戻る

 ※この話は本編とは「第三話の裏話」という関係です。



 最近あたしは伊藤君に気になることがある。
 その気になることとは「最近あたしたちをなぜか避けていること」である。
 なんで気になるかって?それは避けている理由がわからないからである。
 今日はその伊藤君を水元君と一緒に尾行しようと思う。
 そんなわけであたしは学校へ向かった。




ありえない出来事

番外編 伊藤君の秘密

作:NATO





 あたしの名前は高野友也(たかの・ともや)、河根(かわね)町の青根(あおね)高校に通う高校1年生。
 さっきから自分のことを「あたし」と呼んでいるがあたしは男の子である。
 え?男の子なのに「あたし」は変だって?高校生になってから自分のことを
「俺」と呼んだり、「僕」と呼んだりするのに違和感を感じるようになったのだ。
 ……っと自己紹介が終わったとこで今の状況を説明しよう。
 今、あたしは学校で数学の授業を受けている。
 あたしの隣の席には中学の時からの同級生で今では親友の水元健一(みずもと・けんいち)君がいる。
 授業が終わったら伊藤君の尾行に誘ってみようと思う。
 そんなこんなで授業は進んでいった。




















 キーン、コーン、カーン、コーン……

 帰りのチャイムが鳴った。
 あたしは今朝の計画通りに伊藤君を尾行しようと思う。
 もちろん水元君も一緒だ。
 誘ったらすぐオッケーしたのだ。
 というわけで今、あたしと水元君は伊藤君の後を追っている。
 伊藤君は学校を出ると公園へ向かった。
 そして、誰も周りにいないのを確認するとなぜか女子トイレに入ったのだ。
「な、なんで女子トイレに?」
 あたしは水元君に聞いた。
「さあな。あいつの趣味かな?」
「いや、いくらなんでもそれはないと思う……」
 そんなことをトイレのそばの草陰で話していると女子トイレから伊藤君にそっくりな女の子(?)が出てきた。
「あれひょっとして伊藤君?」
 あたしはまた水元君に聞いた。
「ん〜……伊藤だ」
「え?本当?」
「ああ。間違いない。ほら、この前の足の傷跡が同じとこにあるだろ?」
 ちなみに伊藤君はこの前転んで足に軽い怪我をした。
「うん。じゃあなんで伊藤君はあんな格好を?」
「ん〜わからん」
「まさかあたしの機械みたいな願いを叶えてくれる物を拾ったんじゃ……」
「それで伊藤が『女になりたい』と願ったと?」
「うん。そう思う」
「まさか〜。でもありえる気も……」
「とにかく後を追ってみようよ」
 あたしはそう水元君に言うとその女の子(伊藤君)の後を追った。










 しばらく後をつけるとその女の子はある一軒の店に入っていった。
「洋服屋さんに入っていったから服でも買いに来たのかな?」
「そうだろうと思うけど、『バイト』って可能性もあるぞ」
 ちなみにあたしの学校ではバイトはやっていいことになっている。
「たしかにそれもある。じゃあ、中に入ってみようよ」
 あたしは水元君にそう言うと店の中に入っていった。



「いらっしゃいませ〜」

 店員さんがそう言った。
「さっきの女の子どこだろう?」
 あたしは水元君に小声で聞いた。
「えっと……」
 あたしと水元君はあたりを見回した。
「あっいた!」
 あたしはさっきの女の子が奥のほうにいるのを見つけた。
「気づかれないように様子を見ようぜ」
 あたしと水元君はその女の子を距離を置いて様子を見ることにした。

「店長いますか〜」
 店長を呼ぶ女の子。
「おう! あんたか。今日はこの仕事を頼む」
 その店長は女の子に仕事のリストらしい紙を渡した。
「わかりました」
 女の子はそう言うと店の外に出て行った。

「バイトしてるみたいだね」
 あたしは水元君にそう言った。
「ああ。よし、後を追うぞ」
 あたしと水元君は再び女の子を追った。

店員「ありがとうございました〜」



 女の子は店のちかくの壁にポスターをはっていた。
 どうやら店の宣伝の仕事らしい。
 女の子は持っていたポスターを全てはり終えると店に戻っていった。
 もちろんあたしたちも後をおう。
 女の子はいったん店に入ったかと思うとすぐ出てきた。
 そして、店の前に立ち、

「みなさ〜ん、どうぞデニロスに寄っていって下さい〜」

 と大声でいわいる看板娘をやり始めた。
「ねえ、声は普通じゃない?」
 あたしは水元君に聞いた。
「ああ。普通の女の声だ」
「ここまでくるともう例の物を拾って願ったみたいだね」
「ああ。俺もさすがにそう思えてきた」

女の子「はい、そこの人〜どうぞデニロスへ」

男の人「おお。寄っていってみるか」

女の子「デニロスで〜す」

女の人「おや、看板娘かい? ご苦労さん」

女の子「寄っていって下さい〜」

男の人「ん〜時間ないから……」
 女の子はしばらく呼び込みをしていた。










 数分後……
 女の子は店内に入っていた。
 気づかれないようにあたしたちも入る。

「店長終わりました」
 また、店長を呼ぶ女の子。
「ご苦労さん。明日もたのむよ」
「はい」
 女の子はそう言うと店から出て行った。

 あたしたちも後を追う。
「バイト終わったみたいだね」
 あたしはそう水元君に言った。
「ああ」
 女の子はさっきの公園まで戻っていく。
 そして、また誰も周りにいないのを確認するとなぜか男子トイレへ入っていった。
「え〜まさか〜」
 あたしは水元君に言った。
「なぜだ? ま、まさかあいつ……」
「うん。その『まさか』かも」
 しばらくするとやっぱり男の子が出てきた。
「あれ、間違いなく伊藤君だね?」
 あたしは水元君に確認した。
「ああ。間違いない」
「もしも〜し。そこのい・と・う・く・ん!
 あたしは伊藤君に声をかけた。
「あ……ふ、二人ともどうしてここに?」
「実を言うと尾行してた」
「俺もな」
「え? な、なんで?」
 少しあわてている様子の伊藤君。
「そりゃ、気になることがあったからだよ〜」
 あたしは伊藤君にそう言った。
「俺もそうだ」
「で?」
 先を聞きたい様子の伊藤君。
「伊藤君の秘密見ちゃいました〜」
「俺も見たぜ」
「で? で? 何をみ、見たの?」
 ますますあわてる様子の伊藤君。
「伊藤君が女装してま……はふっ!」
「ダメ! それ以上は言うな」
 あわててあたしの口を抑える伊藤君。
「僕はしたくてしてるわけじゃない」
 伊藤君が説明した。
「じゃあ、なんでじょ……はふっ!」
「だからそれは言うな。説明するから」
 こんどは水元君の口を抑える伊藤君。
「デニロスの店長に『おまえは顔が女の子っぽいから女装すれば普通の女の子と
ほとんど変わらないと思う。だから、うちの看板娘になってくれ』って頼まれたんだ」
「なるほどねー。願いを叶えてくれるもので女の子になったわけじゃないんだ」
 あたしはそう言った。
「で? あの声はどうやって出した?」
 質問する水元君。
「僕も店長に『声でばれます』と言ったら『心配するな。これを飲めばしばらくは女の子のような高い声が出せるぞ』ってこれくれた」
 伊藤君はかばんから丸い薬のようなものを出した。
「これは?」
 質問するあたし。
「店長が『俺が発明した薬だ。心配するな実験してちゃんとしたのになってるから』って」
「それで声が高くなったんだ」
 納得するあたし。
「で、なんで男の格好のときは女子トイレに入って、女の格好のときは男子トイレに入ったんだ?」
 また質問する水元君。
「トイレの中で着替えたんだけど出てくるときに怪しまれないようにしたんだ」
「でもトイレの中に人がいるんじゃない?」
 同じく質問するあたし。
「大丈夫。あそこのトイレはあの時間のころはほとんど使われてないから」
「それはデニロスの店長から聞いたことか?」
 質問する水元君。
「いや、教えてくれた」
「じゃあ、さっきの服は?」
 質問するあたし。
「店長が『これを使え』ってくれた。『金はいらない』って」
「じゃあタダなんだー」
 またも納得するあたし。
「ま、このことはどうしようかなー?」
 にたっと笑う水元君。
「秘密にして」
 水元君にお願いする伊藤君。
「ん〜どうする?」
 水元君はあたしに聞いた。
「ばれたらまずいなら秘密にしておこうよ」
 それに答えるあたし。
「そうだな」
「ありがとう」
 伊藤君はにこっと笑った。

(終わり)


おことわり

この物語はフィクションです。物語に出てくる人物、団体は全て架空の物です。実際の物とは全く関係ありません。


〜あとがき〜

作者「はい、お約束の番外編でーす」
友美「人気あったみたいね」
水元「そうだな」
伊藤「み、見ないでくれー!」
作者「そんなことを言っても、もう遅いですぞ」
水元「そうそう」
友美「読者の皆さんはとっくに読み終わってるはずよ」
伊藤「そうなんだけど……わーもう、恥ずかしい!!」
友美「ふふふ。観念しなさい」
水元「そうだ、あきらめろ」
伊藤「……」
作者「おちつきました?」
伊藤「一人にしてくれー」
作者「わかりました」
友美「伊藤君泣いてないかしら?」
水元「さあな」
作者「ともあれこのシリーズはこれで終わりです」
作者&友美&水元「それではさようなら」

戻る


□ 感想はこちらに □