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なのは(N)「アースラ内での戦闘。圧倒的な力で迫る謎の魔法少女。彼女の目的と正体は? 魔法少女リリカルなのはT's始まります」

OPへ。







魔法少女リリカルなのはT's第3話
『古(いにしえ)の魔法使いなの』


作:大原野山城守武里




 7月23日AM0:15 アースラ艦内
 アースラ艦内の通路でランスロットと空間モニターのリンディ提督が対峙。

リンディ「この艦を沈めるですって? そんなことができると本気で考えているの?」
ランスロット「信じるも信じないもそちらの自由です。ただ、事実は変わらない。あなた方が選択できる未来は二つ、銀のマスクをこちらに返還して私たちをこのまま帰すか、艦と 運命を共にするか」
リンディ「選択肢はもう一つあるんじゃなくて? あなたたちを捕縛して騒ぎを収拾させるって選択肢が」
ランスロット「面白い冗談ですね」
リンディ「冗談を口にしたつもりはないけど?」
ランスロット「でしょうね。しかし、実現できなければ冗談と一緒です」
リンディ「なら、実現させてもらいましょうかね。この子たちに」
 なのはとフェイトが駆けつける。二人ともすでに変身している。

なのは「(デバイスをランスロットに向けて)ランスロットちゃん、どうしてこんなことするの?」
ランスロット「……邪魔をするな」
フェイト「(同じくデバイスをランスロットに向けて)そうはいかないよ。艦内での破壊行為、局員への傷害、逮捕拘束には十分すぎる罪状だ」
ランスロット「……二度も同じことは言わん。あくまで邪魔する気ならたとえ女の子相手でも容赦はしない。私は目的のためならいかなる障害も破壊すると決めた」
なのは「あなたの目的は何!? 誰かを傷つけてまで実現しなきゃいけないものなの!?」
ランスロット「……何とでも言え。“世界を破滅させる者”“悪魔の化身”“禁じられた魔法”……忌々しき存在“アニカ”この力を得た時から優しさと情けは捨てた」
フェイト「間違ってる。そんなの間違っている。そんなで目的を達成したってそれで君は満足できるの?」
ランスロット「……血塗られた道だ。今更、免罪は請わない!」
 ランスロット、指先に魔力を集中。

ランスロット「シューティングレイ!」
 指先から魔力波発射。なのはとフェイト、それを回避。フェイト、ランスロットに突進。

フェイト「ハアァァァァァッ!」
 フェイト、バルディッシュをランスロットに振り下ろす。ランスロット、それを回避。フェイト、なおも攻撃を続行。ランスロット、回避を続ける。二人を心配そうに眺めるなのは。 ランスロットは回避を続けるも反撃する意図は見られない。壁に追いつめられる。そこへフェイトの一撃がランスロットを捉える。だが、そのランスロットは残像。直後、フェイトの 背後に本物のランスロット。右手に集中させた魔力の刃でフェイトの体を突き刺す。

フェイト「(目を見開いて)あ……」
 ガクガクブルブルと全身を震わせるフェイト。ランスロットが魔力刃を抜くと両膝をついて俯せに倒れる。倒れているフェイトから血が流れる。

ランスロット「(ボソッと)……ごめん」
なのは「(血相を変えて)フェイトちゃん!!?」
 なのは、フェイトの元に駆け寄ろうとするもランスロットに顔を捕まれる。

ランスロット「(ボソッと)君もごめん……」
なのは「えっ?」
 ランスロット、もう片方の手でなのはの右腕を掴み、足払いをかけてなのはのバランスを崩して彼女の後頭部を思いっきり床に叩きつける。なのは、気絶。

ランスロット「(リンディの方を向き)なのは嬢は心配いりません。気絶しているだけです。しかし、フェイト嬢は危険です。急所は外しましたが出血が続けば命も危ういでしょう。 早めの治療をお勧めします。ただし、銀の仮面を渡していただけないうちにはそれは不可能ですが」
リンディ「(隣のエイミィに)クロノはまだ?」
エイミィ「はい、犬に阻まれて先に進めないみたいです。どうしましょう艦長、このままではフェイトちゃんが……」
リンディ「(考え込む)仕方ないわね。あなた方の要求を呑みます」
ランスロット「感謝します」
 シーン切り替え。


 転送ポートに向かうランスロットとアルフレッド。

ランスロット「うまくいきましたね」
アルフレッド「だが、これからは管理局も絡んでくるだろう。いままでどおりにはいかぬだろうな」
ランスロット「そうですね。ここから脱出するのもすんなりとはいかないようです」
アルフレッド「ん?」
ランスロット「(前を指さして)アレを」
 指差した先にシグナム。その顔の近くに空間モニター。モニターにはクロノ。

クロノ「というわけだ。悪いが頼む」
シグナム「わかりました。お任せください」
クロノ「すまない。気を付けてくれ。相手はかなりの強敵だ」
 モニター消える。その間に、ランスロットとアルフレッドがシグナムに近づいていた。

シグナム「私は時空管理局武装隊・特別捜査官補佐シグナム」
ランスロット「……ランスロット・ハプティズム」
アルフレッド「アルフレッド・ワイズマンだ」
シグナム「悪いがここから先は通すことはできん」
ランスロット「……怪我しますよ?」
シグナム「望むところ」
 シグナム、レヴァンティンを水平に構える。

シグナム「レヴァンティン!」
レヴァンティン「Jawohl」
 シグナム変身。

ランスロット「……ベルカか。珍しいな」
アルフレッド「まずいな。かなりの手練れと見た」
ランスロット「……問題ありません」
アルフレッド「戦闘は避けたいところだがな。これ以上の連戦は…」
ランスロット「(アルフレッドを無視する形で)できればこれ以上の無益な戦いは避けたいのですが。たとえベルカの騎士でも一対一ではアニカの敵ではない」
シグナム「なら試してみるか?」
ランスロット「……仕方ありませんね」
 シグナムとランスロット、対峙。数秒後、シグナムが仕掛ける。レヴァンティンをランスロットに振り下ろす。ランスロット、右手に魔力を集中させてレヴァンティンを受け止める。

シグナム「なにっ!?」
 ランスロット、レヴァンティンを掴んでる右手に力を込める。レヴァンティンの刀身にヒビ発生。シグナム、レヴァンティンを抜こうとするもランスロットが掴んで離さない。

ランスロット「はぁぁぁぁぁっ!」
 ランスロット、右手にさらに力を込める。レヴァンティンのひび割れさらに拡大。次の瞬間、レヴァンティンの刀身が真っ二つにへし折られる。

シグナム「なっ……!?」
 直後、バインドがシグナムを拘束。

アルフレッド「いまだ、行くぞ」
ランスロット「はい」
 アルフレッドとランスロット、シグナムの傍を通り抜けて転送ポートに向かいそこからアースラを脱出。シーン切り替え。


シグナム「申し訳ありません。お役に立てなくて」
クロノ「いや、こっちも急に協力を要請してすまない。レヴァンティンにも悪いことをした(視線をテーブルの上のレヴァンティンに)」
シグナム「いえ……」
エイミィ「それにしてもレヴァンティンをここまで破壊するなんて…しかも素手でなんて……」
リンディ「そうね…なのはさんとフェイトさんを一瞬で倒したほどだし、これは非常に厄介なことになりそうね。フェイトさんの容体はどう?」
エイミィ「命に別状はないようです。急所を外されていたのが幸いしました」
リンディ「一体何者かしらね、彼女たち…。アニカと言ったのよね?」
シグナム「はい、確かにそう言いました」
クロノ「それでユーノに調べてもらっています。そろそろ、報告があると思いますが……」
 直後、空間モニターにユーノ出現。背景は無限書庫。

クロノ「グッドタイミングだユーノ。何かわかったのか?」
ユーノ「ああ、アニカは魔法体系の一つなんだけど、世間にはほとんど知られていないみたいなんだ」
エイミィ「そうよね、艦長やクロノくんも知らないくらいだし」
ユーノ「アニカに関する記述があるのは3つ」
クロノ「3つ? 少ないな」
ユーノ「一番古い記述は始祖のライカ・チカ・マイカに関してだ。いまから5000年前、ライカは一つの魔法体系を創始した。彼女の住んでいたところからアニカと名付けられた んだけど、その破壊力は無限であまりにも残忍獰猛な殺人魔法ゆえに時の皇帝から禁じ手とされ伝える者はいないとされていたんだ」
クロノ「だが、絶えてはいなかったんだな」
ユーノ「そうなんだ。その後もアニカはひっそりと伝えられていたみたいで、次にアニカが登場するのは古代ベルカ。その時、古代ベルカ王朝は一時的に滅びたとある。最後にいま から30年ぐらいまえに700人を殺して『悪魔の化身』と恐れられた男もアニカを名乗っていたらしい」
エイミィ「なんとまあ何て言っていいのやら」
クロノ「他に何かないか?」
ユーノ「いまのところはこれだけだ。もう少し探してみるけど」
クロノ「頼む」





 同日AM:10:10 トリノの家
 リビングにアルフレッド。テレビを見ている。リビングを白いウサギ、黒い子豚、猫が徘徊。ややしてトリノが入ってくる。右手に包帯ぐるぐる。

トリノ「(見るからに睡眠不足)おはようございます……」
アルフレッド「まだ寝ていた方がいいのではないか? ろくに寝てはおるまい(視線をトリノの右手に)」
トリノ「大丈夫ですよ(左手だけで冷蔵庫を開けて牛乳を出してコップに注いで飲む)」
アルフレッド「大丈夫ではあるまい。その右手は使い物にならないのではないか? いくらなんでもあれはやりすぎだ」
トリノ「終わったことですよ」
 トリノ、ウサギと子豚と猫にエサをやるも、左手だけなのでやりづらい。エサを夢中で食べる3匹を微笑ましく見るもどこか寂しげなトリノ。3匹がエサを食べ終わるとトリノは エサ箱を洗って片付けてリビングのソファに座る。

アルフレッド「すまんな」
トリノ「謝ることじゃないでしょ」
アルフレッド「いや、お前には本当にすまないと思っている。私までもこんなことになってしまってお前にばかり負担をかけてしまっている」
トリノ「謝ることじゃないって言ったでしょ。暗黒騎士もあと3人。もう少しで終わります」
アルフレッド「第一段階が、な」





 同日PM2:40 時空管理局医務室
 ベッドに寝ているフェイト。傍にリンディ。コンコンとノックしてなのはとヴィータ入室。ヴィータは果物の入ったバスケット持参。

なのは「フェイトちゃんの容体どうですか?」
リンディ「たいしたことはないそうよ。なのはさんの方こそ大丈夫なの?」
なのは「はい、私はもう平気です」
リンディ「そう、それはよかったわ。シグナムさんの方はどう?」
ヴィータ「レヴァンティンの修理はしばらく時間がかかるみてえです。その間は待機するしかないから体がなまってしょうがないってぼやいていました」
なのは「シグナムさんらしいね」
ヴィータ「他人事じゃねーぞ。レヴァンティンが直ったらご主人様も復帰だからまず最初に模擬戦をやりたがるだろうけど、テスタロッサがこんなんだからな。なのはが相手させ られるのは確実だ」
なのは「えぇーっ!?」
フェイト「(目を覚まして)大丈夫だよ、なのは。その時には私も復帰しているから」
なのは「フェイトちゃん? 具合はどう?」
フェイト「もう大丈夫だよ。心配かけてごめん」
ヴィータ「(バスケットを差し出して)これ、はやてから。仕事が忙しくて見舞いに行けなくてごめんって言ってた」
フェイト「ありがとう。気にしないでって言っておいて」
なのは「リンディ提督、フェイトちゃんはいつ退院できるんですか?」
リンディ「そうね、お医者さんの話では数日後には退院できるみたい」
なのは「そうですか……」
リンディ「それで、例のあの娘たちのことなんだけど……」
なのは「ランスロットちゃんたちのことですね」
リンディ「さっき辞令が来て私たちが彼女たちの捜索にあたることになったわ。局員への傷害、艦船への破壊行為、しょうがないわね」
なのは「そうですか……」
リンディ「なのはさんは彼女のことどう思う?」
なのは「どうって…そんなに悪い娘じゃないと思います」
ヴィータ「テスタロッサにこんな怪我させたんだぞ」
なのは「うん…でもあの娘私を倒すとき“ごめん”って…本当に悪い娘ならそんなこと言わないと思う」
フェイト「私の時もそうだった」
なのは「何か理由があると思うんです。それを聞く事ができたら……。リンディ提督、私も捜索メンバーに加えてもらえませんか?」
リンディ「それはこちらとしてもありがたいけど、アースラの修理もあってすぐには動けない状態なのよ。なのはさん一人に捜索させるわけにはいかないし」
ヴィータ「それは大丈夫です。はやてからしばらくこっちを手伝うように言われてますから」
リンディ「そう? ならお願いするわね。いままでの話を聞いてわかってると思うけど、一筋縄ではいかない相手だから気を付けてね」
ヴィータ「はい、です」



CM。

 同日PM8:00 ハラオウン宅
 臨時指揮所にエイミィとなのはとヴィータ。

エイミィ「海鳴市を重点に他の世界でも捜索の範囲を広げているけど、すぐに見つかるかどうか。せめて彼女たちの目的がなにかわからないとね」
なのは「あの銀の仮面と何か関係あるんじゃ…」
エイミィ「うーん、そのことなんだけど、実は銀の仮面と一緒に金の仮面も奪われているらしいんだよ」
なのは「金の仮面もあるんですか? じゃ、それもランスロットちゃんたちが?」
エイミィ「昨日、調べた時は無かったんだけどね。そうだ、あれから金と銀の仮面について調べたら気になることが出てきたんだ」
ヴィータ「気になること?」
エイミィ「博物館の人に聞いたんだけど、二つの仮面は絶対に離れ離れにしてはいけないって、逆にくっつけても駄目みたい。なんでかはわからないって言ってたけど」
ヴィータ「なんじゃそりゃ」
エイミィ「とにかくわからないことだらけなのよ。例の二人組…正確には一人と一匹だけどが金と銀の仮面で何かをしようとしているぐらいね、わかっているのは」
なのは「そうですか……」
エイミィ「ところで、わからないついでなんだけど。あのアルフレッドっていう犬なんなのかな?」
なのは「なんなのって?」
エイミィ「最初は使い魔かなって思ったんだけどランスロットって娘との関係が主人と使い魔って感じがしないんだよね。上下関係でいうとアルフレッドの方が上みたい」
なのは「確かにそんな感じでしたね」
エイミィ「ひょっとしてなのはちゃんとユーノくんみたいな関係かな? ユーノくんとはどう?」
なのは「どうって?」
エイミィ「うーん、まだなのはちゃんには早かったかな」
なのは「????」
 ここで通信が入る。よその世界でランスロットとアルフレッドを発見・包囲、援軍求む。

エイミィ「二人とも行ってくれる?」
なのは&ヴィータ「「はい!」」
 なのはとヴィータ、現地世界に転送。現地は昼。なぜか高高度の上空。

なのは「レイジングハート、お願い!」
レイジングハート「stand by ready」
 なのは変身。同じようにヴィータも変身。地上では武装局員がランスロットとアルフレッドを包囲。ランスロットは右手に包帯。

アルフレッド「ふむ、少し管理局を見くびっていたようだな。こうも簡単に発見されるとは」
ランスロット「……暗黒騎士が現れるまで時間がありません。排除します」
アルフレッド「あまりおまえに負担をかけたくはないが、致し方あるまい。私が全員にバインドかける。動けなくなったところを一掃しろ」
ランスロット「はい」
アルフレッド「いくぞ」
 アルフレッド、局員全員にバインドかける。

ランスロット「風殺飛影弾!」
 ランスロットの放った魔法弾で局員全滅。そこへ、なのはとヴィータ到着。

ランスロット「……何をしに来た?」
なのは「お話を聞かせてもらいたいだけなんだけど」
ランスロット「……話すことなどない」
ヴィータ「そっちにはなくてもこっちにはあるんだ」
ランスロット「……またベルカか。私たちには関わらない方が身のためだ」
ヴィータ「そうはいかねえな。うちの局員をこんな目に遭わせてただですむと思うなよ?」
なのは「ヴィータちゃん…その言い方ちょっと……」
ヴィータ「うるせえな。とにかくだ、一緒に来てもらうぞ。そこの犬っころもだ」
ランスロット「……断る。時間が無い。怪我をしたくなかったら帰れ。これ以上邪魔立ていたせば命は無い」
なのは「待って、お話を聞かせて。何か事情があったら力になれるかもしれないから」
ランスロット「管理局など頼りはしないと決めた。誰も頼ったりしない。私一人で呪われた血を浄化すると決めた。私が終わらせると決めた。呪いの連鎖を」
なのは「呪いの連鎖? きゃっ!?」
 なのはたちを突風が襲う。腕で頭をカバーして突風に耐えるなのはたち。風がおさまりなのはたちが顔を上げると上空に金の仮面が3つ浮いている。

ヴィータ「(仮面を指さして)ありゃなんだ!?」
アルフレッド「来たか……」
ランスロット「待ってください。様子がおかしい。いつも一人で現れるのに3人来てます」
アルフレッド「(上空の暗黒騎士に向かって)どういうことだ。1体ずつ現れるのではなかったのか?」
金の仮面「そのつもりだったが、余計な連中も混じっているようだからな。いずれそいつらも潰すつもりでいたからいまここでついでに潰してやる」
 それまで金の仮面しか出していなかった暗黒騎士がフードつきの黒装束という姿でスーッと全身を現す。仮面に覆われていない顔の部分は暗くてよく見えない。暗黒騎士が一斉に 仮面と黒装束を捨てて正体を現す。

暗黒騎士「「「勝負だ、魔導師ども!!」」」
 忍者魔人ザ・コウガマン、蜘蛛魔人スパイダー、砂の魔人サンドーム。

ヴィータ「なんなんだ? あいつら」
なのは「わからないけど、ランスロットちゃんたちと初めて会った時に似たようなのがいたから多分その仲間だと思う」
ヴィータ「敵…と見て間違いなさそうだな。あっちもそのつもりみたいだしよ」
 デバイスを構えて戦闘態勢をとるなのはとヴィータ。

アルフレッド「しびれをきらしたか。まあその方がこっちとしても都合がいい。あわよくばあと一体倒すだけですむかもしれんからな」
ランスロット「いえ、彼女たちには関係ありません。私ひとりで戦います」
アルフレッド「一人で三体を相手にするつもりか? いくらお前でも無謀すぎるぞ」
ランスロット「だからって無関係の人たちを巻き込んでいい理由にはなりません」
アルフレッド「わかった…お前の好きにするがいい」
ランスロット「(なのはとヴィータに)君たちはここから去った方がいい。あれは私の敵だ」
なのは「一人で戦うつもり? 無理だよそんなの」
ザ・コウガマン「おいおい、冗談言ってもらっちゃ困るぜ。てめえら全員ここで殺すって決めたんだからよ。一人残らず生かしては帰さねえぜ?」
 ザ・コウガマン、ランスロットの前に瞬間移動。彼女の襟をつかんで離れた場所まで引きずる。

なのは「ランスロットちゃん!」
スパイダー「カーッカッカッカ、お前らの相手はこっちだ。よそ見すんじゃねーぞ」
サンドーム「おい、あの赤いのアレ、ベルカだぜ」
スパイダー「らしいな。少しは楽しめそうだな」
サンドーム「そうか? いくらベルカの騎士でも一匹やそこらじゃ俺たちにとってはハエみてーなもんだろうよ」
ヴィータ「(カチンと来て)あんだと!? ハエみてーかどうか試してみやがれ!」
 ヴィータ、サンドームにグラーフアイゼンを振り下ろす。サンドームの体はまるで砂の城みたいにもろくも崩れ去る。あっけなさにきょとんとなるヴィータ。サンドームは哀れ砂の 山になった。

ヴィータ「なんだよ。口ほどにもねーじゃんか」
サンドーム「バカめ、暗黒騎士がこれしきでやられるものか」
 サンドームの砂が宙に舞い上がり一つに固まっていく。

ヴィータ「な、なんだ?」
 サンドームがコマの形となる。

サンドーム「グォフォッフォッフォッフォ、いくぞ、地獄のコマ回し!」
 サンドーム、体を高速回転させてヴィータに迫る。ヴィータ、弾かれる。

ヴィータ「うわああああっ!!」
なのは「ヴィータちゃん!(ヴィータに駆け寄ろうとする)」
スパイダー「(なのはに立ちはだかって)他人よりも自分の心配をしろ。ヘルトルネード!」
 スパイダー、6本の腕を振り回して2つの竜巻を発生させてなのはにぶつける。

なのは「きゃあああああっ!!」
 なのは、弾き飛ばされる。シーン切替。

 ランスロットVSザ・コウガマン。瞬間移動でランスロットを翻弄するザ・コウガマン。出てはすぐに消えの繰り返しで攻撃するタイミングを見計らっている。ランスロットは ザ・コウガマンが肉薄すると攻撃しようとするも瞬間移動でかわされてしまう。

ザ・コウガマン(心の声)「ちっ、なかなか隙をみせないな。さすがに暗黒騎士を3人倒しただけのことはあるな…そうだ、良い手を思い浮かんだぜ」
 ザ・コウガマン、瞬間移動をやめてランスロットと対峙。

ランスロット「……どうした? もう終わりか?」
ザ・コウガマン「そう慌てなさんな。これから面白い水芸をみせてやるから」
ランスロット「水芸?」
ザ・コウガマン「(人差し指を立てた右手を口までもってきて)忍法、霧隠れの術!」
 ザ・コウガマンの体から噴霧状の水が噴き出てあたりを霧で覆う。濃い霧でランスロットの視界からザ・コウガマンが消える。

ランスロット「消えた? いや見えなくなっただけか」
 ランスロット、辺りを見回す。ぼうっとザ・コウガマンの姿が見える。

ランスロット「そこか!」
 ランスロット、ザ・コウガマンに魔法弾を放つもすり抜ける。

ランスロット「えっ?」
 ザ・コウガマンが消え、別の場所に現れる。ランスロットはそこにも魔法弾を放つがまたもすり抜ける。

ランスロット「????」
 困惑するランスロット。後方から手裏剣。

ランスロット「!」
 ランスロット、それをかわして手裏剣が飛んできた方に顔をむけるも誰もいない。

ランスロット「そうか、空気中の水蒸気がレンズになって光を屈折させていたんだ」
ザ・コウガマン(声のみ)「よく気付いたな。だが、気づいたところで俺様の姿が見えなければ手も足も出まい。くらえ、忍法・衝撃集中爆弾!」
 霧中から物体がランスロットに飛んでくる。ランスロット、右手でシールドを展開。物体、シールドに着弾。直後、ものすごい衝撃がランスロットを襲う。

ランスロット「(苦痛に顔をゆがめる)ぐっ……」
 衝撃はおさまるもランスロットの右手に激痛。ランスロット、両膝を地について左手で右手をおさえて悶える。

ザ・コウガマン(声のみ)「たいそうな痛がりようではないか。包帯などしているからどんな怪我をしているかと思ったらかなりの重傷のようだな」
 シーン切替。

 霧の外。ザ・コウガマンの発言を聞いていたアルフレッド。

アルフレッド「包帯? やはりそうか……」
アルフレッド『ここはいったん撤退だ。その右手ではろくに戦えまい』
シーン切替

 霧の中。右手の痛みがおさまりかけているランスロット。

ランスロット『ここで撤退したらもう後はありません』
アルフレッド『このままではお前の命に関わるぞ』
ランスロット『……命を懸けるってあるでしょ? でもこれはそんな生易しい戦いじゃない。命を捨てる覚悟でないと暗黒騎士には勝てません』
 ランスロット、立ち上がり左手を上げて掌を天に向けて開く。その上にスフィア発生。

ランスロット「サークルレンジショット!」
 スフィアから四方八方に魔法弾乱射。無数に放たれる魔法弾の一発が何かをかすめる。

ランスロット「そこか!」
 ランスロット、その方向へ左手を突きだす。

ランスロット「ファブリックショット!」
 拡散の魔法弾を発射。何発かがザ・コウガマンに命中、ザ・コウガマンはふっ飛ばされる。同時に霧も晴れていく。

ランスロット「……どうした? もう水芸は終わりか?」
ザ・コウガマン「気には召さなかったようだな。しからばこれならどうだ!」
 ザ・コウガマン、右人差し指を立てて上に突き上げる。

ザ・コウガマン「忍法、水鳥羽林乱舞!」
 ザ・コウガマンから無数の鳥の羽根。ザ・コウガマンが人差し指をランスロットに向けると羽根は彼女の方に流れていく。ランスロットは身構えるも羽根には何の仕掛けもない。

ランスロット「……何をする気だ?」
ザ・コウガマン「お楽しみはこれからだぜ」
 ザ・コウガマン、近くの羽根に指先の摩擦で火を起こす。火は次々と羽根に引火してランスロットに迫る。

ランスロット「!」
ザ・コウガマン「忍法、羽林業火の術!」
 ランスロット、危険を察して逃走図るもあっという間に火に包まれる。

ザ・コウガマン「トドメだ。忍法、口から火の玉!」
 ザ・コウガマン、口から火の玉を吐く。ランスロットを覆う炎が一気に倍増。

ザ・コウガマン「ふはははははっ、どうだこれぞ忍法、焦熱地獄! 燃えろ燃えろ! 地獄の業火に骨まで灰にしてくれる!」
 ますます燃え盛る炎。その様子を空からスパイダーと空戦中の見ていたなのは。

なのは「ランスロットちゃん!」
スパイダー「(衝撃波を放ちながら)よそ見をしていると撃ち落とされてしまうぞ」
 なのは、ランスロットを助けに行こうとするもスパイダーに妨害される。ヴィータもサンドームに邪魔されて救援に向かえない。ランスロット、片膝を地に着く。

ザ・コウガマン「(勝ち誇って)どうやらそこまでのようだな。人間にしてはよくやったが所詮悪魔に抗い切れるものではなかったのだ。あの世で己の愚かさを悔いるがいい」
 その直後、ランスロットから黒い炎。普通の炎をかき消す。ランスロットは無傷。ザ・コウガマン、驚愕。

ザ・コウガマン「黒い炎だとっ!?」
ランスロット「……お前も悪魔なら知らぬはずはあるまい。黒い炎は地獄の業火。相手を燃やし尽くすまで決して消えることはない」
ザ・コウガマン「あわわわ…(恐怖に慄く)」
ランスロット「わかるか? お前のチンケな火遊びとは比べ物にならない炎を」
 ランスロット、左手をザ・コウガマンの方に突き出す。

ランスロット「ドラゴニックフレイム!」
 龍の形をした黒い炎がザ・コウガマンを襲う。逃げる間もなくザ・コウガマン蒸発。残ったのは影だけ。あまりにも凄惨な様に皆声を失う。

アルフレッド「(ランスロットに近づき)大丈夫か?」
ランスロット「……平気です」
アルフレッド「どちらにせよいまは休め。これ以上の戦闘は負担が大きすぎる」
ランスロット「(渋々)……はい」
 ザ・コウガマンの最期を上空で見ていたなのはとスパイダー。凄惨な光景に一時戦闘中断。

スパイダー「人間が黒い炎だとっ? そんなバカな。人間が黒い炎を呼び出せばその熱に耐えられずに燃え尽きるはずだ」
なのは「えっ?」
スパイダー「奴をこのままにしておけば我らの最大の脅威となる。今のうちにつぶしてやる!」
 スパイダー、ランスロットめがけて急降下。

スパイダー「カーカッカッカ、スパイダーフェイスチェンジ、Cold-blooded!」
 スパイダーの顔が変化。口から吹雪のような冷凍ガス噴射。ランスロットとアルフレッドの周囲が凍りつき足も凍って身動きできない。

スパイダー「死ねぇっ!」
なのは「危ない! アクセルシューター!」
 なのはの放ったアクセルシューターの魔法弾がスパイダーを襲う。スパイダーは懸命によけるもなのはの的確で高度なコントロールにとうとうよけきれずに一番上の左腕が 貫通されもがれる。

なのは「うそっ? ご、ごめんなさい!」
 まさか腕がもがれるとは思ってもいなかったなのは。動揺を隠せない。

スパイダー「この小娘がぁ!」
 なのはに急接近するスパイダー。なのはは動揺していて迎撃できない。代わりにレイジングハートが魔法弾を操作。スパイダーの一番上の右を貫通して切断。

なのは「駄目だよレイジングハート、いくらなんでも…えっ!?」
 急に腕に力が入らなくなる。なのはが目を向けると両腕が黒く変色。腕に力が入らないためレイジングハートを落としてしまう。

なのは「レイジングハート!」
 そこへスパイダーの衝撃波。なのはにヒット。なのは墜落。

アルフレッド「いかん!」
 アルフレッド、結界でなのはをキャッチ。

なのは「あ、ありがとうございます」
アルフレッド「礼ならいい。それよりその腕は……」
ランスロット「見てください!」
 ランスロットの指差した方に落とされたスパイダーの二本の腕。それがもぞもぞ動いて形が変化。金属質のらせん状の腕と細くて白い手袋の黒い腕。そこに着地するスパイダー。

スパイダー「カーカッカッカ、私は本来自分の腕を持たぬ魔人だ。だから他の奴から腕を頂戴して自分の腕としているのだ。見よ!」
 スパイダーの残り4本の腕も違う腕に。右真ん中の腕は黒、その下は緑、左側真ん中はごつごつした岩みたいな腕、その下は一見普通の人間の腕のように見える。

スパイダー「私はその小娘に腕二本をやられた。しかし」
 切断された腕の断面がもぞもぞ。
スパイダー「代わりにその小娘の腕をいただいた!」
 スパイダーに新しい腕がはえる。明らかに大きさがつりあわない子供の腕。おぞましい光景になのはが悲鳴をあげる。

なのは「きゃあああああっ!!?」



 EDへ。



 次回予告
アルフ(N)「フェイト、大変だよ。なのはのかわいいお手手が蜘蛛野郎に取られちゃったんだよ。でもそれより大変なのはあたしの出番がまったくないってことなんだけどね」
ザフィーラ(N)「そんなことぐらいでふてくされるな」
アルフ(N)「なに言ってんだい、あんただって本編じゃ多分出番ないよ」
ザフィーラ(N)「なっ!!?」
アルフ(N)「次回魔法少女リリカルなのはT's第4話『さらば父よなの』に全力全開!」
ザフィーラ(N)「……がんばります」



 名前の由来
ザ・コウガマン 忍者ということでそれに因んだ名前と思いまして思案の結果、80年代の漫画の主人公の初夢に出てきたコウガマンを思い出しましてコウガ=甲賀ということで ザ・コウガマンとしました。






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