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 二人が入れ替わり、天使化してから少したったとき、愛美が話しかけてきた。

「これから私として生活していくんだから、いろいろ言っておかなくちゃならないことがあるわ」
「そ、そうだけど……」
 俺は七瀬健一。おとといまでは普通の高校生だった。
 でも同じクラスの石垣愛美の信じがたい事実を知ってしまった俺は愛美に魔法をかけられてしまう。
 しかしなぜかその魔法が反発し合い、俺と愛美、双方に魔法が効いてしまいなぜか二人の精神が入れ変ってしまった。俺はクラスのアイドル、石垣愛美になってしまったのだ!!しかも魔法を使えるだけじゃなく、彼女は天使だった。彼女の影響で俺に魔力が宿り、このように反発し合う形になってしまったのだという。もともと俺には魔法使いとしての潜在能力があったらしい。だから愛美の影響を受けた。――と愛美は言っていたけど実際のところは彼女もわからないとも言っていた。こうして俺は美少女、石垣愛美として女の子の生活を、愛美は七瀬健一として男の子としての生活をすることを余儀なくされた。しかしもともと彼女が好きだった俺にとっては余計に変な気持ちが重くのし掛かる。入れ替わったこと、天使で魔法が使えることをみんなに内緒にしてこれからやっていけるのだろうか……という不安とともに……。




Angel

驟雨

第2話『妹』




「えーとここがクロゼット。見ればわかるけどここに制服とお出かけようの服が入ってるよ」
「ああ。わかった」
 まだ5月だと言うのにかなり暑い朝だった。俺は入れ替わってしまった愛美の家にいる。というかここが俺の家になったしまうので彼女が俺の家に来ている。の方が正しいのだが……。
 昨日は何とかごまかして彼女はここに泊まったのだ。その間、いろいろ大変だったのだ・・。

これはおとといの晩の出来事・・・


「ど、どうするんだよ。魔法使いならまだしも天使だろ?羽を誰かに見られたら……」
「どうするも、この羽は自分の意志で出そうと思って出すか、魔法を使うとき、または魔法障壁の影響を受けたときに出てしまうものだから普段はしまっておけるはずよ。それにこれは羽に見えるけどもともとは魔力が具現化したもので魔力の塊と考えればいいわ。色によってもその人の魔力の種類が変ってくるけどね。私の体、つまり健一の羽は桃色で主に火、地属性の魔法を得意とする象徴……そして今の健一の体は私の意志で動いてるけど、緑色の羽よ。これは……風、雷属性の魔法だわ。今はあまり関係ないけど、いずれこれが必要とするときが来るからこれだけは覚えておいて」

「あ……えーと……俺の声で……その……女言葉使うのやっぱやめて欲しいんけど……」
「あら、健一だって私の声でまだ男言葉使ってるじゃない。・・・でもあさって学校へ行くときに困るから今のうちに練習しておく?でも私たち二人っきりのときはそのままでもいいわね」
 そういえばそうである。あさっては学校だ。こんな格好でバレないのだろうか……ああ〜っもう!!
 なんでこんなめに……と思ったが、愛美が返事を待っているような顔だったのでこれ以上自分の中で追及するのはやめた。
「……そうだな。それで魔法の属性と天使の羽のことは置いといて生活はどうするんだ?今日は土曜だからいいけどあさっては学校だぜ?いろいろ困ることもあるだろうし……」
「そうね。でも先にお風呂に入ってもいい?今日の戦闘(?)で疲れちゃって……あっ!!」
「ど、どうした?愛美」
「そうだ忘れてた……」
 バタッ!!
 愛美は急に倒れてしまった!!
「おい!どうした!?愛美!!?」
俺は倒れた愛美の肩をもってゆさぶった。
「……う〜ん……ゴホッゴホッ……ふうふう……」
 とても苦しそうだった。
 俺はどうしていいかわからなかった。愛美の机の上のメモ書きを見つけるまでは……。
「やばい!かなりの熱だ!!医者を呼ぶにもこんな時間じゃ……ん? あれは……」
 そのメモにはこうかかれていた。
『愛美よ……タイムストップの魔法は効力は10分。しかし1回使うと君は数時間で高熱をだし、倒れてしまうだろう……。君の精神が時間の流れに逆らうことで魔力を大量消費する。君も今までに無いマナの枯渇を感じるだろう。"タイムデント"を使ったらすぐにわしのところに来るか、知り合いの魔法使い……そうじゃ!以前君が話しておった七瀬健一君にこう言ってもらうのだ。
 "ケアルガ"。これで君の魔力は回復し、数時間でもとの元気を取り戻すじゃろう……。くれぐれもこの魔法を使うときは慎重にな……。これは滅んだはずの魔法。わしの弟子なら滅びた魔法を使うときの恐ろしさを知っておろう。よいな!すぐに使ったら"ケアルガ"を使うのじゃ! 君はわしの一番の弟子じゃ……孫娘愛美よ……滅びの魔法なんかに負けるでないぞ……』
「……! 一番の弟子だって!?孫娘……ってことはこのメモの主は愛美のじいちゃんってことか。それよりも早くその"ケアルガ"って言ってあげないと……」
 そう思ってメモを置き、愛美の方を向く。
 そして前に呼んだ漫画みたいに愛美の体の前に手をかざし、叫んだ。
「"ケアルガ"!!」
 手からなんともいえない気持ちのいい光が放たれる。その光は愛美を包み込むようにして消えた。
「う……う〜ん……?」
「気がついたか?おい!愛美!大丈夫か?」
「け……健一……?こ……ここは……?」
「何言ってんだ!お前の……い、いや俺の家だよ!」
「家……」
「フッ……。まあいいや愛美が元気になったんだし」
「元気に……なった……?私が……」
「急にぶっ倒れるんだもん。びっくりするぜ」
「急に倒れた……。そうだわ!」
といって急に起き上がったせいでかがんで愛美の顔――健一の顔だが――をのぞきこんでいた俺の顔に……こっちは愛美の顔ですね……愛美の頭がモロに当たってしまった。
 ゴチン!!☆★
「っっっっっっっって〜〜〜! め、愛美!!な……なんで急に起き上がるんだよ……!?」
「いったあ〜〜!ごめん健一! ……それから……ありがとう……」
「つ〜〜……フフッ、ああ。お前が元気になってよかったよ……」
「あら、私って笑うと結構かわいいのね……。じゃ……私はお風呂に入ってくるね……」
「かわいいって……。ってちょ〜〜〜っと待ったあ〜〜!!」
「え?どうしたの健一?」
「今愛美は俺の体なんだぜ?それにここは前は愛美の家だったけど今は俺の家ってことになるだろ?勝手に入っちゃっていいのか?親は?」
「あ〜〜〜そうか……。でもいくら健一がケアルガしてくれたからってまだ私のマナはすべて元に戻 ってないし……お風呂にはいる以外にマナを回復させるには……あっ」
と言って愛美は急に口を押さえてしまった。顔はかなり紅潮している。
「おい、どうしたんだ?顔が真っ赤だぞ……?」
「ううん、なんでもないの。それ以外の方法のことは忘れて!それよりお風呂にはいるね」
「え?だから俺の体で……?」
「もうっ!そんなこと気にしてたら明日からの生活はどうなるのよっ!」
 と言ってスタスタと部屋を出ていってしまった。
 いくら事情を知っている仲だからって好きなコに自分の体を見られると言うのは……あっ!
 ……………………ポッと顔が赤くなってしまった俺だった。
 もっとも、今は精神だけ俺で体は愛美。顔が赤くなってしまう女の子はとてもかわいいはずだ……。

 ――ふと変な方向に考えてしまう高校生男児でしたがそれはまだ彼が男であるという余韻です。いずれ考えることも無くなるでしょうが……。

 ふと部屋を見渡すと女の子の部屋らしい人形やポスター、服、本などがいろいろ並べてあった。
 しかし、部屋の片隅に変な本棚があるのに気づいた。
 並んでいる本の背表紙を見てるとなんと!そこには『誰でもできる変身術』という本があった!
「なんだ!この本があれば俺たち、元に戻れんじゃん!!」
 そう思ってその本を抱え、風呂場へと向かった。愛美、元に戻す方法は無いなんて言ってたけどこれが
 あれば・・・ところで風呂場ってどこ?
 そういえば風呂場の位置なんて教えてもらっていない。すっかり忘れていた。
 なんでこんな豪邸に住んでんだろ……。

 愛美の家は親が大会社の社長なのでかなり広い豪邸に住んでいる。もちろん住み込みのメイドも何人かいる。いまは両親とも外出してていないみたいだが、この家の主の娘である愛美……俺が使用人のメイドに『あの〜風呂場、どこですか?』なんて聞けるわけが無い。っていうかなんでこんなこと知ってるんだ? 俺……いつ聞いたっけ愛美に……???
「しっかしこりゃ参ったな・・・」
 そういいながらも家中を歩き回る。
「ここ、さっきも通らないっけ・・?」
 やばい。堂々めぐりだ。このままじゃ自分の家で迷ってしまう。
「ええい!なら順々に部屋を見ていってやる!!」
 そう言って自分の右側にあった部屋に入った。
 ビンゴ!!とはこういうときに言うもんだと俺は思った。ここが風呂場だったのだ。しかし・・・
「きゃあ!!変態!!」
 脱衣所いっぱいに女の声が響き渡り、そのあといろんなものを投げつけられた。何が投げつけられたかはよく覚えていない。というかこの話の都合上、言わないほうがいい。
「うわっ!いてっ!す、すみません!悪気は・・・」
「あれ?健一!?」
「え?」
 そういって顔を上げるとそこにはなんと石垣愛美が立っていた。……タオルを巻いた裸姿で……
「え?えええええ〜〜〜〜〜!!!????」
「ごめん!ごめん!!お、俺、何にも見てないから!!!」
「はぁ?なに言ってるの健一?」
「え?」
 そういえば俺今女の子なんだ。女の子と裸で対峙し合ったって別にいいじゃん!(よくないかも)
「ああ……アハハハ……ちょっと待って。なんでここにいるの?俺が……?」
 そういえば今ここに石垣愛美は二人いるってことになる。これってもしかして見たら死ぬと言われているドッペルゲンガー現象!!?(現象なんてついたっけ?)それじゃここにいるのは俺のドッペルゲンガー!?やべー見ちゃったよ〜死ぬのかな……?
「アハハハ!!ごめんね!言うのまた忘れてたわ!今健一、ドッペルゲンガーとか考えてたみたいだけど違うよ!アハハハハ!!おっかし〜!」
「え?え?え?一体なにがどうなってんだよ?」
「その本!そこに書いてあること読んでないの?持ってるのに?」
「え?あ、読んでない……」
「フフフッ。持ってるのに読んでないなんて・・いい?その本に書いてある、変身術の中に誰にでも変身できる魔法を私は自分にかけたの。それで、20分間だけ元に戻れるってわけよ」
「あ、ああ〜なるほど。だから完全には元には戻れないってことなのか。・・・それって誰にでも変身出来るの?」
「変身するには条件があって……。いろいろとめんどうだからまた機会があったら説明するわ。それより一緒に入らない? 別に恥ずかしがらなくたっていいわよ私も健一も女の子なんだし。それにまだ話さなきゃいけないこともあるし……」
「え!?」
 唐突にそんなこと言われてもすごく困るが、こういうことにも慣れておいたほうがいいという愛美の意見を尊重して二人で入ることにした。
「じゃはやく服脱いで。そこにあるバスタオル巻いて入ってきてね。私は先に入ってるから……」
「あ、ああ」
 それにしても学校へ行くときのために慣れておくんじゃなかったのかよ……。そんな魔法があったなんて……まあ俺が慣れるにはいいかもしれないし。
 俺はそう思ってまず制服を脱いだ。
 ブレザーを脱ぎ、リボンをはずす。
 そのあとワイシャツのボタンを一つ一つはずしていく。
 ワイシャツを脱ぐといきなり形のいい胸を支えるブラが見えた。
「あ……」
 いくら体は女の子とはいえ、心はまだ男だ。こんな格好を見て興奮しない男がいるわけない。
「うう〜〜は、恥ずかしい……」
 女の子の体から漏れるかわいらしい声……。
 そして、後ろのホックをはずし、ブラをとった。
 スカートを脱ぎ、中にはいていたスパッツも脱ぐ。
 そのあとは素早くパンストを脱いで、急いでバスタオルを巻いた。
「ふう……こんなんじゃやばいよ〜……」
 一方こっちは浴槽の中に使っている方の愛美……。
「大丈夫かな健一……。しっかり服脱げるかな……理性を保ったまま」
 ガラッ
 風呂場の扉に手をかける前に勝手に開いた。
「じ、自動!?なんて家だここは!!ってすご!!」
 目の前にあるのは総大理石で作られた大浴場だった。
 湯気であまりよく見えないが、ものすごく広いことは確かだ。
「はぁ〜〜!すごい家だな〜ここは」
 すごいとかなんていうとかを繰り返し言いながら中に入っていった。
 ペタペタ歩いていくと、やっと浴槽が見えた。しかしここもやはりすごかった。
「なんだここ!なんかすごく高い温泉とかホテルとかの風呂じゃんここ!俺が中学のとき行った高級ホテルの風呂も見たけどそこよりもすごいなここ!」
感激していると前の方から声が聞こえた。
「早くおいでよ健一!」
「え?どこにいるんだ?」
「目の前にいるじゃない」
「え?」
 よーく見ようと前かがみになる。前かがみになったせいか、足下が濡れていたせいか、ツルッと足をすべらせ、俺は前に倒れた。
 ――というよりコケた。
「う、うわっ!」
「きゃっ」
 バッシャ〜〜〜ンと俺は浴槽というかもはやプールみたいな湯船にダイブした。
 しかし、手の下にあるものが石ではなく、何か柔らかいものだった。
 なんかぽよぽよしている。
「なんだこれ……うわっ!!」
 俺はそれがなんなのかやっと気づいた。
「あんっ!健一!そ、そこはぁ〜!!」
 俺が触っていたのは愛美の胸だった。バスタオル越しにしっかりと触れていた。
「うわうわうわ!!ご、ごめん!!」
 立ち上がろうとして手を立てたが下にあるのは愛美の胸。
「ああ!!そ、そんなにも、揉まないで……あん!」
 色っぽい声が風呂場中に広がる。その風呂場にもう一人の女の子がいたのにもかかわらず……。
 やっと二人とも体制が整って、湯船につかっていた。
「もうっ健一ったら!!」
「わわわごめん!ごめん!」
「もし健一が男だったら魔法で黒焦げにしてたわよっ!」
 お、女でよかったぁ〜
「……魔法?」
 二人は今までに無いほどびっくりした。
 そして振り向くとそこにいたのは一人の愛美は見たことがあり、もう一人の愛美は見たことが無い女の子だった。
「優!?」
「え?誰だっ……ゴボゴボ……」
 俺はお湯の中に顔を押し付けられていた。しかし苦しくない。どうやら魔法で水中でも息ができるようにしてくれてるみたいだ。魔法って便利……! そういえばさっきのコは!?
 水中(湯中?)で考えている愛美(健一)をよそにもう一人の愛美はいきなり現れた女の子と戦っていた。
「優!!なんでここに!?」
「……お姉ちゃんこそ……もう寝てたんじゃないの……?」
「いや、魔……疲れたからお風呂で癒そうかなって……ゆ、優こそなんでここにいるの?っていうかバスタオル巻きなさい!」
「だって自宅のお風呂で巻くことないじゃん。それに私はお姉ちゃんみたく胸大っきくないし……」
「あっ……もう!女の子はお風呂にはいるときはま、巻くものなの!そ。それに優はまだ中2なんだからこれからおっきくなるの!」
「わかったよ……。しょうがないなぁ……」
「あ、あともう一つ……魔法って……?」
「あああああ!それは優の勘違い!魔法なんて言ってないよ!」
「ふーん。じゃああそこに隠れてる女の人だれ?」
 優は愛美の後ろ、ライオンの像の方を指さしていった。
「え?なんでそんなことが……」
「だってなぜかそこにいるってわかるもん」
「け、健一〜」
「お姉ちゃん、健一って誰?あの女の人、健一って言うの?」
 そしてこの会話を密かに聞いていた俺はが話に入り込んだ。
「愛美、これ、もう限界だよ。もうほとんどバレちゃってるよ」
 俺は近寄りながら声をかけた。しかし愛美の様子がおかしい。
「お、お姉ちゃんが二人!!?」
「ああ、えーと優ちゃん!あとでめぐ・・・いや、私の部屋に来て!!先に上がるから!」
「え?う、うん……」
 俺は急いで湯船に沈んだ愛美をかかえ、風呂場を走った。どうやら愛美は気絶しているらしい。
 脱衣所にはいると、愛美の体が光り始めた。
 きっと変身の効力がきれるんだ。いそいで体を拭き、服を着せ、自分も服を着ると脱衣所を出た。
 じゅうたんが敷かれた廊下をつっぱしる俺。しかしすごく重い……。
「もう……だめ……」
 ドスン!!と落としてしまった。
 やはり筋力は女の子になったことでかなり落ちている。それに抱えているのは元俺。
 高校生で身長は180センチもあるんだから重いに決まってる。
 ここまで走ってこれたのが奇跡だ。
「うう……うん?」
 愛美が気づいたようだ。
「愛美!大丈夫か!?」
「け、健一……」
「はやく部屋に行こうよ!優ちゃんがまた来ちゃうよ!」
「優……そうだ!」
 はっと起き上がると今度は俺が抱えられた。
「お、おい愛美?優ちゃんって一体何者?」
 抱えられながら俺は問いかけたが答えてくれなかった。
 そして愛美の部屋に戻ると扉を閉め、俺を下ろしてくれた。その後愛美は座り込んでしまった。
「お、おい愛美?ホントに大丈夫かよ?」
「ハァハァ……心配ないよ……」
「そうか……。ところで優ちゃんにあとでここに来るようにって言っちゃったけどいい?」
「え?ホントに? ……はぁ優が魔法使いだったなんて……」
「ってちょっと待って。優ちゃんが愛美の妹ってことはわかったけどなんであんなことが……?」
「私にもわからない。でも優が魔法使いに覚醒してるってことはわかったわ」
「優ちゃんが? ……それって俺と同じ原因ってことも考えられるのか?」
「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない」
 愛美はベッドに腰かけながら話した。
「ところでなんで気絶したの?」
「気絶?ああっ! ……ってことは私の……その……見た?」
「え……あ……」
「まぁ、しょうがないけど、……のぼせちゃったの」
「え?そうだったの?てっきり魔法の効力がきれるからかと思った」
「滅びの魔法でもないかぎり気絶なんてめったにしないわよ」
「そうか……」
 滅びの魔法と聞いてなにも驚かない健一に愛美は驚いたが、少し考えてわかったようだ。
「とにかく、優は魔法使いになっちゃってるわ。そうなった以上、私たちのことを隠し通せるわけないし、打ち明けるしかないわね」
「そうだな……」

 数分後、優ちゃんは愛美の部屋にきて、愛美はさっきの風呂場でのこと、入れ替わってしまったこと、魔法のこと、天使のこと、俺のことを話した。
 魔法使いと聞いてかなり喜んでいたみたいだった。その理由はSFマニアだからだということもあとから愛美に教えてもらった。
「ふーんじゃあお姉ちゃんはこっちのお兄ちゃんで、お兄ちゃんはお姉ちゃんになっちゃったってことか……なんか変だけどこれからもよろしくね!お兄ちゃんとお姉ちゃん!」
 ああ……なんて明るい子……わかりやすいコでよかったぁ〜!
「健一ちょっと……」
「ん?なに愛美?」
「今わかりやすいコって考えたみたいだけどそう思っていられるのも今のうちかも……」
「え?どういうこと?」
「だから……」
 すべてを聞く前にそれをかき消すのごとく大きな声が響いた。
「お姉ちゃん!魔法ってどんなの?攻撃とか回復とかできるの?どんなのどんなの?ね〜ぇ〜!?」
「ホラ……」
「ああ、頑張るよ」
 ちなみにホントは優ちゃんも天使なんだがそれは言わないでおくことにした。
 言ったらまたうるさいに違いないと思ったからだ。
 しかしそう思ってられるのも今のうちだった。数秒後に俺にむかって火の玉がとんできたのだ。
 それをみてはしゃぐ優ちゃん。注意する愛美。黒焦げの俺。(ああ〜むなしい俺……)
 はしゃぐ優ちゃんの背中に青い天使の羽があった。
 その羽も優ちゃんの性格を現すかのようにパタパタとはばたいていた……。
 
    第3話に続く……


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