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俺は、自分の家を旅立ち、いつしか『魔法駅』に差し掛かっていた・・・
人間界へ行くには、この駅を通らなくちゃいけないのだと、俺は聞いていたからだ。
「・・・よしっ!」



俺は、一瞬深呼吸をし、ゆっくりとその駅の中へ入っていった・・・





デビルズ・ハンター 第2話

著者:キング





駅の中は外から見たより広く、たくさんの電車が並んでいた。
「えーっと、人間界人間界・・・」
俺は1人、『人間界行き』の電車を探したが、そんな電車の発車口なんて、1つも見つからなかった。
どういうことだ!?俺は迷ったようにそこに立ちすくんだ。
「これはこれは・・・そんなにかわいいお譲ちゃんがこんな所で迷子ですかな?」
突然俺は、聞いたこともない声に引き止められた。
どうやら、この駅の駅長らしい。やせすぎもしない、太りすぎもしない1人の男がそこに立っていた。
「い、いえ、俺・・・いや、私、人間界行きの電車を探しているんですけど、それはどこにあるんですか?」
俺は、できるだけ女らしくしようと口調に気を配り、がんばった。すると駅長の男の顔は、はっきり、驚いた顔に変わった。
なぜなら、変身した俺の顔が、ぜんぜん20歳以上の顔には見えないからである。彼からは、高校生くらいに見えるのだろうか?
「あんたは学生かね?」
「は・・・はい。中学生ですけど・・・」
俺は、正直に、自分が中学生であることを主張した。
「うむ・・・」
駅長は少し考え込んだ。そして、すぐに顔を変え、俺の顔をじっと見つめた。
「よかろう・・・人間界行きはこっちだ、ついてきなさい。」
「!ありがとうございます!」
俺はうれしくなって、顔をにっこりさせた。



はっ、はえーっ!!俺は、駅長についていきながらふらふらして心の中でそう叫んだ。
それも無理もない、駅長の歩くスピードは、俺の3倍もあるからだ。女になって背が低くなったせいだろうか?とても駅長についていけない。
「ほらっ、どうしたのかね?まだまだ歩かないといけないぞ!」
「はへーっ・・・」
俺は、全身の力を振り絞り、残りの道を歩き続けた。
『人間界行き』らしき部屋は、駅の端っこの小さな扉にあった。俺がやっと歩き終えた頃は、もう駅長は待ちくたびれていた。
「え、駅長さん。どうしてそんなに早いんですか?」
俺は、荒く息をしながら聞いてみた。
「ハハハ・・・私は前から急ぎ足なのでね。この先に担当係がいるはずだから。あとは1人でいけるね?」
「はい。ありがとうございました。」
俺がそう言うと駅長は、俺に優しく笑いかけ、その場を立ち去っていった。
俺は、駅長が見えなくなるまで見送ると、恐る恐る、扉に近づき、そのドアノブを開けた。
「・・・・・・・・」
中はとても広く、明るい空の光がたくさん部屋を照らしていた。あの、老婆の占いテントよりもずっと明るかった。
「おや?久しぶりのお客さんですか。」
再び、俺は聞いたこともない声に足止めされた。そこにいるのは、さっきの駅長とぜんぜん違う、太った担当係だった。
「あの、あなたが人間界行きの担当係ですか?」
「いかにも。」
俺がその男に聞くと、男は俺に優しくそう言った。
「あ、あの・・・私・・・」
あっ!いけねっ!俺は、女に変わってから名前を変えていなかった。女らしい名前に。俺は、慌てて名前を繰り出そうとした。
「いいんですよ、名前なんかどうでも・・・」
男は、優しく俺の慌てぶりを解き放った。
「ところで、あなたは人間界へいくのでしょう?」
「あっ、はい!」
俺は、男の質問に慌てて答えた。その男の顔は穏やかで、とても話しやすかった。
「ここのところお客さんが少なくてね、私もたいくつしていたところなのですよ。フフッ・・・さあ、人間界へ行く検査をさせていただきます。こちらへ・・・」
俺は、男にそう言われて、部屋の奥のほうへついていった・・・奥には、電車ではなく、1つの鏡らしき物が置いてあった。
「こ、これは?」
「人間界へ行くのは電車ではないのです。検査というのは、ただこの鏡を通るだけです。」
何?それだけで検査は終わるのか?
「どうなるんですか?」
「もし行けないと鏡が判断した場合、気絶して1週間は目を覚ましません。」
男のその言葉に、俺は一瞬ビビってしまった。
「あ、あの。私、中学生なんですけど。」
俺は実際に中学生、20歳以下だ。この鏡を通れないってことはもうわかりきったことだ。
「でも、あなたはなぜここに来たのでしょうか?この鏡を通り抜ける自信があるからでしょう?ならば通れるはずです。大丈夫。もし気絶したら私がちゃんと看病してあげますよ。」
「ハハハ・・・」
俺は、少々震えた声で笑い返事をした。そして、俺は鏡の前にゆっくりと立ち、深く深呼吸をした。
「あなたが役目を果たし終えたとき・・・そのとき初めて魔法界へ戻れます。」
「・・・よしっ!」
俺は、心に決心すると、ゆっくりと片足を鏡に伸ばした・・・俺は、少し震えた。

・・・そして・・・

スッ・・・

は、入った!!俺は自分でも信じられなかった。
「入りましたよ!」
「どうやら鏡は判断したようですね。記録に残りますよ。『初めて20歳以下で人間界へ行った少女』と・・・」
男は、またしても俺に優しく笑いかけた。
「ありがとうございます!」
「中へ入るとあなたが住むにふさわしい所へ降り立ちます。体をお大事に・・・」
「はい・・・」
俺はそう言うと、ゆっくり深呼吸をし、その鏡に向かって歩き出した。
鏡は、俺を引き付けるかのように、光を出しながら俺を中へ引き込んだ。
「うわーっ・・・」
俺は、まぶしい光に全身を襲われ、吸い込まれるようにして気が遠くなっていった・・・

カッ・・・

そして俺は、・・・消えた・・・



こ・・・ここはどこだろう・・・
俺は、そう心の中で思うと、ゆっくりと目を開けた。
目を開けると、そこはまさしく人間界だった。風景は魔法界とあまり変わりはしないが、確かに人間界だ。
ここは日本らしき所だ。俺が降り立った所は、1つの大きな学校だった。
「ここ・・・学校?」

「おや?」

ひっ!!いきなり誰かの声がして、俺は驚いて後ろを振り向いた。そこには、1人の、優しそうな老人が立っていた。
「こんな所でかわいい女の子が1人倒れているとは不思議ですねー・・・」
こ、この人は誰なんだー!?俺は、不思議そうにその老人を見つめた・・・もしかして!俺がここへ降り立つところ見られたかも!?
「み・・・見ました?」
俺は、気になってその老人に聞いてみた。
「なにをですか?」
・・・ほっ・・・どうやら見られていないようだった。俺はほっとして胸を押さえた。
「あなたのお名前は?この学校の生徒じゃありませんよね?」
「あ、すみません!私・・・た、高橋由美と申します!」
俺はとっさに、高橋由美と名乗った。老人は、にっこりと俺に笑いかけた。
「自分の家はあるんですか?」
「えっ?」
老人は、まるで俺のことは全てお見通しのように、家はあるのかと俺に聞いてきた。
当然、魔法界から来たばかりで家などどこにもあるわけがない。
「い、いえ。私、昨日1人で引越して来たばかりで・・・ア、アパートを探してて!!」
俺はとっさにそう言った。老人は、俺を不思議そうに見た。
「1人で、ですか?ふむ・・・ご両親とけんかでもしたのですかな?わかりました。私がお安くていいアパートを紹介しましょう。ついてきなさい。」
「あ、ありがとうございます!」
俺はうれしくなってすぐに飛び上がった。そして、俺はその前に、気になっていることを老人に尋ねてみることにした。
「あ、あの・・・あなたのお名前は?」
俺は、恐る恐る聞いた。
「おっと、失礼・・・この『桜学園』校長の田辺青磁でございます。アパートが見つかり次第、この学校に入学されてもかまいませんよ・・・」
「あ、ありがとうございます・・・」
でも俺は中学生だ。高校などに入学してはたしてやっていけるのだろうか。
その前に、人間の勉強はぜんぜんわからない。そして、俺は最も男だ。女子として転入して、鼻血など流さないだろうか。
俺は、そんなことが気になりながらも、田辺と名乗る彼についていった・・・



「ここです・・・」
そこは、『桜学園』からあまり離れていない所にあった。外から見ただけでとても大きいアパートだということがわかった。
でっけー!これは高いんじゃないかー!?
「だ、大丈夫ですか?ここ・・・」
「ええ・・・とてもいいんですよ。さあ、行きましょう!」
そして俺は、彼に誘われるまま、その大きなアパートへと入っていった・・・



「ええ、部屋は開いておりますよ。」
俺達が尋ねると、そのアパートのオーナー、神崎が答えた。でも危なかった。最後の1部屋しか開いていないらしい。
俺はラッキー女・・・いや、男みたいだ。
「さっそく手続きを行いましょう。この紙に質問事項を書いてください。」
すると神崎は、俺に1枚の紙をよこした。そこには、名前、年齢など、書かなくてはいけない欄がいっぱいあった。
名前を書き終えると、さっそく俺は部屋へと誘われた。
最後の1部屋(305号室)は、とても広く、家具もそろい、とても安いアパートとは思えなかった。
俺は思わず、「わあっ!」と声をあげた。そのわりには、俺の予想より部屋の家賃は安かった。よし!これで俺は家を確保したぞ!
「よかったですね。では、私はこれで・・・」
役目を果たし終えると、田辺は俺の部屋からすぐに立ち去る準備をした。
「あ、ありがとうございます。あ、あの・・・近いうちに入学させてください。」
俺は、田辺の優しい心に感動して、入学させてくれと頼んだ。
「ええ、楽しみにしています。」
田辺は、また俺に笑いかけた。
「あ、それと・・・最近学校で変なことは起こっていませんか?」
俺がそう聞いたわけは1つだ。人間界へ逃げ込んだ悪魔達が、この辺で悪さをしていないか探るのだ。
すると、すぐに田辺は、首をかしげ、はっとひらめいたように俺を見つめた。
「そういえば・・・最近学校の銅像や木が破壊されていますね・・・犯人はまだつきとめられませんが・・・」
「そうですか、ありがとうございます・・・」
俺がそう言うと、田辺は不思議そうな顔をし、俺に一笑し、そこを出て行った・・・



俺は彼が帰ると、1人部屋のソファーに座り、考え事をした。
彼の言ってたことは、悪魔達の仕業なのだろうか?それなら、今夜かたづけなくてはいけない。

ピピピ・・・ピピピ・・・

と、そのとき、いきなり俺のかばんの中から、何かが音を鳴らした。
俺は慌ててかばんの中を覗いた。するとすぐに、何が音を立てているのかわかった。出かける前、父さんにもらった電子手帳だ。
「なんだろう・・・?」

カッ!!

「わっ!!」
俺が恐る恐る手帳を開けると、いきなり1線の光が飛び出し、その中に父さんの姿が現れた。
「と、父さん!!?」
『よお、キロ!元気でやってるか?こっちはサムに事情を伝えたらサムはうるさく俺に泣きついたよ!』
「そ、それよりなんだよ?あ、父さん。いい住まい見つけたから人間の金送ってくれよ!家賃とか払わなくちゃならねーんだ。」
『わかった!今度送っておくよ!それより、悪魔情報は得られたか?』
父さんがそう聞くと、俺は今までの話を全部聞かせた。田辺から学校が破壊されていると聞いたこともだ。
『うーん・・・それは不思議だな。よし!お前夜に確かめて来い!電子手帳のキーボード<KITY>を押せば、悪魔の姿が見えるようになる。それからそいつらを倒すんだ!』
「そう、わかったよ。それじゃ今夜試してみる!」
『おう!ちゃんとやれよ!』
「ああっ、わかったよ!」
そして、俺は急いで電子手帳を閉めた。もうあの親父の顔はとうぶん見たくないからだ。それより・・・
「今夜だ。」
俺は、今夜のことを考えてみた。学校を荒らしまわる悪魔。最初の悪魔だ。どんな怪物なのだろうか。
果たして俺1人の力で倒せるのだろうか?だが、奴らは封印を解かれたばかりで、力はおとえていると聞いていたからな。まあ、大丈夫だろう!
俺はそう思って、一眠りすることにした。



ブオオーッ・・・

夜10時ごろ。俺は激しい風のふく中、俺は『桜学園』の運動場真ん中に立っていた。周りはとても暗く、遠くの木の姿も見えない。
「・・・よしっ!」
そして、俺は電子手帳を開き、父さんの言うとおり、キーボード<KITY>キーを押した。
「さあ!来るなら来い!!」
すると、俺の目の前は、キラキラ光だし、だんだんと巨大な物が見え出してきた・・・
「くっ・・・これは!!」
俺は驚いた。急に光が消え、3メートルくらいの巨大な怪物が姿を現した。
「グオオーッ・・・」
怪物は、恐ろしそうな唸り声をあげ、こっちを覗いた。
そして俺は、怪物が電子手帳キーボード<KITY>を押したとたん、何もせずとも見えることに気がついた。もちろん、人間にも見えるのだ。
「ググ・・・貴様・・・見えてるなー・・・」
すると怪物は、不気味にそう俺に言った。や、やべっ!攻撃される!!

ピピッ・・・

すると、手帳は画面にある1つの言葉を現し始めた。

『破壊暴走獣−クランバ』

どうやらこれは、怪物の名を発するらしい。
「ギャース!!」
「うわっ!!」
ゆっくり画面を見る暇はない!いきなりクランバは、俺にそのとがった腕を振り落とした。
「くっ!こいつ・・・」
「俺の姿を見た者は・・・殺す!!」
こうなったら戦うしかない!俺は、ポケットから小さな剣のキーホルダーのような物を取り出した。
そう、父さんからもらった『ナルシル』の剣だ。

ギュッ・・・カッ!!

俺はその剣を握り締めたとたん、剣は俺の手の中で巨大に変化し、すばらしい刀となった。す、すげーっ!!
「なんだそれは・・・そんな剣は、わしにはきかんぞ!!」
クランバは不気味にそう叫ぶと、俺にとがった腕を振り落とした。俺は、間一髪のところでよけ、思いっきり飛んだ。
「ああーっ!!」
そして俺は、クランバの胸のあたりで剣を振り回した。
「ギャース!!」
攻撃は見事に命中!クランバは、激しい痛みにその辺を暴れまわった。
「き、貴様ーっ!!」
「うっ、うわっ!!」
すると俺は、クランバに足をつかまれ、思いっきり学校の壁へ打ち付けられた。

ドゴッ!!

「ぐっ・・・」

ズゴーン!!

俺は、クランバの腕で胸を壁に押し付けられ、空中で身動きが取れなくなった。
「殺す!!」
そしてクランバは、俺に向かってとがった腕を振り落とした。
「ううっ!!」
俺は顔を横によけ、クランバの腕の針は、俺の顔のすれすれに刺さった。あ、あぶねー!!
「ククク・・・運のいい奴め!」

ブン!!

俺はそのあと、地面にたたきつけられた。これじゃやられっぱなしだぜ!俺はすばやく立ち上がり、奴に剣を向けた。
「ほほう、やるか・・・ああそうだ。貴様が俺達を解き放ったんだったな・・・ありがとよ。だがもう貴様は関係ない!死ねえ!!」
クランバは、思いっきり腕を振り落とした。
「・・・いくぜ・・・喰らえ!!桟橋!!」
俺の前から考えていた剣の必殺技だ。
ズゴゴゴ・・・
すると、俺の桟橋は、見事に命中したらしい。俺の起こした風で、クランバの体は真っ二つに切れ、血がドバドバ飛出した。
「き・・・貴様ー!!」
いよいよだ!俺は、ポケットから1枚の白紙のカードを取り出した。
「や・・・やめろ!!」
クランバは、恐る恐る俺に言った。
「封印!!」
俺がそう叫ぶと、カードが光だした。
「ぐあああっ!!」
シューッ!!
すると、クランバは叫びながら、俺の手にあるカードの中へ封印された。
カードには、『クランバ』と名前が書かれ、クランバの恐ろしい絵が描かれていた。
「ふーっ・・・やっと終わったぜ・・・」
俺は、その場に立ち竦んだ。

「・・・ほーっ・・・そういうことでしたか・・・」

ハッ!!俺が振り向くと、そこには『桜学園』校長田辺の姿がそこにあった。まさか・・・
「お見事でした・・・高橋由美さん・・・」
田辺は拍手をしながら言った。
「あ、あの・・・これは・・・」
田辺は、いつまでも俺に笑いかけていた。
く・・・くそー!!見られてしまったー!!このあと、どうなるのだろうか?


・第3話へ続く・




・(あとがき)次回予告・

キロ:さ・・・最後・・・監督さん・・・
キング(監督):ばれちゃいましたね・・・ハハハ・・・
キロ:ど、どうするんです?これから!
キング:まあまあ、次回にご期待を!

次回!校長にばれてしまったキロの秘密!どうするキロ!そして、いよいよキロが女子高生として学校デビュー!?どうぞ、ご期待を!

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