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僕は闇の中にいる。

なんでこうなったかは察している。

でも後悔はしない。

それは自分の責任で起きたことなのだからと思った。

それが自分の命の灯火(ともしび)が消えようとも...




君が思う心

序章【闇】
作:Hidden-Seek


一人の青年が自室のベットですやすやと眠っていた。
そこへ一人の女性が部屋のドアを開け、入ってきた。
その女性の容姿は女性の割りに背が高く、髪は肩までかかる程度だった。
その女性は優のそばへと近づき、
「優(ゆう)..」
と言った。が優と呼ばれた青年の方は反応がなかった。再度その女性は優の体を動かして見た。
「優...」
やはり反応がなかった。少し女性は左手を顎をあて考えた。数秒後なにか閃いたのか優の耳元まで寄って呟いた。
「・・・襲っちゃうぞ♪」

バサ

優は耳元で呟いた言葉に反応したのか起き上がった。
「なんだよもう、つまんないの」
秋枝(あきえ)はつまらなさそうに言った。
「ん?..秋姉...おはよう」
「おはよう...」
お互いが挨拶をした。
「ん...何しにきたの?」
「朝食できたぞ、あとそれとあんた時間大丈夫か?」
近くにあった時計を見た。時計の針は7:30を過ぎていた。
「あそこの高校は20分前後で行けるからまだ大丈夫だよ」
そう答えると
「そうかい...さっさと下りて来いよ」
「分かった」
そう言ったのち秋枝は優の部屋を出て行った。
「さてと..着替えるか」
そう言うと優はクローゼットの中から制服を取り出し、着替えた。
鴇凪優(ときなぎゆう)近くの高校に通う、高校2年生である。身長は165と低めだった。
優はクローゼットの右扉に付いている鏡を見て、ため息を漏らした。
「はぁー、なんで男なのにこんな顔立ちをしているの...」
無理もない優の顔立ちはどう見たって女性のものでしかなかった。あとは服とかを着せれば完璧に女性に見えてしまう。
優は着替えると階段を下りてリビングへと向かった。
「おはよう」
「おはよう優」
伸ばした髪を後ろで束ねている細目の男が言った。父の紅影(こうえい)である。
紅影はいちよう警視庁に勤める警部だが、警部といっても事件の詳細をまとめたファイルの管理および整理というなくてもいいような仕事をしている。
しかも本人いわく『まぁ、ゆっくりしていて面白いんだよ、この仕事』という。
「・・・では次のニュースです。昨日未明、京圭市(きょうけいし)にある暴力団組員の屋敷で暴力団が大量死しているのを近くの住民からの連絡がありました」
テレビからのニュースに気になったのか、優はそっちを見てみた。
「警察の調べでは、まだ今のところ分かっていないようですが、組同士による争いと見て警察は動いています」
「朝から物騒だなぁ、京圭市だと隣の市か」
秋枝がトーストをかじりながらいった。
「あれ?春姉は?」
「サークルで先に大学行ったぞ」
「ふーん」
春姉つまり鴇凪春日(ときなぎはるひ)は大学生の1年生である。ちなみに秋枝は大学3年生である。
「そんなことより優、時間大丈夫か?もう8時回ってるぞ」
「え?」
父の言葉を聞いて優はリビングにあった時計を見てみた。8時を過ぎていた。
「やば!!行って来ます!!」
「優ちゃんお弁当忘れているよ」
そう言ったのは母の三由(みゆ)である。彼女の容姿には少し奇妙があった。紅影とほぼ同い年なのに20代の容姿にしか見えなかった。
「ああ、ごめん、そんじゃ行って来ます。」
「私も行って来ます」
「いってらっしゃい」
優は学校へ秋枝は大学へと向かった。
「さてと、それじゃぁ私も仕事場所へ行って...」
そう言って立ち上がって刹那

ガシャン

「ん?」
紅影は音の方角を見てみた。
さっき優が使っていた陶器製のコップがひとりでに割れたのだ。
「あらら、優ちゃんのコップがぁ」
三由は割れたコップを集めながら、おもむろに言った。だがその割れ方は異常だった、割られたガラスみたいに粉々に粉砕されていた。
「これではもう使えないな。それにしてもヒビなんて入っていなかった筈...何事も起こらなければいいが」
紅影の期待に反して事は少しずつ進んでいた。






「蒼(そう)おはよう」
「ん?優か、おはよう」
あいさつした褐色肌の榎本蒼(えのもとそう)は優の友人の一人である。
「で昨日貸したやつはどうだ?」
「以外といける」
「そうか」
「昨日起きたニュース見た?」
優がそう言うと
「例の隣の市で起きた事件のことか」
「そうはどう思う?」
「警察もまだ分かっていないんだろ?」
「そうらしいね」
そんな言葉を交えながら校門を抜け、学校へと入っていった。




放課後
「明日からGWだがあんまりはめをはずして問題を起こすような行為はするなよ。それと数学の方で課題が出ているからそれをちゃんとやっておけよ。あと、最近物騒な事件が隣の市で起きたから部活をやっていない生徒は早めに帰宅すること、以上だ」
担任がそう言うと委員長が号令をかけ掃除は始まった。
「優、お前部活の弓道はどうする?」
蒼が部活について言うと
「そりゃぁ行くよ。さぼっちゃまずいし」
「ふ、それもそうか」
優と蒼は部活をやりに弓道場へと向かった。
和風の建築物が建っているその場所へ向かった。優達はその扉を開けた。
「綾(あや)、いるか?」
蒼が言ったが反応がなかった。
「いないね」
「いや、やつなら多分...」
蒼はその言葉の刹那..
「そりゃぁ――!!」
女性の活気?ある声が聞こえると、その女性は蒼に向かってキックを仕掛けたが...

ひらり

蒼は避け、女性は転げ落ちた。
「いてて...」
「・・・何やってるんだ綾?」
蒼がそう言うと綾と呼ばれた女性はというと
「なんで避けちゃうの蒼、そこは受けて倒れるのがセロリでしょう!!!」
「被害は最小限に抑えた方がいいのでな...ってかセロリじゃなくセオリーではないのか」
「そうそう、それが言いたかったのよ」
「ってかセロリとセオリーをどうやったら間違える!!!」
「なんとなく」
「なんとなくってお前はなんとなくで間違えるのか!!!」
なにやら夫婦漫才が発生しているが、気にも留めない優である。
彼女、神無月綾(かんなづきあや)はこの弓道部の副将である。髪を後ろで束ね、ポニーテールにしており、髪の色も茶色がとても似合う。
ちなみに綾は優、蒼と同学年である。
「蒼、さっさと着替えるよ。」
「む?ああ、分かった」
蒼は優の更衣室へと向かった。




シュパ
弓の風きりの音が響くこの弓道場、部員は全学年合わせて25人と多い方である。
「それにしても蒼凄いね」
「ホントあいつの体どうなってるの?」
優と綾が言うのも無理も無い、蒼は昨年の大会で優勝をしている持ち主である。しかも彼の放つ弓矢の命中も凄い、さっきからはずしていないのだ。
「蒼」
「む?なんだ?」
「なんでそんなに当たるの?」
蒼は優の質問に答えた。
「信じれば当たる」
「そんなもんなの?」
「うむ、そんなもんだ」
「うーん」
優は考えたが『信じれば当たる』と言ってもそんなに弓道は甘くなかった。
「そう言えば部長はどうした?」
「ああ、それならさっき全ての部活の部長は集まるようにって放送があったよ。聞いてなかったの?」
「すまん、集中していた。」
「あっそ」
どうやら部長の集まりがあるらしく、そっちへ行ったみたいだ。それにしても蒼、もの凄い集中力だな。

ガラガラ
「みんな練習やめてこっちに来てくれ」
弓道衣を着た眼鏡の青年が言った。
「なんだろ?なんかあったのか?」
弓道をやっていた部員が練習をやめて青年の方へと向かった。
「村西部長なんかあったんですか?」
綾がその青年を村西と呼んだ、村西鏡(むらにしきょう)ここの主将をやってる。
「ああ、かなりまずい問題がな」
あたりが騒がしくなる。『まずい問題』とは一体どう言うことだろうか?
「隣の市で殺人事件があったの知ってるな」
隣の市で起きた事件、ヤクザつまり組1つが全滅したのだ。
だが、警察は組1つが全滅したことよりもその手口が奇妙なことだと言った。

まず第一に凶器についてだが、全ての死因は死体の傷口と背中まで傷口が達していないことから槍系の物で心臓を一突きだったと警察は推測されるが、そんなことはありえないと警察は言ってる。
普通凶器が槍系のものだとすると、屋内でしかも大量に人の心臓をさせるだろうか。それならば別の凶器の方で殺害し、出血多量による死の方がよっぽど理に適ってる。

第二に時間帯だった、死亡推定時刻が午後11時〜午前2時この時間帯で殺されたのだとしたら不思議だった。聞き込み調査で分かったことだが、その時間帯で奇妙な物音や悲鳴音がまったくしていないということ、あれだけの人数が殺されたのに悲鳴が聞こえないということが奇妙だった。
睡眠薬を使ったのではないかと説はあったが、その説は薄いとなった。解剖結果から睡眠薬の主成分が検出されなかった。つまり睡眠薬などで身動きをとれなくしたのは考えにくい。

第三に犯人の情報がまったく無いということ、自分についた返り血や凶器に付着した血を洗い流したと思われる痕跡はあったが、指紋や髪の毛といった犯人を特定できるものが無かったのだ。しかも凶器が槍系ものならば、入れるケースもかなりの長さになり目立ってしまうはず。普通に持てばさらに目立ってしまう。 だが、目撃者情報がないことだった。

これだけ不可解なことが多すぎるためか警察も困り果ててる。
警察は必死に犯人を捜しているが、いまだに見つかってはいない。
「その事件で今日警察から厳戒体制になって学校の方も生徒達を早く帰宅させるみたいだ」
部員達の方も怯えや恐怖をしていた、そんな芸当を使う殺人者が近くにいるかも知れないのだ。
「では道具を片付けと着替えを済まして早めに帰ることそれと極力一人を避けること、解散」
部長の一言で部員のみんなは弓道を片付けと着替えを済ませる。
「優、俺達も急ぐぞ」
「ん?ああ、分かった」
丁度着替えと片付けが終わる頃には校内に残ってる生徒や部活をやってる生徒が帰る音が聞こえた。
優は蒼、綾と一緒に自分の家へと向かった。
「どう思う?」
おもむろに綾が言った。
「なにがだ?」
「どうやってやったんだろ?」
「ああ、例の事件か」
綾が言ってるのは、早めに下校する羽目になった事件のことを言ってる。
「警察はまだ犯人特定されていないんでしょう?それに手口も不明ってどういうこと?」
「さぁな、本人に聞いてみれば?」
「蒼、まさか私に死ねと言ってるの?」
「待て、何故そっちに事が進むんだお前は!!」
「さぁね、でも奇妙ね。目撃者もいない、凶器となった槍系も見つからない、なんなのよこの事件は!!!」
「知るか!!さっきも言ったが、やった本人に聞いて確かめればいいのではないか?」
「蒼、やっぱり私に死ねと言ってるのね!!」
「だからなんでお前はそっちへ思考が向くのだ!!!」
「はは」
「優、こいつの思考能力はどうなっているんだ!!」
「僕にそう言われても...表現豊かでいいんじゃないかな?」
「これが表現豊かだと...はぁ考えるだけで頭が痛い」
蒼はそう言うとため息をつきながら言った。
「じゃぁ僕はこれで」
「ああ、じゃぁな」
「ばいばーい」
蒼達と別れ、家へと帰って父に例の事件について聞いてみることにした。優であった。






「隣の市のあの事件?」
優は食事の時に父の紅影に聞いてみた。
「うん」
「あの事件は上の方でもかなりてこずってるかね、あれは。」
「ふーん」
「私もいろんな事件の資料を見てきたが、あれほど奇妙な事件は初めてだよ」
「へぇ」
優は父の話を聞いていたが...
「ちょっと、優、お父さん食べてるときにそんな話しないで」
そう言ったのは春日であった。父紅影みたいに後ろに髪を束ねているが、顔は不機嫌だった。
「どうした、そんな不機嫌になって...なにかあったのか?」
その返答をしたのは、秋枝だった。
「例の事件で大学の方もサークルや部活をやらずに帰宅して下さいってあったんだ。」
秋枝は続けてこう言った。
「多分サークル帰りに駅前にできた新しく出来た店のケーキが食べれなかったのを怒ってるんじゃないの?」
「だって、そこのケーキ美味しいって友達が言ってたもん」
春日は涙ぐんで言った。言動と態度から美味しいいのだと悟った優であった。
「ごちそうさん」
「あら?優ちゃんもういいの?」
普通なら3杯くらいご飯を食べるはずなのに今日は1杯だけだった。
「あんまり動いてないというか例の事件で部活少ししかやれなかったし...」
「そう?」
優はそう言うと部屋へと行った、今日渡された数学の課題をさっさとすませようと思ったが...




「・・・・ない」
鞄から課題のプリントを出そうとした時だった。そのプリント自体無かったのだ。
「・・・えーと、確かあれは今日もらったはずだから...」
優は考えた、鞄の中には無かった。そのプリントは今日もらったはずだからこの部屋にはないとすると残された選択は1つに絞られた...
「学校かよ...」
そこしかなかった。だが今の時間は8:00を回っていた。
「どうしよう...」
優は必死で考えた。蒼や綾に借りる方法はあったが、そんなのは相手に悪いと思った。優は...
「虎穴に入らずんば虎子を得ず!!!」
学校へ行こうそう思った優だった。




「今から学校に行くだって!」
「ああ」
父紅影にそう言うと優は自転車の準備をしていた。自転車なら10分で着く。
「止めときなさい、まだあの犯人だって捕まったってニュースも流れてない危ないぞ」
紅影は心配だった。犯人が捕まっていないこと、そして朝のあの出来事が気になっていた。
「大丈夫、すぐ戻るから。」
「・・・」
「んじゃ行ってくる。」
「・・・・・」
父紅影は不安がっていた。朝のあのこと、不吉だったのだ。なにかよからぬことが起きなければいいと思った。
「優・・・・」






「やっぱり夜の学校は不気味だな」
優は到着するやいなや門を越え、進入したのだ。
「えーと、北がこっちだから僕の教室はこっちか」
優は方角を確かめ、進んでいった刹那
カラカラ...
「え?」
南の方角で音がした、音からして金属音である。
「・・・なんだろう、行ってみるか」
そういうと優は音の方向、南の校舎へと向かった。
音の大きさからしてこのあたりだとふんだ優は付近を捜してみたが、金属物どころかホコリすら見つけられなかった。
「気のせいだったか、さてとさっきとプリントを取ってきて帰らな..」
その瞬間
「ん?」
なにか気配を感じたのかそっちへと向かった。
その時、優は液体が床に散乱しているのに気づいた。
「?・・・なんだこれは?」
床に着いた液体を手で触ってみた。優は水かと思ったが、それは水ではなかった。水ならこんなにどろっとしてはいないし、そしてその液体から鉄のような臭いがした。水ではないとするとこれは一体なんだろうと思った優だったが、部長の言葉を思い出した。
『隣の市で殺人事件があったの知ってるな』
部長の言葉と自分の憶測で考えたある1つのことを推測した。
「ま・・まさか・・・これって・・・・」
考えたくはなかったが、窓から雲に隠れていた月が出てきて光を射し、優の手に付いたものを判別した。
「!!!」
血だった。そして月の光が廊下に射してその光景が目に入った。
「う・・・」
廊下には血が大量に散乱していた、さっきまで感じなかった血の臭い、そして廊下の奥で一人の男が倒れていた。
「!!大丈夫です...か?」
倒れた男を方へ走って様子を見てみたが、とても生きてるように思えなかった。男の胸あたりに穴があったのだ心臓一突きだったのだろう、精魂が全く感じられなかった。
「・・・早く、警察に連絡を..」
「そいつは困るんだけどなぁ」
「!!!」
優以外の声がした、その方向へ優は向いた。
「真夜中まではとはいかんが、こんな時間になにやってるんだ嬢ちゃん?」
その男はかなり長身だった。180くらいはあるだろう。服と髪はともに黒だが、黒というよりも漆黒といった方がいいというくらい真っ黒だった。
そして問題は目だった。真紅のごとき赤だが、ここでは真紅よりも血の色ほど赤だった。
しかもその手には凶器と思われる槍があった。長さは男の身長くらいあるだろうかかなり長かった。今さっき倒れている男をやったのだろうか、血付着していた。
「あ・・あ・・」
「俺の質問に答えるのが常識だろ?」
男は笑ったが、普通の笑いではなかった。後ろから出ている殺気のせいか普通の笑いには見えなかったのだ。
「まぁいい、見られたからにはわかってるだろうな?」
この時優は察した、殺されると、その時
「こ・・・これは一体、」
男の後ろにこの学校の警備員が見回りに来たのだだが、そんなことよりも優の脳裏を横切ったのは
「早く警察に連絡を!!!それと逃げてくだ...」
刹那、優がそのことを言う前に男が警備員に瞬間移動したかのように移動をした。
「な・・・」

一瞬鈍い音がし、そこにいた警備員が倒れた。そして、血が滴る音以外なにも聞こえなかった。
「あ・・・あ・・・」
「ち、余計な仕事増やしやがって」
自分の耳を疑った。『仕事』という単語が聞こえたからである。この男は殺しを仕事と思ってる人間、いや人間ではないかもしれない。
「さて、それとなんだって嬢ちゃん?」
逃げなくては、優の頭にはそれしかなかった。
自分には逃げるしかなかった。捕まったら最後死ぬ、そう思えたからだ。
「ん?逃げるのかぁ?・・・まぁ逃げれたらの話か・・・」
男はそう言いながらほほ笑むと、どこかに行った。




「はぁ・・はぁ・・はぁ・・・」
なんとか撒いたのかさっきの男は居なくなった。
「なんとか・・・これでよかったのだろうか?」
問題はそこだった顔を見られたのだ、見られたからにはさっきの男だって必死に探すはず。
「...いや、そんなことよりも今は逃げないと」
優がそう思い、ひたすら走っててみた。そして、次の瞬間、優はその走ってる場所に驚愕をした。
「う・・・うそ」
優が驚くのも無理はなかった。さっき自分は北の方へと走っていった。それは分かっていた。なのに何故かさっき居た、あの場所に戻っていたのだ。
「な・・・なんで?」
「そう言うこった」
「!!!」
後ろで男は言った。この男は最初から分かっていたのだ。ここから出れないことも逃げれないことも。
「さてと、鬼ごっこはもう終わりだ」
そう言った刹那、優の足を男が払いのけると優の右胸に足を乗せ動けないくし、右手に持っていた槍は胸へと突き立てた。
「ったく手間を取らせやがっ...ん?」
男は何かに気が付いたのか優の顔を見た。そして、驚いてこう言った。
「!!!、てめぇ!!男だったのかよ!!!」
「え?あーはい」
「んだと...女じゃないのかよ」
男は落胆して言った。こんな状況でも女性に見えた自分が虚しい優だった。
「まぁ、どっちにしろ殺しちまうからかまわんしな」
そう言った後、男が持っていた槍は優の心臓を貫いていた。
「!!!」
「まぁ俺にあったことは後悔しとけよ」
男がそう言うと、槍を持ち上げ、優の体を蹴飛ばした。その反動で優は横転と廊下に散乱した血をつけながら転がった。
「さてと、さっさと...おっと忘れてた」

ガシャン

男がなにか思い出したのか近くにあったガラスを割り始めた。

ジリリリリリ

男がガラスを割った瞬間辺りに警報装置の音がなり響く。
「これは俺の餞別(せんべつ)だ。これなら早く警備員が来るだろうし、それに...いやこれはいいか」
男はなにか最後に言いかけたが、止めてしまった。
「まぁ、死人に口無し、目撃者も消したし、これで今回の仕事は終わりだ」
「じゃぁまたよ・・ってもう会わないか、相手は死人なんだしな。ハハハハハ!!!!」
男の嘲り笑いながらどこかへと言ったが、耳に神経が回らず入らなかった。
意識が遠のいていく...
自分は死ぬのか?
このまま・・・終わるのか?
いや、これは自業自得・・・かもしれない。
あそこで・・・父に止められていたら・・・こんなことにはならなかっただろう。
それに・・・自分の・・・軽率な行動が・・・招いたことだ。
もう眠いや、そろそろか。
もう・・・家族や・・・友達に・・・会えないんなんて・・・
僕って・・・ば・・・か・・・だ・・・な・・



警備員が駆けつけたときには少年はすでに息がなかった。




第一章に続く


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