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特に無し。(←書く必要ないのに書きました。)




 TSF!!
 この小説を開いた読者諸君にならば、上の三つのアルファベットの意味が理解でき
るだろう。
 そう。言わずと知れた「男が女へと変化する(トランス:T、セクシャル:S)フィ
クション(F)」である。
 これは、そんなTSFをこよなく愛し――――
      文字によってそれらを具現化する――――


 熱き漢達の物語である!!!



TS小説家伝説!!
作:干支



「ぐおおおおお!!!!!何故だああああ!!!!」
 深夜二時。俺は自室で起動させたパソコンを見て叫んだ。正確にはインターネット
に接続させたパソコンの画面を見て、だが。
 そこは某『TSFサイト』の某投稿小説ページの感想掲示板だった。そしてその掲示
板のタイトルには俺のペンネームが載っていた。
 まあここまで言えば俺がどんな人間かが想像できるだろう。そう俺はTS愛好者だ。
しかもつい最近TS小説家としてデビューしたばかりであった。まあ中学生の頃家に導
入されたインターネットを使って、このサイトを(って言うかTS関係のサイト全般)
を見つけてからはや三年になる訳で、『そろそろ読んだり見たりするだけじゃなくて
書くほうに周ろうかなあ?』って思って小説を一つ書いてみたんだけど
これが全然駄目。
 掲載されてからはや2週間。一つ位はあってもいい筈なのに一っつも感想は無し。
これじゃあ駄目だなって思ったね。つまりまあ早くも引退を考えた訳。こんなにTS好
きなのになあ。才能無いのかな俺。
 と、まあこんな事を考えたせいでかなり遅くなってしまったようだ。俺は接続を
切ってパソコンを終了させようとしたのだが、何故だか突然自分の作品が読みたく
なった。理由は解らないが。(じつは投稿するときも見直しとかしなかったのよね。
俺)マウスを操作して自分の作品の所をクリックしてみる。すると、ダアーっと自分
の書いた文字が並ぶ。再びマウスを操作して作品を読むためにチョッとずつスクロー
ルバーを下にずらしていった。そして十数分後・・・・・
「つ・・・・つまらん・・・・・・・・」
 読み終えた俺は自分の作品のあまりのつまらなさに絶句していた。まさかここまで
つまらないとは。しかもそれだけじゃない。文章が滅茶苦茶で死ぬほど読みにくい。
他人の作品だったら0コンマ3秒でエスケープしていたであろう読みにくさだ。そし
て極めつけはリアリティの無さ。バトルだとかは無しの純粋なTS物のはずなのにTS
シーンがベタベタのベタりんチョだ。しかも全く萌えない。こいつぁ誰も読まないの
も頷ける。どうやら俺には徹底的に才能が無かったってわけだ・・・・・・・・



からんからん・・・・・
 俺が扉を開くと、日曜の昼下がりの静かなこじんまりとした喫茶店に扉に取り付け
られたベルの音が響き渡った。
「やあ。いらっしゃい。」
 店のカウンター席の向こう側からこの店の店長が俺に声をかける。俺はよくこの店
に行くのだが、この店長。年がら年中昼も夜もサングラスにスーツ姿っていう明らか
に場違いな格好をしている。まあそんな喫茶店に俺も二年近く通ってる訳だが、どう
いうわけか今日は店に入った瞬間違和感を感じた。その違和感の正体は、店の一番奥
のパソコンに合った。
「あれ?」
 そのパソコンってのはこの店に住んでるって言う若い兄ちゃんが指定席にしてい
て、客は先ず座らないんだけど、今日は珍しく客と思しき人影が座っていた。
「マスターこの・・・・・・・・」
 いつもと違う光景を疑問に思い、店長に質問しかけた俺であったが驚くべき光景を
目の当たりにして思わず口をつぐんだ。
「な・・・・・速い・・・・!」
 そう速いのだ。その、頭をバンダナですっぽりと覆っている男の手は肉眼では捉え
きれないほどのスピードでキーボードを叩きまくっていたんだよ。それだけでも驚く
には十分なんだけど、画面を見たときは一瞬俺は絶句してしまった。
 男は小説を書いていた。それもTS小説を。しかもそのペンネームがなんと、TSF界
では知らぬもの無しの大御所のものだったのだ!ついついその動きと小説の内容に魅
入られてしまい、フラフラと男に否画面に近づいていってしまった。そして・・・・
・・
お・・・面白え・・・・・・
 がああああああ!!!!!これは・・・・この眩しさ素晴らしさ萌え。何処をとっ
ても一級品だ。もしもこの作品が売られているんだったら俺は一万・・・いやいくら
出してもいい!!昨日の俺のとは・・・・いや!比べる事すら出来ねえ。うおおおお
おおお!!!こんな超一級の小説が生まれる過程を見られる俺はし・・・幸せだああ
ああああああ!!!!!
 俺の目には涙が止め処も無く溢れていた。そんな風に俺がエクスタシーな状況に
なっていると・・・・・
「おい。お前。俺はこのペンネームの奴じゃねえぞ。俺はこのペンネームの奴に代筆
を依頼されてるんだ。」
 唐突に男が手を止め俺のほうを向いて言った。線のように細い目をしているが・・
・・う〜〜〜ん、しかし代筆までするとはって・・・え?代筆?
「代筆って・・・一体・・・・・・・って言うかこの文章は明らかにあの人のもの
じゃないですか。」
「当然!俺にかけぬTS小説は無いからな。そう人は俺をこう呼ぶ。
ゴースト・ライター・Sと!!!」
 ごごごごごゴーストライター・・・Sゥゥ?どういうことだ?まさかこの人他にも
いろんな人の代わりに書いてるって言うのかよ!
「勿論!それからお前の作品読ませてもらったぞ。全く持って駄目駄目だったが底知
れぬ潜在的な凄みを感じたぞ。明日俺がきっかけを与えてやろう!!」
 今の疑問を言葉にしてぶつけてみた所、さも当然のように答えが返ってきた。それ
どころか俺の作品まで・・・・・って何で俺だってわかったんだ?ペンネームだけ
じゃ解らないはずなのに・・・・・・・・
 突如湧き上がった不可思議な疑問に俺の興奮は一気に覚めていった。慌ててその答
えを聞き出そうとしたが既にパソコンのところに男の姿は無く、見回すと会計を済ま
せて店を出たところだった。俺も急いで後を追って店の外へと出たが、その時には
ゴースト・ライター・Sと名乗った男の姿は影も形も無かくなっていた。俺は驚愕、
不安、焦り、Etc・・・様々な感情をごっちゃ混ぜにしながらただただ突っ立って
いた。そして本当に驚くべき事・・・・・奴の言っていた「きっかけ」・・・・・・
が次の日に起こるなどとは、この時点で俺には想像もつかなかった。

 

 時計が12時15分の所をさす。何処も同じなのかそれとも意外と違うものなのか
は知らないが、ともかく俺が通っている高校は12時20分に四時間目がおわり、昼
休みとなる。つまり授業から一時的に開放される訳だが、今日の俺は昨日起こったこ
とで頭がいっぱいであった。Sとは一体何者なのか?それにTS界にまさかあんな存在
がいたとは思わなかったし、なによりSが(あの後俺は奴をSと呼ぶ事にした。)なぜ
自分の事を知っているのかも疑問だった。喫茶店の店長にもTSFについては話した事
は無かったはずなのだが・・・・・
 キーンコーンカーンコーン・・・・・・・・
そんな事を考えているうちに授業は終了していった。全員が道具をしまい、起立の後
礼をする。俺も同じ様にしたのだが、次の瞬間!
 ガタガタ・・・・
 俺は自分の目を疑ったね。なんとクラス全員が一度に・・・・そう。まるで糸が切
れたかのように全員同時に床に倒れこんでいったのだ。どうしようかと一瞬焦った
が、それも杞憂で終わった。かすかな呻き声が聞こえ、それが少しずつ広がり、結局
あれよあれよという間に全員が起き上がっていた。今のは一体なんだったのだろうか
?全員が一度に貧血でも・・・・しかし何故自分だけが?俺は不思議に思いながらも
結果的には何事も無かったのでいつも通りに弁当箱を用意しようとしたのだが・・・
・・・
「きゃあああああああ!!!!!!!!!なんでアタシが今井にいいいいいいいい!
!!!」
 一陣の野太い叫び声が俺の行動を遮った。見ると今井の奴が叫んでいる。あいつは
金持ちの息子で生意気で意地悪でともかく嫌な奴なんだよな。クラス中から嫌われて
る男ってわけだが、そいつが何故か今は女の様な声で何やら喚いている。とうとうイ
カレタか?女言葉なんて?と内心思っていたが、イカレタのは今井だけではなかっ
た。
「でへ・・・・でへへへへ・・・・・・・ぼ・・・ぼぼぼくが祥子ちゃんに・・・・
・・でへへへ・・・・・・・」
 声が上がった方を見ると、このクラス一可愛いと評判の山内祥子がまるでクラス一
エロティックな童森重雄のような顔と素振りで胸をまさぐっている。う〜む威容に卑
猥だ。
「いやあああああああ!!!!!私がああああああああああああああああ!!!!!
!!」
 と思っていたら向こうで童森が絶叫している。
「げえええええ!!!!この俺が佐藤に!!!!!」
「うわっは!すげええええええ!!!!」
「あは☆やった!周藤君になっちゃった☆」
「ぎゃああああああああああ!!!!!」
「うおおおおおおお!!!!!」
「やめてよお!!!!!私の体でそんな事!」
 気が付くとクラス全員がこんな感じで大騒ぎになっていた。何故だが女子が男子の
ように振る舞い、男子が女子の様に叫んでいた。
 この異常な光景の中でたった一人、ぽかんと口を開けて放心状態になっていた俺で
あったが、やっと意識を元に戻すと一直線に教室を飛び出していた。そうTS愛好家の
俺には解っていた。理由は解らなくとも何が起こったのかは。いや、理由というか誰
がやったのかもほとんど解ったいた。そう。
奴等は心と体が入れ替わった!それもSの手によって!
 ありえない答えではあっても、もっとも納得のいく答えであった。そう今ここで
やっと俺は昨日の段階でSが何をしようとしていたのかを理解したのであった。そし
て(どこかは解らないが)Sを見つけるべく闇雲に走り回っていた。そう。この事態
を何とかさせるために。


「はあ・・・はあ・・・はあ・・・・・・やっと・・・・見つけた・・・・・・」
 Sは正面玄関で静かにたたずんでいた。しかし俺も闇雲に走り回ってよくたどり着
けたもんだ。だがここに来る途中の様子を見ると全員が全員入れ替わっていたよう
だった。(それも男と女どうしで)
「よう。坊や。どうだいいい小説は書けそうかい?」
 息を切らしながら近づく俺に気付いた奴は、笑いながら俺に問い掛けてきた。そこ
からは全くといっていいほど罪悪感が感じられなかった。
「あんた・・・・いや・・・・・・やっぱりあんただったのか!?これをやったのは
!」
「そうだ。お前の為にな。」
 俺のため・・・・だが俺はこんな事は望んでいなかった。いや。確かに今までは望
んでいた。だがそんな願望も所詮は実際には起こらないことが前提だった。いざ実際
に事が起こってしまえば、嬉しさよりもむしろ恐怖やパニックに頭が占領されてい
た。
「戻せ!今すぐ戻すんだ!!こんな事人間として間違ってるぞ!!」
 俺は言葉に怒気を込めてもとに戻す事を命令した。本当にこんな事は許されないは
ずだ。誰もが入れ替わりたいなんて思ってる筈が無い。
「いいぜ。」
「だから!・・・・・え?何だって?」
「戻してもいいって言ったんだ。」
 予想だにしていなかった答えに俺は一瞬その答えを理解する事が出来なかった。だ
がそれには構わず奴は言葉を続けた。
「お前が本当に戻したいと思うなら、だがな。」
「戻したいと思ってるに決まってるじゃないか!さあ!戻してくれ!」
「そうか・・・・まあお前にとってTS小説ってのはその程度モノだったんだな。」
「何だって?」
「お前のTS小説に賭ける思いがその程度だって言ったんだ。まああの程度の小説しか
書けない人間だ。そう答えるのも無理は無い。だがな、よく聞けよ。本当に面白い小
説を書くならどんな状況においてもネタを探すほどの気合が必要じゃないか?まして
や今お前の目の前にはTS小説家として最高のネタが広がっている。今これをネタに出
来なければ次は無いし、今ここで出来ない奴は次もできない。そうお前に足りないの
は小説に賭ける想いだ。」
「そんな事・・・・・だが、ここで戻さなければ俺は人間として・・・・・・・・」
「それがどうした!!!」
 突然奴はもの凄い剣幕で怒鳴った。その気迫だけで近くのガラスが粉々に吹き飛ぶ
ようであった。
「確かに!ここで戻さなければお前は人間としては失格だろう!!だが!!それがど
うした!!!ここで何もしないで戻せばな!!お前は人間としては正しくとも!!
TS小説家としては失格だ!お前に小説を書く資格は無い!!!!」
 一言一言区切るようにして奴は怒鳴った。そして俺は
「失格・・・・・・・」
 奴の言葉に衝撃を受け、気がつくと床に膝をついていた・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・俺の中で何かが吹っ
切れた。
「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああ!」
 俺は天に向かって一声叫ぶと、今尚混乱し続ける人ごみへと突進していった・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・


 深夜二時。自室で起動させたパソコンを見ていた。正確にはインターネットに接続
させたパソコンをの画面を、だが。
 そこには延々と俺の小説の感想が書き記されていた。
 あの日俺は真のTS小説家となった。あの時目を覚まされて(或いは洗脳されて)TS
ネタを集めていった事で俺の小説に賭ける想いはそれまでとは比べ物にならなくなっ
た。その後も俺はTSしたもの達の様子を参考にして、TS界において『リアルなTSF』
として着実に評価を得ていった。そう。今も俺の学校は全員が(俺以外)入れ替わっ
たままだ。しかしそれでも学校が休校になったりしないのは不思議なものだった。今
日も俺は女子高生の教師の授業を受けてきた。だがこんなモノでは満足が出来ない。
今日も俺はTS小説を書いている。







この作品はフィクションです。実際にこんなことがありえる筈がありません。しかし
私も・・・・おっと。いけない・・・・・・・・・・・・・・・




〔後書きんちょうりきっどおくだけなろんえーす〕
どうも最後までお読みいただきありがとうございました。
さてさて今回の小説の趣旨ですが、ズバリ!『もし自分の身の周りでTSがおこった
ら。しかも自分に元に戻せる状況にあったら』ってな感じで書きました。いやあ。戻
さないなんて鬼畜ですね。でも言い訳せずに言うとこれが本心ですね。本当にネタと
かにしちゃいます。まあ何度か書いてみてやっと書けました。何でか気が付くと前に
書いた小説のキャラが出て来ちゃいましたね。ちなみにSは最初から出すつもりでし
たが。(さてだれかな〜?)まあここら辺で一言。
やべええ!TS小説について熱く書き記しちゃったよ!!俺なんかが!どうしよう!!



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