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「おやすみ。」
 そう言って私は床に着いた。
 いつもと変わらない生活に飽き飽きしながら。



Dream Theater

作:夢追い人




 プーン、そんな音を立てながら電車がホ−ムに入って来る。
 今、布団に入ったところのはずだ、何故、私はここに居るのか。
「お客さん、乗らないんですか?」
 駅員と思しき人にそう話しかけられて、はっと前を見る。
 そこには、誰一人乗っていない電車があった。
 私は急いで乗る。乗ればつまらない日常が変わるような気がして、何かの場所を、思い出せるような気がして。
「劇場行き、まもなく発車いたします。」
 私を除いては誰も居ない車内に、運転手と思しき人の声がこだまする。
 プシュー、そんなコーラを開けたときのような音と共に扉が閉まる。
 一体、何故この電車に乗ったのだろう、そう思う。
 何故か、退屈になって思い出すのは金がどうとか、人間関係がどうとか、そんなことばかり。
 ここは、夢の中のはずなのに。
「まもなく、終着駅、劇場へ到着いたします。」
 そんなアナウンスが流れ、とりあえず私は降りてみる。
 降りた先は、ただの、どこにでもありそうな公民館のような建物だった。
 夢にしては、やけに現実的じゃないか。
 そう思いながら、何となく、入ってみる事にした。
 中を見てみると、ただ、一面の暗闇だけがあった。
 見てみたい!! そう、声が心の中のどこかから聞こえてくる。
 ただ、一途な好奇心。
 そんな所が自分にもあったとは、認められなかった。
 突然、上の明かりが灯った。
 明るさに、目が眩む、そんなことは無い。
 逆に、目は不思議なほど、すぐに慣れた。
 そこには、数名の人が。
 話しかけるのも億劫だったので、とりあえず、たまたま空いていた席に座る。
 自分の体が包まれるような感覚、まるで、自分の為だけに作られたように。
 再び、暗くなり、前にあるスクリーンに何かが映し出された。
 何か、それは分からないが、何か特別な意味があるように感じた。
 懐かしい、そう、はっきりと感じた。
 その後、再び、駅に戻った。
 時刻表があったので見たが、何故か、帰りの電車が無い。
 歩いて帰れと言うのか……?
 そんな事は不可能だ、何故なら、道が分からないから。
 劇場に居たと思しき人が駅へ出てきた。
 私は尋ねる。
「あちらへ行きたいのですが、道を知りませんか?」
 その瞬間、人の波が来て、私を行きたい方向とは真逆へとさらって行く。
 しかし、安心感があった。何かに抱かれているような。
 次第に意識が薄れていく。
 薄れゆく意識の中で、確かに聞いた。
「元気な女の子ですよ。」





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