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「えっと……今日は男! 男っス!!」と、少女の声。
「そーか、んじゃ、俺は女だ。」と、青年が返す。

日曜の朝9時、その喫茶店は、今日最初の客を待っていた。

店の名は、「似非英国喫茶フルモンティ」

コンクリートの上に木の板を敷いた床、コンクリートの壁に赤煉瓦のタイルを貼った壁、スピーカーから流れる音楽はジャズ、店内に漂う珈琲の香り、そして、出される料理はどれも美味しいと評判。

紛れもなく似非である。完膚無きまでに似非である。正真正銘本物の、似非である。

英国らしい所と言えば、壁にかかったディープ・パープルやレッド・ツェペリン、パイソンズのスチール写真、メイド風の衣装に身を包んだ金髪碧眼のウェイトレス、それと、執事風の衣装に身を包んだマスターくらいだろうか。

ちりんちりん、と入り口のドアに付けられた鈴が鳴る、どうやらこの日最初の客が来たようだ。

「うぁぁぁぁ……。」と呻くウェイトレス。
「フフン。」と勝ち誇るマスター。

何の事はない、この二人は、その日最初の客が男か女かで、賭をしていただけだ。
訪れた客……女の子の二人連れが、テーブル席に着いた。
もし男だったなら、その日はメイドの時給が50円上がっていた筈だったのだが。

「いらっしゃい、葵ちゃん、こちらは……ふむ、何処かで会ったかな?」

頭を抱え蹲り、接客を放棄したメイドに変わってマスターがおしぼりと水を用意する。

葵ちゃん──志藤葵はこの店の常連だ。以前、兄に連れられ来て以来、ちょくちょく利用している。
高校生にしては低い身長、くりくりとした愛らしい瞳、爽やかな印象を与えるボブカット、手足は細く胸も尻も薄いが、不健康という事はなくむしろ健康的。
本人に言うと怒るのだが、少年のような可愛らしさをもった少女、という形容がしっくり来る。

「ますた、そのナンパの手口は古いっスよ。」

と、復活したメイドが口を挟んできた。

「良い女は口説くのが英国紳士のマナーなんだよ。」
「そりゃイタリア男のマナーっス……フランスだったかな? どっちにしろ、ますたは混じりっ気無しの日本男児じゃないっスか。」
「いいから注文取れ莫迦、働かないなら今日のまかないはピーマン尽くしだぞ。」
「いらっしゃいませお客様! ご注文はおきまりでしょうか!?」

ピーマン、という言葉に反応してメイドがキビキビと働き始める。

「モーニングセットふたつ、ブレンドでー。」と、葵が注文を出すと。
「あ、あの、あと、この、チョコパフェを……。」と、もう一人の少女が追加で注文を入れた。
「あい、かしこまりましたー! ますた、モーニング2丁、おあとチョコパで!!」
「はいよー。」

注文を受けたマスターがカウンターに戻り、モーニングと珈琲を作りながらテーブル席の少女達を観察する。

「……気のせい、か?」

葵ちゃんが連れてきた少女。
身長は170前後だろうか、女の子にしては高めだ。蒼く輝く黒髪が美しい、染めたり脱色したりした事なんて無いのではなかろうか。ダイナマイトとまでは行かないが、それなりにセクシーな体型。
顔は……長い睫毛に細く形の良い眉、黙っていると凛としたイメージなのに、喋ってる時は可愛らしくなる。特に笑顔が愛くるしい印象。
似ている、誰かに似ている。商売柄、人間の観察眼には自信がある、あんな美少女、もし会っていたら覚えている筈だ。

「……あぁ、そうか、成る程な。」
「何がなるほどっスか?」
「なんでもねーよ莫迦、ほれ、モーニングセット、ブレンドで2丁だ、持ってけ。」
「あいあいさー!」

成る程だ、あの二人を別々で観察するのではない、セットで見れば気が付く。
楓に……妹をかばって死んだあの間抜けな小僧に、どことなく似てるのだ、あの少女は。

「楓、か……。」

葵ちゃんの笑顔、凄く自然に、とても明るく笑っている。
あの笑顔を見たのは実に久し振りの気がする、きっと、あの少女が引き出しているに違いない。
もし楓がその辺を彷徨っていたなら、きっとあの笑顔で成仏出来たのでは無いだろうか。
出来上がったチョコパフェを持ってカウンターを出る。
なぁに、原価を考えれば賭けに勝った分がチャラになる程度だ、それに、今の俺は機嫌が良い。

「いらっしゃい、可愛いお嬢さん、これは当店からの奢りにしておきますよ。」
「え? あ、ありがとう……ございます、マスター。」
「それで、よろしければ、お嬢さんのお名前などを……。」




めいぷる!─ザ・インセクト─

第三章・チェイス!

作:K.伊藤




  ───第一幕───

「やぁ、こんにちは、かなみちゃん。」と俺。
「やっほー、かなみちゃーん♪」と葵。
「はい、こんにちはです、楓さん、葵ちゃん。」とかなみちゃん。

日曜日、晴れ、12時前、駅前。
俺と葵が待ち合わせ場所に着くと、かなみちゃんが一人で待っていた。

陽光の下、私服姿のかなみちゃん──やっぱり、この子可愛くなったな。
柔らかなほわほわした亜麻色の髪、ちょっとタレ目がちな瞳、その辺は昔のままだ。けど、顔色が良い、唇もつやつやしている。そりゃ、少しは化粧してるのかもしれないけど……健康になっただけで、こうも印象が変わるものなのかねぇ。
いや、イメージの変化は服装からも来てるのかも知れないな。昔みたいな清楚だけど地味なワンピースとかじゃなく、黒い長袖Tシャツの上に淡いピンクのTシャツを重ねて、デニム地のジャンパースカートを履いている。
昨日の夜、身体動かす遊び、とか言ったから意識してるのかな?
それに何より、姿勢が良くなった、背中を丸めてたりしてない。背筋が伸びてるからかな、胸もふくよかになった感じで……というか……結構大きいのな、かなみちゃんのって……。

「ありゃりゃ、待たせちゃったかな、ごめんねー?」
「あ、私も今来たところだから──あ、あの、楓さん、私が、何か……?」
「ん? あぁ……おっぱい大きいよね、かなみちゃんって。」
「……へ? ……へ、へうっ!?」

あ……し、しまった! 脳の中身がそのまま漏れた!?

「……どうせ、私はおっぱい小さいですよーだ……。」

あ、不味い、ヤバい、葵が拗ねている。
何がヤバいって、そりゃぁ、拗ねさせたままだと、具体的には今日の俺の夕食あたりがヤバい!!
考えろ! 考えろ! この困難な状況を切り抜ける策を思いつけ俺!!
俺は小さい方が好きだな。胸の大きさが女の子の価値じゃ無いよ。揉むと大きくなるって言うよ? 牛乳飲め牛乳。大きくても邪魔なだけだよ──此処で最適なのは!!

「揉むと大きくなるって言うよ? なんなら、俺が揉もうか?」

うひひ、と、下ネタで誤魔化す事にした。葵は怒りだすだろうけど、そうなればしめたものだ、怒ってくれればこの場だけで済む。
……そう思って、そう言ったのだが……。

「うん……じゃぁ、揉んで……お姉ちゃん。」
「ウェィ!?」
「あああああ、葵ちゃん!?」

まさかそんな返答が来るとは、思ってもみなかった訳で。

「お、お姉ちゃんなら……いいよ? でも……優しくしてね……?」

きゅ、と両手を胸元で握り、上目遣いで俺を見上げてくる葵。
あぁ、畜生、可愛いじゃないかこの野郎。いや女郎か、つーかそんな事はどうでも良いッ!!

「ばっ、おまっ、何考えてっ!!」
「そ、そうだよ葵ちゃん!! そういう事はお家に帰ってから二人きりでしないと!!」
「いやいやいや! かなみちゃん、そういう問題じゃ無くてだねっ!?」
「だって、お姉ちゃんが揉んでくれるって、言ったんだよ……?」
「うわやめろ葵っ!! そのポーズで目ぇうるうるさせるなっ!!」

「……お前ら、何やってるんだ……注目集めてるぞ……。」

「うわ大吾っ!?」
「あ、大吾さんこんにちはー。」
「え、あ、こ、こんにちは、東雲先輩。」
「葵、何があったか知らないが、あまり楓をいじめてやるな。楓には悪気は無かった筈だ。」
「はーい、わかりました、大吾さん。」
「よし、良い返事だ葵。飴をやろう」
「わーい♪」
「……あの、楓さんが、orzな格好のまま、動かないんですけど……。」
「あぁ……妹に弄られてからかわれて、しかも、突然現れた親友の方がよっぽど兄らしく振る舞って、その上、妹が素直に言う事を聞いているものだから、落ち込んでいる──といった所か?」

……あぁ、そうだよ、大吾の言う通りだよ、ちくしょうべらんめぇ……。

「か、楓さん……そ、その、泣かないで下さい……。」
「あ、ありがとう、かなみちゃん。」

かなみちゃんが俺の肩に手を置いて、そっとハンカチを差し出してくれた。
あぁ、良い子だなぁ、まるで天使のようだ。

「わ、私のおっぱいでしたら、後で好きなだけ揉んでくれても構いませんから……。」
「いやそれはもういいからっ!」
「あうっ!」

手の甲で軽くかなみちゃんに突っ込んだ。
……ぽよん。とした感触だった。




「さて、お姉ちゃんも立ち直ったし、取り敢えずお昼しよっか? みんなまだでしょ? あと、お姉ちゃんはドリアンキャンディ三個。」
「まだ続いてたのっ!? しかもイキナリ三個!?」

俺が立ち直ったところで、葵が場を仕切る。
……昨日、輸入品物産店でこそこそ何か買ってると思ったら……また凶悪な飴玉を仕入れてくれたものだ。

「勿論当然当たり前に続いてるよ、色々言ってるけどサービスで三個にしてあげてるんだよ?」
「鬼だ! 私の妹は鬼だ!! 鬼っ子って呼んでやるぅ!!」
「嫌なら今日のお姉ちゃんの夕食は、ドリアンの唐揚げにドリアンのサラダ、ドリアンの酢の物に、お味噌汁の具も」
「ドリアンキャンディ、喜んで食べさせて頂きます。」
「ねぇ……ドリアンキャンディって何……?」
「なんだそのドリアンキャンディってのは。」
「あはは、お昼食べながら説明するよ、取り敢えず定番だけど、マックでも行こっか。」

駅前のマックはちょうど昼時で混んでいたが、何とかテーブル席ゲット、ハンバーガーをパクつきながら、ドリアンキャンデーの説明をする。

……アレは恐ろしい物だ、口に入れた瞬間に広がるドリアンの香り、唾液を飲み込む度に受け入れを拒否する胃袋、鼻に上がって来るドリアンのフレーバー、堪えきれず噛み砕くと、そこに罠が待っている。コアに使っているグミを噛み潰した瞬間、口の中に広がるドリアンの小宇宙。そして嚥下しても口の中に残るドリアンの世界。スタンド攻撃でも喰らってるんじゃないかと思った程だ、いやそんな経験無いけどさ。

おかげで俺は、自分の五感をコントロールする能力を身につけた。
嗅覚と味覚の感度を落とせば、ドリアンなど敵ではない、噛み砕いて飲み込みマックシェイク(ストロベリー)で流し込む。
ドリアンが切っ掛けで能力に目覚めた、なんて俺くらいだろうなぁ……あはは……はぁ……。

「成る程、確かにその風体で男口調は違和感があるか。」と、大吾。
「あ、じゃぁひょっとして、今日の楓さんの服装も、葵ちゃんが?」これは、かなみちゃん。

今日の俺はスカート姿、そう、スカートである、青いロングスカートに白いブラウス、スカートと同色のケープ、足下は茶色いハーフブーツ。髪は大きく編み、後ろに流している。……下着は勿論、女物だ……ものすげぇフィット感である。
鏡の中の少女が恥ずかしげに俯く様は、実に複雑だった。それにしても何とも足が落ち着かない。

「そう、鬼っ子が、練習だって無理矢理ね、私はスカート嫌だったのに……。」
「いいじゃない、可愛いよ? それにさ、ガッコ行くようになったら制服はスカートだよ、慣れておかないと。あと鬼っ子はやめて。」
「復学するのか?」
「ん、まぁ、そうなるかもしれない。」

大吾の問いに俺が答える。昨日の夜、何をしてきたのか、べろんべろんに酔って帰ったオフクロが告げたのだ。

曰く。「楓さん、良ければ学校に戻りませんか? 年頃の若い娘が、ずっと家に居るのも変ですし、もしその気があるなら、私が手配してあげますよ。前の学校なら、葵さんと同じクラスに編入出来るように手配できますし、どうです? というか、もう話進めちゃってるんですけどね、というわけで、楓さんの生年月日は一年ずらしておきました、何かの書類に生年月日を書くときは注意して下さいね、編入テストは来週水曜です、合格したら再来週から復学ですよ、いや、この場合は転校ですね。」

……いや、うちのオフクロは酔うとこういう口調になるのだ、言っている内容自体は変わらないのだが。
それにしても、イキナリである、試験勉強してる余裕なんざまるで無い。まぁ、今の俺の学力ならまず合格だろうとは思うけど。
いや、別に自慢では無い、単に芋虫期間とにかく暇で、復学時の為に勉強したりしてたからである。
芋虫が勉強してる姿は、さぞかしシュールだった事だろう。

「良いんじゃないか? 同学年になれないのは残念だが、お前が学校に戻るなら俺は嬉しいぞ。」
「じゃぁ、私とも同じクラスになるんですね、歓迎します、って私が言うのも烏滸がましいかな。」

二人にその事を言うと、諸手をあげて歓迎してくれた。

「うん、離れてみて学校の良さが身に染みていたし、前と同じガッコなら馴染みやすいし、何より、鬼っ子のサポートだけじゃ不安だけど、大吾とかなみちゃんが味方なのは心強いな。」
「ぶーぶー、私だけじゃ不安ってどういう事よー。あと鬼っ子言うのやめないと、煮る。」
「煮るって何を!?」
「さぁ? それは煮られてからのお楽しみ? ところで、今日はこれから何処で遊ぼうっか、カラオケとか映画とか?」

話題は今日これからどうするか、にシフトする。色々と検討した結果、定番を普通に遊ぼう、という事に落ち着いた。まずはカラオケでも、と話が纏まった所でマックを出る。

……しかし、何を煮るのだろう……。



「んー、歌った歌った、さて、次は何しよっか。」
「どうしよっか、ゲーセン……ゲームセンターは女の子連れで入る場所でも無いしね。」
「今のお前は女の子だと思うが。」
「女の子でも、プリクラとかはしますから、全くの無縁でも無いですけど。」
「あ、それ良いね、記念写真撮ろうよ記念写真。」

カラオケで歌い、ゲームセンターで遊び、スタンド販売のクレープを食べながらお喋り、定番を普通に遊ぶ。
元気にはしゃぐ葵、控えめに微笑んでるかなみちゃん、大吾は一見普段通りだが、口元が綻んでいる。

「うん……楽しい、な。」

カラオケではキーの低い声が出なくなってて、レパートリーが大幅に減ってしまっていた。歌えなかったような歌が歌えるようになってたり、等の発見もあったけれど。
まぁ、大吾やかなみちゃんの歌を聞いてるだけでも楽しめた、葵は時々風呂で歌ってるのを聞いていたが、やはりちゃんと聞くと違った印象だ。
ゲームセンターでは、初プレイの音ゲーで最高難易度の曲をフルゲージクリア、パンチ力測定器でエラーを出す、モグラ叩きでパーフェクト等、この身体のポテンシャルに驚いた。これじゃほとんどのゲームが楽しめない……。
クレープ屋では、生クリームを垂らしてケープを汚してしまい葵に怒られた、女の子が大口開けて喰うな、だそうだ、罰ゲームにドリアントッピングのクレープを喰わされた。葵はもっと俺に優しくしてくれても良いと思う。

それらの失敗談を含めても楽しいと思える、良い一日だ。良い一日なのだが。

「そこの君たち、可愛いね、ちょっと面白いバイトがあるんだけど。」
「え、あ、あの、私たちですか? あ、あの、私、バイトは。」

また来た、キャッチだのナンパだの本当に鬱陶しい。しかも、まず気の弱そうなかなみちゃんを狙いやがる。

「去れ、邪魔だ。」

俺が何か言う前に、不機嫌そうな声で──実際に不機嫌なのだろうけど──大吾が割って入る。

「何だよお前は、俺はその子に」
「10秒やる、怪我をしない内に去れ。」

有無を言わせぬ口調、態度、あ、やばい、大吾はやると言ったら、本当にやる。

「大吾っ! 女の子の前だよ、余り手荒な真似は。」
「大丈夫だ楓、一撃で終わる。」

静かな口調、落ち着いた態度、優しげに微笑んでるが、目には無慈悲な光が。

「オジさん、オジさん、逃げて、本当に、お願いだから逃げて!!」
「楓、腕を放せ、もう10秒経った。」
「ヤバいから、今の大吾ヤバいから! いやもう、ホント勘弁して下さい!!」

なんで俺がこんな苦労しなきゃいけないんだとも思うが、警察沙汰は嫌だし仕方ない。
何かの勧誘だろう男は「スカしてんじゃねぇよ、ガキが。」とか捨て台詞を吐いて去ってくれた。男の姿が小さくなって行く。

「大吾ぉ……今日は楽しく過ごそうぜ、な?」
「……済まない。」
「ありがとうございました、東雲先輩。すみません、私がしっかりしてないから……。」

雰囲気が沈みかけた、が、葵が明るい声でその空気を払う。

「ま、ま、何事も無かったんだし、ね? それにしてもお姉ちゃん、そうやってるとお似合いのカップルみたいだよ? にひひ。」
「「え? あ!」」

大吾の腕を抱えたままだった、慌てて離れる俺と大吾。

「葵、冗談でもそういう事は……って何赤くなってんだよ大吾! こっちまで照れるだろ!!」
「あ、いや、お前の胸の感触がだな。」
「そういう事を正直に言うなー!!」

再び和気藹々とした空気になる、葵にはムードブレーカーの二つ名を送ろうと思う。
明るく素直で元気、人の気持ちを考えられる、実に出来た妹だ、俺は良い妹を持った。

「で、お姉ちゃんはキャンディ一個ね。」

──これさえ無ければ。




  ───第二幕───

「よろしければ、夕食をご招待したいのですが、いかがでしょうか?」

ボーリングを三ゲームほど遊んで、6時をちょっと過ぎた頃、かなみちゃんがそう言った。

ちなみにボーリングは、パワーボールでピンを薙ぎ倒す俺と、正確無比な投球コントロールでスコアを稼ぐ大吾のTOP争い、此処一番でストライクを取るのだがムラのある葵、ガーターやスプリット連発で早々に最下位を決めるのかなみちゃん、という、実に解りやすい結果に終わった。
それでも、かなみちゃんは「楽しいです!」「面白いです!」と、珍しくはしゃいでいたが。きっと、体を使って遊ぶのが新鮮で仕方ないのだろう、機会が在ればもっと色々な所に連れて行ってあげよう、と思う。
それはともかく、お誘いを受けたわけだが……。

「夕食か、どうする?」俺は葵に視線を送る、我が家の台所事情は葵が一任されているからだ。
「いいの? ご迷惑じゃない? 今日はミッキーさんとタマさんは?」

ミッキーさんとタマさん、光樹さんと珠美さん、かなみちゃんのご両親だ。俺も会ったことがあるが、ロマンスグレーの渋いおじさんと、かなみちゃんをそのまま年取らせたみたいな、優しげなおばさんだった。

「うん、パパもママも居るよ、是非いらして下さいって。」

「俺もか?」と大吾が問うと、「東雲さんは特に是非にでもと言ってました。」とかなみちゃんが答えた。
……かなみちゃんのご両親、かなみちゃん溺愛してるからな、娘に寄りつく男は軒並みチェックするつもりだろう、俺もされたし。まぁ、大吾なら色んな意味で大丈夫だろうと思う。

「ふむ……宮ノ森の当主に是非と言われれば、断るほうが無礼だな。」

宮ノ森家と東雲家、実はこの街でもトップクラスの名家だったりする。
医薬品や化粧品の製造販売で、戦後急速に業績を伸ばした宮ノ森。
古き時代、時の権力者に関わりを持っていた旧家、東雲。
なんか、凄い友達持ってるなぁ、俺って、としみじみ。いや、ある意味俺の親の方が凄いのだが。

「うーん、じゃ、お呼ばれしよっか、お姉ちゃん。」と葵が決断する。
「では先に行っててくれ、駅まで二輪で来てたのでな、すぐに追いつく。」

そう言う大吾と一旦別れて、3人で宮ノ森家に向かう。
3人で他愛もないお喋りをしながら繁華街を離れ、高級住宅が建ち並ぶ地域へ。
停まってる車がもう、メルセデスだのジャガーだのBMWだの……。

「うわ、エンツォフェラーリだ、実物初めて見た……。」
「やっぱり、好きな物は変わらないんですね。」かなみちゃんがクスクスと笑う。
「ねー、さっきから黙ってると思えば、車ばっかり見てる。」と葵にも笑われた。
「む……別にいいじゃないの、浪漫だよ? 浪漫。」
「ロマンねぇ、単に子供っぽいだけじゃない?」
「怖い夢見たー、ってお姉ちゃんのベットに忍び込んでくるような子に言われたくは無いなぁ。」

あれには驚いた、朝起きたら葵がベットに居るんだもの。ちゃんと俺の許可を取ったと言っていたが、俺には記憶が無い。いや、そんな夢を見たような気もするが。
しかし、葵は昔から甘えん坊な所があったが、それに拍車がかかってる気がする。やはり、俺の事故を目の当たりにしたのが原因だったりするんだろうか……。

「わー! わー!! か、かなみちゃんの前で言わなくても良いじゃないそんな事っ!!」
「あ、葵ちゃん、楓さんと一緒に寝てるんだ……。」
「違うの!! 違うよ!! あ、あれは、その、お、お姉ちゃんの馬鹿っ! 意地悪っ!!」

葵が俺の背中をばっしんばっしん叩く、ちょっと痛いが、久し振りに葵をやり込められたのだし、これくらいの痛みはむしろ爽快だ。

「あはは、それより、そろそろじゃない?」俺の記憶が確かなら、宮ノ森の家はこの辺の筈。
「あ、はい、この角を曲がったら……あ、彼処ですよ。」

角を曲がって先の方に見える、いかにもな高級住宅に立派な門、宮ノ森家の入り口。
けど、そこまでの道に停まっている、ごく普通の国産ミニバン──何の変哲もない普通のミニバン、なのだが……。
──ヤバい、何かわからないが、アレはヤバいものだ、胸がざわめく、なんだコレは。
まさか、コレが『虫の知らせ』か!?

「葵、かなみちゃん、逃げろ!!」
「え? 楓さ、きゃっ!?」
「かなみちゃんっ!!」

俺が叫ぶのと、ミニバンが急発進するのはほぼ同時だった。




  ───第三幕───

アッという間の出来事だった。

スキール音を上げ急発進した車は、エンジンを大きく唸らせてゆっくり迫って来た。おそらくブレーキを左足で操作してスピードを殺したのだろう。
驚いて道の左右に分かれてしまった、しかも、悪いことに俺だけ道のこちら側だ。
停止した車のドアが開き、男達が降りてくる、両面スライドドアを通して向こう側に見える、葵とかなみちゃん。
明確な敵意、害意を感じる、降りてきた男がそのまま俺に掴みかかる、腕を潜って男の懐へ、勢いを殺さずにそのまま鳩尾に右肘を叩き込む。葵とかなみちゃんの悲鳴、くそ、邪魔だ、呻く男を道に投げ捨てる。
向こう側のスライドドアから車に連れ込まれようとしてるかなみちゃん、葵が男に組み付いているが、男は葵を殴り車に押し込もうと

何をした、テメェ、今何をした、コイツら、俺の妹たちに何を───!!

怒りに我を失う、コイツら、潰してやる、泣いたり笑ったり出来なくしてやる!!
アスファルトを蹴り、車の中に躍り込もうとした時、パァンと何かが破裂する音、左の太股に激痛、視界の端に捕らえたのは、助手席のドアを開けて此方に銃を向けている男。撃たれた? そう理解したときには左足の自由が効かなくなっていた、俺は地面に倒れ、車はドアを開けたまま発進して。

「待ちやがれッ!!」

起きあがる、走り出す、脚の痛みは無視だ、左脚の痛覚を遮断し、傷口付近の血管をコントロールして体液の流出を防ぐ。
走る、走る、くそ、追いつけない、離されていく。と、後ろから聞き慣れた排気音、パラレルツインの甲高いエギゾースト、俺を追い抜いて目の前に現れるバイク、TZR独特のリアカウルから顔を出した二本のマフラー、鼻を突くオイルの焼ける匂い。

「楓っ!!」
「大吾っ!!」

TZRのタンデムシートに飛び乗る、クオン、と一声嘶いて大吾のTZRが加速する。
落ち着け、落ち着け、頭は冷静に、心は穏やかに、魂は熱く、手足は平静で。
今の俺なら、何とでもなる筈、さっきだって頭に血が上らなければ、いや反省は後で良い。大丈夫、今の俺ならなんとかなる、まして、大吾も居る、まずは、あの車を止め──胸がざわめいた。

「!? 大吾、右にかわせっ!!」

助手席のドアが開く、同時にぱららっ、ぱららっ、と乾いた音、サブマシンガンか!?
TZRの左ミラーが持って行かれた、他にダメージは見あたらない、大吾も無事だ。車は既に住宅街を抜け、丘陵地帯に入っている、山道に入られない内に停めたい所だが。

「大吾、前に出られないか!?」
「──やってみよう!」

大吾が左手で胸元から御札を取り出し、何事か呟いた後、前に投擲した。札は真っ直ぐ進んで車の右に出る。

「破裂しろッ!!」

大吾が叫ぶと同時にアクセルを捻る、ぱぁん! と大音響が響いて札が破裂した、左に寄れて行くミニバン、TZRのシート下の排気管が痺れるような雄叫びをし、パワーバンドに乗ったTZRは一気に加速して、車の前に出る。助手席の男が、銃をこちらに──。

「楓!?」

俺はTZRのタンデムを蹴って、空中に飛び出していた。




  ───第四幕───

──昂揚感、時間が引き伸ばされていく。
全身で音を感じる、視界が一気に広がり、編んでいた髪がほどけ空中に広がった、背中に広がった羽根が風を掴み、体中の皮膚が硬質化して着ていた服を引き裂く、開放感、気持ちいい、硬質化した皮膚は外骨格の鎧へ、それは重さもなく制限もなくまさしく身体の一部。変わっていく、俺が変わっていく。

銃口がこちらを向いた時には、私の変身は完了していた。
無駄だよ、そんな豆鉄砲じゃ、私の鎧に傷を付けるのも難しいよ?
右腕の外骨格を強化、運動エネルギーと位置エネルギーに、更に私のパワーを乗せてそのまま叩きつける!!

「メイプルストライクッ!!」……ただのグーぱんちだ。

けど、威力は十二分。ミニバンのボンネットとフロントグリルを突き破り、ラジエターとクーラーコンデンサーに大穴を開けた、吹き上がる高温の冷却水とフロンガス。あちちっ!! 鎧の隙間から空気を吹き出し、高熱の水蒸気を遮断する。左手でもう一撃、冷却装置を完全に破壊、これでもう長くは走れない、少なくとも前方の視界は奪った。そこでようやく銃声、ぱぱぱん、ぱぱぱん、3点バーストか、無駄な事を……って、痛い痛い痛い!! 母さんの嘘つき!! 何が「鉄砲玉なぞ痛くも無い。」だよ!! すっごい痛いじゃない!! 急ブレーキ、慣性の法則に従って私の躯は前方の路面へ、背中の羽根で空気を叩き落ち着いて着地、後ろから大吾の足音。

「か、楓!?」
「大吾、左よろしく!」

車に走り寄ると、男が助手席から降りて拳銃を此方に向けた。よくもやってくれたわね、痛かったんだから!! 駆け寄って的確に顎を拳で打ち抜いた、それで終わり。顎の骨が砕ける感触がした、ちょっとやりすぎたかな? ……まぁ、女の子に銃を向けるような下衆だし、構わないよね。左の方でずばん! という音と蒼白い雷光、うん、流石は大吾、頼りになる♪
スライドドアを開け放つ、と、予想してなかった光景。男が一人、助手席のシートと見えない壁に挟まれて潰れて泡を吹いていた。
力の発信源はかなみちゃんだ、なんだ、この子も普通じゃ無いのね。今の私には解る、この子も私と同類だ。葵は……床に倒れている、呼吸脈拍体温を確認……呼気に若干の薬物反応、眠らされてるだけか、ホッとする。

「きゃ!? ………え? あれ? ……かえで、さん?」

かなみちゃんがこっちを見た、小さく頷く。と、そこで遠くからパトカーのサイレン音。

「うわ、どうしよ、あんまり公にしたくないな。」
「なら逃げるぞ、楓!! 葵を抱えて走れ!! 宮ノ森、お前はこっちだ、俺のバイクの後ろに乗れ!!」

大吾が向こう側のスライドドアを開け放って、叫ぶ。公になりたくないのは大吾も同じか。

「集合場所は!?」「東雲の離れ!!」「了解♪」

葵を抱え上げて跳ぶ、東雲の家まで直線距離を駆け抜ける。東雲家は森に囲まれたお屋敷だ、姿を眩ますには持ってこいだろう。

「それにしても、服破いちゃったなぁ、どうしよ……。」

私は、葵に怒られるなぁ、等と呑気に考えていた。




  ───幕間・東雲大吾───

東雲には鬼の血が流れている。
普通は冗談だと思うだろうが、事実そうなのだから仕方ない。
だから東雲の人間は常に身体を鍛え精神を鍛え、魔導を習い、鬼の血を抑え込む。
そうやって鬼を抑え込めなければ、待っているのは、死だ。
鬼に喰われた者は、悪鬼になって人を襲う。故に、東雲の人間は生まれてすぐ一族の者から呪いを受ける。
もし鬼に心が喰われたのならば、自我が崩壊する前に、自らの心臓を自らで抉り出す呪い。
鬼に心を喰われて死んでいったご先祖は、それこそ数え切れないくらい居たようだ。

そうやって、俺も東雲の人間として生きてきた。

心身を鍛え鬼を抑え込み、時には一部を解放して鬼気を抜く。
上手く利用すれば鬼の力は強力な武器だ、まさしく諸刃の剣。
払い屋、拝み屋、調伏師、陰陽師、呪い屋、暗殺者。東雲の人間が着く仕事はそんなのばかりだったらしい。
時の権力者達に利用され、恐れられ、名を変えて逃げ、また別の権力者に、それが東雲の歴史。
東雲という名も俺の爺さんの代からの名だ。その前は藤代とか名乗っていたらしい。

爺さんの代から、少し東雲の境遇は変わる。
爺さんは軍人、親父は警視庁、兄貴は医者を目指して大学に行った。
表に近い仕事、表の仕事にも就けるようになったのだ。
西洋魔術、精霊魔術、暗黒魔術、基督教の悪魔払い。新たな魔導技術を吸収したおかげで、鬼の力をぐっと抑え込みやすくなったから。今では協会……土御門にも正式に名を連ている、色々と悶着はあったようだが。

それでも、化け物の血がこの身に流れていることには変わらない。
だから俺は、他人と深い関わりを持たないように心掛けて生きてきた。

人間というのは、普通が絶対の価値観だと思いこみ、普通以外には攻撃的な生き物だ。『普通』など、場所や時代で幾らでも違ってくるものなのに。
特に子供の内は、普通と違う事を敏感に感じ取って、集団で排除にかかる。俗に言う、『イジメ』という奴だ。

俺も、イジメを受けた事がある、イジメた相手を叩きのめしてすぐ終わったが。
そして完全に孤立した、そりゃそうだろう、無愛想で暴力的な男になんか近寄る奴は居ない。
いや、何人か近寄る奴は居たには居たが、適当に付き合うだけで協調性なんか欠片も持たなかった。
化け物の血が流れている俺に、友達なんか出来るはずがない、そう思っていた。

実にヒネたガキだった、その事に気付かせてくれたのが楓だった。

小学校6年の修学旅行、寺社巡りの最中、地元の中学生、カツアゲ。
友達と一緒に居ない俺は、絶好のターゲットに見えたのだろう。

くだらない、相手は素人5人、1分で終わらせてやる、そう思って拳を固めたその時だ。あの正義馬鹿が、志藤楓が割り込んできたのは。
楓が一人に苦戦している間に、4人叩きのめして、楓の相手を蹴り倒して終わり。騒ぎを聞きつけた担任が現場に着いたときには、もう決着が付いていた。
俺は正当防衛、楓は正義を主張し、下された処罰は俺だけ廊下で正座1時間。
『どうしてすぐに人を呼ばない、どんな理由があろうと暴力はいけない。』だそうだ。理想を語るのは結構だが、現実を教えるのも大切なことだと思う。
まぁ仕方ない、俺は普段の行いが悪い、正座の一時間程度なんて事はない。そう思って廊下に座った時、楓も俺の隣に正座した。

「何してるんだ。」
「俺も一緒に居た、同罪だ。」
「馬鹿かお前は、だいたい、正義だったんだろうが。」
「俺の正義が他の人の正義とは限らない。」

驚いた、大人でも解ってない奴が多いのに、この馬鹿はちゃんと解っていたのだ。

「わかってて、何で自分の正義を押し通そうとするんだ。」
「押し通そうとしちゃいないさ、曲げるべき時は曲げる、折れるべき時は折る。」
「…………。」
「今回は明らかにアイツらが悪だ、もしお前が悪だったら、お前を止めてた。」
「ガキが何言ってやがる。」
「お前だってガキだろう。それに、こんな事ガキじゃなきゃ言えない。」
「じゃぁ、今の正座は何なんだよ、それは正義か?」
「いや、正義というより……友情?」

友情? 友達? 俺が? 待て、この馬鹿は何を。

「いつ友達になったよ。」
「たった今だな。」
「俺の気持ちは無視か。」
「お前は俺と友達になりたくないのか?」

返答に窮して自分の心に気が付いてしまった、友達、欲しくない訳じゃない、出来ないと思いこんでいただけ。友達が欲しいか、と問われれば、本当は友達が欲しかった。こんな俺でも、もし友達が出来るなら──。

「……お前に俺の何がわかる。」
「わからないさ、相互理解ってのは相互の理解だ、理解しよう理解されようってな。」
「……。」
「嫌いだ馬鹿だ悪だ正義だ──決めつけてかかりゃ、理解し合えるわけがない、お互いが努力して駄目なら、そん時はしょうがないけどな。」
「……後で話がある。」
「今じゃ駄目なのか。」
「秘密の話だ。」
「わかった。」

結果だけ言えば、俺の秘密を知っても楓は何も変わらなかった。むしろ、そんな秘密を信用して教えた事に感激していたくらいだ。
俺に初めて出来た友達、志藤楓。嬉しさで涙が出る事を、あの時初めて体験した。

この友情は、楓が何者であろうと、変わらないと誓える。
たとえ女になろうと、たとえ変身しようと、だ、まぁ、流石に驚いたが。




  ───幕間・東雲大吾・その2───

自宅に帰還した。
離れの軒下にバイクを止める、アンダーカウルは泥だらけ、フロントカウルは割れ、左のミラーとウィンカーが無くなっている、スピードメーターも動かなくなっていた。

少し無茶をしすぎたか、すまんなTZR。

「宮ノ森、着いた、降りろ。」
「え、あ、は、はい、あ、あの、腰が抜けて。」

少し飛ばしたからな、道じゃないところも走ったし。俺は宮ノ森を肩に担ぐ。

「きゃ!? あ、あの、東雲先輩ッ!?」
「歩けないなら仕方無かろう、少し我慢しろ。」

東雲の離れは俺と兄貴の部屋しかない、兄貴は研修が忙しいのか滅多に帰ってこなくなったから、実質的に俺だけが使っている状態だ。
離れの玄関を開けて中に、二人分の人の気配、楓と葵だろう、俺の部屋に行く。

「楓、無事だった………か?」
「あ………大吾……お、おかえり?」
「あ、か、楓さんっ……わ、わわわっ!」

俺の部屋、押入を開けて布団が出されている、その上に寝かされている葵、いや、それはいい、別に構わない。
問題は楓で、全裸の上にシーツを纏っているだけだった、眉を寄せて情けない表情、丸みを帯びた肩、シーツからはみ出しているふくらはぎ。
そこに居るのは確かに楓で、そして同時に可憐で美しい少女だった、心拍数が上がる、いかん、落ち着け俺、呼吸を整える、体内を巡る気を落ち着かせる、よし、もう大丈夫。

「全員無事か? 葵は?」
「あ、寝てるだけだと思う、薬を使われたらしい。」
「わ、私も大丈夫です、東雲先輩、もう降ろしてきゃ!?」

宮ノ森を降ろした。

「よし、俺は事後処理をしてくる、部屋の物は好きに使っていいぞ、服もな、取り敢えず何か着ておけ。宮ノ森、親御さんに連絡して迎えに来て貰うが、良いな?」
「すまん、助かる、大吾。」
「あ、ありがとうございます、東雲先輩。」

「なに構わんさ、困った時はお互い様だ。」そう言って部屋を出る、楓だって俺が困っていたら、何も言わなくても助けに来るだろうと確信してる、宮ノ森もそうだろう、昨日知り合ったばかりだが、確かにあの娘は良い子だ。部屋から離れて携帯を取り出す、まずは俺の親父に連絡。

「もしもし親父か? 俺だ。いや違う、詐欺じゃない、というかその手口は最近じゃないぞ、アンタの息子の大吾だよ。は? 俺が誘拐されると思うのか? いや、緊急の用件なんだ、冗談は、あぁ、うん、さっき宮ノ森の家の前で発砲事件があった。──そう、それだ、宮ノ森の令嬢が誘拐されかけた、あぁ、俺が助けた、白い日産のエルグランド、ナンバーはXX-XX、わナンバーだ、レンタカーだな。50? 51? 形式はわからんが新型の方だったな──で、助け出すときに式鬼を使ったんだが、そう、人型の奴、仕方ないだろう、緊急だった。うん、保護して東雲の家に居る……あぁ……わかった、その線で頼む、宮ノ森の当主には俺が、え? ──わかった、そっちも頼む。」

親父が宮ノ森の当主と知り合いとは知らなかった、まぁ、ともかくこれで志藤兄妹には警察の手は伸びまい。次に母屋に向かう、母にこっちに来られると不味いからな、何がって、楓のあの格好は──いかん、想像するな、俺。あれは楓だ、俺の親友、この友情は変わらないと誓った、友達をそんな不埒な目で見るなど許されない。よし、落ち着いた、母を言いくるめてこなければ。俺は母屋の玄関を開け、中に入った。




  ───幕間・宮ノ森かなみ───

展開は目まぐるしく、まるでジェットコースターに乗っているようだった。
いや、実際に乗ったことはないのだけど、そのうち乗ってみたいな、もう心臓は大丈夫だし。
心臓、あの心臓の爆弾を抱えたままだったら、私は今生きてないだろう、それくらい驚きの連続だった。

車が迫ってきた、楓さんに押されて道の脇に、葵ちゃんが抱えてくれて転ばずに済んで、車が私たちと楓さんの間に割り込んで、車のドアが開いて男の人が降りてきた、私は腕を捕まれて、車に押し込まれそうになって、それで、葵ちゃんが私を助けようとして、男の人に殴られて、ぱぁん、と音がして、車の向こう側で楓さんが倒れて、脚から血が、私と葵ちゃんが車に押し込まれて。

パニック状態が去ったとき、もう車は走り出していた。

「何ですか! 貴方達! あ、葵ちゃんをどうしたんですか!!」
「薬で眠っているだけだ、アンタさえ大人しくしていてくれれば、そっちのお嬢さんはすぐ解放するよ。」
「私が目的……なんですね?」
「まぁ、そうだ、そっちのお嬢さんとさっきのお嬢さんは、運が悪かったな。」

あぁ、まただ、また二人に迷惑をかけている。私は何の為に死に損なったのだろう、私なんて、あの時死んでいれば良かったんだ、ごめんなさい葵ちゃん、ごめんなさい楓さん、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい───。と、ぱららっ! と音がして我に返る。

「なんだ!?」
「追われている、バイクだ、男と……ありゃ、さっきのお嬢ちゃんだな。」
「振り切れるか?」
「無理だな、直線ならともかく、山道に入ればバイクの方が早い。」
「仕方ない、殺したくはないが……。」

男達が言葉を交わし合っていた、後ろを見ると、スモークガラスを通して追いかけてくるバイクが見える、あの服装は東雲先輩!? 後ろに乗ってるのは、楓さん!?
駄目、駄目駄目駄目駄目!! もう、誰にも傷ついて欲しくない!!

「車を止めなさい!!」

思っていたより大きな声が出た、男達が私を見る。

「聞こえなかったの!? 車を止めなさい!! さもないと───。」
「さもないと、どうするんだい、お嬢様。」

男がにやりと笑った、馬鹿にして、馬鹿にしてっ! 馬鹿にしてっ!! 私だって、私だってやる時には、やっちゃうんだから!!!

「えいっ!」
「うぎゅがッ!?」

私の蹴り上げた足は、自分でも驚くくらい見事に男の股間に決まった。ぐにゃりという気色悪い感覚。

「こ、こ、このガキ……うおッ!?」
「きゃ!?」

突然の大音響、車がぐらぐら揺れる。車の右側を通過して、前に躍り出る東雲先輩のバイク、後部座席の楓さんが、バイクから飛んで。

「………え?」

楓さんが、変身した。
どことなく昆虫を思わせるフォルム、蒼い甲冑、美しい蒼い羽根、キラキラ輝いて、とても、綺麗──。
……あぁ、そうか、楓さんって、本当に本物のヒーローだったんだ。

「な!?」
「化け物ッ!?」

フロントシートの男達が驚愕の声を上げた、化け物? 失礼な人達だ。
楓さんがそのまま右手で車を殴りつけた、どかん! ともの凄い音がして、次の瞬間には前から煙が吹き上がり、車のフロントガラスが緑だの赤だの黒だの白だのの液体で汚れて、前が見えなくなる。
再び車がぐらぐら揺れる、耳障りな破壊音と銃撃音、車は急ブレーキをかけて、いけない!!

「葵ちゃん!!」

葵ちゃんの身体に覆い被さってバリアを展開、車は何処にもぶつからずに停止した。顔を上げると、さっきの男が助手席と私のバリアに挟まれて悶絶している、一瞬可哀相に思ったが、右腕に持ってるナイフを見て考えを改めた。
ばき、ずどんっ!! 車の外で物音、すぐに車のドアが開いて。

「きゃ!? ………え? あれ? ……かえで、さん?」

小さく頷くヒーローさん。
有名な変身ヒーローみたいな、だけどシルエットはあくまで女性らしく──格好いいな、素直にそう思った。

「うわ、どうしよ、あんまり公にしたくないな。」

楓さんの声でヒーローさんが喋る、え? 公にって何が?

「なら逃げるぞ、楓!! 葵を抱えて走れ!! 宮ノ森、お前はこっちだ、俺のバイクの後ろに乗れ!!」

反対側のドアを開け放つなり、東雲先輩が叫んで私の腕を掴む。え? え? あ、あれ?

「集合場所は!?」「東雲の離れ!!」「了解♪」

あ、あれ? この人達はどうしちゃうの? というか、お巡りさんとかに通報、あれ?

「急げ宮ノ森!! 警察沙汰になったら楓が困る!!」

あ、そうか、楓さん、色々と微妙な立場だっけ、促されるままバイクの後ろに乗る。

「しっかり腹に抱えてろ。」

東雲先輩が道に落ちていた楓さんの服を拾い集めて来て、それを私に渡すとバイクに跨った。

「あ、あの、東雲せんぱ」
「喋るな、しっかり捕まってろ、飛ばすぞ、振り落とされるな。」
「いぃぃぃぃぃぃ!?」

きっと、どんなジェットコースターもあれには敵うまい。




  ───第五幕───

東雲の家の離れに到着して、大吾の部屋に忍び込んだ。
いや、多分、侵入者があったことはバレてるんだろうな。鳥や虫や小動物、その中の幾つかに、不自然な意志の力を感じたから。きっと、あの中には東雲の式が混じってるに違いない。
けど、大吾が集合場所に指定したなら、何らかの連絡は行ってるはず、私は押入を開けて大吾の布団を出し、その上に葵を寝かせる。

「ん……あ……お兄ちゃん……。」

私を呼ぶ葵の声「もう大丈夫だよ。」そう言って柔らかな髪を撫でてやると、安らかな寝顔になった。葵の呼吸脈拍体温をもう一度確認……大丈夫、特に外傷も見あたらない。そこで気が抜けた。

背中の羽根が抜け落ちる、狭くなる視界、鎧は剥がれ落ち、硬質化した肌が柔らかな物に戻っていく。
変身が解ける、というより、まるで脱皮しているような──。

「……きゃっ!?」

変身が解けると、俺は全裸だった。慌てて押入からシーツを引っ張り出して身に纏う。

「……………はぁ。」

おなかすいた。それが最初の感覚、疲労は余り無いし身体が痛むという事も無い、ただ、倦怠感と空腹感があった。
バイクの音が近づいてきて、表に停まる、大吾が帰ってきたようだ。出迎えようと思ったが、この格好では、と思い部屋で待つことにする。玄関を開け、近寄ってくる足音、ドアが開けられて。

「楓、無事だった………か?」
「あ………大吾……お、おかえり?」
「あ、か、楓さんっ……わ、わわわっ!」

かなみちゃんを肩に担いだ大吾が現れ、俺の姿を見て固まる。俺は思わず情けない声が出して、かなみちゃんが俺を見て吃驚してる。
男の子の部屋で、シーツ一枚身に纏ってるだけ、ってのはやはりどうなのか。

「全員無事か? 葵は?」

大吾の声が普段の物に戻る、相変わらず切り替えの早い奴だ、こんな時には非常に有り難い。

「あ、寝てるだけだと思う、薬を使われたらしい。」
「わ、私も大丈夫です、東雲先輩、もう降ろしてきゃ!?」

かなみちゃんが大吾の肩から降ろされ……というか、落とされた、女の子はもうちょっと丁寧に扱えよ、大吾。と心の中でつっこんでおく。

「よし、俺は事後処理をしてくる、部屋の物は好きに使っていいぞ、服もな、取り敢えず何か着ておけ。宮ノ森、親御さんに連絡して迎えに来て貰うが、良いな?」
「すまん、助かる、大吾。」
「あ、ありがとうございます、東雲先輩。」

頼りになる、本当にそう思う、大吾が居なかったらどうなっていた事か。

「なに構わんさ、困った時はお互い様だ。」そう言って部屋を出て行く大吾、残される俺達……かなみちゃんが、こっちをちらちら見ている。

「ねぇ、かなみちゃん。」
「ひゃいっ!?」

素っ頓狂な声、緊張しているらしい。その声で逆に俺は落ち着いた。

「災難だったね。」
「あ、いえ、災難だったのは、皆さんの方で……ご、ごめんなさい、私の事に巻き込んでしまって。」

沈んだ声、落ち込んだ顔。まったく、この子は。

「かなみちゃん、悪いことしてないでしょ? 悪人なのはさっきの奴らなの、だから、謝ることは」
「違うんです!!」

大声でかなみちゃんが俺の発言を遮った。

「私、私、悪い子なんです、私のせいで、今度も、あの時だって、私が、私が居なければ!!」
「かなみちゃん……?」

泣いている、ぼろぼろと、大粒の涙を零しながら、かなみちゃんが泣いている。

「あの時、楓さんが、事故に遭ったあの時!! 私が、私が教室に忘れ物なんかしたから、葵ちゃんは待ち合わせに遅れそうになって、事故の時だって、私、車に気が付いてたのに、私の方が楓さんより、全然葵ちゃんの近くに居たのに! 私がもっとちゃんとしてれば!! 楓さんが事故に遭う事なんて無かったのに!! ううん、そもそも、私が、私なんかが、一緒に居なければ、葵ちゃんは遅れることもなくて!!」
「かなみちゃん、いいから、もういいから!!」
「今度の事だって!! あの人達!! 目的は私だったのに、私が居なければ!! 私が最初から、あの力を使っていれば!! 楓さんも葵ちゃんも東雲先輩も!! 危険な目になんか、私、私、これじゃ、何の為に生き残ったのか!! 私なんか死んじゃえば!! こんな、こんな私なんか、生まれてこなければ!!」
「かなみちゃん!!」

かなみちゃんを抱きしめた、何を言っているのだろう、この子は何を勘違いしているんだろう。

「………かえで、さん?」
「俺も葵も、かなみちゃんが大好きだよ、大事なんだよ、だから、自分の事をそんな風に言うもんじゃない。」

胸に抱きしめて、右手で髪の毛を撫でてやる、左手はあやすように背中をぽんぽんと叩く。

「かえで、さん、あ、あ、ご、ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい──。」
「ほら、また、台詞が違うでしょ? こういう時には、なんて言うんだっけ?」
「あ、あ、あ、ありがとっ、か、かえでさっ、ありがとっ、ご、ございま、ふ、ふぇ、ふぇぇぇぇぇん。」
「うん、泣いてもいいから、ね、泣いていいから、でも勘違いしないで、俺も葵も、きっと大吾だって、かなみちゃんが、どれだけ良い子かって知ってるから、みんな、かなみちゃんが好きだから。好きな人、大事な人を守りたいっていうのは、当然なんだよ、今かなみちゃんが悲しいのも、俺達のことが大好きだからでしょ? ね、だから今は泣いて良いから、後でちゃんと笑おうね?」
「ふぇ、ふぇぇぇぇんっ!! 楓さぁん!! あ、ありがとっ、ありがとっ、うぇぇぇん!!」
「うん、うん、かなみちゃん、大丈夫、大丈夫、大好きだよ、良い子だね。」

かなみちゃんが落ち着くまで、頭を撫でて好きなだけ泣かせてあげることにした。
内向的な子だ、きっと、ずーっと抱え込んでいたに違いない。全く、そんな事気にしなくても良いのに。



どれだけ泣いたのか、しゃくりあげるような泣き声になったかなみちゃんが顔を上げる。

「か、かえでさん、あ、ありがとうございました……わ、私、私も、楓さん、大好きです。」

ドキリとした、いや心臓無いんだけど、胸がキュンとした、と表現するべきか。
正直、かなみちゃんは凄く可愛い、こんな子に涙顔でそんな事言われちゃ、大抵の男はノックアウトだろう。
もし今の俺が男のままで、もし此処が大吾の部屋じゃ無くて、もし葵が傍で寝ていなかったら……正直、押し倒して奪っちゃってたかもしんない。

「うん、ありがとう、良い子だね、かなみちゃん。」

撫ですぎてぐしゃぐしゃになった髪の毛を、手櫛で整える。
あ、かなみちゃんってちょっとクセっ毛持ちだったんだ。

「あ……あの、良ければ、かなみ、って呼び捨てにして下さい……。」
「ん、わかった、かなみ。あ、俺も呼び捨てで良いよ? なんなら、お兄ちゃんでもお姉ちゃんでも。」
「……お姉ちゃん。」

冗談めかして言うと、そう呼びかけてきた。なんかちょっとガックリしてるよな……。よく聞き取れなかったけど「やっぱり妹なんですね。」とか小声で言っていたような?

「うん、かなみ、良い子だね。」

髪の毛を整えて、額にキスした、何故かは解らないけど、そうしてあげるのが良いと思った。そういえば、怖い夢を見た葵にもよく同じ事をしてあげたっけ。

「あ………っ。」
「落ち着いた?」
「……はい。」
「よし、じゃぁ、笑顔!!」
「………はいっ!!」

うん、良かった、やはり笑顔が一番だ、そう思ったとき、声が聞こえた。

「────なに、してるの……?」




  ───幕間・志藤葵───

怖い夢を、また見た。

暗い穴の中、体中を這い回る虫、幽霊の恨み声、嫌だ、助けて、お兄ちゃん。
怖い、怖いよお兄ちゃん、帰ってきてくれたはずでしょ? お兄ちゃん。
お兄ちゃん、助けて、怖いよ、怖いの、ねぇ、何処に居るの?
暗闇の中、必死に手を伸ばした、ほんの一瞬手が届いたように思えた、お兄ちゃん!!
でも、次の瞬間には、また暗闇の中で一人、やだ、やだやだやだ!! お兄ちゃん!! お兄ちゃん!!
助けて!! 助けてよぉ!! お兄ちゃんっ!!!

目が覚めた。

見慣れない部屋、身体を起こすと、抱き合う二人が見えた、お兄ちゃんとかなみちゃん?
違う……あぁ、そうだ、今はお姉ちゃんだ、お姉ちゃんと、かなみちゃん。

かなみちゃんが私のお姉ちゃんに抱きついて泣いている、なんで?
なんで? そこは私の場所だよ、なんでかなみちゃんがそこに居るの?
なんで、お姉ちゃんは私を助けてくれないで、かなみちゃんを抱きしめてるの?
なんで私の頭じゃなくて、かなみちゃんの頭を撫でてるの?
やだ、やめてよ、ねぇ、お姉ちゃん、私だって良い子だよ? 怖い目にあったのは私もだよ?
私だって、お姉ちゃんが大好きだよ、やだ、なんでかなみちゃんを呼び捨てにするの?
お姉ちゃんは私のお姉ちゃんだよ? お姉ちゃんの妹は私だよ?
やめて、やめてよ、なんで、なんで、かなみちゃんにキスするの?
どうして、怖い夢をみたのは私だよ、なんで私じゃなくて、かなみちゃんにキスしてるの?
お姉ちゃんの妹は私だよ? 私は此処に居るよ? なんで、なんで私の目の前でそんな事するの?

そこは、お姉ちゃんの腕の中は、私の居場所だよ!!

「────なに、してるの……?」

二人が驚いてこっちを見た。

「葵、目が覚めたか?」
「葵ちゃん、身体は大丈夫?」

「なんで、お姉ちゃんは、かなみちゃんを抱きしめてるの?」

「え、いや、これは。」
「あ、きゃっ、わ、私ってば、わわわわっ!!」

「──やめて。」

「葵……?」
「葵ちゃん………?」

「やめて! やめて!! やめてやめてやめて!!! そこは私の居場所だよ!! その人は私のお姉ちゃんだよ!! 私のお姉ちゃんから離れてよ!! 私のお姉ちゃんを取らないでよ!! 嫌い! 嫌い!! 嫌い嫌い嫌い!!! お姉ちゃんもかなみちゃんも嫌い!! 大嫌い!!!」

「葵ッ!!」
「葵ちゃんっ!!」

そこから先はよく覚えてない。
体の中を得体の知れない力が駆け抜けて、気が付いたら部屋の中が滅茶苦茶で、お姉ちゃんが怪我して倒れてて、それを助け起こそうとしてるかなみちゃんも怪我してて、私、私、いま、いったい何を──?

「あ、あ、あ、あぁっ!! あぁぁぁぁぁぁっ!!」

そして私は割れた窓から飛び出して──気が付けば一人、森の中を走っていた。



──次章に続く──



三度目まして、K.伊藤です
「次は四度目ましてなのか!? そろそろ別の出だしにしろよ!!」と楓クンなら突っ込む所でしょうか(笑

事件発生の章、起承転結の転に当たる部分です、
変身シーン、カーチェイス、戦闘、ヒーローズ&ヒロインズの能力発動、ようやく描けました。
しかし、描写を細かくすればスピード感が、スピード感を重視すると描写が疎かに、戦闘シーンって難しいですね、要修行です。
いや、それよりも問題なのは、コメディを名乗ってるのに笑いの要素が薄く成っちゃってる事でしょうか……。

此処が面白い、此処が駄目、気が付いた点があれば、指摘して下されば幸いです。

さてさて、補足説明……という名の雑話。

「エンツォフェラーリ」
そのメーカーの作る車は既に工業製品で無く、一つの美術品、名はフェラーリ
そのフェラーリ社の創始者の名前を冠した車、それがエンツォフェラーリ。
最も速く、最も気高く、そして、お値段も半端じゃありません(笑
なんと1億円、世界で349台しか無いので、今買おうとするとプレミアでもっと高いでしょう。
楓クンの反応はむしろ淡泊な方だと思います、私が実物見たときは「うぉぉぉぉ!?」でした。
でも一番好きなのはF40。

「TZR250後方排気」
大吾クンの愛車TZR。販売修了からかなり経った今も、根強いファンが居るこのバイク、私もその一人です。
メカニカル的な説明は省略しますが、色々と面白いバイクで、そのじゃじゃ馬っぷりは当時最速と呼ばれていたNSR以上でした。
何より音が良いんです、流石は楽器も作ってるYAMAHAです、ってのは関係ないかな(笑


では、宜しければ次章「ステップ イントゥ ザ ダーク(仮)」もお付き合い下さい。

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