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イインジャー      By  Blue - μ
  第9回

「おのーーれ。なんたることじゃ。さいていじゃーー。」
大河原院長はまったくおもしろくなかった。
イインジャーの面々は、
怪人の2倍は強くしているはずだったのだが…。
その力をうまく発揮することができなかったのだ。

「こんちくしょーーーう。」
おもわず、
手に握っていた、怪人用のリモコンを投げつけてしまった。
怪人が、その力をいいことに、ショウをぶち壊して、
勝手に暴れだしはしないだろうかと、
万が一のためと、持っていたのだった。

「おのれーー。怪人の分際で、
よくもイインジャーをやぶってくれたのぅ。」
怪人控え室の、脇の通路で、
まちぶせしていた大河原院長は、
持っていたリモコンを、怪人3人に向けた。
が…。どうやら、さっき投げたときに、
ぶっ壊れたようである。
何度やっても、怪人が言うこと聞かないのだ。

「なにやっとんの、『おっさん』。」
「ん??『おっさん』の声、どこかで聞いた声だなー。」
「ほほう。その声…どうやら、
『おっさん』、
てめえ俺たちを指図していた、首領だろー。」
大河原院長は、あっと口を押さえた。
しまった…とうとう『怪人たち』に、
正体まで、ばれてしまったのだ。

「リモコンはどうやら、壊れたようだなー。」
「ということは、俺たちは自由だな…。」
「やっちまえーー。」

「このやろーー。どうしてくれるんだよーー。」
「元に戻しやがれーー。」
と、首領…いや、
大河原院長はボコボコにされてしまった。

そして、アジトに連れて行かされ、
その横にある手術室で、脅しに屈して、
元に戻す手術をさせられてしまった。

元に戻す手術は、人間のときのデーターが、
きちんとそろっているので、
怪人にする改造より、はるかに簡単であった。
(そんなもんなんだろうか。)

こうして、3人はめでたく、
人間の姿に戻ったのである。

「けっ。まったくよーー。」
腹いせにタッキーが、手術室の壁を蹴った。
おもいっきり、壁に穴が開いてしまった。

どうやら、手術のあとでも、力はそのままだったようだ。

後日談だが、その後3人は、
あの幼稚園に大歓迎で迎えられて、
力持ちの保育士として、生涯働き、尊敬されたそうな。

めでたし。めでたし。

一方、イインジャーたちはというと、
とぼとぼと、みじめに帰路についていった。
…最初の『ミッション』というか、『営業』は、
彼らにとって、大失敗であった。

思ったより、『レッド』は強くなかった。
そして、あの戦いぶりからは、
『ブラック』と『ブルー』も強くなさそうだ。

「もうすぐ、チャンスくるかもね。」
意気消沈している3人を尻目に、
『ピンク』と『イエロー』の顔は明るかった。
2対3なので、
今ひとつこの3人と、戦う気にはなれなかったのだが、
こんな調子なら、何かのきっかけで、
やっつけられると思ったのだった。

大河原医院に着いて、待合室から診察室に進む。
ちなみに、土曜の午後は休診となっているので、
他の患者、看護師は誰もいなかった。
5人は、薬品棚の、秘密の扉を開けて、
研究室へ帰っていった。
大河原院長は、
イインジャーは洗脳されていると、思っているので、
こういうところのセキュリティーは甘かった。

つまりは、秘密の扉のことを知った後も、
モモとキーちゃんは、逃げださなかったのだ…。
大河原院長の野望を打ち破るために…。
もとの体に戻してもらうために…。

いや、もしかすると、キーちゃんは、
いや、モモだって…、
『妖しい』生活を楽しみたくて、
逃げなかったのかもしれないが…。

研究室に戻って、しばらくしても、
大河原院長たちは姿を現さなかった。
そりゃそうであろう。
怪人たちの手術をしていたのだから。

『男』3人は、落ち込んで??いや、いつもどおり、
部屋で無言の反省会??をしていたし、
モモとキーちゃんは、モンローデパートで買わされた、
コスチュームを脱いで、
いろんな服を脱いだりきたりして、
ファッションショーをやっていた。
「きゃーー、キーちゃん。何着てもかわぃぃぃぃぃぃ。」
おいおい。今がいいチャンスではなかったのか。
ちなみに、今のキーちゃんの服装は、
シームレスのブラに、
ピンクハ○スで買ってもらった、
ローズプリントのキャミソールと、
白地のフレアスカート。
夏向きのかわいらしい服装をしていた。
「俺って…そんな、かわぃぃ??」
「もーーう。また、『俺』なんて、言葉つかっちゃって。
そこはそこで、またかわぃぃんだけどねーーー。」
モモにHUGされ、
そして…そのまま…さらに時間がたった。
「あーーーーーーーんっ…。」

だーーーっなんなんだ。この2人。

そのころ…、『もと怪人』タッキーが、蹴飛ばして空けた、
手術室の大きな穴。そこから、異様な人物が現れた。
そうもう一人、味方??が這い(はい)でてきたのだった。

「よくも、私をこんなとこに閉じ込めておいたわねーー。」
もう、何も言わなくてもわかるであろう。
オネェ言葉の、○郷猛似の男、『グリーン』である。
そうなのだ。怪人たちを手術した部屋は、
イインジャーたちを手術した部屋で、
そのとなりに『グリーン』は閉じ込められていたのだった。

「なんてとこに、閉じ込めてくれたのよーー。
こうしてやる、こうしてやるーーーーーー。
こんどこそーー、絶対に、
逃げだしてやるんだからぁぁーー。」
『グリーン』は、その強力な力で、手術室の道具を、
手当たりしだい、いろんなものを投げつけた。
酸素ボンベが、大河原院長の、
目の前を通り過ぎて、横壁に大穴をあけた。

「なっなにやっとる、そいつを、抑えるんじゃー。
親衛隊ーーーーーーー。」
「はっ。」
といったものの、親衛隊は何人いても、
怒りのパワーで満ち溢れている、
グリーンの敵ではなかった。
「あんたたちーー、じゃまよーーーーー。」
その一言のもと、
ものの3秒でみんな倒されてしまったのだ。
院長は、あわてて研究室に走り出した。

「おーーーい。助けてくれーーイインジャー、
わしをたすけてくれたら、いいんじゃーー。」
とっさにしゃれをおりまぜながら??
院長が研究室にやってきた。

「はっ。総統閣下。戦います。」
『レッド』、『ブラック』、『ブルー』が3人がかりで、
『グリーン』に立ち向かった。
3人とも、モンローデパートで買った、
コスチュームのままだった。

怒りの『グリーン』対、
『レッド』、『ブラック』、『ブルー』の戦い…。
しかし…。
「きょえーーーーーー!!!!」
「じゃまよーー。」
「ちょはーーーーーーー!!!!」
「じゃまなのよーーーーー。」
「あたーーーーーーー!!!!」
「うっとうしいわねぇぇぇぇぇぇ。」
3人ともあっという間に、
壁にたたきつけられてしまった。
弱い。あまりにも弱すぎる。
親衛隊と比べても、
まったく変わらないぐらい弱すぎる。

「とほほほほほほほ。顔で、
力が決まるわけではなかったのか…。
なんて、いうとれんわい…。
おーーい、『イエロー』『ピンク』…、
って、2人ともなんちゅう、かわぃぃ…いや、
格好しているんじゃーー。
えーーいどうでもいい、わしを守ってくれーーー。」
院長は、とっさに、
キーちゃんの、後ろに回って隠れたのだった。

「え????」
「次は、あなたねーー。こっちからいくわよーーー。」
まったく、こういうことを、
予測していなかった『イエロー』めがけて、
『グリーン』が突進してきたのだ。
絶体絶命。
キーちゃんあやうし!!!!

キーちゃんは、パンプスはいていたのだが、
必死で逃げ回った。

逃げ回りながら、モモにたずねた。
「えーーーっ、おねーさまーー…どうしよーーー。」
「そのまま追っかけられてなさーーいーー。」
「そしてどうするのーーーー。」
「立ち止まって、腕が伸びてきたら、
つかんで投げるのよーー。」
「え?よくわかんないよーー。」
「いいから、わたしが『はい』と言ったら、
立ち止まって!!」
「なに、ごちゃごちゃ言ってるの。あんたたちーー。」
『グリーン』は、追いかけるのに夢中で、
モモの声は聞こえていないようだった。

「はいっそこよっ。」 ここがチャンスと、モモが声を上げ、
キーちゃんはぴたっと立ち止まった。
「なに、立ち止まってるのーー。いくわよーーーー。」
『グリーン』が、その怪力??で、
『イエロー』をつかもうとした…。その瞬間であった。
「いまよーー。腕つかんでーーー投げてーー。」
キーちゃんは、モモの指示通り、
伸びてきた『グリーン』の腕をつかみ、
一本背負いの要領で、
見事、投げ飛ばしたのだった。
さすがは怪力キーちゃんである。

「あーーれーーーーーーーー。」
『グリーン』は、壁にたたきつけられ、
完全にのびてしまったのだ。

「よくやったーーー。
さすが、『イエロー』…。
お前は、本当につよいのぅ。」
大河原院長が、キーちゃんに抱きついてきたのだ。

「えーーーーーーーーっ、
やっやめてくださーい。つーか、
やめんかーーーーーー。」
思わず、院長を突き飛ばしてしまった。
院長も、壁にたたきつけられたが、
『グリーン』がクッションとなって、助かった。

「『イエロー』…おっおまえ…、
洗脳されてなかったんか??」

しまった!!!!
どうやら、ばれたようだった。
しかし…ばれたところで、誰が大河原院長の、
言うことを聞いて、
この『怪力娘』と、戦うというのだろうか。

「キーちゃん。大河原院長を捕まえて。」

「はいっおねーさま。」
キーちゃんは、院長の左腕を捕まえて、
ぐいとひっぱりよせた。

「なっなんだ???何をしているんじゃ??
ちまようたかーー。」
大河原院長は、とっさに右手で、
リモコンを取り出し、キーちゃんに向けるが、
当然ながらまったく効かない。
キーちゃんはその様子が、
あまりに、こっけいだったので、
左腕だけ握り締めて、しばらく眺めていた。
「なぜじゃ、なぜリモコンが壊れとるんじゃ。
あのとき、投げつけたんは、
怪人のリモコンだけだったはずじゃーー。
なぜじゃー。なぜなんじゃーー。
うっうっうーーーそれにしても、
びくともせんーーーー。…とほほほほ。」

『イエロー』こと、キーちゃんは、
たいした力を加えている様ではない。
なのに、ものすごく強い力なのである。
左腕が、まったくはずれないのだ。
もちろん、あの変な格好に変身しているわけでもない。
そうなのだ。改造も個人差があって、
キーちゃんは、もともとの能力からと、
大河原院長の趣味で『徹底的』に、
改造されたことによって、
完璧な体??にされていたのだ。

最後は、あきらめて崩れ落ちる院長だった。
キーちゃんの力は、あまりにも強かった。
完全に、負けであった。

「それにしても…。」院長がぼそっと言った。

「それにしても??」
院長の言葉に、モモが聞きなおした。
「痛かったが、キーちゃんのバストに触れていた、
左腕の感触、よかったのぅぅ。」
「ばっばっかやろーーーーー。」
キーちゃんが、院長をもう一度突き飛ばした。
今度は、『レッド』がクッションになって、
院長は助かったが、
『レッド』は完全に伸びてしまった。
つくづくかわいそうなやつである。

結局、大河原院長は、ワイヤーで縛られた。
ここには、拘束用の道具など、
余るほど用意されてある。
このワイヤーは、おそらくは、
『改造人間』だって、きっちりと縛られるものであろう。
(実は、改造後、暴れる『グリーン』が、
縛られていたワイヤーなんですけどね。)
とっても強い材質であった。

こうして、大河原院長の野望は、ほぼ、絶たれた。
親衛隊と、『レッド』・『ブラック』・『ブルー』も、
同様に、ワイヤーできっちり縛られて、
身動きできなかった。

『グリーン』は、パニックから治まって、
ほぼ正気に戻っていた。
「ごめんねぇ。あなたたちは、私の味方だったのねぇ。」
声はあの本○猛の声、
はたから見ると、あまりにも、不気味だったが、
本人は『似合っているつもり』で、けろっとしていた。

だけど、そんなことより、
大河原院長を捕まえることができたのは、
『グリーン』のおかげである。
『ピンク』と『イエロー』は感謝していた。
が…『グリーン』のおしゃべりは、
とまらないとまらない。…あの声で。

「なーーんか、疲れ気味だったからぁ、
大河原医院へ行ったのよねぇ。
せんせといろいろ、話してぇ、
『1人で、お店やってますっ。』てぇ話したら、
『1人でいることはすばらしいことじゃ。』とか、
いわれてぇ、ベッドの上に横になったら、
そのあとの記憶なくってぇ…、
いつのまにか、改造されてぇ、
すごーーくこわかったのぉ。
変なヘッドホン、何度もつけさせられてぇ、
そのたびに、せんせ怒るのよねぇ。

私は、ただ、ただ怖かったからぁ、
何度も逃げたしたりしたけどぉ、
いっつも失敗してぇ、
とうとう最後には、
ものすご゛――く頑丈な、
ロープとチェーンに縛られてぇ、
それでも、暴れたらぁ…。
麻酔の注射打たれてぇ…、
そのあとは、
牢屋の中に、閉じ込められていたのねぇ。
だけどぉ、
まあ…私が住んでいた部屋よりは立派…、
なんてことは、どうでもいいことなのよぉ。
閉じ込められているってことは、
最低の環境なんだから…。

もう…、すっかり逃げ出すこともあきらめてぇ…、
いじけて…じーーーっとしていたんだけどぉ、
さっき、ものすごい音がして、
牢屋が壊れちゃったのね。
あらーー、案外ともろかったのねぇ。
あきらめないでぇ、もっと早く壁を、
蹴倒しとけばよかったわぁ。

今度こそ、今度こそは、絶対、
自由になりたかったのぉ。
もう、チャンスなんてないと思ったわ。

すると、穴の向こうに、
せんせがいるじゃない。

今までは、ただ怖かっただけだった…。
だけど、こんどはちがったのぉ。

それまでのこと考えていたら、
だんだんと怒りがこみ上げてきたの。
もうゆるせなーーいってぇ。

すると、力がみなぎってくるじゃなーい。
なんか、みーーんな、
やっつけられそうな気がしたのね。
もう、力もりもりってかんじ。

でもってぇ、信じらんなーいくらい、
あっさり倒れてくれたものね……。」

まだまだ、到底終わりそうになかった。
どうやら、怒ることによって、
パワーが何倍にもなることは、
本当のようだ。
洗脳によって、感情に乏しい、
親衛隊や、『3人』の敵ではなかったのだ。



…つづく…



…あとがき…

「えーーーん…。」
「キーちゃん…って、あとがきだけみると、
ほっんとなきむしよねぇ…」
「えーーん。」
「いつまで泣いてるの!!」
「だって、久しぶりの登場だったんだもん。
うれし泣きと悲しなきなんだよー。」
「仕方ないでしょ??ロッテがプレーオフ制して、
日本シリーズ制して、アジアシリーズ制して…と、
忙しかったんだから。
「えーーーーーっおねーさまって、
ロッテファンだったの??」
「いけないかしら??」
「でも、野球見ながらでも登場できたんじゃ…。」
「無理よーー。応援中は、登場できるわけないじゃない。
ずーーと、飛び跳ねてなきゃいけないんだから…。
ターリラリラリラーーん、(エリーゼのためにの曲で)
ウイアーーロッテーーマリーーンズーーー。」

「しっしんじらんない…おねーさまが…
ロッテファンだったなんて…。
ゆるせないーー。」
「じゃ、キーちゃんはどこのファンなのよー。」

「ライオンズ…。」
「えーーーーっライオンズなのーー。」
「ロッテに2敗したけど、
来年は、敵討ちだからね。」
「あっプレーオフの1ステージの2敗か…。
まっかかってきなさい…。
来年も負けないからね。」
「え?ちがうよ??」
「なにがぁ?」
「アジアシリーズで2敗したんだよ。」
「え??」
「サムスンライオンズのファンなんだよーー。」

「そっちかい!! って、なんでやねんっ…。」
「だって、サムスンの応援が、
大好きになったんだもん…。
いぶし銀のキム・ジョンフンもいいけど…。」
「あーーっ、あの踊るチアリーダーに、
目がうつったなー。って、
キーちゃん、それって浮気??
私というものがありながらーー、 くやしーーーー。」
(といいながら、モモ、キーちゃんの胸をぎゅっと掴んでもむ。)
「あーーーーーーん…。
けっきょくおちはこうなるのーーーーー。」


…五言絶句!!!!!!…

…終了…

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