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■主要人物紹介■


 【主人公】(高3♂)

 新学期から高3となる予定であった男子学生。
 しかし、目が覚めたら分けもわからずいきなり愛梨と言う女の子になってしまっていた。
 現在、本来の主人公の身体は行方不明と言う事になっているらしい……。
 尚、小6当時は気づいていなかったが恐らく花音に対して初恋をしていたようだ。


 【愛梨】(あいり・中1♀)

 主人公の意識が現在宿っている中学生の女の子。
 花音とは小5の時知り合ったらしく、主人公の妹とも知り合いのようだ。
 主人公が愛梨になる以前からきちんと愛梨は存在していたようであったが、現在の本来の愛梨の意識が何処へ行ったのかは不明。
 流れに任せて、現在は主人公が愛梨の代わりとして学校へと通っている。


 【花音】(かのん・中1♀)

 愛梨とは小5以来友達だったと思われる女の子。
 主人公が小6の時、小1だった花音は近所と言う事もあり良くめんどうを見て貰っていた。
 主人公が中学へ行ってしまって以降一切干渉は無くなったが、未だに主人公の事を好きでいる。
 優しい心を持っている素敵な女の子である。


 【小百合】(さゆり・中1♀)

 どうやら小6の時花音ちゃんと同じクラスだったらしい女の子。
 中学に入って以降、愛梨の落とした花音のブルマーを拾って届けてくれたりしていた。
 でも、どうやら何か他の真意があるみたいだ……。


 【妹】(高1♀)

 主人公の妹で女子高に通うテニス部の女の子。
 愛梨と花音とはどうやら面識があるようだ。
 突然行方不明になった兄の事を心からすごく心配してくれている。



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 目が覚めたら突然「愛梨」と言う女の子になっていた。
 そんな本来の俺は、今年の新学期で高3になる予定の男であった。
 分けの判らないまま愛梨としてM中へと通う事になったが……。

 今の愛梨から取って同じ同級生である花音ちゃん。
 彼女が居てくれるからこそ、今の俺自身も女の子としてやって行けている気がする。
 でも、そんな花音ちゃんは本来の男の俺から取っては……恐らく初恋の相手であった。
 花音ちゃんの優しさがあらゆる面で心に染み込んできたりもする……。


 この物語は……非日常を体験する少年の物語……。





はちゃめちゃ学園生活3


作:STS




「ぎゃあああああ! 何これ〜〜〜〜〜!!」

 トイレの個室内で思わず俺はついつい叫んでしまっていた……。

 お弁当を食べ終わったお昼休み、俺はいつも通りな流れで花音ちゃんと一緒にトイレへと来ていた。
 まあ、言うまでも無くトイレへ来た目的は本来用を足すだけであったのだが……。

「愛梨ちゃん!? ど、どうしたの!?」

 隣の個室から花音ちゃんの声が聞こえて来る。

「ち、血がーーーーー!!」

 お、恐らくこれが女の子特有の……いわゆる「アレ」って物だろうか。
 でも男だった俺には勿論そんな経験は無く、突然の出来事過ぎて焦ってしまっていた。
 真っ赤に染まったトイレの水を見て、すごく混乱してしまっていた。

「あ……愛梨ちゃん、なったのは初めて?」
「う、うん……」

 愛梨が以前からそうだったのかはわからないが……。
 少なくとも、俺が愛梨になってからは初めてである。

「ナプキンは持ってる?」
「持ってない……」
「じゃあ、これ……私の、分けてあげるよ」

 花音ちゃんは隣の個室の下の隙間から、俺にナプキンを差し出した。

「あ、ありがと……でも、これどうやって使うの?」
「え……使い方知らないの?」
「ごめん……は、初めてだから……」
「う〜ん、小学校の頃保健体育で教わったりしているはずなんだけど……」
「い、いや、教わったけれど……実際には始めてだから……」
「そっかー、じゃあまずはとりあえずお股をいつものように綺麗に拭いて」
「う、うん……」

 その後、俺は花音ちゃんにアドバイスを貰いつつトイレの個室内でナプキンを装着していった。
 ま、まさか女の子になって3日目でいきなり生理が来るとは……な。
 胸はまだまだ小さくても、やっぱりちゃんと女の子なんだな……。





「ふぅ〜、花音ちゃん助かったよ、ありがとう」
「いいっていいって。初めてで戸惑っちゃったんだよね」
「うん……」

 トイレで手を洗いながら花音ちゃんと話し込む。
 廊下や教室ではこういう話は出来なさそうだし……今のうちに色々と教えてもらっていた。

「生理は1週間くらいは続くから。ナプキンは量が多いようであれば3〜4時間に1回くらいは取り替えるのよ」
「うん」
「あと、生理中は常にナプキンは携帯しておくのよ」
「うん」
「あと、無理な運動はダメだから酷いようであれば体育は休むのよ」
「うん」
「愛梨ちゃん……わかってる?」
「うん……」
「私も……去年初めての時はすごく戸惑ったんだよ」
「え? 花音ちゃんも?」
「うん、でもその時たまたま一緒のトイレ内に居た小百合ちゃんが色々と教えてくれて」
「小百合ちゃんって……あの子か」

 小百合ちゃん……花音ちゃんのブルマーを拾って職員室へと届けてくれていた子である。

「へぇ〜、そうだったんだ」
「生理は色々と大変だけれど、でも病気じゃないから。きちんと知識があれば大丈夫だから」
「うん、ありがとう」

 花音ちゃんって……本当に女の子なんだな。
 花音ちゃんが居てくれると非常に心強くて、俺も女の子を頑張ってやっていけそうだ。





 それから後は教室へと戻り、午後の授業残り2時間を受けてあっという間に放課後になった。
 授業中何だか頭がボーッとする感じはしたが、眠かったと言うわけではない……。
 普段の男の俺ならばきっと眠るのだろうけれど、愛梨の身体では眠気は来ないようだ。
 じゃあ、頭がボーッとしてたのは……生理のせいなのだろうか?
 生理は気持ちが不安定になりがち、とか聞いた事あるような気がするしな……。

「愛梨ちゃん、帰ろ」
「うん」

 俺と花音ちゃんは教室を後にし、帰路へと着いていった。





「生理の方は大丈夫?」
「うん、今の所は平気みたい……でも、授業中何だか頭がボーッとしたかな」
「まあそんなものよ、初めは色々と戸惑うけれど段々慣れるから」
「うん」
「あと、もし家にナプキンが無かったら親にでも話してきちんと準備しておくのよ」
「うん、スカートのポケットに常に入れておけば大丈夫かな?」
「そうね、でも男の人に見られると恥ずかしいから落とさないようにね」
「うん」

 花音ちゃん……頼りになるなぁ。
 これからも女の子としてわからない事は花音ちゃんに色々と教えてもらおう。

「もし、あまりにも生理痛が痛いようであれば医者にも行ってみるのよ」
「うん、でも今の所は平気みたい」
「生理痛は感じない人、強い人、個人差があるみたいだからね」

 まあ……幸いにもどうも愛梨の身体は生理痛がほとんど無いみたいだ。
 トイレで血を見るまでは生理の前兆すら感じなかった程だしね……。

「じゃあ、ここでお別れよ。また明日学校でね」
「うん、また明日ね」
「あ、それと愛梨ちゃん」
「何?」
「家に居る時にも困った事があったら、メール頂戴ね」
「うん、ありがとう」
「じゃあ、また明日ね」
「うん、また明日」

 花音ちゃんと別れた俺は、1人で自宅を目指して歩いて行った。
 ところが、帰り道の途中思わぬ人と遭遇する。

「あ、あれは!!」

 今俺の前を横切って行った人物……すごく、見覚えがあった。
 間違いない……あれは、本来の俺だ。

「お、おーいそこの男の人ー」
「ん?」

 あ、俺に気づいてくれたみたいだ……。

「あれ、君だったのか」
「お、お前は誰なんだよ? 俺の体を乗っ取る気か?」
「ああ、その件で話したくて君を探していたんだよ。とりあえずうちへおいでよ」

 ……どうなってるんだ?
 俺の身体は生きていたが……誰かが入っているのは間違いない。
 でも、その中身の奴自身が……俺が愛梨だった事を知らなかったみたいで。





「まあ、遠慮なく座ってくれ」
「はぁ……」

 本来の俺に本来の俺自身の部屋へと連れて来られた。

「じゃあまず……何から話そうか」
「俺は……お前に聞きたい事が山ほどあるんだ」
「ほぉ、じゃあ何でも言ってやるから順番に聞いてみな」
「そうだな……じゃあまず……お前は誰何だ? 何で俺の身体に入ってるんだ?」
「俺は天界の使いさ。お前の身体を保護する為に体内に入らせて貰っている」
「天界? それは天国なのか?」
「いや、天国とはちょっと違うが……でもこの世界から見れば、まあそんな所なのかな」
「俺の身体の保護ってのはどういう事だ?」
「今、この体の主、つまり君は愛梨ちゃんになってしまっていてこの身体は魂が抜けているんだ。そのまま放っておくとこの肉体はそのまま死ぬ」
「な、じゃあ本来の俺の肉体は死んじゃうのか!?」
「だからな、そうならないように俺が保護しているんだ。魂が入って体をきちんと動かしていれば死にはしない」
「なる程な……」

 どうやら、俺の身体の安全については保証されているようだ。

「えっと次は……俺自身が行方不明ってなっているらしいがどういう事だ? 今、普通に家に居るよな?」
「ああ、これはな……天界の者は通常この世の者には姿が見えないんだよ」
「そうなのか、別に俺自身が本当に消えちゃったってわけじゃないんだな」
「そうだ、身体はこの世の君であっても中身は天界の世界の俺、その俺が宿っている以上は周りには気づかれない」
「じゃあ透明人間とか、そういうわけではないのか?」
「うん、居るけれど誰も気にしなく、居ないように流されちゃうみたいなそんな感じかな」
「なる程な……」

 残念ながら妹や家族に俺自身の元気な姿を見せる事は出来ないようだ。
 妹には心配かけちゃって済まないが……。

「最初、本来のこの体の魂が今どの女の子の身体に入っているかわからなかったんだ」
「それがどうかしたのか?」
「君には俺の姿が見えただろ? ずっと声を掛けてくれる人が現れるのを待ってたんだ」
「でも愛梨ちゃんに入ってるって事は知ってたんじゃないのか?」
「名前は知ってたさ。でも愛梨ちゃんって子がどの女の子までかは知らなかったしな」
「でも、何で俺には本来の俺ってか……天界の者? が見えるんだ?」
「魂と肉体が恐らく共鳴しているのだろうな」
「共鳴? 何それ?」
「元々今の俺の身体は君の身体だ。当然、そこに宿っていた魂であれば本来の身体に反応するであろう。だから君だけには見えるのだろう」
「なる程な……」

 今俺の中に入っている天界の使いとやらは、愛梨に入っている俺を探す為に声をかけられるのを待っていたようだ。
 そして俺が声を掛けたから、愛梨がどの子なのかを特定出来たってわけだな。

「じゃあ最後に、1番聞きたい事なのだが……」

 俺が愛梨になった理由、それを聞こうとしてすごく緊張してしまっていた。
 すると突然、俺の身体に痛みが襲いかかって来た。

「痛たたた……」

 突然、急にお腹が痛くなり出して来た。

「ん? どうした? 腹痛か?」
「じ、実は俺……い、今、生理みたいで……」

 緊張して腹に負担でも来たのか、今頃になって激しい生理痛が押し寄せて来たみたいだ……。

「生理痛ってそんなに辛い物なのか?」
「さっきまでは全然大丈夫だった……でも、今突然猛烈に……い、痛くなってきた……」
「そんなに痛いのか? じゃあ、これ飲んでみな」

 天界の者とやらが、何やらビンを持って来て薬みたいなツブ状の物を出した。
 謎の薬? を渡された俺はそれを受け取って恐る恐る口へと入れてみた……。

「あ、甘い……」
「美味しいだろ? これは、女の子好みの味に調整された薬なんだよ」

 ツブ状の物は口の中へと入れたらあっという間に溶けてしまった。
 そして、全部をお腹の中へと飲み込んで流し込む。

「あ……痛いのが治った」
「天界の薬はすごいだろ? どんな痛みもすぐに治せるのさ」
「うん、すごいや……」

 俺が愛梨になってしまったりしている程だものな。
 やはり、天界だとかそういうのはどうやら本当の事みたいだな。



「それにしても……君、もう少し言葉遣いとか女の子らしくしたらどうだ?」
「いや、別にいいだろ……お前は俺の正体判ってるし、他に今この家には誰も居ないし……」



「ただいまー」



「とか言ってたら君の妹が帰って来たみたいだぞー」
「え? い、妹!? 今の妹には俺ってかお前の姿は見えないんだよな……? 俺、不法侵入って事になってるのか!?」
「まあ、そうなるだろうな……隠れるか?」

「タッタッタッタッ」

 妹の階段を駆け上がってくる音が聞こえる。
 そして妹の足音は、俺の部屋の前で止んだ。

「お兄ちゃんの部屋、誰か居るの? も、もしかしてお兄ちゃん!?」

 あわわ……い、妹がすぐそこに居る……ど、どうしよ……。

「入るよ?」
「カチャッ」

「……あ、愛梨ちゃん? 何で愛梨ちゃんがお兄ちゃんの部屋に……」
「あ……ご、ごめんなさ〜い!!」
「あ、待って! 愛梨ちゃん!!」

 俺はと言うと一目散に部屋から飛び出し、家を飛び出して妹から逃げて行った。
 ふぅ……ま、まさか妹が突然現れるとは思わなかったぜ……。
 今日はたまたま部活が休みだったりでもしたのかな……?

 それにしても、さっきの妹……確実に本来の俺の姿は見えていなかったと思われる。
 やはり、俺以外の周りの奴には本当に見えないんだな……。





 愛梨の家へと帰宅した俺は、少し無念な気持ちでベッドに腰を下ろした。

(俺が愛梨になった理由……結局聞けなかったな)

 でも別にそんな焦る必要は無いのかな?
 俺の現在の身体の状態も判ったし、それに本来の俺自身の命が保証されている事も判った。
 それに恐らく、俺の中に入っている天界の者は真実を知っているであろう。
 お互い1度干渉出来たんだ、きっとまたそのうち干渉出来る時が来るであろう。
 またその時が来たら、今度は俺が愛梨ちゃんになった理由を聞き出せば……。

 それにしても今日は久しぶりに6時間授業で長い学校だったからかなぁ……。
 それとも、愛梨の身体だから男の時よりも体力が少なくなっているのだろうか?
 何だかかなり疲れた……ちょっと横になろうかな。

 そして俺はそのまま眠りへと就いていった。





「愛梨ちゃん?」
「その声は……花音ちゃん?」
「そうだよ、どうしたの?」

これは……夢、か?
ここは……学校の教室だろうか。

「え? 別に何も……」
「愛梨ちゃんは……急に消えたりしないよね?」
「え? 急にってどういう事?」
「もう、これ以上消えちゃうのは嫌だよ……愛梨ちゃんは、ずっと今の愛梨ちゃんのままで居てね……」

 花音ちゃん……過去に、何かあったのだろうか……?

「大丈夫よ、愛梨はずっと今の愛梨のままだから」
「うん……急に、中身が入れ替わったりなんてしないよね」
「えっ? そ、それって……」
「私ね、愛梨ちゃんが……」

 え、何? 何て言ったの?
 花音ちゃん、その続きで言っている事が良く聞こえないよ……。





「夢……だよな」

 ふと現実に戻った俺は、先ほどのシーンを思い返していた。
 昨日も変な夢見たんだよなぁ……。
 これは俺の意識で見ている夢なのか、それとも愛梨として見ている夢なのか……。
 何だか気になる内容だったなぁ……。
 花音ちゃん、何が言いたかったのかな……?



 時間を見ると時刻は午後5時半頃であった。
 まだ夕飯まで時間がちょっとあるし……パソコンでも起動しようかな。
 と思いつつパソコンを起動したものの、本来の俺に会えば愛梨になった理由はきっと訊けると言う事に気づいた。
 別にもうパソコンを使って調べる必要もないのな……。

 まあでも花音ちゃんとのメールのやり取りはパソコンみたいだし、メールが無いかだけでも見ておこう。
 今日はメールのお知らせ表示が無いな……メールは来てないようだ。

 そういえばこのメールボックス……中学以前の花音ちゃんとのメールのやり取りも残ってるんだよな。
 どういう内容をやり取りしてたのか気になるなぁ……でも、2人だけのプライベートとして見ない方がいいのかな。
 でも、今は俺が愛梨なわけだし、別に見ては行けない理由も無いような気がする……。
 メール開いちゃおっかなぁ……。

「愛梨〜、ご飯出来たわよー」
「あ、はーい」

 とか考えてたりしていたらもうご飯が出来たようだ。
 やっぱり止めとくか……と思いつつ、俺は1階の台所へと降りていったのだった。





「愛梨ちゃん、おはよー」
「おはよー」

 いつもの待ち合わせ場所で花音ちゃんと合流する。
 今日は愛梨になってからの中学校生活も4日目である。
 さすがに女の子として学校へ行くのも段々と慣れてきた感じがする。

「でね、あの役者がおもしろくってついつい見入っちゃってね」
「うんうん、それでそれで?」
「最後のオチがまさかあんなので私、思わず大笑いしちゃったよー」
「あははー、おもしろそうだねー」

 花音ちゃんは何かの番組の話題を振ってきていたが俺は内容を全く知らない。
 だって俺は同じ番組見ていなかったしな……。
 それでも、すんなりと話を合わせて自然に対応するのも段々と慣れてきていた。

 花音ちゃんと楽しく話をしながら学校へと向かい、あっという間に教室へと到着した。





 そして1時間目が始まる。
 最初の1週間は特別時間割りだとかで、いきなり体育のようだ。

「あ、そうそう。そういえば体育着洗濯したから返すね、ありがとう」
「別にいいよ、大した事じゃないし」

 花音ちゃんに体育着の半そでとブルマーを手渡した。
 昨日は持って来るのを忘れちゃってたしな……これで一安心だ。

「愛梨ちゃんは今日、体育出るの?」
「うん、出るよ。何で?」
「だって昨日トイレでさ……愛梨ちゃん」

 あ……生理の事か。
 花音ちゃんが酷いようであれば無理な運動はダメ、って昨日言ってたなー。
 でも今日は今のところ平気そうだし……。
 それに、昨日天界とやら? の薬を飲んで以降もしかしたら生理も治ってるんじゃないのかな?

「大丈夫よ、初日から見学もあまり良くないだろうし……」
「うん、そうね。でも無理しちゃダメよ」
「ありがとう」

 とりあえず体育に出る事を決めた俺は、花音ちゃんと一緒に体育着へと着替えていった。
 着替えるとは言っても、事前に体育着を着ておいたので制服を脱ぎ、スカートのままブルマーを穿くだけだ。
 あとはスカートを下ろせばあっと言う間に着替えの完了。

 着替え終わった花音ちゃんが不思議そうな顔で俺に聞いてくる。

「どうしたの?」
「え? 何?」
「何か花音ちゃん、私から目逸らしてない?」
「うぐ……」

 未だに女の子のブルマー姿に免疫の無い俺。
 花音ちゃんのブルマー姿をまともに直視する事は出来なかった……。
 ついつい花音ちゃんの顔もまともに見せず、顔を逸らしてしまっていた……。





 初日の体育は基礎体力測定みたいな物をやるそうで、体育館で行うようだ。
 全員整列後、体育の先生の方から内容についての説明が始まる。
 何種類か測定項目があり、各自好きな物から順番に測定して行っていいそうな。
 その際記録を測る人とやる人で2人1組に分かれて行うとの事。

 流れ的にと言うか、俺は花音ちゃんと一緒に組む事にした。
 と言うか、他にまだ仲の良い女の子すら居ないしな……。

「じゃあ始めようか。どれから先にやる?」
「う〜ん、どれがいいのだろ? 花音ちゃんに任せるよ」
「えーと、それじゃあ……最初は腹筋からやってみようかな」
「うん」

 腹筋はマットの上で行い、1人がストップウォッチで時間を計りながら足を抑えて回数を計る。
 先に花音ちゃんがやる事になり、俺の方はと言うと足を抑えながら計る側となった。

「じゃあ始めるよ。よーいスタート」

 ストップウォッチのボタンを押し、タイムを動かして回数を計り始める。
 花音ちゃん、腹筋の速度はまあまあのようだ。
 女子にしては結構出来ている方なのだろうか?

 ……と、最初の方はまともに花音ちゃんの腹筋を見ていたのだが。
 ついつい思わず花音ちゃんの又部に目を向けてしまった。
 今の俺の状態は花音ちゃんの前で両足を抑えているので、目を動かせば花音ちゃんのブルマーも目の前だ。
 花音ちゃんのブルマー……この中には花音ちゃんの大事な部分が……。

「ねえ? 愛梨ちゃん。もう30秒経ってない……?」
「……ほえっ?」

 あ……ストップウォッチのタイムがとっくに測定タイムを過ぎてしまっていた。

「ご、ごめん、花音ちゃん……」
「やっぱり、愛梨ちゃん調子良く無いの? 無理しちゃダメだからね」
「大丈夫だよ、無理してなんか……」
「ダメよ、その油断が危ないんだからね」

 なんか、今日の花音ちゃんはいつもよりマジっぽい感じがする。
 そこまで俺の事を心配してくれているのか……。
 まあ、俺の事と言うか愛梨の心配なのだろうけれどな。

「だって、きちんと計って貰えないと……」
「貰えないと……?」
「私の記録、無しになっちゃうじゃん」

 ああ、俺の心配じゃ無くてそういう事だったのか……;

「ごめん、次はきちんとするよ……」

 愛梨の生活にも段々慣れてきたとは言え、やはり所詮俺は男なんだなぁ……。
 女の子のブルマー姿に過剰反応しちゃって……。

 それとも、相手が花音ちゃんだから?


「じゃあやり直すからきちんと計ってね」
「うん、ごめん……」

 計り直しで花音ちゃんの記録を出した後、次は俺が腹筋をやってみた。

「愛梨ちゃん、頑張って!」
「う、うん……」

 この身体だと結構しんどいな……やはり女の子の身体だから、男の時と融通が違うのかな。
 愛梨ちゃんは見た目的にか弱いイメージだし、やはり体力もそこまで無いのな。

「痛たたた……」
「愛梨ちゃん、どうしたの? どこか痛めちゃった?」
「いや、実はお……」
「お?」

 お腹が痛くなって来た……と言いかけたが、これ以上花音ちゃんに迷惑かけるのもなぁ……と思いためらってしまった。
 きっとまた生理痛が来たのだろうな……無理せずに体育は見学しておいた方が良かったのかも。
 でも、花音ちゃんにやっぱり心配は掛けたくないから……何とか頑張ってみよう。

「いや、大丈夫大丈夫」
「そう? ならいいのだけれど……」

 花音ちゃんは心配そうな顔で俺を見ていた。



 その後も測定が行われ、何とかお腹の痛みに耐えながらも1つずつこなして行った。
 そして今日の体育が終了し、花音ちゃんと一緒に教室へと戻って行く。

「はぁ〜、結果ボロボロだったよ……」
「大丈夫よ、私も同じ感じだったから」

 いや、花音ちゃんは普通に好調に見えたけどなぁ……。

「何だか本来の力が出せなかったなぁ……お腹が痛くて」
「そっかぁ、お腹が痛かったんだね……って、あれ?」
「ほえっ?」
「……愛梨ちゃん、やっぱり生理痛我慢してたんじゃない?」
「うぐっ……」

 ついついお腹が痛かったと言ってしまった。
 花音ちゃんにあまり心配はかけたく無かったのだけれど……。

「本当に生理の時は無理しちゃダメなのよ? 貧血で倒れたりしたら大変だから……」
「は、は〜い……反省します……」
「私に心配掛けたくなくて気にしてるみたいだけれど、遠慮しなくていいのよ?」
「ほえっ?」

 何だか花音ちゃんには、俺の考えがまるで見透かされているようだ……。

「愛梨ちゃんが居なくなったら、私……嫌だから」
「……大丈夫よ、私は絶対居なくならないから」

 花音ちゃんに嘘を付いてしまった。
 本当の愛梨ちゃんは……今、何処にいるのかすらもわからないのに。
 今ここに居る愛梨は俺であって、本当の愛梨ではないのに……。

「……愛梨ちゃんは、ずっと今の愛梨ちゃんのままで居てね……」
「……うん」

 ……あれ?
 そういえば最近見た夢と妙に似ている部分があるような……。
 きっと偶然かな……?

 それにしても何だか意識が遠のいて行く感じだなぁ……。
 愛梨の体なのに体育で無茶しようとしたりで眠いのかな?

「愛梨ちゃん?」
「……は、はいっ!?」
「うわぁ!! び、ビックリしたぁ」

 意識の遠い中、急に声を掛けられて我に返った俺は大きな声で反応してしまっていた。

「ご、ごめん……ちょっと、眠かっただけだから……」
「そう、あんまり無理はダメよ」
「う、うん……ほ、本当に……だいじょう……」

「バタッ」

 あ、あれ?
 か、体が……思うように動かないぞ……。
 意識が……遠のいて行く……。

「ちょ、あ、愛梨ちゃん!? 愛梨ちゃーーーん!!」

 花音ちゃんの呼ぶ声が脳内でループして行く……。
 そのまま、俺の意識は奥深くへと消えて行ってしまった。





「…………」
「……はっ!?」

 誰かに声を掛けられた気がして目が覚めた。
 その声の方を向いてみると……。

「あれ? 愛梨ちゃん……?」

 そこには確かに愛梨ちゃんが立っていた。
 しかし、自分の体を確認すると元の体ではなく愛梨の身体のままであった。
 じゃあ、何で目の前に愛梨ちゃんがもう1人……?

「…………」
「え? 何?」

 愛梨ちゃんが何か言っている……? でも良く聞き取れない……。

「…………」
「よ、良く聞こえないよ……」
「…………頑張って……ね」
「ほえ? 頑張っ……て?」

 愛梨ちゃんは確かに「頑張ってね」と言ったように聞こえた。 
 そして、その後愛梨ちゃんは俺から遠ざかって行ってしまったのだ。

「あ、ちょっと愛梨ちゃん待ってよ! 何か、何か俺に伝えたい事でもあるんじゃないの!?」
「…………あまり、無理……しないで、ね」
「え? な、何?」

 そのまま愛梨ちゃんの姿を完全に見失ってしまったのであった。





「う、う〜ん……ほ、ほえ?」
「あ、目が覚めたのね。おはよう愛梨ちゃん」

 ここは……保健室のようだ。
 気が着いたら俺はベッドの上に寝かされていて、誰かが俺の顔を覗き込んでいた。

「……花音ちゃん?」
「違うよ、私は誰でしょう?」
「……その声はどう聞いても花音ちゃんでしょ?」
「あ、やっぱり判るのね……」

 花音ちゃんは悪ふざけのようなお惚けな反応を示した。

「ごめんごめん、ちゃんとはっきりと意識が戻ったのか試したかったのよ……」
「もう……」

 俺はちょっとイジけたかのように、頬を少し膨らましてプイッとして見せた。

「……怒った?」
「怒ってない……」

 内心、花音ちゃんってやっぱり冗談とか好きなのかな? とか考えていた。

「あれ……? 私、いつの間にか制服に」
「保険の先生と私の2人で着替えさせたのよ。とは言っても体育着の上に制服を着せただけだけどね」
「そうだったの、ありがとう」
「体育着のままだと寒くて風邪ひいちゃうと大変だしね」
「そういえば保険の先生は?」
「うん、今会議中みたいで出ているのよ。その代わりに私が傍に付いてたのよ。でも結局ずっと付きっ切りだったけれどね」

 花音ちゃん、ずっと傍に居てくれてたんだ……。

「って、良く見ると花音ちゃん体育着のままじゃん;」
「うん、愛梨ちゃんが倒れて先生呼びに行ったり無我夢中で……教室にすら戻らないでそのままだったの」

 俺……そうか、倒れたのか。
 やっぱり、生理だったのに無理して体育の授業に出ちゃったからだろうか……。

「花音ちゃん、その格好のままで寒くない? ごめんね……私の為に」
「いいのよ、愛梨ちゃんが居なくなっちゃったら私……」

 花音ちゃんは、それっきり俯いて黙ってしまった。

「ちょっと寒いね……愛梨ちゃんも気が付いた事だし、私、教室行って着替えてくるね。終わったらまた来るよ」
「うん……あれ? でもそう言えば……授業は大丈夫なの?」
「大丈夫よ、きちんと愛梨ちゃんの傍に付きっ切りでも良いと許可を貰っているわ」
「そうなんだ……今、何時間目だろう?」
「もう5時間目よ」
「え、え〜〜〜〜〜っ!?」

 5、5時間目って……どれだけ長い間倒れてたんだよ……。

「まあ、愛梨ちゃんは安静にしているといいわ」
「う、うん……ごめんね」
「いいのよ、じゃあまた後でね」
「うん」

 花音ちゃんは保健室を後にした。
 花音ちゃん……俺が倒れてから教室にすらも戻らずにずっと付きっ切りで居てくれたんだ。
 ストーブが若干効いてるけれど……それでも布団から出れば体育着だと少し寒い感じかも。
 そんな寒い中俺から一瞬でも目を離しちゃわないように、着替えすらも取りに行かずにずっとだなんて……。
 花音ちゃんの優しさに、思わず心がキュンとしてしまった。

「……泣いてるの? 愛梨ちゃん」
「ほえっ!? か、花音ちゃんいつの間に……」
「もう着替えてきたのよ。エヘヘ〜、早いでしょ?」
「う、うん。いつ保健室に戻ったのかすらも判らなかったよ……」
「まあ気にしない気にしない!」
「教室は授業中だったの?」
「うん、だから制服だけ取って来てトイレで着替えて来たの」
「トイレへも行ってたんだ、何という早ワザ……;」

 あ、そう言えばさっき夢を見てたよね……。

「あの、花音ちゃん」
「な〜に?」
「さっきね、私、夢を見ていたの」
「うん、それで?」
「それで、夢の中に愛梨ちゃんが出てきてね」
「へ? 愛梨ちゃんって……自分自身が夢に出て来たって事?」
「え? ……あ、まあそうみたいなのよね……夢だし」
「へぇ〜、そうなんだ」

 花音ちゃんには特に何も考えずについつい普通に話しちゃったけれど、夢でも自分自身が出てくるなんておかしな話かもしれない。
 まあ、でも夢だからと言って納得してくれたみたいだ……。
 意識しないで普通に素で話しちゃうと、いつかボロが出そうで怖い物だ……。

「ぐぅー……」
「あ、いやだ私ったら」

 突然、花音ちゃんのお腹から音が聞こえた。

「花音ちゃん、そういえばお弁当は食べたの?」
「あ、え〜っとね……まだそのままだったのよ」
「じゃあ花音ちゃん、お昼も食べてないの?」
「うん、お昼休みも心配で心配で……ずっと付きっ切りよ」
「本当にごめんね……私の為にこんなにも迷惑掛けちゃって」
「だからいいのよ、お弁当は放課後にでも一緒に食べよ? 今日は約束通り手作りよ!」
「あ、そうだったね。楽しみだなぁ〜花音ちゃんのお手製弁当」
「愛梨ちゃん、元気が戻ったみたいね、良かった」
「うん、花音ちゃんのおかげだよ……ありがと」

 花音ちゃんと保健室の一時を過ごしている間に、いつの間にか6時間目のチャイムがその後鳴り渡った。
 時間的に今戻っても中途半端なので、結局6時間目終了まで俺は花音ちゃんと保健室に居た。
 教室へ戻って最後に帰りのHRだけ出て、そしてあっと言う間に放課後となっていた。



 放課後、1年2組の生徒達は一斉に教室を出て下校して行った。
 まだ部活見学も始まっていないし、きっと学校に残っていても意味が無いのであろう。
 そんな中、俺と花音ちゃんだけは机を合わせ、人気の一切無い静かな教室に2人きりで残っていた。

「じゃあ、遅くなっちゃったけれどお弁当食べようね」

 花音ちゃんがお弁当を2つ出し、包みを丁寧に解いて行く。
 包みが開かれると、何とも女の子らしいかわいい小柄のお弁当箱が姿を現した。
 昨日は花音ちゃんがお弁当を忘れていたので、花音ちゃんのお弁当箱を見るのは今日が始めてだ。

「遠慮しないで食べてね」
「うん、ありがとう……とても嬉しいよ」
「あれ? 愛梨ちゃんまた泣いてる?」
「ほ、ほえ? そ、そんな事は……」

と、言っている傍から涙が微妙に出て来ていた。
女の子って本当に涙が出やすいみたいね……。

「ご、ごめん。つい嬉しくて……」
「うん、ありがとうね愛梨ちゃん。じゃあ食べようか」
「うん、いただきまーす」

 俺と花音ちゃんは楽しくお話をしながら、お弁当を食べ進めて行った。
 こうして、放課後は花音ちゃんとの楽しい一時を過ごしたのだった。





「ピピッ、ピピッ、ピピピピッ、ピピピピッ」
「カチッ」

 ふぅ〜、もう朝なのか……。
 愛梨ちゃんの目覚ましの音もすっかりと聴きなれてしまった5日目。
 今日は金曜日なので、学校へ行けば2日間土日で休みとなる。
 土日の間に、また天界の使いとやらに接触出来れば……と考えていた。

 おっと、早く着替えないとあっと言う間に時間が経っちゃうぞ。
 ベッドから起き上がり、そそくさとパジャマから制服へと着替えて行った。
 なんだかんだでもう5日目ともなると、着替えも結構慣れっこな物だ。
 でも、どうしても微妙な膨らみの胸や愛梨ちゃんのかわいい下着が目に入ると、顔が火照ってしまう感は未だにあった。
 どうしても男の思考を持っている限り、これだけは防ぎ様が無いみたいだな……。

 ご飯をどんどんと済ませ、家を出て花音ちゃんとの待ち合わせの場へと向かった。

「行ってきまーす」





 待ち合わせの場所で花音ちゃんを待つ事早5分。
 花音ちゃんが姿を現さない、準備がちょっと遅れているのかな?
 そう思い待ち続けていたが、しかし10分経っても15分経っても花音ちゃんの来る気配が無い。
 さすがにもう遅刻してしまうと思い、俺は諦めて1人で学校へと向かってしまった。



 学校へ着いても花音ちゃんは居なかった。
 万が一先に来ている、と言う可能性も考えていたがそうでは無いようだ。
 少し経つと朝のHRを告げるチャイムが鳴り、相澤先生が教室へと入ってくる。
 一通り朝の連絡を終えると、出席を取り始めた。

「あれ? 今日は花音ちゃんは休みか? 誰か連絡聞いてる人は居ないのか?」

 花音ちゃん……やっぱり休みなのかな?
 でも、学校へも連絡すらしていないなんて……何かよっぽどの事でもあったのかな……。

「愛梨ちゃん、花音ちゃんと仲いいようだけど何か聞いてないか?」

 突然先生に話を振られた。

「い、いえ。私は何も聞いてないです」
「そうか……とりあえず連絡待ちだな、遅刻の可能性もあるし」

 花音ちゃん……本当にどうしたのだろう?





 時間はあっと言う間に過ぎ、帰りの前のHR。
 今日は1日中ずっと、花音ちゃんの事ばかり考えていた。
 結局無連絡のまま学校に姿を見せなかったので、すごく心配であった。
 そこで、俺は花音ちゃんの家へと訪ねてみる事にした。
 本来の俺からしても元からご近所さんだし、家の位置はバッチリ知っている。
 でも、問題は愛梨ちゃんが花音ちゃんの家を知っていたかどうかなんだよね……。
 愛梨ちゃんと花音ちゃんは仲良さそうだからお互いの家くらい知ってそうだけれど、万が一って事もあるものね。
 さすがにもし愛梨が家を知らなかったとして、急に家へ訪問するのもおかしな話だ。

「誰か、花音ちゃんに連絡のプリントを持って行ける人は居ないか?」
「あ、私持って行きます」
「じゃあ愛梨ちゃん、お願いな」

 つい、花音ちゃんと聞いて咄嗟に返事をしてしまった。
 そうか、でもこれならバッチリOKだ。
 プリントを届ける為に家の場所を聞いた、これなら知らなかったとしても問題ないだろう。





 帰り道、花音ちゃんが居ないので久しぶりに1人寂しく帰路に着いていた。
 そしたら帰り道中、意外な人物に声を掛けられた。

「あ、あの……」
「あれ? 君は確か」
「はい、私、小百合です……花音ちゃんの友達の」
「君も帰る方角こっちなの?」
「あ、はい……」

 流れに身を任し、小百合ちゃんと途中まで一緒に行く事になった。

「あ、あの……」
「ん、何?」
「花音ちゃん……今日、学校休んだそうですね」
「うん、そうみたいなのよ。連絡も無いままみたいで」
「花音ちゃん……病気にでもなったのでしょうか?」
「私も判らないの……とりあえず、これからプリントを届けるから家に寄るのだけれど」
「あ、じゃあ私も……ご一緒してもいいですか?」
「うん、構わないよ」

 小百合ちゃんと一緒に花音ちゃんの家へ行く事になった。
 これならますます、小百合ちゃんに聞いたと言えば家を知って居なくても自然的な話になってくれる。

「あ、あの……」
「ん?」

 それにしても小百合ちゃんって、何だかちょっと暗めな子みたいだなぁ……;

「花音ちゃんって……素敵ですよね」
「へっ?」
「とてもかわいくて……ついギューッと抱きしめたくなっちゃうと言うか……」
「……はい?」
「見ているだけで、つい胸がキュンとしちゃうのです……」

 も、もしかしてこの子……その手の方面の子なのかな?;

「女の子が……女の子を好きになるって、やっぱり変……ですか?」
「い、いや別に……わ、私には……;」

 どうなのか判らない、正直言っちゃうと確かに変かもしれない。
 でも世の中にはBLや某「やらないか」と言う奇怪な物も存在するし、同性愛でも趣味の一環と考えれば……。

「愛梨さん、花音ちゃんといつも一緒みたいで羨ましいです……」
「え? そ、そうかな?」
「はい……私、花音ちゃんの事がすごく大好きなんです。花音ちゃんの全てを知りたいくらいで……」

 もう、何だか俺自身着いて行けない感じだ……;

「偶然花音ちゃんのブルマーを拾った時、私、すごく嬉しかったんです」
「な、何で……?」

 おそるおそる聞き返してみる。

「花音ちゃんの……お尻を包み込んでたブルマーですから。試しにトイレで穿いてみました、花音ちゃんの温もりを感じてすごくキュンとしました」

 や、やっぱり……この子、ちょっと危ないかもしれない;
 で、でも本当の事は言えないよなぁ……この子がそう思い込んでいるならば。
 あの時拾った花音ちゃんのブルマー……俺(愛梨)が穿いた後の物だったなんて。

 もしそれが判っちゃったら……もしかしたら俺も、この子に変な意味で見られたりするのだろうか?
 考えるだけで何だか異常なくらいゾッとしてしまう。
 女同士の禁断の愛……俺には、とても理解できそうもなかった。

 でも、とは言いつつも……今の俺は愛梨ちゃんであって女の子なわけだ。
 その愛梨である俺が花音ちゃんのブルマーを穿いてドキドキしたり……ある意味、俺自身も同性愛なのかもしれない。
 傍から見れば、花音ちゃんに恋する女の子……もしかしたら、俺も小百合ちゃんと変わらないのかも……。
 で、でもやはり中身は男なんだし……俺、正常だよな?

「あ、あの」
「ほ、ほえっ!?」
「………うわっ!!」

 急に小百合ちゃんに声をかけられてビックリしてしまった。
 が、その直後珍しく小百合ちゃんがビックリしたように大きい声を発していた。
 それを聞いて俺もついつい思わず、またビックリしてしまった。

「あ、ご、ごめんなさい……何か、考え事でもしてました?」
「あ、ちょっとね……」
「もしかして……花音ちゃんの事でも?」
「う、うぐっ……」
「どうやら図星みたいですね……愛梨さんも、花音ちゃんの事好きなんですか?」
「え、す、好きと言うか……わ、私はただ、お友達なだけよ」
「そ、そうですか……」

 小百合ちゃんは少し残念そうに言った。
 詳しくは知らないが、花音ちゃんから聞いた限りでは愛梨は小5の時に花音ちゃんと知り合ったらしい。
 そう、あくまで今の俺は愛梨なのだから……花音ちゃんとはただのお友達であって……。
 でも、花音ちゃんと居る一時はただの友達同士で居るのとは違う、特別な感覚があるのも確かであって……。

「でも、本当は好きじゃないんですか?」
「は、はい!?」
「やっぱりそうなのね……」

 え、ちょ、ちょっと……思わず急に言われて返事しちゃっただけなんだけど;

「愛梨さんも、花音ちゃんの事を考えてドキドキしたりするんですね……あんな事やこんな事を思ったりで……」
「い、いや……だから、私はただのお友d……」
「女同士禁断の愛でそんな事までやりたいと、きっと考えているのね……」
「そ、それ以上はさすがに大人の事情でマズいからさ、さ、小百合ちゃん;」

 小百合ちゃんがさすがに暴走し過ぎているようだったので、大人の事情も考えて止めに入るのであった……。



「え? 誤解でしたの?」
「だから、何度も言っているでしょう……私は、花音ちゃんとはただのお友達で……」

 何か、ちょっと前に花音ちゃんとも結構似たような事があったような……。
 花音ちゃんが暴走し過ぎて誤解を解いたような覚えがね……。
 やっぱり、花音ちゃんと友達だけあってこの子も似ている面があるのかな?

「そ、そうですか……そうですよね、でも、愛梨さんでしたらこれから花音ちゃんとはきっと……」

 な、何か背筋がすごくゾッとした、きっと何か変な事でも想像されているのだろうか……?
 どうもこの小百合ちゃんと一緒に居ると、正直何だか少し怖い。
 結局、俺はずっと小百合ちゃんのペースに巻き込まれたまま花音ちゃんの家へと向かって行ったのであった。








 ■あとがき的な物■

 知っている方々はお久しぶりです、初めての方々は初めまして、STSと申す者です。
 今回もお読み頂きましてありがとうございます。
 いきなり3話から読んでみたと言うチャレンジャー的な方も居りましたらありがとうございます(;

 第1話を作り始めてからは一気に流れに乗って第2話も完成させましたが、
 最近時間が思うように上手く使えずある程度の期間が空いてしまいました。
 続きを楽しみにしてくださっている方々が万が一居りましたら本当に申し訳御座いませんでした。

 今後も相変わらず自分のペースでまったりと進めて行く事になりそうですが、どうぞ宜しくお願い致します。
 どうしても実生活優先になるが故、色々と言い訳等もしたい所ですが……言い出すとキリ無いですからね。
 とりあえず半年以上の放置にはならない事を目安に、完結に向けて頑張って行こうと考えております。

 掲示板のレス放置は明らかに忙しい以前に自分の無責任です、本当に申し訳御座いません;
 どういう風にレスを入れよう? と考えているままいつの間にかかなりの時間が経ってしまっていました。
 必ず書き込み1つずつにレス入れて行きますので、本当にすみませんです……。


 さて、ようやく本編の内容云々に入ります。
 第2話で妹から主人公が行方不明と聞き出し、第3話でもう自分の身体を発見、と。
 ちょっと当初よりも展開が速いような気もしますでしょうか、一応ストーリー上での時間的にはまだ3日目ですし;
 でもダラダラと展開を伸ばし過ぎてもとてつもなく長編になり過ぎてしまいそうで、
 当初の予定よりも謎の解明をどんどんと導入して行こうかな? と考えてみました。

 夢に出て来た愛梨ちゃんの謎も、この調子ならばあっと言う間に解明するかもしれませんね?;


 さて、長くなり過ぎてもキリがありませんので今回はこの辺で御暇させて頂こうと思います。
 次回は花音ちゃん宅に着く所からスタートするっぽいですね。
 読んでくださった読者の全ての皆さんに感謝を込めつつ、次回以降も頑張って進めて行こうと思います。




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