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ご・お・る・ど!

作:yuk






さあ、おはなしをはじめよう。

うれしいうれしいおはなしさ。

いやいや、むかつくおはなしさ。

かなしいかなしいおはなしさ。

いやいや、たのしいおはなしさ。

遠い昔のおはなしさ。

いやいや、昨日のおはなしさ。

遠い未来のおはなしさ。

いやいや、明日のおはなしさ。

君も知ってるおはなしさ。

いやいや、知らないおはなしさ。

遠い国でのおはなしさ。

いやいや近所のおはなしさ。

さあさ、とにかくはじめよう。

踊れ道化師、笑え観客。






「みきちゃーん! おーい! 授業終わったよーっ!!」
「ミキじゃない!!」
「……え!? じゃ、あなた誰?」
「え? あ……ミキ、かな?」
「もう、何ぼけてるのよ、ミキ」
「あははははは……おはよ、和音。今何時?」
「もう放課後! まったく。なんでミキはそんなに寝れるの? それなのにあたしより頭いいし。……なんで?」
 まあ、二年前に一回やったことだし、勉強ができるのは当たり前なんだが……


 あ、まずは自己紹介。俺の名前は須藤美樹。ミキじゃないヨシキだ。昔からよく間違えられる。
 俺の通っている学校は金成学園。俺はその特進科三年だ。
 特進科というのは正式には特殊進化科。特殊能力を持った人間が集まるクラスだ。
 ああ、「特殊能力」というのは少し説明が必要だろう。
 昔……といってもいつのころからは知らんが、この国に普通の人間にはできないことをできる人間があらわれた。
 まぁ、国家秘密級なんで、ほかの国がどうなのかは知らないんだけど。
 この国の中でも知ってる奴等はごくわずかだし。
 その能力者は人間の最終進化系と考えられたらしく、最後まで進化した者……つまり、「ゴールド」とよばれるんだ。
 GOALを過去形にしてゴールドって、和製英語にもほどがあると思うのは俺だけじゃないはずだ。
 で、その能力者を集めたのがこの金成学園特殊進化科、略して特進科ってわけ。
 ま、秘密なんだけどね。表向きは「特別進学科」だ。ゴールドは総じて基本能力が高いからそれで通せる。
 そして、俺はその学校の最上級生。
 ん? まだなにか? 「二年前にやったってことは、留年か?」だって?
 いや、ちがう。俺の表向きの肩書きは今、金成学園普通科一年なんだ。
 何でそうなってるかって? それ説明は少し長くなる。だから回想してみよう。


 二年の三学期の終業式のあと、俺は学園長に呼び出され、学園長室に向かった。
 学園長室につくと、すでに何人か俺のクラスメイト達がいた。
「あ! 美樹! 呼び出されて来てなかったの君で最後だよ」
「ったく何やってんのよ、ミキ」
「ミキじゃねえ!」
 話しかけてきたのは俺の親友にして、一年のときからのルームメイト。この学園一番の秀才……いや、すでに天才であろう、氷川蔵人だ。
 もう一人は昔からの幼馴染、寮の部屋は隣同士の千鳥朱美。
「これは一体何の集まりだ?」
 俺は蔵人にたずねる。
「さあ? でも結構そうそうたる顔ぶれだよね」
「それもそうだな」
「ま、あたしがいるってことは説教じゃないってことは確かだから、安心しなさい」
 そこに呼び出されたのは、基本的に普通科の生徒よりも全般の能力に秀でている特殊科の中でも、成績がかなり上の連中だった。
 無論、俺もその中の一人ってこと。かなり優秀な部類に入る。
「学園長の呼び出しってことは、何かあるんだろうけどね」
「ああそうだな……おっ! 来たぞ」
 やってきたのはこの学園の学園長。かなり若いようなのだが、男か女かもわからない。
 なぜかって? なぜかいつも奇妙な仮面をかぶってるからだ。
 その後ろからは教頭がついてきている。こちらも若い、きつい感じの美人だ。
「やあやあ! 紳士淑女の諸君。いやいや少年少女かな? これから始まる、世界のために、君は一体、なにをする?」
 ここの学園長は本当に謎だ。
 まあ、人間からはみ出た俺達のようなものを統べるには、それぐらいでなきゃ駄目なのかもしれないが。
「君らは成績優秀者! 使える力、国宝級! 来年卒業おめでとう。 そのため準備が、必要だ。」
 歌うように言葉をつらねる。それもこの謎の学園長の特徴だ。しかし、何を言っているのかがいまいち伝わってこないのは問題だろう。
「そこで私は考えた。 君達のため考えた。 君等に課題を与えよう。 一年間でやってみよ!」
 今のはかろうじてわかった。何か課題を出すらしい。しかも一年間だから相当なものだ。
 学園長の話に続いて、教頭の説明が入る。
「あなた達には、これからの一年、能力操作の実習をしてもらうわ」
「実習ってどんなことですか?」
 蔵人がたずねた。俺もそれが気になる。ほかの奴等もきになるらしい。
 普通の能力実習なら、特進科であれば授業に組み込まれているからだ。
「あなた達は来年卒業でしょ? これからは、より実践的なことを学んでもらうわ。……じゃあ、一人ずつ課題を渡すわね」
 教頭は俺達一人一人に課題を渡していった。すでにもらった課題を見ている連中が、なにやら話し合っている。
「テロリスト50団体殲滅? 結構面倒だな……見つけるのが」
「あたしなんか一人で高層ビル建設よ。しかも世界一にしろですって」
「うわー! 環境汚染をとめろって漠然すぎるよ! ホントに一年でできるかどうかだよ!」
 なにかそれぞれ無茶な課題を受け取ったらしい。それでも不可能でないのがゴールドであるということなのだろう。
「蔵人、お前は何だった?」
「うん、ノーベル賞10こ……匿名でだって。朱美は?」
「一年間学校運営、ゴールドの秘匿を含めたのを一人でやれだって。ちょろいちょろい。ミキは?」
「今見てみる」
 俺は課題の紙を開いた。そして、そこに書かれていたのが、「一年生になれ」ということだった。
 しかも……
「うわー、結構きっついね。実習でやったことはあっても、長時間はないでしょ? しかも人間相手って」
「まあ、俺の能力から考えると妥当だと思う。ほかの奴等みたいにあっちこっち飛び回らなくてもいいし」
「かわいい後輩にやらしいことすんじゃないわよ!」
 そこに書かれていた課題は、「一年生の女子生徒として、一年間ばれずに生活しろ」というものだった。
 ああ、言い忘れていた。俺の能力は『変化』だ。体の一部を変化させ、有機無機を問わずさまざまなものに作り変える能力だ。
 中でも俺は該当者がめったにいない、『全身変化』を使うことができる。それが、おれが成績優秀な理由だったりする。
「う〜ん……そうだ! 僕がサポートしてあげるよ」
 蔵人の能力は『発明』。今の科学では無理なものを、あっさり作り上げてしまう。
「蔵人、お前の課題はどうするんだ?」
「だいじょぶだいじょぶ! 昔作ったもので間に合わせるよ。それに、サポートアイテムでも、かなりいいものができそうだし」
「でも……」
「もう! 二年も一緒に暮らしてきた仲じゃないか! それとも僕じゃ頼りにならない?」
「……わるい。恩に着る」
「いいよいいよ! 僕らの仲じゃない? 朱美もだよね」
「ったく。ま、あんたが失敗したらあたしも道連れだし。それとなく手伝ってやるわよ」
 朱美の能力は『情報操作』。人間の記憶すら操作できる。
 そのとき、ざわつきを抑えるように学園長が歌いだした。
「さあ諸君! 次の世界へ出発だ! 風に帆をはれ、碇を揚げろ! 世界を背負い、進み行け!」
「次の一年間、あなた達はさまざまなものに試されるでしょう。それを乗り越えて、立派なゴールドとして成長してください」
 教頭がそう締めくくり、その場は解散になった。


 ……というわけで、今の俺の姿は、どこからどう見ても小柄な女子高生だ。
 小さいのは趣味じゃない! 断じて趣味じゃない!
 蔵人と朱美にアドバイスを受けた結果、「小柄な方がばれにくい」と言われたからだ。
 朱美は『変化』した俺を見て、かなりはしゃいでいた。でも、蔵人が俺を冷めた目で見ていたのは気がつかなかった……と思うことにした。
 ……すいません。少し取り乱しました。
 そんなこんなで今の俺は、「普通科一年の女子生徒、佐藤ミキ」なのだ。


「おーい! どこまで飛んでってるの?」
「あ、ごめんごめん。ちょっと思い出でトリップしてた。ごめん」
 この姿で入学式から新入生に紛れ込み、そして出席番号が近かった彼女、紫村和音と友達になった。
 ここまではどうにか順調だ。
「あ! ミキが起きた!」
「……ちょっと聞いてよ! また特進科の連中が問題起こしたんだって!」
「ちょっと勉強できるからって、何であんなに学校の待遇いいんだろうね?」
「あは……あはははは……ホントにね」
 俺が目を覚ましたのに気づいて、仲のいい友達が集まってきた。ちなみに台詞は上から葵(あおい)、桃(もも)、緑(みどり)。
「生徒会長の千鳥先輩はあんなにかっこいいのにね」
「成績も優秀だしね。わたしもあんな感じにかっこよくなりたいな」
「学園一の天才、氷川先輩もかっこいいよね」
 ものすごい勢いでまくし立てる彼女達。俺だけじゃなく、和音も少し引き気味だ。
 それにしても朱美や蔵人ってそんなに人気あったのか。
 いたずら心を起こし、俺はみんなに尋ねてみる。「……じゃあ、須藤先輩は?」
 すると女の子達は首をかしげ、
「誰それ?」
「あ! それってあの須藤じゃない?」
「ああ! なぜか知らないけど問題の多い生徒に絶大な人気を誇ってるあの須藤?」
 思いがけない反応。……呼び捨てかよ。
「ミキ、そんな人すぐに忘れなさい!」
 和音まで……何で蔵人と朱美の評判はよくて、俺の評判だけ最悪なんだよ……
「そのひとって停学になって学校来てないんだって。特進科なのに」
 別に停学なんぞ食らった覚えはない。俺がここにいる時点で、三年の教室になんぞ行けるわけがないのだが。
「ねえねえ、そういえば神隠しの噂、知ってる?」
「あ! 知ってる知ってる! 一日だけだけど記憶がなくなるアレでしょ!」
「怖いよね。早く帰らなきゃね」
 まあ、対策としては確実だな。
「じゃ、そろそろ帰ろうよ、ミキ」
 和音が俺に声をかける。
「あ……うん、そだね」
 気がつけば空が暗くなり始めている。


「まだまだ日が落ちるの早いね」「うん……そうだね」
 俺と和音は二人で帰り道を歩いている。
「そうだ! ミキは神隠しのうわさ知ってた?」
「さっきのやつ?」
「そうだよ。最近女の子がいなくなることが多いんだって」
「え? 行方不明者って大事(おおごと)じゃない?」
「いや、それがね、次の朝には帰ってくるんだって。しかもどこに行ってたかって訊いても、その夜の記憶がまったくないんだって」
「へ〜」
「ミキも気をつけなきゃ駄目だよ。とろいんだから」
「とろいって何よ? ……じゃ、あたしこっちだから」
 俺はそう言って、和音と別れようとした。
「そういえばミキ、なんで虹色寮にいるの? うちの寮まだ空いてるっぽいから、移れるように頼んであげようか?」
 この学園は全寮制だけど、生徒数がものすごいので学園寮が町のあちこちにある。
 女子寮が三つ、男子寮が三つ、そして男女混在の虹色寮の、合計七つ。和音は女子寮、俺は虹色寮に住んでいる。
 同じ学校の学生寮でも、場所は結構離れているのだ。
「いや、先輩たちに結構よくしてもらってるから大丈夫だよ」
 俺は和音の問いにそう答える。さすがに女子寮は、ちょっと抵抗あるし。
「そういえば生徒会長の千鳥先輩も同じ寮だよね」
「ああ、あけ……じゃなくて千鳥先輩ね。うん。そうだよ」
 同じどころか、お隣さんな上に勝手に部屋にまで侵入してくる仲ですよ。マジでやめてほしい。
「千鳥先輩ってほんときれいだしかっこいいよね」
 ったく。朱美のやつ、外面はいいんだよな。男前なのは認めるけど。ほめてないぞ。
「あれ? なんか言った?」
「い……いや、なんでもないよ」
 危ない。口に出してたか。
「っと、和音。そろそろ帰らないと危ない人たちが大挙して現れるよ!」
 空はすでに真っ暗。日が長くなるのはこれからだ。
「危ない人たちって何よ? しかも大挙って……」
 そのとき、学園の制服をきた男達が二、三人、声をかけてきた。
「ねえねえ、君ら一年生?」「かわいいね〜」
「……そうですけど何か?」
 できるだけ冷たい口調で答える俺。
「俺ら二年なんだけどさ〜ちょっと遊ばない?」
 その雰囲気が伝わらないのか、ひるまない野郎ども。
「ちょっと、ミキ、行こう。こいつら特進科だよ」
 特進科? ああ、そういえば見たことある顔が……
「う、うあ。ちょっと! そっちじゃないって!」
 和音に予想以上に強い力で引っ張られ、有無を言わさず連れて行かれる。
「ちょっと、特進科だから無視ってひどくない?」
「え? いつの間に?」
 一人が先回りしてきた。特進科ってことはゴールド……能力者なのだろう。
 ……とか何とか考えているうちに、和音が捕まってしまった。
「ちょっと! 離してよ!」
「まあまあ、落ち着きなってば」
 そう言いながら、追いついてきたもう一人が和音に手をかざす。
「うっ!」
 瞬間、和音は気を失ってぐったりとなった。
「なに? 今のは? 和音はどうなったの?」
 何があったのかは想像つくが、俺は驚いた顔を作った。
「ああ、君は普通科だから知らないんだね。僕らは……」
 そいつらはゴールドの話を長々と聞かせてくれた。……まったく、「釈迦に説法」とはこのことだな。
 というより、今の俺は(一応)一般人だぞ? そう簡単にゴールドの秘密を話していいはずがない。こいつらはさらに自分達がやってきたこと……つまりゴールドの能力を使った神隠しごっこのことを、自慢げに話しだした。
 ……少しお仕置きしてやらなければならないな。
「つまり、僕らは……」
「タダのアホだな」
「は?」
「タダのアホだろ。秘密だってことをべらべらしゃべる上に、その相手が誰かも解ってない」
「何を言っている? 強がりか? そんなもの俺の……」
「そっちの能力は肉体強化系だな。足のみの『変化』か」
「な!?」
「んでもってそっちは……『催眠』かな? しかも短期で持続性がない。朱美の情報操作と比べると天と地の差だな」
「いや、そりゃ、会長と比べられてもあたりまえって……なぜそれを!?」
 本格的にアホだ。
「特進に居て俺の名前を知らない、と?」
「知るか! お前も寝かせてやる」
 襲いかかってくるアホども。俺は懐から隠し持っていた棒を出した。何の変哲もない小さなそれが、一瞬で木刀サイズまで大きくなる。
 ついでに自身の動体視力、筋力、神経伝達速度を強化する。『変身』の能力はそういうこともできるのだ。
「動きが甘い。お前ら成績悪いな」 
 あっさりリーダ格っぽいやつ以外を「沈めて」やった。
「何!? ゴールド能力!? 『変化』だとぉ!?」
「今頃気づいたのか? 相手を見た瞬間にそれぐらい判断できないと、生きていけないぞ?」
 さっき俺がこいつらに気がつかなかったことは、棚上げにする。
「そんな? 自分以外のものの『変化』なんて! あの須藤先輩でもできないんじゃないのか?」
「そうだな、俺でも無理だ。でもこれは、蔵人特製の俺専用武器だ」
「くっ、蔵人って、氷川先輩? っていうか『俺』って……」
 明らかに狼狽するアホ男。
「あ、やっと解ったのか」
 俺は笑いながら変身を解いてやった。アホ男の顔が蒼白になる。「すっ、すど……須藤せんぱ……」
「だからいっただろう? 相手を見た瞬間に何者か判断できないと生きていけないって」
「ぎゃあああああっ!!」
 残った一人も木刀の餌食にする。
ふう。まったく。朱美のやつに文句を言わねばなるまい。
「ん……? あれ? ミキ、どこ?」
 和音が目を覚ましたみたいだ。え……と、俺は今ミキじゃないから……
「大丈夫か? 君の友達なら先に帰したよ」
「え? あ、ありがとうござ……え?」
 顔が赤くなっている。しまった。ほれられたかな?
「た、助けてくれたのは、あ、ありがたいの、ですが……」
「ん?」
「そ、その趣味は……どうかと思います!」
 趣味? しゅみって? しばし考え……思い当たる。

 この制服・・・女子のじゃねえかっ!!

 元の俺は一般的な体格の男子生徒。この制服は小柄な「ミキ」のサイズだから、必然的にへそだしルック……
「いや、あの、これは……」
「きゃああああっ!! へんた……
 叫び声を上げた途中で、和音がまたぶっ倒れた。
「よ! 悪いね」
 和音を気絶させたのは朱美だった。「こいつらの掃除、あたしがやんなきゃ駄目だったんだけど暇がなくてね。ほら、新入生の歓迎会とかで」
「なるほど……けどそのおかげで、俺は変態扱いだぞ」
「……ぷっ! きゃはははは! もう駄目! 何その格好! 笑える〜!」
「笑うな! お前のせいだぞ!」
「悪かったって。この子の記憶は私が処理しとくから安心して」
「っていうか今までの神隠しの朝には前の晩の記憶がないって……」
「ああ、あれね、あのアホどもがべらべらとゴールドのこと話しまくるから、私が……」
「そんなことやってる間に、さっさと原因をつぶせよっ」
「いや、あんたならやってくれると思ってたよ」
「自分でやれ! 自分でっ!」
 そのとき俺が沈めた奴等がよろよろと起き出した。
「ま、とりあえず……あんたらは記憶を全部消して、赤ちゃんからやり直してもらおうかな?」
「せっ、……生徒会長ぉ!?」
 目が覚めた瞬間に朱美のこの言葉だ。相当怖いだろう。
「じゃあ、あたしは行くわ……ああ、その子の記憶も少しいじって、今のことは忘れさせておいたから安心して」
 そう言うと、朱美はアホどもを連れて立ち去った。俺は「ミキ」の姿に戻り、和音を抱き起こした。
「和音、大丈夫?」
「ん? あれ? あたしどうしたの? ……変態男は?」

 忘れてねえじゃねえかっ!!

「か……和音は貧血で倒れたんだよ! 変態男なんかいないよ!」
「いや、絶対アレは変態男よ。女子の制服着てたのよ! しかもぴちぴちのっ! いきなり出て来るんだもん!」
 そして助けられた記憶は完全に消してあるわけね……まったく理不尽な。
「き……きっと夢でも見たのよ」
「ううん! アレは夢なんかじゃないわ!」
 頼むからもうどうにかしてくれ……
 俺は和音を女子寮に送った後、自分の寮に戻った。


 次の日、神隠しの噂は、朱美の力できっちり処理されていた。
 その代わりに「ぴちぴち女子制服男の噂」が広まっていたのは、嫌がらせか?
 蔵人に頼んで『変化』に対応できる服を作ってもらわなければならないな……早急に。





舞台の上で道化は踊る。

踊る道化を観客笑う。

果たして一体どちらのほうが

道化であるかは解らない。

今日のおはなし、ここでフィナーレ。

ここから先はまた今度。

果たして次はどんなお話?

喜怒哀楽に過去未来。

遠く近くにいつもある。

そんなおはなし用意して

またの来場、お待ちします。






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