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イインジャー      By  Blue - μ
  第8回

名前「門路毬鈴(もんろ まりりん)」
司会のおねーさんである。
門路…の苗字に、ピーーンとくるだろう。
おねーさんは、モンローデパート社長の、
末娘なのである。
って、モンローは、苗字からつけたネーミングなのか。

決っして、このお姉さん、
選ばれてこの場にいる人じゃないということを、
はじめに言っておこう。

「えーーーとぉ、どうしよう…
そだ…君たちこっちきてーーーー。」
おねーさんは、舞台の左袖にいた、
怪人たちと目があってしまった。
『3人組』は言われるがまま舞台に進んでいった。

通常なら、怪人が登場し、
約束された『よい子』の誰かを誘拐するとか、
悪い企みをしようとしているところに、
正義のヒーローが口上(こうじょう)立てて登場し、
戦うというシーンである。

最初っから、拍子抜けの司会進行である。
しかし、一番問題なのは、
『社長令嬢』のすることに、
モンローデパート側のスタッフが、
誰も口出しできない状態だったのが、
最悪??だった。

イッツ、マリリン モンロ ショウと言っても、
過言じゃない、状態。
さーーーー。これからどうなる!!

「君たちぃぃ、怪人さんですかーーー??」
はぁ??
しかし、ここは『悪の代表』として、
しかと答える必要があろう。
「そうともーー、俺たちは怪人だーーー。」

きゃーー。子供たちの中に、少し嫌がる声が聞こえる。
ここまでは、よかった…。
が…。

「だめでしょーーー。
そんなきたないあいさつはーーーー。
やりなおしーーーーーーー。
よいこのみんながーーーーー、
びーーーっくりしているよーー。
かわいく…ねーーーーーーーー。」
はぁ?????????

3人は目を合わせた。
しかたない。ここは『おねーさん』がすべてなのだと。
「はーーーーーい。俺がネズミミズでーーす。」
「だめーーーーー。『俺』なんて言葉はーー。
よいこのまえではーー『ぼくーーーっ』て言わなきゃ。
そしてーーあだ名でこたえなきゃーーー。
君は、いつも何てよばれているの????」
「マッキーですけど……。」
あっ…しまった。マッキーは素で答えてしまった…。
しかし、おねーさんはことのほか?上機嫌だった。
「かわぃぃぃぃぃぃ。マッキーねーー。
お顔はちょっと、個性的だけど、みんなーーーーーー。
この子のこと、マッキーーーーとよんでねーー。
せーーのーーーーー。」

「マッキーーーーーーー。」

かわいい声が飛んできた。
え??????????
うけているじゃん。

恨みと怒りを抱いて、やってきた会場だったはずである。
しかし、自分達が注目されているのである。
この、かわいい声援に、今までのくやしい想いが、
じんわりと溶けていくようであった。

同様に、「サッキー」「タッキー」と、
みてくれの異様さに対し、何の偏見も持たずに、
子供たちが応援するのであった。

「すばらしい…教育の指導がありましたね。
どんな恰好をしていても、
みてくれで判断してはいけないと、
日頃教育した甲斐がありましたねぇ。」
子供たちの横で、シスターが涙ぐんでいた。

絶対におかしい。絶対におかしいぞ。
このヒーローショウ。

で、一方舞台の右袖は、イインジャーが、
いまかいまかと、出番を待っていた。
「おそい、おそいぞーー。」
洗脳によるものなのか、感情に乏しい『レッド』が、
イライラし始めた。

「なんか、変なヒーローショウね。」
モモこと、『ピンク』がキーちゃんこと『イエロー』に、
こっそり耳打ちした。
「そうだね。」
キーちゃんが答えると、
「ダメよ。女の子は、『そうよねー』とか、
かわいく言わないと…。もーーう。」

言葉の端々に、イライラがわかる、
『ピンク』であった。

「さーーーて、今度は、
マッキーとサッキーとタッキーの、
お友だちをしょうかいしまーーす。
おともだちーーーーーーーーー。」
ん??出番なのか??
5人はやっと舞台にでてきたのだった。

「おともだちーーーーーーー。
おなまえはーーーなんていうのーーーーーー?」
質問がまず、リーダーみたいな、『レッド』に向けられた。

「俺は『レッド』だ!!」

『レッド』はそれでも、少しかっこよく、
答えたつもりだった。
しかし、普通の恰好をしているときは、
少し厳つい(いかつい)男なのである。
『迫力』があった。
それまで、なごやかだった、
雰囲気が壊れてしまうようであった。

もちろん、おねーさんが『レッド』を注意する。
「だめよーーーーー。『俺』なんてことばつかっちゃ…。」
ここまでは、マッキーと同じだったが…。

『レッド』は、洗脳によるものなのか、
自分の世界しか見えていなかった。
さんざん、出番を待たされたイライラもあって、
ついに爆発したのだった。

「うるさいわーーーーー。
『俺』は『俺』なんだーーーー。つべこべいうと、
正義の鉄拳が飛んでくるぞ。」

「こわーーーーーーーーーい。
みんなでなかよくできないの??
おともだちーーーーー。えーーーーーん。」
と、おねーちゃんは泣いてしまったのだ。

「わーー、おねーちゃん、
なーーかせた、なーーかせたーーーー、
へんなひとたーーちが、なーーかせたーーー。」

完全に、イインジャーは、
子供たちのの敵になってしまった。

「まってーー、私たちが悪かったわ…。」
雰囲気を呼んで、『ピンク』が前に出ようとした。
『ピンク』のウインクで、
『イエロー』もそのことに気がついたのだが…。
あとの3人は、臨界点に達していた。

「ええーーい。5人そろってイインジャー。
6人いても、イインジャー。
目の前にいる敵をやっつけてやるーー。」
そして、脈絡もなく、回り始めた。

「おれたちがヒーローだ。おれたちがヒーローだ…。」
『ピンク』は、もうしらなーーいと、『イエロー』に、
クビを横に振って見せた。
ここで、洗脳されていないことを、
ばらすわけにはいかない。
空気は、そういうことをしてはいけないと、
おもっているのに…。

5人はグルグル回りだした。
そのスピードがだんだんとあがって、
今までなかった光が輝き始めた。

そして、変身…。
いままで、かっこいいと、
(大河原院長が)思っていた瞬間である。

しかし、その光は逆に、
今回の和んだヒーローショウには、
まるで逆効果だったのだ。

「こわいよーーーー。あの光なーーにーー。」
「いやーーーー。変だよーーーー。」
「あんな人たち、かっこつけているけど、
わるものじゃん。」

子供たちは、異口同音、
イインジャーの悪口?を言い出した。

「5人そろって、イインジャー。」
変身し終わったとき、その5人の姿は、
ある意味、異様であった。
そりゃそうだろう。
5人の人間が、ぐるぐるまわって、
光はなって、変な恰好になるのだから。

「もーーう。おねーーさんのいうこともきかないで、
なかよくできないのならーーー、
おねーーーさんもーーーおこったわよーーーーーー。
マッキー、サッキー、タッキーーー。
あの5人をやっつけてーーーーー。」

「マッキー。」
「サッキー。」
「タッキーーー。」
子供たちの声援を浴びて、3人は心強かった。

「ネズミミズアターーック!!!!」

「ハエリマキトカゲ空中キーーク!!!!」

「ゴキブラジル サーーンバ。」

ズンタタズンタタズンタタズン…
って、これが攻撃かいっ。

「ギャーーーーーー…。」

相手もそれなりに改造した敵である。
なかなか、いや、むちゃくちゃ強い。
大河原院長は、
ここまで、怪人を強くした覚えはなかった。
そうとう頭をひねっていた。
そしてなにより、子供たちが敵を応援しているのである。
イインジャーは力が出なかった。
いや、変身ポーズだけで、
どう戦うか、戦いの『特訓』はまったくしていなかったし、
戦略なんかも、何にも考えていなかったのだ。

大河原院長はじめ、モモもキーちゃんも、
残りの3人も、
そのことに気がついていなかったとは、
あまりにも大間抜けであった。

戦いは、個人が、適当にバラバラ戦っているだけ。
さらに、『ピンク』と『イエロー』は、
戦う気などなく、適当にあわせていただけだったから、
実質、3対3の戦い。
さらには、日ごろ気心しれている、いや、
ケンカ慣れしている3人組の攻撃との差。
子供の応援がなく、
まじめに戦っても、その差は、歴然としていただろう。

さらには、一番強そうだった、『レッド』が、
みかけだおしだったのだ。
ものの1分もあっただろうか。
いかにも、貧弱そうなハエリマキトカゲキックに、
のびてしまったのだ。

ヒーローはあまりにも弱すぎたのだ。

リーダーをみて、完全に『ブラック』と『ブルー』は、
諦めがついてしまった。

「こっこうさんします…。」
5人は、もう、どうしようもなかった。

「いいぞーーマッキーー、
サッキーー、
タッキーー。」

3人の怪人は、子供たちのヒーローだった。

こうして、ショウは終わってしまった。
子供たちは、満足して、シスターは涙して、
おねーさんこと、まりりんはニコニコして、
そんな娘の活躍に、バカパパ…じゃなかった、
モンローデパート社長は、大喜びして、
ショウとしては、結果的に大成功であったのだが、
一部に、おもしろくない面々があった。
大河原院長と、親衛隊であった。
もっとも、親衛隊は、ただ黙っているだけなのだろうが。



…つづく…



…あとがき…

「えーーーん…。」
「キーちゃん…って、こんな話じゃ泣きたくなるわよね。…」
「ちがうの…おねーさま…。」
「じゃ、どうしたの??」
「ここのお話って、TSじゃないと、いけないんだけど。
その趣旨からどんどん…この話ずれていっているような…。」
「じゃ、もうひとりぐらいTSさせる??」
「それ、いいかも…。誰にしよっか??」
「そうね…。といっても、TSさせて美しい人じゃないと…、
みんな、ひくんじゃない…???」
「うん、やっぱり…、おねーさまが…??」
「はあ?? 私??って、私最初から、女じゃない…。」
「だから…、おねーさまも、実は…。」
「実は、私が男だったって??って、作り話でもいやだわ!!
なんてこと、考えるのよー。このこったら!!」
「あ ーーーん…。」
「バストの、つかみ方は『おやじ』はいってるし…。」

「はははははは。おやじねぇ…。」
「ぜーーったい、はいってる!!」
「うるさいわねぇそんなこというなら…こうして、あげるから。」
「ねーちゃん…いいちちしとるのぅ…。」
「あーーーーーーーーーーん…。おやじじゃんーー。」


…いいかげんにせい!!!!!!…

…終了…

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