩兄さん)はナオを優しく抱きしめた。
 
 「でもだいじょうぶだよ。いつか・・・いつか僕たちが向こうに・・・あきらに会えるときまで僕がナオをまもるから。だから泣かないで。」
 
 「ぐすっ・・・・おにいちゃん・・・・・・おにいちゃん・・・・」 ナオもコウを抱きしめる。
 
 俺たちは同じ傷(生傷)を負った者同士互いに慰めあった。そしてこの頃から兄さんは俺(ナオ)を祖父ちゃんから護ってくれた。その所為でいつもボロボロになる兄さんを俺は誇りに思い自らも進んで祖父ちゃんに向かって行った。当然その後両者ともズタボロになるのは言うまでも無い。



奈緒の憂鬱
第六話:O・H・C(オーク)
作:SAYA


 
 〔第一種目 ビーチフラッグ〕  出場者:奈緒
 
 「ヌオオオオオオーーーーー!!!!」 
 
 競技用のピストル(?)の音と共にうつ伏せの状態から立ち上がり、二百メートルというちょっと長い距離の先にある旗を取りに行く。当然旗に限りがあるため足に自信が無いと負けるのは必然。 
 
 幸い俺達六人(奈緒、浩、和也、理奈、ひなた、剛)の内、一番足が速い俺が出ることとなり、そしてどんどん勝ち上がっていく。
 
 「うりゃーーー!」 っと女(?)らしからぬ掛け声と共に旗に飛び付く。
 
 
 そして、
 「よっしゃあーーー♪」 と旗を揚げながら喜びの声を上げた。
 
 すると周りから歓声が上がる、
 「うお!さすがナオちゃん。早いな」「ナオちゃんカッコイイ!」「萌え萌えだー♪(?)」「こっち向いてナオちゃーん」「エロカワー♪」「お姉様ーーーー!!」「・・・・・・・(悶絶した人)」
 
 俺はその集団の人たちに苦笑しながらも、とりあえず笑顔で手を振ってその場を後にした。
 
 
 剛:「何か凄いな奈緒・・・・・・」
 ひなた:「うん。かなり凄いね奈緒・・・・・」
 
 奈緒:「そ・・・そんなことは無いさ。相手の何人かだって途中で転んだ人もいたしスタートダッシュも良かったからな。」
 
 和也:「いや奈緒。みんなが言ってるのはそこじゃないぞ?」
 奈緒:「へ?どういうこと?」
 
 理奈:「気付いてないの?あんたが活躍するたびに何故か、あんたのファンが増えてることに。」
 浩:「ああ、まだ三回しか走ってないのにもう老若男女ほとんどお前のファンになってるぞ?特に小さい女の子中心にモテモテじゃないか(笑)」
 
 灯:「モテモテだね。お・ね・え・さ・ま♪」
 
 奈緒:「灯うるさい! っまあいることは分かってたけどさ。どうにかならないかこれ?」 という俺の格好はごそんじ、黒のビキニに腰に短めのポニーと言う格好。うん・・・・自分でもかなりエロいと思うよ?
 
 理奈:「どうにかって、それは難しいんじゃないかな?」
 
 奈緒:「何故だ!?今は灯から『指輪』も返してもらってるから『男』の状態でも何の問題も無いじゃないか!?」  そう!何故俺が女として大会に出場しなきゃならないんだー!?
 
 浩:「だから今更それは無理だって。既に今現在お前は周りから『女の子』として認識されてるからな。それとも何か?指輪付けて男に戻ったとして大会委員会や応援してもらってる人たちにイチイチ指輪の事説明でもするつもりか?」
 
 奈緒:「いや、それはいや。かなり大変だし。」
 灯:「(というか命狙われる可能性があるからそれは危ないって。)」 
 
 剛:「奈緒。そろそろ決勝始まるんじゃないのか?」
 奈緒:「あ、そっか。じゃ行ってくるよ。」
 ひなた:「頑張って、お・ね・え・さ・ま♪」
 奈緒:「う、うるさい!(赤面)」 っと早足で現場へと向かっていった。




 
 「さあ!オークの第一種目『ビーチフラッグ』の決勝戦! ここに、予選で戦ったライバル達を蹴散らし勝ち上がった勇者達を紹介しよう!」  と、どこかで聞いた事のあるナレーションの人によって迎えられる俺達。
 
 ビーチフラッグの決勝は二人で行われる。まさにガチンコ勝負であるが、どうも俺達は対戦相手達には良い様に思われていない。
 
 まあ・・・・・当たり前か。本当は出られないんだから・・・・・・・
 
 
 
  
 『O・H・C(オーク)』
 それは沖縄県民みんなの憧れの(主に賞金目的が多い)『行事』。参加資格は基本的に自由で毎年お祭り気分で参加者達は己の力の全てを出し切りながら大会を盛り上げていく伝統的な行事。しかも優勝賞金も高額な為に参加者が後を絶たない。
 
 しかし・・・・・・・
 
 奈緒:「最初から言ってくれれば無理に参加しなくて済んだのに・・・・・」 俺は呟く。
 
 そう、(沖縄に住んでいた時)テレビでは何度か見たことはあるが参加したのは初めてだけど、その『O・H・C(オーク)』にまさか『予選』があるなんて思ってもいなかった。
 
 要するに、毎年参加者が多すぎるために県が取った策として、オークに『予選』を設け、南部に六チーム(人口的に多いため)、中部に四チーム、北部に四チーム、そして離島(予選は宮古島)に2チームの全十六チームが本戦のオークに進めるらしいのだ。
 何故そのことを当日になって知ったかっていうと。テレビでは決勝の生中継しかやらないからだ。だから直接この大会に関わった者でないとこの大会に『予選』があるなんて分からなかっただろう。それゆえ俺も兄さんも、ひなたも剛も知らなかった為にかなり動揺した。しかも前日ひなたが持っていた参加用紙は一ヶ月前のやつで当然期限切れである。
 
 そして本来俺達は当然予選なんか出ていない(当たり前だけど)ために本戦なんか出れなかった・・・・・
 
 ・・・・・・はずなんだけど、何故か今回そのスポンサーである『KONOグループ』の総裁の娘である灯が無理やり俺達を、17チーム目のエクセビジョンチームとして参加させてしまったのだ。
 
 当然、苦しい(?)予選を勝ち上がって来た人達にとってこれほど面白くないものは無い。だから最初批判の声も上がったが、言い過ぎると退場(失格)させられる可能性があるとしてスポンサー側から話し合い(本当かなあ・・・・?)で鎮圧された。・・・・・どうやって説得したかは分からないけど。
 といっても納得していない人達も多いため、今さっきのビーチフラッグの時も睨まれた・・・・・いや、あれは睨むとは言わないか。むしろ見舐められる様な視線な感じだ。
 
 そして今、決勝の相手も俺を睨んでいる。女として見ているんではなく、何の苦労も無く出場していた事による憎悪の目。分かる、痛いほど分かるよみなさん。ホント、ゴメンナサイ(_ _)
 
 その証拠に、
 「いい気なもんだな。見世物アイドルめ。そんなに人気者にでもなりたいのか?」 対戦相手が挑発してきた。
 
 「いえ、僕はアイドルじゃありませんし人気者になるつもりもありません。」 冷静に対処する俺。
 
 「じゃあ何故この大会に出てるんだ。これはお前のようなアイドルもどきが出る大会じゃない」
 
 「何故大会に出たかはあなたには関係ありません。それに僕はアスリートじゃなく武術家です(一応)。」
 
 「ふん、どちらも同じ事だ。連中(奈緒に負けた奴等)もお前がそうやって誘惑してコケさせたりしたんだろ?」
 「んな!?」 な・・・・こ・・・・こいつ・・・・・・(怒)
 
 「ほう・・・・何も言わないって事はやはりそうなんだな?」
 
 「あんたねぇ〜〜(怒)」 俺は怒りを静めるのに集中する。
 
 切れたら駄目だ、切れたら駄目だ・・・・・・・
 
 
 
 「それでは御二方、位置についてください!」 ナレーションの声にしたがってスタート位置につく。
 
 「位置について・・・・・よーい・・・・・・・・・」
 
 パンッ!! 
 
 と同時にうつ伏せの状態から身体を起こし、走ろうとした時、アクシデント(?)が起こった。
 
 俺が走ろうとした時、相手が横からどついて(体当たりして)きたのだ。これにはさすがにびっくりした。そしてよろめく俺。すかさず体勢を立て直したが相手は既に十メートルくらい先にいた。
 
 「ふ・・・イイ度胸じゃねえか(切笑)」 そして俺は吹っ切れて走り出す・・・・・・・
 
 
 ドドドドドドドド・・・・・・・   そして一気に十メートル先にいた奴に追いつき、

 「待てコラァーーーー!!!(怒)」
 
 そのまま奴に飛び蹴りを・・・・・・・
 「ふ、甘いな・・・・・・」
 ・・・・・・・お見舞いしてやろうとしたが寸前で横に避けられた。
 
 「な・・・・・・!?」   ズザザザザーーーーー(飛び蹴りが空を切り砂の上に着地する音)
 
 「中々良い蹴りだけどまだまだだな。」
 「くっ・・・・・・」
 
 普段ならこのまま応戦したいところなんだけど今は競技中、なら・・・・・・
 
 「これならどうだ!」
 「ふん、いいだろう。相手になってやる!」
 
 っと互いに旗に向かって走りながら戦い始める。しかし互いの攻撃はまともに当たらず、避けたり打点をずらされた。そしてその光景を見た観客及び他の選手、そして俺の仲間達は、
 
 一般陣:「「「「何か・・・・舞を踊っているみたいだ・・・・・・」」」」  
 主に男性陣:「「「「う・・・・美しい(奈緒のみ)・・・・・」」」」      
 主に小さい女の子中心:「「「「奈緒お姉様・・・凛々しいです・・・・(クネクネ)」」」」 
 
 と競技が終わった後聞かされる事となるがそれはちょっと後の話。
 
 とわいえ沖縄にこんな強い相手、祖父ちゃんや兄さん以外にいたなんて、ここも結構広いんだなー。と思いつつ舞を踊るかのような攻防が続く。しかし俺はいつの間にか相手の挑発に対する怒りを忘れ、久しぶりにする組手にいつしかヒートアップしていた。
 
 が、しかし相手はそうではなかった。
 
 「貰った!」 っと戦いに没頭していた俺の隙を見て相手が旗に飛び付く。
 
 「あ? ・・・っ! し、しまった!」 一歩遅れて俺もダイブする。
 
 しかし一歩届かなかった・・・・・・・(悔)




 
 「くっそーーー!(悔)」 悔しがる俺。まぁ油断していた奴が悪いけどさ・・・・・
 
 
 そして軽めの表彰式。
 ビーチフラッグで油断した俺を抜いて優勝した奴(許田さん)が表彰台に立つ。そして軽めの演説(感想など)を言って締めくくるのだが、何故か奴は俺をそこに呼び出した。
 
 「いやー残念でしたね奈緒選手。ですが先ほどは許田選手と共に素晴らしい戦舞を見せていただき感謝極まりありません。みなさん!ここにいる乙女戦士にも盛大な拍手を!!」
 
 パチパチパチパチ・・・・・・!! 何故か俺に向けられる盛大な拍手。
 
 ええええ!? そんなつもりは無かったんだけど・・・・・ま、いっか。褒められてるんだし。
 
 
 「・・・・さっきは悪かったな煎杜。」 ボソボソと許田さんが話しかけてくる。
 
 注:煎杜(せんと)は俺の苗字です。 
 「ううん。もう気にしてませんから大丈夫です。それに僕も久しぶりに組手が出来て楽しかったんですけど最後油断しちゃって・・・・・・」
 
 「ま、そこはお前が悪いわな。自重しろ。」
 「はい・・・・・」
 
 「・・・・で、ほらよ。」 っと何かを手渡した。
 
 「え・・・・?」     見るとそれは全国どこでも使える商品券(二万円分)だった。
 
 「一割だけどな。互いに戦った好敵手として素直に受け取っとけ。」 って勝ってたらその十倍!?
 
 「あ・・・ありがと・・・・・・・」 何故か顔が赤くなる俺。
 
 「おおっと!?互いに戦った戦士たちに恋が芽生えるのか?芽生えるのか!!?」
 何故か最後のほうを二回強調しながら言うナレーションの方。
 
 ・・・・・・って、いやいやいや。
 「そ、そんな事あるわけないじゃないですかー!!」 当然顔を真っ赤にし、両手を掲げてナレーションの人に講義するがそのときまたもやアクシデントが起こった。
 
 チリチリチリ・・・・・ブチッ!     ・・・・・・・へ?何の音?
 
 先ほどの対戦で一歩遅れてダイブした俺は胸(水着)から飛び込んだ為、その水着の谷間の部分が・・・・・・
 
 はらり・・・・・・   水着(上)が弾けて中の豊やかな双胸が現れて・・・・・・
 
 主に男性陣中心:「「「うおおおおおおおおお!!!!(中には鼻血で悶絶した人もいる)」」」
 主に女性陣(藍も含む):「「「ふむ、形も大きさもなかなかな物ね。羨ましい・・・・・」」」
 小さい女の子中心:「「「お・・・お姉様のおっ○い・・・・・(そして妄想の中へ・・・)」」」
 
 い・・・・いいい・・・・・・・、

 「いやぁぁぁぁぁーーーーーーーー!!!!!」
 
 どうやら俺はいわゆる『ポロリ』をしてしまったらしい・・・・・・・・
 そしてこの瞬間沖縄全体のテレビ番組の視聴率が過半数を超えたとか超えなかったとか・・・・・・・




 
 〔第二種目 遠距離水泳改め『波佐間(はざま)ビーチ案内リレー』〕
 
 実況:煎杜 浩(奈緒がさっきのポロリショックで気絶しているため説明する人がいないのだ!)
 
 本来ならこの海から五百メートル先にある小さな島まで遠距離水泳するところだったのだが、あいにく二日前から『ハブクラゲ注意報』が発生しているため、浜から百メートルに設置してある網を越えて泳いでいくのは自殺行為であるからしてこの競技は急遽変更となった。
 
 で、スポンサーの娘である灯ちゃんの提案によってリニューアルした波佐間ビーチ(主にホテルが出来た事)のテレビ放送での案内を織り交ぜたリレーが二つ目の競技となった。
 
 出場者は先ほどビーチフラッグを出た人以外の五人で行われる。つまり俺(浩)と剛、ひなたちゃん、和也に理奈ちゃんの五人になる。奈緒は依然気絶中(現在は藍と母さんに面倒を診さしている)・・・・・・
 
 
 ナレーション久保寺:「さあ、ハブクラゲの影響で急遽変更となった第二競技、波佐間ビーチ案内リレー。略して『H・Bリレー』。走って跳んで泳いで乗り越えて掴め、栄光の架け橋!(?)」
 
 ((((え? 案内の『A』は!?))))
 ((((しかも架け橋の意味が分からん・・・・・))))
 
 ナレーション久保寺:「はっはっはー。細かい事は気にしないほうがいいぞ選手諸君!(笑)」
 
 「「「「・・・・・・・・・・・。」」」」
 
 
 パンッ!!
 
 競技用のピストル(正式名称が分からない)の音と共に第二競技が始まった。
 
 やや遅れ気味の第一走者の和也は17チーム中、14位で理奈ちゃんへとバトンが渡る。
 
 理奈ちゃんは和也が遅れた分を取り戻そうと急いだのが凶と出たのか吉と出たのか、『流されるプール』で本来ならロープを伝ってゴールに向かうのだが理奈ちゃんは焦ったのかロープを手放してしまったのだ。しかし、このプールは環状型。理奈ちゃんは苦をせずにスタートからゴールにショートカットしてしまったのだ。これは気付いた者だけ(っていうか全くの偶然だと思うのだが)が通れる隠しルートとして承認されてるらしい。これで俺達のチームは一気にトップへと駆け上がった。
 
 しかし逆に三番手のひなたが難関だった。三つのカードを指定した場所に持っていくというものでその場所が
 『サンライトホテル屋上・島風の丘』
 『サンライトホテル・混浴場』
 『サンライトホテル西館・スライダー』
 の三つだった。距離的に考えるとかなりのタイムロスが考えられるが四の五の言ってはいられない。
 
 十分後、疲労困憊になったひなたはやっとの事で四番手の剛の元へ辿り着いた。
 
 やはり順番間違えたかな・・・・・・・?  かなり疲労しているひなたを見て俺(浩)は思った。
 
 ひなた:「ごめん・・・・頑張ったんだけど・・・・・(疲)」
 剛:「いや、やー(お前)はかなり頑張ったよ。後は俺に任せちょけー!(任せとけ!)」
 ひなた:「うん。頑張って・・・・・(パタリ)」
 
 走り出そうとする剛の後ろでひなたが倒れる。
  
 剛:「え・・・?ひなた・・・・・?」  振り返る剛。
 
 倒れたまま微動だにしないひなた。
 
 剛:「お・・・おい、ひなた大丈夫か!?」
 
 ひなた:「・・・・・・・・・・」
 
 剛:「ひ・・・・・ひなた────ごっ!!?」 
 
 カメラの前で剛がドラマみたいに叫ぶ。その時、
 
 ゴンッ!
 
 叫ぶ剛の頭に鉄拳が振り下ろされた。
 
 剛:「な・・・・なななぁ!?」
 
 奈緒:「何ドラマみたいな声出してんだよ剛。何かの撮影か?」
 
 いつの間にか復活した奈緒が剛の後ろにいた。どうやら応援しに来たらしい。
 
 その格好はさっきの黒ビキニが破れた為か、今は白のツーピースに黄緑のクリーム色のパーカーを着け、下は純白の長いパレオ。肩まで伸びきった髪はそのまま下ろしたままなので、さっきのエロさが微塵も無く、むしろ清純で可憐な女の子さを感じさせる格好になっている。
 
 浩:(っという事で後は奈緒に任せた!)
 奈緒:(おう!任されました!)




 
 剛:「奈緒!ひなたが、ひなたが!!(汗)」
 
 奈緒:「ああ、分かってる。分かったから早く行けって。ひなたはおr・・・ボクが見ておくから」
 
 剛:「あ・・・ああ頼む!」
 
 奈緒:「頑張れよ!」
 
 腕相撲の様な感じの上段握手で激励する俺達。全く・・・剛は相変わらずひなたに対して心配性だな・・・・・。




 剛:「浩兄!」 
 
 ロスしてしまったひなたの分を取り返すため走った剛はアンカーの兄さんの下に着いた。
 
 ちなみに順位はこうなっている。
 
 全17チーム中、
 和也14位⇒理奈1位(ファインプレイ)⇒ひなた9位⇒剛5位⇒兄さん?位
 
 と、なかなか接戦を繰り返す俺達のラストを兄さんに任す。ガンバレ〜っとひなたを膝に乗せ、中継してるテレビを眺める。




 
 ────────やがてトップの人が戻って来た。
 
 理奈:「あー負けちゃったね。」
 奈緒:「いや、まだ競技終わってないから。」 まだトップしか帰ってきてないぞ?
 
 和也:「せっかく一時期、一位になったってのに。」
 
 ひなた:「ごめんねみんな・・・・」 っと落ち込むひなた。・・・・・っておい、
 奈緒:「いや、和也がトップになった訳じゃないだろ。」
 
 剛:「そうだ。それにひなたも頑張ったじゃねーか。これは一応お祭りなんだから、あんま気にすんな。」
 
 ひなた:「うん・・・・・」 剛がひなたの頭を撫でる。うーむ、猫みたいだ・・・・・
 
 
 理奈:「・・・・・・・」    理奈がひなたと剛を見かねて和也を見上げる。
 和也:「ん?何だ?理奈も撫でて欲しいのか」 和也も理奈を撫でる。
 理奈:「え?あ、いや、何でもない何でもない。」
 和也:「そっか。」 と、言いつつ理奈の頭を撫でる。
 理奈:「ん・・・・・」 不満顔になりながらも大人しく撫でられる理奈。微妙に顔が綻んでるし。
 
 奈緒:「・・・・・・・・・。」 この二組のバカップル(?)を見てふと思った。
 (理奈とひなた、いいなぁ・・・・・。俺も明に頭、撫でて欲しいな・・・・・。でもあいつ、今ここにいないし・・・・・って何考えてるんだ俺は?)
 
 思考が乙女化する寸前で己を取り戻す。アブナイアブナイ・・・・・・
 
 俺がそんな変なスパイラル(思考)に入っていたその時、
 
 浩:「おおおおおおおぉぉぉぉ!!!」
 
 ?:「はああああああぁぁぁぁ!!!」
 
 二位と同時に来た兄さんが二位にいた人と全力疾走でゴールにたどり着いた。
 
 そして、
 ナレーション久保寺:「ああっと!今、二位と三位がほぼ同時にゴールラインを越えました。肉眼では判らない為、これから審査に入ります」




 
 浩:「はぁ・・・はぁ・・・・・はぁ・・・・・・・」 久しぶりに全力疾走したのか息が速くなる兄さん。
 
 奈緒:「兄さん。はい、お疲れさん♪」 兄さんの好物であるコーラーを渡しながら労う。
 
 浩:「あ・・・ああ、サンキュ・・・・・」 
 
 奈緒:「・・・・・それにしても兄さん。何であんなに全力で走ってたの?別にお祭りなんだから三位でも良かったんじゃない?」 兄さんの性格上、勝ち負けにこだわらない筈なんだけど・・・・・・
 
 浩:「ん?ああ、それか。後で分かるさ(笑)」
 奈緒:「??」
 
 理奈・和也:「「おーい、結果出たぞ(よ)ーー!」」
 
 浩:「んじゃ、行くか?」
 奈緒:「え?ちょ・・・ちょっと兄さん!?」 表彰台に行く兄さんを追いかける。




 
 リレーの判定は、二位と三位が同時にゴールしたが、厳密な判定が出来ない上に、こんな事でいちいち争う物でもないため結果として同着二位となった。
 
 比嘉:「相変わらず、なかなか早いじゃないか。さすが俺のライバルやさ。」
 
 浩:「いや、だからお前のライバルになった覚えは無い。それに大体俺は陸上部でもなかっただろ。」
 
 比嘉:「それは関係ねえ!俺は脚に自身を持ってたのにそれをお前が、陸上をやってないお前が俺の持つ記録を抜いた時点でお前は俺の好敵手だ!」
 
 浩:「・・・・・勝手に言え。」 諦めモードの兄さん。
 
 奈緒:「兄さーん。 あ、いたいた・・・・ってあれ?その人は?」
 
 浩:「ん?お前も見たことあるだろこいつ。昔沖縄(ここ)で。」
 
 奈緒:「え?え〜っと・・・・・」
 
 比嘉:「な・・・・奈緒ちゃん。会いたかったぞー!!」 っと両手を広げて迫ってくるし!
 
 奈緒:「うわぁ!?」 すんでの所で避けた。なんか既視感が・・・・・・
 
 比嘉:「何故俺の愛を避ける奈緒ちゃん!?」
 
 奈緒:「何故って・・・・え?その台詞、まさか!?」  あ!この人は!!!
 
 浩:「そ、災難だな奈緒。」
 
 奈緒:「全くだよ・・・・・・」
 
 比嘉:「それにしても奈緒ちゃん。本当に女の子だったんだな!俺は猛烈に感動・・・・・」
 
 浩:「はいはい、そこから先は言うな。空気読め。」 と兄さんが比嘉さんの口を閉ざす。
 
 奈緒:「お久しぶりです比嘉さん。ちなみにこの格好は変装なんで俺は一応『男』ですよ?」
 
 比嘉:「またまたー。奈緒ちゃんは相変わらず自分を男だと思ってるのか?」
 
 奈緒・浩:「いや、だから・・・・・・」
 
 比嘉:「見苦しい言い訳は聞かねーぞ!何故なら・・・・・」
 
 っと、比嘉さんはゆっくりと俺に近づいて─────────
 
 
 むにゅ・・・・・・
 
 奈緒「へ──────────?」  
 
 そして俺の時間が止まる────────────────
 
 
 むにゅむにゅむにゅ×∞──────────   そして何度も俺の『あれ』を揉む比嘉さん。
 
 比嘉:「こんな立派な太陽(おっぱい)を二つも持っていて、奈緒ちゃんのどこが男だ!?」
 
 浩:「あ・・・・・・・・」  兄さんが俺を見て固まる。
 
 
 ─────────再起動。そして心に湧いた羞恥心。
 
 奈緒:「い──────いいい──────────────」
 
 「いやぁぁぁぁぁ───────────────!!!」
 
 つづく──────────────(恥)




 
 はい。とういことで奈緒の憂鬱いかがだったでしょうか。作者のSAYAです。
 
 今回はO・H・C(オーク)編としてやってみましたが、全部の競技は入りませんでした。いや、入る入らないは別として、あまり長すぎると読みづらいだろうという事で二種目で切りました。
 
 この後の展開として、フードファイト、スピンオフ、トレジャーハント、ビーチバレーの四種目をやる予定です。まあ普通の展開ではありませんが結構楽しめたら良いと思います(ってまだ早いか)
 
 はぁ、早く夏休み編を終わらせて学校編をやりたいな・・・・・・・
 
 では、いつものオマケをどうぞ─────────────────




 
 《目覚めた奈緒ちゃん》
 
 奈緒:「・・・・・・ん。」 
 
 藍:「あ、お姉ちゃん。起きた?」
 
 奈緒:「藍? それとここは?」
 
 藍:「お店の中だよ。お姉ちゃん表彰式の時に『ポロリ』して気絶したんだよ。」
 
 奈緒:「あ!!」 恥ずかしくなって俯く。
 
 母:「あら?奈緒ちゃん。目が覚めたのね。良かった、心配したのよ。」 引き寄せられて頭を撫でられる。
 
 奈緒:「あう、ごめん母さん。心配かけて・・・・・」
 
 母:「いいのよ。あんな公衆の場で公開ポロリしちゃったんだもの。普通は立ち直れないわ。」
 
 奈緒:「大丈夫だよ。俺、一応男だからこれ位なら耐えられるよ。」
 
 母:「そっか。・・・・・じゃ、水着も変えないとね。」
 
 奈緒:「へ?」
 
 藍:「お姉ちゃん、忘れたの?さっき弾けちゃったからさっきの水着はもう使えないんだよ?」
 
 奈緒:「あ・・・・・・」  そっか、さっきので・・・・・・・・
 
 (ナレーション:藍)
 普通、夏の旅行に(一泊以上)行くときは水着を二、三着持って行くのが礼儀(?)だとお母さんが言っていたのですが、お姉ちゃんは二つ水着を持っているのに一つしか着ていなかったのです。そう、あの黒ビキニ。結局、一つの水着を使い回しし過ぎたために破れちゃったんじゃないのかなー?
 
 母:「って事でー、奈緒ちゃんにはこれを着けて貰いましょう♪」 と言って母さんが取り出したのは沖縄に来る前に理奈達と一緒に買い物に行って買った時の白のツーピース。
 
 奈緒:「え、あ、いや。もう水着はいいって。Tシャツと半ズボンだけでいいから(汗)」
 
 藍・母:「「・・・・・・・・(ニヤリ)」」
 奈緒:「・・・・・・・・・。」
 
 藍・母:「「それーーーーー♪」」  と飛び掛ってくる二人。
 
 奈緒:「うわぁ!」  とっさに避ける俺。ドアから逃げようとしたが、
 
 奈緒:「あ、開かない、何で!?」  押しても引いても開かない!?
 
 祐貴:「ふ・・・すまない姉ちゃん。俺も姉ちゃんのニュー水着姿が見たいんだ。」
 
 奈緒:「な・・・祐貴? お前裏切る気か!?」
 
 祐貴:「ごめん姉ちゃん。諦めろって(笑)」
 
 藍・母:「「さあさあ、お着替えしましょうねぇ〜〜♪」」 さらに迫ってくる二人。
 
 奈緒:「い・・・いや、やめろ!シャツ取らないで!それだけ(下の方)は、それだけはダメー!!」

hutatabi,ochinashi(笑)  




 
 それではまた次回で会いましょう♪
 




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