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イインジャー      By  Blue - μ
  第7回

さて、ここは第794代ショッカーのアジトである。
しかし、部屋の奥から、
「私をここからだしてーー。」と、
怪しいオネェ言葉の、男の声がかすかに聞こえてくる。
案外、みんなが知っている場所なのかもしれない。
(って、どこなんや…。)

3人のぷーたろー、
マッキーとサッキーとタッキーは、醜い怪人に改造されて、
怒りをどこかにぶつけたがっているようだった。

「この怒りはセ○ンイ○ブンであばれてやる…。」
そうマッキーが叫んでいたところに、
鷲のマークの、赤いランプがピカピカ光りだした。
「おいおい、そんなこころざしの低いことでは困るぞ。ネズミミズ。」
「ネズミミズって、俺のことかよー。」
「そうだ。ネズミミズ。お前はネズミとミミズのいいところを、
持ち合わせた怪人なんじゃ」

(…ネズミのいいところは、まあわかるとして、
ミミズのいいところって、いったいなんなんだろうか。)

「何でもいいわ。おっさん。俺たちをこんな姿にして、
何がしたいんだよー。」
サッキーが怒りを『首領』にぶつけた。
「おっさんとはなんじゃ、ハエリマキトカゲ。こうしてくれるわ。」

「ぎゃーーーーー。」と叫んで、
ハエリマキトカゲこと、サッキーが倒れた。
赤いランプから、リモコンの電波が届いたのであろう。

が、次の瞬間立ち上がって、
「おれたちがヒーローだ。おれたちがヒーローだ…。」
と、いきなりグルグル回り始めた。

「いかんいかん、スイッチを間違えた。」
と、首領が明らかに動揺していた。

ハエリマキトカゲこと、サッキーは、
倒れて、もう一度起き上がって、
「第794代ショッカー万歳、悪万歳…。」と言って、
ぐるぐる回りだしたのだ。

「おい、サッキーしっかりしろよ。」
と、タッキーがサッキーの肩をつかんだ。

「心配はいらない。ゴキブラジル。」
首領の声がする。
え?????
タッキーは固まった。
「ネズミミズ」は、ネズミとミミズの合体、
「ハエリマキトカゲ」は、ハエとエリマキトカゲの合体、
まあ、不本意だが理解はできる。

しかし、「ゴキブラジル」はないだろ???
ブラジルの国民が黙っていないぞ。
(いや、そんな問題ではないだろうが??)

第一、ゴキブリの特徴はわかるとして、
ブラジルのいいところって、
陽気で明るいところなのだろうか??
うーーん…。

「ハエリマキトカゲは、すぐに自由になるじゃろう。
しかし、わしの言うことを聞かないと、一時的に、
洗脳光線をお前達に浴びせることになる。
すると、いっさいの自由が効かなくなるのじゃ。
こころしておくがいい。」

確かに、鷲の言うことを聞かないといけないようである。
(このシャレわっかるっかな…。『わし』の言うことと、鷲とかけているんだなっ。)

イインジャーの方は、
洗脳できっちりと型にはめ込んであるのに、
(実際は2人ほど効いていないのだが…。)
第794代ショッカーのほうは、言うこと聞かないときだけ、
操る仕組みになっている。
悪の怪人は、首領の言うことを聞いている限り、
自由さが売り物なのだろう…。

ということは、心の自由さからいったら、
『レッド』と『ブラック』と『ブルー』より、
はるかましなのかもしれない。

サッキーが正気を取り戻したとき、
首領に対して逆らえないとわかると、
3人は急におとなしくなった。
しかし、本当はこのむしゃくしゃした気持ちを、
何かにぶつけたいのは、当然のことであった。

「君たちには、コンビニでは舞台が小さすぎるじゃろう??
そこで、わしがいい舞台を用意してやった。
モンローデパートの屋上じゃ。
そこまで、怒りを我慢して取っておいてくれ。」

「はいはい。わかりました。首領様。
で??
俺たちは、そこで何をすればいいんですか。」
ものすごく、投げやりな言葉で、タッキーが質問する。

「なんも考えんでいい。そこで目の前の敵と、
ただ遊んでくれたらいいんじゃ。
おおそうそう。
土曜日の午後1時までに行ってくれ。
ほれ。地下鉄の切符はそこに用意しておくからの。」

鷲のマークのしたに、小さいポストの口(くち)が開いていた。
その口から、切符が3枚でてきたのだ。

「このやろーーーー…。」
「まあ待て。サッキー…俺たち、どの道、
どうしようもない、ワルだよな。
こんな恰好になったけど、
きちんと暴れる場を用意してやるというんだ。
この『ボケやろう』の求める以上に、
暴れまわってやろうじゃないか。
世間をあっと言わせてやる。」
「そうだな。わかった。タッキー。
とにかく、目立ってやろうじゃねーか。」
「そうだそうだ。俺は、のネズミミズの力(ちから)みせてやる。」
「マッキー…ネズミミズになりきってんじゃん…。」

こうして、機嫌をとりもどして???
土曜日…、
3人は地下鉄の切符をもって、駅に乗り込んでいった。

駅員をはじめ、周りにいた人たちは、
みんな少しはびっくりした。
しかし、「何かのパフォーマンスだろう。」と、
それ以上、気にかける人もいなかった。

そして、イインジャーの面々も、
デパートに乗り込んできた。
いざ、決戦???である。

イインジャーの面々は、とても異様だった。
『レッド』と『ブラック』と『ブルー』の3人は、
使用感たっぷりで、よれよれの、センスのない青いジャージ、
『ピンク』と『イエロー』は、おそろの服で、
花柄ベースの、ベストとブラウス。
そして花びらがいっぱいついている、
『ピンク』のかわいらしいスカートに、
白いソックス、赤い靴だった。

そう、男3人と女2人?の差があまりにも、
ひどかったのだ。

当初は大河原院長の趣味で、
統一してウルトラ○ンの科学特捜隊の、
隊員服の予定だった。
この日のために、注文して、用意したのだ。

が、今日になって、
どこでその情報を仕入れたのか、
円○プロの方から、
著作権の侵害として、
コスチューム無断使用の禁止通告と、
そのまま使用すれば、訴えると、申し出があったため、
しかたなく、日頃の外出着??を着てくるしか、なかったのだ。

日頃、『レッド』『ブラック』『ブルー』の3人は、
当然文句言わないので、『特訓』が終わった後も、
いつも、センスのない青いジャージ姿と、
本当にどうでもいい恰好だった。

しかし、『ピンク』と『イエロー』の私服は、
『こんな服かってぇぇぇぇ』 と、甘えに対して、
大河原院長が、
「女性とは、こういうもんかのぅ…。
しかし、かわいいから許すかのぅ…。
でへへへ…。」
(ぉぃ…下心…、見えているぞ。)

とまあ、ほぼ100パーセント認めてくれたので、
かわいい服がたくさんあったのだ。

ちなみに、変身後の『ヒーロー姿』は、
事前に著作権使用料のこと、言い渡されていたので、
少しずつ、いろんなヒーローのいいとこをパクって、
訴えられないよう、工夫して手術してあったのだ。
「とほほほ…当然と言えば、当然じゃった…。
変身前の格好も、著作権対象よのぅ…。
うかつじゃったーー。」
大河原院長はがっくりと、うなだれていた。

しかし…さらなる、おいうちがかかってきたのである。
男3人の貧相な恰好と、
女2人の、ヒーローショウにはとても似合わない、
かわいい服装をみて、
モンローデパートが黙っているはずはなかった。

「まーーーー。さいってい、この恰好はナンザンス。」
営業担当の社員にこっぴどくしかられた。
「用意していた、コスチュームが著作権に引っかかって、
使えなくなったんじゃ…。」
「そんなこと、常識でしょ。あたりまえじゃないの。
はい。うちでショウをやってもらう限り、変身前だろうと、
『それなり』に、ふさわしい格好になってもらいますからね。」
「変身してしまえば、同じじゃーー。」

大河原院長はごねたが、最後には、
ショーそのものの中止と、
中止に伴う、賠償請求の話までされたので、
モンローデパートに『あらかじめ』用意してあった、
変身前のコスチュームも、別に買わざるえなくなったのだ。
って、サイズもそろえて、そういうものも、売っているのか!!
こうなったら、しかたない。訴えられるのを覚悟で、
ウルトラ○ンの科学特捜隊を取りに帰ることも考えたが、
当然そんな時間なぞ、もちろんないし、
もし訴えられて、ごたごたしたことになるのは、
あんまり、いいことではないし…。
当然ながら、選択肢は1つしかなかった。

「とほほほほほ。なんでこうなってしまったんじゃーー。」
大河原院長は、頭を抱えてしまった。
思わぬ出費だった。
ついでにいうと、ウルトラ○ンの科学特捜隊の服も、
かなりお金かけて作っていたので、
このショウでの儲けなぞ、
まるでなかったのだ。頭抱えたくもなるというものだ。

「しめしめ、ここまでうまくいくとは…。」
そのうらで、ニンマリしている、
モンローデパートの営業であった。
単純にヒーローショウの礼金なんぞ、
払ってたまるかい。
もちろん、事前調査で、
コスチュームのことを知っていたので、
「相手が、別な服を用意できないよう、
当日になって、文句言いに言ってくださいね。」と、
○谷プロに事前通報していたのだった。
おそるべし、モンローデパートである。

さて、ぷーたろう怪人3人組も、
別ルートで屋上にやってきた。
途中で逃げだして、暴れることもできただろうに、
もらった切符で、律儀にデパートにやってきたのだった。
案外と、今の若者は、まじめなのかもである。

と、そこにさっき、イインジャーに、
コスチュームを売りつけた、営業担当がやってきた。
「さすがねーー。怪人ちゃん。
いかにも、それらしい恰好だわ。
さっきのヒーローの人たちとは、大違いね。
プロよねぇ…。すばらしいわ。」
怪人たちを、ベタぼめしたのであった。

ヒーローはけなされ、怪人はほめられる…。
このことは、このあと起こることの、プロローグであった。

「ヒーロー??そうか、敵と遊ぶって、俺たちは、
ヒーローと遊ぶのか??」
「いや、ことばのたとえで、ヒーローと戦わなくては、
ならないんだろ??」
「ヒーローという、普通のおっさんかも…。」
「そんなわけないだろーー。」
ここで、モンローデパートに来た、
真の意味をはじめて知る、3人組だった。

「どうする??とにかく暴れるか??」
「客を人質にとるとか?」
「それは、あんまりやりすぎだろー??」
「いや、こういうときは、
とりあえず名乗ってから、暴れるというのが、
怪人のセオリーだろ??」
と、とっても戸惑っていた。

「君たち、心配しなくていいのよーー。
司会進行のおねーさんの、
言うとおりに動いてくれればいいのよーー。
がんばってねーーー。」
営業担当がはげましてくれた。
「そかそか、それなら安心だ…。」
(そうなのか)
笑顔も見せる、(見せられるわけないだろうが)
怪人たちであった。

しかし、この司会進行のおねーさんが、
頭のネジ500本くらいとんでいる、おねーさんだったのだ…。

さて、午後1:00になった。
舞台には、カトリック系の幼稚園の子供たちが、
集められていた。
今日び、屋上で、名もないヒーローが戦うなどといって、
誰が集まってくれるだろうか…。
上得意様である幼稚園の園長の機嫌をとるために、
モンローデパートがヒーロー協会に頼んで、
実現したショウなのである。

さらに、子供たちのはるか後ろ、
エレベーター室の壁に、
大河原院長と、親衛隊の面々がずらっと並んでいた。
しかし、さすがにいつもの格好で行くわけにも行かず、
スーツ姿にサングラスなしだったのだが、
それでも、十分異様な面々であった。
声も出さず、ただじっと、
ヒーローショウを黙ってみている大人の面々は、
とても不気味だと思うのだが。

「はーーーーーーい。よいこのみんなーーーーーーー。」
「はーーーーい。」
超おおまぬけの、
おねーさんと『いい子』の声がひびいている。
いよいよショウの開始である。



…つづく…



…あとがき…

「えーーーん…。」
「キーちゃんどうしたの??
わたし、どっこもさわってないわよ。」
「あーーーんじゃなくて…、えーーーん…なの…。
おねーさまとの…、あやしい世界…、
今日、出てこなかったから…泣いているの…。」
「……もーーう、なにいってんのよー…。しょうがないこねっ。」

「あ ーーーん…。」
「…って、そんな感じるのって…、   ん?
って、私、なーーんもしていないでしょ。」
「足が、いたーーーーーーーーーい。」
「あーーーーふんづけちゃってたのねーーーー。
ごめんなさーーい。いたかった??」
「うん…まだ、心臓ドキドキしてる…。」
「え…どれどれ。」
「あ ーーーん…。」
「って、私もう、足踏んでいないでしょ???」
「バストおもいっきりつかまないでーーー。」
「はははははは。じゃ、もう一度…。」
「あーーーーーーーーーーん…。」

…もうええ!!やめんかい!!!!…

…終了…

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