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それは素晴らしき日常?
作・鏡



AM10:00

 とりあえずリツコに連絡を取りNERVにやってきた三人(1人失意状態にあり会話不能)。
 目的の場所、この世の謎は全てここにくればわかるとまで言われた赤木リツコの研究所。
「無断で入ったらお仕置きよ☆」といかにも実験体を探して夜な夜な町を徘徊している、リツコらしいコメントがかかれた紙の張 ってある扉をあけて中に入る三人。
「コラァ! リツコ、これはどういうことか説明してもらいましょうか……って予想はしてたけど……やっぱりか……」
 ミサトの目の前に現れたのは男装(?)をした渚カオル似の男の子。
 皆様お分かりであろう、これはもちろんレイである。
「あら、いらっしゃい。どう?なかなか似合ってるでしょう?」
 三人(1人は失意状態にあり、見ちゃいない)が男装(?)レイを同情やら色々な感情の混ざり合った目で見ていると、奥からお気 に入りの黒猫の絵が描いてあるマグカップにコーヒーを入れたリツコが出てきた。
「そりゃ……似合ってるって言うか男の子になってるんだから似合うでしょうよ……」
「それもそうね♪ 私としたことが失言☆。うふふふふふ……」
 どこか暴走気味のリツコの様子に引きまくる三人(しつこいが1人は失意状態で見ちゃいねえ、聞いちゃいねえ)。
「そ……それより、これはどういうことよ!」
「どうもこうも見たまんま。男の子は女の子に、女の子は男の子になったのよ」
「そんなの見たらわかるわよ!だからなんでこうなるのって聞いてるの!」
「聞きたい……?」
目に怪しげな光を灯らせミサトを見るリツコ。
「いや……個人的には聞きたくないけど。仕事上聞かないわけにはいかないわね」
「そう、簡単なことなのよ。人間とチンパンジーの遺伝子上の違いって知ってる?」
「は? なんでそういう会話になるの?」
「いいから聞きなさい。人間とチンパンジー。一見全く違った遺伝子をもっているようなこの二つの生き物だけど、遺伝子上の違 いはたったの2%程度。わかる?だったら男と女なんて違いがあってないようなものなの」
「ま、まあそういうことよね……」
 いまいち話がわからないミサトだが、とりあえずここで話の話の腰をおると後で怖そうなので黙っておく。
「でね、男と女の違いは染色体がXYかXXかってことなのよ。だからそれをちょこちょこっといじって男と女にすることはとっても 簡単なの。私の手にかかればね……。ミサトもしてみる? いまなら安くしとくわよ♪」
「ん〜それもいいかもね……ってそうじゃなくてだからその遺伝子がどうのこうのはわかったから、なんでこんなことをしたのか ってことを言いなさいよ!」
 ついつい話しに乗りそうになった自分を心の中で折檻してから、リツコに詰め寄った。
「ふっ……それはね――、一番になりたくなったの」
「は?」
 リツコの回答に疑問符をうかべる二人。
「どういうことですか?」
 今や可憐な美少女と化してしまったシンジが訪ねる。
「だってね、母さんがMAGIを開発してしまったからそっち方面では一番になれなくなってしまったの。だからいっそ科学の方 で一番になってやろうと・・・」
 そこでミサトの頭に一つの疑問が浮かび上がる。
「ねぇ……リツコ。あんたの仕事ってMAGIの調整とか制御とかよね?あとは武器の開発とかするやつよね」
「ええ、大体そんな感じよ」
「じゃあ、あんたがそんなの実験するのなんておかしいんじゃないの? 全く関係ないじゃない」
「ええ、そうね」
「そうねって、あんたねぇ……」
 頭を抱えるミサト。
 その後ろでは、シンジがこめかみに手を当てて諦めムードに入っている。
「ま、趣味よ」
 ひどく変わった趣味もあったもんだ、とその場にいた全員が思ったが、恐いので言葉にはしない。
「で、その予算はもちろんあんたが出してるのよね?」
 ビクッ!
 ミサトの一言にリツコの体が僅かに反応した。
 それをミサトは見逃さなかった。
「何かありそうね……。リ・ツ・コ♪」
「な、何のことかしら。リッちゃんわからない」
 それからいろいろな尋問をした結果、リツコは技術部の予算を水増し請求し、実験予算に当てていることが判明した。
 これは当然、犯罪である。しかし、よく考えると普段リツコのしていることも十分犯罪に値するのだが、NERV内では既に咎 める人はいない。皆命が惜しいのだ。
「という訳で、とりあえず司令のところに行きましょうか……」
「ね、ねぇミサト。ここで取引をしない……?」
 流石に指令の所に連れて行かれるとまずい、そう考えたリツコはミサトの些か特殊な好みを取引に使うことにした。
「今更悪足掻き?見苦しいわよ」
「まあとりあえず聞くだけ聞きなさいよ」
 そういって、ミサトの耳を自分に近づける。
「あなたのちょっと人には言えない秘密知ってるんだけど……」
「何よ、それ」
「あなた……ショタなんでしょ?」
「!! 何故それを……。私、誰にもいってないはずなのに」
「フッ……甘く見ないで。あなたに催眠術使って調べたから間違いないわね。それでね……。これをあげるから見逃してくれな い?」
 そういってリツコが「ドラえもんの四次元ポケットもビックリ」と言われる「リッちゃんの四次元白衣のポケット」からなにや ら怪しげな小瓶を取り出した。
 その中には真っ赤な錠剤が二十錠ほど入っている。
「これは?」
 催眠術をかけられたことはとりあえず置いておくことにするミサト。
「超強力な、そう……それこそ理性をフッ飛ばしちゃうほどの媚薬……。効果は既に実証済みよ」
 怪しげに口元を歪めながら喋るリツコ。
 三十路前なのに結婚の「け」字も無いのはこのせいだろう。
「シンジ君……今はシンジちゃんかしら?狙ってるんでしょう? だったらこれを使わない手は無いでしょう?」
ビンを振り、ミサトを誘惑する。
「これで一気に既成事実を作って、あとはあなたの腕次第よ……」
「そ、そんなので私が釣れるとでも……」
 思っているわけ?と言おうとしたミサトがビンから目をそらしシンジの方を向いた時ミサトの心は揺らいだ。
 ミサトの目の前に、朝から色々ありすぎて疲れたのか、スヤスヤと気持ち良さそうに眠るシンジがいたのだ。
 そのなんと可愛いことか。これはショタとして見逃すわけにはいかない獲物だった(恐るべし三十路女)
 「……………………………今回は友人として見逃してあげるわ」
 長い空白の後、そう言ってビンを受け取ったミサト。言葉とは裏腹に満足げだ。
「それから……もう一個お願い……。私にもあの薬頂戴よ」
「あの薬?」
「そう、シンジ君たちに飲ませたやつ。流石に女同士っていうのはごめんだからね」
「ふっ……そういうことね。いいわよ」
 そういってリツコは再び四次元ポケットから青い錠剤を取り出した。
「じゃ、商談成立ってことで」
「そうね。ところで聞きたいんだけど、この薬をもう一回飲んだら女に戻れるの?」
「無理よ」
 キッパリ!
「へ?」
「無理よ。一度私も実験したの。そしたら二度目以降は何にトランスするか分からないの」
 と、リツコ。あまりに自然な物言いに、二回目にトランスさせられた哀れな生物の事はあっさりと流された。
「と、いうことは……シンちゃんたちはこのまま?」
「ええ、そういうことね」
「……そう。とりあえずアスカ達は私がなんとかなだめるわ。あなたは司令にこの事を伝えて」
「わかったわ」
「じゃ、とりあえず今日は帰るわ」
元に戻れない子供たちを可哀想に思いながらも媚薬のビンを離さない、欲望に忠実なミサトであった。


AM11:50
 とりあえず家に帰ってきたシンジ達。
 再起しないアスカをリビングに放って置いて、とりあえず昼食をとることにしたシンジとミサト。
「じゃあ僕は昼食の用意しますから……。その間に何かいい案考えておいてくださいね」
 なぜか不機嫌なシンジ。
 その理由は彼の着けているエプロンにあった。
 家に帰るとシンジのいつも使っていたひよこの絵の入ったエプロンが無くなっており(これもどうかと思うのだが)、替わりに 「男たちの夢(?)」である新妻スタイルの基本「ふりふりエプロン」が置いてあったのだ。
 言うまでもなくミサトがすり替えていた。
「わかってるわよ。まっかせなさい!」
(うふふふ……最高よシンジ君)
 今にも口の端から涎がたれそうなほど緩みきった顔をしているミサト。
 はっきりいって下手なお化け屋敷のおばけよりも怖い。
 その証拠に、ペンペンがミサトの顔を見た瞬間に泡を吹いて倒れてしまっている。
 そんなことは気にもせず、シンジの後姿を舐めまわすように見ているミサトであった。


 背筋に嫌な悪寒を感じながらも昼食を作り終えたシンジはアスカにご飯を食べさせるべく、
「アスカ復活大作戦」を決行しようとしていた。
 作戦その1「好物でつって復活大作戦」
 とりあえず一番簡単で有効だと思われる作戦でいくことにしたシンジ。
 アスカの好きな唐揚げとハンバーグを皿にのせて(山盛り)近寄る。
 「アスカ。ねえアスカってば。ご飯だけでも食べてよ」
 アスカの肩に手を置いて前後に揺する。
 面白い程の速さで移動するアスカの頭。
 しかし、アスカが失意状態から戻ることはない。
「はぁ……やっぱり駄目か。とりあえずご飯だけでも食べさせてあげないとね」
 揺するのをやめたシンジは、箸で唐揚げを一つ摘むとアスカの口に近づけた。
「アスカ、あ〜んして」
 体型もアスカより小さくなってしまったので、下から見上げるようにしてアスカに口を開けるように促すシンジ。
 はっきりいってその姿は……『萌え』一言につきる。
 それを証明するかのように、ミサトが先程から鼻息を荒くして見ている。
「ねえ、あ〜んしてよ」
 しかし、そんなシンジの姿もアスカの目には映らない。
「………どうしよ」
一向に開く気配のないアスカの口。
(このままじゃアスカ、体、壊しちゃうよ……。どうしよ)
 思案に暮れるシンジ。
 すると、そんな様子を眺めていたミサトがふとこんなことを言い出した。
「シンちゃん。鳥ってね、子供に餌をあげる時には、一度口に入れたものを子供にあげるのよ」
「へっ……?」
 ミサトの言葉に目を丸くするシンジ。
 ミサトはこう言っているのである。
「一度自分の口に入れてから口移しでアスカに食べさせなさい」
 と。
「だ、駄目ですよ!ア、アスカだって……男の子にそんなことされた――余計に――あの……」
「あら、今はシンちゃんが女の子よ。それよりも、そのままじゃアスカ、本当に弱っちゃうわよ」
嬉しそうに目を細めるミサト。
「う……」
 数秒間迷う。そして、
「じゃあ……やってみる」
 意を決したシンジは持っていた唐揚げを口に入れると、アスカの口に自分の口を近づけた。
 流石に鳥のように噛んで、離乳食のようにしたりはしない。
 とりあえずアスカの口の中に唐揚げを入れればいいのだ。
 ゆっくりと近づいて行く唇。
 アスカの口を手を使って開ける。
 さらに接近する唇。もう殆ど距離がない。
 そして……
「ん……プハッ」
 やってしまった。
 激しい後悔に苛まれながらも、アスカの口がむぐむぐと動いたことに安心するシンジ。
 すると次の瞬間、ガラス玉のようだったアスカの瞳に少しだけ光が戻った。
「シ……ンジ?」
「アスカ!」
 嬉しそうにアスカに飛びつくシンジ。
 尻尾がついていれば、パタパタと元気よく振っていることだろう。
 そしてそんな美少女を見ながらアスカは、
(あ……可愛い子)
 なんて、ちょっと男の子として覚醒しているのだった。


 結局最後までは復活しなかったアスカ。ので――
 作戦その2「色仕掛け大作戦」(ミサト発案)
 その作戦とは今シンジが着用している「フリフリエプロン」という兵器の、
 性能を最大限に生かした作戦である。
 内容ははっきりいって……『萌え×4』である。
 フリフリエプロンの性能を最大限に引き出す方法……それは……。
 「○エプロン」これに限るだろう(○の中は推して知るべしである)。
 この格好で迫られた日には、たとえ元女のアスカといえど陥落せずにはいられないだろう。
 しかし、ここで問題が発生する。
 それはアスカとしての意識の覚醒の前に、アスカが男の子として覚醒してしまう可能性があることだ。
 目の前に○エプロンの、しかも美少女ときたら……もうお分かりだろう。
とりあえずアスカとしての意識が先に覚醒することを祈りながら、ミサトは計画を実行に移した。
「ミサトさ〜ん……本当にやるんですか……(潤)」
「あったりまえじゃない!アスカを元に戻すんでしょう!」
とかなんとか言っててもミサトの目は既に駄目っぽい。
「でも……恥ずかしいですよぉ……(赤)」
「そのくらいしないと駄目よ」
「はふぅ……」
 ため息をつくシンジ。
 今の彼はまさに世界の宝そのものである。
 ゲンドウ辺りが見れば、そのまま極楽行きになりそうなものである。
「じゃあ行ってきます……」
「頑張ってねぇ〜」
 ヒラヒラと手を振るミサト。
 アスカの元に向かうシンジの後姿を、穴が開くほど見つめているのが怖いが・・・。
 そんなこんなで「色仕掛け大作戦」が始まろうとしているのだった。


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