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極秘!!帝国陸軍電波兵器乙女1号 中編

山口多聞





 ――前回のあらすじ

 新潟県で突如おこった謎の男性性転換事件。警察の必死の捜査をあざ笑うかのように、被害者は増えるばかり。捜査本部の東雲警部は全く進展しない捜査にあせっていた。そんな中、彼の元に現れた元帝国陸軍技術将校の坂上は、この事件はかつて広島の原爆で失われた敵を性転換させる電波兵器、乙女1号を使用したものであり、それを作り上げたのは、かつて研究メンバーの一人であった金田研究員の祖国、アメリカが悪の枢軸と呼んだk国ではないかと言う。


 坂上の証言を基に、東雲はk国に関連する会社、団体への捜査を開始した。また、坂上は、かつて乙女1号の設計図を秘匿した広島県内の山奥にあった秘密防空豪へ向かった。

 ――広島県山中 坂上が新潟で東雲に会った2日後
 
「笹木さん、確かこのあたりです」
「わかりました。全員このあたりを重点的に調べるんだ」
 笹木が引き連れてきた部下に命令する。
 命令と共に、一斉に部下達が散っていった。
「いや、しかし、坂上さん、本当にすごい山奥ですね。こんな所に本当に埋めたんですか?」
 笹木が質問する。無理もない、ここはもう島根との県境で、来るまでに広島から6時間かかったのだ。
「ええ、なにせ超極秘兵器ゆえ、充分な隠蔽が必要でしたから」
 と、その時。笹木の持っているトランシーバーに部下からの連絡が入った。
「笹木さん、ありました。位置は集合地点から60度方向に200m程です。すぐに来て下さい」
「了解した。坂上さんこれますか?」
 その質問に坂上が少し不機嫌になった。
「当たり前です。馬鹿にしないでください」
「わかりました。では、行きましょう」
 二人は部下が示した方向に歩いていった。
 しばらく歩くと、笹木の部下達が見えてきた。
「笹木さん、ここです。」
 部下が指差す先にそれはあった。外からみると、ただの洞窟にしか見えないが、中を覗くと、コンクリートで固められた壁が見えた。
「これですか?坂上さん」
 笹木が訪ねる。
「ええ、これです」
 二人は持ってきた懐中電灯を点け入っていった。
 しばらく歩くと、広い場所に出た。しかし、くらい。
「こりゃあ、懐中電灯だけでは明かりが足らないですね」
 そこへ、笹木の部下がやって来た。
「笹木さん。ライトをつけます」
 しばらくし、部屋が明るくなる。以外と広い。
「広いですね」
「ええ、そんな事よりも……あった」
 その言葉に笹木が視線の向きをかえる。見ると、部屋の隅に赤錆た金庫が有る。その扉はこじ開けらていた。
「この中にあったのですか?」
 坂上に質問する。
「ええ、しかし」
 そう言うと、彼は金庫を覗いた。
「やはり、もぬけの殻です」
「そうですか、うん!?」
 彼は足元に何かあるのにきずいた。
「こりゃあ、菓子の袋だ!しかもk国せいだ」
 笹木が叫ぶ。坂上もその袋を見る。
 確かにハングル文字が書かれている。さらに…
「笹木さん。どうやらここに入った連中は何度か来てたみたいです」
 そういうと、笹木の部下が手を差し出した。その上には、真新しいタバコの吸殻、タバコの箱がのっていた。いずれにもハングルが表記されている。
「こりゃもう確実ですな」
 笹木が言う、坂上もうなずき、
「ええ」
 と、小さい声で言った。
「よおし、おまえら、証拠はすべて収集しろ!それと写真を撮っておけ!」
「了解」
 笹木の命令により部下がテキパキと動く。
 約30分後…
「笹木さん、証拠の収集、写真撮影終了」
「よし、急いでライトを片付けろ、10分後に撤退する」
「了解」
 そう命令し、笹木と坂上は防空豪の外に出た。
 そして10分後、最後にライトを片付けた部下が外に出てきた。
「ようし、これより車に戻るぞ」
 そして、彼らは急いで来た道を戻り、車のある場所に向かった。
 既に防空豪発見と、証拠押収の連絡は衛星電話を使い知らせたものの、早く持ち返らねばという気持ちが笹木たち一行の足取りを速くさせた。しかし、老人坂上が随伴している上に山奥とあって、彼らが車についたのは2時間半後。さらに、新潟の現地捜査本部に戻れたのは翌日になった。その間に、新潟でも大きな動きがあった。

「全員配置についたか?!」
 東雲警部が携帯通信機で部下に確認する。
「こちら、樫村。準備良し!!」
「こちら五十嵐、準備良し!」
「こちら月島、準備良し!!」
 通信機から各捜査員の元気な返事が返ってきた。
「よおし」
 ここは新潟のとある人気のない県道。この日、東雲警部は博打にでた。50人の警官を動員し、今までに事件が起きた場所とほぼ同じ条件を持つ場所、計10箇所にそれぞれ5人ずつを配置し、犯人を待ち伏せする作戦に出た。
「来ますかね?」
 そう心配そうに言うのは結城巡査長だ。
「わからん、これだけは運頼みとしか言えん」
 さすがにこれだけは自信なさそうに東雲警部が言った。
 なにせ50人で待ち伏せ出来る場所は10箇所だけ。しかし、こんな場所は探せばごまんとある。確率的に見れば相当低い。だが、天は彼らに味方した。
 突如、通信機に連絡が入った。
「こちら、月島。2人組の男がなんか持ってこっちに来ます!」
 そう伝えてきたのは、月島航司巡査だ。
「なに!」
 東雲巡査が叫んだ。
「捕まえますか?」
 月島巡査が彼に許可を求める。
「いや、まだ判らん。しっかり相手を確認しろ!」
 彼は慎重になった。もし、ここで誤認逮捕すればいい恥さらしだ。また、迂闊に出ればにがすかもしれないからだ。だが、そんな彼の考えも興奮する月島巡査には届かなかったらしい。
「こちら月島、二人組はパラボラアンテナみたいなのを付けた小銃ぐらいの物を持っています。もう確実です!行きます!」
 その言葉に、急いで東雲が命令を出す。
「いかん、早まるな!!」
 だが、そう言った時には既に手遅れだった。月島巡査は犯人めがけ正面から突っ込んでいた。
「うおおお!」
 彼の叫びながら突っ込んでくる姿に、男らは混乱した。そして、月島巡査に向け,最大出力で電磁波を放った。
「うわあああ!!」
「あ!」
 東雲警部たちが見ている前で月島巡査が悲鳴を上げた。その声もあっという間に女の物になり、そして彼は倒れた。
「くっ!畜生!!全員、やつらを逃がすな!!」
 東雲警部はそう言い、全力で犯人めがけ突進した。その時には、他の捜査員も全員動いていた。
 そして、犯人を取り囲んだ。犯人達は右往左往しながらも、必死に電磁波兵器を再稼動させようとした。だが…
「無駄だ!その電磁波兵器は1回使ったら、最低3日間使えん。おとなしく縄に付け」
 東雲警部が犯人に向け言った。そして、観念したのか二人組は電磁波兵器を地面においた。二人を警官が逮捕する。
 東雲警部はほっとした。最後の坂上から聞いた電磁波兵器の弱点をいったのが、効果的だったらしい。
 これで大きく事件は動くはず、彼はそう確信した。
 この後彼は、女性化した月島巡査を救急車を呼んで病院に送り、自身も捕まえた2人の取り調べのため、署に戻った。

  ――翌日

「東雲さん!」
 東雲警部は自分を呼ぶ声を聞いた。
「あ、坂上さんに笹木さん」
 見ると,二人がそこにいた。
「また犠牲者が出たと言うのは本当ですか?」
 坂上が訪ねる。
「ええ、警官が一人」
 東雲が申し訳無さそうに言う。が、直に元の顔に戻り。
「しかし、犯人を二人逮捕しました。現在取調べ中です」
 東雲が二人に昨日の事を話した。
「おお、それはすごい収穫です」
 そう言ったのは笹木だった。
「ありがとう、しかし、やはりなかなか口を割らんもんでね」
「だったら、我々が持って来た物を見せれば」
 笹木が東雲に、防空豪で見つけた物を渡し、その時の事を話した。
「おお、ありがたい。早速やつらに見せて問いただしてみます。
 そう言い、東雲警部は、防空豪で見つかった証拠を手に、東雲警部は取調室に向かった。

2時間後、署を出て,近くの喫茶店で時間を潰していた坂上達の元に、東雲から電話が入った。
「坂上さん、遂にやつら口を割りました。やつらが作っていた電波兵器は2基あり、1基は昨日押収したのです。もう1基は船でk国に運ぶそうです。我々はこれから、やつらが言った港へ向かいます。残念ながら、危険が伴う可能性が高いので、あなたは連れて行けません。どうも今までのご協力ありがとうございました」
東雲警部が感謝の言葉を言う。
「いいえ、こちらこそ。我々は東京に戻ります。警部も気をつけて下さい。」
「ありがとうございます」

 こうして、事件は大きく動いた。が、東雲警部らが港に着いたときには、電波兵器を積んだ船は出た後だった。
「畜生!後少しだったのに」
 東雲警部が地団駄を踏む。
「海上保安庁と自衛隊に応援を要請!!」
 彼は急いで部下に指示した。もはやかれに出来るのは、応援要請が受け入れられるのを祈るのみだった。


 しかし、応援要請は、思った以上に早く(約1時間で)受け入れられた。これには、内閣危機管理室が関わったと言われているが、真偽のとこはわかっていない。
 ま、とにかく、海自と海保は急いで捜索を開始した。そして、捜索開始から2時間後、自衛隊のヘリが、待望の情報をもたらした。
「該船らしき小型船を発見、k国への最短航路を速力6ノットで航行中。なお、同船はヘリが視界に入ると同時に速力を8ノットへ増速、また船体は、5年前の能登沖での不審船に酷似す!」
 この報を受け、海自のイージス艦「ながと」と護衛艦「あきしも」「ゆきかぜ」が、また、海保の巡視船「さど」「のと」が全速で追尾にかかった。


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