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nice assist 序章
作:yuk


どこの世界にも主人公と言うものはいるものです。
魔王を倒す勇者?スポーツのチームのエース?憧れの先輩に告白する女の子でもその物語の主人公なのです。
そしてこの物語はそんな主人公の活躍の陰で動いているもう一つのお話なのです。

熱い応援が響き渡る。
今ここでは高校サッカーの全国大会が行われています。
いまはロスタイム。一対一の熱い戦いの真っ最中です。
「いけ!蹴!後は頼んだ!」
熱いセリフとともにボールを仲間にパスしてぶっ倒れる一人の選手
「明!解った!このボールには俺たちの血と汗と涙がつまってるんだ。絶対にゴールへ運んでやる!」
「蹴!シュートだ!」
「はぁぁぁぁぁ!」
ゴールに突き刺さるボール。響くホイッスル。この瞬間牧村高校は・・・はじめは部員たったの二人から始まった弱小チームだった・・・全国制覇を成し遂げた。
駆け寄ってくる美人マネージャー
「蹴ちゃん!やったのね!」
「あぁ!美晴。これで約束は果たせたな。」
「ありがとう!蹴ちゃん・・・実は私・・・あなたのことが・・・」
「その先は言わないで。そこは僕のせりふだ。美晴。ぼくはきみがすきだ。」
感極まって泣き出すマネージャー

今絶対、何これ?いきなりラストシーン?とか思っている人がいるでしょう。
しかしこの物語はここから始まるのです。
この物語の主人公は弱小サッカー部のエース 蹴・・・ではなくその蹴に最後のパスを出した日浦 明なのです。

さっきまでの感動のシーンを影から見ていた声がふたつ
「よかった〜この世界には現れなかったわね。」
「気を抜くな。まだこの世界は終わっていないぞ。」

その日の夕方蹴と明、美晴は夕暮れの道を歩いていた。
「今日はお疲れ様。蹴ちゃんほんとにかっこよかったわ」
「マジで、マジで。最後のシュートが決まったときの歓声なんか鼓膜破れそうだった。」
「そんなことないよ。ここまでこれたのははじめからぼくを支えてくれた明と美晴のおかげだよ。」
プーー!
そこに響くクラクション。三人が歩いているところにいきなりトラックが突っ込んできた。
明はとっさに二人を突き飛ばした。
「明!」
「明君!」

「・・・から・・・たん・・・ら・・・・」
話し声が聞こえる。俺どうしたんだろう。あんなトラックに轢かれたんだ多分死んだと思ったのに。
「おい!きいてんのか?」
「え?」
明が目を開けるとそこはなにもないただ黒いだけの空間が広がっていた
「いいか、もう一度言うぞ。お前の世界はさっき終わった。」
「あ〜やっぱ死んだんだな。俺。」
「ちがう!人の話を聞け!」
「春ちゃん。この子何も知らない世界人なのよ。はじめからゆっくり話してあげないと。」
横から声をかけてきたのは金色に光るちっちゃい妖精だ
「な?なに?っていうか誰?」
「私はラルカ。で、こっちのが・・」
「木杖 春風だ。」
「あんたらは・・・いったい何なんだ?」
「それを今から説明するのよ。」
「まずいっておく。この世にはたくさんの《世界》がある。そしてお前はその世界の中のひとつの世界の住人だった。」
「でもね、あなたの世界は終わってしまったのよ。」
「は?世界が終わるって一体・・・」
「そもそもだな、ひとつの世界には必ず一人ないし二、三人の主人公がいるんだ。」
「そしてその主人公は幸せになることがほぼ確定されててその主人公が幸せになった時点でその世界はひとまず終わって新しい世界が始まるのよ。」
「は?じゃあ俺は?俺の世界が終わったって言うなら消えるんじゃないのか?」
「それがだな、お前最後に蹴と美晴をかばっただろう?」
「あぁ。あの時は無我夢中で・・・」
「あの子達はあなたの世界の主人公だったのよ。」
「そして突っ込んできたトラックは主人公を抹殺して世界をバッドエンドにしようとしている集団《ブレイカー》の差し金だったんだ。」
「そうだった!あいつらは?どうなったんだ?世界が消えたってことはあいつらも・・」
「ああ、まあ消えたことには変わらないが・・・」
「なんで?あいつらやっと付合えるようになったって言うのに・・・」
「おちついて明君。あのこたちは消えたことには変わらないけどあの子達の世界はハッピーエンドだったのよ。」
「だからなんだ!消えたってことに変わりはないだろう。」
「少しは人の話を聞け。」
「ハッピーエンドを迎えた世界はまた新しい世界になって動き出すのよ。そこでその前の主人公だった子達は幸せに暮らすことができるのよ。」
「そうなのか・・」
「で、だな、何でお前がここにいるかというとだな・・」
「あなたはあのトラックに二人を突き飛ばしたせいでひかれてしまったのよ。」
「やっぱり、俺は死んだんだな・・・人生たった18年一人の彼女もできずに・・・」
「だから人の話を聞け!」
明を殴る春風
「それでな、主人公を捨て身で守るその根性をたたえて私らの上司がお前をガーディアンに迎え入れろって命令を出したんだ。」
「ガーディアン?」
「さまざまな世界をバッドエンドに持ち込もうとたくらんでる組織《ブレイカー》から世界を守る人たちの組織よ。」
「で、私らはあんたの世界担当だったわけ。」
「具体的にはどんなことをしてるんだ?」
「その世界のキャラクターに紛れ込んで主人公たちが幸せになれるようにブレイカーたちから守るのよ。」
「原則として主人公に正体を知れられてはならない。」
「寝ている間に靴を作ってくれる小人みたいなことをやるのよ。」
「現に私はお前らのチームの監督に取り憑いて試合に勝てるように特訓してたしな。」
「えぇぇぇ?あんたあのひげ親父なのか?」
「その世界の人の体を借りたほうがいろいろ行動しやすいんだ。」
「ただ、同じようにブレイカーたちもその世界の人になりきってこちらの邪魔をしてくるのよ。」
「お前の世界にはいなかったのだろうと思って油断した。まさかあそこでせめてくるとは・・・」
「で、あなたはガーディアンに入る?」
「・・・俺にできることがあるなら・・人を不幸にしようとしている奴がいるってんならぶったおしてやる!」
「やる気は十分のようですね。」
明は急に後ろから声をかけられた
「局長!」
「姫様!」
「あなたは・・?」
「はじめまして。私はバッドエンド対策局《ガーディアン》局長の四元真姫です。」
「あ、日浦 明です。」
「早速ですがあなたに依頼を受けてもらいます。」
「依頼?」
「はい。ある世界へ行って世界をハッピーエンドにしてください。」
「い・・いきなりですか?」
「さすがに一人では大変なので春風とラルカを手助けにつけます。いってくれますね。」
「局長のご命令とあらば。」
「がんばりましょうね、明君。」
こうして明の物語ははじまった。


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