戻る

目が覚めたら突然「愛梨」と言う女の子になっていた。
そんな本来の俺は、今年の新学期で高3になる予定の男であった。
分けの判らないまま愛梨としてM中へと通う事になったが・・・。

そこで思わぬ人物に会ったのだ。
俺が小6の頃、当時その子は小1だった。
同じ近所と言う事もあり、良くその子のめんどうを見ていたものだ。
そして俺が中学校に入って以降は、一切干渉が無くなってしまっていた子。
恐らく当時は気づいてなかったであろう、俺の初恋であった子・・・。


この物語は・・・非日常を体験する少年の物語・・・。





はちゃめちゃ学園生活2


作:STS




愛梨として始まった学校2日目の今日の日程は対面式と離脱式、そして最後に身体測定。
花音ちゃんと一緒に教室から体育館へと移動し、各クラスごとに整列をする。
まだ背の順が決まっていないので、今日も並び方は席順と同じであった。
その為、俺のすぐ後ろには花音ちゃんが居る。

「え〜、ではこれから対面式を始めます」



対面式と離脱式は段取り良く行われ、あっという間に終わった。

「次は身体測定だが1組から順番に行う。2組は教室で着替えて準備していてくれ」

担任の先生にそう言われ、2組はとりあえず教室へと戻る。

「トイレとか行きたい奴は今のうちに済ませておけよ」

「あ、じゃあ花音ちゃんトイレ行っておかない?」
「うん、いいよ」





俺と花音ちゃんはトイレへと向かいながら話していた。

「そういえば先生は教室って言ってたけれど、男子と一緒に着替えるのかな?」
「そうなんじゃない?でもあんまり問題ないと思うよ」
「へ?何で?」

だって・・・女の子が男子と一緒に着替えて恥ずかしくはないのだろうか?

「女の子はスカートじゃん、ブルマーを先に穿いちゃってから脱げば大丈夫よ」
「あ、なるほど・・・でも上は?」
「上は脱がずに体育着を着るテクニックがあるみたいよ」

へ〜・・・そんなテクニックがあるのか。

「でも私は苦手でそれが出来ないから・・・だから体育着が必要な日は事前に上も着ておくの」
「なるほど、それなら制服を脱ぐだけでOKなんだね」
「愛梨ちゃんは私に借りたし、今上は着てないのよね?」
「うん・・・」
「ならばトイレに体育着持って来る?トイレの個室で上だけ着替えれば大丈夫よ」
「あ、そうだね。じゃあ私、ちょっと教室まで行って体育着取って来るよ」
「うん、トイレの場所で待ってるね」

トイレ付近で花音ちゃんを待たせ、俺は急いで教室へと向かった。



「お待たせー」

体育着を持って花音ちゃんの所へと戻った。

「じゃあ入ろっか」
「う、うん・・・」
「・・・?早く入ろ」

花音ちゃんに優しく腕を引っ張られ、女子トイレ内へと入って行った。
まだ女の子2日目だものな・・・やはり未だに女子トイレへ入るのに抵抗がある・・・。



昨日と同じで、俺は花音ちゃんが入った隣の個室へと入った。
まずは体育着へと着替えちゃおうかな。
そういえば花音ちゃんの言ってた通り、ブルマーは教室でも穿けたのに一緒に持ってきてしまった。

上の制服を脱ぎ、トイレの個室内には置く場所が無いので服を持ちながら体育着を着る。
上は体育着のまま廊下をうろついても問題無さそうだが・・・。
でも手に持っている制服が邪魔になりそうなので、体育着の上に再び制服を着た。

次にブルマーを穿く前に・・・先に用を足しちゃった方がいいのかな。
パンツを下ろし、スカートが床に就かないように両手で少し抑えてしゃがんだ。
昨日の夜は風呂に入ったので、今日は昨日とは違う薄ピンクのかわいいパンツが見えた。

少し顔を火照らせながら用を足す。
やっている最中は出来るだけ何も考えないように・・・と。
用を足した後は出来るだけ無心でティッシュを手に取り、大事な部分を丁寧に拭く。

パンツを穿いて立ち上がった。
次に上履きを片方ずつ脱ぎ、足を通してブルマーを穿く。
花音ちゃんから借りたブルマーは今の愛梨の身体に完全フィットした。
どうやらサイズもちょうどいいみたいで、穿き心地は抜群だ。

花音ちゃんのブルマーが俺に・・・何だか花音ちゃんを感じているようでドキドキであった。



「愛梨ちゃん、もう出られるー?」

ドアの外から花音ちゃんの声が聞こえた。

「あ、ごめ〜ん、今すぐ出るねー・・・」

また、色々な妄想を考えてしまっていていつの間にか個室に長く籠もってしまっていた・・・。

「お待たせー」
「じゃ、手洗ってとりあえず教室へ戻りましょ」
「うん」





現在教室にて身体測定の待ち時間。
しかし、今の俺に取ってその教室内の光景は少し刺激の強い物であった・・・。
男子の姿はどうって事ないが、女子は全員体育着の半そでとブルマーで・・・。

勿論、今女の子である俺自身もその姿は同じであった。
自分の穿いているブルマーをついつい眺めてしまうと・・・顔が火照る感じがした。

「花音ちゃん、本当に大丈夫?」
「あ・・・ほえ?」

俺は慌てて我へと返った。
花音ちゃんのブルマーを穿いている事を意識し過ぎて、また何やら考えそうになってしまっていた。

「調子悪かったらいつでも言ってね。私、保健室付き添うから」
「あ、だ、大丈夫・・・ごめんね」
「でも顔赤いみたいよ。熱、あるんじゃない?」
「だ、大丈夫だから・・・ね」
「うーん、あんまり無理しちゃダメよ」

花音ちゃんの気遣いは嬉しいが・・・そうされるとますます・・・。
今の花音ちゃんはブルマー姿で、日頃女子にすらまともに向き合う事の無かった俺には直視する事が出来なかった。
い、今の俺には・・・刺激が強過ぎるんだよな・・・。
まあ、本当は女の子じゃなくて男だし・・・そう考えると別に普通なのかな・・・。
今後体育の授業とかまともに受けられるのかなぁ・・・俺。

「ガラーッ」

突然何の前触れも無くドアが空き、先生が教室に入って来た。

「皆、きちんと体育着には着替えたか?これから男子と女子でそれぞれ別々に並んで身体測定だ」

どうやら男子と女子は別々に身体測定をやるらしい。

「男子は会議室、女子は保健室へと行ってくれ」

教室から全生徒が出て、男女それぞれが整列した。
そして俺の居る女子列は保健室へと向かって行った。





保健室へと到着し、列の1番前から順番に測定が行われて行った。
俺はと言うと、なるべく女子達から目を逸らすようにしていたが・・・。
前を向いてしまうと、どうしてもついついと女子の股間辺りに自然と目が行ってしまう・・・。
女としての立場的にも不自然に思われそうなので、なるべく目を逸らすように頑張った。

まあ、だからって男としてじーっと見ているのもそれはそれで問題ではあるが・・・。

(あ、あの子ハミパンしている・・・)

測定中の女子の1人が、ブルマーから白いパンツを少しはみ出させていた。
通称、いわゆる「ハミパン」って物である。
それをたまたま見てしまった俺は、顔が火照って来てしまったのが自分自身で良くわかった。

「愛梨ちゃん、大丈夫?」

俺のその様子に気づいたのか、花音ちゃんが後ろから小声を掛けてきた。

「う、うん・・・」

あんまり火照ってばかりだと花音ちゃんに変って思われちゃうかもな・・・。
ボロが出ても困りそうだし、気をつけなくちゃな・・・。



身体測定自体は順調に進み、次は俺の番が来た。
まずは身長の測定、俺の身長測定結果は148cm程であった。
中学生にしてはちょっと低い方・・・なのかな?

次に体重の測定、体重の測定数値は他の人からは仕切りで見えないようになっている。
女の子は体重を知られるのが嫌いな傾向とか、そういう事なのかな・・・?

最後に座高の測定。
座高測定中座って前を見ると、身長を測って貰っている途中の花音ちゃんが見えた。
・・・何も考えないようにすぐに目を逸らした。
気をつけなくちゃって思ったばかりだものな・・・。



(ふぅ〜、終わったぜ・・・)

ブルマーだらけの女の子集団の中に居るのは俺にはキツいな・・・。
教室へ戻っている途中、後ろから花音ちゃんが小走りで俺に追いついてきた。

「愛梨ちゃん、身長と体重どのくらいあった?」
「身長?私は148cmだったよ」
「あ、じゃあもしかして背の順で私の1個前かもね?私、148.1cm」
「へぇー、意外と同じくらいだったんだね」
「うん、で、愛梨ちゃんの体重は?」
「知りたいの?じゃあ花音ちゃんも教えてくれる?」
「私は・・・秘密よ!」
「え〜?じゃあ私も秘密ね」
「教えてくれたっていいじゃなーい」

こんなやり取りをしながら教室へと向かって行った。
女の子ってのは自分の体重は言わないのに人のは知りたがるとか、こういう子多いのかなぁ。





そして教室へと到着。
教室へと着いた俺は制服へと着替えようとしたが・・・。

「愛梨ちゃん、私トイレに行って来るね」
「え?さっき行ったばかりじゃ?」
「ううん、おしっこじゃなくてトイレへ着替えに行くのよ」
「あ、そうなんだ。でも上にそのまま制服を着るだけでも良くない?」
「うん、そうなんだけど・・・でも今日ちょっと暑いし、脱ぎたい・・・かな?」
「そっか、じゃあ私も一緒に行くよ」
「うん、行こっ」

俺と花音ちゃんは制服を持ち、トイレへと向かっていった。





「・・・入らないの?」
「・・・ごめんね、入ります」

いい加減慣れようぜ俺・・・。



いつも通り花音ちゃんの隣の個室へと入る。
そしてそそくさと制服の上を脱ぎ、続いて体育着の上も脱ぐ。
いつも花音ちゃんを先に待たせてばかりだし、どんどんと着替えて出よう。
俺の体は微妙に汗ばんでいた、確かに今日はちょっと暑いかなぁ。
・・・いや、きっとそれ以外での焦りの汗もあったかも。

脱いだ体育着を手に持ったまま、再び制服を着た。
ブルマーは教室で脱げばいいかな?
ここだといちいち片足ずつ上履きを脱いで足を通すのがめんどくさいしね・・・。

いや、でも待てよ?
個室でならば多少は変な事もできるかもしれない・・・。
俺は片足ずつ上履きを脱ぎ、個室内でブルマーを脱いでみた。
そして脱いだブルマーをじっくりと顔の前に持って来て良く眺めてみる。
・・・ブルマーってこんなにちっちゃいんだな。
それとも、花音ちゃんの貸してくれたのが小さいだけなのか?普通どれもこんな物なのか?
でも、こんなちっちゃいのが愛梨ちゃんのお尻にフィットして・・・。
そして、花音ちゃんのお尻にもこのブルマーが・・・。



「愛梨ちゃーん、着替え終わったー?」

・・・はっ、またついつい花音ちゃんを先に待たせてしまったか・・・。
あまり妄想が過ぎるといつもこうなっちゃうんだな・・・。
それに、あまりにも度が行き過ぎると大人の事情で色々とややこしいので妄想内容は各自にお任せを・・・。

「じゃあ教室戻ろうか」
「うん」

手洗い場で2人一緒に手を洗い、俺と花音ちゃんは体育着を手に持って教室へと戻って行った。

「パサッ」

教室へ戻る途中、俺の手に持っていた花音ちゃんのブルマーを落としてしまった事に気づかずに・・・。





「あれぇ、おかしいなぁ・・・」
「愛梨ちゃん、どうしたの?」
「うん、確かに体育着の間に挟んで一緒に持ってたはずなのに・・・ブルマーが無いの」
「ええ!?もしかして私に借りたブルマー、廊下に落としちゃったの?」
「うう・・・ご、ごめん。どうやらそうみたい・・・」
「もし、私のブルマーを男子が拾ったりでもしたら・・・」
「拾ったりでも・・・したら?」
「あんな事やこんな事!そして×××のような凄い事にも使われちゃうのかしら〜きゃぁ〜〜〜!」
「ちょ、か、花音ちゃん・・・;」

花音ちゃんは1人何やら色々と考え、脳内暴走してしまっているようだ。
花音ちゃんも・・・実はHな女の子なのかな・・・?

「か、花音ちゃん・・・あ、あんまり行き過ぎると大人の事情で色々と・・・ね;」
「あ、ご、ごめん・・・つい私、変な事考えちゃってた・・・」
「とりあえず私、今から落としたブルマー探しに行くよ」
「あ、でも・・・今からって・・・」

「キーンコーンカーンコーン」

あ・・・チャイムが鳴ってしまった。
仕方無い・・・誰にも拾われない事を願って・・・学校が終わったら探すしか無いかな・・・。

「席、着こうか・・・」





「明日から授業が始まる、教科書を忘れないようにな。今日はこれにて終了、気をつけて帰れよ」

そして放課後となる。
その後は残りホームルームだけだったので、すぐ終わって放課後となった。

「花音ちゃん、私、落としたブルマー探してくるよ」
「あ、待って。私も一緒に行くわ」

こうして、俺は花音ちゃんとブルマーを探すハメになったのだ。



「私達が通っていた道には無いわね・・・」
「うん、どうしよ・・・私のせいで」
「いいのよ、落としちゃった物は仕方無いでしょ?」
「うう・・・も、もし見つからなかったら弁償するよ」
「ほんと、気にしなくていいのよ」
「ごめん・・・もうちょっと良く探してみるね」
「うん」

その後もトイレからの戻り道を酌まなく探し、一応それ以外の通り道も探してみた。
が、やはりブルマーは何処にも見当たらない。

「うう・・・ごめんね花音ちゃん」
「今頃男子にでも拾われちゃったのかな・・・ああ、あんな事やこんな事が〜!」
「ちょ、花音ちゃんまた暴走してる・・・;」



「あ、お前達まだ居たのか」

俺と花音ちゃんは後ろから誰かに声をかけられた。
担任の相澤先生であった。

「探し物だろ?今、花音ちゃんの落し物が届いているって連絡があってな」
「え?本当に?」
「ああ、ただ物が物だけに先生から渡すのもちょっとな・・・職員室に届いてるから、取りに行ってくれないか?」
「あ、はい。ありがとうございます」

何だ・・・落し物は既に職員室に届いていたのか。
どうりでどれだけ探しても見つからなかったわけだよな・・・。



「ありがとうございました」

俺と花音ちゃんは保管してくれていた先生に丁寧を頭を下げた。

「あ、そういえば届けてくれた人・・・名前言ってましたか?」
「えーと、確か1組の小百合ちゃんって子だったかな」
「はい、わかりました。後でお礼を言っておきます」

届けてくれた人の名前を聞き、俺と花音ちゃんは職員室を後にした。

「ふぅ〜、見つかって良かったよ・・・」
「愛梨ちゃん、次から落とさないように気をつけなくっちゃね」
「本当に反省してます・・・」

男の俺が男の体育着を落とすのであれば別にどうって事はないのだろうな。
でも、今は女の子の物だし・・・その上花音ちゃんからの借り物だったし・・・。
本当に、気をつけないとね・・・。

「あれ?でも何で届けてくれた人は花音ちゃんのブルマーだって判ったんだろ?」
「あ、きっと裏ポケットじゃない?」
「裏ポケット?」
「ほら、内側から裏ポケットの部分見てみなよ」
「あ、白い生地があって組と名前が書いてある」
「でも愛梨ちゃん、名前書く場所の事知らなかったの?女の子なのに」
「え・・・あははー・・・」

・・・女の子ならば常識だったのか?これ。

「じゃあこの体育着、家で洗ってから返すね」
「あ、いいよいいよそのままでも」
「え、でも洗わないと・・・その・・・」

大変言いづらい事ではあるが・・・。
体育着には俺の胸が、ブルマーには俺のパンツが付いたりしているわけで・・・。

「うーん、じゃ洗ってから返してね」
「うん・・・」

花音ちゃん、何かを悟ったような顔をしていた。
俺が何を考えていたのか、もしかして気づいたのかな・・・?





ブルマーも無事手元に戻り、そのまま俺と花音ちゃんは帰路へと着いた。

「明日から授業だよね、中学校の勉強ってやっぱり難しいのかな?」
「そうだね、でも高校と比べれば全然楽だと思うよ」
「・・・へ?高校?」

あ・・・今の俺は「愛梨」なんだよな・・・。
愛梨は今年中学生だし、まだ高校へ行ってるはずがないじゃないか・・・。

「えっとね、これから高校でもっと難しいのが待ってるだろうから、それから見れば楽なんじゃないかなー?って・・・」
「あははー、愛梨ちゃんっておもしろいね。高校なんてまだ全然先の事だよー」
「あははー・・・」

ふぅ、危ない危ない・・・何も考えないで喋ると素でボロ出しちまいそうだな・・・。
まあ別にバレたらやばいって事では無いみたいだが・・・しかし今の姿で俺が男だったなんて普通は信じられないよな。
それに、本物の愛梨ちゃんの今後を考えたらバラしていい事なのかどうなのか・・・。
まあ、その本物の愛梨ちゃんが今何処に居るのかは謎のままではあるけれど・・・。



「じゃあ私はこっちだからここでお別れね。じゃあまた明日この場所で」
「うん、また明日ね」

愛梨ちゃんと別れた俺は自分の家へと向かっていた。
・・・まあ、自分の家と言うよりも「愛梨の家」が正しいか・・・。

「チリチリーン」

家に向かっている俺の前を、1台の自転車が通りかかった。

「・・・あの自転車は!?」

あの自転車には見覚えがあった。
そう、間違いなくあれは・・・俺の妹の自転車だ。

「俺の妹なら・・・今、本来の俺がどうなっているのか・・・知っているかもしれない!」

俺はダッシュで妹を追いかけた。
が、自転車相手に追いつけるはずも無く、すぐに息切れしてしまった・・・。

「くそっ・・・あ、でもこの周辺に居たって事はきっと家へ戻るのだろうか・・・?」

なんだ、じゃあ大丈夫か。
一旦愛梨の家へ戻ってお昼を済ませて、それから本来の自分の家へと向かってみるかな・・・。





愛梨の家へと戻った俺はお昼をすぐに済ませ、私服に着替えてから再び外出した。

「行ってきまーす」

よし、本来の自分の家へと行くとするかな。
・・・妹、ちゃんと居るだろうな?



歩いて数分、すぐに自分の家へと到着。
昨日は誰も居なかったみたいなのにカギが掛かってなかったんだよな・・・。

「ピンポーン」

「はーい」

インターホン越しに女性の声が聞こえた。
どうやら、俺の妹がきちんと帰宅しているようだ。

「おう、俺だー・・・じゃなかった」
「・・・?」
「あ、あの、私、愛梨と言います・・・」
「え、愛梨ちゃん?」
「あ、はい」
「わ〜、久しぶりだねー。玄関じゃなんだからとりあえず上がってよー」
「???」

これはどういう事だ?
もしかして、本来の愛梨ちゃんとうちの妹は・・・知り合い?

「ガチャ」
「わ〜、やっぱり愛梨ちゃんだ。さあ上がって上がって」
「あ、はい。では・・・お邪魔します」

俺は妹に案内され、家の中へと上がって行った。



とりあえず居間に案内された俺は、お茶を差し出された。
そして妹が愛梨(俺)に色々と話しかけてくる。

「花音ちゃんは元気?」
「あ、はい」
「愛梨ちゃんは?」
「あ、はい」
「部活は決まった?」
「あ、はい」
「・・・何だか愛梨ちゃん、いつもと様子違うね」
「え・・・あ、そんな事ない・・・です」
「あ、はいしか言わないんだもん」
「あ、それは・・・い、今学校でハヤってるんですよ」
「へー、そうなんだ。でもまだ新学期2日目なのに?」
「うぐ・・・」
「あはは、愛梨ちゃんおもしろいね」

花音ちゃんにも同じ事言われた気がする・・・。

「あ、あの」
「何?」
「私は今日確かめたい事があってここに来たんです」
「うん?言ってみて?」
「お兄さん・・・元気ですか」
「・・・私のお兄ちゃん?」
「はい・・・」
「お兄ちゃんは今・・・」
「・・・今?」


「新学期が始まってから、ずっと行方不明なの」
「・・・えっ」

本来の俺が・・・行方不明?
でもそれって・・・死んでいるのだろうか、それとも誰かが俺の身体を動かしているのだろうか・・・。

「そ、そうですか・・・」
「急に姿消しちゃって、家にも戻らず連絡も付かずで・・・今頃どこでどうしているのやら・・・」

妹よ、大丈夫だ・・・俺はちゃんとここに居る・・・。

「お父さんもお母さんも、皆心配しているわ。連絡くらいくれたって・・・それとも、もしかして今頃は・・・」

その後、妹は言葉を止めたが何を言いたかったのか察しがついた。
大丈夫だ、俺の意識は死んでいない・・・でも、俺の身体は・・・どうなっているかわからないが・・・。



「ごめんなさい、私、良くない事訊いちゃったみたいで・・・」

一応愛梨として妹への気遣いをしてみる。
妹や家族が心配してくれていたから、と言う俺自身の気持ちも込めて・・・。

「ううん、いいのよ。きっとそのうち帰ってくるって・・・信じているわ」
「・・・・・・そうですね。いつか帰って来ると・・・いいですね」





「じゃあ愛梨ちゃん、気をつけて帰ってね」
「はい、お邪魔しました・・・」

何だか妹に向かってお邪魔しました、と言うのも妙な心境だ・・・。

「愛梨ちゃん、もし良かったらまたうちへおいでよ」
「え?いいんですか?」
「うん。少し前を思い出す感じで懐かしいし・・・」

愛梨ちゃんと妹の間に・・・昔、何かあったのかな?

「あ、はい。今日はありがとうございました」

少し後ろめたい気持ちになりながら・・・俺は、妹の見送る中本来の自分の家を去った。





帰り道、涙が少し流れてきていた。
妹と家族が俺の帰りを待ってくれているんだ・・・そう考えると、心が痛む感じ・・・。
決して俺は望んで今の愛梨になった分けではない、でも、そうなってしまった以上は元の家へは帰れない・・・。
愛梨は愛梨として存在しているのだから、その愛梨が居なくなったら・・・今度は愛梨ちゃんの家族が・・・。

「あれ?愛梨ちゃん?どうしたの!?」
「え・・・?あ・・・」

声を掛けられた方を振り向くと、そこには花音ちゃんが立っていた。

「・・・何か辛い事でもあった?」
「あ・・・こ、これは」

俺は慌てて服の裾で涙を拭った。
まさか帰り道で花音ちゃんに会うだなんて、思ってもいなかった・・・。

「辛かったら話さなくてもいいけれど・・・でも、元気出してね。私は、いつでも愛梨ちゃんの味方だから」
「花音ちゃん・・・」

もしかしたら、花音ちゃんになら今の俺の状態をバラしても・・・。
良き理解者になってくれるんじゃないのか?と考えてみた。

・・・いや、でもやっぱりそれは止めておこう。
花音ちゃんの初恋の相手の俺が愛梨ちゃんとして一緒に居るなんて知ったら、花音ちゃんはどう思うだろう・・・。
きっと混乱するに違いないだろう・・・。



「そういえば、花音ちゃんは何処かの帰り?」
「私?えっとね・・・ちょっと探し物があってね」
「え?何々?」
「それはね・・・ナイショよ」
「ええ〜、教えてくれたっていいじゃない」
「・・・良かった」
「え?何?」
「いつもの元気な愛梨ちゃんに戻ったね」
「あ・・・」

花音ちゃんは私にニッコリと微笑んだ。
その笑顔をみた俺は、思わず「か、かわいい・・・」と思ってしまった。

「花音ちゃん・・・ありがと」
「ううん、いいのよ。何か困った事があればいつでも相談してね」
「うん・・・」
「じゃあ私は他にも寄る所があるからここでお別れよ。また明日学校でね」
「うん、またね」

花音ちゃん・・・昔と変わらないままで居てくれた。
いつまでも優しさを決して忘れる事のない、ステキな女の子・・・。
そんな花音ちゃんとなら・・・愛梨としての生活、まだまだやって行けそうな気がしてきた。



(愛梨ちゃん・・・もしかして・・・)

その頃愛梨と別れた花音ちゃんは、愛梨の様子を見て何かを察していたようであった・・・。





「ただいまー」

愛梨の家へと戻った俺は、愛梨の部屋へと入りベッドに腰を下ろした。
女の子になってからの生活は、男では決して味わう事の無い要素がいっぱいあって未知の光で溢れている。
でも・・・慣れていない分、やはり疲れが結構溜まるようだ・・・。

(夕ご飯までまだ少し時間があるし、ちょっと横になろうかな・・・)

そのままベッドへと横たわり、俺は眠りへと就いたのだった。





「愛梨ちゃん、ちょっと話があるんだけれどさ」
「な〜に?花音ちゃん」

ここは・・・学校へと向かう通学路だろうか?
俺は花音ちゃんと2人で道路を一緒に歩いていた。

「愛梨ちゃんってさ、実は偽者でしょ?」
「へ?偽者って・・・な、何の事ですか?」
「私、気づいてるんだよ。本当の中身は私の好きだった・・・」

(バ、バレてるーーー!?な、なんでーーー!?)





「はっ!!」

・・・い、今のは夢、か?
何だか妙にリアルな雰囲気だったなぁ・・・。
花音ちゃんの発した言葉1つ1つが、重みのある感じだった・・・。

「愛梨ー、ご飯できたわよー」
「あ、はーい今行きますー」

どうやらちょうど夕ご飯の時間のようだ。
寝起きでちょっと眠気が残ってるけれど・・・ご飯を食べるとしよう。





夕ご飯を済ませた俺は、愛梨の部屋へと戻りパソコンを起動した。
今日も何か手がかりは無いか、ネットで調べてみようかな・・・。
パソコンを起動早々、インターネットを開始した直後の事。

「ピロロ〜ン♪」

ん、なんだなんだ?
パソコン画面の右下に何やらお知らせが出たぞ・・・。
あ、どうやら新着メールが届いてるってお知らせみたいだ。

ま、まあ今は一応俺が愛梨だし・・・読んじゃっても大丈夫かな・・・。
お知らせの場所をクリックして、メール画面を出した。
送信主は・・・あ、名前を見たら花音ちゃんだ。
メールボックスを見たら、他にも何通か花音ちゃんからのメールが見つかった。
へぇ〜、愛梨は花音ちゃんとメールでやり取りしてたんだ。

とりあえず今日届いていたメールを開いてみる。



---------- メール本文 ----------

こんばんは☆
愛梨ちゃん、メールではお久しぶりだね!花音だよ♪

さっき、愛梨ちゃんの様子がおかしかったからついつい気になって・・・
思わずメールしてみちゃったの。
愛梨ちゃん、元気出してね・・・私は判っているから。

明日、本当の事を正直に教えてね?是非、力になるから!

---------- メール本文 ----------



へ?・・・ちょ、私は判っているからって・・・何を?
・・・俺が頭をフルに使って考えても、思い当たる節は1つしかない。
ま、まさか・・・さっきのは予知夢か何かの正夢だったのか!?
となると・・・花音ちゃんに俺の本来の正体がバレちゃってる!?
落ち着け、落ち着くんだ・・・俺。
別に花音ちゃんが一方的に気づいてたならばそれでも問題無いのでは?

で、でも・・・好きだった人が女の子になって一緒に学校に登校したり。
一緒に身体測定受けたり一緒にトイレへ行ったりと・・・。
・・・俺の事を男だって知っていれば明らかに変態じゃん、俺・・・。
まあ、望んで愛梨になったわけでもないし、本物の女の子になっている以上は仕方ないけれど・・・。
でも・・・花音ちゃんはそんな俺を気持ち悪がるのではないだろうか・・・?
文面では力になる、って言ってるけれど・・・。
でも、花音ちゃんの本当の気持ちなんて俺にはわからないしな・・・。

まあ、とりあえず今日はお風呂に入ってもう寝るとしよう。





「愛梨ちゃん、おはよー」
「花音ちゃん、おはよう・・・」

女の子としての生活3日目。
いつもの待ち合わせ場所で花音ちゃんと合流した。

「愛梨ちゃん、昨日私が送ったメール見てくれた?」
「うん、見たよ・・・」
「いつもは返信すぐくれるのに・・・返信入れない程元気無かったのね・・・」
「え、えっと・・・わ、私はいつも通り元気、だよ」
「嘘嘘!今だって何となく元気無い感じじゃない?私、知ってるんだから」
「し、知ってるって・・・何を?」
「そりゃあさすがの愛梨ちゃんでもそんな事があれば元気無くなるよね・・・」

花音ちゃん・・・本当に、俺の正体を知っているとでも言うのだろうか・・・?

「愛梨ちゃんって、実は・・・」
「・・・・・・」
「最近彼氏に振られたでしょ!?」
「・・・へっ?」

か、彼氏に振られた・・・って?何の事・・・?

「昨日泣いてたのも、彼氏に振られたのを思い出して泣いてたのね・・・可愛そうに」
「ちょ、か、花音ちゃん・・・ち、違うんだけど・・・」
「昨日教室で好きな人の事訊いた時、居るけれど教えてくれなかったよね。そうだったのね、本当は辛かったのね・・・」
「い、いや・・・だ、だから違いますよ・・・」
「愛梨ちゃんの本当の気持ちに気づかずに私ったら・・・ごめんね」
「あ、あの・・・花音さん?聞いてます?」

ダメだわこりゃ・・・花音ちゃんって、時々暴走する時があるみたいだな・・・。
でも・・・俺の正体がバレたと思ってたのも、結局は俺の勘違いだったってわけか。
逆に俺が何も言わずにバレてたら、それこそ不思議な話だしな・・・。



「え?勘違い?」
「そ、そうなのよ・・・だから、別に泣いてたのは別件なのよ・・・」
「なーんだ、私の勘違いだったんだねーあははー」

ま、まあ正直俺も勘違いしてたけれどね・・・。

「でも、愛梨ちゃん・・・男」
「へっ?」

や、やっぱり花音ちゃん、俺の正体に気づいてるのー!?

「男・・・じゃないとするとあと他に考えられるのは・・・」

あ、何だ・・・まだその後に言葉が続くだけだったのね。

「あ、体重が最近増えたとか?」
「違う・・・」
「じゃあお昼ごはんが不味かった?」
「・・・何それ?;」
「あ、お昼じゃなくて夕ご飯が不味かったのかな」

花音ちゃん・・・俺は君の思考が良くわからないよ・・・。
大人っぽく見えたりおもしろく見えたり・・・そんな花音ちゃんの一面を知って、何だか少しホッとした気持ちになる俺であった。





学校に着いた俺は1組の教室の前に居た。
昨日ブルマーを職員室へと届けてくれた小百合ちゃんとやらに、お礼を言いに来たのだ。
小百合ちゃんかぁ・・・一体どんな子なんだろ?

「あ、あの〜すみません」
「ん?何か用かな?」

教室の入り口近くにいた適当な女子を呼んでみた。

「このクラスに小百合ちゃんって子、居ますか?」
「えっと・・・小百合ちゃんは・・・上の苗字何て言う人だったかな・・・」

どうやらこの子は小百合ちゃんって子とは別の学校から来た人のようだ。
まだ3日目のクラスに慣れず、苗字と名前がきっと一致してない感じだろうか。

「あ、小百合ちゃん居るよ」
「え?ほんと?」
「うん、ちょっと私声かけてくるね」
「はい、お願いします」

そう言って女の子は教室の方へと行ってしまった。
でもその後すぐに、1人の女の子がこっちへと向かってきた。

「あの・・・私が小百合ですけど」

パッと見、第一印象は・・・気の弱そうな女の子って感じかな。

「あ、君が小百合ちゃんだね?」
「はい・・・」
「私、愛梨って言います。花音ちゃんのブルマーを昨日職員室に届けてくれたでしょ?」
「あ・・・そういえば、そうでしたね」
「花音ちゃんは私の友達だからさ、ありがとう」
「いえ・・・別に、大した事してないですし・・・私。そ、それに・・・」
「それに?」
「私は、花音さんが・・・あ、やっぱり何でもないです」
「・・・?」

小百合ちゃん・・・何が言いたかったんだろ?



教室へと戻った俺は、ホームルームの前に花音ちゃんと話していた。

「でね、ブルマーを届けてくれた小百合ちゃんって子がこういう感じだったの」
「あー、小百合ちゃんってあの小百合ちゃんだったのね」
「へ?花音ちゃんの知り合いだったの?」
「うん、6年生の時私と同じクラスになった子だよ」

へぇ〜、そうだったんだ。
花音ちゃんは小百合ちゃんって子と知り合いだったのね。
小百合ちゃんも、花音ちゃんの事知ってたからきっと拾った時に届けてくれたのか。

・・・そういえば、花音ちゃんに借りた体育着を学校へ持ってくるのをすっかりと忘れてしまっていた。

「花音ちゃん、ごめん・・・そういえば借りた体育着、持って来るの忘れちゃったよ・・・」
「あ、そうなの?大丈夫だよ。今日はまだ体育ないから」
「うん・・・ごめんね、明日必ず持って来るね」
「急がなくても大丈夫だよ」

そう言われても花音ちゃんの物をいつまでも手元に置いて置くわけには行かないよな・・・。





ホームルームが終わり、これから1時間目の授業が始まる。
1時間目の授業は・・・国語か。
花音ちゃんはどうやら中学校の勉強が楽しみなようで、ワクワクしている様子。
俺はと言うと・・・授業がダルそうで正直めんどくさかった。
居眠りでもしていたいが・・・愛梨ちゃんとしてはきちんと授業受けてないとマズそうだしね・・・。

「ガラーッ」

ドアが開いて教室に先生が入って来た。





それからみっちりと50分間、国語の授業が行われていた。
俺はと言うと、眠気と戦いながら・・・と言う事は無く、真面目に授業を聞いていた。
いつもならば授業開始早々眠くなってしまうのだが・・・愛梨ちゃんの体だからそうならないようになっているのかな?

次の授業までの休み時間10分間、私はお決まりのパターンに出た。

「花音ちゃん、トイレ行かない?」
「うん、いいよ」

女の子ってのは男と違って膀胱が小さいだとか・・・そんな話を聞いた事があるような気がする。
でも、実際女の子やってみるとこんなにもトイレが近いものなんだな・・・。

「・・・愛梨ちゃん、入ろうよ」
「・・・ごめんね」

女の子3日目にして学校では4回目となるトイレ、未だに慣れない俺であった・・・。

いつも通り花音ちゃんの隣の個室へと入る。
いつもいつも花音ちゃんを待たせちゃうから・・・今日はどんどんと済ませちゃおう。
パンツを脱ぎ、スカートを手で抑えて床へと付かないようにして便器にしゃがむ。

用を足していると、ふとトイレ内の隅にあった汚物入れへと目が行った。
そういえば、女の子には生理って物があるんだっけか・・・。
愛梨はどうなんだろう?もう生理は来ているのかな・・・?
でも、胸がまだスポーツブラしている程だから・・・これからなのかな?
もし生理が来ていたら、俺がそれを体験する事になるんだろうなぁ。
早いうちに花音ちゃんにでも、生理の時の対処法とか訊いておいた方が良さそうだ。

用を済ませた俺は、そーっと丁寧に大事な部分をティッシュで拭いていく。
愛梨ちゃんの大事な部分を今、俺はティッシュ越しに触っている・・・。
そう考えてしまうと、また変な妄想が始まってしまいそうであった。

「愛梨ちゃーん、終わったー?」
「あ、ごめーん・・・」

結局、今日もまたこの展開なのね・・・。





教室へと戻った俺と花音ちゃんは、2時間目の授業が始まるのを待っていた。

「2時間目は数学だね。算数と違って難しいのかな?」
「数学は小学校の基礎さえしっかりしてればそうでもないと思うよ」
「へぇ〜、そうなんだ。1時間目の国語はどうだった?」
「私、国語は苦手でね・・・」

うん、文法だとか作文だとか、俺は苦手だった・・・。

「愛梨ちゃんは何の教科が好き?」
「えっと、私は・・・体育、かな」
「どういうところが好き?」
「体を動かすのって気持ちいいからさ」
「へぇ〜」

それに、女の子のブルマーが見れるから・・・と、危なくついつい付け加えそうになってしまった。
適当に出任せで体育と言ってしまったが、確かに俺はそれ程体育が嫌いでもない。
男の時の運動神経は、まあそれなりにはあった方だと思っている。

「体育の授業は明日あるみたいだね、楽しみだね」
「え・・・う、うん」

明日はもう体育の授業ですか・・・。
ブルマーを穿いて体育・・・想像するだけで、まともに授業が出来るのか不安であった。
が、同時に嬉しい気持ちもあるような・・・複雑な心境。

「花音ちゃんは好きな教科ってある?」
「私は音楽かな。あとは中学校からは家庭科って授業あるみたいだから、それが楽しみ」

そうか、何だか女の子らしいな・・・。

「音楽ではピアノが聴けるし、それに家庭科では調理実習もあるものね」
「うん、調理実習で料理するのが楽しみなの」

うん、花音ちゃんらしいと言うか。
花音ちゃんの作った手料理を食べてみたいなぁ・・・。
きっと、すごく美味しいだろうね。

「愛梨ちゃん?」
「な、何?」
「何か考え事?」
「えっと・・・花音ちゃんの作る料理、食べたいなって・・・考えてた」
「え?本当?嬉しいなー」
「ははは・・・」

その後ももう少しの間花音ちゃんと話をしていた。





2時間目の数学、3時間目の理科、4時間目の社会があっという間に終わり昼休み。
お昼ごはんの時間がやって来た。

「うちのクラスでは給食の席合わせは自由とする。好きな人と一緒に仲良く食べてくれ」

「あ、席自由でいいみたいだね。じゃあ花音ちゃん、一緒に食べよ」
「うん・・・」

ちなみに、うちの学校は中学校だけれどお弁当持参か購買部のどちらかとなっている。
給食費の未納問題だとかの影響で、そういう風になってしまったようだ。
愛梨としてお金を勝手に使うのはマズそうだし・・・お昼の事は愛梨の親に話し、お弁当を作って貰う事にしていた。

「花音ちゃん?何だか元気無いね?」
「え、別に・・・愛梨ちゃん、お弁当なんだね」
「うん、花音ちゃんはお弁当無いの?」
「実は親にお昼の事を話し忘れちゃって・・・だから今日はお弁当無し」
「じゃあ、購買部に買いに行く?」
「実は・・・私、お金も持ってないのよ・・」
「あ・・・じゃあ、どうしよっか・・・」

花音ちゃんが困っている・・・ここままだとお昼抜き?
なる程、それでちょっと元気無かったのかな?でもそんなの可愛そうだよな・・・よし、こうなったら。

「花音ちゃん、私のお弁当半分こで食べよ」
「え?いいの?」
「勿論だよ、私達、友達じゃない」
「愛梨ちゃん・・・ありがと」

でも、お弁当箱には箸が1つしか付いてないんだよな・・・どうするか。

「箸1つだけだからどうしようか・・・」
「私は別に、愛梨ちゃんが使ったあとのでも構わないよ」
「え・・・でも、大丈夫なの?」
「だって私達、女の子同士でしょ?」

ごめんなさい、中身は男なんです・・・だなんて、言えないよなぁ・・・。

結局、俺と花音ちゃんで箸を交代に使いながら仲良く?お弁当を食べていった。
花音ちゃんと間接キスみたいな事をしてしまい・・・俺は、顔が火照ってしまっていた。



「愛梨ちゃん、本当にありがとう。焼き卵もキャベツロールも皆美味しかったよ」
「いいよいいよ、このくらい」
「愛梨ちゃん・・・あのね、花音が料理好きなのは知ってるでしょ?」
「うん」
「明日にでも、お礼に愛梨ちゃんに私がお弁当作ってきてあげるよ!」

か、花音ちゃんのお手製弁当!?
そ、それは是非・・・た、食べてみたいかも・・・。

「ありがと〜・・・で、でもいいのかな?」
「うん、勿論だよ。今日お弁当を分けてくれたお礼だってば」
「う、うん」
「それに・・・」
「え?何・・・?」
「愛梨ちゃん、中学校入学以来時々元気無さそうに見えるから・・・」
「え、そ、そんな事はない・・・わよ」

男としての俺が女の子としての中学校生活ねぇ・・・。
そりゃー、いきなり過ぎて色々と戸惑ったりもするさ。
女の子始めてからまだたったの3日目だしな・・・。
でも、その戸惑いこそが花音ちゃんにすると愛梨が元気の無いように見えるんだろうな・・・。

花音ちゃんを困らせない為にも、もっと女の子として自然に・・・元気に振舞わなくっちゃだね・・・。
こんなに優しい花音ちゃんを困らせたくなんてないしね。

「明日、私がお弁当作ってくるからさ、それ食べて元気になってくれるといいな」
「うん、ありがとう・・・」
「さっき私の作る料理、食べたいなって言ってくれてたものね・・・あれ?花音ちゃん、泣いてるの?」
「ほえっ?あ、あれ?」

いつの間にか僅かな涙が目元から出て来ていた。
そうか・・・女の子って男と比べて涙が出やすいのかもしれないな・・・。
昨日の帰り道だって・・・いつの間にか涙が出てきちゃっていたものね。

涙が出ちゃう、だって・・・女の子だもん、ってか・・・。

「だ、大丈夫よ。花音ちゃん、私、嬉しくてついつい・・・」
「そうだったの・・・その涙!や、やっぱり本当は男に振られたんでしょ!?」
「ほえっ?ち、違うってば;」
「じゃあ、さっき食べたお昼ご飯が不味かったの?」
「ち、違います・・・」
「じゃあこれから食べる夕ご飯の事が」
「あ、あの・・・花音さん?」
「あははー、ごめんごめん冗談だよ」

冗談・・・?本当に暴走してたようにも見えたけれど・・・。
優しかったり暴走したりおとぼけしたり・・・花音ちゃんって、俺には良くわからないかも・・・。
と言うか、花音ちゃんの頭の中って彼氏とご飯の事ばかりなのかな。
まあ、料理が好きみたいだから・・・?って、あんまり関係ないのかな。
花音ちゃんを食いしん坊みたいに思うのは可愛そうだしね・・・;



お昼ごはんの時間枠は1時間で取ってあり、食べ終わったらそのまま昼休みな流れである。
食事を終えた俺と花音ちゃんは、そのまま流れで昼休みへと移行した。
でもそれにしても・・・お腹空いたなぁ・・・。
いくらさすがに愛梨と言うか・・・女の子の体言えども、お弁当半分だけでは足りなかったみたいだ。
まあでも・・・花音ちゃんに喜んで貰えたし、今日の所は我慢しておこう。

「愛梨ちゃん、ねえねえトイレ行っておかない?」
「うん、いいよー」
「じゃあ一緒に行こうねー」

俺と花音ちゃんは昼休みのうちにトイレを済ませておく事にした。
しかし、この後大変な思いをするとはまだ知らずに・・・。








■あとがき的な物■

最近ひょっこりと現れたSTSと申す者です。
初めての方は初めまして、前作を読んでくださった方は今作もお読み頂きありがとうございます。

何となく前作と言い、話を区切る部分が中途半端かなぁ・・・とも思ってしまいます;
でも容量の目安を大体30KB台〜40KB程としているのでこうなってしまうのかもしれません。
いくら小説でもあまり長いと一気に読まなくちゃ、な感じで大変って人も居そうですしね。
大体私的ではこのくらいの長さがお手頃なのかなぁ・・・?と思ってたりしています。

ここの文庫中の作品はどうやらイラストの掲載もOKなようですね。
絵を練習していつかしらイラストも入れてみたいですねー。


さて、次回では愛梨となってしまった主人公君が女になるっぽいです。
いや、既に女になってますけれど意味違いでした;
トイレでこの後何が起こるのか、恐らく大体の方々は想像が付きますかね?
でも1回目既にトイレ行ってるんだよなぁ・・・1日の途中で急に来るのっておかしいのかな?
まあ実際の女の子の事はあまり詳しく無いので矛盾があったらフィクションって事で見逃してください;

愛梨になった理由、主人公の男の身体の行方・・・。
色々と考えて真相は決定済みですが、本編中で判明するのはもうしばし後の方になりそうな感じです。
ちなみに途中で登場した「小百合」ちゃんがどういうキャラなのかは名前で察してください(ぇ




戻る

□ 感想はこちらに □