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 幼き頃の夢を見始めて五日目・・・・・・・
 
 
 
 今回の場面は小学一年の春休み・・・・つまり二年生に上がる前の話・・・・・・・・
 
「あー君・・・・・・あーくん・・・・(泣)」 夢の中で(幼い頃の)俺は泣いていた。
 
「ナオちゃん・・・・・」 あー君こと(幼い頃の)明も悲しそうな顔をしていた。
 
「・・・・奈緒、そろそろ時間だ・・・・行くぞ。」 若い頃の父さんが辛そうに言う。 
 
「イヤ! ナオ、行きたくない!ずっとあー君のそばにいたいの!!」 
 
「奈緒・・・・。気持ちは分かるがこれは仕方の無い事なんだ。」
 
 仕事の都合で沖縄へと転勤になった母さんに、元から沖縄で単身赴任で任務にあたっていた父さんが俺たちを迎えに来たんだっけ。何しろ急な話だ。そんな話を小学二年生に上がったばかりの六、七才児に言っても分かるはずがない。しかも明は自分の心に触れてくれた・・・・・初めての人だったから・・・・・・・・
 
「おじさん。僕だって・・・・僕だってナオちゃんとずっといっしょにいたいんだ!(涙)」
 
「明君・・・・・でもな、分かってくれ。これは仕方の無いことなんだ。奈緒を一人置いて沖縄に戻る訳にはいかない。」
 
「うん。分かってる・・・・・分かってるよ。でも・・・・・でも!!(泣)」
 
「あーくん・・・・・・(泣)」  ナオとあーくんが互いに抱き合いながら大泣きする。 
 
(・・・・・・・・・・・・・・・・・。)   しばらくその光景を黙って見ていた俺。しかし、 
(・・・・・・・・・・・っ!?)  俺の頬に何か暖かいものが流れてきた・・・・・・
  

 俺・・・・・・・・泣いてる・・・・・のか?
 
 いつしか俺の瞳からも涙が流れていた。いくら手で拭ってもなかなか涙が止まらない・・・・・・
 
 
「ほら、いい加減にしろ二人共。別れが辛いのは痛いほど分かるがこんなのは大きくなったらよくあることなんだぞ。出会いもあれば別れもあるって(汗)」 父さんが言う。
 
「「「そんなむずかしいこと言われても分かんないよ!!(大泣)」」」 泣きながら突っ込みを入れられる父さん。確かにそうだ、そんなの子供に言ったって分かる訳が無い。俺も泣きながら突っ込みを入れる。
 
「・・・・・仕方ない。明君、いいかい?よく聞くんだぞ?今は会えないが五、六年したら奈緒はまたここに戻ってくる。そのときまで奈緒の事、待っててくれないか?」 
 
「・・・・・・・うん。分かった・・・・・」 静かに頷くあー君。
 
「イヤ! ナオ、行きたくない!あー君とはなればなれになりたくない!!(泣)」 ・・・・・っ!!?
 
 収まってきたはずの瞳からまたもや大粒の涙がこぼれる。ここまで涙もろかったっけ?という考えはなかった。ただ純粋にあのときを思い出して泣いていただけなのだから涙を流すのに男も女の関係無い。
 
「ナオちゃん・・・・・これ。」 あー君が手に持っていた物をナオに手渡す。
 
「何これ?『ゆびわ』?」 ナオがあー君から受け取ったのは例の指輪だった。
 
 (そうだ・・・・・あの『指輪』はこの時に貰ったんだっけ・・・・・・)ようやく収まってきた涙を拭ってその事を思い返す。
 
「うん。この前、おもちゃ屋さんのガチャガチャで取ったんだ。ナオちゃんに合うと思って・・・・・」
 
「ピッタリ・・・・・。」  ナオ指輪を嵌めた。サイズも何故か合っていた。
「・・・・・だね。気に入った?」
 
「うん、ありがとう・・・・これ、たいせつにする・・・・・」
 
「うん。これはおもちゃだけどいつか・・・・いつかまたナオちゃんに会えたら本物のけっこん指輪、あげるから・・・・。だから待っててね。」
「うん。ナオ待ってる。ぜったい・・・・・ぜったいあー君に会いにくるから(泣)」
 
「うん。僕も待ってる。ナオちゃんのこと、ずっと待ってるから・・・・・」
 
 
(絶対・・・・絶対に会いに行くから・・・・・)
 
 
 
 
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・・・
 
「・・・・う・・・・・・・・」 夢にうなされて俺は起きた・・・・・・・
 
「・・・ん〜・・・・・・んっ!?」 目元に触れると涙の跡が・・・・・・
 
「俺・・・泣いていた・・・・のか・・・・・・・」 それは決して欠伸などでは出ない瞳の雫。
 
「はは・・・これじゃあ(色んな意味で)怖くて寝れないな・・・・・」 と、部屋のベランダへと出る。
 
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
「・・・・相変わらず涼しいな・・・ここ・・・・・」 海から吹き寄せる潮風が妙に涼しく、夢の中でうなされていた俺の心を癒していくような気がした。
 
 幼い頃、明とお別れしてから俺は、嫌な事があれば必ずこういう風に潮風に当たっていた。そのとき(幼い頃)の俺の頭に浮かんだのは明の顔。初めて会ったときのあいつの不機嫌な顔、一緒に遊んだ時の明の笑顔、一緒に遅くまで遊んでて一緒に怒られた時の明のへこみ顔。そして別れの時のあいつの泣き顔・・・・・・
 
「どうしてこんな事になっちゃったんだろう・・・・・・・」
 
 何で・・・・・何であの時、明と一緒にいられなかったんだろう・・・・・・・。明の親父さんや小母さんに無理を言ってでも一緒にいられれば良かったのに・・・・・・・。そうすればこんな事にはならなかったんだ。
 
 (あきら・・・・・・) 腰を掛け、体育座りの状態で頭を埋め、幼き頃思い浮かべていた人物の名前を呟きながら俺はいつの間にかそこで再び眠りについたのだった・・・・・・
 
「・・・・・・・奈緒・・・・・・・」
 
 その後ろで静かに見守っている人物を俺は知る由もない・・・・・・・ 





奈緒の憂鬱(黄昏vacation)
第五話:集う仲間と指輪
作:SAYA






 ※方言は95%標準語で訳されてます。

 午前十一時、食堂のドアが開く──────────────

「「「いらっしゃいませー」」」  今日もお店は大繁盛♪

 店のリニューアルオープン(隣のホテルと連結した為、その間店を閉めていた)から三日目、この日もお昼前からかなりのお客が訪れてどんどん注文が入る。

 女性客A:「すみませーん。注文お願いします。」

 奈緒:「はーい。」 また注文が入った。

 女性客A:「ゴーヤー定食と角煮そばをお願いします。」

 奈緒:「はい。ゴーヤー定食と角煮そばですね。かしこまりました。」

 さすがに三日目となるとみんな慣れてきたのか注文を取るのも自然と丁寧語になる。まあ、例外もあるけどね。





 浩:「注文はなん・・・ですか?」 微妙な言い方をする兄さん。

 女性客B:「ジューシーと沖縄そばをお願い。」

 浩:「ジューシーと沖縄そばだ・・・ですね。」

 女性客C:「・・・・気分でも悪いの君?」

 浩:「あ・・・いや、自分この手のバイト、初めてなんで慣れてないんっすよ(汗)」 兄さんは未だに緊張しているらしい・・・・・
 女性客B:「そっか。頑張ってね♪」
 浩:「あ、はい。」         いつの間にか和んでるし。





 男性客A:「注文していいっすか?」

 ひなた:「あ、はいはい。・・・・何にします?」

 男性客A:「えっと・・・君のスマイルを五つ。」

 ひなた:「スマイルですか。・・・んと、スマイル入りまーす!」 ・・・・・っておい!

 男性客A:「すみません冗談です(汗)」 ひなたが大声で言ったことで他の客から注目を浴びて恥ずかしくなる男性客A。だったら最初から言うなよ・・・・・

 ひなた:「えっとスマイル五つで千五百円になります(_ _)」

 男性客A:「えぇ!?金取るのー!?」

 ひなた:「あはは・・・・冗談ですよ♪」 ひなたと客が冗談を言い合ってるとそこへ、

 剛:「・・・・おまたせしましたスマイル五個です(怒)」 と何故か剛がひなたのところに行ってその客にスマイルを五回かました。正直傍から見ててキモイ。しかも何か殺気立ってるし・・・・・

 男性客A:「えっと、マジでごめんなさい。ソーキソバ大盛りでお願いします。」

 ひなた:「はい、かしこまりました。剛、お客を苛めたら駄目でしょう。」

 剛:「だってよーお前があの客といちゃつくから・・・・・」

 ひなた:「いちゃついてなんかいないわよ。ほらさっさと厨房に戻って。オジィに怒られるわよ。」

 剛:「お・・・おう。」    っと惚気る(?)二人。






 子供×4:「お姉ちゃん注文〜」
 奈緒:「あ、うん。待たせてごめんねー(忙)」

 お年寄り×2「お嬢ちゃん。まだかい?」
 奈緒:「あ、すみません。あとちょっと待ってください(汗)」





 女性客B:「へぇ、君も県外の人なんだ〜」
 浩:「そうっすよ。」
 女性客:C「なかなかイケじゃない。どう?この後?」
 浩:「か・・・考えておきます。」

 ひなた:「っもう、さっさと厨房行ってよ!ほら、オジィが見てるって!」
 剛:「そんなこと言ったってよ・・・・・」

 客T:「注文〜」
 バイトの子×4:「はいはーい」

 奈緒:「もう・・・兄さん!忙しいんだからお客さんと話してないでマジメにやってよ!!あと剛もひなたにくっついてないで早く厨房に行って!」

 浩・剛:「はい・・・・・」

 ・・・・ホント、マジメにやろうよ・・・・・・(泣)





 四時間後、現在──午後三時半、ようやく落ち着いてきたところで剛とひなたと他二人(オジィ達が他に雇ったバイトの子)が先に休憩に入る。ちなみに注文を受ける側に入ったのは俺と兄さんとひなた、後俺達の知らないバイトの女の子達が四人(その内二人は今休憩中)。厨房には剛と祖父ちゃん、後おじさん(父さんの兄)夫妻と結構人手は足りてるようで結構忙しい。

 浩:「奈緒、疲れたか?」 労いの言葉を掛けてくる兄さん。

 奈緒:「まあね。でも三日目だし、それなりに慣れるさ。」

 浩:「そっか。じゃあ俺は出店やっとくわ。」

 奈緒:「うん、がんばれ〜」 俺は手を振って兄さんを見送る

 ちなみに食堂の左側にある海側のテラスでは小売販売(出店みたいなもの)をやっている。食堂(昼時)では定食やソバ系などを、そして出店側では軽い物(おにぎりや沖縄風焼きそばなど)を売っていて、そこには祖母ちゃんと藍、祐貴そして母さんがいる。そちらが忙しくなれば当然手伝いに行くこともある(今は兄さんが行った)。

 金城(バイトの子):「ねえねえ、奈緒ちゃん。ちょっといい?」

 奈緒:「ん?何?」
 丁度お客が今いない(少ない)状態、俺達は客から死角となるところでお喋りをしていた。

 金城:「奈緒ちゃん達って内地の人なんだよね?」

 奈緒:「うん。そうだけどそれがどうかしたの?」 さすがに俺の事情を知らない娘達に男言葉を使う訳にはいかないので言葉を選びながら返事していく。これも三日目なのでもう慣れた。

 金城:「内地ってどんなところ?」

 奈緒:「いや、どんなところって聞かれても・・・・・普通かな?」

 そこにもう一人話に加わる、
 西原(バイトの子):「あ、ねえねえ何の話してるの?」
 金城:「あ、西原さん。んとね奈緒ちゃんに『内地ってどんなところ?』って聞いてたの。」

 西原:「怖いよね内地って。最近もかなりやばい事件が頻発してるって聞いたんだけどやっぱりそういうところばっかりなの?」

 奈緒:「いやいや、だからそれを僕に聞かれても困るんですけどね。それに、全部が全部そうなら向こうで暮らす人達みんなこっちに避難してますよ。」

 ちなみに今、俺は自分のことを『僕』と呼んでいる。世間で言ういわゆる『僕っ娘』。みんなは俺に『私』と呼んで欲しかったらしいが丁重にお断りした。ってか『僕』でもかなり恥ずかしいんですけど。

 金城:「だよねー。もしそうなったら沖縄沈んじゃう?」
 西原:「いや、沈みはしないでしょ。」
 奈緒:「あははは(笑)」

 女性客E:「すみませーん。注文お願いします。」
 西原:「あ、すみません。今行きます!」   西原さんが注文を受けに行った。

 金城:「あ、そういや奈緒ちゃん。浩さんどこ?」

 奈緒:「兄さん?兄さんは出店の方に行ったけど?」

 金城:「あ、そっか。んじゃ仕方ないか。」

 奈緒:「ん?兄さんに何か用事?」

 金城:「え!? あ、いやちょっとね、あはは・・・・・」 ・・・・・ん?ひょっとして、

 奈緒:「金城さん、もしかして兄さんに気があるの?」

 金城:「え?いや、その・・・お昼まだなら一緒に食べようかなーって・・・・・」

 奈緒:「あ、あーそっかー残念だねー(ニヤリ)」 慰めにならない慰めをかける。

 金城:「あーそんなこと言ってー。奈緒ちゃんには彼氏とかいないの?」

 奈緒:「うぇ!?い・・・・・いないよ彼氏なんて・・・・・・」 ってか俺は男だー!

 金城:「本当に〜?一瞬、間が空いたよ〜?」

 奈緒:「本当、本当。いないって(汗)・・・・うん。」 やばい!一瞬明の顔が浮かんだ・・・・・・

 金城:「でも気になってる人くらいはいるでしょ?」

 奈緒:「うーん。秘密・・・・かな?」 とりあえず収集がつかないので誤魔化す。

 金城:「あー誤魔化した!答えなさーい。」 ヘッドロックされた。駄目だこりゃ。

 っとその時、
 ???(お客):「すみませーん。」 あ、客だ。

 奈緒:「ちょ・・・金城さん。お客ですよ。僕が行くんで離して下さい。」

 金城:「むぅ。」 渋々離してもらった。ってか何がしたかったのこの人?





 うーん。慣れって怖いな。ここに来て最初(初日)は他のバイトの子達には挨拶程度くらいにしかしてなかったのにいつの間にか普通に会話出来るようになってた、女言葉は極力使わず抽象的な言葉を話しているが、年頃の女の子達と普通に話しているってことがありえない。うん、ホント慣れって怖い。

 理奈:「ほら和也、早く決めないと店員さん来ちゃうよ?」

 和也:「あとちょっと待てって。今迷ってるんだよ。(タコライスかソーキそばにゴーヤー定食、でもこのポークカツ定食も捨てがたい・・・・・)」

 灯:「私は『ジューシー定食』かな。理奈ちゃんは?」

 理奈:「『麩チャンプルー定食』かな?重くないと思うし、いっぱい食べたら泳げなくなるからね。」

 和也:「うーーーーん・・・・・・」

 灯:「まだ悩んでるし。」

 理奈:「もう、和也。早く決めないと私達で勝手に決めるよ?」

 和也:「わ、分かったって。んじゃ『タコライス』と『沖縄そば』、あと『ジーマーミー(ピーナッツ)豆腐』で。」
 灯:「えぇ!?三つも食べるの!?」
 理奈:「和也、これじゃさすがにお腹重くなるよ?」
 和也:「あっはっはー。いやいや、これくらい序の口序の口。むしろ足りないくらいだぞ?」
 灯:「・・・・・さいですか。」
 理奈:「んーーじゃ、頼むわね。」





 奈緒:「お待たせしました。ご注文をどう・・・・・ぅぉ!?」 その客(灯達)を見た途端手に持っていた伝票を落とす。そしてそれは丁度足を外側に出していた和也の足元に奇麗に入った。

「痛っっっってぇーー!!」 片足を抱えてピョンピョン跳ね回る和也。





 理奈:「え・・・・っと、もしかして・・・奈緒?」
 灯:「・・・・・だよね?」

 奈緒:「え・・・っと、人違いです。僕は奈緒という人じゃアリマセン。」 最後カタコト(意味無し)

 和也:「え?那雄?どこだ?」 足を押さえながら周りを見渡す。

 理奈:「ここよ。コーコ。」 と理奈は俺を指差す。

 和也:「・・・・え?お前、那雄・・・・なのか?」

 奈緒:「いや、だから僕は・・・・」

 俺が言い逃れしようとしたその時、
 浩:「おーい奈緒。厨房から焼きそばソースと天カスの補充お願いなー」 出店の方から兄さんが言った。

 灯:「今のって浩さん(奈緒の兄)・・・・だよね?」

 理奈:「うん。しかもこの娘の事思いっきり『奈緒』って呼んだし。」

 和也:「え?・・・・ってことはじゃあ、お前・・・・・・」

 もはや言い逃れ不可能・・・・・・・

 奈緒:「うん・・・・・俺は奈緒だよ(泣)」 額を押さえて溜息をつく。





 三十分後、俺は今日のシフトを終え、理奈達と共に砂浜へと赴き、和也に女になったことの全てを話した。

 和也:「そっか。お前女だったんだな。」

 奈緒:「おーい和也ー?人の話聞いてたかー?」 やっぱこうなるよな、普通。





 そっからさらに十分掛けて理奈たちの証言等をもとにやっと和也に納得してもらった。
 和也:「っつか、普通女だったんなら体育の着替えの時絶対バレるもんな。」
 奈緒:「はぁはぁ・・・・・理解したな?」
 和也:「ああ、でも・・・・・・」
 奈緒:「??」

 和也:「その黒のビキニの上に白Tシャツの格好(に、短めのポニーテール)だと・・・・なかなかエロい。」

 奈緒:「エロ言うな!!(怒)」       ったくみんなしてエロエロ言うんだから・・・・

 灯:「うふふ。奈緒ちゃん、エロカワ〜(悶)」 またもやクネクネと身をよじる灯。この腐女が。
 理奈:「うん。もう何というかアイドル顔負けの可愛さね。何か嫉妬しちゃうなー。」 っと恨めしそうにこっちを見る理奈。いや、それいうならお前もアイドル顔負けだぞ?言っておくが理奈も灯も結構顔もスタイルも良く(理奈はもうちょっと胸が欲しいって言ってたな)学校でも結構モテる。

 収集が付かなくなる前に聞くべき事を思い出した。
 奈緒:「そうだ灯。指輪は?調べるって言ってたけどもう何か分かったのか?って言うかさっさと指輪返せ!」
 灯:「あーもう、そんないっぺんに言わないでよ。一つずつちゃんと答えるから。」
 奈緒:「う、うん。」
 灯:「まずは、はい。借りてた指輪。奈緒が沖縄に行くと聞いて念のために持って来てたの。」
 奈緒:「ああ、サンキュー。・・・って、もし無くしたりしてたらどうするつもりだ?」
 灯:「もう、心配性なんだから。無くす訳ないでしょ!」
 奈緒:「だってさ〜〜」  っと両手の指を交差する。





 俺と灯が話すその後ろで理奈と和也がコソコソ話していた。
 理奈:「何か奈緒。かなり女の子してる感じがするんだけど・・・・・」
 和也:「ああ、最初見たときなんか別人だと思ったぞ。」
 理奈:「うん。性格も何だか穏やかになってるっていうか・・・・・」
 和也:「さっきなんか自分の事『僕』って言ってたぞ?」
 理奈:「え、『僕っ娘』!?」

 ・・・・・・おい。
 奈緒:「聞こえてるぞ、さっきから。」
 灯:「奈緒ちゃんったらもうすっかり女の子ねー(笑)」 クネクネ・・・・・・・
 奈緒:「う、うるさいうるさい!(赤面)」
 和也:「あ、顔真っ赤っ赤。」
 理奈:「うん。やっぱり可愛いね(笑)」    ううう。可愛いって言うなぁ〜(赤面)

 奈緒:「そ、そういや何でお前らここにいるんだ?」 居場所教えたつもりないし。

 和也:「それを今頃聞くのかよおい!?」 確かに・・・・・

 理奈:「さっきはそれどころじゃなかったでしょ。」 そりゃそうだ。俺の事を説明してたんだから。





 ってことで今度は理奈達が何でここにいるのかを聞いた。
 話を聞くところ、理奈と和也はいつもの夕飯の買い物の時に貰った駅前のくじ引きで『沖縄リゾートの旅』のペアチケットを理奈が引いたらしい。どんなくじ運だよ!?

 ・・・・・っで問題はこいつ、灯の方。
 奈緒:「灯は何をしにここに来たんだ?理奈達のチケットはペア(二人)だから一緒には来れないんじゃ・・・・」

 灯:「それなんだけど奈緒ちゃん。ココ、このホテルを建てた会社はどこだったなー?」

 奈緒:「えっと確か『KONOグループ』だったかな?・・・・ん?『KONO』?」 え・・・まさか!?

 灯:「そ、このホテルは私のお父さんが建てたのよ。で、そのホテルの評価がどんなものなのかを確認しに今日ここに来たのよ。理奈と和也とは空港で偶然会ったの。」

 奈緒:「ほ・・・ほえ〜〜」  俺は呆けながら思った。世間は狭いと。

 理奈:「でもまさかこれから行くところで奈緒に会うなんて思ってもいなかったよ。」
 奈緒:「当たり前だ。こんなことしてるなんて絶対言えるわけ無いだろ!」
 和也:「だな。」
 理奈:「だね。でもこのパターンだと烏戒(明)君も来そうな感じがしない?」
 灯:「そうね。もしかしたらナオちゃん(昔のナオ)を探しに沖縄に来てるかもね。」
 奈緒:「うげ!マジ!?」

 和也:「奈緒、女の子が『うげ!』って言うなよ。ギャップが激しい。」
 理奈:「そうだよ奈緒。せめてもっと可愛らしく言わないと。」

 奈緒:「うるさい!」  っと理奈と和也に軽くデコピンを喰らわした。

 和也・理奈:「「あうち(>_<)」」   いや、あうちって・・・・・

 灯:「んじゃ、奈緒ちゃんも仕事が終わった事だしみんなで遊びに行こー♪」

 一同:「おーーーー♪」 っとホテルにあるゲーセンに行こうとしたとき、

 ひなた:「奈緒〜?」
 剛:「エロ奈緒〜?」 っと俺を呼ぶ聞き覚えのある声。ん?エロって聞こえなかったか?今?

 奈緒:「ひなた、剛?何かようか?」

 ひなた:「ううん。用っていうか、明日何か用事あるかなって?」

 奈緒:「あーそういや明日はバイト休みだったっけ?・・・・でも明日お店、大丈夫なのか?」

 剛:「ホテルの従業員を雇うから大丈夫だそうだ。・・・・ところでこの人達は向こう(内地)の友達か?」

 奈緒:「あ、そっか。話してなかったっけ・・・・・・」

 ってことで軽く自己紹介を済まし、
 ひなた:「そっか、じゃあ親睦を深めるためみんなで遊ぼう♪」
 理奈:「おー♪」

 奈緒:「何か既に意気投合してるし。」
 和也:「ああ、何か通じるものがあったんだろうな。」
 剛:「そうだな。・・・・ってひなた、用事を先に言え、先に!」

 ひなた:「あ、あーそうだったね。えっと奈緒、明日ね『O・H・C(オーク)』がこのビーチで行われるんだけど参加する?っと言っても1チーム6〜7で組まなきゃならないから人足りないし、奈緒も他で遊びたいなら無理にとは言わないけど。」

 和也:「・・・お・・・・」
 理奈:「・・・・・・大奥?」  いやいやいや・・・・・

 奈緒:「理奈、大奥じゃなくて『O・H・C(オーク)』。『Okinawa hexagon competition』の略だ。」

 灯:「ねえ。それって『沖縄六角競技』の事?」

 奈緒:「あーそうそう・・・・・って何で灯が知ってんだ?」

 灯:「だって今回の『O・H・C(オーク)』のスポンサーは『KONOグループ』なんだから。」

 奈緒・ひなた・剛:「え・・・えぇーーーーー!?」 マジすか!?マジお前の親父さんどんだけーだよ。色んな物に手を出しすぎだぁ!!

 ちなみに『O・H・C(Okinawa hexagon competition)』とは沖縄で年に一回行われる夏恒例の伝統行事で開催場所と内容は毎回ランダムに決められている。

 剛:「今回は『遠距離水泳(約500M・男女一名ずつ)』と『ビーチフラッグ(一人)』、『ビーチバレー(六人制)』に『トレジャーハント(三人)』、『スピンオフ(大玉転がし・男女一名ずつ)』あと『フードファイト(四人交代制)』の六つだ。ああ、あと余興で『水着コンテスト』もあるってよ。奈緒、ひなたお前達もコンテスト出たらどうだ?店の良い宣伝にもなると思うしな。」

 奈緒・ひなた:「「それはイヤ!(怒)」」  お前はアホか!!

 ちなみにこの行事は沖縄全土で生中継するほどの人気行事である。

 ※いまさらですがこの作品は実際の地名、団体、『行事』等とは一切関係ありません(by作者♪)

 理奈:「ねえ、それって私達でも出れるの?」

 ひなた:「ん?出れるよ。あ、そうだ。どうせならこの場にいるみんなでエントリーしようよ!」

 和也:「そうだな。ちょうど六人いるしな。」

 奈緒:「んじゃ早速エントリー用紙に名前を・・・・・・」 前は急げって言うしな。

 と、ひなたが持っていた参加用紙に全員の名前を書こうとした時、意義の声が上がった。

 灯:「奈緒ちょっと待って。私は参加出来ないわ。」

 理奈:「え?何で?一緒に参加しようよ?」

 灯:「出来るなら一緒にやりたいんだけどね。でも今回のスポンサーが『KONOグループ』である以上その関係者である私がむやみに参加は出来ないわ。残念だけど。」

 奈緒:「あ、そっか・・・・・じゃあ、あと一人どうしようか?」
 ひなた:「浩兄さんを誘ったら?」
 奈緒:「兄さんを?・・・・そうだね、兄さんも明日休みだしね。」
 和也:「これで6人目か。これで大丈夫なんだろ?」
 理奈:「うん。出来ればもう一人欲しかったんだけど・・・・・・」





 一同(灯を除く):「・・・・・・・・・・・・」  みんなで物欲しそうに灯を見る





 灯:「そ・・・そんな目で私を見ないで!」  だって〜

 和也:「ま、しゃあないか。」
 理奈:「そうだね。」
 剛:「メンバーが決まっただけでもよしとするか」
 ひなた:「よろしくねみんな♪」
 灯:「私も出られないけどちゃんとサポートと応援はするから。私の分も頑張って。」

 和也:「んじゃ、この後親睦を深めるためみんなで遊びに行くか。」
 理奈:「おー♪」

 剛:「・・・・ってこのセリフ、さっきひなたが言った事と同じじゃねぇ?」
 ひなた:「剛、気にしたら負けよ?」
 灯:「何に負けるの?」
 ひなた:「・・・・・この世の理(ことわり)に・・・・・」
 奈緒:「いや、意味が分からん・・・・・・・・」





 この後、ホテルのゲーセンやらカラオケやらで三時間くらい遊んで祖父ちゃんの家に帰宅し、兄さんに明日の大会の参加の許可を取って明日の為に早めに寝る事にした。ということで、おやすみなさい・・・・・・・





 つづく・・・・・・・・・・・・(ZZzz・・・・・・)





 《間書き(あいだがき)》

 季節は夏前の梅雨。気分はいかがでしょうか?

 前回のあとがきの通り、和也達も沖縄に来ちゃいましたー(一人を除く)。で、向こうに残った明はどうしてるのかはまだ秘密ですが、少なくとも沖縄で奈緒たちには会えません。

 予告ですが第六話では『O・H・C(オーク)』編です。島宝の看板娘(笑)の奈緒にスポンサー『KONOグループ』の娘の灯に勘の鋭い剛、体力自慢の浩(初耳)、大喰らいの和也と切れたら怖い理奈と超普通っ娘のひなた(失言)が活躍(?)します。

 ※しつこいようですがこの作品は実際の地名、団体、『行事』等とは本当に一切関係ありません。っつかそんな行事、ありません。

 さあ、一体どういう展開になるか、それは次回をお楽しみに〜






 さて、前回と同じく区切りを付ける為、あと少しだけお付き合い下さい♪






 浩視点─────────────

 現在午後十時半、

 奈緒が(明日の為に)寝静まって三十分後(正確じゃないけど)、オジィ家に灯ちゃんがやってきた。
 灯:「あ、すみませんこんな夜遅くにお邪魔しちゃって。」

 浩:「いや、一階でオジィ達が寝てるけど騒がなけりゃ別にいいよ。で、話って何かな?」

 灯:「実は先日奈緒君からお借りした『指輪』の事なんですけど。」

 浩:「え?もう何か判ったのか!?」

 灯:「はい。えっと、まずあの指輪の名前なんですけど、フランス語であの指輪は『コントラクト(契約)』または『プラミスリング(約束の指輪)』と呼ばれる物だそうです。」
 浩:「『契約』に『約束の指輪』か、言い方は違うけど意味は一緒か。」
 灯:「それで聞くところその指輪は烏戒(明)君から貰ったと奈緒君は言ってましたがこれはおもちゃではなく、願いを叶える、もしくは強制的に執行するものなのです。」

 浩:「何でそんなもんがガチャガチャん中に入ってたんだよ?」
 灯:「そんなの知りませんよ。」

 浩:「な、なぁそれって他にも願い事とか叶えられるのか?」
 灯:「いえ奈緒君が付けている方は既に『奈緒の女性化』の契約で使われているため無理です。指輪一つにつき一つしか契約(約束)出来ないそうなので。」

 浩:「奈緒の方は・・・・って他にもあるのかあれが!?」
 灯:「えっと現在確認されてるのは全部で17個、奈緒君のを合わせて18個になりますね。」

 浩:「その残りの17個は今、どこにあるんだ?」
 灯:「さぁ・・・・そこまでは書かれていません。でもこれは使い様には善事にも悪事にもなりかねないものなのです。だからきっとどこかで封印されているものだと思います。」

 浩:「そっか・・・・。で、奈緒を元に戻す方法は?(っつか善事ならいいんじゃねえ?)」

 灯:「はい、『契約』というものには当然『契約破棄』という手段があるはずなんです。恐らく『奈緒の女性化の原因』に反することを行えばいいのではないかと。」

 浩:「奈緒の女性化に反すること・・・・・・・か。」
 灯:「そもそも奈緒ちゃ・・・奈緒君にはそんな願望は無いって言ってましたし。」
 浩:「ちゃん付けでいいんじゃないか?正直言いにくいだろ?」
 灯:「はい、正直『君』付けじゃ違和感バリバリです。」
 浩:「ん〜確かにあいつにはそんな(女性化)願望なんて無いと思うし・・・・・だとするとあいつかな。」
 灯:「はい。恐らく幼い頃に烏戒君が奈緒ちゃんにあれを渡す際に何か『約束』をしたんだと思われます。」
 浩:「あれか・・・・・」

 灯:「はい、私の予想通りだとすれば、奈緒ちゃんと烏戒君は幼い時、『ある約束』をしたのだと思います。しかし奈緒ちゃんは『男』だった故に指輪の力で強制的に性転換をされたんだと・・・・」

 浩:「ああ、だとすると厄介だなー」
 灯:「はい、元に戻すにはかなり大変です。」

 奈緒にかけられた『女性化』の契約魔法(?)を解くにはそれに反することをやればいい。つまり幼い頃に明とした『大人になったら明のお嫁さんになる約束』を破ること。要するに奈緒が明以外の人間を好きになるか、もしくはその逆、明に奈緒以外の人間をくっつけること。・・・・・しかしそれは難しい課題だ。何せ今現在、明は幼い頃の奈緒の幻影を追って街中を根こそぎ嗅ぎ回っているのだ。この状態じゃ他のものをくっ付けるのは到底無理。

 かといって奈緒にもその要求は無理。奈緒が女として他の男をくっ付けるのは絶対拒否るので文字通り駄目。男として女の子をくっ付けようとしても見た目が女だからよほど色物好きな(百合系)女の子じゃないと無理。ってかそんな女の子だったら奈緒は絶対引く。だから元に戻すのはかなり困難を極めそうだ。

 浩:「なあ、灯ちゃん。ちなみに奈緒が明の彼女・・・・恋人なんかになっちまったらどうなるんだ?」
 灯:「んと、これは推測ですが、恐らく完全な女性になってしまうかと・・・・・」
 浩:「あーやっぱりそうか・・・・・」

 灯:「まあ、もっと具体的な解決方法が見つかるまで様子を見ようと思います。」
 浩:「・・・・・今はそれしかないか。でも、男に戻るか女になるかは奈緒次第・・・・かな?」
 灯:「ま、まあ今日久しぶり会いましたがかなり女の子入ってましたしね。」

 浩:「入ってたというより『奈緒の本当の性格』が出てきたっていうか・・・・・」
 灯:「はい?」
 浩:「あ、いやなんでもない。気にしないでくれ。」
 灯:「は、はぁ・・・・・」





 ・・・・・八年前(奈緒が小学二年の時)お前が自分が『男』だと気付いていたが二年前(奈緒が中学二年の時)向こう(内地)に戻ってからお前は何故か明にベットリ(俺的にそういう風に見える)だったがその時お前はまだ明の事が好きだったのか?それとも・・・・・・

 ・・・・・いや、これは俺が考える事じゃないな。奈緒自身が自分で考えるべきか。

 浩が考え事をしていると、
 灯:「浩さん?浩さ〜ん? 駄目だ、考え事でドリームってる・・・・・・」 っと溜め息を付く。

 ・・・・ま、別に奈緒が死ぬってわけじゃないから別にいいか。何かあったら相談に乗るくらいで──────
 灯:「浩さ───────ん!!!」

 浩:「うわぁ!!?」 び、ビックリした・・・・・。

 灯:「もう!人の話聞いてるんですか?」

 浩:「え?ああ、ごめん何だっけ?」

 灯:「いえ、もう用件は済んだんで帰ろうかと。」

 浩:「そ、そうだな。もし誰か起きてこの光景を見たら何て言うか・・・・・・・あ・・・・・・」

 灯:「あ・・・・・・」

 後ろを振り返る、そこには・・・・・
 藍・祐貴:「・・・・・・・・・」

 浩・灯:「・・・・・・・・・・」  灯ちゃん(と俺)が騒いだ為、藍と祐貴が起きてしまった。

 さらに、
 母さん:「あら・・・・? まぁ〜・・・・・」  最悪だ・・・・・・・・

 そして、
 藍・祐貴:「あああああああ!!!?」

 その後、俺は結局おじィ達(奈緒は何故か熟睡中)まで起きて来てこっぴどく絞られたさ。





 それではまた次回にお会いしましょう(_ _)





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