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 俺は夢を見ていた。


 そこは小さな公園、季節は冬・・・・・・・

 そこで雪遊びをしている男の子と女の子、見るところ二人とも大体五、六才位ってところだろう・・・・・・・

 (あれは・・・・・俺?)  その子供の内一人は幼い頃の俺だった・・・・・・・・

 しばらくしてその子達は遊び疲れたのか、その場に座って何やら話し始めた、

 「ねー、あー君。」 

 「なに?ナオちゃん?」 もちろん言うまでもなく『ナオ』とは俺の事。

 「あー君は大きくなったらなにになりたい?」

 (うーん・・・小さい頃の夢とはいえ舌ったらずに喋ってる俺を見るのは恥ずかしい(恥)・・・・・・・)

 「んと、おまわりさん!そんで地球のみんなをわるいやつから守るんだ!!」 っと誇らしげに言う『あー君』

 (それは軍の仕事であって『おまわりさん』にそんな仕事は無いぞ?)

 「すごいすごい!ウル○ラマンみたい!」

 (いや、だからそれはフィクションですよ?) 一応ツッコミを入れているが夢の中ゆえ聞こえている訳が無い。

 「(本当はナオちゃんを守りたいだけなんだけどな)」 『あー君』が呟く。

 「ん?どーしたのあー君?」 

 「え?あ、ううんなんでもないなんでもない(汗)。それよりナオちゃんの夢ってなに?」

 「え?ナオの夢? うーんとね、お嫁さん♪」

 「お嫁さん?」

 「うん♪ ナオの夢はあー君のお嫁さんだよ♪」


 っ!? ヤ・・・ヤメロ・・・・・・・


 「僕の・・・・お嫁さん?」

 「うん。だって────
  

 (ヤメロ・・・・言うな!聞きたくない!!) 俺は耳を塞ぐが声が直接脳に来てるから逃げられない。


 ─────だって、ナオ・・・・あー君の事が・・・・・・好きだから・・・・(赤)」





 う・・・・・

 「うわああああああ!!!?」 

 あまりのショックで目が覚めた。

 「はぁ・・・・はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・(汗)」
 全く、何て夢なんだ。何で今頃になってこんな夢見るんだよ・・・・・・・

 多分予想が付くと思うけど小さい頃、俺は母さんに女の子の格好をさせられていた為、あの頃は自分の事を『女の子』だと思っていた。自分が本当は『男』だと気付くまで・・・・・・・

 今は『女』だけど・・・・・・・

 「ふぅ・・・・・」 う〜ん、目覚めが悪いのか少しフラつくな・・・・・・

 ・・・・・・・ん?


 ・・・・・・・・・・・・・・。


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・アレ? 




奈緒の憂鬱
第三話:指輪の謎
作:SAYA




 「よし、これで全部だな?」 

 ただいま引越しの真っ最中。俺は黙々と自分の分の荷物を片付け終わって、他の片付いていない所へと向かった。



 「おーい兄さん。何かやることあるかー?」

 そこには既に作業を終えた兄さんと祐貴、藍の三人がジュースを飲んでゆったりしていた。

 「ん?ああ、もうほとんどやることは無いぞ。後は服やらそれぞれの部屋だけだな。」

 「そっか。じゃあ俺もジュースくれ。」

 藍からジュースを受け取り喉に流し込む。ちなみに飲んでいるものは炭酸系(コーラー)。う〜ん爽快爽快♪

 「あーあ、つまんないな。」 祐貴が何やら愚痴をこぼす。

 「何だよいきなり?」

 「だってせっかく姉ちゃんが出来たってのにすぐに兄貴に戻ったら愚痴くらい言いたくなるさ。」 と言う弟、祐貴に、

 「ねえ、お姉ちゃんに戻れない?」  とか言う妹、藍。

 「だあ!俺は男だ! もうあの事は忘れろ!夢だと思っとけ!!」 っと大声で怒鳴る。

 「しかし勿体ないよな、あんなに可愛かったってのに・・・・」 うな垂れる兄さん。そこまで凹まなくても・・・・

 「そんなの俺が知るか!」





 昨日・・・・いや今日か。朝起きたら男に戻っていた。てっきりもう戻れないかと欝気味ってた俺にとってこれほど嬉しい事は無い!そしてさっそく兄さんの所へと向かった。



 ・・・・・・・しかし、

 「・・・・・・・・・・・・・お前・・・誰?」 だぁ!昨日(一話目)と同じこと言うな!

 「俺だ、奈緒だ!戻ったんだよ、男に!」

 「・・・・・・マジ?」
 「マジ。」

 「「・・・・・・・・・」」 その後、しばらく沈黙が続いた。

 しかもその直後に起きてきた藍と祐貴にも衝撃が伝わる・・・・・・
 「お・・・お姉ちゃんが男の人に・・・・・」
 「姉ちゃんが・・・・・姉ちゃんが!(泣)」

 おまけにその様子を偶然やってきた引越し業者の人にも伝わって、
 業者の人A:「可哀想に・・・・・・」 
 業者の人B:「へ?・・・この娘・・・・同一性障害かい?」
 業者の人C:「でもこれでもイケそう・・・・・」

 奈緒:「ええい!まとめてうるさーい!!」

 とりあえずセリフが変だった『業者の人C』の方は兄さんとツープラトン技を喰らわせてやった。
 そんなこんなで引っ越しの作業が九十分近く遅れてしまい、本来なら家具などの重たいものは全て業者の方がやってくれるんだが、遅れた原因は明らかにこちらなので仕方なく手伝うことになったのだ。





 業者の方々:「ありがとうございました〜」 っと帰っていく業者の方々。 ホント、お疲れ様DEATH・・・・・・


 奈緒:「あ〜疲れたー。」 
 浩:「まあ、あれだけの事がありゃあな・・・・・・」
 奈緒:「全くだよ。大げさな・・・・。でも良かったよ無事に引越し出来たから。」 まぁ、何事も無かった訳じゃないんだけどさ。

 藍・祐貴:「「ちっとも良くない!」」 っと二人の声が揃う。さすが双子。

 奈緒:「はいはい、勝手に言え。じゃ、俺は先に新しい風呂で一番風呂だ♪」

 藍・祐貴:「「むぅ〜〜〜〜〜」」 っと後ろから睨まれるが気にしなーい、気にSHINAI。

 浩:「ん?おい奈緒。お前指輪付けたまま風呂、入るのか?」

 奈緒:「おっとそうだ忘れてた。これ付けっぱなしだったっけ。」 っと昨日の寝る前から指にはめていた指輪を抜き、風呂へと向かう。


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 十分後─────────────

 「なんじゃこりゃ───────!!」

 っと、お風呂場に明らかに外まで聞こえそうなどう聞いても澄んだ高い声の『女の子』の悲鳴が木霊した。



 浩:「な・・・何だ?一体どうした奈緒!?」 一番に駆けつけてきたのは浩(兄)だった。

 奈緒:「あ・・あああ・・・・ああああああああ・・・・・・・・・・」

 浩:「え・・・・?」  俺を見た兄さんが固まる。
 藍:「何?どうしたの、大声なんか出し・・・・・・・」 次に来た藍も途中で口ごもってしまった。
 祐貴:「何なんだよ。うっさ・・・ゐぃ!?」   祐貴に至っては語尾に変な奇声を上げてしまった。


 そしてまた第一話の時と同じようにこの場にいた全員の時が─────────止まらなかった。
 さすがに一度経験しただけあって止まったのは一瞬だけ。

 ・・・・・・・ということで、
 藍:「お姉ちゃーん♪」 祐貴:「姉ちゃーん♪」  っと二人が服を着けたまま濡れている俺に抱きついてきた。

 奈緒:「だぁ!やめろ、服が濡れるぞ! ってか何どさくさに紛れてお前まで抱きついてんだ祐貴!?」

 祐貴:「いいじゃん、別に減るもんじゃあるまいし♪」 っと顔を胸に埋めている祐貴。

 奈緒:「いい加減にしろこのエロ餓鬼!!!」  

 ゴンッ!!
 祐貴に一発かました。
 祐貴:「ううう・・・・・・・・(泣)」 泣きながら出て行く祐貴。

 浩:「やれやれ・・・・・・」 そんな光景を見た兄さんだけは気遣ってずっと後ろを向いていた。
 と、とりあえず藍も引き剥がし、既に濡れてしまった祐貴は兄さんに任せて、藍とは仕方なく風呂に一緒に入った。





 お風呂場にて───────────
 「お姉ちゃん。胸大きいね♪」 うきうきしながら俺の背中を洗ってる藍。ちなみに無理矢理お願いされて、だ(- -;)

 「ん?そうか?あんまり気にしてなかったけど?」

 「十分大きいの!うちの学年でもそんなに(胸が)大きい人あまりいないもん。」 

 「そんなもんか?それにしてはたまに見かけるけど(胸が)大きい人結構いないか?」

 「みんなパット入れて大きく見えるようにしてるの!悪かったわね!」 っと思いっきり背中をゴシゴシされる。

 「痛い痛いって!(泣) ごめん、そうなのか。結構大変なんだな女の子って・・・・・」 

 「そうだよ。なのにお姉ちゃんって女の子になったばっかなのにこんなに大きいんだもん。羨ましいなぁー・・・・」

 「いや、そんなこと俺に聞かれても・・・・・」 困るんですが。

 「だってだってぇ!!(泣)」 とうとう泣き出してしまった藍。

 「えぇ!? 何で泣くんだよ!?」 パニくる俺。

 「だって私、クラスで一番小さいんだもん・・・・・・」

 「あ・・・・・・」 なるほど、そういうことか・・・・・・

 藍は顔は可愛いんだけど本人も気にしてか、正直胸が無い。サイズでいうとAAA。下手すりゃ小学生にも負ける。

 「うえぇぇぇん!!(大泣)」 あー駄目だこりゃ。完全にトラウマ入っちゃったよ・・・・・

 「お・・・落ち着け。大丈夫って母さんがあんなに大きいんだ。お前ももう少ししたら大きくなるって。な?」
 ちなみに母さんは見た目二十代後半。実際は三十九歳。かなり若く見えるし胸のサイズは『F』だ。かなりデカイ。

 「そんなこと言ったって〜(泣)」

 「分かったから。とりあえず落ち着け。な?」 俺は藍の後ろに回ってそっと抱きしめる。

 「お姉ちゃん・・・・・・(涙)」 

 「な? 大丈夫。不本意だけど俺もこんなに(胸が突然)大きくなっちまったんだ。だからお前も(胸が)大きくなるさ。俺が保障するから自信持て。」

 「・・・・・・・・」
 「どうだ?落ち着いたか?」

 「・・・・・うん。」
 「よし、良い子だ!」 っと藍の頭をそっと撫でてやる。

 「うみゅう・・・・・」 藍が俺の胸に頭を埋めてきた。まぁ、いっかこんなときくらいは好きにさせてやろう。




 ・・・・・・しかし、ちょっっと考えが甘かった、
 「う〜〜〜〜・・・・・・・」  藍が埋めていた頭を自ら離しその目線が胸元へと向かう。

 「ん?どうしたあ・・ひゃあ!?」 突然、胸を揉まれた。びっくりした事と微妙に感じた快感で奇鳴を上げた。

 「ムフフフフフ・・・・・」
 ヤバイ、藍の目が光ってる。これには見覚えがある。そう、母さんと『ビショップ』の店員さんと同じような・・・・・

 「や、やめぇ・・ひゃああ!!」 藍を静止させようとするが奇鳴しか出せない。


 そして、
 「#@★△〒∠∩∬‡凵I!!」 俺はもはや声にならないほどの悲鳴を上げていた(内容はおそらく18禁気味なのでお伝え出来そうにありません♪〔by藍〕) 







 その後、俺は二十分に渡り、藍のされるがままになっていた。まぁ当然後でお仕置きしておいたけど。





 そして一通り落ち着いて、リビングへ、 

 浩:「ん〜しかし一体どういうことなんだ?何でまた女に?」
  
 奈緒:「知るかそんなの。俺が聞きたいくらいだ。」 

 祐貴:「いいじゃんそんなのどうだって。俺は結構嬉しいけどな。」 

 奈緒:「(ギロリ)」 

 祐貴:「ゴメンナサイ。」

 藍:「ねえ、お姉ちゃん。そういやさっき付けてた指輪は?」

 奈緒:「ああ、これか?」 俺は付けずに手のひらに乗せた。

 浩:「・・・・・・奈緒。それ、付けてみろ。」

 奈緒:「え?でも・・・・」

 浩:「いいから付けろ。」  「う・・・うん。」

 大人しく兄さんに従って指輪をはめた。
 奈緒:「何も起こらないぞ?」

 浩:「まだわからん。ちょっと様子を見よう。」 


 十分後─────────────
 奈緒:「お・・・・おおお・・・・・・・!」  俺は夢を見ているのか?

 浩:「やっぱりな。」 確信を持った兄さん。

 そう、指輪を付けた俺は男に戻った。 ・・・・・けど疑問が残る。

 奈緒:「う〜ん。原因は分かったけど、やっぱり何で女になったかは分かんないままか。」

 兄さんは少し考え込んで、
 浩:「・・・・・これは推測なんだが、指輪を外すと『女になった』んじゃなく『女に戻った』んだな。」

 奈緒:「え!?」

 浩:「つまり、お前は今、現状的に『女』だと言うことだ。」

 奈緒:「んな!?馬鹿な!?俺は男だぞ!?」

 浩:「『今は』な。だがそれを外すと女になる。これも実証済みだな。」

 奈緒:「そんな・・・・・・」

 藍・祐貴「・・・・・・・・・・・・・・」

 しばらく沈黙が降りる・・・・・・・・


 浩:「で、これから奈緒、お前はどうするんだ?このままじゃ色んな意味でマズイ事になるのは明らかだ。」

 藍・祐貴:「「え?何で?」」 訳が分からないといった感じで浩(兄)を見る。

 浩:「奈緒は一応、学校では『男』として通ってるんだ。実際に同じ学校に通う何人かは体育などで奈緒の裸を見ているはずなんだ。もし『本当は本当に女の子だった』と知られたらどうなるか・・・・・全く想像出来ない。」

 祐貴:「そうか?結構案外なんとかなるんじゃねーの?姉ちゃん、見た目的にはあまり変わってないし。学校でもかなり人気あるんだろ兄貴?」
 浩:「人気どころかファンクラブまであるぞ。ったく同じ学校に通う俺の身にもなってくれよ(涙)」

 奈緒:「あはははは。ごめん。」 俺は苦笑するしか出来なかった。

  
 奈緒が浩と同じ高校に入学して以来、一つ上の学年である浩はクラスメイトから色々な噂話を聞かされたり、奈緒について色々説明したりしていた。主に体育祭の後の説明が大変だった。なんせ校長室にまで呼び出されたくらいだから。

 浩:「もし今の奈緒の状態が学校にバレたらまた呼び出し喰らっちまうだろ。」

 奈緒:「・・・・じゃあ俺、転校しなちゃなんないのか?」 さすがに一年の一学期だけで転校はさすがに・・・・・

 浩:「最悪・・・・・な。」

 奈緒:「・・・・・・・・・・・・・」 俺は言葉を失った。





 あれは昨日の帰りの事だ。
 バンドが終わって家に帰った俺は親の御使いで買い物に行き、丁度帰るところだった。

 「ん?あれは・・・・・・」
 俺は重たい荷物を両手にぶら下げながら交差点の向こう側で歩く三人組の女子達に目が行った(偶然)。その内二人は俺の知っている人物で『理奈』と『灯』だった。そして問題はもう一人の女の子の方だ。

 サラサラとした長いストレートの髪、愛らしく小柄な身長だが出ているところは出ている体型、そしてどこのか分からない学校の制服。他の人から見れば完璧な女の子だ。それもかなりの高レベル。

 しかし、問題は顔。・・・・いや、別にブサ○クってな訳じゃないぞ。ホント!(汗)

 つぶらな瞳にキュートな鼻、麗しい唇、そしてかなりバランスの良い輪郭にて小顔。
  
 要するに結論から言えば、俺はその顔に見覚えがある。
 「・・・・・・・那雄?」

 そう、問題の女の子は那雄にそっくりだった。一瞬、妹の藍ちゃんかと思ったが藍ちゃんはそんなに髪、長くないし第一理奈達とは面識が無い筈だ。でもあいつがそんな簡単に女装をOKするわけがない。

 俺はふと、幼い頃いつも一緒に遊んでいた少女の事を思い出し、その後を追いかけようとしたが車の大群に阻まれて気が付いたときにはもう理奈達はすでにいなかった。

 「くっ・・・・・・」
 なんて事だ。せっかく・・・・せっかく見つけたのに見失っちまった・・・・・・。

 俺には小さい頃、いつも一緒に遊んでいた少女がいて、その子は今の那雄をそのまま子供に戻したほどクリソツ(そっくり)なのだ。しかしその子は、小二(小学二年生)の時に遠い所に転校してしまって以来、連絡が着かなくなったままだ。



 だから、

 だからせめてもう一度、あの子に・・・・・・・


 俺は買い物袋を近くのコインロッカーに(無理矢理)入れて、先ほどあの子(と理奈と灯)がいた場所をくまなく探したが残念な事に、あの子に関する情報は何一つ得られなかった。(例えばあの子が着ていた制服の事とか)





 奈緒視点──────────────
 「はぁーーーーーー。」 う〜む。最近溜息ばっかしてるな、俺。

 現状、『男』と『女』の両方になれる俺にとって深刻な問題なのだ。昨日は『いずれは自然に元に戻るだろう』とか『きっと何かの病気かもしれない』とか思っていたが、どうやらそういう問題じゃない。今の自分『女姿』が元の姿で、指輪をはめたときに『男姿』になるのだ。

 要するに、
 「俺、女・・・・・・・?」 
 歩きながら腕を組んで考え込んだ結論がこれ。

 「馬鹿な!そんなはずない!」 っと悪い方向に思考が行った頭を振って目的地へと到着する。

 ちなみに今、ここは、学校のバンド室(第三音楽室)手前の廊下。



 「・・・・・あ・・・・・・・・・ろ?」
 「た・・・・・き・・・・・・・・・・・・・」
 「・・そ・・・・・・・・・・・の。」   


 ん?何だ?何か言い争ってるのか?

 ガラ・・・・・・  
 「・・・・・・・・・|_・)」  ・・・・・・・・・・・・・。

 理奈:「だから一体何が言いたいのよ明?そんなにあの子の事がが気になるの?」

 明:「いや、気になるっていうかなんっつーか、そのー・・・(言えるかっつーの!)」


 奈緒:「(何の話してんだ?)|_・)」


 灯:「そういわれてもねー。だって昨日私たち、その子に道を尋ねられただけなのに。」

 明:「へ?」


 奈緒:「(は・・・・話が見えない)」 何せその距離十メートルな上に小声で話してるもんだからハッキリとは聞こえない。





 ここで一つ。今、この部屋にいるのは明、理奈、灯の三人だけだ。つまり一人欠けてるわけで・・・・・・

 トン・・・・・・
 和也:「なーにやってんだまたお前は。」 後ろから軽くチョップを喰らう。

 奈緒:「うー。和也か。ビックリさせんなよ。」

 和也:「その割にはあんま驚いてないじゃないか?」

 奈緒:「ふ・・・・昨日の明と状況が同じだからな。二番煎じは効かないぜ(笑)」 

 和也:「ほう、そか(笑)」  ニヤける和也。

 奈緒:「な・・・何笑ってんだよ?」
 和也:「(いいから。後ろ、見てみな。)」  っと俺の後ろを指す。
 奈緒:「へ?」


 灯:「奈ー緒ーちん♪」
 奈緒:「ひゃあ!!」 突然ドアが開いて後ろから灯に抱きしめられる。




 奈緒:「ったく。ビックリさせんなよ。」

 灯:「だってぇ。ねぇ?」 っと理奈に話を振る。

 理奈:「いや、私に振られても困るんだけど?」

 奈緒:「お、そういやお前等、さっき何話してたんだ?」

 明:「あ、いや。な・・・何でもない。ただの世間話だ。」 っと何故かドモる明。

 奈緒:「あ、そう?」 

 明:「・・・そうだ、お前には関係無い!!」 いや、そんな強調されても・・・・・





 和也:「・・・・・あのよ、そろそろ練習しねぇ?」 一人黙って見ていた和也がぼやく。

 理奈:「うん。」 灯:「は〜い♪」 奈緒:「お、おう。」
 明:「・・・・・・・・」  明のみが一人ムスっとしたまま黙って頷く。 

 練習開始から二時間後、現在午後四時半過ぎ─────────────

 明:「じゃあ俺、今日は先に帰るわ。」 
 奈緒:「ん?早いな。何か用事でもあるの?」
 明:「お前には関係無いだろ。」
 奈緒:「・・・・・・・そうだな。」   


 何だよ・・・冷たいな、明の奴・・・・・・  





 和也:「じゃ、俺等も帰るか。」
 理奈:「そうだね。」

 奈緒:「ん?デートか?」
 和也:「アホ、こんな時間から行くわけあるか!」
 理奈:「買い物だよ。今日は私達の両親両方ともいないから・・・・・・」 といって口ごもる。顔が赤いのは気のせい?

 奈緒:「そっか、だから今日は自分たちで作らなきゃならんわけだ。」

 和也:「そうだ。別にやましい事は無いぞ? こういうことはよくあるしな。」

 理奈:「う・・うん・・・・」 何故か和也の言葉に元気を無くす理奈。う〜ん、何となく理奈の気持ちが分かる気がする


 そこに、灯が理奈を引き連れて俺と和也に聞こえない程度に話す。
 灯:「理奈ちゃん、これはチャンスだよ。ここは和也君に(ゴニョゴニョ・・・・・・)」

 奈緒:「?? 何話してんだあいつら?」
 和也:「さあ・・・。でもとんでもないことだけは確かだな。灯の目が光ってるからな。」 よく分かってらっしゃるではないの和也さん。さすが同じ中学出身・・・・・

 灯:「じゃ、頑張って理奈ちゃん。」

 理奈:「・・・・・・うん(*- -*)」 プシューって音が聞こえそうな赤面で和也の下による理奈。
 和也:「・・・じゃあ帰るわ。またな。」

 奈緒:「またな。」 灯:「バイバ〜イ♪」 一体何を吹き込んだんだこいつ? 



 そして俺と灯以外、完全にいなくなった後、
 灯:「奈緒ちゃん。一体どういうこと!?」 いきなり態度を変えて真剣な表情で迫ってきた。怖いって、灯さん(汗)

 奈緒:「な、何がだよ?」

 灯:「何が、じゃないわよ!奈緒ちゃんの胸、一体どこ行っちゃったのよ!?」

 奈緒:「ああ!だからお前さっき後ろから抱きついたとき手を前に回したのか!?」
 灯:「もう!そんなのはどうでもいいの!いいから答えて!」

 奈緒:「・・・・・分かった、最初から話してやるから落ち着けって。」



 俺は灯に昨日から・・・いや、指輪を見つけたのは一昨日だからそこから今日今朝にかけて起きた事をくまなく説明した。

 灯:「・・・・・ふ〜ん。で、その指はどうしたの?どうせ突き指じゃないんでしょ?」

 奈緒:「まあ・・・ね。」  





 あの後、とりあえずバンドに行く時、兄さんに指輪をはめるか外すか相談した。

 浩:「とりあえず今日は付けて行け。多分お前を知ってる奴らの何人かは昨日のお前(デパートから家までの道のりで)を見てるはずだ。さすがに昨日みたいにタオルで隠すのは無理があるだろ?っつかそのままで行ったら確実にバレる可能性大だな。」

 奈緒:「あ、やっぱり?」

 藍・祐貴「「え〜〜〜?」」 っとまた不満気に口を膨らませて講義しだす双子弟妹。

 奈緒:「『え〜』じゃない。んじゃ着けていくか。あ、でも・・・・」
 浩:「何だ?」
 奈緒:「もし失くしたりしたらどうしよう・・・・・・」
 浩:「失くしたら『男』に戻れなくなるんだろうな。もしそうなったら、な。」
 奈緒:「げ!ど、どうしよう・・・・・」

 浩:「はぁ。仕方ない。奈緒、指輪をはめた手を貸してみろ。」

 奈緒:「う、うん。」

 そういって浩は奈緒の指輪をはめた指を(買ってきた)包帯で巻いた。
 浩:「ふう。これで何とか誤魔化させれるだろう」

 奈緒:「って兄さん。俺にずっとこうしろってのか?」

 浩:「ずっと・・・・と言うより何か解決策が思いつくまでそうするしかないだろ?・・・・・まあ外したいってんなら外せばいいし。」

 奈緒:「はぁ?外すわけないじゃん。」

 藍・祐貴:「「え〜〜〜〜〜!?」」

 奈緒:「はいはいうるさいうるさい。じゃ行ってくる。」

 浩:「知らない人について行くなよー?」

 奈緒:「あのなー(笑)」





 「って事だからこれは絶対外さない。」 っと言って指輪をしている手を隠す。

 「チッ!」 灯が舌打ちする。おいおい、何しようとしてたんだお前・・・・・・・

 「・・・で?お前ももう帰るんだろ?途中まで一緒に行くか?」

 「うん。・・・・あ、でもちょっと寄りたい所があるんだけどついでにいい?」

 「ん?んー、まあこの後特にやることないしな。」

 「じゃ、決まり♪ 言っとくけど『行く』って言ったからには逃げないでよ?」

 「え? ってか一体どこに行く気なんだよ?」

 「隣町にある女性下着専門店『RICO』だよ。」

 「ってちょっと待て!まさか・・・・・・」

 「いまさら行かないって言ったって駄目だよ♪ もう行くって伝えてあるし。」

 「早! ってお前まさか今日最初からそのつもりで・・・・・・?」

 「あらら、バレた?」

 「バレたじゃねえ!それに『行く』とは言ってない。」 うん、言ってない言ってない。

 「往生際が悪いわね。それなら仕方ないわ(ニヤリ)」 っと言って灯が指を鳴らす。すると、


 ゾロゾロゾロ・・・・・・・
 「な・・・何だこの人達は・・・・?」

 バンド室(第三音楽室)に入ってきたのは黒いレディスーツに黒いサングラスをかけた女性の方が5、6人ほどいた。

 「捕まえて。」 灯がマト○ックス風な女性達にそういうと、

 「「「はい。かしこまりましたお嬢様。」」」 っと言った。

 ・・・・・え? ええええええ!? お嬢様ぁぁ!!?

 ガシッ!
 「・・・・・え?」 今のショックの隙に俺は両手両足を捕まれた。

 「ちょ・・・ちょっと離せ!」 

 「い〜や♪」 拒否られた・・・・・

 灯:「それじゃ、れっつごー♪」
 部下一同:「「「「「アイアイサー♪」」」」」 

 「またこのパターンかぁ!!?」

 灯の配下(多分メイドか、側近の人)に担ぎ上げられながら俺の叫びが学校中に木霊する。

 つづく・・・・・・・・・(涙)




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