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Seven Keys

プロローグ 〜セーフ〜


作者: 驟雨

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「はあっ!!」

オレは夢中で剣を振り回す。
身体を回すと背中の黒いマントが翻り、腰のさやが揺れる。

目の前にいる1体のガーデッドへ切込んだルーフ。
刀身が青く輝く”陽子剱”(レーザーブレード)。
物理攻撃の効かないガーデッドへは有効な武器であった。

「おい、ルーフ。そんな剣の扱い方じゃまだまだだぜ?」

ノブナガが長い野太刀をガーデッドに向かってジャンプしながら切込ませた。
野太刀は赤い閃光を放ちガーデッドを一刀両断した。
ケープが広がって、華麗な舞を踊るかのようにきれいに着地した。

「さっすがノブナガ。」

後ろから高い声が発せられる。
手に赤黒い本を持ち、長い金色の髪を靡かせ、青い瞳をきらきらと輝かせている。
一見美少女に見える彼女は水色のミニスカートを押さえながら高台から降りた。

「よっと。」

「なんだセス。お前もいたのか。」

「ちょっと、こんな辺境まで来てあげたのにそんな言い方するの?」

「まあセス嬢ちゃん。ルーフは拗ねてんだよ。」

ノブナガが言った言葉にもオレは嫉妬した。
セスはノブナガばかり褒める。
ルーフはセスのことが気になっていたせいもあって年上のノブナガをうらやましく思っていた。
対して身長の変わらないセスがオレに近づいてきた。

「ルーフったらまた無茶したの?ここ怪我してる。」

「えっ?・・あ。」

セスが指さすのはオレの頬。
言われてみると顔がすこしジンジンする。
手をやってその部分に触れてみると水の感触がした。
それを今度は目で確認する。

「血が出てたのか。」

「待って。今、治すから。・・・”プラグス”。」

本を開いてセスがスペルした。
本から淡い光が漏れ、顔の傷の痛みがスーッと引いた。

「はい、治ったよ。」

「ありがとうセス。」

「セス嬢もルーフに優しくすることがあるのか。」

「あら、ノブナガも優しくして欲しいの?」

「セス嬢のすることだったらなんでも優しいことさ。」

ノブナガがカッコつけで言った直後、側にワープゲートが開き、新たにガーデッドが3体送り込まれてきた。

「また来やがったぞ。」

「今度こそ決めてやる!」

「あまり無理するなよ、ルーフ。」

「うおおお!!!」

ノブナガの忠告を聞き流し、剣を振りガーデッドへ向かっていく。

「ああっ、もう!ルーフ!・・ノブナガ〜・・」

「セス嬢、ルーフに何言っても無駄だ。ピンチになったら助けてやればいい。」

「う、うん・・。」



ここは第三系惑星郡の”グリーンハウザー”。
地球とあまり変わらない地形が見られる星である。
実際にルーフの周りには草木が生い茂り、ごつごつした岩が見え、水の音もする。

「っと、そんな説明してる場合じゃない!くっ!」

ルーフの側スレスレをガーデッドの”腕剣”(アームソード)が通る。
さらにもう一体の”アームソード”がオレを狙う。

ガキン!!

右手に持つレーザーブレードでアームソードを受け止める。
反撃にはすぐ移ることができた。
カウンターで左手をガーデッドの身体に向けてスペルした。

「”気炎撃”(セスフレイム)!!」

手のひらから紅蓮の炎の塊が放たれる。
ガーデッドはその衝撃ではね飛ばされ、身体が炎に包まれた。
いくら弱い念による攻撃とは言え、至近距離から放たれれば威力は大きいのだ。

「セスフレイムは一度限りだが・・・とどめだ!」

レーザーブレードを、はね飛ばされているガーデッドめがけて振るった。
ガーデッドは2つに切り裂かれ消滅した。
あとに残る物は無いが、消える瞬間に白い妙な物体がガーデッドの身体から発せられる。

「こんなもんか・・ってまだいるか!」

気づくのが遅かった。
ガーデッドの千本針(サウザウンドニードル)はルーフ目掛けて発射されていたのだ。

「くっ、くそぉ!」

その瞬間だった。 ルーフの目の前に見えない透明の壁が出現した。
いや、正確には見えている。

サウザウンドニードルはすべてその壁に刺さり、
ルーフは無傷だった。 

「セス!」

ルーフがセスへ目を向ける。
セスは手の中の本を開き、その1ページを開いていた。
そのページは金色の光を発している。
セスの目が笑う。

「ルーフ、お礼はあとできっちりいただくからね!」

「なかなかやるな。だが、油断大敵ってやつさ。・・さて、そろそろオレも行くかな。」

ノブナガが重い腰をあげた。
左腰から刃渡り60センチはある太刀を抜き、(なぜか桜吹雪が舞う)太刀を振った時の剣筋は赤く輝く。

「”獅子桜刄”(ししおうが)の力、篤と見せてやる!」

漆黒の瞳をカッと見開き、ガーデッドへ向け走り出した。
足音がほとんどしない特殊な走り方でガーデッドへ接近する。

「ハァッ!!」

長い獅子桜刄をいとも簡単に振るノブナガ。
そのスピードはルーフよりも遥かに速い。
ルーフのレーザーブレードは獅子桜刄よりも短いにもかかわらず・・。

特殊な走り方はまるで宙に浮いているようだった。
赤い剣筋がノブナガの周りに発せられている。

「速い・・」

思わず呟いてしまった。
ノブナガはあっさり一体を片づけ、もう一体は・・

「”気炎撃”(セスフレイム)!!」

ルーフと同じ念撃。
しかもルーフより大きな炎の塊であった。

だが、ガーデッドはその大きな炎を回避し、背中から電子制御砲(エレキゴーヴァンミサイル)を放ってきた。
数は4発。しかもすべてセスへ向けられていた。

「セス嬢!!」

「きゃあぁぁぁ・・・なんてね!」

セスは舌を軽くだし、笑顔をふった。
そして本を開くと特定のページをひらき、右手をかざす。
するとエレキゴーヴァンミサイルは方向を変え、ガーデッドへ向けて飛んでいく。


ドォォォォン!!!


ガーデッドはすさまじい爆音とともに消滅した。
ガーデッドの足の下は草原だったはずが今は茶色い土がむき出しになり、クレーターのように抉れいていた。

「ヒュー、セス嬢。やってくれるなぁ!!」

「あら、ありがとうノブナガ。それに引き換えルーフ・・・格好悪い!」

「えっ、でもよ、一体は仕留めたんだぜ?」

「ルーフ。その努力は認めるが・・一体倒した時一瞬気を抜いただろ?それがお前の限界だ。まだまだ修業が必要だな。」

「・・・くそぉ!!」

オレは急に走り出した。
何もかもが悔しかった。
オレとノブナガとどこが違うのか・・!

「ちょ、ちょっとルーフ!!」

追いかけようとするセスをノブナガが止めた。

「今はそっとしといてやるんだセス嬢。ルーフも考える時間くらい欲しいだろう・・。」



「オレは・・オレは!ノブナガには敵わないのか・・・!」

ドスッ!
地面を殴りつけ、一筋の涙を流す。
その涙は頬を伝わり地面に落ちる。
ちょうどその部分は土の部分がむき出しだった。
黒く湿る土。

しかし・・その黒がだんだん大きくなり、ルーフの周りを包んだ!

「えっ・・」



気づくとオレは宇宙空間にいた。
周りには数えきれない星。
それに・・ガーデッドの戦艦団。
どのガーデッド軍の戦艦もオレの目の先にある、
白く光る球体へ向けて進行している。
その光は暗い宇宙空間を明るく照らし、球体を守るかのようにいくつもの戦艦がガーデッドを迎撃している。

「これは・・一体・・・?」

そう言った時だった。
頭の中に『声』が響いてきた。
一言で言うと透き通った気持ちが落ち着くきれいな高い声。

「ルーフ、ルーフ。この声が聞こえますか?私はあなたの目の先にある”白の城”(ホワイトゾーン)から話しかけているのです。」

「え・・き、君は・・・?」

「私の名はフュール。あなたもご存知の『3つの楔』を守る能力者の1人です。能力というのは今話しかけている精神会話(テレパシリズム)のことです。」

「そんな・・君は本物の能力者・・。すごい、今まで会うことすら不可能の存在だって言われてきたのに・・。」

「ルーフ、今は時間がありません。あなたの見てる通り今、私はガーデッド軍の攻撃を受けています。このままでは私はガーデッドによって倒されてしまいます。
そうなれば太陽(サン)の楔がはずれ、楔のバランスが保てなくなってしまうでしょう。それは絶対に避けなければなりません。ルーフ、そこであなたにお願いがあります。
この状態であなたが”リオプリズム・フュール・エクストール”と言ってくれれば私は助かります。どうかそう言ってくれないでしょうか・・・?」

「そう言えば君は助かるの?」

「もう時間がありません・・。どうかお願いいたします。」

「わ、わかった。えーと・・”リオプリズム・フュール・エクストール”!!!」



白い光が目の前にある。
なにも見えない。

目をこすった。
しかし、いつもと違う感じがした。
なにかサラサラと流れるような感触。


一瞬で光は消え、 目の前にさっきの”グリーンハウザー”の自然の光景が戻ってきた。
草むらの上に座り込んでいた。

「一体・・なんだったんだろう。・・・・・!!!」

この声・・。聞き覚えのある、透き通った気持ちが落ち着くきれいな高い声。
思わず目を落とすと・・

「え、え、ええ〜〜〜!!」

白い足が見える。 オレは「女の子座り」をしていた。
白い服(というかレオタード・・・?)を着ている。
胸はほんのすこしだけだが膨らんでいる。
スカートは穿いているようだった。
背中にはいつもと違う感触。
その原因は肩よりしたまで伸びた白銀の髪のせいだった。

さっきの叫び声を聞いてノブナガとセスがオレの側へ走り寄ってきた。

「ルーフ!なに大きな声だして・・・」

「何やってやが・・・」

2人は同時に言い、同時に言葉に詰まった。
目の前にはルーフではない、光り輝く少女が座っていたのだから。
しかも、背中には白い羽があることはノブナガとセスの2人だけが知っていた。



to be continued・・

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