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なのは(N)「わかりあいたいけどわかりあえない。いつだってそう。でも、いつかきっとわかりあえる。そう信じて… 魔法少女リリカルなのはT's始まります」

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魔法少女リリカルなのはT's第4話
『呪われた一族なの』


作:東讃岐小守護代池田中務少輔輝里




 7月23日PM8:45 
 スパイダーに両腕を奪われたなのは。なのはの両腕は黒く変色していて動かせない。

ヴィータ「ど、どうなってんだ? なのはの腕を奪った? そ、そんな事…。でも、あのスベスベしてなめまわしたいかわいい腕はまさしくなのはの腕だ!」
なのは「(目が点になって)ヴィ、ヴィータちゃん…?」
スパイダー「カーッカッカッカッ両腕を奪われた以上貴様はもう魔法は使えまい!」
 スパイダーの6本の腕が元に戻る。なのはの腕も大きくなってからスパイダーの腕になる。

スパイダー「くらえっ! スパイダー魚雷!」
 スパイダー、6本の腕を頭上に上げた状態で錐揉み回転しながらなのはに突撃。

レイジングハート「protection」
 レイジングハートが防御魔法を発生させてなのはを防護。

なのは「ありがとう、レイジングハート」
レイジングハート「You're welcome. My master」
 レイジングハートに礼を言うなのは。一方、弾かれたスパイダーは体を回転させて体のバランスを取り戻してレイジングハートにビーム。

なのは「レイジングハート!」
 レイジングハート、カチンコチンに凍結。

スパイダー「カーッカッカッカッ、これでもう貴様を守るものはない! 死ね! ヘルトルネード!」
 スパイダー、腕を振って竜巻を発生させてなのはにぶつける。

なのは「きゃあぁぁぁっ!」
 なのは、弾かれて地面にひれ伏す。その時の衝撃でなのはの両腕は肩からポッキリ折れる。

スパイダー「カーッカッカッカッ、どうした? もうおしまいか? つまらんな。もう少し楽しめると思ったが」
なのは「返して…」
 なのは、両腕が無い状態ながらもゆっくりと立ち上がる。

なのは「その両腕は両親からもらった大切なものなの…だから、返して!」

 ヴィータとサンドームの戦闘。ヴィータが鉄球をグラーフアイゼンで打ち出すもサンドームの体を通過するだけ。

ヴィータ「ちっ!」
サンドーム「グォッフォッフォッフォッフォッ、何度やっても無駄だ。俺は不死身だからな」
ヴィータ「うるせぇ!」
 ヴィータ、グラーフアイゼンをサンドームに振り下ろし粉々に砕く。しかし、サンドームの残骸は砂となって上空に巻き上げられていく。

ヴィータ「何度ぶっ叩いても堪えねえ」
サンドーム「言ったはずだ。俺は不死身だとな」
 上空の砂が一つにまとまり、下側の真ん中にアーチ状のへこみがついた長方形の箱型にサンドームの頭が上についた物体となりヴィータの上に落下。ヴィータ、回避しようとするも 足をサンドームの手に掴まれ仰向けに転倒、その上にサンドームの本体が落下。

ヴィータ「ぐあっ!」
サンドーム「グォッフォッフォッフォッフォッ、俺の体重は1トンだ。その重みでお前の骨は砕かれ死に至る…」
ヴィータ「ぐっ……」
 ヴィータ、苦悶しながらも手をグラーフアイゼンに伸ばす。なかなか取れない。そうしている間にもヴィータの体からミシミシっと音がする。そして、やっとアイゼンに手が届く。

ヴィータ「(アイゼンを両手に構えて)死ぬのは…てめぇだっ!」
 ヴィータ、グラーフアイゼンでサンドームを砕く。だが、またしてもサンドームは砂となって形を変えていく。今度は逆四角錐型の胴体に頭がついた形。最後に太陽と思しきマーク が張り付いて完成。この太陽マークはサンドームの胸部についているが、これだけは砂にはならない。そして、サンドームが体を変形させる時に必ず最後に張り付く。さっきと違って ヴィータのすぐ上にあるからヴィータはよける間もなく、腹部にサンドームの底の尖り部分が突き刺さる。

ヴィータ「がはっ」
 血を吐くヴィータ。その腹部から大量の血が流れる。

なのは「ヴィータちゃん!」
 なのは、ヴィータを助けに行こうにもスパイダーに阻まれる。

なのは「(ランスロットの方に向かって)ランスロットちゃん、お願い。ヴィータちゃんを助けて!」
ランスロット「……(ヴィータの方に顔を向けているが動く気配なし)」
なのは「ランスロットちゃん!」
スパイダー「無駄だ。そいつは動かん。いや、動けん」
なのは「どういうこと?」
スパイダー「さっき、そいつが見せた黒い炎は魔界の炎で他の世界で出すには相当なリスクを必要とする。我々、魔族でさえ魔界以外であの炎を出すのはどんなに無謀な奴でも躊躇する。ましてや、人間が出そうなんて無謀を通り越して命知らずだ。断言してやってもいい。いま、そいつは戦闘ができないくらいに疲弊してしまっている。他人を助ける余裕は無いだろうよ。まあ、人間が俺たち闇の六騎士と戦うにはそれくらいのリスクは必要だろうがな」
なのは「そんな…そんなのって……」
スパイダー「カーッカッカッカッ、貴様は両腕を失い、黒髪は戦闘不能、あの赤いのも死ぬのは時間の問題だ。もう勝負は決まったな」
ヴィータ「だ、誰が死ぬのが時間の問題だって…?」
 ヴィータ、自分の腹にささっているサンドームを両手でつかんで引き抜こうとする。

サンドーム「グォッフォッフォッフォッフォッ、無駄だ。そんなに出血していてはろくに力も残ってはいまい」
ヴィータ「へっ、ご心配どうも。けどな、ヴォルケンリッターの鉄槌の騎士ヴィータ様はこれしきの事で音を上げるほど弱くはねーんだよ!」
 ヴィータ、フラフラになりながらもサンドームをゆっくりと持ち上げて立ち上がる。そして、スープレックスの要領でサンドームを後ろに投げる。粉々になるサンドーム。しかし、 またも再生を始める。元の姿になっていくサンドーム。最後に太陽のマークが胸にはりつこうとする。それを指さしランスロットが叫ぶ。

ランスロット「それだ! そのマークを破壊するんだ! そのマークを破壊すれば奴は体を維持できないはずだ」
ヴィータ「よっしゃ!」
 ヴィータ、グラーフアイゼンで太陽のマークを破壊。同時にサンドームの体が崩れ始める。

サンドーム「ば、バカな…この不死身の俺が……」
ランスロット「……不死身の生命体なんて存在しない。もし、本当に不死身なら魔王の配下に甘んじているはずがない」
サンドーム「グ…グォッフォッフォ…俺は死ぬ…だが、悪魔はただでは死なん……」
 サンドーム、ヴィータの腕をつかむ。

ヴィータ「な、なにをしやがる!」
サンドーム「貴様も地獄に連れて行く…」
 サンドームの胸部が開いて体内に二本のローラーが回転。ヴィータ、必死に逃げようとするもサンドームの力には敵わない。そして、ローラーに巻き込まれる。

ヴィータ「うわあああああっ!!」
 バキバキとヴィータの骨が砕かれる音。

なのは「ヴィータちゃん!」
 全身をローラーに巻き込まれたヴィータ。同時にサンドームの体も崩れていく。そして、ヴィータが後方に排出された直後にサンドームの体は完全に崩壊。全身の骨を砕かれた ヴィータはピクリとも動かない。

なのは「ヴィータちゃん!」
 なのは、ヴィータに駆け寄ろうとするも両腕が無いためかバランスを崩して転倒。

スパイダー「カーカカカ、どうやら勝負あったようだな。人間が暗黒騎士をここまで追い詰めるとはよくやったがそれもここまでだ。まずはお前の息の根を止めて、次にそこの 赤い奴にトドメをさして最後にあの黒髪だ」
 勝ち誇るスパイダー。それを見ているランスロットとアルフレッド。

アルフレッド「状況はかなり厳しいな」
ランスロット「…これが彼らの狙いだったんでしょう。私達はほとんど戦闘力を残していません」
アルフレッド「ここはいったん退くか」
ランスロット「しかし、それは戦闘が始まったらどちらかが倒れるまで戦うというルールに反します」
アルフレッド「向こうだって“戦闘は常に一対一”というルールを破ったのだ。お互い様だ」
ランスロット「でも、あの暗黒騎士がそう簡単に見逃すとは……」
アルフレッド「私が奴の動きを封じる。その間に逃げるぞ」
 アルフレッドのセリフにランスロットが顔色変える。

ランスロット「待ってください。暗黒騎士を足止めするにはかなりの魔力を消耗します。そんな事したら…」
アルフレッド「私の事は構うな。ここは生きのびる事を考えるんだ」
ランスロット「……わかりました(一歩下がる)」
 アルフレッド、魔法陣を展開。スパイダーの下にも魔法陣発生し、そこから魔力で作られた鎖が何本も出てきて幾重にもスパイダーを拘束。

アルフレッド「いまだ。あの娘たちも一緒にここから離脱する!」
ランスロット「はい!」
 シーン切替。

 7月23日PM9:12
 離脱に成功したランスロットたち。余裕が無かったため移送先の場所を指定できず。

ランスロット「(お姫様抱っこしていたヴィータを地面に寝かせて)ここはどこなんでしょう…」
アルフレッド「さあな」
ランスロット「早くどこかの病院に連れて行かないと……」
アルフレッド「わかっている。回復魔法をかけておいたからしばらくはもつだろうが、かなり危険な状態であることには違い無い」
ランスロット「(心配そうにヴィータを見るなのはに)すまない…君たちを巻き込んでしまった……」
なのは「ううん、ランスロットちゃんたちのせいじゃないよ」
ランスロット「……ありがとう。でも、私達にはもう関わり合わない方がいい。私達の邪魔をしなければ決して君たちの害にはならないと約束しよう」
なのは「待って、お話だけでも聞かせて」
ランスロット「…私達には関わるなと言った。これ以上関与すれば次は命をなくすかもしれない」
なのは「でも……(言いかけたところでエイミィから通信)」
エイミィ『なのはちゃん、大丈夫!?』
なのは「あ、はいエイミィさん、私は大丈夫です。でも、ヴィータちゃんが大変なんです!すぐに来てください!」
エイミィ『ヴィータ? え? ボロボロじゃない!? なのはちゃんも腕どうしたの!?』
なのは「あ、これは…」
エイミィ『例の二人組にやられたの!?』
なのは「違います。ランスロットちゃんたちは私達を助けてくれました」
エイミィ『そう? で、その二人組はどこにいるの?』
なのは「え? あれ? さっきまでここにいたのに…」
 なのは、周囲をキョロキョロするも、いつのまにかランスロットとアルフレッドは姿を消していた。

エイミィ『とにかく、救援をすぐに向かわせるからそこを動かないで』
なのは「はい」
 シーン切替。


 7月24日AM10:17 時空管理局本局医務室
 ベッドに寝かされているなのは。周囲にリンディとクロノ、エイミィ。

クロノ「ヴィータは一命は取り留めた。しかし、全身の骨が砕かれてしまっているからな。シャマルの治療でも動けるようになるまで少しかかるようだ」
リンディ「フェイトさんに続いてなのはさんやヴィータさんまで…。シグナムさんもデバイスを破壊されて戦闘はしばらく無理だし…。戦力が一気に激減するなんて想定外ね」
 はあっと溜息を吐くリンディ。

エイミィ「でも、まだはやてちゃんやシャマルにザフィーラにアルフもいますし、シグナムも一両日中にはレヴァンティンの修理が完了しますから戦線に復帰できますし、それに (チラッとクロノを見る)、クロノくんがいますから大丈夫ですよ。(クロノにウィンクして)ね、クロノくん♪」
クロノ「(わざとらしく咳をして)しかし、一番の問題はなのはの両腕をどう奪い返すかだ」
なのは「奪い返す?」
エイミィ「クロノくん、そんなことができるの?」
クロノ「ああ、ユーノに調べてもらったんだが、おそらく“禁呪法”を使ったんだと思う」
なのは「禁呪法?」
リンディ「禁呪法というのは、まあフェアじゃないから使うのを禁じられた魔法ってことね」
クロノ「禁呪法は術者を倒すと効果も消える。つまり、なのはの両腕を奪ったその暗黒騎士とやらを倒せばなのはの両腕も取り返せるって事だ」
エイミィ「良かったね、なのはちゃん」
なのは「はい! 良かったぁ、さすがに腕は二本とも無いと不便で…」
クロノ「君の両腕は僕らで必ず奪い返す。だから、それまではゆっくり静養してくれ」
なのは「ごめんね、肝心な時に……」
クロノ「ちゃんと君の出番は取っておくから気にするな」
なのは「うん!」
 シーン切替。


 同日PM1:15 トリノ・フィアット宅
 ようやく起床するトリノ。リビングへ。

トリノ「すみません、寝すぎてしま……」
 トリノ、蹲っているアルフレッドを発見して絶句、あわてて駆け寄る。

トリノ「(アルフレッドを揺さぶって)ど、どうしたんですか!?」
アルフレッド「(目を弱々しく開けて)す、すまん…私はここまでのようだ……」
トリノ「ま、待ってください。急にそんな事……」
 急な事態にトリノあたふたする。

トリノ「どうして急にこんな事に…あっ」
 回想シーン挿入。アルフレッドがスパイダーを拘束する場面。

トリノ「あれで大量に魔力を消耗したから呪いに対する耐性も低くなって……」
アルフレッド「すまん…最後までお前についていてやりたかったが…許せ」
トリノ「な、何を言ってるんですか。最後の一人を倒せば…。それまでの辛抱です」
アルフレッド「できれば私もそれまで耐え抜きたいのだが……」
トリノ「そんな…これから先僕一人でどうしたらいいんです?」
アルフレッド「お前が手に入れしアニカの使い手はその暗殺魔法ゆえの宿命にて孤独を強いられるという…。これも、その宿命が与えし試練なのだろう。よいか、たとえ一人に なっても我ら一族の悲願だけは忘れるな。よいな?お前の手で我ら一族の呪いを解いてくれ。お前が…最後の……」
トリノ「父さん? しっかりしてください!」
 トリノ、アルフレッドを強く揺さぶる。アルフレッド、口をヒクヒクさせるが声にならない。トリノ、アルフレッドの口元に耳を持っていく。

アルフレッド「(かすれる声で)…お前が…私達の…さ、最後…の希…望…だ……」
 アルフレッド、ガクッとなる。

トリノ「父さん? 父さーんっ!」
 トリノ、さらにアルフレッドの体を激しく揺さぶるも反応なし。やがて、アルフレッドはスクッと立ち上がりトリノに向かって「ワン」と鳴く。トリノ、全身を震わせて、 そして号泣。

トリノ「僕ひとりでこれからどうすればいいんですか? 僕ひとり残ったって……」
 膝を抱え蹲るトリノ。その周りで犬、ウサギ、猫、黒豚が走り回る。しばらくして、「ふふふ」と女の笑い声。トリノ、バッと周りを探すが人の気配はない。「ふふふふふ」 とさらに笑い声。

トリノ「誰? どこにいるの?」
謎の声「ふふふっ私はここよ」
 トリノの眼前で女性がスーッと姿を現す。

トリノ「あなたは?」
謎の女性「初めまして…はおかしいわね。あなたとは初めてじゃないから」
トリノ「???」
謎の女性「私の声に聞き覚えない? つい最近の事なんだけど…」
トリノ「声?(考え込む)あ! 夢の……」
謎の女性「そう。思い出してくれた?」
トリノ「でも、夢の中の人がなんで現実に?」
謎の女性「それは私があなたの夢に失礼させてもらったからよ。それより、あなたとうとう一人になってしまったわね」
トリノ「……」
謎の女性「そんな顔をしないで。かわいいのが台無しよ。お姉さんはかわいい坊やは嫌いじゃないわよ」
トリノ「(ムッとなって)何の用です?」
謎の女性「用って事はないけど…強いて言えば忠告かな?」
トリノ「忠告?」
謎の女性「そう、忠告。無駄な足掻きは止めて大人しく運命を受け入れなさい。言ったでしょ。大魔導師ゴルラーミの呪いはあなたの一族を破滅させるまで終わらないって。呪い を解くためにあなたの一族は100年に渡って血のにじむような努力をしてきた。でも、誰一人として呪いを解くどころかその手がかりすらつかめなかった」
トリノ「そんなことはない。ようやく僕らは見つけた。呪いを解く唯一の方法を。その方法を見つけられたのは先人たちの研究があったからだ」
謎の女性「果たしてそううまくいくかしらね?」
トリノ「そんなのあなたに関係ないでしょ。だいたい、あなたは誰なんです?」
謎の女性「私? ふふふっ私が誰かって聞かなくても薄々気づいているんじゃないの?」
トリノ「……」
謎の女性「言ったでしょ? 私はあなた、あなたは私…そう、私が本当の……」
 画面が暗くなる。
謎の女性「ランスロット・ハプティズムよ」



 EDへ。



 次回予告
なのは(N)「金と銀の仮面をめぐってランスロットちゃんと暗黒騎士の最後の戦いが始まります」
フェイト(N)「果たして勝つのはどちらか。そして、明かされる二つの仮面の秘密とは…」
なのは(N)「ランスロットちゃん、がんばって! え? ランスロットちゃんの様子がおかしい?」
フェイト(N)「なのは見て、彼女の体に赤い染みみたいなのがある」
なのは(N)「次回魔法少女リリカルなのはT's第5話『卑劣なり、暗黒魔術なの!』に全力全開!」
フェイト(N)「がんばります」






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