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作者壊れたか言うな。
何が言いたいのかは前作と今作を読み比べて下さい。
芸風かわりすぎたかな?


狩人 - 改造美少女出撃承認でちゅ! -
作:DEKOI



 この世には人知のしれないものが『ある』。
 霊といわれるものが。化物といわれるものが。魑魅魍魎といわれるものが。悪魔といわれるものが。神と呼ばれるものが。
 また魔法といわれるものが、魔法としか思えないほど進んだ科学が。
 
 それは確かに『ある』のだ。
 「それら」は人間の前に殆ど現れない。だが人間に「彼ら」が牙むいた時、人間に太刀打ちできる術はない。
 だが、「それら」を「狩る」事を目的とした「者」もまた、確かに『いる』のだ。

 その事知る者は、彼等を尊敬と畏怖をこめて「狩人」と呼ぶ。
 呼ぶんだけど中にはこんなのも・・・。


 俺の名前は井上良樹(いのうえよしき)。今年の4月に高校に入学したばかりのようするにピッカピカの高校1年生だ。
 3人兄弟の次男なわけだが、そんな俺には人には言えない秘密がある。俺は「狩人」なのだ。
「佳枝ちゃーん。」
 狩人とは平たく言えば怪奇事件専門の仕事人だ。魑魅魍魎と言われるのと命がけの戦いをする、言わばハードボイルドな世界といってもいいだろう。
「佳枝ちゃんてばー。」
 そんな命懸けの世界に何で俺が入ってるかって? ふふ、それはスリルとロマンが俺を待ってい・・・
「佳枝ちゃんってば、聞いてるの?」
「もう聞いてるよ、大丈夫だってば。」
「ああ、よかった。でさ、放課後の買い物だけど・・・」
 俺は窓を見ながら溜息をついた。
 窓にはうっすらと俺の姿が写っていた。卵型の顔にボーイッシュな髪型が乗っている。ぱっちりとした瞳に切れ長な鼻筋、ちっちゃな唇が顔に張り付いている。そして下には紺色を主体としたブレザーを着ている。身体はめりはりが・・・うるさいな!どーせ胸がないよ!まあそれはそれとして、贔屓目で見ても結構な美少女だろう。
 井上佳枝(いのうえよしえ)、それが今の姿の俺の名前だ。そう、今の俺は女。いや確かに数年前まで確かに男だったんだが今は女だ。それも驚くなかれ改造美少女戦士ヨーミンこそ俺なのだ!
 ・・・・・ああああああああああああああ自分で言ってて何だけどクソ恥かしいぃぃぃぃぃぃ。何なんだよカイゾービショージョセンシって。100年前の人だってこんなこと言わないぞチクショウ。
 え、何で「狩人」やってんだって?えっとね、元の姿に戻るのにすっごいお金かかるの。その為には働かなくちゃならないの。わかった?そうスリルもロマンもしるこもロールケーキも関係ないの。わかった?わかったね?わかったらそっとしてぇぇぇぇぇ。
 
「ただいまー。」
 俺は家の玄関のドアを開けてそう言った。今日の買い物は友達の幸枝ちゃんの洋服選びの付き合いだった。まあ俺としてもなかなか収穫があった。この水色のワンピース♪肌触りもいいし幸枝ちゃんも似合うって言ってくれたんだ♪早く着てみたいな〜♪♪

 はっ

 違う、違うぞ俺は男だ、男なんだうんそーだそーに決まっている、ただちょっとオンナノコノオカイモノにしょうがなく付き合っただけでそりゃこのワンピースを手に取った時はこれを着てあの人の横に立てたらいいなとかうわぁぁぁちがうぅぅぅぅぅ。
 ぜーぜーぜーぜー。俺は肩で息をつきながら家に入った。
「おかえりなさいでちゅ。」
 そう言ったのは4歳児と思わしき女の子。おかっぱ頭で目が大きくてクリクリしていて結構可愛い俺の親父だ。
 そう、「コレ」は俺の親父、俊三だ。俺の身体を改造して美少女戦士にした悪の元凶だ。
 ちなみに何で女の子の姿をしているかっていうと、「オッサン」呼ばわりされるのが嫌だったからだそうだ。だからといって自分の体を4歳の女の子に変えるかぁ?
「おかえり佳枝君、はっはっはっは。」
 うぁアンタも帰ってたんかい。俺の目に筋肉達磨が飛び込んできた。まだ肌寒い季節だってんのに小麦色の肌、真っ白い歯、短く刈り上げられた髪の毛、更には何故かビガーパンツ一丁というおぞましい物体だ。乙女の前でなんちゅー格好してるんだ。
 わざわざ俺の名前を「君」づけで呼んだこの妖怪は、俺の実の兄貴の喜一だ。一言喋るたんびにイチイチボディービル特有のポーズをとる真性の変態だ。
 何でこんな奴が物理学の天才といわれる程の頭脳を、ってだからポーズ取るな足の指だけでこっちににじりよるな、何でこんな季節なのにそんな大量の汗かいてんだぎゃーいやーやめてー。
「お姉ちゃんおかえりなさ〜い。」
 はっはっはっは。俺は君のお兄さんだよ? 今度「お姉ちゃん」って言ったらこめかみに全体重のせたエルボーぶちかましちゃうぞ♪
 この子は栄治。くりっとした目が特徴的な、マジで目に入れてもかまわないほど可愛い現在小4の俺の弟だ。
 俺の家族は性格的にはともかくとして頭脳は優秀な奴が多い。栄治も化学分野の方に関しては優秀な頭脳を持っている。つうかちょっと化学オタク気味。
 親父は幼女、兄貴は筋肉妖怪、弟は化学オタク、で俺は改造美少女戦士・・・・。ちなみに母さんは栄治を生んですぐに亡くなっている。
 ・・・・・・・・・・・・。
 えーっと。
 ここまで家族運が無い俺って一体? カミサマ、僕、前世で何か悪い事しましたか?
 とりあえず一番星に手を合わせて呪いの念を送ってみたりする。
「お姉・・いやお兄ちゃん、ご飯つくろうよー。」
 一回おもいっきり睨んで訂正させてから、俺は栄治に微笑んだ。
「わかった。今すぐいくから待っててくれ。」
 俺は制服を脱ぐ為に自分の部屋に戻っていった。
 
「ゼンガー様はサイコーでちゅ。あのドリルと大剣の素晴らしさがわからないのでちゅか?」
「何をいわれますか父上。ガオガイガーの素晴らしさがわかりませんか。あの日曜大工道具を武器にまで昇華するさま、ほとんど芸術といってもよろしいでしょう。」
「お父さんも喜一兄ちゃんも議論は後にして早く食べたら?冷めちゃうよ。」
「うむ、そうでちゅね。ところで佳枝ちゃん、お料理上手くなったでちゅね。これでいつでもお嫁さんにいけまちゅね。」
 
 ブボォ!
 
 俺は飲んでた味噌汁をおもわず鼻から吹き出しておもいっきりムセてしまった。
「ば、馬鹿野郎。おおおお俺は男だぞ、おおおおおおお嫁さんなんて行く筈ねーだろう。」
 冷静なつもりが思いっきりろれつがまわっていなかった。
「はっはっは、照れる事はないぞ佳枝君。この兄である私から見ても君は可愛いと思うぞ食べたいくらいに。」
 あんたが言うと全然洒落に聞こえないんですが・・・「食べたい」ってフレーズ。マジで食われそうなんですが。
「そうだよお姉ちゃん、僕が見ても奇麗だと思うよ。それにお姉ちゃん、たしかファンクラブあるんでしょ?」
「なななななななななな何でそんな事お前が知ってんだよ?」
 そう俺が中学生の時、何故か俺のファンクラブがあった。名づけて「佳枝お姉様を男の魔手から守る会」。俺の男っぽい(いや男なんだが)行動と言動と、そこそこの美少女ぶりがみょーに下級生にヒットしたらしい。よく「一緒にご飯食べましょうお姉様」って言われたもんだ。
 でも何で小学生の栄治が知ってるんだそんな事?
「せっかく私が手間暇かけて改造した体でちゅ。存分に女として生きていくといいでちゅよ。」
「だーかーらー、俺は男だっていってんだぁぁぁぁぁ!!」
 俺は思わずテーブルをひっくり返さんばかりに怒鳴った。
「でも確か惚れた男がいるんじゃなかったでしゅか? 確か坂が・・・・・。」
「うわあああああぁぁぁぁぁぁ、そんななななな事ない!ないったらないんだぁあああああ!」
 気がつくと俺はさらに声を大きくしながら叫んでいた。
 
「佳枝ちゃん、「お仕事」を探すでしゅよ。」
 洗い物を終えてのんびりくつろいでいた俺に親父がノートPCを抱えてきた。
「美少女ちぇんちは正義の為に戦う義務があるんでちゅよ。」
 正義の為とかはどーでもいいとして、俺の身体を元に戻す為には多額のお金が必要だ。仕事をしてお金を稼がなくてはならない。
 PCをモデムに接続してInternet Explorerを立ちあげる。ブックマークに登録したHPにアクセスする。そうすると異様にシンプルなHPが表示された。
 そこのHPからパスワードを何回も入力して到着したHP、こここそ「狩人」達が仕事を求めてアクセスするHPなのだ。
 え、何でこんな変なのがあるんだって? 俺だって最初はそう思ったさ。でも「狩人」の仕事って実はあんまりない。それに依頼人はどこに「狩人」に依頼すればいいかわからないだろう? まぁそんな訳でこんなHPが秘密裏に経営されてるって訳だ。
 親父と一緒に仕事一覧を見てみる。・・・・・・・これはってのはやっぱ無いな。この商売、実力不応答の仕事を受けるのはマジで死に直結する。
 「ティンクル・ピクシー」という渾名を持つ妖精2人組や、生身で音速突破なんて荒技もつお方といった超強力な力を持ったクラスなら何でもこい状態なんだろうが、俺程度の力の持ち主では慎重に仕事を選ばないとヤバイ。
「これなんてどうでしゅか? お金は安いちぇど実力的には丁度いいと思いまちゅよ。」
 親父は1つの仕事を指した。どれどれ・・・・。
 どうやら別の「狩人」のお手伝いのようだ。依頼者の病気を治す為に必要な薬草を取ってきて欲しいとのことだ。期限は今日含めて4日以内。報酬はその「狩人」と割半か。
 で場所は、青木ケ原の樹海か。確かに樹海は危険なとこだがインドの迷いの森にくらべりゃ楽勝だ。
「そうだな、これにしよう。じゃあ明日の朝一に出発するか。」
「ではあたちが作ったちんへーきがあるのでそれを用意するでちゅ。」
 ・・・・いや、「新兵器」と言ったんだろうけど「珍兵器」に聞こえたのは気のせいですか?
 親父がピョコピョコ実験室に向かって行くのを見て俺はふとそう思ってしまった。
 
 ・・・・・・・・・・・・・・マジで「珍兵器」でやんの。
 俺は朝一番に親父が用意した物体を実験室で着込んでそう思った。
 派手なピンクと白を主張としたなんだかやたらと鋭角な装飾がごてごてついたパワードースーツ、はまあ50万歩ぐらい譲るとして、
 何なんだよこの背中についたでっけえドリルは。しかも2つもついてやがる。根元の所がグローブみたいになっていて手がつっこめるようだが・・・・?
「ふっ、貴方はグル○ガスト参式をちらないんでしゅか。」
 親父はそう胸をふん反りかえらして言う。えーっと確か親父が大好きなスパロボにでてくるドリルとでっけえ剣を装備したスーパーロボット、ってちょっと待っってぇぇ?
「これはあたちが敬愛するゼンガー様の搭乗機グル○ガスト参式をもちたパワードスーツでちゅ。もちろん武装もちゃんと再現してあるでちゅよ。まぁまだ斬○刀は再現してないでちゅが。」
 うぁマジか。つうかドリルは「漢の武器」じゃなかったんかい。俺は確か美少女戦士って設定だった気がしたんですが?
「ついでだから色は女の子らちくピンクと白を用いてありまちゅ。」
 いりません、そんなサービス。
「あーまーいーや、じゃあ車だしてもらおうかなー。」
 俺は抑揚の無い言葉でそう呟いた。
「あ、喜一ちゃんは今論文書いてて忙しいそうでちゅから電車で行ってちょうだいでちゅ。」
 
 ヒュウウゥ・・・
 
 春の陽気でしかも室内にも関わらず、確かに木枯らしが吹いた。
「えっ、いや、あの車でないの?」
「はい、車の運転できりゅのは喜一ちゃんだけでちゅ。でも今はとっても忙しいので駄目でちゅね。」
 一瞬兄貴の部屋に押し入ろうかと思ったが、ワープロめがけて笑顔でボージングしまくって汗と肉汁で湿度500%ぐらいになっているあの部屋に入るのはためらわれた。つーか絶対入りたくない。
「じゃあこのパワードスーツを脱いで・・・・・・」
 と言って脱ごうとして、
 脱げない。あれ?
「ああ、一回着ると安全性の為に48時間はロックがかかって脱げないようになってるんでちゅ。」
 んないらん機能つけんなよ。ってちょっと待て。つーことは・・・・・・
「俺はこの格好で外歩いたり、電車乗ったり、バスに乗ったりしないといけないって訳?」
「その格好で外歩いたり、電車乗ったり、バスに乗ったりしないといけないって訳でちゅね。」
 
 ビュオォォォォォォォォォ・・・
 
 春の陽気でしかも室内にも関わらず、確かに真冬の吹雪が吹き荒れた。
 
「お母さーん、あのお姉ちゃん変な格好しているよー?」
「いいから指さすんじゃありません。こっちにきなさい。」
 あああああああああ定番のやり取りが俺めがけてやられているよ。
 アイシールドで目を隠してるから正体ばれないだろうが、このあからさまに変な格好はやはり目立つ。
 ああ、そんなまるで変な生き物(否定できん)を見るような目で見ないでっ。そんな軽蔑した目で興味深々な目で見つめられると、それはそれでか・い・か・・・

 はっ

「お母さーん、あのお姉ちゃん壁に顔を打ちつけてるよー?」
「いいことヨシノブちゃん、人には色々と胸の内に秘めなくてはならない事がたくさんあるのよ。」
 
 俺は青木ヶ原樹海の前にたどり着いた。ここに着くまで何回警察官に呼び止められた事か。
 装備を確認すると樹海に足を踏み入れた。ヘルメットの一角を押すとアイシールドに組込まれたGPSが表示される。これで迷子になる事はほとんどないだろう。あれ?GPSって樹海の奥でも使えたっけ?まあいいや、方向感覚には自信があるし。
 
 樹海に入って3時間程が経過した。いまだに目的とする薬草は見当たらない。まぁ3時間程度でいけるところには生えていない事ぐらいわかっているが。
 辺りは異様なほど静かだ。俺の歩く時に鳴るガションガションという音しか音らしい物はない。ここら辺はもう地元の人も普通はこないだろうから当たり前だろうが・・・・。
「ほーほっほっほっほっほっほ!!」
 突然けたたましい笑い声が辺りに響き渡る。にゃ、にゃんだぁ? おもわず声が聞こえてきた方を見上げた。そこには!
 やたらと露出度の高い、まるで黒いビキニのような物を着た風俗店にもいないようなおねーちゃんが枝の上に立っていた。肩には虎の頭蓋骨で作ったと思われるショルダーガーターをつけており、頭にはヤギの頭蓋骨で作ったと思わしき帽子をかぶっている。
 腰までたれた髪はカラスの濡れ羽色で切れ長の瞳、西瓜でもくっつけたんじゃないかと思えるような胸(キィィィィィッ!!)で、抜けるような白い肌をしたかなりの美人なんだが、悪の魔術師のような格好が全てをぶち壊しにしている。
「ふっ、ひさしぶりねヨーミン。こんな所で会うなんてさすが私の宿命のライバ・・・って頭かきながら立ち去るんじゃないわよっ。」
 彼女の名前はミランダ。本名は知らんしあんまり知る気にもなれない。俺と同業の「狩人」だ、一応。独学で魔術を学んで身につけた結構優秀な人の筈なんだが、格好と言動と行動が突飛すぎて周りからは変人としか見られていない。事実そうなんだが。何故か一方的に俺をライバル視しており、出会うたんびに俺に突っかかってくる。こういう相手は犬が吠えてきたと思って無視するのが一番だ。
「ちょっと、無視すんじゃないわよ!このタレ目娘!」
 無視無視。
「短足!胴長!」
 ピクッ。いや、無視無視。
「この貧乳えぐれ胸!!」
 
 ブブブブブブブブブブブブチッイッ!!
 
「なーんですってぇ!?あんたのよーな胸に栄養取られて頭の中からっぽな生命体に言われる筋はないわよ!」
「おーほっほっほっほっほ!さすが胸に栄養が行き届いてない子はボキャブラリーがすくないわねぇ。」
「キィィィィィ、あんたなんか・・・・・!!!」
 
 −−−−− 30分経過 −−−−−
 
「はっ!そういえば俺は薬草取りに来てたんだった!こんな事してる場合じゃなかった!」
「ふっ!自分をすぐ見失うとはまだまだ未熟ねっヨーミン!」
「年がら年中自分を見失ってるお前に言われる筋合いはねぇぇぇぇぇ!ってこんな物体は無視して早く行かないと。」
「ふっ、そうはいかせると思って?」
「やかましい、ミサイルランチャー!!」
 俺は左手に仕込まれたミサイルをミランダにぶちかました!
 
 ちゅどーーん
 
「ひわーーー」
 爆風にのって吹っ飛ばされるミランダ。ふっ、悪は滅びた。
 まったく一体なにしに来たんだあの物体は。そして俺は心機一転して、樹海の奥にさらに足を踏み入れるのであった。
 
「ふっ、遅かったわねヨーミン。」
 
 ズッシャアアアアアアッ!!
 
 目的地である洞窟の入り口の前に立たずむミランダを見て俺は盛大にずっこけた。
「なかなか見事なコケっぷりね、さすが私の宿命のライバ・・・」
「そーじゃなくて、さっきふっ飛ばしたのになんでもうこんな所にいるんだよ!?」
「だって私、飛空魔法持ってるもの。」
 髪をかきあげながら事もなげに言うミランダ。そーいえば持ってたな、そんなの。
「ここにいるという事はお前も薬草が目的か?」
「ふっまあね、わざわざ貴方が来るのを待っていたこの私の海よりも深く、空よりも雄大な心に感謝しなさい。おーほっほっほっほっほっほ!」
 ウァ、むかつく。バラしてえ。
「この中に薬草があるわ、先に倒した方が報酬を受け取れるって事でいいわね?」
「へっ? 倒した方ってどういう事?」
 俺はポカンとした顔でミランダにそう訊ねた。彼女は呆れたような顔で俺を見つめる。
「あんた何も知らないの?もう、こっち来なさいよ。」
 
 シャゲェェェェェェェェェェッ!!
 
 それはまるで緑色の大きな綱のようだった。たくさんの手には鋭いぎざぎざがついており、触れたら切れてしまうかもしれない。胴体の頂上には黄色い頭がついている。それはまるで炎を燃え盛らせる太陽のようだ。
 えーっと、ようするに。
 洞窟の中に入り、そこで俺が見たのは向日葵(ヒマワリ)だったのだ。
 ただ体長15mを軽く超えていて、しかもグネグネ動いて、花からダラダラと涎のような液体が流れているってのはドーユー事か。
「あれが目的の薬草よ。向日葵がこの辺りの気を吸い取って怪物化したものなんだけど、あんた知らなかったの?」
 はい、知りませんでした。こんな展開になるなんて。
「それじゃあいくわよ! ファイヤーボー・・・・
「ちょっと待てい!」
 俺はダッシュをかけてミランダの後頭部めがけて蹴りをぶち込む。顔面を洞窟の岩に激突させて滑っていくが・・・んなもん、知ったこっちゃ無い。ちょっと大量の血の匂いもするが別に気にしなければいいのだ。
「ちょっと、いきなりなにするのよ!」
 一挙動で立ち上がると俺に抗議するミランダ。その顔には傷一つついてない。何者だ、貴様は?
「植物に火いつけるとはどーゆーつもりだよ!燃えちまったらどうすんだ!」
「はぁ?何言ってるのよ、薬草になるのは根っこだけよ、後は燃えたって別に構わないんだから。」
「えっ、そうなの?」
「あんた、そんな事も知らなかったの?ちょっと抜けすぎてんじゃない?」
 ハイ、シリマセンデシタ。タシカニヌケテルカモ。
「それじゃああれを先に倒した方が報酬を得るってことでいいわね!先制攻撃!ファイアー・ボール!!
 ミランダの手から赤い火球が生まれる。それはヒマワリ目掛けて飛んでいく!
 
 チュドーーーーーン!!
 シャギャァァァァァァァァァァァァ!
 
 火球がはじけて生まれた炎の渦がヒマワリに襲いかかる・・・が、花から流れるヨダレが炎を消し止める。うぁ、なんかバッチイ。
 
 シュギャァァァァァァァァァァァァ!
 
 一声大きく叫ぶヒマワリ。すると茎がにょきにょきと伸びて俺達の方に迫ってくる!マジかよ!伸縮自在だなんて詐欺だ!
 マシンガンのように花から種が飛び出してくる。この大きさのヒマワリの種だ。一個辺り30cm以上ある。身をひねってそれを躱す俺とミランダ。それは地面の岩を砕いた。ゲゲゲゲ! 当ったら洒落にならんぞ、これ!
「ミランダ、気を付けな!当ったら洒落にならないぞ!」
「ふっ、わかっているわ!この私のかれいなオブッ」
 あ、当った。吹っ飛ばされて顔面から落ちてる。まあミランダだから別にヘーキだろう。
 一瞬のうちにミランダの事を忘れて俺はヒマワリと相対した。
 しかしこうまでデカイとどこを攻めればいいかわからない。下手に攻撃しても致命傷が与えられなくては意味がない。
 そうこう考えているうちにヒマワリの葉っぱが俺に襲いかかる。咄嗟にかわすが、葉っぱは洞窟の岩壁を削っていく。
 スピードもある、攻撃力も高い、さらにはあの大きさだ、生命力も高いだろう。予想以上に厄介な敵だ。
 と、なれば敵の攻撃手段を減らしてくのみ!まずは一番厄介な花を潰す!
 俺はドリルグローブに手を突っ込んだ。中に入っているレバーを掴んで引っ張る。
 ギュララララララララッ!けたたましい音をたてながらドリルは右回転をしだした。
 俺はドリルの狙いをつける。目指すはヒマワリの花と茎の境い目!
「ドリルブーストナックル!」
 掛け声と共にレバーについている釦を押す。それと共にドリルは爆音をあげながら飛んでいき、狙い通り花と茎の境い目に突き刺さる。
 茎の半ばまでめり込んだのを確認すると俺はレバーについているもう一つの釦を押した。
 
 チュドコーーーーーン!!
 
 爆発するドリル。爆発によって茎と花が切り離された。よっしゃうまくいった!
 ズドーン! 大きな音をたてながら花も茎も地面に落ちる。
 と、思ったら花がむっくりと起き上がってこっちを向く。ゲゲッ!こっちが生きてんのかよ!
 再度マシンガンのように種が飛んでくる。そのうちの一粒が俺の頬をかすめる。じんわりと血がにじみだす。
 おにょれよくも乙女の顔に傷物を!飛んできた種のほとんどが倒れているミランダに命中したような気がするが、んなこたぁどうでもいい。
「いくぞ、マグネットパワーON!」
 俺は改造によって得た力を解放した。俺が改造によって得た力は2つ。一つはこの肉体に宿る優れた身体能力。もう一つは今から使用する磁力を自在に操る力、マグネットパワー(親父命名)だ。
 ・・・・・・うん、俺もそう思う。美少女戦士の技じゃねぇ。完璧超人か、俺は。
 俺はダッシュで花に近づいた。そして花に両手を広げて組み付く。そして、
「ふんりゃあああ!」
 両手の磁力をそれぞれNとSに変えて互いに引きつけあわせる。その結果、両腕の間にある花も締め付けられるわけで。
「うぉぉぉぉぉぉぉ、ヨーミンブリーカーァ、死ねぇ!」
 叫びと共に花が真っ二つに折れる。大量の樹液(?)が飛び散る。ようするに俺は強力な磁力を用いたサバ折りをかました訳で。
 ・・・・・・・
 ・・・・
 えっと
 アチシ、ビショージョセンシ、だよねぇ?
 
「ふう、これよ。ここが薬になるとこだわ。」
 俺とミランダ(生きてた)は土まみれになりながら化物ひまわり根っこを掘り起こした。
「ところでヨーミンちゃん、お願いがあるんだけど〜。」
 いきなり猫なで声になるミランダ。なんだかやな予感がする。
「お願い!6分の1、いえ10分の1でいいの、分け前頂戴!このところ出費が多くてお金がないの!」
 いきなりはいつくばってお願いしだした。コラコラ額を土にすりつけるな、脚にすがりつくな、足を舐めるな。いい歳した女がみっともない。
「まぁ俺が来るまで待っててくれたし、情報くれたから5分の1ならあげるよ。」
「あぁぁぁぁりがとおぉぉぉぉよぉぉぉぅみんちゃぁぁぁぁぁんっ!!」
 涙と鼻水とヨダレでデロデロになりながらミランダは俺に感謝した。いやスッゴイばっちいんですが、貴方。
 俺は思わず溜息ついていた。またこんな調子でたかられんだろうなぁと。
 
 俺の名前は井上良樹。でも今の名前は井上佳枝。正義の美少女マグネット戦士ヨーミンとして日々戦いつづけるのだ!
 ・・・・・・・・・・・・この頃女の子に定着してきてるんだよなー・・・・・・・・
 
 早く元の姿に戻りたいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!
 
 



 <あとがき>という名の戯れ言
 
 〜〜〜本当にあった超絶怖い話〜〜〜
 
 「まぁあがれよ」
 
 私はその言葉と共にその友人の家にあがった。家の中はしんと静まりかえっている。
 
 「今家には誰もいないんだ」
 
 そうなのか。これが彼女の家で言われれば嬉しいのだがそんな高尚なもの私にはいないのでどうでもよいことだった。その時点では。
 
 家の二階にあがった。彼の私室と思われる部屋に招かれた。
 
 「飲み物とってくるよ」
 
 そう言って彼は部屋を出た。私だけがその部屋に取り残された。
 
 男部屋の主人がいなくなった時点で男の友人がやる事といったらエロ本探しだろう。これは万物の根元に関わる儀式といっても良い。無論私もその儀式をやる事にした。
 
 部屋を見渡すと本棚の漫画が奇妙なほど前にでている。フウヤレヤレ、こんなとこに隠してるんだな、全く浅はなかな男だな彼は。私はそう思って漫画を取ってその裏を見ようとした。
 
 漫画の裏から出て来たもの、それは
 
 月刊 さ○
 
 なんだか解らない人は検索してみよう!多分後悔します
 
 時間が止まった。空気が凍った。全ての物が凍りついた。
 
 脳みそが必死になってその事実を打ち消そうとする。だが目は無情にも「月刊 ○ぶ」の文字を捕らえてしまう。
 
 いつしか私の頭の中に歌が流れてきていた。
 
 屁ーこきましたねあなたー誰もいないと思ってー、すーごい匂いですあなたー昨日のおかずはなんでしょうー。例えばそこはエレベーターの中あーなたーとわーたしふーたりっきりー
 
 あーなたーとわーたしふーたりっきりー
 
 あーなたーとわーたしふーたりっきりー
 
 あーなたーとわーたしふーたりっきりー
 
 あいつと俺この家でふたりっきりひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁパピー、マミーへるぷぅみぃぃぃぃぃぃ!!
 
 ギシ
 
 そんなかすかな音を私の耳が捕らえた。奴だ。奴が階段を上ってきている。
 
 ギシ
 
 私の体から文字通り比喩でもなんでもなく滝の如く汗が流れ落ちる。脂汗と冷や汗って一緒に流れるんですね、知りたくなかったけど。
 
 ギシ、ギシ、ギシ、ギシッ
 
 奴が来てるよ廊下を歩いてるよこの部屋に近づけて来てるよ神様仏さまキリストさまブッタさまアラーさま助けて父さん母さん先立つ息子をお許し下さい
 
 ガチャ
 
 そして禁断の扉が開かれた・・・・・。
 
 えーっと
 
 結論からいうと何もありませんでした、何かあったら死んでます。マジで。
 
 現実は小説よりも奇なりってのを身を持って体験しました。二度としたくありませんが。
 
 
 
 
 さて心気一転して。
 
 DEKOIです。狩人新作を提供させて頂きます。
 
 今回は今までの第3者の目からではなく、1人称で書いてみましたがどうでしたでしょうか。ちなみにこの小説にかけた時間は約3時間。かなりはしょった書き方をあえてしてみました。
 
 さて今回の主人公ヨーミンこと井上佳枝ですが、前に言ったようにTSっ子です。ちなみに改造の元ネタわかる人いますか? ヒントは砂場に弱いロボットです。
 
 もう1人の狩人ミランダは某小説の某魔術師が元ネタです。こっちは有名でしょう。書いてて結構ノリがよかったので気に入りました。彼女が主役の小説書く自信はありませんが(アク強すぎです彼女)。
 
 あと1人、狩人がでてきます。いつかですが。
 
 また皆様にお会いできる事を心より願わさせて頂きます。
 
 by DEKOI
 


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