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 ドタドタドタ……
 ドタドタドタ……
「どうしよう、どうしよう」
 あたしは……とにかく困って部屋の中を走り回っていた。
 このままでは、この姿で水元君に会うことになる。
「もうー、何であたしが女の子になんないといけないの〜?」
 あたしは思わずそう言ったが、何の解決にもならなかった。




ありえない出来事

第4話 うそ〜!

作:NATO





 ピロピロピロ……
 あたしの携帯が鳴った。あたしはメールであることを願いながら携帯を取った。
 画面には「メール受信」と表示されていた。
 あたしはほっとしてメールを見てみた。差出人は水元君だった。
 内容は、「今日、10寺に『寺』で会おうな」だった。
 「10時か…ってその前にあの機械」
 あたしは急いで機械をひっぱりだした。
 そして「星に願いを」の項目を真っ先に見た。
 あたしは「元に戻りたい」と願いを入力した。
 すると「期間が過ぎたので受付できません」と画面に表示された。
「ならばプロフィールを変更しよう」と思ったあたしは、すぐ変更してみた。
 こんどは、「有効期間が過ぎたので変更できません」と表示された。

「うそ〜? 変更できないの〜?」

 あたしは思わずそう叫んだが、何の解決にもならなかった……
 結果としては男の子に戻れないのだ……
「ならば服だけでも」と思ったあたしはタンスの中を調べた。
 しかし、タンスの中はブラジャーやスカートなどの女の子の服ばかりだった。
 ついでに学生服のかわりにセーラー服があったりした。
 ……身体だけでなく、服までも女の子のものになってしまった。

「だぁぁ――――――どうすればいいんだ――――――!」



 数分後……あたしは気持ちがおちついた。
 冷静に整理しよう。鏡で自分の姿を見ると、身体は外見上まるっきり女の子である。
 さらに着ている下着はブリーフではなく……ブラジャーにショーツである。
 とにかくなってしまったものはしかたないとして、このまま水元君に会うことにした。
 スカートを気にしながらもあたしは『寺』に向かった。



 『寺』に着くと、水元君がすでにいた。
水元くーん……
 あたしはおそるおそる声をかけた。女の子なので……
「ん? あんた誰? それになんで俺の名前知ってんの?」
「あは、さすがに親友でもわからないか」
「どうゆうことだ?」
「あたしだよあたし。高野友也」
「た、高野? まさか〜」
 水元君は「信じられない」という顔をした。
「じつはね……」
 あたしは女の子になってしまった理由を説明した。

「うそ――――――!」

「でもホントのことなの」
「しかしなぁ〜高野には見えないぞ」
たしかに今のブラウスにスカートの姿では無理もない。
「これが昨日の質問の答えだよ」
 実は昨日、機械に「親友の質問に答えたい」と願いを入れといたのだ。
「…」
「どうしたの? せっかく答えたのに」
「た、高野……可愛いよ……」
 顔を少し赤くする水元君。
「あ、ありがとう……」
 あたしも恥ずかしくなって顔を赤くした。
「…」
「…」
(しばらく沈黙が続いた)



「ねえ、どっかいかない?」
 最初に沈黙を破ったのはあたしだった。
「お前、女になって悲しくないのか?」
 元気そうなあたしが不思議なのか(いや、そうだろう)、水元君が尋ねてきた。
「元に戻る方法がないんだし……ずっと泣いているわけにもいかないもの。だから、このまま女の子として過ごすことにしたんだ」
「お前、案外前向きだな」
 親友の意外な一面に、驚いた様子の水元君。
「うん、そうなの」
「ふーん」
「じゃ、早速しゃべり方から変えてくねー」
「お前、本気か?」
 予想外の展開(?)に驚く水元君。
本気よ
 あたしは女言葉で答えた。
「まじですか?」
 まだ「信じられない」という様子の水元君。
「だからそう言ってるでしょう」
「わかったから、真面目にそのしゃべり方やめてくれ」
「いやよ。さっき女の子として生活するって言ったでしょう」
「…」
じゃ、楽しませてね水元くーん♪
「おい!」















「これと、それと……それにあっちも」
「高野、まさかそれを買う気か?」
 女の子の服を手に取るあたしに、水元君が声をかけた。
「あら、女の子なんだから当然でしょう?」
「しかし、なんで俺がこんなとこにまで一緒に来ないとなんねぇの?」
 水元君は周りを気にしながらそう言った。
「だから、さっき『楽しませて』っていったでしょう」
「これがお前の言う『楽しみ』なのか?」
「これはほんの手始め。まだこれから」
「まだあるのかよ」
 水元君は、少し「いや」という顔をした。















「おいし〜い。ね、水元君?」
「あ、ああ……」
 あたしと水元君は、お店で焼肉を食べたいた。
「ねぇ〜『あ〜ん』ってしてくれない?」
「どうしてだ?」
「あら、恋人同士なら当然のことでしょう」
「いつから俺たちは恋人同士になったんだ?」
「あたしが『楽しませて』って言ったときから」
 あたしは勝手に水元君との関係を、「恋人同士」にした。
「……これも『楽しみ』の一つか?」
「そ、だから……お・ね・が・い・水元君」
「そのしゃべり方やめてくれ〜!!」
「そんなこともう、いいじゃない。ねえ、はやくぅ〜」
 あたしは水元君にさらにお願いした。
「しょうがないなぁ〜。それ、あ〜ん……」
「あ〜ん……」
 ぱくっ……もぐもぐ……ごっくん……
「ありがと。こんどは水元君ね」
「やらないとだめか?」
 いやそうな水元君。
「だめ。はい、あ〜ん……」
「あ〜ん……」
 ぱくっ……もぐもぐ……ごっくん……
「ふう……これでいいか?」
「ええ、いいわよ」
「で、まだどこかいくのか?」
 こんなことを早く終わらせたい様子の水元君。
「もちろん。さ、いくわよ」















 あたしと水元君は学校の体育館の裏に来た。
「なんでここに?」
「やりたいすることをするためにでしょう」
「なにをやるんだよ?」
「『あれ』よ『あれ』」
「『あれ』ってなんだ?」
 『あれ』の意味がわからず、聞き返す水元君。
「こんな場所でやることは一つしかないでしょう」
「ま、まさか……『あれ』?」
「そ、『あれ』よ」
「いくらなんでも早すぎないか?」
「恋人同士なら当たり前のことよ」
 またも勝手に恋人同士にしたあたし。
「また恋人同士かよ」
「そんなこと言わないで。ね、お願い」
「わかったよ……」
 いやいやながらも承諾した水元君。
「そうこなくちゃ。あと、これからはあたしのこと『友美(ともみ)』って呼んでね」
「は、なんで?」
「女の子になったんだから、名前もそれっぽくしないとね」
「それで『友美』?」
「うん」
「ふーん」
「じゃ、早速『あれ』しよ」
 あたしはそう言いながら体育館の裏にある体育準備室に入った。
 中はそれなりの広さがあり床は木の板でできている。
「いいのか? やっても?」
 後から入ってきた水元君が尋ねた。
「うん。水元君のこと前から……好き……だったから……」
「ほんとか? それ?」
「うん。なぜか水元君に、ほかとはちがう気持ちがあったの……」
 あたしは、少し寂しい気持ちになった。
「水元君も今のあたしが好きでしょう?」
「あ……ああ。高野……いや、友美が女になって最初に会ったときから、胸がどきどきしてた……」
「…」
「…」
(二人は見つめあったまま、数分が過ぎた)



「ねえ……あらためて両思いってわかったんだから、本当の恋人同士にならない?」
 またも最初に沈黙を破ったのはあたしだった。
「そうだな……」
 あたしは水元君と正式な恋人同士になった。
「じゃ、あらためて……『あれ』しよ」
 あたしは、顔を赤くしてそう言った。
「おう……じゃ、始めるぞ……」
 水元君も顔を赤くしてそう言うと、あたしの襟元に手をかけた。
 そして……
「はっ……あ……あ……あん……」
「か、可愛いよ、友美」
「あっあ……あん……そこダメ……」
「友美……」
「ひあっ……あっ……はっ……ああん……」
「好きだ……」




















 ……数分後。
「あー楽しかった」
「ほんとか?」
「うん。あなたのおかげよ」
「そりゃ、どうも」
「あ、学校に『女の子として登校する』って連絡しないと……」
「そうか、たしかにその身体じゃ、男として登校するわけにはいかないな」
「うん。さ、早く家に帰りましょ」
「やっと終わった〜」
 開放感にひたる水元君。
 その後、あたしと水元君はそれぞれの家に向かった。










「ただいまー」
「友也お帰り」
「お母さん。あたし女の子になったんだから、『友美』って呼んで」
「あら、言葉遣いの次は名前を女の子らしくするの?」
「そうよ。これからはそう呼んでね」
「わかったわ。と・も・み・ちゃん
「なんで『ちゃん』をつけるのよ? 今まで通り普通に呼んで」
「あら、気に入らなかった?」
お母さんは少しがっかりした様子だった。



あたしは自分の部屋であの機械を眺めた。
「この機械がいままでに叶えてくれた願いはいくつだろう?」あたしはそう思った。
いろいろ願いを叶えてもらったけど、いくつ叶えてくれたのかは数えてなかった。
しかし、そんなことを今、考えても意味はなかった。
とにかくこの機械は思い出にとっておくことにした。
そして、あたしは機械を机の引き出しにしまった。











































 翌日、朝の学校……
 ざわざわしている教室に、先生とあたしが入っていく。
 がらがらがら……
 ドアを開ける音がした瞬間、教室は静かになり、
「おはよう」
「おはようございます」
 と、いつもの先生と生徒のあいさつが交わされた。
 しかし、先生の後から入ってきたあたしに気づくと、教室はまたざわめきだした。
「転校生か?」
「あの可愛い子、誰だろう?」
「どこから来たのかな?」
 と、声が聞こえる。先生は教卓の前に立ち、
「静かに」
 と、言った。そして、あたしを教卓の横に立たせて、黒板にあたしの名前を書いた。
「この子はもともとは高野友也君です。しかし、見てもわかるとおり今は女の子です。実は学校の創立記念日に、原因不明の病気にかかり女の子になってしまいました。治療法もなく、『このまま生活するしかないだろう』という診察結果でした」
 先生はあたしのことを説明した。
「うそ、あいつが高野?」
「友也君だったなんて信じられな〜い」
「ほ、ほんとに高野君?」
 などと声が聞こえた。
「このことに関しては、高野君はもうこのまま生きることに決めたようです」
 さらに説明を付け足す先生。
「へ〜意外とプラス思考だね」
「ん〜君はすばらしい」
「友也君、かっわいい〜!」
 などとまた声が聞こえた。
「では、高野君……いえ、高野さんから一言どうぞ」
「高野友美です。これからこの名前で呼んでね」
 あたしは一歩前に出てこう言った。

(終わり)


おことわり

この物語はフィクションです。物語に出てくる人物、団体は全て架空の物です。実際の物とは全く関係ありません。


〜あとがき〜

作者「どうも〜。最終話どうでしたか? 意外な展開(?)に驚きました?」
友美「作者さーん」
作者「おや友也君改め友美ちゃん。なんですか」
友美「なんか簡単に終わりすぎて終わったって感じないんですけどー」
水元「そうそう」
作者「二人そろって言われちゃいましたな……っていつからいました? 水元君?」
水元「はじめからだ」
作者「ふーん」
友美「それはともかく、この続きとかないのかしら?」
作者「ない! ……予定です」
友美&水元「予定?」
作者「私は『続きが読みたい』という人が多ければ番外編を一つ作ることも考えますからな」
友美「じゃ、人気しだいってことね」
水元「ともかく、作るかもしれないんだよな」
作者「ええ、人気しだいで変わりますけど……」
水元「だったら少しは期待してるぞ」
友美「あたしもー」
作者「あまり期待しすぎると載らなかったときのショックが大きいのでほどほどに……」
作者&友美&水元「ではみなさん、さようなら」

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