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ある暑い夏の夜・・・「浜崎総合体育館」にて・・・

今ここは、2人の男で貸しきってあった・・・

パシュッ!!

1人の男のスマッシュが、相手のコートに見事決まった。彼のスマッシュは学校でもかなり強く、とても誰も返せなかった。

「先輩!どうですか?俺のスマッシュは。」

「ああ、すごいよ。やっぱりお前のスマッシュは最強だな!さあ、もういっちょ来い!」

彼は「浜崎学園(中学)」の男子バドミントン部の正レギュラーだった。いつもそのナイスプレーで、部のみんなを助けていた。





BADMINTON GIRL
第一話

作:キング





彼の名前は風間裕樹という。今打ち合っているのは、3年先輩の林将史だ。林は、男子バドミントン部の副部長を努めている。かなりの力を持つ林は、裕樹に勝つか負けるかわからなかった。裕樹も、今はまだ1年生だが、そのバドミントンプレーは、まさしく本物だった。彼もまた、レギュラーの一員だった。

「さあ、先輩。もう1球いきますよ!」

「ああ!」

そして、シャトルを左手に、彼は右手のラケットを構えた。するとサーブの前に、あるかわいげな声が、彼を呼び止めた。

「あの、風間君!」

「え?ああっ!」

裕樹は、慌てて後ろを振り向いたため、左手のシャトルを床に落としてしまった。すると、裕樹の顔に、ある変化が現れた。

「あ・・・ごめん。風間君、私も打たせてくれない?今日練習できなかったから。」

振り向いたところに立っていた女の子が、裕樹に聞いてきた。

「あ・・・」

彼の顔が、たちまち赤くなった。なぜなら、彼女は唯一彼が恋に落ちた女の子だったからである。彼女の名前は、浜口麻衣である。彼女は、女子バドミントン部の中でも1番優しい同級生であった。すると、裕樹の先輩の林は、ニヤッと笑い、なぜか自分のシューズとラケットをかたづけ始めた。

「じゃあ風間。俺ちょっと用事思い出したからそろそろ帰るよ!」

「え、ええっ!?」

すると、林は裕樹に、「うまくやれよ!」というふうににっこりと笑いかけた。

「じゃあな!」

「ちょっと!先輩!」

だが、林は彼の言葉を無視し、すぐにその広い体育館から消えていった・・・体育館に彼女と2人っきりだとわかった裕樹は、胸がどきどきしていた。

「ねえ、風間君・・・?」

「あ、ああ・・・それじゃあ打つか、浜口。」

裕樹がOKを出すと、麻衣はうれしそうな表情を見せた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

しばらくし、2人はラケットを持ち、自分のコートへついた。麻衣はとてもかわいく、とてもバドミントンを得意とするとは思えなかった。だが、彼女の実力は甘くないということを、裕樹にはわかった。

「さあ、いくぜ浜口!」

「ええ。」

そして、裕樹の第2に得意とするサーブを打った。

「へえ、すごいわね!」

彼女はいきなりドライブを打ってきた。裕樹は、それをうまく返した。バックハンドのクリアーだ。すると、麻衣は爪先立ちをし、その打ちあがったシャトルめがけて思いっきり飛んだ。

「ああーっ!!」

シュパーッ!!

彼女の打ったのはスマッシュだった。だが、それはただのスマッシュではなかった。

(は・・・速い!!)

風間の次・・・いや、同じくらいに速かった。風間は、それに触れることすらできなかった。

「すげえなお前!そんなに速かったのか、スマッシュ?」

「フフッ・・・」

彼女は、にっこりと裕樹に笑いかけた。裕樹は、彼女の笑顔に釘付けになった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

1時間後・・・

裕樹は麻衣との打ち合いを終えて、夜道を1人で帰っていた。彼はゆっくり、彼女のことを思い出していた。

「あーあ・・・いい女の子だよなー・・・」

・・・と、そのとき・・・

「ふっ・・・ほっ・・・ほぐっ・・・」

どこからともなく意味不明な声が聞こえてきた。

(な、なんだ?)

裕樹はびっくりし、急いで戦闘態勢をとった。そして裕樹は、近くのごみの山で、何かが光っていることに気がついた。

「あそこか・・・よーし。」

裕樹は、ごみの山に近づいてみることにしたようだ。だんだん光が近くなってきた。

「どやっ!!・・・へ?」

ごみをどかした裕樹は、少し驚いた。そこには、1ぴきの小さな妖精がいたのだ。人のような動物のような・・・変な顔の妖精だ。

「な、なんだこいつは!?」

「私はメリーでございます、人間様。」

裕樹は何がなんだか全然わからなかった。少し驚いて足がすくんでいる。

「お、お前、何者だ?」

「妖精でございます、人間様。魔法界の幸せ妖精でございます。」

「し、幸せ妖精?」

(どうやら悪い奴じゃなさそうだな・・・)

少し安心すると、裕樹はその幸せ妖精にもっと近づいてみた。小さい・・・30センチくらいだろうか。しかし、ちょっぴりかわいい気もする。

「で、その幸せ妖精がこの世界に何をしに来た?」

「私は試験中なのでございます。ここへ来て最初に出会った人間様を幸せにするのでございます。その人が本当に幸せになれば、合格するのでございます。」

「お、俺を幸せにするだと?」

「はい。」

裕樹は迷った。自分の幸せは、麻衣とずっと一緒に暮らすことだが、こんな間抜け面に任せていいのだろうか?

そして、裕樹は3分くらい黙り込んだ。

「いいよ!」

「えっ?」

裕樹はやっと、「NO!」と答えを出した。メリーの間抜け面が、さらに間抜けになった。

「頼りになんねー!悪いけど、別をあたってくれ!・・・っていうか魔法界のことすら信用できないからな!」

そう言うと、裕樹はすばやくその場を立ち去った。

「ああ!人間様ー!!・・・・・・・・・・」

そのあとメリーは、その場に立ち竦んでいた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

次の日・・・

ジリリリ・・・

結構な豪邸。裕樹の目覚まし時計が鳴り響いた。裕樹は、眠い思いでそのベルを止めた。

「ふあああ・・・まだ眠いぜ。」

裕樹は顔を洗おうと、洗面台へ向かった。そして裕樹は、そこで思わない光景を目にした。

「うっ・・・な、なんだこりゃー!!」

裕樹の叫び声が、家中に鳴り響いた。

「お・・・俺の体が・・・女になってる?」

叫ぶのも無理もなかった。鏡に映ったその自分の体は、まさしく本物の女の子の体だったのだ。髪は青いショートヘアーの肌がきれいなかわいい女の子だった。

「な、なんでだよ?なんで体が・・・!」

すると、裕樹は後ろで誰かが自分を見ていることに気がついた。まさしくあの幸せ妖精メリーだった。裕樹は、思いっきりメリーに叫びたかった。これじゃ幸せになるどころか、不幸せになってしまう。

「どうですか?女の方になれば、彼女と付き合いやすくなるでしょう?」

「バカヤロー!!」

またしても彼の叫び声が、家中に鳴り響いた。

「今すぐ元に戻せ!貴様試験は失敗だぞ!俺は幸せになっていないんだからなー!!」

メリーは、裕樹に首を絞められたため、とても苦しそうな顔を見せた。

「も・・・戻せないのでございます。」

「へっ?」

裕樹は、一瞬魂が抜けた気分になった。

「戻せないだって・・・?」

「女子バドミントン部に入部して、全国大会を優勝するまで元には戻らないようにインプットしてしまったのです・・・あなたはしばらく女の体で過ごすしかないのでございます。」

メリーのその言葉を聞くと、裕樹は完全に魂が抜け、床にひざまずいた。

「貴様よくも・・・くそー・・・これからどうすればいいんだよ。俺が女の子としてあの学校にいっても、本物の俺の体がなくなったらみんな驚いちゃうよ・・・」

「その心配はございません。このメリーがあなた様に変身してあなた様の代わりをやります。」

するとメリーは、空中で1回転をして、裕樹に変身した。本当にそっくりになった。

「私は早めに学校へ行きます。あなたは学校で転校生として入学するのです。」

「わ・・・わかった・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・

1時間後・・・

裕樹は入学の許可を得ようと、「浜崎学園」へ向かっていた。女子の制服をもちろん着ていた。何か悔しい気もした。しかし、一瞬あることが彼の頭に浮かんだ。女子バドミントン部に入部すれば、いつも麻衣と話ができるんだ。

「結構得かもな・・・」

・・・と、そのとき・・・

「おいおい、かわいいねーちゃんよー・・・」

「えっ?」

そんな声がして、裕樹は一瞬にして大きな男の集団に取り囲まれた。

「な、何よあなた達?」

裕樹は、できるだけ女の子らしくしようとがんばった。

「バドミントンやってるの?よかったら俺達と打たない?」

「いやよ!私時間ないの!」

だが、裕樹は不良達に方をつかまれ、壁に押し付けられた。

「きゃあ!何するの?」

「いやでも付き合ってもらうぜ!ちょいと打っていけよ!」

大変なことに出会ってしまったようだ・・・

・続く・

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