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悪魔を呼んでみよう! 2(次章)
作:DEKOI

 俺の名前は穴山周三。ただいま24歳の超健全な男だ。
 俺には偉大にして雄大なる野望がある。それは『日本中の女の下着をゲットする』という事だ!
 ふっ、俺の野望のあまりの大きさにみんな声を失っているようだな。みんなの俺の凝視する視線が突き刺さってなかなか照れるぜ。
 この野望を俺が誓ったのは18歳の時。それから俺は毎日かかさず下着をゲットする日々を送っていた。
 そんな俺に巨大な障害が立ちふさがった。その名は"笹木浜女学園"。全寮制で生徒はもちろん、学園を構成している人物も全て女性という女の園だ。
 もちろん俺がそこに目をつけないはずない。だが学園の鉄壁の防衛網に百戦錬磨の俺でも手を焼いた。あと1歩のところで見つかってしまうのだ。
 鬱憤がたまる日々を送っていた俺をある日なにげなく眺めていたインターネットのある文字に釘付けになった。そこには『悪魔召喚プログラム』と書いてあったのだ。
 その時、俺は閃いた!そうだ、悪魔だったらあの女学園に潜入する手段を俺に授けてくれるに違いないと!!
 そこで『悪魔召喚プログラム』をダウンロードすると早速つかってみた。いやあ、いきなり巨大な蠅が目の前にでてきた時はオラァびっくりしただよ。
 気を取り直した俺は悪魔に野望について語り、そして願いを言った。悪魔は俺の熱い思いに感激したのかひとつのアイテムをくれた。それは他人の身体に入り込めるという画期的なアイテムだった。見た目がファスナーの取っ手というのが何か釈然としないが。
 そして俺は右手にファスナーを、左手に茶色のボストンバックを握りしてめて、もう何度目か忘れてしまった『笹木浜女学園潜入大作戦』を実行したのだった。
 
 学園への潜入はいいかげんに手馴れたせいかあっさりとできた。だが問題はここからだ。寮にもぐりこまなくてはならないからだ。
 この学園には7つの寮がある。俺はそのうちの1つの"楓寮"に目をつけた。ここには俺を何度も見つけ出している憎っくき警備員がいるのだ。そいつをのっとってやろうと考えたのだ。
 俺は慎重に歩を進めた。そして・・・・・いた!あいつだ!!あの細身でスタイルがやたらといい後ろ姿は間違いない。
 名前は確か久方 恵理(ひさかた えり)。他の奴らが30過ぎばかりの学園の警備員のなかであいつだけは24だ。身長160の俺よりも背が高く、おそらく何らかの格闘技を身につけている。以前おもいっきり叩きのめされて危うく警察に引き渡されそうになったからな。
 優しげな柔和な顔をしているくせに性格は異様にきついようだ。俺が逃走しようとしてもいつまでも追いかけてくる。全くどんな育ち方をしたんだ。
 久方には軽く5回は苦渋を味あわされている。くくくく、だが今日はお前が俺の手助けをするのだ。まあ正確には身体だけだがな。
 久方は寮の入り口の前に立っていた。丁度いいことに何かあったのか俺から見て後ろを向いている。このチャンスを逃すわけにはいかない。
 長年つちかった経験によって身につけた特殊な歩行で俺は久方に近づいた。気配もなく足音も立てることはない俺だからできる歩き方だ。
 だが奴の背中まじかに迫った時、奴は何者かが近づいている事に気づいたようだ。くるりと振り返ようとするその直前に久方の背中にファスナーをくっつける事に成功した。
 その瞬間に。プシューーーーーっといった音をたてながら久方がまるで空気が抜けていく風船のように萎んでいった。唖然としている俺の目の前で久方の身体はペラペラになっていく。最後にはまるで乱雑に置かれたビニールシートのように俺の足元に落ちていった。
 あまりの事態にしばし呆然としていたのだろう。だが何とか我にかえると俺は久方だった「モノ」を拾い上げた。
 持ち上げても何も反応しないその「モノ」の手触りはまるでゴムシートのようであった。俺は慌てた。だってこのままじゃ人殺しになったようじゃないか。
 慌てつつも「モノ」をひっくり返したりしてみた。すると首と思わしき所にファスナーの取っ手がついていた。そして背骨に沿ってファスナーが伸びていた。それを見て俺の頭の中は一気に冷めた。
 そろそろと手を伸ばすと取っ手をつまみ、そして一気に引きおろした。ファスナーの内側は俺が想像した内臓などは一切みえず、まるで墨をぶちまけたかのように真っ黒になっていた。
 俺は恐る恐る右手をつっこんでみた。するとどうだ、久方だった「モノ」の右手の部分が膨らんできたじゃないか。
 確認のために右手を握ったり開いたりしてみた。すると俺の予想通り「モノ」の右手も同じように動いた。俺はそれを見てにやりと笑うと手に持っていたバックを地面に置くと全身を「モノ」に突っ込んだ。
 ・・・・・・・・・ふと気が付くと俺は地面を見ていた。どうやら俺は地面に倒れているようだ。
 俺は身を起こした。心なしか視点が高い。そして次に自分の身体を見渡してみた。ついさっきまで俺が着ていた赤と紺のストライブのシャツではなく、野暮ったいカーキー色のトレーナーが見えた。そして胸元は平らではなく、自己主張するかのように膨らんでいる。
 手を見てみる。見慣れたゴツイ手でなく白魚のような引き締まった白い手だ。更に言うなら手のひらには豆ができている。格闘をやっている者の手ということか。
 ためしに俺はジャンプしてみた。胸に感じた事のない揺れる感触がはしり、さらに股間にはなにも揺れる感覚が感じられなかった。それなのに何か一枚布を上から被っている感覚があるのだから妙なものだな。
「あーあーあー」
 声を出してみると結構高音であるはずの俺の声を更に上回る高い声が流れ出た。その声は確かに久方の声によく似ていた。
 念には念をいれてバックの中からこんな事もあろうかと用意しておいた手鏡を取り出して顔を見てみた。鏡に映った顔は俺のではなく、久方の物だった。俺がニヤリと笑うと鏡に映った顔も思った通りに顔をゆがめた。
「くくくくくく・・・・」
 俺は我知らず笑い出した。これが楽しくなくてなんだというのだ。ああ、悪魔万歳!これで俺は堂々とこの学園の下着が取れるってもんだぜ!
 ふとズボンのポッケに違和感を感じたので手に取ってみると、それは鍵束だった。おそらくこの寮のドアの鍵だろう。もう恐れるものはなにもない。バックを拾い上げると俺は寮の中に堂々と入っていった。
 寮の中に入ると警備室の札がまず目についた。俺はそこである妙案を思いついた。一息つくと俺は慌てた調子でドアをあけた。
「大変です!」
 俺はドアに飛び込むと同時に俺は強い口調でそう言った。部屋の中には3人ほどのオバさんが茶を飲んでいたが俺の様子を見て驚いた表情を浮かべながら俺の方を見る。
「どうしたの久方さん。」
「大変なんです、あの万年下着ドロがさっきこの寮の前にいたんですよ!」
「なんですって?」
 オバサン達は凄い表情で立ち上がった。ここまで俺の事を恨んでいるのか、まあ大業たる野望をしようとする者にはうらみも多いってことか。
「あいつはどこいったの?」
「いま"桜寮"の方に走っていきました。私はここに残りますから皆さんはあっちの応援に向かってもらえませんか?」
「わかったわ。」
 オバサン達は凄い勢いでドアをくぐり抜けていった。そして玄関を抜けて外に走り去っていく。
「くくくくく、バーカ、俺はここにいるんだよ。」
 俺は1人になった部屋でそう呟いた。いつも苦渋を味合わされている連中を手玉に取る事ができるだなんて、全くもって楽しい限りだ。
 ドアを開けて廊下に誰もいない事を確認すると、俺はゆうゆうと部屋をでた。さあハンティングの開始だ。
 まず手始めに一番最寄の部屋のドアに立つと念のためにドアを叩いてみた。まあいるはずないのだが・・・・
「はい。」
 いたよ。念には念を入れといて正解だったようだ。これも俺の日頃の行いがいい証拠だ。
 ドアを開けて出てきたのは牛乳瓶底めがねをかけた少女だ。たしか伊尾奈とかいう名のめがねを外したらすごい美少女という何かを狙ったような女の子だったはずだ。くそ、この寮で特に目をつけていた獲物だというのに。
「あ、警備員さんこんにちは。」
「おう、いいや、あらこんにちは。ええと、何故こんな時間に部屋にいるのかしら?」
「今日は体調がすぐれないので休むといった届出を出したはずですが?」
「ちっ・・・そうだったのか、じゃなくてそうだったわね、ホホホホホホッ。」
 必死に俺は芝居を続けるが、我ながら名演技だったはずなのに少女はいかぶしげな目で俺を見上げてきた。
「なんだか警備員さん、いつもと感じが違いますよ?」
「そ、そそそそんな事ないわよ。ええと、実は私も体調が朝からすぐれなくって、ゲフン、ゲフン。」
 俺は咳き込んでみせながら思いついた言い訳を言った。少女は未だに納得いかない雰囲気をかもし出している。やばいな、これ以上いるとボロがでかねん。俺は慌てて言いつくろう事にした。
「じ、実はいまさっきこの辺りに近頃よく学園に忍び込んでくる男を見かけたからもしかしたら押し入られているかと思ってたずねたのよ。」
「いいえ、この部屋にはそんな変質者は来てませんが。」
 少女はそう言いながら嫌なものを思い出したかのように露骨に口をゆがめた。こ、このアマ、誰が変質者だ。俺のようなハイレベルな考えを持つ者に対してなんて言い方しやがるんだ。
 俺はおわわず怒りだしそうになったが精神力を総動員してなんとか耐え切り顔に笑みを浮かべてみせた。ガマンだ、ガマンするんだ俺。
「そ、そうなのよ。もしその変質者が現れたら部屋にきたりしたら呼んでね。」
「はい、わかりました。」
 まだ納得しない表情を浮かべつつも少女はドアを閉めながら部屋に入っていった。ふう危ない危ない。
 その後、俺は同じ徹を踏ないように一旦管理人室に戻ると日報を見て休んでいる生徒が他にいないかをチェックしてから再び進軍を開始した。
 そして慎重に最寄のドアに近づくと鍵を開け、部屋にすべりこんだ。
 う〜んいつ嗅いでもかぐかわしい女の匂い!これがあるから女の部屋に侵入するのは止められないんだよな〜。
 と。いつまでも嗅いでいられないな。さてと目的のもの(下着)はどこかなっと。お、衣装だなを発見、さてご拝見っとおほ、こんなエッチィ下着を持っているだなんていかんなぁ、没収っと。さてさて次に行ってみようか・・・・・
 
 (数十分後)
 
 ふう、満足満足。俺は戦利品(女性用下着)でいっぱいに詰め込まれたカバンを持って外にでた。いやあ納得がいく結果だった。
 さてと、この女の皮を脱がなくてはわな。確か取っ手が首筋に・・・・・・・あれ?
 ないぞ? おかしいな、確かさっき確認した時はあったのに。そういえばさっきから皮を着ているような感覚がないな?
 はれ? なんか視界がおかしいぞ? なんでぐらぐらしているんだ?? なんか意識が遠のいてきて・・・・・。
 あーーーーーーーっ。
 ・・・
 ・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・・・・
 あら、私どうしてたのかしら? あれ? なんでこんな所に立ってるの??
 たしか後ろに気配を感じて振り替えようとしていたんだけど・・・あら何かしらこのカバン、なんでこんな物もってるの?
 なんだかパンパンに膨らんでいるわりには軽いわね。何が入っているのかしら。
 ・・・・・・・げっ、なによコレ!? なんでこんな沢山の下着が詰め込まれているのよ? そもそもなんで私がこんな物もってるの??
 ま、まさか私に夢遊病と百合の気があって知らない間に下着収集していたなんて事があったりなんて・・・そんな馬鹿な事があるわけ・・・・でも実際に私がこんなもの持ってるわけであって・・・・・
 えーっと。私の名前は久方恵理。この学園の警備員・・・よね? あああああ自分が信用できない!!
 一体どうなっているのよ〜〜〜〜!!!!
 
 
「あのーベルゼブブ様。」
 んーなんだ部下その1。
「いえ、私にはもーちょっとマシな名前が・・・・まあいいです。実はアモン様から一報が。」
 アーやんから? 一体なんだよ。
「アーやんはいくらなんでもだと思いますが・・・・まあいいとしまして。この前送った魔法のアイテムの件らしいのですが。」
 うん? どれどれ。えーっと、『先日おくりましたファスナーに不具合が確認されましたのでご報告させて頂きます。あのファスナーで作った「皮」を長時間着用していますと「皮」と同化して脱げなくなるだけでなく、意識が乗っ取られる恐れがありますのでくれぐれもご使用の際には注意してください。』だと?
 あれ? そーいえば何かそーったアイテムもらった気がするけどどんなんだったっけ?
 あれれ? そーいえば何かそのアイテム誰かに渡した気がするけどいつ誰に渡したっけ??
 なのに何だかいい事した気がするのは何故だろうか。うーん不思議だ。



 <あとがき>という名の戯れ言
 
 DEKOIです。鬱まっさかり! この作品を書くだけで一ヶ月もかかってるぜオーマイゴット!! 本当に鬱か自分。
 
 そんな訳で「悪魔シリーズ」を書いてみました。いかがでしたでしょうか?
 
 皮モノなんて始めてでしたし第一からして出来る限りダークじゃないように! と考えて書いたのにそこはかとなくダークな作風に。
 
 最初は1つにまとめておいたのですが敢えて流れから考えて2つに分けました。いかがでしたでしょうか。
 
 ちっとはマシな精神状態になってきたので今後も執筆していこうと思いつつもまだまだ沢山問題がある今日この頃。いやあネタばかり重なって筆が進まないなぁ。
 
 そんな私ですが今後ともよろしくお願いします。ではいつかまた会える事を願いつつ、筆を置かせて頂きます。
 
 by DEKOI


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