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狩人 ― 裏 ―

作:干支


 この世には人知の知れないものが『ある』
 霊といわれるものが。化け物といわれるものが。魑魅魍魎といわれるものが。悪魔といわれるものが。神と呼ばれるものが。
 また魔法といわれるものが。魔法としか思えないほど進んだ科学が。

 それは確かに『ある』のだ。
 「それら」は人間の前に殆ど現れない。だが人間に「彼ら」が牙むいた時、人間に太刀打ちできる術は無い。
 だが「それら」を「狩る」事を目的とした「者」も確かに『いる』のだ。

 そのことを知る者は、彼等を尊敬と畏怖をこめて「狩人」と呼ぶ。


序章

 「高瀬千夏」の住む町でおかしな事件が起こるようになったのは、つい2週間ほど前だった。
 たそがれ時。左右を壁に囲まれた1本道を一人の少年が疾走していた。
「はぁ・・・はぁっ!早く帰んないと・・・・・」
 少年は急いでいた。今年中学に上がった彼は念願の部活に入り、毎日のように部活をやっていた。今日はその部活がたまたまおそくなったのだ。彼の父親は今時珍しく厳格な性格で、門限を破ればどんな目に合うか分かった物ではない。彼は必死に遅れまいとして、一本道をひた走っていた。
「くっそ、門限が6時なんて無茶苦茶じゃねーかよ。あの親父何考えてんだ!?」
 周りに人影はなく、既に日は彼の背後の町並みに半分程身を沈め、赤い光を投げかけていた。そして彼が更に足を速めようとしたそのとき・・・・
「もし・・・・・そこの方・・・・・」
「うわっ!!」
 急に声を背後から声をかけられた彼は驚き、つまづきそうになった。
「何だよ!?」
 急いでいた所をいきなり呼び止められた彼は、少し苛つ樹ながら後ろを振り返った。
 そこには全身黒尽くめの「誰か」が夕日を背中に立っていた。顔は逆光でよく見えず、男か女かさえも判らない。突然現れたそいつは、まるで地面から湧いて出たかのようだった。
「君は男の子・・・・かね?」
「はあ?・・・・・・・・お・・・男だよ。お前見てわかんね―のかよ!?ったく・・・・変な時間取らせんなよ。急いでんだからよお!」
 明らかに『怪しい』いでたちの男からこれまたおかしな事を聞かれ一瞬答えに困った彼だが、自分が急いでるのを思い出し、とっとと答えてしまおうと思い早口に彼の問いに答えた。
「それじゃあな!」
 そう言うと彼は「そいつ」に背を向け、再び走り出した。しかし、既にそこから「そいつ」の姿は消えていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ふい――――――。いい湯だった。」
 何とか門限に間に合い父親のお叱りを免れた彼は、既に宿題を終え今は風呂から上がり体を拭いていた。帰り道を全力疾走した甲斐あって、お叱りを免れさっきまで最高にリラックスしていた彼の頭から黒尽くめの「そいつ」の事は既に消え去り、今は幸福感のみが広がっていた。
「ん・・・・?何だ・・・・?」
 しかし、そんな彼を突如おかしな感覚が襲った。
「胸が・・・・・・腫れてる?」
 彼は胸にむず痒さを覚え、体を見下ろしてみた。すると胸が膨らんでいる。
「何だ・・・・?まるで女・・・・・ってうわあ!!!!」
 訝りながら言った彼の言葉を、ショッキングな光景と感覚が遮った。
「うわあああああ!!!お・・・俺の・・・・・・おれ・・・・・」
 既に言葉を失ってしまった彼の股間には何も無くなり、何とか絞りだした声もまるでいつもと違う透き通った。ソプラノであった。
「お・・・・・俺一体・・・・・・・」
 鏡を見ると、そこには一人の自分そっくりな少女が青い顔をして立っていた。
「あ・・・・あ・・・・あああああああああああああああああああああああああああ・・・・・・・・・・・・・」
 しかし、叫んだ彼の意識は突如としてブラックアウトして、それから彼が目覚める事は無かった。

 それから毎日のように事件は発生していった。被害者は全員が中・高校生の少年で、皆同じように女性化し意識を失い、そして目覚めることは無かった。事態を重く見た大人達は集団下校などの解決策を取ったものの、被害は増える一方であった。
 そして、中学生の頃父親を亡くした千夏の、義父が連れてきた息子が一連の事件の犯人と思われる「そいつ」と出会い、意識を失ったのはそれから数日後だった。


第一章 『休息所』

 カフェ『休息所』。某C県の静かな街の外れに立つその店内には、こじんまりとした丸椅子とテーブルが幾つもあり、カウンターからは店主お好みのお洒落なジャズ(時にはアンデス民謡。常連のお気に入りである)が流れ、ゆったりとした雰囲気をかもし出していた。
 そんな平凡な何処にでもあるカフェの夜・・・・・・
「うっごご・・・・・・ぐうう・・・・・」
 既に客足が途絶え、閉店間際の店内に動物のうめき声にも似た声が響く。どうやら店の奥に備え付けられている一台のパソコンから聞こえてくるようだった。
「うがあああああ!!!!駄目だああああ!!!!」
 先ほどからパソコンには革ジャンにジーンズといった若若しい姿をした(髪はやや茶色っぽく、少し逆立っている所から見るとやはり実際に若いのだろう)男が向かい、必死にマウスを回しながらインターネット上の情報を検索していたが、どうやらいくら探して見ても欲しい情報が見つからないらしく、ついに堪忍袋の緒が切れたのかマウスから手を離し、今のような雄たけびをあげた様であった。
「おいおい・・・・・まだやってたのかよ。もう店閉めるぞ。」
 その声を聞きつけたのか店のカウンターの向こう側から、黒いスーツにサングラス、額には巨大なバンダナ(かなり可笑しな事だが、どうやら私服のようだ)のエージェントの出来損ないのような店主が仕事を終えて姿を現し、半ば呆れたように男に言った。(どうやら長い時間若い男は検索していたらしい)
「だって見てくださいよ先輩。これ。ほらぁ。」
 その場違いな姿をした店主を先輩と呼びかけながら男は再びマウスを手に取る。
「これぇ。ここも。ここも。ほら、ぜぇ――――――――んぶ埋まっちゃってる。俺が目ぇつけてたの全部解決済みになっちゃってやんの。」
 カーソルを動かしながら、『やってらんねえよ』とでもいいたげな感じで男が店主に言う。
「お前なぁ。しょうがないだろ。『俺達』に依頼するクライアントにとっては一刻も早く解決して貰いたいことばかりだ。副業やってる俺等に比べれば坂上さんやティンクルピクシーズみたいな『狩人』を本業とした人たちのほうが遥かに迅速な解決が望めるからな。それから俺はもう退いてるんだよ。第一線から。そんなに何度も引っ張り出すなよ。第一お前。やりたいんだったら何ですぐチェックして引き受けないんだよ?」
 言葉の前半は同業者への賞賛。後半は後輩への戒めといった感じで言いながら、店長は男のそばの椅子に腰掛けた。
「だって・・・・・俺達二人で一組の狩人見たいなもんじゃないっすか。それに・・・・・まあ会ったこと無いけど、先輩だって同じ位凄かったんでしょ。さっきいった様な人たちと。」
 どもりながら否定的な感じで男は答える。
「そんなのは昔の話だよ。まっお前の気持ちも判らなくも無いがな。」
 納得したように言って店長は椅子から立ち上がり、パソコンのマウスを手に取る。
「それじゃあ探してやるよ。この俺が・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ほら。これなんかどうだ?」
しばらくマウスを動かして、彼がカーソルを合わせた所には一件の仕事の依頼が入っていた。


第二章 『二人の狩人』

 この世には遥かに人知の及ばない存在が確かに「ある」。そんな者たちを『狩る』ことを目的とした職業。それが「狩人」である。
 カフェ『休息所』のオーナー『伊藤千里(いとうせんり)』。彼もまた狩人の一人である。彼は若い頃、父親が偶然マフィアの取引現場を目撃してしまった為、口封じに父親もろとも家族を惨殺されてしまった過去を持つ。その時彼自身も額に一発の弾丸を受け、瀕死の重症を負うが、その時得た特殊な能力により生き残り、この世界に足を踏み入れる。
 かつてはその能力と、豊富な知識、加えて冷静沈着な判断力から依頼の成功率はほぼ100パーセントと言われ、狩人の中でもトップクラスとされていたが現在は第一線から退き、カフェを営み、仕事はもっぱら後輩のパートナーと言った形で行っている。
 面倒見のいい27歳
 『朱雀目炎樹(すざくめえんじゅ)』彼は特殊な能力が幼い頃に自然発生した狩人である。幼い彼にとってその能力はあまりに強力で、制御不可であり、ついには暴走してしまった能力によって家族全員を殺害してしまう。その事は今も尚彼を苦しめているが、逆にその苦悩が彼の精神の成長を助け、家族というものに対する価値観を作るといったプラスの方向にも働いている。
 千里とは、家族を亡くした彼が孤児院を転々として喧嘩に明け暮れるなか、武器を使おうとした喧嘩の相手に能力をつかってしまった事が相手の親に知れ渡り、彼を狩ってくれと依頼を受けた千里と出会ったのが初めてであった。そしてその出会いは彼の今後の人生を『狩人』へと導いた。現在彼は千里を先輩と呼び慕い、同居している。明朗快活な19歳。


第三章 『クライアント』

 『高瀬正二』は早くも自分は間違いを犯したと思い始めていた。
彼の家は、この不況と言われる中C県内の比較的値段の高い土地に立ち、彼自身も大企業の専務という役職を勤め、裕福な暮らしを送っていた。そんな彼の息子が今回の事件に巻き込まれた時、彼は金を湯水の如く使い息子を助けるため様々な手段をとった。探偵や医者はもちろんの事、警察にもコネを使い、捜査の手を通常ではあり得ないほどに大規模なものとさせた。それも全ては成績優秀な息子の為で、ついにはヤクザなどの裏社会の者達の助けも借りた。しかし結局は、全ての者たちがこれ以上は無理だとさじを投げる結果となった。もはや藁をも掴む思いで探し当てたのが、狩人のサイトで、駄目で元々といった気持ちで依頼をした。
 しかしふたを開けてみれば目の前には特別屈強そうでも無ければ、大人数でも無い、たった二人の若造が座っているだけの事となった。『やはり今回も駄目だ。いや・・・・そもそも息子は助けられないんじゃないか・・・・・・・』
 既に絶望し、そんな想いを胸に『結構だ。金は払うからもう帰ってくれ。』といった彼に、千里はこう答えた。
「それは出来ません。あなたの目にどう映るかはわかりませんが我々はプロです。そんなみっともない真似をしたらこけんに関わります。まあ駄目で元々だと思って任せていただけませんか?大丈夫です。我々は今まで一度も仕事を失敗したがありません。そんなに心配しないで下さい。」
 これもかつてはトップクラスと謳われた狩人が放つオーラのなせる技なのだろうか。この言葉で正二の心に『まあ、もう一回くらいなら』といった感情が生まれ、それが彼の首を縦に動かした。
「そうですか。それじゃあ依頼されるならまず詳しいお話をお伺いしたいのですが。それから出来ればお子さんの状態を見せていただきたいのですが。」
 千里に納得させれたクライアントは事情の説明を始めた。町で起こっている奇妙な事件。女性化し、意識不明の息子の現在の状態。わずかに得た情報から、犯人は黒ずくめで、夕暮れ時に現れ、男かと問いただす事。そして被害者が全員少年だという事。警察ですら解決する事が出来ないという事。
「なるほど・・・・・・」
 全てを聞き終わり千里が考え込むように呟いた。
「あの・・・・息子は・・・・・浩二は・・・・・・・」
「安心してください。今回の様なケースは犯人が見つかれば大抵被害者も助かります。大丈夫です。」
 今までこれほどはっきりと答えた者は居なかったのだろう。彼の心のなかに先ほど芽生えた希望にも似た感情は本物の希望となり、彼を歓喜させた。
「そうですか!それじゃあすぐに息子の部屋に案内します。」
「どうも。ありがたいです。・・・・・・・おい!いくぞ炎樹!」
 千里はそう答え、後輩を呼ぶ。しかし・・・・・・
「す・・・・すいません・・・・・ちょ・・・・・ちょっとトイレに・・・・・・・」
「はあ?お前なぁ・・・・・行く前に小便は済ませろって言っただろうが。クライアントの前だぞ。もうちょっと・・・・・」
「いえいえ。いいですよ。トイレならあちらの突き当たりにありますよ。」
 呆れる千里の言葉を遮って正二は指を指す。
「あ・・・・ああ・・・・・・どうもすいません・・・・・」
 どたどたと音を立てながらトイレへ駆けて行く炎樹を見やりながら、
「ったく・・・・・どうもすいません。家の若いのが・・・・・」と呆れながら千里は頭を下げた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ふう・・・・・・スッキリした。ずっと我慢してたんだよ。うんこ。」
 そう言って炎樹は手を拭きながらトイレから出てきた。
「さて・・・・・・息子さんの居る部屋に・・・・・って何処だっけ・・・・・・」
 部屋の場所を聞きそびれた彼は家中を息子の部屋を求めて歩き回った。
「っと・・・・・・ここは玄関か・・・・・・・ん?」
 部屋の位置の見当がつかず、ついに迷ってしまい、たどり着いたのは玄関であった。引き返そうとした彼は、近くの高校の女子制服を着た人影が靴を履いている姿(ちなみに今は朝の通学時間である)が目に入り、その足を止めた。
「誰だい君・・・・・・もしかしてこの家の息子?女性化した。なんてね。そんな筈無いか。」
 『怪しいな』という思考と『娘が居たのか?でも一人息子って言ってたし・・・・・』という思考が絡み合い交じり合い、混乱する彼は、とりあえず冗談混じりに聞いてみることにした。
「ここの家の娘よ。」
 『悪い?』とでも言いたげな感じで彼女が答える。
「え・・・・・・だってここの家は一人息子で娘は・・・・・いない・・・は・ず・・」
「まっ・・・・そう言うでしょうね。あいつ等なら。だからあたしが通学してる時間を選んであんた達を呼んだのよ。」
「ど・・・・・どういうことだ??????」
 訳がわからず頭の周りに大量の?マークを飛ばしている炎樹を無視して彼女は続けた。
「あんた達。あいつ等が新しく雇ったのでしょ。さっさと金もらって早く帰っちゃいなさいよ。」
「え・・・・・・?何?何なの・・・?あれ?」
 ガチャ・・・ガチャ・・・・バタン!
全く持って訳の判らない炎樹に捨て台詞を残して彼女は乱暴に玄関を開き出て行った。あとには若い狩人と?マークだけが残っていた。


第四章 『犯人像。そして犯人』

「ふむ・・・・よしよし・・・・・判ったぞ・・・・・」
「どうっすか?先輩?犯人の特徴つかめました?」
「ああ。一応判るだけはな・・・・」
 某C県の住宅街の公園。10:00頃からだろうか?二人の男がそこでなにやら話し合っていた。
 あの後、依頼人の家で話を聞き息子の様子を見た千里はその足で炎樹を連れて調査の為に町を周り、人に話を聞いていったが、これといった情報を掴む事が出来ず、一旦公園で犯人のプロファイリングをして、解決の糸口を探すという形で落ち着いた。(19歳の炎樹がおとりはどうかと聞いたが、まだ夕方ではなく、犯人が現れそうに無かったので夕方まで時間をつぶす必要があった。)
 先ほどからの様子を見るとどうやら終了したようだ。
「まずな、犯人の狙い。つまり動機だな。は多分魂かそれに近いものを集めるって所だ。まあそうでなくとも被害者皆が皆魂が抜けた時の症状を起こしている。ってことはつまり相手が魂かそれに似た物を集めてるのは確かだ。他に動機があったとしてもな。」
「見た事あるんですか?今まで魂の抜けた人間を。」
「もちろんだ。伊達に何年も狩人やってる訳じゃねーからな。」
 得意げにそう言うと千里は指を1本立てた。
「まず今ので一つ。もう一つはな、犯人が複数いる。或いは『黒尽くめ』が何者かによって使役されているかも知れないって事だ。」
「一人じゃないって・・・・?それに使役ってなんっすか?」
 予期していなかった推理だったのだろうか?炎樹は少し驚いたように聞いた。
「ん――?使役っつうのは簡単に言えば召使みたいなもんだ。何でこんな事言うかっていうとだな、犯人・・・まあ『黒尽くめ』だな。そいつが無用心すぎるんだよ。まあこの説明も後でするが、犯人は間違いなく特殊な能力。それも魔術や呪術、法力といった魔法みたいのを使う奴だ。そういう奴等になると当然俺等のような稼業をしている奴らを知ってるもんだ。山ほどな。そんな奴がたった一人で。しかも同じ手口の犯行を何度も行うって言うのはよ、捕まえて下さいって言ってるようなもんだ。まあよっぽどの馬鹿か自分の力に自信が無い限りな。まあ後者の方は考えにくいだろ。そんな奴が居るとすれば簡単に星一個吹っ飛ばせるような奴じゃ無いとな。ハッハッハッハ」
 笑いながら千里はそう説明した。星一個とは、それほどあり得ないと言う意味なのだろう。
「ふーん・・・・・ところでなんで判ったんすか?魔術系の能力って?」
「簡単だ。魂抜くなんてその手の奴等がやりそうな事だろ。まあ実際そうじゃなきゃそんな芸当できんがな・・・・・・・・・・まあだいたいこれで全部だ。これ位だな。判るって言ったら。」
「もどかしいっすね・・・・・」
 思う様に事が進まないのに対して炎樹は少し苛立ちを覚えていた。
「あの子、本当になんなんですかねえ?突然訳の分からない事を・・・・・」
 呟くように、今日でおよそ5度目となるその言葉を炎樹ははいた。

 調査中に3度、公園に落ち着いてから1度ほど。
 しかし、それに対しての千里の答えは決まって、「人の家には事情って奴があるんだよ。大抵はな。あんまり余計な詮索はするもんじゃねーよ。」といったような物であった。
「でも・・・・・そうだ!事件に関係した事だとか。そういう事情も。」
 五度目の呟きにも今までと同じような返答をする千里にとうとう痺れを切らしたのか、今までは言わなかった自らの考えを炎樹は打ち明けた。
「ったく・・・・・・しつこい奴だな。お前も。もしかして惚れちゃったのか?その娘に。」
「な!なな・・・・いって・・・・いや・・・今はそんな冗談言ってる場合じゃ無いじゃないっすか!だ・・大体何を根拠に・・・・・」
 バサ!
「??」
 からかうように言った千里に、思いっきりどもりながら答える炎樹の胸に何かが投げつけられた。
「今回事前に調べておいた情報だ。そんなにあの家族の事が気になるんだったら読んでみろ。」
 どもる様子を見て、『図星だったのか・・・・軽いギャグのつもりだったのに・・・・』なんて内心少し驚きながら千里が投げたのは、今回の事件に関連した情報が事細かに記載されている一冊のノートだった。その中には、過去に狩人達が解決した今回の事件に似たケースの事件やクライアントの履歴、家族構成、果ては依頼人の一家の趣味やその他諸々の情報についてまでもが記載されていた。
「バツイチなんすか。依頼人・・・・ってことは・・・・あの娘とは義父だとかって関係だったんすか?なになに?名前は高瀬千夏・・・でも何であんな事いったんだろ?・・・・仲悪いのかなあ?」
 ノートを読みながら考えるように呟く炎樹を『ったく・・・・何度言ったら判るんだよ・・・・事情なんて詮索してても事件は解決しねーんだよ・・・・』などと考えながら千里はみていた。そしてとうとう何時までたっても読み終えようとしない炎樹に痺れを切らしてしまい、
「ったく・・・・俺はもう一回調査してくるからな。読み終わったら・・・・ここに行って待ってろよ。それじゃあな。」
 とつっけんどんに言って、宿の場所を記した地図を渡し、そのまま公園から出て行ってしまった。後には残された炎樹が、そんな風にして行ってしまった先輩の事を気にすることもなく、一人ノートを読むのに没頭していた。
「・・・・・・先輩の能力使えば早いのに・・・・あれなら調査する必要ないじゃないか・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 それから暫くして、誰もいない公園で炎樹は一人呟いた・・・・・・・・
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「っと・・・・もうこんな時間か・・・・・・」 
 炎樹がやっとノートから目を離したのは、既に日が紅くなり始めた頃だった。
「早く宿に行かないと。・・・・・・・ん・?でも待てよ。」
 ふと彼はあることに気づいた。
「確か『黒尽くめ』が現れるのって今ごろだったような・・・・・・うん・・・・・ちょっと行ってみるかな。出る場所も決まってるみたいだし。」
 後になって思えば、荷物は彼の先輩が持っていて、その中の彼専用の『武器』も手元に無い状態で犯人を探すなどとはあまりに危険で軽率な行為だったかもしれない。だが当の本人にとっては、(持ち前の楽天的な性格から)危険だとか軽率だとか言う考え等は論外だったのかも知れない。
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 通称『壁の道』と呼ばれるそこは、その道の両隣に工場が建ち、壁で囲まれた真っ直ぐな一本道だった。壁で囲まれているため外の道から中の様子を確認しづらく、春などには露出狂やチカンも出るといわれている。一連の事件のせいで最近は昼間でも人影が少なく、夕方となれば完全に無人の道となっていた。
 炎樹がそこの近くまでたどり着いた頃には日が沈みかけていた。
「さて・・・・どうっすっか?やっぱり戻ろうか・・・・武器も無いし・・・・・いやいや。ここまで来たんだしな。行かないのもおかしいか。」
 依頼人の情報を頼りにそこまでたどり着いた炎樹であったが、やはり素手の状態で行くというのは気が引けたのか一瞬引き返そうかとも考えた。しかし、結局は意を決して道の中に入っていく事にした。
「んじゃ、行くと・・・・」
「誰かああああ!!!!!!!!!」
 いざ入ろうとする、炎樹の耳を何者かの悲鳴が襲った。
「で・・・出たのか!?・・・・・・・!!??」
 その悲鳴に後押しされ、道の中に駆け込んでいった炎樹を衝撃が襲った。
 そこにいた人影は三つ。一人は犯人だろうか?全身黒尽くめであった。道の向こう側から差し込む逆光のせいで顔はよく見えない。もう一人は中学生くらいの少年(制服姿でなければ小学生だと見間違う年頃のようであった)。相手と向かい合うように座り込んでいたので顔は見えない。しかし、衝撃の原因はそれらではなかった。三つめの、少年をかばうように『黒尽くめ』と対峙していた人影は、なんと今朝方彼が依頼人の家で出会った少女のものだったのだ。道の真ん中。つまり遠目で、しかも後姿であるにも関わらず、炎樹ははっきりと確信をもった。
「くそ・・・・・!なんてこった・・・・まさかこんな事になってるなんて・・・いや・・・それより何であの娘が・・・・・そ・そーじゃねえよ!そんな事よりまずは先輩に電話しないと・・・・・・それまで俺が食い止めねーと。でも・・・・『武器』が・・・・いや!そんな物無くたって!!」
 そう言って炎樹は混乱しながらも懐から携帯電話を取り出した。しかし既にその足は道の途中の見覚えのある後姿に向かって駆けていた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 千夏は絶体絶命の危機に直面していた。学校の帰り道。近道である壁の道を自転車で通り過ぎようとした彼女は、偶然事件現場に遭遇してしまった。怯えて何も答えられない少年に執拗に迫る『黒尽くめ』を見て、いてもたってもいられずに助けようと駆けつけたのだった。しかし、相手は自分がやめるように言っても尚、その行為を止めようとはしなかった。しかも気味の悪いことに、そいつはまるで壊れた玩具か何かのように『君は男の子かい?』と何度も同じ言葉を言いながら自分達に迫ってきたのだった。
「誰かああああああ!!!!!」
 少年をかばいながらも、どうする事も出来ない千夏は叫んだ。しかし、誰もいないこの道で助けを呼んだとしてもどうなるものでもない事は周知の事実であった。
「ごめんね・・・・・・」
 目の前にまで迫り手を大きく振り上げた『黒尽くめ』を見て、千夏はどうしようも無い事を悟り、無意識のうちに少年に謝っていた。そして千夏を払い除けようと『黒尽くめ』が腕を振り下ろそうとしたその瞬間・・・・・・・
 どごっ!!!
「やろお!!!!女に手ぇあげるとは!!!!」
 突然現れ、『黒尽くめ』の顔にもろにパンチをぶち込んみ、吹っ飛ばして地面に倒したその男がそう叫んだ。
「おい!大丈夫か!?」
 振り向いたその顔に彼女は見覚えがあった。
「あ・・あんたは・・・・・!」
 助けに来てくれた・・・・朝方は自分にあんな事を言われたのに・・・何で?・・・・そう思う彼女は、自らの心の中の何かが少し動いたような気がした。
「おう!!また会ったな。もう大丈夫だ。あいつは・・・・・俺が『狩る』!」
 そう言って、驚く彼女を尻目に炎樹は意気揚揚と、再び立ち上がろうとする『黒尽くめ』の方を向いた。
 しかし・・・・その目が驚愕で見開かれる。
 炎樹は今までの話を聞いた時、犯人が人間だと思い込んでいた。それはここにいる千夏も少年も同じであった。しかし、その考えは見事に裏切られた。
 「そいつ」の顔には何も無かった。パンチの衝撃で黒い帽子が吹っ飛んだその頭部にも何も無かった。のっぺりとしたその顔は、漫画家がポーズの練習などに使う木で出来た人形を彼等に連想させた。(ただ一つ違うのは肉で出来ている所だが)
「何だ・・・!?こいつは?」
「きききききききききききき・・・・・君ははは・・・・男の・・・・・のののののののの?」
「しまった!」
 どご!!!!
 その異様な姿に炎樹が気を取られた瞬間、そいつは人間では有り得ないようなスピードで立ち上がり彼のあごに掌打を叩き込み、彼を吹っ飛ばした。
「がは!!」
 どす!
「ごほ!!!!や・・・やろお・・・おおおォォ??」
 地面に落下し、背中を強打しても尚立ち上がろうとする炎樹を奇妙な感覚が襲う。
「か・・・体が動かねえ!!?」
 今まで幾度のもの喧嘩をし、狩人になってからも何度も肉弾戦を経験した炎樹であったが、あごをこれほど強打したのは初めてであった。人間はあごを強打すると一時的ではあるが、体が動かなくなる。敵はこれを狙っていたのだった。
「こ・・・・来ないでよ・・・・!」
 炎樹を動けなくしたそいつは再び、千夏、否少年の方に歩み寄った。
「とととと・・・・・・・るるる・・・・・せ・・・・い・・・・ととと・・・・・・」
 意味不明な言葉を発しながら『黒尽くめ』は迫っていった。
「いや!!!」
 最早完全に希望が絶たれた彼女は目をつぶった。
「取る!取る!取る!!!!メイレイ!!!!」
 しかし、ついに彼女に一撃が加えられようとしたその時、
「おい!大丈夫か!?」
 炎樹が来たのと同じ方向から走ってくる何者かが声をあげた。
「せ、先輩!」
 走ってきたのは千里だった。宿に着いた千里に炎樹から助けを呼ぶ電話がかかってきた時、彼は驚き、五里霧中の如く町を疾走してきたのであった。
「そいつが犯人か!炎樹!」
 炎樹達のもとまで来た千里が『黒尽くめ』を見据えて再び声をあげた。
「そうです!早く!!早くしてください!彼女の命が・・・・・・・」
 そう言って千夏達の方を見た彼に、再三驚きが訪れた。いや。何時まで経っても自らに加えられない犯人の一撃に、つぶった目を開けた千夏にもそれは訪れていた。(少年にも)
 一撃を加えようとして、手を振り上げた姿の『黒尽くめ』はそのままの形で硬直していた。唯一顔(は無いのだが)だけがゆっくりと千里の方を向こうとしていた。しかし、最も驚くべきはその顔であった。今まで何も無かった筈のその顔は、今や中から何かが出てくるかのごとくにゆっくりと蠢いていた。少しずつはっきりと隆起してくるそれは、目鼻を形成しているようだった。そして・・・・・
「な・・・ななな・・・・・・・・・・・・」
 もはや、『黒尽くめ』の顔はのっぺらぼうでは無く歴とした男の顔となり、それは千里の方に向けられていた。その頭からは肩までかかりそうな脂っこい髪が生え、顔には落ち窪んだ目とこけた頬、長いかぎ鼻が出来ていた。それを見ていた少年は、たまらず絶句して気を失った。彼にはショックが大きすぎたのだろう。
 しばしの沈黙が訪れた。炎樹と千夏は驚きで言葉を失い、犯人は顔が出来てはいても、相変わらず人間らしい言葉を喋ろうとはしていなかった。そして、沈黙を破ったのは・・・・・・
「久しぶりだな。王清(ワンチン)」
 それまで、変わり行く『黒尽くめ』の顔にも、それが自らに向けられたことにも顔色一つ変えずにいた千里であった。犯人とは顔見知りなのか、相手に名前で呼びかけた。
「久しぶりだねぇ・・・・・伊藤千里よ・・・・・・」
 王清が喋った。しかしその声は、今まで『黒尽くめ』が喋っていた機械的な感じの声ではなく、脂っこい嫌な感じのする猫なで声であった。
「ふふふ・・・・・・君と話したいことは山ほどあるんだけどね。今回僕が起こしたこの事件は『裏狩人』の仕事でね。こっちから僕のアジトに招待するって訳には行かないんだよ。でもまあ君らなら簡単に見つけられると思うからさ。待ってるからねえ。千里君!」
 パチン!
 そういってニヤリと顔を歪めたかと思うと王清は指を鳴らした。とたんにその体が砂のように崩れ始めた。そこに風が吹き、崩れた体はいずこかへ飛ばされていった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あ・・・・せ!先輩!追わなくていいんですか!?あいつ!逃げられちゃいますよ。」
 後に残された静寂のなかで、我に帰った炎樹は今まで犯人のいた場所に駆けていった。そこには今まで王清が来ていた黒い服だけが残っていた。
「無理だよ。俺達はあいつの言うとおりアジトを見つけねえといけねえんだよ。追っかけったって上手くまかれるのが落ちだ。」
「そ・・・そうっすか・・・・」
 ドッス!
 突然千里の手から投げられたバックが音を立てて地面に落ちた。どうやら中には何か重いものが入っているらしい。
「ほれ。お前の『武器』だ。ったく!・・・・・無茶な事しやがる。『武器』も持たねえでどうやって戦う気だったんだよ!?自分の『能力』忘れたわけじゃねえだろ!」
 千里は怒鳴った。後輩の無茶な行動を怒りを覚えていたのだ。
「すいません・・・・・・でも・・・・俺が行かなかったら・・・・・」
 炎樹は千夏と少年の方に目をやりながら言った。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 それには答えずに千里は懐からタバコを1本取り出し、火をつけた。
「ふー―――――――――――――――――」
 彼はタバコから煙を吸うと、目をつぶって宙に向かい吐き出した。そんな姿は炎樹の目にとてもくたびれて映った。そして、それを見て彼はハっとした・・・・・・・先輩は自分の事を誰よりも心配してくれている。今日、公園で自分に見せてくれた情報のかかれたノートも、彼一人の仕事であったなら必要無かったであろう。それなのに彼は自分ために作ってくれた・・・・・・・・さっきだって本当に急いでいた。こんなに疲れているのに・・・・・・・・・炎樹は自分と先輩との差を思い知った。そして・・・・・
「すいません・・・・・」
 今度は炎樹は先輩の方を見て誤った。
「あんまし心配かけさせるなよ。」
 千里は深く、静かに言った。
「まっ。でも。お前が駆けつけなきゃ彼女等もどうなっていたか知れないしな。皆無事だったし目ぇつぶっといてやるよ。」
 そう言って千夏たちに目をやりながら腕を組み、彼は笑った。それを見て、炎樹は心が安らぐのを感じた。
「んじゃ!お前はこっちの気絶してる子の方家まで送っといてくれ。俺は・・・・・」
 そう明くるく言うと、千里は再び千夏の方を向いた。
「帰ろうか・・・もう遅い・・・・・君の家族も心配しているだろう。」
 既に日は沈み、あたりは闇に覆われていた。
 しかし、帰宅を促す千里に対して千夏は冷たく言い放った。
「何よ。心配してる?冗談。あいつらが私の心配ですって?笑わせないでよ。」
「おいおい・・・・何言ってんだよ・・・・・娘の心配しない家族がこの世の何処にいるんだよ。」
 先輩に向かっても自分に言ったのと同じような事を言う千夏に、少年を抱きかかえようとした炎樹は思わず口を出した。
「あんたに何が判るのよ。自分じゃあ私を助けたつもりかも知れないけどね、大迷惑よ。私が死んだらあいつ等もきっと喜ぶわ。家族なんてね、あんたが思ってる程良いもんじゃないのよ。」
「な・・・・お・・・・お前・・・・自分が何言って・・・・・・」
「私はねえ、あいつ等の厄介者なのよ。私が死ねば厄介払いが出来てあいつ等もせいせいするでしょ。何が家族よ。今回の事件で皆死んじゃえばよかったのに。」 
 炎樹にとって今日はいろいろな事が起こった日であった。しかし彼にとってその日降りかかった重ね重ねの衝撃ですら、彼女が起伏を示す事無く言った言葉に比べれば足元にも及ばなかったかも知れない。そしてそれは、ついに彼の理性の糸を切る事となったのかも知れない。
「手前!!!言わせておけば!!!!うぐぐぐ・・・・!!!!お前みたいなひどい奴はじめて見たぞ!生まれてな!!!皆しんじゃえ????よくもそんな!!!!!」
「炎樹!!お前は!!!まずは彼を家に届けろ!」
 とっさの判断だった。もしも千里がここで止めなければ彼は延々と千夏を罵倒し続けたであろう。しかし千里が倒れている少年を指差し、制止することでその行為は終結させられた。
「お前は宿に戻って待ってろ・・・・・・いいか?忘れるな。俺達は『狩人』だ。その少年から報酬は貰っていない。だから助ける義務は無いかも知れない。だが、少なくともこの事件を解決する事を引き受けた以上は彼を犯人の脅威から守る必要はある筈だ。再び奴が彼の前に現れ無いとは言い切れないからな。判ったな・・・・?」
 そう説明されて幾分落ち着いたのか、炎樹は頷き、少年を抱え上げ、
「すいません・・・・取り乱しちゃって」
 とだけ言い、もと来た方向へ歩いていった。
 後には千里と千夏が残されていた。
「さて・・・・・・・・・・・・・・・」
 炎樹の姿が道から消えるのを確認して、千里は千夏のほうに向きなった。
「な・・・何よ・・・・・・・今度はあんたが説教する気なの?止めてよね。そんなお節介。」
 千夏は、歩み寄る千里の動きを止めようとして顔をそむけながら言った。だが、千里はその歩みを止めようとはしなかった。
「それは出来ない相談だ。俺達『狩人』・・・・少なくとも俺と炎樹・・・・・はさっき後輩に言ったとおり、君を無事に家まで送り届ける役目がある。理由は・・・・わかるね・・・・・さっき言ったとおりだ。だからもし君が何らかの理由があって家に帰ろうとしないなら、その原因を解決する必要も出てくる。無理やり引きずっていくのはあんまり気が進まないからね。わかったかい?」
 逃げるようにあとずさる千夏に、さらに歩み寄りながら千里は説明した。
「・・・・・わかんない・・・・」
 ふと、千夏の足が止まり彼女の口から言葉が漏れた。顔は今度は下を向いている。
「解らないよ!何でなんの報酬も無いのにそんな余計な事するの!?解んないよ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 何も言おうとしない千里に、今度は彼女が顔を上げ歩み寄った。
「ねえ!?黙ってないで答えなさいよ!どうしてなの!!!??」
「・・・・・・・・・・・家族が心配するから・・・・・・・・・・・・・」
「!!」
 ポツリと千里が漏らした言葉は、千夏の心の『何か』を大きく抉り取った。
 この事件の中で、今までも警察や探偵が似たような事を自分に言ってきた。しかし、その言葉の全てが彼女自身を納得させる為ではなく、自分自身の為・・・・・即ち報酬や見返りが裏にある、汚い言葉ばかりであった。しかし『狩人』だけは違った。本気で家族と自分の事を心配していた。そして、それは彼女の心が感じ取っている事でもあった。つまり彼女がいくら頭の中で否定しようとも変わりようの無い事実でもあったのだ。
 今や、彼女の心の中は長年押さえつけていた感情が、今こそとばかりに動き回っていた。それを内面で必死に押さえつけ千夏は何とか表情を冷静に保とうとしながら、千里に返した。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・もう良いわ・・・・・・そんなに知りたきゃ教えてあげる。私がどんなにつらい思いしてきたかを。」
 そう言って彼女は自らの身の上を話し始めた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「お父さん!お父さん!」
 幼い頃千夏には実の父がいた。
「今度遊園地に連れて行ってくれるんだよね!約束だよね!?」
 幼い千夏は父親の周りをピョンピョン飛び跳ねた。
「ああ。もちろん!お父さんが約束破った事、あるかい?」
 そう言って黒い髪をして、娘とよく似た大きな目をして背の高い優しそうな顔の彼女の父親は、まだ幼い彼女を抱き上げて笑った。
「あなた・・・・もう千夏は五歳よ。そんな所より塾へ行かせないと。」
 そこへやや釣り目の厳しそうな顔の髪を頭でまげにしている彼女の母が口をはさんだ。
「お前なぁ・・・・今から勉強なんてしてどうするんだよ。俺なんか真面目にやりだしたのは中学からだぞ。塾なんて小学校とか中学校あたりで何時でも行けんだから。」
「あなた!今は早い時期から勉強をしなければとても追いつけないのですよ!第一そんなに何度も遊園地なんて・・・・・・・・・」
「ああ〜〜。わかったわかった。でもそういうのは無しだ。だいたい遊園地だって年4回くらいじゃないか。何度もじゃないよ。それに子供は遊ぶのが一番のお仕事だしな。なあー。」
「なあー。にひ」
 反論する妻を制止して彼は自分の娘に呼びかけ、娘はそれに答えた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「あの頃は良かった・・・・・・優しいお父さんと厳しいお母さん。お母さんだって今と違って一応私の将来の事だって気遣ってくれていた。まああの頃は幸せだなんて思っていなかった。それより不幸な事なんて知らなかったから。」
 彼女は懐かしかったあの頃を思い出しながらしんみりと語った。
 そして更に、話を続けた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「お父さん!!!!お父さん!!!!!」
 そこは病院の霊安室。白い布を掛けられて、動かない父親に中学生の彼女はすがって泣いていた。
「何で!?何で死んじゃうの!!!???」
 交通事故であった。父は、偶然飲酒運転をしていた車に跳ねられ、それっきり動く事は無かった。
「千夏・・・・・あきらめなさい・・・・・・・・・泣いたってあの人は帰ってこないの・・・・・・・・・」
「嫌!!!帰ってこないんだったら私が行く!!お父さんの行っちゃった所に行くの!!!!」
 ハンカチを手に持ち顔に当てる母親を睨みつけ、彼女はさらに声を大きくして泣いていた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「それからよ・・・・・・私に不幸が訪れたのは・・・・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「千夏・・・・新しいお父さんとお兄さんよ。挨拶なさい。」
 彼女の前には、母親と見知らぬ男と少年がいた。
 男の名は高瀬正二と言い、息子は浩二と言った。正二は神経質そうな顔で、尖った顎をもっていた。千夏と同い年だと言う息子も似たような顔で、違う所と言えば意志の弱そうな口元と分厚いメガネであった。
「こんにちわ。千夏君。君は今までひどい父親を持っていたそうじゃないか。でも安心したまえ。私にお金の心配は要らない。君を有名な私立中学に入れてあげよう。きっと今までと違って幸せな生活が送れるだろう。」
 こうして千夏は、地元の中学から無理やり私立中学に転入させられた。それは彼女の意思を完全に無視した行為であった・・・・・・・・・・・・・
「あなたは何でこんな問題が出来ないの!!?」
「浩二は既に全問正解しているぞ!」
「浩二に出来てなんであなたに出来ないの?」
 千夏は勉強部屋となった父の部屋で母と正二に囲まれ、机に座らされていた。中学生の彼女が解かされていたのは、高校の問題であった。
「この問題が全て出来るまで部屋を出るんじゃない!」
 そう言い残し正二は部屋を出て行った。
「ねえ。お母さん。私、別に私立の中学じゃなくて良いよ。もっと普通の・・・・問題だって皆みたいな普通の・・・・・」
「何をいってるの!普通の中学なんかじゃあまともな会社になんか入れないのよ。今は女だって働く時代なのよ。」
 千夏は何とか母親に訴えかけた。正二がいるところで言えば、何度ぶたれるかも解ったものではない。しかし、そんな訴えも母親には届かなかった。
「期待してるわよ。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 しかし、浩二ほどの勉強の出来ない彼女への扱いは、次第に邪険になり始め、その家から彼女の居場所は少しずつ消えていった。
「何で貴様は公立高校なんかに入った!!!!」
「本当にどうしようもない子ね!!!!」
 家に二人の怒鳴り声が木霊する。結局千夏は有名私立高校への受験にすべり、公立の高校だけに受かっていた。そんな彼女を母と正二は激しくなじった。
「もうあなたは駄目ね。」
 こうして彼女は高瀬家のシンデレラとなった。家事全般を無理やり任され、勉強も将来の事も考えられる事が無くなり、自らの時間を殆ど消されていた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 窓から月明かりが指す。彼女は一人、ベットの上でアルバムを読んでいた。そこには生前の父親や幼い頃の彼女が幸せに包まれて写っていた。
「お父さん・・・・・・」
 千夏は涙を写真の上にこぼしていた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「こ・・・・これで・・・・・終わり・・・・・・・よ。」
 彼女は途切れ途切れに終わりを告げた。目からは止めどなく涙が溢れ、千夏はそれを拭う事さえ忘れていた。話している間に、彼女の感情を今まで押さえつけていた、心の『何か』(あの家族の中で、彼女が通常の精神を保っていられるには、感情を押さえつけるしか方法がなかったのだった。)が破れ、様々な想いが溢れ出していた。幸せだった頃の思い出。自分の居場所の事。自分の家族。優しかった父親。そして炎樹に連れられていった少年の家族の事を想像して、さらに想いを溢れさした。
「お・・・お父さん・・・・・・」
 千夏は顔を手で覆い、更に激しく泣きじゃくりながら地面に膝をついて地面に突っ伏しようとした。
 千里は、そんな彼女に合わせて一緒に跪き、突っ伏しようとしている彼女を優しく受け止めた。家族を失った彼にとって、今の千夏の気持ちは痛いほど解った。
「君は・・・・・強いよ。苦しかったね。寂しかったね。あんな状況で君はよく耐えた。君は強いよ。」
 自らの胸に突っ伏する少女の髪を撫でながら千里は優しく言った。
「だからさ・・・・・・『皆死んじゃえばいい』なんて言わないでくれ。君の家の人たちは結局大人になれなかった。そういう部分が少しあるんだね。だからさ、代わりに君が大人になるんだ。だから誓ってくれ・・・・・・・『死んじゃえばいい』って言わないと。俺も一緒に誓うから・・・・・」
「ひぐっ。・・・・うぐっ・・・・・・うん・・・・・・・・・・」

 既に時計の針は八時を回っていた。千夏が落ち着くまで待っている間、ずっと千里は空を見ていた。今はやっと落ち着いた彼女と一緒に帰り道を歩いていた。
「一つ聞いても良いかしら。」
「なんだい?」
「あの・・・・何であなた達は・・・・そこまで家族の事にこだわるって言うか・・・・何ていうか・・・・・その・・・・・『他の物より家族が大事』っていうような感じだったから・・・・特に・・・あの革ジャンの男の子は・・・・・・・」
 千夏はふと感じた疑問を口にした。何かあると思ったのだろう。
「ん―――――――?まあ、あいつにとっちゃ特に大切なんだろうな・・・・・・家族ってのは」
「どうして?」
「あいつにはな・・・・・・家族が居ないんだ。まっ俺もそうなんだが・・・・・・・皆死んじゃってな。しかもあいつが小っちゃい頃に。」
「なんで・・・・・?」
「それは・・・・・・・・信じられないかも知れないが・・・・・・・・あいつが自分の手で殺しちまったんだ。」
「嘘!?」
 それまで途切れる事の無かった会話が、彼女が声をあげた事で初めて途切れた。やはりにわかに信じられなかったのだろう。
「ほら。やっぱり言った。『嘘』って。」
「あ・・・・ごめんなさい。」
「いや・・・・・いいよ。謝らなくて。俺もちょっと信じられなかったからな。初めて会った時は。それにあいつが殺したって言ってもな、あいつの意思じゃ無かったし、あいつにとってもどうにもならない事だったんだよ。」
 そう言ってふと、虚空を見つめた。
「だけどな・・・・・殺すつもりが無くても殺しちまえば普通は罪の意識に苛まれるものだ。あいつも例外じゃねえ。しかも今でも苦しんでるんだよ・・・・・・・・・・・ただあいつはその心がな、プラスにも働いている。あいつの「正義」なんだよ。家族ってのは。だから奴にとって一番許せないのは家族をないがしろにする奴。君が奴にああ言った時怒ったのもそれが理由だ・・・・・・」
「そうだったんだ・・・・・・・」
 そう言って二人はしばし沈黙した。そして気がつくと彼等は家の前まで来ていた。
「それじゃあ。ここでお別れだな。」
 玄関の前まで来ると千里は別れを告げた。
「ええ。いろいろありがとう・・・・・あなた達のお陰でちょっと目が覚めた気がする。これからは前向きに生きていこうと思う。」
「そうか・・・・・・それじゃあさ・・・・・・」
 そう言いながら彼は懐からペンと紙を取り出して何かを書き始めた。
「ほら。これ俺がやってるカフェの住所だ。近くまで来て人に聞けばすぐ解るよ。来たくなったらいつでも来なよ。」
 そして彼は千夏に紙を渡すとさよならを言い、後ろを向き、帰ろうとした。
「待って。これから・・・・どうするの?」
 男の背中に千夏は呼びかけた。
「犯人を『狩る』さ。仕事だからね。」
「気をつけて・・・・ね。」
「ああ。君も頑張れよ。それじゃあな。」
 彼女は、彼らなら出来るかも知れないと思った・・・・・・・・・・・・・・


第五章『能力者』

 炎樹は宿の部屋で暇を持て余していた。あんなひどい事を言われて、彼の怒りは未だ静まっていなかった。さらに八時を回っても先輩が帰ってこないのが、怒りに拍車をかけていた。なので、九時前に先輩がやっと帰ってきた時にはありったけの不満をぶつけようと思ったのだが・・・・・・・・・
「せ・・・・先輩・・・・それ・・・・・・・」
 『つくづく良く驚く日だ。』炎樹はそう考えながら先輩の顔を指差した。帰ってきた千里の姿は彼の怒りを吹き飛ばしていたのだった。
「とうとう使う気っすか!『能力』!」
 指差されたその顔からはサングラスがはずされていた。そしてその瞳は白く濁り、目としての機能を果たしていないように思われた。
「ああ・・・・・・今日被害者が出たって事は・・・・・悠長な事言ってられねえって事だからな。」
「とうとう使うんっすか・・・・・・・・・・!先輩の能力『千里眼』を!」
 『千里眼』これが彼に備わっている能力の一つであった。若い頃彼の額にくい込んだ一発の弾丸は、脳の前頭葉深くに達した。通常ならば脳が傷つけられれば、死ぬか、良くても廃人にだけである。しかし、彼には奇跡が起こった。彼は死なずに、視力を失うだけで生き延びた。原因は解らないが弾丸は何故か脳と一体化して、脳の働きを担うと共に彼に幾つかの特殊な能力を与えたのだった。その内の一つが『千里眼』である。この能力は、その名の通りこの世の全てを見通す力がある。しかし普段、彼はその能力の使用を極力控えていた。(サングラスはそれを抑えるための特殊な道具であったのだ。)何故ならば彼にとって人道的にも、やたらと全てを見通すのは好ましく無かったのである。炎樹を驚かせたのもその、普段使わないという所が原因であった。
「始めるぞ。」
 そう言うと、千里は自分たちの部屋にあるベッドに腰掛けた。そして・・・・・
「ふん!!」
 彼は白濁した目を見開いた。すると、それまで通常の人間ほどであった彼の視界が一気に広がり、三百六十度見回せるようになった。更に、彼の視界は壁を突き抜けて夜の街に飛び出した。ものすごいスピードで町中を見通す千里。そして・・・・・・
「見つけたぞ!犯人の居場所はこの町の外れにある廃工場の中だ!用意しろ!炎樹!犯人を『狩る』ぞ!」
「はいっす!」


第六章『VS王清』

 炎樹と千里、二人の『狩人』は廃工場の巨大な錆付いた門の前に立っていた。その工場はかつては大手企業の下請け会社が経営していた物であったが、親会社の倒産に伴う連鎖倒産で工場は閉鎖。広大な土地は買い取り手がつかず、工場は現在もその姿のままで存在していた。千里は既にサングラスをはずした状態で炎樹は片手にバックをもっっていた。
「いいな。炎樹。多分相手も俺等の存在を察知している筈だ。特に綿密な作戦は立てずに乗り込むぞ。」
「解りました。それじゃあ手はず通り相手の注意は俺がひきつけますから先輩は忍び込んで犯人を叩いてくださいね。」
「ああ。」
 炎樹が注意をひきつけ、千里が乗り込む。これを提案したのは千里であった。彼は思った。自分達がこの街に来た時、何故自分はここを調べなかったのか・・・・・明らかにアジトには持って来いなのに・・・・・・しかし今思えばそれも相手の思惑通りだったのだろう。「奴」が正体を現した直後に自分がアジトを見つけたこと。警察や探偵は見つけられなかったこと。全ては仕組まれていたのだろう。彼は「奴」との出会いを思い出していた。・・・・・貴様がそのつもりなら乗ってやる・・・・・・・・千里はわざと相手の思い通りに動く事で上手く懐に入る術を考えていた。・・・・・・・多分奴は俺との一対一を望んでいるのだろう・・・・・貴様がそのつもりならば乗ってやろう。彼はこう考えることで今回の作戦を編み出したのであった。
 『だが忘れるなよ。俺には炎樹がいるってことを。』
 千里は目の前に立ちはだかる巨大な工場をにらみつけた。
「先輩・・?」
「ん?おお・・・ああ。行こうか。」
 工場に気を取られていた千里は後輩の呼びかけに少し驚いた。 
「そうじゃなくて・・・・・・先輩・・・・・ちょっと聞きたい事があるんですけど。」
「ん?なんだ・・・・?言ってみろよ。」
「はい。それじゃあ・・・・『裏狩人』ってなんなんですか?それに今回の犯人と顔見知りみたいですし。」
 炎樹は犯人が正体を現した時からずっと気になっていた事を問いただした。
「それにあの『黒尽くめ』。訳がわかりませんよ。今回の事件は。」
「ん?そうか・・・・そういやお前は初めてだったか。」
「初めて?」
「そうだ・・・裏狩人がらみの仕事がな・・それじゃあまず裏狩人のほうから話そうか。」 
 そう言って千里は裏狩人の説明を始めた。
 『裏狩人』。もともと狩人に近い人物が開いたサイトには、当初幾つもの依頼が舞い込んでいた。しかし、その中には明らかに狩人の引き受けるべきでない依頼がもあった。『何の能力も無い普通の人間を殺して欲しい。』『理由は無いが何処そこの建物を破壊して欲しい。』といった依頼はあとを絶たなかった。見かねたサイト創設メンバーは、サイトに規定を満たさない依頼が舞い込んだ場合は自動的に排除するシステムを生み出しくみこんだ。それによって彼らのもとにそのような依頼が来る事は無くなったかに見えた。しかし彼等は欺かれた。創設メンバーのうち一人が、排除された依頼を自動的に修復、収集する機能を生み出し、それらを別のサイトに掲載していった。そしてその時から狩人が表と裏に分裂を開始したのであった。現在は、規定外の依頼を引き受ける狩人が、総称して『裏狩人』と言われている。現在ではその存在を知る表の狩人はほとんどいない。
「何故かって?そりゃあ奴等が強いからさ。中途半端な奴なら出会った瞬間殺される。だから知ってる奴が少ないのさ。」
「じゃあ先輩もその『王清』って奴と・・・・」
「ああ・・・・・仕事であいつと当たるのはこれで二度目だよ。」
「そうだったんですか。あ、それじゃあ『黒尽くめ』のことなんですけど。あの『黒尽くめ』は砂みたいに消えていったじゃないっすか。あれはなんなんですか?」
「さあな・・・・・・ありゃ俺も初めて見る奴だ。多分使役の一種だと思うが。」
「公園で言ってた奴ですか。」
「そうだ。それで終わりか?」
「はい。」
「そうか・・・・・それじゃあ行くか・・・・」
 そして千里は巨大な門に手を掛けた。鍵はついていない。
 それを見た炎樹は慌ててバックを開き、中をまさぐる。
 ぎぎぎぎいいいいいいいいいいいい・・・・・・・・・・
 錆付いた、何年も開け閉めされていない真っ黒な扉が開いた。
 するとそこには恐るべき光景が広がっていた。
「なんだ!?こいつら!」
 バックをまさぐりながら、たまらず炎樹が叫んだ。そこには数え切れないほどの一つ目の怪人が立ち、こちらを向いていた。皆が皆禿で、体色は青であった。
「やろう!味な真似を!!!」
 千里は悪態をついた。予想はしていたがこんなにも早く迎撃されるとは思っても見なかったからだ。最早
「なんなんですか!?こいつ等!?」
 再び炎樹が叫んだ。
「こいつらはサイクロプスっていう魔物だ!時間が無いから簡単に説明するがこいつ等は特殊な方法で異界から召喚される、いわゆる『召喚獣』だ!肉体を滅ぼすか術者を倒せば自動的にもとの世界に戻るから躊躇しないでお前の『能力』使え!」
 そう早口に言っている間にも魔物は彼らに向かって大挙して押し寄せていた。
「解りました!!それじゃあ先輩は先行ってて下さい!ここは俺が食い止めます!」
「おう!死ぬなよ!」
「はい!」
 出来る限りの早口で話し合い、千里は工場の裏っかわへ向かって走っていった。
 それを数匹のサイクロプスが追おうおする。しかし・・・・・・・・・・・・
 じゅうううううううううううう!!!!
 あたりに肉のこげる臭いが充満する。何が起こったかわからないサイクロプス達は、音のした方を見た。するとそこにはどろどろに溶けて煙を発する青い塊があった。
「お前等の相手は俺だ!まとめて相手してやるぜ!そう!!!俺が貴様等を『狩る』」
 その言葉を聞いた魔物たちはいっせいに炎樹の方を見る。そこには片手に一対のトンファーを持ち、もう片方を開いて青い塊に向けている炎樹がいた。
「がああああああああああああああ!!!!!!」
 それを見た魔物達は大挙して炎樹に押し寄せた。どうやら知性はあまり無いらしい。幾匹かのサイクロプスは躓いて転び、仲間に踏みつけられていた。それを見た炎樹は青い塊に向けていた手を敵に向けた。
「喰らええええええええええええ!!!!!!!!!」
 そういった次の瞬間。炎樹の前からサイクロプスが全て消え、青い塊が幾つも煙を上げていた。
 これこそが彼の能力であった。彼自身が『ザ・ヒート』と呼ぶこの能力は、自らの両掌から超高温発する能力である。魔物達はこの能力で溶かされたのである。限界の温度は無く、何℃であろうとも発熱可能らしいが、あまりに高すぎる温度は大変な事態を引き起こしかねないので彼自身で力をセーブしている。ちなみに能力使用の際は高熱から身を守るため、熱を遮断する一種の『気』のような物で肉体を覆っているらしい。
「けっ!俺に立て付こうなんて100年早いんだよ!」
 今は青い塊となってしまった魔物にむかって、彼は中指を立てた。
「さて・・・・それじゃあ先に進むか・・・・って何だありゃ!?」
 炎樹の視線の先にある地面には幾つもの魔方陣が浮かび上がっていた。すると、魔方陣から手が現れさらに、巨大な頭部。続いて肩、胸、腹、といった感じで、終いには体長3〜4mの巨人が魔方陣の上にたっていた。同様にして他の魔方陣からも巨人が現れていた。全員が手に巨大な棍棒を持ち、炎樹を睨んでいた。
「ごおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
 いっせいに雄たけびを上げ、何体もの巨人が炎樹に向かって突進してくる。
「ち!今度は巨人かよ!」
 炎樹は再び掌を上げて巨人を迎え撃とうとしたが、いかんせん巨人はそれぞればらばらな方向から攻めてくるので、狙いを定める事が出来なかった。しかし炎樹はあせるどころか、逆に落ち着きながら片手にまとめて持っていたトンファーを両手に持ち直した。
「こいつの出番って訳か・・・・・・・・うっし!そんじゃあ気合入れて行きますか!」
 気合の言葉を放つと、炎樹はトンファーを回転させながら巨人に向かい走っていった。
「ごああああああああああああああ!!!!!!」
 炎樹の最も近くまで迫った巨人が彼に向かって棍棒を振り下ろした。
 ドス!
 しかしその一撃は炎樹にはヒットせずに地面にめり込んだ。彼は身軽にも当たる寸前で体を翻し、攻撃をよけていたのだった。
「おっしゃ!!!まずは手前だ!!!!!」
 そう叫ぶと彼は地面にめり込んだ棍棒を取ろうと躍起になっている巨人に体に向かって、回転しているトンファーを勢い良くぶつけた。
「ぐぎゃあああああああああああああああ!!!!!」
 トンファーの一撃を喰らった巨人は世にも恐ろしい叫びをあげて倒れ、それっきり動かなくなってしまった。見ると腹に巨大な穴が空き、穴の周囲から煙が立ち昇っていた。
 これこそが彼専用の『武器』の威力である。このトンファーは、元々は千里の物であったのを炎樹が譲り受けたのである。この武器は、かつて千里が数人の狩人と共に完全壊滅させた組織が所有していたものであった。その組織はあまりに非人道的な人体実験等を行っていた為彼らによって壊滅させられることとなったのだが、その壊滅の過程で、それらに関わった数人の狩人が手に入れたのがこれらの武器であった。これらが特徴の上で普通の武器と一線を画しているのは、その構造である。物質は分子によって構成され、分子は原子、原子は原子核、電子によって構成されている。通常の物質と言うのは原子核の周りを電子が動き回っているのに対して、この物質は完全に原子核と電子が止まっている。物質が壊れると言う状況は、分子が動く事によってもとの形が変形した状態と言っても良い。しかし、これらの物質はその形のまま全てが原子核、電子単位で停止している為決して壊れる事の無い、いわゆる『時の止まった物質』であった。これは、炎樹の能力でも同様であり、彼がどんなに高温を発してこの武器を握ろうとも、決して溶けたり変形する事無く温度のみが延々とあがっていく。つまり、これに触れたが最後、瞬時に溶け去り気化してしまうのである。
「おらああああああああああ!!!!!」
 炎樹は襲い来る巨人達の間を縫うように走り、次々とトンファーを喰らわして行く。そして、彼の動きが止まった時には、すでに巨人の半数以上が倒れていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 千里は工場内部への潜入に成功していた。青白い月明かりの廊下を駆けながらも、彼は千里眼の能力をフルに活用して敵の姿を探していた。しかし、工場内部に潜入してかなりの時間が経過したのにも関わらず、彼はまだ犯人の放つ召喚獣等や使い魔との遭遇はおろか、その姿さえ確認していなかった。そして、その事態は彼の推理を、より確かなものにしていった。
「釈迦の掌って訳か・・・・・・何もかも。」
 深夜の廃工場を走りながら彼はそう呟いた。
 そもそも、何故自分たちはこの街に来た時に、この工場を調べなかったのか?何故今ごろになって千里眼を使い、犯人を見つけようとしたのか?彼は工場に突入する前に考えていた事を、再び頭の中で反芻させていた。
 確かに千里眼を使ったのは、これ以上被害を増やさない為。であった。しかしそう思った理由と言うのは、犯人が少年を襲ったからでは無いか。即ちそれは全て仕組まれていた。つまり犯人によって自分は導かれたのではないか?犯人は・・・王清は自分との一対一を望んでいるのではないか?
 彼の推理は、相棒にだけ刺客が送り込まれ、自分の前には何も現れない。と言う状況の中でますます確かなものになって行った。
「そっちがその気なら、こっちだってやってやる。」
 そして彼は更に言った。
 半ば結果は判りかけていたかも知れない。仕組まれた事件。導かれている自分。しかし、彼はあえて相手の策に乗る道を選んだ。
「お前の逆手を取ってやる。」
 そう呟くと彼は犯人の居る部屋に向かって、さらにダッシュをかけた。

 扉の向こうからは、いわゆる『殺気』という奴が放たれていた。部屋には何らかの術がかけられているのか、彼の千里眼で内部の様子を汲み取る事は出来なかった。
「とうとうここまで来ちまったか。」
 彼の心の中では相手に対する一種の強烈な感情が(犯人が正体を現した時に同時に現れていた。)膨らんでいた。それは彼の心臓のスピードを無理やり上げていた。
 その向こうに居るはずの敵を見据え、彼は戦いに備え、臨戦態勢をとった。既に彼の胸の高鳴りは最高潮であった。
「す――――――ふー――――――・・・・・・・」
 深呼吸をして息を整え、彼は自らの感情の高ぶりを抑えようとした。そんな中で千里は、扉の向こうにいる裏狩人との過去。この感情の高ぶりの原因である過去を思い返していた。
 
 千里と王清との出会い。それは彼が、今現在炎樹が使用しているトンファーを手に入れた仕事の時であった。
 彼は、仲間の狩人達の先頭を進んでいた。彼の能力によって襲い来る敵や組織や罠の数々はことごとく撃破されていた。そして彼らの前に組織に雇われた『裏狩人』王清は現れた。出現を予測されていた彼は、奇襲の得意な狩人によって撃破されている筈だった。しかし、彼は難なく攻撃を免れた。そして千里が仲間を先に行かせ、自ら手を下した。激闘の末勝負を制した彼は王清を殺さず、裏狩人を辞めるように諭した。相手も人道に反した行為を手伝うのを止めると約束した。筈であった。

 彼は憤りに胸を高鳴らせていた。再び同じ行為を繰り返した王清にでは無い。あそこで王清を再起不能にしようとしなかった自分に憤りを感じていた。相手の人間を見抜けなかった自分に憤りを感じていた。そして、それが彼を今回の行動に向かわせていたのであった。
「よし!行くぞ!」
 感情を抑え、腹を決めた彼は扉を開けた。
 音も無く扉が開いた。殺風景な窓一つ無い部屋が現れる。そして部屋の真ん中で、脂っこい髪をした鍵鼻の男が立っていた。
「やあ。よく来たねえ。」
 千里を見た王清は顔を、見ている者をぞっとさせる笑いで大きく歪めた。
「・・・・・・・・・・・ああ・・・・お前が約束を破ったお陰でな。」
 千里は王清を見据えて静かに言い放った。その言葉からは、一片の慈悲も感じる事が出来なかった。千里は確実に『狩る』つもりであった。
「約束う?・・・ああ・・・あれか。まさか本気にしていたとはね。」
 思い出したように犯人は答えた。
「ふふ・・・・そんなどうでもいい事よりもお話をしようじゃないか。君も私が集めているもののありかを訊いたりする必要が在るんじゃないかね?」
 それを聞いて少し千里は怒りを顔に出したが、すぐに表情を元に戻した。どうやら相手の言うとおりにしようと思ったらしい。
「まあな。お前がどんな風にやられたいか?とかな。」
 その言葉に一瞬王清は真顔になったが、再び笑いを取り戻した。
「よく言うじゃないか。くくく・・・・私も同感だ。ただしやられるのは君だがね。だがそんな事より見てくれよ。」
 そう言うと彼はパチン!と指を鳴らした。すると部屋の床の一部がせり上がり、床下から巨大な、ゆうに大人の身長位のビンが現れた。千里はその中で蠢いている幾つもの『何か』を見て、少し眉をひそめた。
「こいつは・・・・・」
「そうさ。これは君の目当てのもの。このビンを壊せばこいつらは少年たちの元に帰って行って、君は晴れて任務終了と言うわけだ。」
「これは魂か?しかしそれにしちゃあ数が・・・・・・・」
「多過ぎるかい?しかしね、それは当然の事だ。これは魂じゃなくて、少年たちの『精子』なんだからね。」 
「馬鹿な。精子だと?」
「そうさ。これが私の自慢の種ってわけだ。」
 犯人は得意げに歩き回りながら説明を始めた。
「今回私はある組織から依頼を受けていてね・・・・・アガルガンって言うんだ。あっ!気にしなくて良いよ。依頼主の名前なんてばらそうが、ばらすまいが問題ないからね。僕と君の仲だしね・・・・・魂を集めろっていう依頼なんだ。でまあ私はそこである方法を試す事にしたんだよ。それがこの人間の精子を魂に精製するってのなんだ。解るかい?そもそも受精ってのはね、君も知ってると思うが巨大な細胞である卵と遺伝情報が組み込まれている精子が一緒になるって事だ。で、ある日気づいたんだよ。この関係は肉体と魂の関係に似てるなってね。魂も個人個人の特徴を持っていて精子と似ている感じがするだろ。肉体に至っては卵が精子と一緒になった後、そのまま大きくなった様な物じゃないか。で、まあ試してみる事にしたんだよ。あっ!信用して無いって顔だな。でもね。もう成功してるんだよ。人間以外じゃね。まっ。副作用で皆メスになって意識がなくなるんだけどね。でも精製されていない精子を離したらね、何故だか一人でに飛んでいって元に戻ったから安心したまえ。まっ。帰す気なんてこれっぽっちも無いけどね。」
 満面の笑みを浮かべながらまるで友達にむかって話すような態度の王清に千里はひどい嫌悪感を感じたが、表には出さずにそのまま会話を続ける事にした。
「それじゃあ、あれは何だ?あの『黒尽くめ』は?」
「ああ?あれかい?あれはさ、依頼主から貸して貰った肉人形なんだよね。これがまた便利でさ。私の魔法を全部すんなりと受け入れてくれるんだよ。だから使役として十分に活用させて貰ったけどね。」
「そうか・・・・・・」
「あれ?もう終わりかい・・・・?」
 物足りなさそうに犯人は訊いた。
「ん・・・・?そうだな。あるとすれば・・・・・・・お前が俺をここまですんなり通した理由かな・・・・・・・・やられるのは解ってるのにな。」
「ハハハハハ!何言ってるんだい!私が君を簡単に殺せるからじゃないか。昔と違ってぇ!!」
 千里の質問をきいた王清は上を向いて高笑いし始めた。
「ハハハハッハハ!!!!そうかそうか!!!面白い冗談だ!!!!」
 それに合わせて千里も同じように高笑いを始めた。そしてそのまま共に声を響かせ続けていた。
「ははははっはあは!!!!!そんな君が憎くてしょうがないよおおお!!!!」
 しかし、それも王清の行為によって幕を下ろされた。笑いの余韻を残しながら彼は手の中で印を組むと何やら唱えはじめた。
 それに気づいた千里は身構えた。
 そして次の瞬間千里の足元に巨大な穴が開く。彼はそれが起こる寸前に横っ飛びに飛んで落ちるのを免れていた。
「さすがと言った所か・・・・貴様が独学で開発した魔術は健在みたいだな・・・・・・・・「なかなか」と褒めてやりたいが、貴様があの時の約束を破り、罪の無い少年を襲ったことは万死に値する。俺は貴様を許さん。俺は・・・・・貴様を『狩る』!」
 遂に千里は本音をぶつけた。そこからは先程までとは打って変わって、彼特有の強力なオーラが静かな怒りと共ににじみ出ていた。
「くくく・・・・・出来るかな?さっき強くなったといったばかりだろう。」
 王清からも既に先程のふざけた感じが消えていた。顔には未だ嫌な笑いが張り付いていたが、目はもう笑っていなかった。
 最早彼らは一触即発の臨戦態勢であった。
「君の連れもそろそろ死んでいる頃だろう。そして・・・・・次は貴様の番だ。」
「何言ってんだ。あいつはお前のチンケな召喚術でやられる程ヤワじゃないぜ・・・・・」
 そう否定した千里を、王清は不敵な笑みで見つめた。
「くくく・・・・・どうかな・・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「手前で最後だ!!!!」
 ごす!!
 ジュウウウウウウウウウウウ!!!!
 あの後巨人達を倒した炎樹の前には更に沢山の魔物が現れ、襲いかかっていった。しかしそれら全てを彼はトンファーの一撃のみで倒していった。
「ふううううう・・・・・もう出てこないみたいだな・・・・・」
 あたりを確認し、もう魔方陣が現れないのを確認した彼は、精も根も尽き果てたかのように地面に腰を下ろした。先程の戦いで、ずっと動き回っていた彼の体には疲労がたまり、深くは無いにせよ傷も追っていた。
「うううううう・・・・・疲れた・・・・・先輩大丈夫かなあ?」
 そう言いながらも、彼は地面の上に寝転ぼうとした。しかし・・・
 
 ガゴン!!ドゴン!ガゴン!!ドゴガゴ!!!
 突然工場内部につながる、しかし今は固く閉じられている、巨大な門が内側からの謎の衝撃でなんとボコボコと突起していた。
 その音に驚き、ただならぬ気配を感じた炎樹は慌てて身を起こしてトンファーを構えた。
「な・・・なんだ!?一体!!?」
 彼がそう言っている間にも、尚門には幾つもの衝撃が加えられていた。そして遂に・・・・・
 
 ドゴオオオオオオオオオオオン!!!!!!!
「があああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 巨大な猿。巨大な轟音を立て破壊された扉の中から出てきたモノに、彼が一番最初に抱いた考えであった。
 確かにそいつの頭部は猿であった。しかし、体高はゆうに五メートルを超え、しかも胴体は虎。尻尾は蛇の上半身。といったあまりに奇怪な姿であった。
「何なんだよ・・・・・こいつ・・・・・・・」
 炎樹は猛り狂うその姿に、恐怖さえ覚えていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「何だと!!!??貴様!鵺(ぬえ)を召喚したのか!?」
 先程までは取り乱す事をしなかった千里が、取り乱した。
「その通りだ。どうだい?強くなっただろう。」
 鵺・・・・・・その昔、都に現れた伝説の怪物の名前である。虎の力、猿の素早さ、蛇の毒を備えたそれは、正に伝説と呼ぶに相応しいと言われている。
「くそが!!!早く王清を倒さなければ!炎樹が!!!」
 千里は思わず悪態をついた。そしてそれが彼に隙を作った。
 どどどどどどどどどど!!!!!!
 幾つもの光の球が彼の体に食い込み、彼の体を吹き飛ばした。無残にも千里は床に叩きつけられた。
「がはあ!!!!」
 先程の隙を利用して攻撃をした王清が、倒れている千里に歩み寄った。
 しかし、なんとか千里は立ち上がり王清との距離をとった。だが、彼の体は既にアバラが数本折れかなりのダメージを喰らっていた。
「駄目だろお・・・・んーーーーー?気を抜いちゃあ。」
「く・・・くそ・・・・が・・・・・!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ごあああああああああああああ!!!!!!!」
 鵺が何度目かの雄叫びと共に、爪を振るった。
 既に体力の残っていない炎樹はその攻撃ををよけきる事が出来なかった。
 ザシュ!!!
「がはあ!!!!」
 彼の体が宙に舞い、胸から血を撒き散らした。トンファーは手からはなれて、何処かへ落ちていった。
「ぐぼっはああああああああ!!!!!!」
 ザシュ!!!!ザシュ!!!!!!!!!
 容赦を知らない怪物は、彼の体が地に落ちる前に第二、第三の攻撃を繰り出していた。それら全てが炎樹にヒットして、再三血しぶきが上がった。
 どすっ・・・・
 今までの魔物よりスピードもパワーも遥かに優れている鵺にされるがままの彼は、それら全てを喰らって地面に落ち、動かなくなった。
「ひゅーー・・・・・・ひゅー―――・・・・・・・」
 最早虫の息の彼は、言葉を発する事もままならなく、既に意識は朦朧としていた。しかし彼の目は死んではいなかった。
「フシュ―――――!!!!!」
 そして遂に鵺は止めを刺すために飛び上がった。爪を大きく構えて、落下のスピードによって炎樹の命を絶とうとした。
 結末は誰の目にも明らかであった。完全な、しかも典型的な自然界の光景がそこで繰り広げられようとしていた。
 だが、その刹那、それらは全てひっくり返される事となった。
 まず炎樹が、片掌を最後の力で鵺の方に向けた。
 次に鵺が爪を振り下ろした。この時点で勝敗は明らかだったかも知れない。人が見ていれば、きっと炎樹はサイクロプスにやったのと同じ事を最期の悪あがきとしてやると思っていただろう。もちろん、あれほどの怪物がこれしきでやられる訳は無いし、もし倒してもその後、塊に押しつぶされる。と思うかもしれない。だが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・違った。
 
 カッ!!!!!ビイイイイイイイイ!!!!!!
 一瞬、怪物は何が起きたか全く理解出来なかった。ただ自らの体が粉々に砕け散り、自分自身はそのまま元の世界に戻っていくのを感じただけであった。
 怪物が飛び掛ったその時、炎樹の手からは光が放たれていた。その光は、鵺の体を貫通して粉々に砕き、さらにそのまま天に昇っていった。後には怪物の媒介であった土の破片が転がっていているだけであった。
 これこそが、炎樹の最後にして最大の技であった。この世の中には様々なエネルギーがある。電気等はもちろんの事、光や衝撃もエネルギーの一種である。同様に炎樹の放つ熱もエネルギーである。熱エネルギーは温度に比例して大きくなり、あまりに大きな熱エネルギーは光線となる。彼はこの光線を利用して鵺を倒したのであった。炎樹は、その技が起こす甚大な被害を恐れて、常にこの技は空に向かって放つ様にしている。つまり彼は、やられながらも絶好の位置関係になるのを待っていたのであった。
「へ・・・・へへ・・・・・やって・・・・・・やったぜ・・・・・・・・・」
 やっとその言葉を言い終えるた彼は、そのまま気を失った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ハ―――――ッ八ハッハ!!!どうだ手も足も出まい!!!!」
 王清は距離をとって千里を攻撃していた。千里が持つもう一つの攻撃用の能力は、相手の頭に触れる事でその真価を発揮するモノであった。つまり距離をとった攻撃には全く太刀打ちが出来ないのであった。
 既に幾多の攻撃を受けた彼の足はふらふらで、立つ事さえ侭ならなかった。
「くくく・・・・・解ったか?あの時はたまたま貴様の能力を知らなかっただけだったんだよ。だからあの時私は負けたのだ。本来私と貴様にはこれほどの差があったのだよ。解ったかね?」
「がは・・お・・・・・・」
 ガク・・・・
 何かを言いかけた千里であったが、とうとう立っていられずにガクリと手と膝をついた。更に、下を向いた彼の額を覆っていたバンダナも真ん中に1本線が入ったかと思うとそこから切れて、地面に落ちた。
「ハー――――ッ八八八ハッハ!!!!くくく・・・・ヒヒヒ!!!惨めだねえ!答える事も出来ないなんてよお。所詮貴様はこの程度だったのさ。もういい・・・・・そろそろフィニッシュだ・・・・・・・喰らえ!!!!!!」
 そう叫ぶと、王清は手の中で幾つもの複雑な印を結んだ。すると、彼の周りに一番最初に千里を傷つけた光の球が幾つも現れた。
「やれええええええええ!!!!!」
 術者の号令いっか、それら全てが千里のいる空間に飛んでいき床と天井を使ってバウンドを始めた。暫くすると、動けない千里目の前で光の球が小爆発を起こした。
「どうだ!?何時爆発するか判らない特性爆弾だ!!!!貴様は恐怖に怯えて死ぬのが似合いそうだからなあ!!!」
 既に勝利を確信していた王清は、大声で千里を侮辱した。そして、その間にも幾つかの球が爆発を起こして煙をまき上げた。
 ドゴドゴドゴドゴ!!!!ボン!ボボボン!!ドゴン!どごどごどごごどごどごどごごどんんん!!!!!
 堰を切ったように次々と球は爆発していき、それらが抉った壁や床、天井があげる煙は、今や完全にこの部屋を覆って視界を奪っていた。
「ククク・・・・・もう良いだろう。」
 パチン!
 そう言いながら王清が指を鳴らすとそれまでの爆音が嘘のように止み、煙も少しずつ晴れていった。
「さて・・・・・・・奴の死体を拝むと・・・・・・・!!!馬鹿な!」
 煙が完全に晴れた途端、彼の目が驚愕で見開かれた。
「馬鹿な!!!!?どこだ!?死体は・・・・・・・・・・!どこに・・・・・どこに・・・・・・・・ど・・・・・・・・・」
 彼の口調が少しずつ静まっていった。心なしか恐怖の響きも感じとれる・・・・・そして、彼が恐れていた最悪の事態が起こった。
 ポン・・・・
 王清の頭に何者かの手が置かれた。
「おおおお・・・・・俺の頭に・・・・・俺の頭に俺のああたまに手ててておおおおおおおおれれれれれええええええええええ」
 恐怖で既に正常な思考を失った彼の背後には千里が立っていた。
「昔な、俺に狩人のいろはを教えてくれた師匠がよく言っていたよ『勝負は最後までわからない。』ってな。お前は俺が動けないのを見て勝利を確信し・・・・・・・戦いから目を反らした。俺が動けるかも知れない。まだ策があるかもしれない。とな・・・・・自分の手で確実に止めを刺そうとしなかったのはその証拠だろ。」
 千里は静かに言った。そして、それを聞いた王清は、死刑宣告と勝利宣言を同時に聞いたような気分になった。
「さて・・・・・・それじゃあ『狩り』の時間だ・・・・・・・お前はよ・・・・・・そんな強力な魔術を独学で学んだって言うのに、それを使って人の命を殺めようとした。そういうのはな、俺たちのする事じゃないんだよ。」
「ひい!!!やめ!!!!!!!」
 王清が許しを請おうとした次の瞬間、彼の体から男性器が失せ、代わりに女性の身体的な特徴が現れた。そして彼が周囲を見回すと、そこには目を血走らせた沢山の裸の男たちが立っていた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「気を失って白髪になったか・・・・ちっときつ過ぎたかなあ・・・・・?」
 千里が見下ろすとそこには黒だった髪が真っ白に変わり、わあわあとうわ言を言って倒れている王清がいた。
これが彼の攻撃用能力であった。しかし、攻撃とは言っても肉体に直接のダメージは無く、倒す事を目的としない戦意喪失を狙う能力であった。彼は額に弾丸を打ち込まれた時に、千里眼と共に微弱な電気信号を放つ能力を手に入れた。彼はこれを相手の脳に直接流し込む事で、攻撃用の技とした。脳と言うのは、感覚神経等がえた情報が電気信号になって届く事で、初めて物事を認知する事が出来る。そして、彼の場合は先に述べた電気信号とほぼ同じタイプの電気信号を脳に直接情報として送り込む事で、幻覚を見せるのである。
「さて・・・・・・・お仕事終了か・・・・・・それからお前は俺の知り合いの『能力や知識を消す能力』を持つ狩人の所に連れて行くぞ。これ以上同じような事やられちゃたまんないからな。」
 千里は今は目を閉じて気を失っていっている犯人に言った。


第7章「何処までもついていきますよ。」

 あの後、千里は王清を何とか縛り上げた後、依頼人を呼んだ。やはり千里は王清が信じられないらしく、精子の入っていた巨大なビンは持ち帰り、そういうの専門の狩人に解析を依頼した。その結果やはりと言えばやはりではあったが、王清は嘘をついていた事が発覚した。結局は、かなり複雑な手順をしてから割らなければ駄目な様であった。しかしその問題も無事解決し、次の日には被害者が元気に登校していく姿が確認できた。しかし、女性化はもう少し経たないと直らないらしく、暫くは男子用制服の女子が街を歩く事となった。(被害者のうちの少数に『TS万歳!』とか叫ぶ輩が居たそうな)千里と炎樹は暫くの入院生活の後、依頼人から報酬を貰って無事退院したようであった。
そして・・・・・・・・
 〈1番線・・・○○駅発逗子行きの電車が参ります。危ないですから黄色い線の内側に下がってお待ちください・・・・・・・・〉
「いやあ!!やっと帰れますね!俺たちの町へ。」
 晴れて天気の良い昼下がり、気持ちの良い陽光が差し込むホームで、炎樹は黄色い線の上に立ちながら線路の方を背にして伸びをした。
「おいおい・・・・はしゃぐなよ。って言うか危ないぞ。こっちに来い。」
 危なっかしく思いながら千里は注意をした。しかし、本心はこの晴れた空を映した様な気持ちが炎樹から伝染してしまって、それ以上注意をする気が起こらなかった。
「大丈夫ですって。俺なんてあんな凄い怪物相手にしたんッスよ。これくらい・・・・・・・・・あれ?先輩。・・・・・あの子・・・・・」
 炎樹は目を細めてホームのずっと向こう側を指差した。そこから一人の少女が走ってきた。
「あれは・・・・・千夏君じゃないか・・・・・・・」
 確かめるように千里が言ったのと同時にホームに電車が到着する。どうやらこの駅が折り返し地点らしく、昼時にも関わらず結構な人数が降りて来る。千夏が彼らの元にたどり着いたのはちょうど電車から人影が消えた時であった。
「ああ・・・・・・よかった。間に合った・・・・・」
 肩で息をしながら彼女はやっと言った。
「どうしたんだい?学校には行かなくていいのかい?」
 今日は平日である。炎樹が千里の代わりにちょっとした疑問を投げかけた。
「だ・・・・大丈夫・・・・・・今日は創立記念日で休みだから・・・・・・それより・・・・今日あなた達が退院したって聞いて、言いたい事が・・・・・」
「どうしたんだい?慌てなくていいよ。あの電車はここが始発みたいだからまだ時間はある。」
 千里は彼女を気遣い、優しく言った。
「ええ・・・・それじゃあ・・・まずあなたに・・・・」
 まだ荒い息をなんとか静めようとしながら千夏は炎樹にむかった。
「え?俺??」
「ええ・・・・。あの時はごめんなさい。あんな酷い事言っちゃって。本当に・・・・・あとあの『黒尽くめ』から守ってくれてありがとうございました。」
 突然思いもよらぬ事を言われた炎樹はびっくりして言葉に詰まった。
「ああ・・・ああ・・あれね・・・うんあれはあれで・・・・・いやいやそうじゃなくて・・・・・あれ?うん・・・・・気にしなくて良いよ・・・・」
 結局どぎまぎしてうまく言えず終いの炎樹は、最後の方はむっちゃ声を小さくして、言い終えるとすぐに電車に乗り込んでしまった。
 その様子を見ながら『あいつも何だかな・・・・・』等と千里が考えていた所に千夏が向かって言った。
「それから千里さん・・・・・あの時は本当にありがとうございました。これからは何とかやっていけると思います。どうもありがとうございました。」
「うん・・・・そう言ってもらえると嬉しいよ。君がここまで成長したって言うのはとても凄い事だ。これからは胸を張るんだ。影ながら応援しているよ。」
「はい!」
「それからこれはちょっとした君へのプレゼントだ。」
 そう言うと千里は千夏の頭をゆっくりと撫でた。不思議そうな顔をする千夏に、彼は後ろを振り向かせた。すると・・・・・・・・・
「お・・・・お父さん!?」
 彼女の目の前には死んだ筈の父親が立っていた。
「久しぶりだね。千夏。こんなに大きくて綺麗になって・・・・・・・」
「ほ・・本当にお父さんなの??」
 目から涙を流しながらも父親の顔を見つめながら聞いた。
「ああ。そうだよ。おいで・・・・千夏・・・・・・・」
「お父さん・・・・・!」
 彼女は何年ぶりかに、父親の胸に顔をうずめた。そして彼女を幸せが包んでいった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 車窓から映るのは田んぼ・森・町のローテーション。C県のここら辺は、これが電車の車窓のから見ることの出来る風景のバリエーションであった。それをいい加減うんざりしながら炎樹は眺めていた。
「先輩・・・・・能力使ったんですね。」
「ああ」
「あの子幸せになれますかね?」
「ああ」
「『休息所』に帰ったらまず何します?」
「ああ」
 何を聞いてもああしか言わない千里に、炎樹は痺れを切らした。
「何か言ったらどうなんですか?それとも何か気になることでも・・・・・」
「ああ・・」
 炎樹の言葉を彼は途中で遮った。
「炎樹・・・・・。」
「なんっすか?」
「今回の事件な・・・・・・裏狩人の依頼人が魂集めてるみたいなんだ。」
「まさかでかい事を・・・・・」
「そうだ。なんかでかい事をやらかそうとしてるんだよ。その依頼人は・・・・・・・だがな、人の魂を勝手に集めるなんてのはな。狩人として絶対許しちゃいけない事だ・・・・・・だからな・・・・・もしかしたら俺も戦うときが来るかも知れない・・・・・・んだ。」
「そうですね・・・・・」
「その時は・・・ついて来てくれるか?」
「なんだ!そんな事すか!真剣な顔だから店畳んじゃうのかと思っちゃいましたよ。いやほんとうに・・・・」
 そう言って彼は笑った。
「任せてください!何せ俺らは二人で一人の狩人じゃないっすか!」


あとがき「という名の戯言」

 お・・・お・・・お・・おおおおおっぱい・・・・否・・・・終わったああああああああああああああああ!!!!本当に書いちまったよオラぁ夢見てんのか?んだべ!!!(失礼しました)
 乱文ですみませんでした。
 さて、皆さん『狩人――裏――』楽しく読んでいただけましたでしょうか?なんだか書いてたらこんなに長くなっちゃて・・・・・・もう本当にこのくそ長くつまらん小説をここまで読んでくれた人には感謝しても仕切れません。本当に

ありがとうございました。

なんかつくづく乱文で・・・・・とまあそれはこっちに置いといて・・・・・よいしょっと・・・・・・・・
 改めて、皆さん読んで頂いてありがとうございました。
 今回のタイトルの由来なんですが、初めはHUNTER OF 干支って題名にしようと思ったのですが、なんかかっこ悪いと思った干支はこのタイトルにしました。これならなるほどって感じでした。まず第一に『裏狩人』この存在が一番のポイントでしたね。一応頭の中で続編とか勝手に作り上げちゃったりして坂上さんだのヨーミンだのエッジだのを勝手に登場させちゃったりしてるんですけど(書くかどうはわかりやせん)、全体として裏狩人と狩人の戦いが中心の物語です。
 で、次はこの作品が現在連載中の狩人の裏って事ですね。この作品の中でちらほら本家のキャラの名前が出てきているんですけど(DEKOIさん。勝手に名前使っちゃってごめんなさい。)一応設定としては狩人 ―凶悪― の一・二ヵ月後ぐらいです。自分なりにいろいろと犯人の動機を考えたらアガルガンに依頼されたっていうのに行き着きました。
 まあ本当に本家のDEKOIさんには申し訳ないんですが、最初干支版狩人は本家の方とはドライ(?)な感じにしようと思ってたんですが、いかんせん筆ベタな私が書いたら、もうべったんべったんの湿度444パーセントな作品に仕上がってしまいました。
 暴走気味ですね・・・・・ここらで自粛・・・・・
 気を取り直して、今度はキャラ設定。
 まず炎樹君。今回の話では彼の方を引き立てるつもりだったんですけど気付いたら千里のほうが引き立っちゃいました。
 ゲットバッカ―ズの天野銀次(じってこれでよかったっけ?)をイメージして書きました。まあ一番好きなキャラです。
 で次に千里さん。彼は読んだ人ならわかると思いますが結構なベテランです狩人の。名のある狩人とも面識があって。頭のいい感じで頼れる感じでってな。まあいわゆる仲間を導いていくキャラですね。もう一つ付け加えると彼が最後で使っていた電気の能力ですが、実はあっちが本当の使い方じゃないんです。彼の頭の中で何故か一体化してしまった弾丸は彼の前頭葉の一部となる代わりにその質量の数パーセントを使って発電してるんですが、この働きを反転させる事も可能で、前頭葉が発電(実際書いてみたら結構無茶苦茶な理論だ)する事によって理性を失う代わりに超強力な電撃が使用可能になったりするわけです。まあこれが狩人の中でもトップクラスって言われてた理由の一つですな。
 でもまあ他にもありますが、これ以上は長くなるので、一応最後に一言。書いてて楽しかった!!(一回途中で文が消えたんですがね。)

 おしまいおしまい

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