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さて今回からはある意味続き物です。
どうぞ御覧くださいませ。
先に延べておきますがかなり残酷な表現があります。


狩人 - 魔法少女 -
作:DEKOI



 この世には人知のしれないものが『ある』。
 霊といわれるものが。化物といわれるものが。魑魅魍魎といわれるものが。悪魔といわれるものが。神と呼ばれるものが。
 また魔法といわれるものが、魔法としか思えないほど進んだ科学が。
 
  それは確かに『ある』のだ。
 「それら」は人間の前に殆ど現れない。だが人間に「彼ら」が牙むいた時、人間に太刀打ちできる術はない。
 だが、「それら」を「狩る」事を目的とした「者」もまた、確かに『いる』のだ。

 その事知る者は、彼等を尊敬と畏怖をこめて「狩人」と呼ぶ。


場面その1

 
 さーて兄ちゃん仕事しよーよ。
 えっ?
 用事ができた?あっちに帰るの?
 オイラ1人でしばらくやっててくれ?
 げげげ、そりゃないよ、ってもう行っちゃったよ。
 はぁ、しょうがないなぁ。じゃあ簡単な仕事でも受けようかな。
 えっとぉ・・・・これにしようかな。場所は・・・・。
 
場面その2

 
 地方都市から少し外れたそこそこの大きさを持った市にその喫茶店はあった。
 窓から離れた席にその少女は座っていた。
 歳の頃は14,5歳か。ぱっちりとした目をしたなかなかの美少女だ。染めているのか髪の毛は明るい緑色をしており、黄色のリボンで後ろで縛ってある。
 少女は脅えているかのようにキョロキョロと辺りを見回していた。
 ドアが開かれた。ついている鈴が鳴る。少女は弾かれたようにドアを見た。
 入ってきたのは少年だった。少なくとも見た目は。身長は80cmに満たないかもしれない。真ん丸の顔にドングリのような目と小さな鼻と口が張り付いている。髪の毛はかなり特徴的で青みがかった灰色をしており、何故か頭の頂点で栗のように尖がっている。服は赤いチェニックを着ている。ズボンも合せたのか真っ赤だ。
 少女はがっかりした顔をしてドアから目を離した。ところがその少年は少女を見るとずかずかと少女の方に近づいていった。そして少女の対面に座る。
 びっくりする少女。対して少年はニコニコと笑っている。
「あのぅ・・・・。」
「狩りをする者がきたよん♪」
 少女の問いかけに対して少年はそう答えた。少女の目が見開かれる。
「えっ、じゃあ貴方が?」
「そう、君が雇った「狩人」、タルだよん♪」
 少女は開いた口が塞がらないようだ。まさか自分が頼った人物が自分より幼い子供だとは思わなかったからだ。
「えっと、あのぅ、そのぅ・・・。」
「まー見た目はガキなのは認めるけど、一応君よりずっと年上だし。人間ですらないしね。
 しどろもどろの少女に対してタルは胸を張って答える。ただその声はやたらと軽くてあまり頼りがいがないような気がしなくもない。
「あのう「狩人」さん、なんですよね。プロの。」
「だからそうだと言ってるじゃん。」
 少女は身を乗り出してタルの手をにぎった。その目はまるで何かにすがるかのように、涙ぐんでいる。
「助けて下さい! 僕、悪い魔法少女になっちゃったんです!」
「・・・・・・はぁ?」
 
場面その3

 
「という訳であなたは今日から私の正義の為に悪の魔法少女になってもらうわ。」
「なにが『という訳』だよ。いきなり呼びだしてなに変な事言いだすの?」
 とある中学校の校舎裏に2人いて、その会話が行われていた。
 1人は少女だ。髪の毛短めで釣り上がった目が勝ち気な印象が見て取れる。
 もう1人は少年だ。その顔には頼まれると断りきれないようなそんなお人良しそうな感じが見られ、線が細い。
 少年の名前は佐藤聡(さとうさとし)。少女の名前は伊藤理恵(いとうりえ)。家が近所で幼稚園の頃からの俗に言う幼なじみの関係にある。腐れ縁と言ってもいいかもしれない。
 聡はいきなり理恵に呼ばれてこんなヘンテコな事を言われたのだ。幾ら押しが弱いので学校中で有名な聡とはいえ、このあまりにも突拍子なお願いにはいささか戸惑いをかくせなかった。
「私は昨日、聖真(せいま)さまのお告げを聞いたの。『あなたには正義の為に戦う使命がある』って。そして私に魔法を使う力を授けて下さったの。」
「はあ。」
 聡は半ばどころか完全に呆れ返った調子で相づちを打った。
「で、私が正義を行う為には懲らしめる為の悪が必要なの。だから、あなたに悪の魔法使いになってもらうってわけね。」
「ちょっと大丈夫? なんか論理的に完全に破綻してるような気がするんだけど。第一正義の為になんでわざわざ悪の存在を君が作んなくちゃならないのさ。」
 どう考えても聡の言ってる事の方が正しいだろう。だが理恵は恍惚とした顔をしていてまるで聡の話を聞いていない。
「私は選ばれたの。私は特別な存在として生まれてきたのよ。他の皆と同じ退屈でくだらない存在じゃない事が証明されたのよ。」
 その言葉に聡は震え上がった。今までよく見ていた幼なじみがまるで別の生き物になったような気がした。
「あ、僕、家の蟻の巣の様子を見に行くんだった。それじゃあこれで。」
 聡は片手をシュタッっとあげると立ち去ろうとした。言い訳にしてはちょっと無理があり過ぎるような気がするが。
「うふふふふふふふ、逃がすと思って?」
 不気味に笑いだす理恵。聡は慌てて逃げようとする、が。
「それ、悪の魔法少女になっちゃえ!」
 理恵は懐から変な形をしたステッキを取り出す。そのステッキからピンク色の光が飛び出した。それが聡の全身を照らす。っと
 胸元がいきなりきつくなった。と同時に腰周りがゆるくなり、お尻の辺りもちょっときつくなる。
 髪の毛がいきなり腰近くまで伸びた。指が細くなり、手が全体的にスラっとした物に変わる。
 足が勝手に内股に変形した。そして全体的に身体が丸みにおびたものに変質してしまった。
「うん、上出来ね。かなりの美人になったじゃないの。でもあたしより胸がでかいってのは気にくわないわね。」
「な、な、何? 一体何をしたの?」
 聡はびっくりして声をあげた。その声は奇麗なソプラノに変わっていた。顔も良く見ると全体的に小ぶりになっており、相対的に瞳が大きく見える。
「だからアナタを悪の魔法美少女に変えたのよ。頑張って悪事を働いて、あたしに倒されるように頑張りなさい。」
「ええええええっ? 何でこんな事するの? 第一なんで少女になんなければいけないのさ?」
 聡は当然至極の質問を理恵にした。対して理恵の答えは
「だってインパクト、そっちの方が強いじゃない。」
 であった。
「嫌だよ、こんなの。元に戻してよ。」
「駄目よ。あなたはアタシの正義の為に悪事を働くように決められたの。そうね、聡だからサミーとでも名乗りなさい。」
 一方的に無理難題を聡に押し付ける理恵。
「そしてあたしは正義の魔法少女リリカル・リリーとしてあなたを倒すの。じゃーねー、あたしに倒される為に頑張って悪事を働いてねー。」
 そう言うとさっさと理恵は立ち去った。後には学生服を着た緑色の髪の毛をした少女が1人。
「そんな・・・・僕、これからどうすればいいんだよ。」
 聡はポツリとそう呟くのであった。
 
 とぼとぼと聡は家路についていた。学生服を着た緑色の髪の毛の少女というのは端から見るとかなり異様だ。
 これからどうすればいいのか、第一家族になんて言えばいいのか彼には思いつかなかった。父親は出張中だからいいが、母親はパートをしているとはいえ家にいる。
 "僕、女の子になっちゃた。お母さんこれからよろしくね。"っと言ったら速攻で病院に連れて行かれるだろう。
 どうすればいいかわからない。でももうこんな事に何故かなっちゃたんだから説明しないわけにはいかない。同道巡りな思考が彼の頭の中で渦巻いていた。
 そんな事を考えながら歩いていると、いつしか大通りに出てきた。信号が赤なので待っている、と、
 
 キキー、ガシャーン
 
 ブレーキ音、そして鉄同士が激しくぶつかる音がした。
 車が突然、道を外してガードレールに激突したのだ。ガードレールの側にいた何人かが吹っ飛ばされている。
「ううっ・・・。」
「坊や、大丈夫?」
 聡の側に少年が1人倒れた。咄嗟に聡は抱きかかえる。
 額をこすったのか血がにじんでいた。聡はその箇所をハンカチで押さえてあげた。
「お姉ちゃん・・・お母さんは?」
 最初、聡は誰の事を言っているのかわからなかった。だが『お姉ちゃん』とは自分の事を呼んでいるのだとやっと気付く。
 辺りを見渡すと、買い物袋を抱えていたと思わしき女性が倒れていた。打ち所が悪かったのか頭から結構な量の血が流れている。そっちの方も人がついているが、聞こえてくる会話からすると、あまり良い調子とはいえなさそうだ。
「大丈夫だよ、今、他の人が見てるから。」
 聡は少年に為にでまかせを言った。そのままの内容を言うのはあまりにも酷だからだ。
「見つけたわよ、悪の魔法少女タッチー! よくも罪のない人々を傷つけたはね! この正義の魔法少女マジカル・ニッキーが成敗してあげるわ!」
 そのような声が突然辺りに響き渡った。声をする方を見てみると、青を主とした魔女っ子スタイルの14歳くらいの少女が妙な形のステッキを持って立っていた。
 ステッキの指し示す方を見てみるとクリーム色の髪の毛をした少女が立っている。その少女はどうやら怒っているようだ。
「なに言ってんだよ、西村。俺はただここに立ってただけだぞっ。第一俺を女にしたあげく、そんな風に呼ぶだなんて何考えてるんだよ!」
「問答無用よっ、食らいなさいマジカルスレッシャー!」
 魔女っ子のステッキから青い光線が放たれ、クリーム色の髪の少女に浴びせられる。
「ぎゃああああ!」
 少女の姿が真っ白に染まる。その後少女の身体が塵になったかのように崩れ去ってしまう。
「え?ええええ?」
 あまりの展開に聡はとまどってしまう。
「ふっ、悪の魔女は滅びたわっ。それじゃあ皆、安心してね!」
 そう言って魔女っ子は立ち去っていった。
「お姉ちゃん、どうしたの?」
 聡は震えていた。どう見てもさっきの少女は自分と同じように悪の魔法少女に「仕立てられ」たのだろう。だとしたらいずれ自分もあんな風に理恵に殺されるのでは・・・。
 少年を抱きしめたまま、聡は震えつづけていた。
 
「そうなの、理恵ちゃんがあなたを・・・・。」
 家に帰った聡は、母が帰ってくるなり事情を説明した。
 最初は母親は目の前の少女が自分の息子だと言われても信じられなかったが、昔の話などを粘り強く話した結果、母は彼の言う事を信じたのだった。
「お母さん、僕の言う事、信じてくれるの?」
 あまりにも突拍子のない話なだけに、母親が信じてくれるとは思えなかったからだ。
「ええ、母さんのパート仲間の息子さんも『悪の魔法少女』に変えられちゃったらしいの。その子もある日を境にいなくなっちゃたらしいわ。その子を変身させた子も行方不明になったそうよ。」
「お母さん、僕も消されちゃうの?」
 脅えたように聡は身を震わせた。目に涙を浮かべたその姿は脅えた少女そのものだ。
「大丈夫よ、噂でしか聞いた事ないけどこういった怪奇現象を解決する為のプロがいるそうよ。その人を雇ってこの事態を何とかしましょう。」
 母親は聡を優しく抱きしめた。気がつくと聡は母親の胸で泣いていた。
 
場面その4

 
「あのう、タルさん、こんな事していていいんですか?」
 釣り堀にてタルと聡は釣りをしていた。ぽかぽかと日差しが良くて、眠気すら誘ってくる。
「うん、まぁあんま意味ないんだけどね。」
 タルは呑気にそう答えた。
「じゃあ何で釣りなんてしてるんですか?」
「オイラの趣味。」
 聡の質問に対してあっさりとそう答えるタル。聡はその答えに思わず硬直してしまう。
「あの、何か作戦があるとかそういうのは・・・。」
「全くなし。」
 また硬直する聡。
「君を変身させた女の子は行方不明なんだろう? だったらオイラ達にできるのは彼女が仕掛けてくるのを待つだけだよ。」
 タルはお茶の入ったペットボトルのキャップを外しながら言った。
「? どういう意味なんですか?」
「さっきここに来る前に、オイラが君になんかしただろう?」
 誤解を招くような発言だが、単にタルは聡に魔法をかけただけだ。聡から見れば棍棒突きつけてきてムニョムニョなんか唱えるという怪しい行為をしただけなのだが。
「さっきのは魔法探知の魔法でね、君にかけられた魔法がなにか探ったってわけ。」
「はぁ。」
 タルの言葉に対して聡は呆けたように反応した。タルは竿を手元に戻すと餌ずけして再び釣り堀の中に投げ入れた。
「そうしたら君にかけられていたのは単なる変身の魔法だけ。周りにいる人を不幸にするとか、魔力を付与するとかそういった物はかけられてないんだ。」
「・・・? それがどういう意味をしているというのですか?」
「すなわちね、」
 そこでタルはペットボトルに口をつけて
「おーほっほっほっほっほっほ! お久しぶりですわねお師匠様!」
 
 ぶびぃ
 
 吹き出した。
 奇声があがった方を見てみるとそこには1人の女性が立っていた。
 切れ長の瞳をしており、髪は腰まで美しく流れている。タルの頭くらいあるんじゃないかと思えるやたらとでっかい胸に、ちょっと力を入れれば折れるんじゃないかと思えるような腰、抜けるような白い肌をした美女がカーキー色のジャージを着ている。
「ミランダ!? なんでこんな所にいるんだよ?」
「ふっ、愚問ねお師匠様。お腹が減ったけど路銀がなくてこの釣り堀に潜入して魚を捕まえて食べていたら捕まって、警察に連行されるかわりにここで無銭労働させられているに決まっているじゃないの。」
「どーやったらそんなもん、想像できるっちゅーんじゃい!」
「ふっ、まだまだ理解力と想像力が足らないんじゃないのお師匠様、おーほっほっほっほっほ!」
 声だかに笑いつづけるミランダにタルは大きく溜息をついた。
「何なんですか? この人?」
「変な人だ。」
 そのまんまだ。
「いや、それは見ればわかりますが、」
 聡も結構エグイ事を言う。
「あなたの事、『お師匠様』って呼んでたような気が。」
「ああ、昔オイラがあいつに魔導の構成基礎を教えてやっただけだよ。」
 罪作りな事をしたもんだ。
「ふっ、ところでどうやらお仕事のようですはね、お師匠様。」
 高笑いを止めてミランダはそうタルに問いかけてきた。
「ああ、そうだよ。」
 投げやりな調子で答えるタル。
「だとすれば私がここにいる事はこれこそ運命。と、言う訳で私にも手伝わせておこぼれをいただくというのが自然の摂理といえ・・・」
「やかましい、睡魔(スリープ)。」
 コテンッ。グオースピョピョピョピョピョピョ・・・・
 あっさりと眠りこけるミランダ。
「それでさっきどこまで喋ったっけ? そうそう、変身の魔法しかかけられてなかったよ、ってとこまでだったね。」
「はい。」
「それは君自身は女の子になった以外、なにも周りに対する影響力はないって事。そうなると魔法をかけた女の子が君を『成敗』する為には君の周りで事件が起こるのを待つか・・・、」
「待つか、何ですか?」
 そこでタルはお茶を飲んだ。その顔には渋い表情が浮んでいる。
「彼女が事件を君の周りで起こして君のせいにするかだ。」
 聡の顔に驚きの表情が浮んだ。
「それって・・・・。」
「恐らく君が見た魔女っ子も事件を自分で起こして、自分が作った悪の魔法少女に罪をなすりつけたんだろうね。」
 タルは竿を引いた。それには一匹魚が狩かっていた。魚を篭にいれると再度竿を投げ入れる。
「そして正義の名の元にその子を殺した・・・・。おぞましい事だね。」
 聡はそれを聞いて顔が真っ青になる。身体が小刻みに震えている。
「・・・・そんな、何でそんな事する必要があるんですか?」
「そんな事オイラにはわからないよ。何故彼女が魔法を使えるようになったのかもわからないしね。」
 タルはペットボトルを聡に渡した。聡はお茶を飲むと、幾らか気を落ち着けたようだ。
「選ばれた・・・・、聖真様か。そこら辺になにかあるのかも知れないね。」
 タルはペットボトルを受け取った。その途端に顔が鋭い物に変わる。懐から一本の30cm程の棒を取り出す。片方の端が中世のメイスのように加工されており、片手用の棍棒といった感じがする。
「どうやら、仕掛けてきたみたいだね。」
「え?」
 タルは竿から手を離すとブツブツ呪文を唱え始めた。
 
 光よ、大気よ我が意志に通じて敵意を防ぐ壁となりたまえ!
 
 次の瞬間、
 凄まじい衝撃音が釣り堀の真ん中で生じた。
空光障壁(エアライト・シールド)!
 タルと聡、そして彼等の周りにいた釣り堀の客の周りを緑色の光の壁が囲む。ちなみに何故かミランダは外れている。
「うわあああああ!」
 釣り堀の水が客に襲いかかる。殆どの客が水をかぶった箇所がまるで剃刀で切られたかのように皮膚がはぜる。だがタルの周りの客は張られた光の壁によって水が遮られた。
「よくも罪の無い人々を傷つけたわねっ、悪の魔法使いサミー!」
 大きな声が辺りに響きわたった。声がした方を見てみると黄色を主としたフリルだらけというやたらと少女趣味な格好をしたつり目の少女が管理人小屋の上に立っていた。
「理恵ちゃん・・・・!」
「このリリカル・リリーが正義の名の元にアナタを成敗してあげるわ!」
 大見得を切って持っているヘンテコな形をしたステッキを聡に突きつける。だが、聡の前にタルが立ちふさがる。
「ふざけた事を言ってくれるね。お前がここの人達を傷つけたんだろう? それでいてよくそんなたわけた事を堂々と言えるもんだ。」
 タルは理恵を睨んだ。その目はさっきまで釣りをしていた時とは違って猛禽類のごとき鋭さを持っている。
「な、何を言っているの。正義の魔法少女たる私がそんな事する筈ないでしょ。」
 だがその顔は言葉とは裏腹に動揺が見て取れた。
「とうやらサミーの手下のようねっ。こうなったらあなたも一緒に葬ってあげるわ!」
「証拠隠滅、じゃないのかよ。」
「うるさい! リリー・ストレッシャー!」
 理恵のステッキから黄色い光が放たれ、タルに向かっていく。が、タルが棍棒を振ると光はあっさりと消えてしまう。
「えっ?」
 あまりの事態に呆然とする理恵。対してタルは侮蔑したような表情を浮かべる。
「ふん、低級な魔法を使うもんだね。そんなもの呪文を唱えなくてもレジストできるよ。」
 タルは素早く呪文を唱え始めた。そして
精劣炎(メンタル・ディバインド・フレイム)!
 その言葉と共に理恵を白い炎が包み込んだ。
「きゃああああ!」
 理恵は悲鳴と共にばったりと倒れた。
「理恵ちゃん! タルさん、何て事するんですか!?」
「大丈夫、あれは精神を痛めつける魔法であって、肉体には全然ダメージを与えないんだ。何せ対幽霊用の魔法だからね。」
「ふっそのとおりよ、安心しなさい、お嬢ちゃん。」
 いつの間にか復活してタルの横に立っっているミランダ。
「あれ? この人、確か水かぶってたような気が?」
「かぶってたよ。」
「何で他の人のように身体が切れていないんですか。それ以前に濡れていないんですが?」
「水が触わるの嫌がったんだろ。」
 無茶な事をいうタル。
「なるほど。」
 それを納得する聡。いいのか、それで。
「そんな事、どうでもいいからあの子を小屋から降ろしておいて。オイラは怪我人の手当てをするから。」
「ふっ、そんな事を言って私が言う事を聞くとでも・・・・」
「5円チョコ1個。」
「わかったわ。ぜひお手伝いさせて頂くわ!」
 あっさりと買収されてミランダは倒れた理恵を小屋から嬉々として降ろしに向かう。聡もそれに従う。
 ミランダと聡は協力して理恵を小屋から降ろそうとした。すると、理恵の持っているステッキがぴくりっと動き、手から離れていく。
「何かしら? これ?」
 ミランダは逃げようとするステッキを掴んだ。尚もステッキは逃げようとするが、がっしりと掴んで離そうとしない。
「お師匠様。何か変な物捕まえたわよ。」
 タルはミランダに近づくと、ステッキを受け取った。グネグネと動くステッキを睨みつける。
「どうやらゴーレムの一種のようだね。お手柄だよミランダ。後でマクドナルドのバリューセットおごってやるよ。」
 ミランダは喜びの舞いを踊る。その横でタルと理恵を降ろし終えた聡がステッキを観察する。
「何なんでしょうか? これ?」
 不気味な物を見るような目で踊るミランダを見ながら聡はタルに尋ねた。
「恐らく魔法を使う為の道具だよ。推測だけど魔法を使ってたのは彼女じゃなくてこのステッキだと思うよ。解析してみないと詳しくはわからないけどね。」
 タルは懐から茶色の小さな布製と思わしき袋を取り出した。袋よりも明らかにステッキの方が大きいにも関わらず、ステッキは袋の中にすっぽりと収まってしまう。
「どんな機能がついてるか調べたいし、それに魔力パターンを調べれば他の魔女っ子の場所も掴めるかもしれないしね。ミランダ!」
「何かしらお師匠様?」
「取り分の4分の1をやるから手伝ってくれ。」
 ミランダは胸を大きく踏ん反りかえすと、
「わかったわ、お師匠様。ではこれから私の事を『ポチ』と呼んで良くってよ。おーっほっほっほっほっほ!」
「いや、もうちょっと人間としてのプライド持てよ、お前は。」
 
場面その5

 
「解析が終わったよ。」
 タルとミランダは、聡の家の一室を借りてステッキの解析を行っていたが、2時間程で出てきた。どうやら解析が完了したらしい。
「どうでしたか?」
 聡は興味深そうに尋ねた。ちなみに理恵は聡の部屋のベットで寝ている。彼女はタルの魔法によって少なくともあと1日は昏睡状態になっている筈だ。下手な行動はしないだろうと判断して連れてきたのだ。
「このステッキには使用者の意志を汲み取って簡単な魔法を使う機能が付いていたよ。それと・・・。」
 そこでタルは顔をしかめた。なんだか言いたくないことでもあるみたいだ。
「それと?」
「ふっ、このステッキを使用して殺した人間の魂を中に取り込む機能がついていたのよ。」
 ミランダが無意味に胸を踏ん反り返しながら言葉を引き継ぐ。ちなみに格好が黒いビキニに虎の頭蓋骨の肩当て、山羊の頭蓋骨でできた帽子という悪の魔導師ルックになっている。
「魂を取り込む?」
「そう、その魂を使って魔法の威力を高めるとかそういった機能はなかった。ただ魂を取り込むだけ。」
 タルは複雑な顔をした。
「これまた推測でしかないけど、このステッキをばらまいた人物は魂を集める事を目的としているんだと思うんだ。」
「魂を集める? 何の為にですか?」
「まぁ人間の魂ってのは色々と使えるわね。例えば魔法の儀式の触媒とか。」
「うん。特に青少年くらいの年の魂は儀式の触媒としては最適だからね。」
 タルは握っているステッキを見た。そのステッキはいまだにグネグネ動いて逃げ出そうとしている。
「理恵って子は魂集めの手駒に使われたんだよ。」
「何で理恵ちゃんが?」
 聡の問いに対して、ミランダはあざけるように言った。
「ふん、誰だってよかったんじゃないの? この頃のお年の子供なんて、『あなたは特別です』とか言われたらホイホイ信じちゃうもんでしょ。」
「かもしれないね。事実、彼女は自分の事を特別な存在だった事を喜んでいた様な事、言ってたんでしょ?」
 続けられたタルの言葉に聡は黙ってしまう。事実、彼女はそう言ってたからだ。
「特別な存在には『選ばれる』んじゃない、『なる』ものなのに、ね。でも、特別な存在になっても幸せとは限らないのに・・・。」
 タルは寂しそうに笑った。その脳裏には彼の兄が写っていた。
「そう、あの人は特別な存在になった。でもその為に兄ちゃんは・・・・。」
 ポツリと呟いた後タルは顔を左右に振った。
「魔力パターンの解析をもう少し続けよう。そうすればこれを渡した人物を探し出せるかもしれない。」
「そうね、早く調べて首謀者を突き止めないと、被害者が増える可能性が高いわ。」
「取りあえず、聡君の危険は避けられた筈だよ。理恵って子からこのステッキを取り上げたんだからね。」
 聡はそれを聞いて胸に手を当ててほっと息をついた。が、その顔が何故か強張る。
「あのう、僕、まだ女の子のままなんですけれど?」
「君にかけられた変身の魔法は2、3日で勝手に解けるよ。はっきしいって低級な魔法だからね。下手に強制解除するよりそっちの方が安全だろうから、2、3日我慢してよ。」
「そうですか・・・・わかりました。」
 聡はちょっと納得いかないような顔をしてはいるが、そう答えた。
「それじゃあどっかホテルの一室とって解析を続けよう。報酬外の仕事だけどこんな危ない事件、ほっとけないしね。」
 タルとミランダが出て行こうとすると、聡の母親が跳び込んできた。
「大変よ、理恵ちゃんがどっか行っちゃったわ!」
「ええっ!?」
 タルは玄関に向かった。そしてさっき脱がした筈の靴が無くなっているのを確認する。
「このステッキがオイラの魔法の威力を削いでいたのか・・・。迂闊だった。」
「タルさん、理恵ちゃんはどこに?」
 聡がタルに追いついてそう尋ねる。その顔には不安が見て取れた。
「靴がない、て事からして多分連れ去られたんじゃない、自分の意志で出ていったんだ。」
 タルは歯噛みした。その顔は悔しそうに歪んでいる。
「恐らく、ステッキが奪われたので聖真って奴のところに向かったのだろう。新たにステッキを貰う為に。」
「じゃあ、まだ・・・・。」
「そうだ。君はまだ危険な状況にあるという事だ。・・・・どうする、彼女がどこにいったかわからないし・・・。」
「おーっほっほっほっほ、まだまだ未熟ね、お師匠様。」
 ミランダが来ると高笑いをあげた。そして懐から一本の黒い糸を取り出す。
「それはまさか?」
「そう、こんな事もあろうかと、あの子の髪の毛を一本抜いといたのよ。これを使えばあの子が今いる場所なんて、簡単に見つけられるわっ。」
「どんな事考えてたんだお前は。だが上出来だ、ミランダ。取り分を7分の3まで増やしてやる。」
「おーっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほ!」
 舞い上がって高笑いが止まらなくなっている。ミランダから髪の毛をひったくるとタルは呪文を唱え始めた。
 
 かたしろとよりしろ、かつて一つであったもの達を我が意志を持ってひとつに束ねん −−− 融合(フューズ)。
 
 すると髪の毛は空中に浮かび上がるとゆっくりと飛び始めた。
「この髪が行く先にあの子がいる。行くよっミランダ、 恐らく元凶の『聖真』もいる筈、 一気に「狩る」よ!」
「・・・・っほっほっほっほっほっほ、わかったわ!」
 そして2人の「狩人」が外にとびだしていった。
 
場面その6

 
「どうしたのです、リリー。まだあなたは悪の存在を倒していないではないですか。」
 市街から外れた廃工場にて、理恵は「聖真」の前に立っていた。
 美しい女性だ。髪の色は純白で、目はつつましげであり、その顔には慈愛に満ちた笑みが浮んでいる。その女性は俗に言う後光を放ちながら空に浮んでいる。
「・・・ふざけないで。あなたが本当にやろうとしている事はもうわかっているのよ。」
 理恵はそのきつい目を更につりあげて「聖真」を睨んだ。
「はて?なんの事でしょうか?」
「私を倒した子が言っていたわ。あたし達にあの魔法のステッキを渡したのは私達の年代の魂を集めるのが目的だったんでしょう?」
 そこで彼女は下を向いた。まるで自分のした事を後悔するかのように。
「もしあの子があたしを止めてくれなかったらあたしは幼なじみを殺していた・・・!」
 そして再び、「聖真」を睨む。
「考えてみればおかしいもの。何で自分で悪の存在を作らなくちゃならないの? 何で彼等が何もしなければわざわざ自分で事故を起こしてまで成敗しなければならないの? 何でそんな酷い事、あなたはわざわざ推奨していたのか? こんな当たり前の事、浮かれてて気付かなかったなんてあたしはどうかしてたわ・・・!」
 「聖真」はそこで深々と溜息をついた。そして哀れみに満ちた目で理恵を見つめた。
「どうやら、あなたの心は悪に汚されてしまったようですね。」
「ふざけないで、「悪」はあなたでしょう!?」
 だが、その言葉にとりあわず、
「皆の者、ここに哀れなる悪に堕ちた者がおります。我らの手で粛正してさし上げましょう。」
 その途端に「聖真」まわりに幾人かの少女が現れる。その少女達は全員、手に妙な形をしたステッキを持っている。
 少女達がステッキを理恵にむける。理恵は咄嗟に横に跳んだ。一瞬後、理恵がいた辺りをステッキから放たれた色とりどりの光が通過した。
「愚かね、リリー。「聖真」様に逆らうだなんて。」
 1人の少女が理恵に声をかけた。その少女は青を主体とした服を着ている。
「西村! あんた自分の彼氏を変身させて殺したそうじゃないの! そんな事して心が痛まないの?」
「何を言っているのリリー。私達は「聖真」様によって選ばれた存在なのよ。取るに足らない存在を消したところで、たいした事ないじゃないの。」
 西村と呼ばれた少女はケラケラと笑う。その姿に理恵は寒気を覚えた。
「西村・・・・!」
「終わりよ、リリー。粛正されなさい!」
 少女達は再びステッキを理恵にむける。彼女が覚悟を決めた、その時!
 光の矢が西村と呼ばれた少女のステッキに当る。そしてステッキを粉々に打ち砕く。
「な・・・・?」
 「聖真」、少女達、そして理恵は光の矢が飛んできた方向を見る。そこは工場の入り口で、そこには2人の人影が見えた。
 1人は子供に見えた。身長80cmにみたないようだ。赤いチェニックを羽織り、頭には中世の魔法使いのような三角のところが濃い黄色、つばのところがこげ茶色をしている三角帽子をかぶっている。
 もう1人は身長170を超えた長身の女性に見えた。やたらとメリハリが付いたその身体に黒いビキニのような物を着込んでおり、肩には虎と思わしき動物の頭蓋骨が、頭には山羊の頭蓋骨で作ったと思わしき帽子がかぶられている。
「ご都合主義って信じるかい? ミランダ。」
「ふっ、そうね。こんな状況をいうんじゃないのかしら、お師匠様。」
 女−−ミランダは髪をかきあげながら答える。
 子供−−タルは手にもった棍棒を「聖真」に突きつけた。
「貴様がこの事件の首謀者、「聖真」だな。」
「まさか、貴様ら「狩人」か?」
 「聖真」の顔がこわばる。2人の「狩人」が不敵に笑った。
 そして戦いが、始まった。
 
「ミランダ! お前は少女達の相手と理恵ちゃんの保護を頼む! オイラは「聖真」を「狩る」!」
「ふっ、まかせて! お師匠様こそミスらないでよ!」
 2人の「狩人」は同時にとび出した。
 ミランダの手から青白い氷の針が幾本も飛び出す。それらは少女達に襲いかかり、少女達が持つステッキを粉々に打ち砕いていく。
「お嬢ちゃん、私の後ろに隠れてなさい!」
 ミランダは理恵の前に立ちながらそう言う。
「あ、はい!」
 そこに幾本ものステッキから放たれた光線が襲いかかり、ミランダにぶち当たる。
「おば・・・お姉さん!」
 だが、
「おーっほっほっほっほっほっほ! そんな下等な魔法が私に通じると思って?」
 そこには人間を分解する筈の光線をくらって平気な顔しているどころか高笑いする変な生命体が残っていた。
「まさか! 何故まともにくらったのに大丈夫なのだあいつは!?」
 驚きの声をあげる「聖真」。対してタルはこう呟いた。
「だってミランダだもん。」
 それでいいのか、おい。
 
「おのれ「狩人」共、こうなったら全員皆殺しにしてくれる!」
 「聖真」の顔に怒りの表情が浮ぶ。全身が赤く染まり、髪の毛が黒くなる。
 「聖真」の両手から野球ボール程の大きさの黒い球体が現れる。
 球体がまるで意志を持っているかのように「聖真」の手から離れてタルにぶつかっていく。タルは軽快なステップで球体を避けた。球体の一つがタルを背後から襲おうとしていた少女に当る。
「ギャアアア!」
 悲鳴をあげながら少女の身体が粉々に砕けた。大量の肉片と血が辺りに飛び散る。
「うわっ。」
「ふっ、ななななななななななかなかやるわわわわわわわね。」
 思いっきり声を震わせながら強がるミランダ。どう見ても腰が引けている。
「ここは一気に大技で倒す・・・うわわわわ。」
 「聖真」から放たれる黒球は尽きる事なくタルに襲いかかる。何発かは少女達に当り、悲鳴と肉塊と血を撒き散らす。
「なら・・・・操球炎(コントロール・ブレイズ)!
 呪文を唱えたタルのひとさし指の先に、彼の親指程の大きさの小さな火の玉が生まれた。
 それは指から離れるとタルの意志をくみ取り、黒球を避けて「聖真」の背後に飛んでいく。
破裂(バースト)!
 その言葉と共に指を鳴らす。すると火の玉は大きく弾けて「聖真」の髪の毛と服に飛び火した。
「何っ! おっおのれ!」
 慌てて火を消そうとする「聖真」。その隙をついてタルは素早く呪文を唱える。
 
  裁きと鉄槌を司りし雷よ、四方の柱より招かれて我が敵を打ち倒せ! 號雷柱陣(ライトニング・エグゼキュート)!!
 
 「聖真」を中心に4つの黄色の柱が起立した。そして中央の「聖真」めがけて柱から4本の雷が襲いかかる。
「うがぁぁぁぁぁぁぁ!」
 全身を雷にうたれて「聖真」は絶叫した。そこにタルの魔法がもう一度襲いかかる。
 
  稲妻よ来れ、裁きの矢となりて! 豪雷(グランド・ライトニング)!!
 
 廃工場の天井を突き破り、巨大な雷が「聖真」に直撃する!
「うぎゃあああああああああああ!!」
 2発もの凶悪な威力を誇る雷を食らい「聖真」は全身から火を吹き上げ、一部を炭化させながらドウッと倒れた。
「ば・・か、な。わたし・・が・・・。ヴァン・ド・・ル様申・し訳ござ・・い・ません・・・。」
 そして全身から火を吹きながら「聖真」は絶命した。
 
場面その7

 
「魔王召喚計画?」
 「聖真」が廃工場に残した資料の中にあったノートPCを調べていたタルはあるフォルダを見つけた。それには『SODLP』(Sammon Of Demon Load Plan)と書かれていた。
 タルとミランダはフォルダを開き、その中身を調べてみた。読み進めていくうちに2人の顔はみるみる青ざめていった。
 その計画では少年、少女達の魂を666666揃える事から始まると書いてあった。しかもただの魂ではない、殺されて絶望に満ちた魂が必要だと書いてある。
 その為に「聖真」と仲間達は戦争を誘発させ、または無垢な少年少女を手先にして魂を集めているらしい。
 この日本だけでなく外国でも幾人もの「聖真」達が同じような手段で子供達を騙くらかしているそうだ。
 そして魂の残りカウンタは637562となっていった。更新日は昨日になっていた。
 計画の実行日も書かれていた。今から丁度11ヶ月後と書いてある。
 恐らくこのペースなら魂も規定数分は確実に集まるだろう。
「お師匠様、魔王がこの世界に現われたら・・・・。」
「魔王クラスになるとこの世界の物理法則なんて通用しないだろう。完全な形で召喚されたら多分この世界の生物全てが滅ぼされちゃうだろうね。」
 ミランダは顔を蒼白にさせた。
「なんだってそんな馬鹿らしい事こいつら計画しているの? 自分達も死ぬのよ?」
「自分達が殺されるのを避けられる方法があるのか。それとも「聖真」達も首謀者に騙されているのか、だね。」
 タルは顔をまるで愚かしい物を見るかのように左右に振った。
「ミランダ、今回のケースのような仕事がまだいくつかある筈だ。それを中心に受けるようにしてくれないか? できる限りこの計画を遅延させる為にも。」
「わかったわ。」
 今まで見た事もないような真面目な顔でミランダは肯いた。
「あとこの計画を企んでいる奴等の情報も探ってくれ。オイラも探してみるよ。」
「でも、手がかりがないわよ?」
「聞いてなかったのか? 「聖真」が死に際に言った『ヴァンドル様』って言葉を。それが唯一の手がかりになるだろう。」
 タルは立ち上がると真剣な顔でミランダを見つめた。
「オイラは一回『向こう』に帰って、兄ちゃん連れてくるよ。兄ちゃんならこの事態を何とかできるかもしれない。」
「そう、気をつけてね。私も情報を集めておくわ。」
「・・・この世界は滅ぼさせないよ。オイラはここにいる人達が好きなんだ。絶対、阻止してみせる!」
 タルはそう呟くと、握りこぶしを固めるのだった。



 <あとがき>という名の戯れ言
 
 ガガガ、ガガガ、ガ○ガイガーッ と職場ででっかい声で口づさんだ勇者DEKOIです。こんにちは。うわあ、死にたい。ちなみにゼンガー様のテーマ曲は満員電車のなかで歌ってました。
 
 これから幾多の「狩人」達が「組織」に立ち向かっていこうとします。今回はタルとミランダの参戦について書かさせて頂きました。
 
 何とか書き上げました、いや辛かったっす。途中で飽きそうになって。(ォィ)
 
 読んで下さった方、ありがとうございました。ではまた新たな物語を提供できるよう、頑張らせて頂きます。
 
 by "ハマー○様、仲間になって下さって、バンザーイ" DEKOI
 


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