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悪魔を呼んでみよう!4
作:DEKOI



 男っぽくなりたい。それが僕の願い事だ。
 あ、僕の名前は佐竹祐樹(さかたけゆうき)。今年で16歳になる高校生です。
 僕の顔は自分で言ってはなんだけど女顔。目がぱっちり大きいし唇もおちょぼ口。輪郭も丸っこくて近所のおばさんたちに「祐樹ちゃんは本物の女の子よりかわいいねぇ」ってよく言われる。全然うれしくないのに。
 さらに追い討ちをかけるように僕の性格はどうもなよなよしているというか、優柔不断というか、まあいわゆる一つの男っぽくない。そんな訳でいつも僕は同級生や上級生やあろう事か下級生にまでいじめられる始末だ。
 だから僕は男らしくなりたい。でもどうしたらなれるのか分からない。格闘技とかやれば少しはましになるのかも知れないけど、体力のない僕には到底無理だ。
 そんな風にもんもんとした日々を送っていたある日。インターネットをしているとある物が僕の目に飛び込んできた。それは「悪魔召喚プログラム」というものだった。どうやら悪魔を召喚して願い事を叶えてもらえるフリーソフトらしい。
 最初はよく昔話でもあるように契約すると魂を奪われると聞いていたから敬遠していた。でも説明書きをよく読んでみると、魂というのは寿命の事で、多くても10年くらいしか取られないらしい。
 僕の願い事程度ならそんなに寿命を取られないだろう。そう思って僕は悪魔召喚プログラムを起動してみる事にした。
 
 
 ええと、ソフトをデスクトップに貼り付けて・・・そして願い事を考えながらマウスでクリックすればいいんだな。男っぽくなりたいです。うりゃっ。
 僕は願い事を考えながらマウスをクリックした。すると突然白い光が僕の後ろで光った。驚いて振り返ると床に白い五芒星が描かれていてそれが光を放っていたのだ。
 光はどんどん強くなっていき、目を開けていられないくらいになった時、ぼわわんという音とともに白い煙が立ち込めた。
 僕は煙に巻かれてけほけほと咳き込んだ。煙で目の前が全く見えない。
 しばらくすると煙が晴れてきて視界が開けてきた。と同時に誰かが魔法陣が立って・・・あれ? 浮いてる?
「ど〜も〜〜〜!! こんちよいお日柄の中ようこそ召喚してくださいました〜〜〜!!」
「デカデカ。」
 僕の目の前にいる人(?)達を見て思わず目を見張った。ううん、人じゃないな。悪魔か。
 明るい声で僕に声をかけてきた1人は真っ黒のなエイに王冠かぶった男の人の頭がちょこんと乗った人だった。鰭の片方に扇子を持って頭をパシンと叩いている。
 もう一方はでっかいオレンジ色のヒトデさん。真ん中にぎょろりとした目玉がついていてユーモラスなんだけど、ちょっと怖い。
 まあ悪魔なんだろうなこの人(?)達。こんな格好していて喋る生命体なんて普通にはいないよね。
「いや〜よろしゅうおまんすわー。あ、どうもこんばんはー、夜分遅く申し訳ございませんわ。」
「こ、こんばんは。」
「ワテの名前はフォルネウスいいます。そしてこっちが相方のデカラビア。」
「デカデカ。」
 ええと、エイさんの方がフォルネウスさんでヒトデさんがデカラビアさんか。どうでもいいけどデカラビアさん、「デカデカ」しか言わないな。まあ口がないからどこで喋ってるのかわからないけど。
「ワテ等を召喚してくださったっという事は願い事があるんでしょ、あんさん。一応ワテ等は侯爵の爵位を持つ悪魔ですさかい、それなりに力がありますからどーぞ言っておくんまなし。」
「デカデカ。」
 何か想像していたのと違ってノリが軽いんだなぁ悪魔って・・・。まあ重い感じで来られても怖いだけだけどね。なんか安心しちゃうな。でもノリが軽すぎて逆に心配かも。
 えっととりあえず願い事を言わなくちゃな
「えっと、僕男っぽくなりたいんです。」
 そう言うとフォウルネウスさんは扇子をパッと広げて(どうやって広げたんだろう・・?)パタパタと扇ぎ始めた。
「あんさん男でっしゃろ?」
「えっ? そりゃそうですよ!」
「だったら充分男してるやないですか。願い事を叶えるまでもないでっしゃろ?」
「デカデカ。」
 フォルネウスさんの言葉を聞いてデカラビアさんが同意したように全身をつかってコクコクとうなずいた。うう、分かってないなぁ。
「えっとぉ、僕女顔でしょ?」
「まあ可愛い顔をしてますがな。ワテとしてはもうちょっとこってりした方が好みですが。」
「デカラビ〜ア。」
 同意されてもうれしくないいいい。どうでもいいけどこってりした顔ってどんなんなの?
「それに性格が引っ込み思案で・・・。そのせいでよく皆に苛められるんです。だから僕、もっと男っぽくなりたいんです。」
 するとデカラビアさんがクルクルと回転しだした。どうしたんだろう。
「デカデカデカデカ、デーカ、デッカ。デカデカデカデカデカデカデカラビーン、デカ。デッカデカデカデカデカデーカデカラビーンデカラビア。デカデカデカデカデカデカーデカデカデカデカデカデカデカデーンデカ。デカデカデカデカデカデーンデカデカデカデカデカデッカデカデデデカカデカデカデッカンデカ。」
 え、一体何を言ってるの。
「無理っぽって言ってます。」
「短かっ!!」
 っとそんな場合じゃないよ。どうしてダメなのさ。
「まずあんさんの願い事が抽象すぎるんですわ。どういう風に男っぽくなりたいのか具体案がありまへんがな。」
 う、そう言われると・・・。確かに今の僕にはどうなりたいとかいう考えはないかも。
「それからですな。この頃アクぷろを使って悪さする人間が仰山いますんわ。」
「デカデカ。」
 そう言うとやれやれといった感じでフォルネウスさんは鰭を両方持ち上げた。デカラビアさんも同意するようにうなずいている。
「やれあの子を彼女にしたいから好きになるようにしろとか、あのカップルが気に入らないから破局させろとか・・・。中にはワテ等悪魔と契約して、他人の人格や身体を好き勝手にいじくり回して楽しむやからまでいる始末でおますわ。」
 う、それは怖いかも・・・。でも僕はそういう意味でこの人(?)達を召喚したわけじゃない。でも何か気になる事言ってたな。
「それでですな。あまり洗脳とかそういった野蛮な事を願うような奴とは取引しない事にしようと言う事になってるんですわ。あんさんの願い事はどっちかというと、内面の変化ですからできればお断りしたいんですが・・・。」
「ええっ。それは困りますよ。あの・・・そういえばさっき取引と契約って言ってましたけどどこが違うのですか?」
「取引とは願い事を聞いて叶える代償に寿命を貰う1回こっきりの取引の事をいいます。で、契約とは魂を譲り渡して悪魔の力を自由に使えるようになる事ですわ。」
 なるほど。そうだったのか。それじゃあ僕がこの人達と契約すれば内面から変化できるのかな?
「ちなみに先に言っておきますけどワテ等も魔界で仕事がありますからできればお断りさせてもらっておりやす。それに1回契約すると死後その悪魔の奴隷として存在せにゃならなくなるのでできればしない方がいいと思いますわ。」
「えっ、そうなんですか? ちなみにどの位奴隷でいなくちゃならないです?」
「世界が終わるまでですわ。」
「デカデカ。」
 うわ、それは大変だ。いくらなんでもそんな事できないよ。
 でも困ったなあ。願い事が叶えてもらえないなんて想定してなかったよ。はああ、なんてこったい。やっぱり楽して男っぽくなんてなれないんだなぁ。
 僕は恐らくかなり落胆していたんだろう。ファルネウスさんはおろおろしだしてデカラビアさんがクルクルと回転しだした。
「ま、まああんさんそんなに落ち込まんでや。とりあえずはあんさんの望みを叶えるのに必要な寿命の量を計算してみましょ。」
「デカデカ。」
「まず肉体的変化と精神面的変化。記憶の改ざん。えーっとそれから、家族を含めた周りのあんさんに対する印象の変化。」
「デカデカ。」
「そうなりますと複合取引になりますさかい、過剰請求かかりますから・・・・えーっと50年ほど頂くことに・・・。」
「そんなに取られちゃうんですか??」
 冗談じゃないよ。それじゃ寿命が70年としたらあと4年で死んじゃうじゃないか。
「そうですなぁ、まあ具体案がないから考えられるもの全部叶えるとなるとそんくらいかかりますわ。できれば具体案を上げてくだされ。」
 う・・・そう言われてもまいったなぁ「男っぽくなりたい」ってだけで特に考えなくこの人(?)達召喚しちゃったからなあ。
「えっとじゃあ僕に対する周りの印象の変化だけでもお願いします。」
 内面の変化とかだとなんだか沢山取られちゃうみたいだしね。大幅に譲歩する事になるけどいじめられないようにするにはこれが一番だと思う。
「なるほど、周りに男っぽく思われたいんですな? う〜んそうなるとどう叶えたら一番安く取引できるかなぁ。」
 あ、寿命をあまり取らないように考えてくれてる。この人(?)達けっこういい人(?)達かも。
「でかデカ。」
「おお、なるほど! そうすりゃ確かにもらう寿命も1年くらいですみますわ。」
「ええ、そんなにお安いんですか?」
「もちろんですわ。それで取引しますか?」
「はい、お願いします!」
 と、僕はこう言ってしまった。考えてみりゃ取引内容を全く聞いてないのに。
「それじゃ叶えますわ〜。パラレルパラレルパラレルラ〜。」
「デカラビア〜。」
 すると周りを白い光が埋め尽くした。そしてその光を見ながら僕は意識を失った。
 
 
 ちゅん、ちゅちゅちゅん。
 スズメの声を聞きながら僕は目を覚ますとベットから抜け出した。
 そして衣装棚からブラジャーを取り出すと慣れた手つきでそれを身に着けた。
 その後ブレザーを着てトイレに行って小水をすますと台所に向かう。パパとママは朝が早いからもうでかけている。テーブルにはいつものように朝食が用意されていた。
 僕はもくもくと食べると、今度は洗面所にいって身支度を整える。
 そして誰もいないのは分かってるけど「いってきまーす」と言うと外に出た。
 朝の日差しが心地よい。スカートに入る風も肌寒いけど気持ちが・・・・。
 ・・・スカート?
 ここまで来て僕はやっと自分が何をしていたのかに気づいた。なんで僕がスカートなんて穿いているのさ?
 そういえば僕さっきブラジャーを着けてたよね?って事は・・・。
 僕は慌てて手を胸に当てた。
 むにゅ。
「あるー!!」
 続いて股間に手を当てる。
 スカッ。
「ないー!!」
 僕は朝早いにも関わらず大声で叫んでいた。ま、まさか僕女の子になっちゃったの? でもなんで??
「ユッキーおはよー。どうしたの朝から大声だして。」
「あ、朝霧さん・・・。」
 ふと気がつくと僕の横に近所に住む朝霧美佳(あさぎりみか)さんが立っていた。昔はよく一緒に遊んでいたけどこの頃は僕の事をいじめるんだよね・・・。
「なーに他人行儀をしてるのよー。いつものようにミカって呼んでよ。」
「あ、あの僕・・・。」
「あはは、僕だって。相変わらず男っぽいんだからユッキーたらー。」
 ・・・・・・
 そーか。そういうことか。
 僕自身、女っぽい性格してるとはいえ元は男。それが女性になれば必然的に男らしく捉えられる。
 そうなれば確かに周りからみればボーイッシュな女の子として見られるわけだ。
 たしかに僕は周りから男っぽく見られるようになった。
 でも。
「だからといってこういう叶え方はないでしょ〜〜〜!!?? この悪魔〜〜〜〜〜!!!!」
 僕の叫び声が朝もやの中で響き渡るのであった。
 
 
 でも友達もたくさん増えたし、なにより親友の深沢君と・・・・キャッ。
 女の子も、結構いいかも・・・?



 <あとがき>という名の戯れ言
 
 悪魔シリーズ4作目をお届けさせてもらいます。
 
 いやあサクサク書けました。それにしても短い作品になりましたな。
 
 狩人、悪魔、狩人と続いてますが今後は狩人に専念しようかなぁと考えますが。ネタがないです。はい。
 
 まあ思いついたら今後も狩人にしよ悪魔にせよドンドン書いていこうと思います。
 
 それではまた皆様とお会いできることを願いつつ筆を置かせていただきます。またお会いしましょう。
 
 by DEKOI


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