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Angel・Hyper

驟雨
「8th story   最強の刺客」




登場人物まとめ

七瀬健一  本編主人公。愛美の秘密を知ってしまった健一は愛美の手によって女の子に変身させられる。魔法が使える天使に・・・
帰宅部。藍色の髪に藍色の瞳。緑色の羽、得意属性は風、雷。15歳。

石垣愛美  誠実で少しドジな女の子。健一に秘密を知られてしまいある魔法を使って健一を天使に変えてしまうがなぜか自分まで・・・
きつい一睨みが印象的だが、それもまたかわいい。ちょっと赤みがかったセミロングヘアー、赤紫色の瞳。瞳の色が2人、変った色だが天使化の影響であります。得意属性は地、火。15歳。

瀬戸明   健一の親友。いつも相談役やらいたずら仲間やら健一のそばにくっついてる少年。本編においてはわき役ではあるが上記の2人の秘密を唯一知ることになるクラスメイトの予定。15歳。

太田貴樹  愛美の周囲を詮索し、昔フラれた恨みを晴らそうといろいろ嫌がらせをする。本編の敵キャラ?15歳。

浅見先生  朝布学園の養護教論兼、教師のスタンダートな先生。美人で男子生徒からの人望も厚い。22歳。

石垣 優  愛美の妹。健一同様、愛美の影響で魔法使いになってしまった。天使になったことで無邪気な性格をまるだしにする。得意属性は水、氷、闇。14歳、中2。

秋山幸二  健一の友達。いつも3人仲良しだったが、入れ替わってしまった今はどうなるのか・・・。早生まれ16歳。

出雲先生  ブラスバンド部講師。楽器はトランペット。30歳。

島田綾香  ブラスバンド部クラリネット1年のうちの1人。愛美の親友。15歳。

木下由佳里  愛美、綾香と同じ、クラリネット。もちろん愛美の親友であるが、ちょっとおしとやか。15歳。

長井雪菜  愛美の友達。漫画好き。将来漫画家志望!?15歳。

八木美沙  クラス委員長。お嬢様みたいな言葉遣い。やることはなにもかも徹底的にやりこなす実力家。ちょっと厳しい態度がクラスメイトの威厳を買っている。15歳。

前田翔   クラス委員長男子。おそらく本編には名前のみの登場になりそう。15歳。

山口由美奈 ブラスバンド部部長。クラリネットパートリーダーでもある。頼れる先輩。18歳。

小林先生  1−B担任教師。学科は数学。34歳。

石垣十寸見 愛美の祖父。謎の店『シュール』の店主。その他の経歴は不明。今後明らかにされるでしょう。

石垣祐希  愛美の父親。株式会社石垣商事の社長(会社名は適当)。愛美の家がお金持ちなのは父親の血と汗と涙のおかげ。36歳。

やまぶきのおばさん  名前は特に考えていませんが、喫茶やまぶきの店主です。愛美のこと(2人の関係について)を見守っている人物。年齢は秘密。

咲香    愛美のバティクス。人間に変身し、普段は愛美の妹として生活している。人間年齢は愛美と同じ。15歳。

ジェイド・ハイドレッド 魔法大聖堂で出会った人狼族。黒い耳に黒いしっぽ。キバは長く、狼そのもの。魔法界でも一目置かれた存在の人狼族のハンター。人間年齢18歳

エクス・マオ  ジェイドのディペント。魔法界大臣。30歳。

ゼラ・マクダール  魔法大聖堂長。かつてゼロのに真っ向勝負を挑むほどの大統領親衛隊の力をもっていたが、退役してからはその力を自ら封印している。45歳。

ゼロ・ジョーカー    魔法界の噂の的『あの方』。死亡説も流れたが偽りだったようだ。魔法界の全能なる神。しかしその実態は・・・
外見は優よりも小さい子供。年齢不詳。

クロ     ゼロの手下。愛美誘拐の任務に失敗し、ゼロに殺された。年齢不詳。

ダスト    魔法界でかなりの実績を残している実力者。愛美の総司令官案に反対したが、ゼラの説得により愛美を信頼した。強力な魔術を駆使して相手を仕留めることで有名らしい。25歳。

シド    ゼロの手下であり、幹部の1人。冷酷なその眼差しとやり方で愛美たちを苦しめる。年齢不詳。

レディサタン   外見は女性だが、実際は悪魔の女王。その微笑みと邪悪なツメで何人もの魔法使いを殺してきた。年齢不詳。

ガイア    ロドク隊隊長。ぶっきらぼうな言葉遣いにラフな服装の少年。優に気があるらしい。一応天使である。13歳。

ウェリガー   ゼロの幹部の1人。別名氷のウェリガー。その氷で数々の町を凍りづけにしてきた。白銀の長い髪、氷の衣を纏った男(?)。年齢不詳。

― hyper編 ―

荻野監督   優が所属する朝布学園高等部女子バスケット部顧問兼監督。

宮島・コルス・アキナ  朝布学園第2の魔法使い。愛美、健一、咲香と同級生。魔法使いとはいうものの、魔力は相当弱いハーフ。

宮島・コルス・ナオキ  アキナの弟。こっちは魔力はかなり強い魔法使い。魔法界防衛省長官。高校3年生で優より1年上。

キル・シャーベット  魔法界のお尋ね者。防衛省が追跡するほど重要な人物。

漓嗚(リオ)    字は月風晃(ゲツフウコウ)名前に似合わず、西洋剣士。と言うものの、この者の正体はなんとネコ。緑のボレロを着て、得物・月閃華戟を振り、白いシルクハットが決まってる。長いマントを肩から流す。白い耳と白いしっぽがかわいい身長50センチ位の猫。雄。

イプシロン   アースゲートを管理する政府の職員。正体は不明だが、強い魔力を持つことだけは事実。ゼロの言っていた「魔の一族であった」が鍵。

デルタ・ジョーカー  ゼロの父親。トランプゾーン首領。

トランプゾーンの刺客達(ゾーン) デルタ・ジョーカーによって組織、統率されている4人組。トランプの4つのマークがコードネームとなっている。

エスプメージ  ゾーンの刺客クラバー。見上げるほどの巨人。手に持つ大型の棍棒と怪力ですべてを打ち砕く。片目がなく、その無い片目から飛び道具を放つ。片言の言語を話す。魔法省に所属するイプシロンと外見が似ている。

ファリプス   ゾーンの刺客ダイシン。義理堅い重戦士。片手に大剣、片手にモーニングスターを持ち、軽々と振り回す。目の回りにマスクをしていて、素顔は見せない。

アロ      ゾーンの刺客ハーツ。両手が改造され、両腕と合わせて計6本の触手を持つ改造人間。変わった風格が目立つ男である。少々調子者。

センプレ    ゾーンの刺客スペイド。魔法界では珍しい、黒炎魔導師と呼ばれる身体に纏った特殊な黒炎を操る導師。紫色の布で覆面をしており、素性には謎の多い人物。冷静沈着で、極めて冷酷。ゾーンのリーダー格を担っている。





前回までのあらすじ

舞台は前作『Angel』から2年半後。
世界征服を目論むゼロ・ジョーカーとの戦争に勝利した数名の天使達。ゼロは天使達の連合軍に敗北し、その後の消息は不明となった。
その一員である石垣愛美(いしがきめぐみ)と七瀬健一(ななせけんいち)は心と体が入れ替わってしまった二人なのである。
時は流れ二人はそれぞれの道を進んでいる。

補足 この物語の主人公は、前作の愛美&健一に代わって、愛美の妹である石垣優(いしがきゆう)が務めます)

魔法界は以前の平和を取り戻し、戦争の引き金的存在であったゼロは魔法省の手によって改心修行を行い、フランスのとある市場でという働く反面、魔法省防衛補佐官としての任務を担っていたのだ。
防衛官は宮島・コルス・ナオキというちょっと生意気な少年。優が最も気にくわない人物の一人となっている。それは補佐であるゼロも同じ心境であった。
登場人物はこの他にも、愛美の義理の妹である咲香(しょうこう、又はさきか)、その恋人役、人狼のジェイド・ハイドレッド。
優が憧れるというより好きで堪らない、前作ではぶっきらぼう、今作では丸く収まっている人物ガイア。
そして魔法界では迅雷の月風晃(じんらいのげつふうこう)と呼ばれる、小さくてかわいくて、ちょっとお茶目な実力者、猫剣士のリオが登場する。

優はゼロにある任務の依頼を受ける。
それは、フランス最大のシティホテルに潜入し、ある人物が狙う、重要書類を保護すること。ゼロは優とガイアを引きつれ、任務に当たる。
その人物とは魔法界の表と裏、両方で暗躍する謎組織“トランプゾーン”に所属する人物キル・シャーベットだった。
彼は魔法界で禁止された魔法『洗脳術』を操り、すでに優を陥れようと彼女のバスケットの顧問である荻野(おぎの)監督を利用したこともあった。
シティホテルでの任務は惜しくも失敗。リオに先を越され、書類はリオの手に。
キルの目的は防げたものの、ゼロはその失態に激越し、失望する。
だが、リオはすぐにフランスにある魔法大聖堂に赴き、直々に自分は敵でないことを告げ、魔法省に協力すると述べた。

トランプゾーンが元凶であると知ったゼロは、単身でトランプゾーンアジトへと乗り込むが、待ち構えていたトランプゾーン首領の手によって性転換術を掛けられ、幼女の姿へと変えられてしまう。
驚くべきことに、組織トランプゾーンを指揮するその首領の名はデルタ・ジョーカー。なんとゼロの父親だったのだ。
ゼロの後を追った優とリオは、キルの洗脳術により操られたゼロを前に手を出せず、それを救おうとした愛美と健一もキルの手により捕まってしまう。
デルタとキルの手に堕ちた優、リオ、ゼロ、愛美、健一の5人はキルが称する理想郷と呼ばれる魔法が使えない仮想現実の中で散り散りになってしまった。
彼らはその中でトランプゾーン刺客の4人と白熱した戦闘を繰り広げ、健一は刺客ダイシンを、リオは刺客クラバーを打ち破った! 
彼らの心術(設定資料集、魔法解説の項参照)はキルの作り出した理想郷の中で強い力を発することができ、その力が魔法が使えないという状況を補ったのだ。

残り二人の刺客、そして源悪であるトランプゾーンを打破するため、5人は力を合わせ、立ち向かっていく…











The 8th Story…

「この花畑ったら、どこまで続くんだろう…」
思わず愚痴をこぼした愛美は、その場に座り込んでしまった。
彼女は代わり映えのない光景にいい加減うんざりしていた。
進まなければ皆とも合流できないし、止まっているだけでは何もできないのだが、さすがに体力にも忍耐にも限界がある。
「ふぅっ、みんな…どこにいるの…?」
疲れ混じりの息を漏らし、遠くを見つめながら呟いた。
オレンジ色の大陽、ピンク色の空。妙な色彩で構成された自然は鮮やかに、愛美の目の前に広がっている。ひらりひらりと舞う蝶達も、今だけは不気味にしか見えなかった。
妹が心配、健一が心配。そしてゼロも、あの可愛らしいネコちゃんも。
彼らの存在が急に遠のいていく気がして、愛美は寂しい上に心細かった。心は隅々まで孤独感に支配されていた。
「いいねぇ、その項垂れよう。負の意志は我らに多大なる力を与えてくれる…」
突然奇妙な口調の囁きが愛美の耳を突いた。
愛美はスッと立ち上がると、辺りを見回した。
だが、周囲に声の主の存在は確認できない。
尚も奇怪な声は響き続ける。
「我が見えないのか? こっちだ…こっちだ!」
見えぬ敵からの挑発なのか、声は必用に愛美を呼んだ。
しかし愛美には声の発生源が判らない。
「誰? どこにいるの!?」
声を上げた。
誰も居ぬ空間に向かって叫んだが、声は返ってこない。
「ククク…クククク…」
怪しげな笑い声がしばらくして空気を振動させた。愛美は声のした方向、背後に目を向けた。
「こんにちは…我はトランプハーツの刺客・ハーツ。認識名はアロと言うものだ」
6本の腕…異常な風格だ。
まるで触手のような腕があちらこちらへと伸び、愛美を翻弄させた。
「妙な身体を持ってるのね…失礼だけど、滑稽だよ」
愛美は頬を流れ落ちる一筋の汗を気にせず、ニヤリと微笑みながら言い放った。
「滑稽だろうとなんだろうと構わんさ。我の狙いは貴様の命。いくら罵ったところ我が使命に支障はない」
アロは触手をヒュンヒュンと回し、愛美を威嚇したが、愛美は動じない。
愛美は素早く魔装であるナイフを生み出すと、戦闘態勢をとった。
「私は触手プレイは嫌いなんだから。女の子としてそれは許せないなぁ」
「フッ…戯れ言を…」
そう言うが早いが、アロは6本の触手の内、4本を愛美の四肢へと巻き付ける。
「うっ」
「どうだ、これで貴様の動きは封じた」
アロが不気味に微笑む。
だが愛美は落ち着いて対処した。
「動きは封じても、心術は封じることはできそうにないね」
そう言うと、愛美は強い念を込めた。
「なっ!?」
アロが驚くのも無理はない。
二人の周囲に咲き乱れる花が、一斉にアロめがけて襲いかかり始めたのだ!
「名付けて、"百花乱舞"」
花びらが鋭いカッターとなってアロの触手を切り落としていく!
「ぐぉぉぉぉ!! お、おのれぇ…」
触手の断面からは緑色をしたいかにも気持ち悪い液体が流れる。
自由の身となった愛美は間髪入れず追撃を図る。
「はぁ…魔法が使えないからって、私たちをなめてもらっちゃ、困るのよね」
斬!
正に一瞬。
アロはその場に崩れ去り、愛美はかっこよくポーズを決めていた。
「刺客だかなんだか知らないけど…大口叩くならそれなりの実力くらい、見せてくれたってイイでしょ?」
問いかけるが、もはやアロはその質問に答えることのできる力を失っていた。
「さ、みんなを探して、なんとしてもここから出なくっちゃ」
愛美は倒れたアロを尻目に、再び永遠の花園を歩み始めた。




「だーかーら! そんなにひっつくなよ!」
「いいじゃん! へるもんじゃないしーっ」
微塵も危機感を感じない。
相変わらずじゃれ合ってる優とゼロの二人である。
「オ、オレは仮にも神様だぞっ」
「あ、そ。ねえねえ、もしかして、女の子になって嬉しいとか?」
「だーっ! 話をそらすなぁっ!」
「あ、そうだよねぇ。エセ神様のお父さんが考えてることってだけに、またどうせろくでもないことなんだろうねぇ」
「こ、この…天使めっ」
ゼロが小声で優を罵った、そのときだ。
突如二人の目の前に黒い渦のようなものが現れた。
今にも吸い込まれそうなその渦は、絶えず回転を続け、わずかながら紫色の光を発している。
「っと。こりゃなんだ?」
「びっくりするねぇ」
「…とことん危機感ねぇなぁ。お前」
「フフッ、まぁまぁそう言わずに」
とアホな会話を続ける二人。
渦はその場に佇み、やはりその動きは変わらない。
目を細め、溜め息を吐くゼロ。徐々に渦に近づいてみる。
「こりゃぁ…なんかの転送魔法だな」
その一言に、優は首を傾げる。
「この世界じゃ魔法は使えないんでしょ?」
「オレ達は、な。要するにこの世界も一種の封印術みたいなものだろ。特殊な魔法で特定の人物の魔法の元を封じ込めることで成り立ってる。だからオレ達以外の人物の魔法なら効果がある、ってのにも頷ける」
「ふーん…」
少女の姿でオレ、オレと連発されてはあまりに違和感がある。
優にはそれがだんだんともどかしくなってきた。
「ねぇゼロ。自分のことオレって呼ぶの、やめなよ」
「はぁ? いいじゃんか別に」
「ダメ」
「なんで」
食いついてくるゼロ。
優にしてみれば好都合だ。
「女の子が自分のこと、オレって呼ぶと思う?」
「…呼ぶ奴もいるだろ。日本にはその手のゲームがたくさんあるって聞いたぞ?」
なぜコイツが日本の事に詳しいのか不思議だったが、それは事実…のような気がした。
「フランス人のくせに」
「何か言ったか?」
「べーつーにー」
つーんと上を向く優。
ゼロは頭の上にクエスチョンマークを浮かべ、頭をポリポリと掻いた。
「まぁ優はほっとくか。さて、この転送魔法を調べないと、な…」
ふてくされたような素振りを見せる優を意に介さず、ゼロは一人黒い渦の調査を始める。「…ん、これは…?」
ゼロは渦の側に落ちていた黒いペンダントを拾い上げた。
不思議な形の紋章が彫られ、トランプでいうスペードのマークが印されている。
「ま、まさか!」
「な、なに?」
ゼロの妙な反応に、それまで無視していた優も気にせずにはいられなくなった。
「ヤバイ! 優、走るぞ!」
「えっ?」
ゼロは小さな手で優の腕をひっつかむと、急ぎ駆けだした。
「ちょ、ちょっと! なんなの?」
「これは親父の刺客、ゾーンの一人・スペイドの紋章だ。他の刺客は雑魚に過ぎないが…コイツだけは桁外れに…強い。オレ達じゃ、勝てない」
「そ、そんな…」
青ざめたゼロの表情に今までにない動揺が窺える。
「走れ!」
ゼロの声に優も全速力で走り始める。
だが、もう遅かった。
黒い渦が先程までの位置から移動し始め、いくら二人が渦から離れても二人を執拗に追ってくるのだ!
そして…
「くっ!」
「きゃっ…」
ドンとゼロが優の身体を突き飛ばす。その反動でゼロも逆方向に飛ばされる。
ブォン!!
間一髪。
二人の間を紫色の炎がもの凄いスピードで駆け抜けたのだ!
ゼロの見事な反射神経によって未知の攻撃の回避に成功する。
「よく避けたものだ…」
「スペイド…」
「ほう。さすが我が君のご子息だけはあるようだ。私の名をご存じとは…」
丁寧な口調。
黒いフードで顔をすっぽりと覆い、その表情は確認できない。
両手に紫色の炎を蓄え、メラメラと燃え上がらせている。
ゼロの表情がみるみるうちに恐怖へと変わっていく。
優は並はずれた彼のその変わりように驚愕した。今まで勇んでいたゼロが、まるでその面影を残していない。
「…ゼロ・ジョーカーは男と聞いていたが…」
「知ってるくせに、白々しい奴だ」
「んん、バレていたか」
ゼロはまるで赤子だ。
からかわれ、その心情をもてあそばれている。
スペイドと呼ばれた黒いフードの人物は、少しも心の乱れを感じさせない。
すなわち、相当鍛錬された心術の使い手、ということだ。
優にもそれが手に取るようにわかる。そして残るのは、絶望感のみだった。
「我が君の命でな。君達には悪いが、消えてもらう」
背筋が凍った。
このままでは本当に殺られる。
だが、ただで殺られるほど、優もゼロもバカではない。
「何がなんだかわかんないけど! あなたが私たちを攻撃するなら、こっちだって何も手出ししないわけないわ!」
指に嵌めた指輪を魔装へと変換する優。
白木で織りなされたの美しい弓を構え、スペイドに対峙する。
「…そちらの娘…、闇魔術の使い手…そうか。そなたが石垣優」
悟ったように言うスペイド。
「だったら何よ?」
「いや、その闇魔術を使えば、この世界などいとも簡単に支配することができる、と思って」
「えっ…?」
「我が君の元へ降れ。さすればそなたの知らぬ魔法の世界を見ることができよう」
「優を惑わすな!」
それまで黙っていたゼロがスペイドを制止した。
「このぉ、何がなんでもこの世界から脱出してやるんだからな!」
ゼロもまた魔装であるダブルセイバーを構え、スペイドを睨む。
「大丈夫よゼロ。私だってこんな奴に惑わされたりしないわ」
優も彼の誘いに対する否定の意味を込め、言った。
「これは残念…魔法界でも名のある天使を二人も消さねばならないとは…」
スペイドがそう言いながら挑発するように首をぽきぽきと唸らす。
優もゼロも胸が高鳴っていた。
今までにない強敵との戦闘。
おそらく体術も心術も相手の方が上。
だがこんなとこで負けるわけにはいかない。
ジョーカーの企み、キルの野望を打ち砕くまでは!!











あとがき



どうも、本当に久しぶり、ご無沙汰の驟雨です。
A/H第8話。どうだったでしょうか。
約1年半ぶりだったので、少々キャラクターのしゃべり方や文章に違いがあると思いますが、その辺はどうかご了承お願いします。
時が空きすぎたのでしょうか、短い文章なのに苦労しました↓↓。
なので自分も読み返すために、あらすじも併せて載せておきました。始めての人もこれを読んで覚えてくださいね!
一時は打ち切りも考えたんですけど、メールや感想掲示板に続きが読みたい、という希望の人が多くて、自分も中途半端ではいけないな、と思い、仕上げました。
また続きは後ほど投稿させてもらう予定です。

さて、今回のストーリーですが、やはり前作に引き続きバトルシーンです。
萌え要素は少ないです。あしからず。
強敵との対峙、いやぁ結構大変です。あ、いや優ちゃんが。
ゼロも振り回されっぱなしキャラで行こうと思います〜。

ではまた第9話でお会いしましょう。
今度は早い時期に投稿できると思いますよww
来年度春から大学生の驟雨でした。

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