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少年少女文庫・リレー小説実行委員会主催...


小さなお守り







Epilogue





                 Epilogue担当: kou



 お守り。そのように私を呼称する。当たり前といえばそこまでだが。
 名前のことはさておき。
 お守りに篭もっている私は、何者であろう? 九割が怨念で構成されているのだと、私は考えている。。
 千年ほど前、私は戦場にいた。妹からもらった「お守り」を持って。歴史に残るほどの出来事ではない。戦争はどこでも行われていた。今から見ればとてつもなく稚拙な剣を振るっていた。その時は、ちょうど水が不足していた。あまり大きくない、湖を取り合っての殺し合い――だった。町と町の闘いだ。いや、村と村の闘いか。
 敵を切り裂き、紅い飛沫があがる。それを何十、何百回と繰り返した。敵を殺らなけば、家族が危険にさらされる。今になって考えると馬鹿らしい考え方だと思ったが、そのときの自分がよほど切迫した場所にいたというのが分かった。
 また一体、また一体と切り倒していった。が、敵は意外な方向から来た。後ろからだ。思いっきり刀――と言えるほどの代物ではなかったが――で右肩から左脇腹までざっくりだ。体をひねると、顔が見えた。私は我が目を疑った。それは、私の兄だった。 「何故――」私の最後の言葉だ。
 兄は、私に火を付けた。火のついた松明を押しつけたのだ。私を苦しめるために。周りの人々は、全く気にしてない。自分のことで精一杯だったのだろう。
 そして、私は死ぬ――はずだったのだが、強い憤りと悲しみでこの世に残った。角が焦げた程度で燃えずに済んだお守りのなかに、寄生するような形で。
 そして、兄は私の身につけていた「お守り」を手に取り、懐に押し込んだ。妹や親に、私が死んだ証拠として見せつけるために。

 兄はなぜ私を殺したか。それは分からなかった――分かりたくもなかった――が、兄を呪った。全身全霊をかけて、私を殺した兄を呪った。
 そして、まあ、何というか、私の呪いが変な形で発動した。
 性を自由に変える能力――。そんな化け物じみた能力を得た。もっとも、私自身が化け物と同じだが。
 兄は、姉になった。
 その後の内容は――説明しなくても大体想像はつくだろう。

 そして、お守りの立場上、人間から"願われる"。私に出来ることはたった1つしかない。
 私は、私なりの手段で願いを叶えているつもりだが……迷惑か?


 − 完 −




 また、「小さなお守り」を完成させるためにご協力して頂いた方々、そして、「小さなお守り」を読んで頂いている読者の方々、
 ありがとうございました。この作品の発表をもちまして、リレー小説実行委員会は解散します。また、機会がありましたら再結成
 するかも……しれません。
 また、いつか。



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