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「これから留学に行くことになるのだが自分の身の上がばれないよう気をつけること」

「「「分かりました」」」自信満々に10人ほどの少女達が一斉に答える。

「大丈夫だと思うが非常なときに自分でどうしようもなくなったならあれを使ってもいい

 今年から決まりも緩くなったからな。まぁむやみに使わないように。では、出発!!」







 いきなり魔法少女な日々

 作 神束













 京都市のある堤防に古賀直哉と言う少年が歩いている。

 少年の容姿は決してかっこいいというわけではないが、かっこわるいわけでもない。

 つまりは普通のどこにでもいる高校2年生である。

 少年は犬を連れているわけでもなく、走っているわけでもないので特に目的はないようだった。

 今はまだ朝の4時。そのせいかあまり人通りもない。

「あーこんな朝から何やってるんだろ。俺……」

 この少年が早朝から散歩して、時間をつぶす羽目になった原因は昨晩にあった。

 

 ―――――昨晩

「テストも明けたし、特にやることもないからさっさと寝るか」

 と言い、午後10時なのにもかかわらず寝たのだったが、1時間後急に起き出し携帯電話を操作し始めた。

 それは目覚ましを設定しているようだったが、はっきり言ってほとんど寝ている。

 そのほとんど寝ている状態で器用に操作し終え、携帯電話を充電ホルダーに戻すとまた完全に寝たようだった。

 さらに、4時間後何の前兆もなく携帯電話が鳴った。

 そして、直哉はいつものように制服に着替え、荷物を詰めて学校へ行く用意をする。

 しばらくして用意が終わり、下の階の居間へ降りようとする。

 しかし、直哉は何かに気づいたようだった。

「家が……静かだ」

 いつもならテレビの音や料理の音などで騒がしいはずの家全体が静かだった。

 そこで直哉はいそいで窓に駆け寄りカーテンを引いた。

 そこには直哉の予想したとおり薄暗く道はまだ車がまばらで人も少ない早朝の景色が広がっていた。

 景色を見た瞬間すぐに手に持っていた携帯電話を開いて確認するが時刻表示は3時少しまわったぐらいを指している。

「え、まだ3時?なぜ……あ、そういえば寝ぼけながら携帯操作したからか

 そのせいで設定を間違えたんだろう。あーどうするか……まだ3時なんて」

 と呟きつつ誰かを起こすわけにもいかず。目が冴えてしまっていてさらに着替えてしまったので寝るわけにもいかないため

 気は進まない様子だったが普段していない宿題をし始めた。

 1時間ほどたって直哉は手を上に伸ばし立ち上がる。

 宿題が終わったみたいだが未だに時計は4時を指したところだ。

 そこで仕方なく直哉は家族を起こさないよう注意しながら家を出た

 ―――――そして現在に至る

 

「昨日寝ぼけながら携帯操作するんじゃなかったな

 いや、こんな時間でもすんなりと起きれたのは10時に寝たせいだな

 寝る前に目覚ましセットし忘れたのもあるか。まあ、今更いっても仕方ない……」

 とぽつりと言い終えた瞬間

 まだ十分に明るくない空を何かが飛んでいるのを見つけたのだった。

 ほのぼのとした堤防の雰囲気からは文字通り浮いている。

 影の形から鳥では無い事は容易に見当がつく。

「なんだあれ……」

 と直哉がとまどっている間にも、その未確認飛行物体は近づいてきた。

 よく見ると、よく漫画やテレビに出てきそうな竹箒に人がまたがっている。

「え、普通の人には見えないはずなのに??」

 箒に跨っていた少女が呟いた。じっと見ていたからか相手も気付いたようだ。

「こ、こんなときはお、落ち着いて ○#※$×……」

 よっぽど困惑していたのか何かを言おうとして噛んでしまった。

 その間に直哉は周りを見渡すが、

 空の異変に気づく者はなく、

 普通な早朝の景色が広がっているだけだった。

 なんて冷静に考えているときに、

「○#※$%×▽&!!」

 よく分からない呪文のようなものを言い終えてしまった。

 直哉はお決まりの通り意識を失って……ではなく

 少し気分が悪くなるものの、それ以外何事もなかった。

「なんで?効かないの……こうなれば#@¥*$★◯◇!!!!」

 さっきよりも力強くまた、一発で呪文のようなものを言い切った。

「何を……あ、君は……」

 なにかを言おうとするが、その願いは叶わず直哉は意識を失ってしまった。

 そこにさっきまで箒に跨っていた少女が降り立つ。

 ジョギングしている人も、新聞配達の人も周りは、

 このような日常ではあり得ないことが起こっているというのに、最後まで全く気づいていない様子だった。

「あれ?どこかで見たことのあると思ったら、

 古賀君……だったかな。なんで男なのに魔力が伝わっているの?

 それよりも今はこれよね。どうするべきかな?」

 

 








 

 

 

 

 

 

「あれ……ここはどこ?なんか感覚が変なような」

 かなりたった後見知らぬ女の子の部屋みたいなところで直哉は目覚めた。

 なぜか直哉は自分の声が甲高く感じる。

「髪が伸びているような気がするけど……」

 と頭が起きてくると部屋を見渡す。

 そこは女の子の部屋のようだったが、直哉には見覚えはなかった。

 窓に映る景色も、見覚えはなかった。

 部屋にかけてある時計を見ると10時を指している。

 一瞬遅刻したと思ったが、すぐに今日は土曜日なのに気づいた。

 早朝散歩していたのが4時半ぐらいなので、5時間半ほど気を失ってたことになる。

 しばらくすると、部屋に見覚えのある少女が入ってきた。

「あ、お目覚め? 確か同じクラスの古賀君だったよね」

「うん。そうだけど。君は確か……藤里 汐音さんだよね?」

 と言いながら直哉は必死に相手の事を思い出そうとする。

 確か……1ヶ月前ぐらいに来た転校生で転入試験は全教科8割越えだと聞いたっけ

 転校生なんて珍しいなと思いつつ見てたらかわいいし賢そうだから物静かなのかなと思ってたら結構周りとも話す方で

 意外だな……と思ってた。でも、席も遠いし特に一緒になることもなかったから今まで関わり合いになってなかったんだな。

 と、ほぼ全ての知っていることを思い出した。

「ええ、そうよ」

 お互いの確認を済ませた後、直哉は気を失う前に自分に起こったことを思い出した。

「そういや、さっき箒に跨って空を飛んでいなかった?

 あり得ないと思うけれど確かに見た……」

 直哉は気を失う前の事を思い出す。

「やっぱり覚えていたの……あの術自信あったんだけどなぁ。じゃあもう仕方ないから正直に白状するけど私は魔法使いよ」

「え、本当に?何かの冗談じゃないの?そんな話……」

「いや、本当よ。というより見えてたんでしょ?私が飛んでいるとこ

 それあなたに起こっていることも、私が魔法使いででもないとありえないんじゃない?」

「確かに見てたけど、いきなり魔法使いだといわれても……」

「それはそうだけど、だから自分の身に起こっていること分かってる?」

「え?」

「やっぱり……まだ気づいていなかったのね。鈍いというか何というか……」

 と言いつつ、汐音は部屋の隅に置いてあった鏡を出してきて、それにかかっていた布を取った。

 そのきれいに磨かれた鏡面には、前で話している汐音の他に見知らぬ少女が映っていた。

 そこで直哉はおもむろにいつもより長く細く感じる髪に手をかける。

 すると鏡の中の見知らぬ少女も髪に手をかける。

「?」

 直哉はこれから一つの推測を組み立てる。

 推測を考えてから見ると腕も細くなっている気がし、気になっていた髪は明らかにかなり伸びている。

 さらに下を向くと二つの膨らみが―――

 そして推測が確信へと変わった瞬間

「な、なんで女になっているんだ????」

「やっと気づいたの……本当に鈍いわね」

「だ、だからなんで」

「分かってる、説明するから聞いてね。

 今朝箒で飛んでいた話からするけど、いくら私でもあんな目立つことしないわよ。

 他の人には見えないように、これも魔法でしているんだけど

 たまにはっきりと見えなくても何か感じて気づいてしまう人がいるのよ

 そういうときは分かりやすくいえば記憶をなくす魔法を使うの

 それで普通は何事もなく済むのだけど

 ごくまれにその魔法さえも効かない人もいるの

 そこまでの魔力の持ち主なら最終手段として無理矢理覚醒させて

 こっちと一緒に秘密を守ってもらう事になってるんだけど

 普通はそれほどの魔力を持っている人は女性だから何も変わらない。

 まさかあの時は魔法をかけた相手が古賀君だとは思わなかった。

 村まで戻って調べてきたけど今までに男性がこれ程までの魔力を持っていたなんて例がないの

 だから私の世界では魔法使い=魔女になってるんだけど……」

「念のために聞くけど君の魔法が失敗したとかは無い?飛んでいるところはっきり見えてたけど」

「絶対無いはずよ。はっきり見えてたなんて、よっぽど古賀君魔力強いんじゃない?

 証拠にまわりの人は何ら気づいていなかったと思うけど

 記憶を消すのも一度噛んで失敗はしたけど2回目は絶対に普通なら効いてたはずだから、

 さらに私は平均より魔力は上で試験も上位10位以内。だからこうして留学に来てるのよ……(以下略)」

と自信満々に汐音は説明した。

「で、結局戻す方法はない?」

「今のところは無いとしか……さっきにも言ったけど

 1500年以上前からの資料が残ってる私の村でも男の人にそこまでの魔力が伝わってたなんて記録が全くないのよ

 なんでこんな事になったのかは分からないし……今村の担当の人にさらに調べてもらっているところだから

 もう少ししたら何か分かるかも でも、古賀君の魔力の根源は分かったわよ。

 帳簿によると祖母に当たる人が魔法使いだったらしいから」

「いますぐ戻す方法は無いのか……しかも、お祖母ちゃんが魔法使いだったなんて」

 直哉は落胆の色を浮かべながらも、祖母の事を考えるが特に不自然なことはなかった。

 これじゃなかなか表沙汰にならないのも分かるなと一人納得した。

「でも、これからどうすりゃ良いんだ?学校のこともあるし、何よりも親にこんな事どうやっていうべきなんだ……」

 もっともである。魔法で女になってしまったなんて話そう簡単に信じる親はいない。

 直哉も実際に自分の身に起こっていなかったら、信じていなかっただろう。

 さらに魔法のことは、さっきの話によると秘密でいえないのだ。それなら説得する方法はなくなってしまう。

「そんなこと心配しなくても大丈夫だって。おばさんには連絡してあるから

 学校だって朝起きたら突然とか小さな少女に悩み打ち明けたらこうなったとか

 生き別れの双子としてとか魔法少女らしく皆の記憶と戸籍弄って最初から女の子だったことにするとか

 いろいろ方法があるわよ」

 最後に少々問題のある案も出てきたが、

 それよりも何故こんなに汐音はすらすら言い訳を言えたのか、直哉はしばらく考え込んでしまった。

「というか俺の母さんにいつの間にどうやって伝えたんだ?魔法のこと隠したままじゃ誰も信じないと思うんだけど」

「あなたが気絶して調べに行くために村まで飛んで行っているときに電話で話したわよ。

 魔法のことも両親と子供・兄弟には教えて良いの。

 だからおばさんは前から知ってたんじゃないかしら」

 さっきまでの俺の心配は何?と思ってしまう直哉であったが

 こうなってしまって最大の心配事が解決したことに一安心だった。

「もうお昼でこれ以上話すこともないし、家に帰る?その格好も変だからね」

 今の直哉の格好は朝来ていた物と同じ。なので、ぶかぶかだったり一部分はかなりきつかったりしていた。

 おそらくこのまま街を歩いたら、周りの注目を別の意味でつかんだことだろう。

「確かにもう帰ろうと思うけど。このままの格好じゃ……」

 直哉の家の周りは人通りが多いわけではないが、土曜の真っ昼間。

 よっぽどの田舎でもないので、近所の人に見られるのは避けようがなかった。

「じゃ箒で行く?家まで送ってあげるから」

 いきなり箒で送ってもらうのは、直哉にとって少々複雑な気持ちであったが

 ここがどこかさえよく分からない以上、選択肢はなかった。

「うん。分かった。頼むとするよ」

 すると汐音は部屋を出て下の階へ降りたみたいだ、おそらく箒を取りに行ったのだろう。

 しばらくして同じあの箒を持って部屋に戻ってくる。

「じゃあ、行く?」

「行くってここから?」

「外でいきなり人の姿が消えたらいくらなんでも不自然すぎるでしょ」

「なるほど……」

 窓を開けた部屋の中で二人で箒に跨る。

 そして、二人を乗せた箒は浮かび上がった。

 直哉は何か暖かいような何かを感じ、人間に第六感があるというならこの何かだろうと思った。

「聞き忘れてたけど……古賀君家どこ?」

 部屋で浮かび上がったまま、汐音が尋ねる。

「山科の方だけど」

「じゃ近くよね」

 二人を乗せた箒は開け放たれた窓から外に出る。

 外に出るとやはり直哉にとって、見覚えのない街だった。

 箒は自転車より少し速めの速度で、高さは5階の高さぐらいを飛行している。

 汐音の言うとおり割と直哉の町と近くだったようで、だんだんと日常の景色が見えてくる。

「あ、あっちに見える学校の辺り」

 と直哉は指さす。

「あっちの方?分かった」

 そして、箒は学校の脇にある人気のない雑木林に入る。

 そこから二人は家に向かって歩き始める。

 土曜日にもかかわらず脇の小学校は騒がしく、何かやっているみたいだった。

 しばらく歩き直哉の家に着く。

「ここまで送ってくれてありがとう」

「ま、迷惑かけたのは私の方だから……あと、携帯のアドレス教えて、いろいろと連絡取ることもあるから」

「もちろん、いいよ」

 と、お互いの携帯のアドレスを教えた後

「じゃ、もう帰るね」

 汐音はそう言って雑木林の方へ戻っていってしまった。

「さて、どうするか」

 残された直哉は家の前で立ちすくんでしまった。

 いくら前もって知らせてあると言われてもこの状態では躊躇してしまうのは当たり前である。

 しかし、覚悟を決め直哉はドアを開けた。

「ただいま……」



続く……



あとがき

改めて初めまして神束です。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
第二掲示板・コメントにも書きましたが本当に短編・長編問わずに
小説を書くのは初めてですのでかなり読みにくい部分・伝わりきらない部分も多かったと思います。
また、なんかまだここまででは特に何の変哲もない作品に仕上がってしまった感があります。
一応この作品の続きの流れは考えてあるので続きはまた書く予定ですが、
やっぱり過度の期待は禁物です(汗

この場を借りて意見・感想を送って頂いた第二掲示板のみなさまにお礼申し上げます。


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