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「おーす、こんちはー。」

「いらっしゃーい!」

ここはスポーツ店『アリーナ』。俺おなじみのスポーツ店だ。俺の元気の良い挨拶に答えてくれたのが、この店の店長の住山健二である。俺も彼も、バドミントンを得意とする男であるが、健二だけは俺より力が上で、数々の大会で優勝を奪い去っている男である。俺は今まで、彼に1回も勝ったことがない。俺の名前は、高橋裕樹である。

「相変わらず商売繁盛でいいことで〜」

俺の言うとおり、この店はすごく繁盛していた。町の中でも特に大きなスポーツ店で、店長の住山が新たに小料理店を始めたことから人気が上昇したのである。

「何か飲むかい?」

「ありがとう。じゃあコーヒーを頼む。」

俺のことを気にかけてくれた住山が言った。俺がコーヒーを1杯頼むと、彼は準備をしに、すばやく俺の前から姿を消した。

今はこうして何の気もなく生活をしている俺だが、あとから俺はとんでもないことになってしまうのであった。


BADMINTON GIRL
第1話(訂正版)
作:キング


俺はスポーツ店でモーニングコーヒーを飲み終えると、とっとと学校へ行く準備をした。俺はまだ中学生だが、心や体は高校生なみだった。そのため、たまに夜うろついていると、高校生と間違われることがあった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それからしばらくし、俺は自分の通う『桜学中学校』に入った。相変わらず生徒数の多い学校で、部活の朝練を行っている所が多数あった。

それからまもなくし、俺の前に1人の結構いけている男が現れた。彼こそ、俺の1番の仲良しの川上勝司先輩だ。朝練をやるきなのか、ジャージを着て、ラケットをかついでいる。

「どうも。川上先輩。」

「裕樹・・・お前またどっか寄ってきたのか?」

「ちょっと『アリーナ』に・・・」

川上先輩は、俺をいつものように睨み付けた。

怖いんですけど・・・

「そんな余裕があったら俺と朝練やるぞ。」

「ええっ!?」

「いいから!こい!」

「あわわわ・・・」

俺はそれから、たっぷりと朝練につき合わされたのであった。このあと、俺が遅刻をし、担任からしかられることは、言うまでもなかった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ちぇっ!あの先輩のおかげで大変な目にあったぜ!」

学校が終わり、俺は道を歩きながら1人ごとを言った。今日は月曜なので、俺達の部活は休みだったが、女子バドミントン部は、1週間休まず、練習を行っている。

実は、その女子バドミントン部の同級生神崎麻衣は、俺が恋をしている人物なのだ。麻衣は、入部してたった3週間で女子バドミントン部レギュラーとなった。とても強い、しかもかわいい女の子なのだ。

俺がそんな彼女を思い浮かべながら、道を歩き続けていたそのとき・・・

「ふっ・・・ほっ・・・ほぐっ・・・」

どこからともなく意味不明な声が聞こえてきた。

な、なんだ?

俺はびっくりし、急いで戦闘態勢をとった。そして俺は、近くのごみの山で、何かが光っていることに気がついた。

「あそこか・・・よーし。」

俺は、ごみの山に近づいてみることにしたようだ。だんだん光が近くなってきた。

「どやっ!!・・・へ?」

ごみをどかした俺は、少し驚いた。そこには、1ぴきの小さな妖精がいたのだ。人のような動物のような・・・変な顔の妖精だ。

「な、なんだこいつは!?」

「私はメリーでございます、人間様。」

俺は何がなんだか全然わからなかった。少し驚いて足がすくんでいる。

「お、お前、何者だ?」

「妖精でございます、人間様。魔法界の幸せ妖精でございます。」

「し、幸せ妖精?」

どうやら悪い奴じゃなさそうだな・・・

少し安心すると、俺はその幸せ妖精にもっと近づいてみた。小さい・・・30センチくらいだろうか。しかし、ちょっぴりかわいい気もする。

「で、その幸せ妖精がこの世界に何をしに来た?」

「私は試験中なのでございます。ここへ来て最初に出会った人間様を幸せにするのでございます。その人が本当に幸せになれば、合格するのでございます。」

「お、俺を幸せにするだと?」

「はい。」

俺は迷った。自分の幸せは、麻衣とずっと一緒に暮らすことだが、こんな間抜け面に任せていいのだろうか?

そして、俺は3分くらい黙り込んだ。

「いいよ!」

「えっ?」

俺はやっと、「NO!」と答えを出した。メリーの間抜け面が、さらに間抜けになった。

「頼りになんねー!悪いけど、別をあたってくれ!・・・っていうか魔法界のことすら信用できないからな!」

そう言うと、俺はすばやくその場を立ち去った。

「ああ!人間様ー!!・・・・・・・・・・」

そのあとメリーは、その場に立ち竦んでいた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

次の日・・・

ジリリリ・・・

結構な豪邸。俺の目覚まし時計が鳴り響いた。俺は、眠い思いでそのベルを止めた。

「ふあああ・・・まだ眠いぜ。」

俺は顔を洗おうと、洗面台へ向かった。そして俺は、そこで思わない光景を目にした。

「うっ・・・な、なんだこりゃー!!」

俺の叫び声が、家中に鳴り響いた。

「お・・・俺の体が・・・女になってる?」

叫ぶのも無理もなかった。鏡に映ったその自分の体は、まさしく本物の女の子の体だったのだ。髪は青いショートヘアーの肌がきれいなかわいい女の子だった。

「な、なんでだよ?なんで体が・・・!」

すると、俺は後ろで誰かが自分を見ていることに気がついた。まさしくあの幸せ妖精メリーだった。俺は、思いっきりメリーに叫びたかった。これじゃ幸せになるどころか、不幸せになってしまう。

「どうですか?女の方になれば、彼女と付き合いやすくなるでしょう?」

「バカヤロー!!」

またしても彼の叫び声が、家中に鳴り響いた。

「今すぐ元に戻せ!貴様試験は失敗だぞ!俺は幸せになっていないんだからなー!!」

メリーは、俺に首を絞められたため、とても苦しそうな顔を見せた。

「も・・・戻せないのでございます。」

「へっ?」

俺は、一瞬魂が抜けた気分になった。

「戻せないだって・・・?」

「女子バドミントン部に入部して、全国大会を優勝するまで元には戻らないようにインプットしてしまったのです・・・あなたはしばらく女の体で過ごすしかないのでございます。」

メリーのその言葉を聞くと、俺は完全に魂が抜け、床にひざまずいた。

「貴様よくも・・・くそー・・・これからどうすればいいんだよ。俺が女の子としてあの学校にいっても、本物の俺の体がなくなったらみんな驚いちゃうよ・・・」

「その心配はございません。このメリーがあなた様に変身してあなた様の代わりをやります。」

するとメリーは、空中で1回転をして、俺に変身した。本当にそっくりになった。何から何までそっくりだった。

「本当に大丈夫なのか?」

「大丈夫でございます。メリーはまだ修行中ですが、あなた様の能力までもコピーできる能力は持っています。」

とりあえず大丈夫のようだ。

「それじゃあ大丈夫かな?で、俺はどうするんだよ?女子のバドミントン部に入部しなきゃならないんだろ?」

「メリーが女子の制服を出します。それを着て学校に行くのです。」

「な、何!?」

俺が女子の制服を着るだと?

俺はちょっと戸惑った。確かに体は女だが、女子の制服を着るとなると・・・俺がそう考え終わるか終わらないかのうちに、すぐにメリーは制服を出してきた。

こ・・・困ったもんだなー・・・

俺は、仕方なく着替えることにしたが、着替え終わった自分を鏡で見て、俺は驚いた。自分で言うのもなんだが、なかなかかわいいと思った。どこから見ても女の子だ。

「で、俺は転校生として学校に入学するわけね。」

「そうでございます。」

「はぁ・・・全国大会ね〜・・・えっ?ってことは、全国大会に行けなかったら、俺は一生このままなのかー!?」

「ま・・・まあ・・・」

こ、こいつぶっ殺してやるー!!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「えーっ。皆さん。今日から転校してきた高橋安奈さんだ。C組の高橋裕樹の妹さんだそうだ。」

俺は、担任となった山田太郎に紹介され、1年B組の生徒全員に挨拶をした。どこからともなく、「かわいい!」の声が聞こえてきた。男子生徒だろう。だが、俺は得をした気分だった。なぜなら、B組はあの神崎麻衣と一緒のクラスだからである。俺は、うれしくて胸がはずみそうだ。

「それじゃあ君はあの神崎麻衣の横の席についてくれ。」

え?ま、麻衣の横の席だって!?

俺は、夢かと思った。同じクラスになれ、しかも隣同士の席になれるなんて。これだけの幸せなことはないだろう。俺は、ちょっぴり女になってよかったと思った。

俺は、山田に言われるまま、歩いて彼女の横の席についた。俺が、横を見ると、麻衣が俺の方をにこにこしながら見ていた。

「よろしくね。」

「え。あ、よろしく。」

俺はとてもうれしい気持ちになった。あの大好きな麻衣に「よろしく」と言われたのだ。これから楽しくなりそうな気がした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

午後になると、俺はバドミントン関係の道具を持ち、女子バドミントン部顧問の教師の所へ行った。大高鬼平といい、とても厳しそうな外見をしていた。

「おお、君が今回転校してきた高橋さんだね。男子のバドミントン部に兄さんがいるだろう。あいつは強いからな。すぐにわかるよ。」

大高は、勝手に話を進めてくれた。そして俺は、大高に入部届けを提出すると、さっそく練習を見学することにした。とは言っても、いつも反対側のコートで練習を見ている俺だったが、大高の勧めで一応見ておくことにしたのだ。

女子の練習の様子は、とにかく声が大きく、全員ちゃんとしたフォームで打っていた。コートは5コートあり、1番右側がレギュラー陣専用の練習コートとなっているようだった。俺の知っている女子のレギュラーは、全てこのコートに集まっていた。

す、すっげー。これが女子の練習かよ。

俺は少し驚いた。いつも何気なく女子の練習を見ていたが、これを俺が実践するとなると、いつまでもつだろうか。

「あ、高橋さん。この部に入部したのね!」

突然俺は、1人のかわいい女の子に話しかけられた。それは、麻衣であった。もちろん、右側のコートから話しかけてきた。かっこいい柄のシャツと、黒い短パンのレギュラーユニフォームに身を包んでいる。

「神崎さん。これからよろしくね?」

俺は、できるだけ高橋裕樹の雰囲気を消そうとがんばった。自分の胸に、女らしく、女らしくと語り続けた。

えーっと、まずはレギュラーの人達でも紹介してもらうか。

「あ、あの。神崎さん?」

「何?」

麻衣に話しかけてみると、麻衣は笑顔で俺に返事をしてくれた。俺が麻衣にほれたのは、そんな笑顔にあったのかもしれない。

「レギュラー陣を紹介してくれない?」

「え?ええ。もちろんいいわよ。」

こうして俺は、麻衣にレギュラー陣を紹介してもらうことになった。

「私がシングルスなんだけど、ダブルス2の浜崎香織先輩と野田えりか先輩のゴールデンコンビはとても強いのよ。2人は部長と副部長なのよ。ダブルス1は内川理恵先輩と立花望先輩のペアね。今の所団体戦はそんな組み合わせになっているわ。あと控えに江藤加奈先輩がいるけど。」

「ありがとう。結構誰が誰だかわかったわ。」

「がんばってね。あなたも強いんでしょう?あの高橋君の妹さんだもんね。」

「う、うん。ありがとう。」

今彼女自身が話しているのが元の俺、高橋裕樹としれたら、とてもショックを受けるだろうな。きっと変態と思われるかもしれない。

と、そんなことを俺が1人考え込んでいるとき、1人の背の高い(やはりレギュラーユニフォームを着た)女性が、俺の元へ寄ってきた。たった今彼女から紹介があったので、俺はもうわかりきっていた。部長の浜崎先輩だ。

「どうも。」

俺は、こっちをにこにこしながら見てくる浜崎部長に1回頭を下げた。本当にこの部は笑顔にあふれているようだ。

「あなたが転校生の高橋安奈ちゃんね。かわいいわね。麻衣ちゃんといい勝負よ。」

「え?そんな。神崎さんの方がまだまだかわいいですよ。」

メリーによって女性に変えられたせいか、俺の身長は麻衣ほど低くなり、とても部長の背が高く見えた。身長150センチの麻衣と同じ背丈なんだ。部長から見て俺がかわいく見えるのも無理もなかった。

「ねえ、知ってる?安奈ちゃん。」

「なんですか?」

「この部に入部した人はね。テストを受けなきゃいけなきゃならないのよ。」

「テ・・・テスト?」

聞いたことがなかった。テストというのは、おそらくバドミントン関係のテストだが、一体どんなことをするんだろうか。

「あ、あの。テストってどんなことをするんですか?」

「簡単なことよ。ただ私と勝負するだけよ。大会の中には男子と闘う組み合わせもあるからね。さあ、ラケットを持ちなさい。テストをするのよ。」

浜崎部長は、俺の目の前にラケットを向けてきた。

そ・・・そんないきなりー・・・

驚いた俺は、一瞬その場に立ち尽くしてしまった。だが、やるしかなかった。俺は、ジャージを脱ぎ、Tシャツと短パン姿になると、ラケットケースから自分のラケットを取り出すと、ゆっくりと部長の顔を見た。

「よろしくお願いします。」

俺は、静かにそう言った。部長は、再び笑顔を俺に向けた。

俺と部長は、それぞれのコートにつき、それぞれ向かい合った。サーブは俺からだった。審判からシャトルを受け取ると、顔の前で構えた。

『15点1ゲーム。0(ラヴ)オールプレイ!』

審判のコールがコート中に鳴り響くと、俺は部長に1回頭を下げ、サーブを高く打ち上げた。俺はサーブも結構得意な方で、シャトルは遠くまで飛んだ。

シュパッ!!

部長は、それを高いクリアーで返してきた。

今だ!!

シュパーッ!!

俺のその1打に、コート中の部員はすぐに黙りきってしまった。

『ポイント1−0!』

審判が声をあげた。全員、何が起こったかわからなかったようだ。俺は、ただスマッシュを打っただけだった。俺の得意な、ジャンプスマッシュを。部長のクリアーが遠くまで飛ばないうちに3メートルほどジャンプをし、高速スマッシュを打ったのだ。

「へー。なかなかすごいじゃない。」

部長は、俺に笑顔を向けた。この技は、男子部でも強力だったので、そう言われるのも無理はなかった。

「まだまだいきますよ。浜崎先輩・・・」

・続きます・

・あとがき・

どうも。キングです。『BADMINTON GIRL』訂正させていただきました。僕も中学生で、バドミントンをしているんですが、ラリーを文章で表すとなると、結構難しいんですよね。幸せ妖精によって女性に変えられるというめちゃくちゃな物語なんですが、これから裕樹が女子中学生として部活、そして学園生活にがなばりますので、どうか応援よろしくお願いします。

・あとがき終わります・ 戻る


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