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Mlchemist(錬金術師)
第4話 光サイド
作:Mist






「今日も逃げてきたの!」

あの事があってから僕は毎日保健室を訪れるようになった。正直、だんだん慣れてきたとはいえ、毎日のように大騒ぎの教室から逃げる為である。
それも当然である。毎朝下駄箱を開けると50通以上は確実のラブレターに、休憩時間になると廊下を埋め尽くさんほど沢山の人だかりになる。人気が有り過ぎるのも考え物である。
「男だった時はあんなに楽だったのに」

「その可愛さ、スタイルしかも学年トップの成績、運動神経バツグンとなればね〜!」

「水島先生、あなたの所為でしょ!」

光は、その水島先生が一昨日に言った内容を思い出した。
それも、演劇部の臨時顧問の水島先生が勝手に文化祭の劇のヒロインに演劇部でもない光を抜擢してしまった。単に、部員が足りなかったのだが、しかも、キスシーン有りの演劇である。
それを主役は光が選ぶとした為に、物凄い事になってしまった。
「はやく女の子に慣れるようにと私からの配慮じゃない。あなただって好きでもない人とはいやでしょ!」

水島先生は、さらっとそんな事を言う。多分、そんな気持ちはさらさらない。基本的に面白ければそれでいいという人では有るが、しかし光からすればたまったもんじゃない。
「撤回して下さい。」

「それは出来ないわ。というかこの状況でできると思えないけど。もうやる気満万よ学校の男子連中!」

そう放課後、演劇の練習している男子もいるくらいである。今、撤回すればどうなるかそれこそ大事になりかねない。

「・・・・・・・・・・」

その言葉で、光は何も言えなくなってしまう。しかし、簡単に唇を渡すわけにはいかない。
光は、男だった時も含めキスした事は一度もない。
「3ヶ月あるのだから、恋人でもつくって一緒にやりなさい。それに、かなり女性化も進んでいるみたいね。」

光の仕草は、もう最初から女の子だったとしか思えない。それぐらい男だった時の仕草は消えてしまっている。
「水島先生、他人事だと思っているでしょ!」

「まぁいいじゃないの、学年の男どもに夢を見せてやっても、そろそろ、休憩時間も終わりね。」

と水島先生は、腕時計を見て光に『そろそろね』と教室に戻るように言う。
「光ちゃん、それと体の方は大丈夫!薬はちゃんと飲んでる?」

光が保健室を出ようとドアを開けようとした時、急に思い立ったように水島先生が聞いてきた。
「もう体の方は大丈夫です。薬はちゃんと飲んでますよ。」

と言うと、光は教室に戻っていった。

水島先生は、その姿を確認すると急に複雑な表情になる。
「間に合うかしら、いや光ちゃんの為に間に合わせないと行けないわ!」

今回の件、本当のところ光が何時か自分のことがわかる時が来る、その時何か熱中できる物があったほうが良いという水島先生の配慮だった。

光は、教室に戻る途中、水島先生に言われた事を少し考えてみた。
「恋人ね〜!」

光は、頭の中にクラスの男達を浮かべるがいまいちである。既に、女の子を浮かべなくなってしまっている。
ふと、光の頭の中にあの不思議な気配を持った少年のことが頭によぎった。
会った時から思ったが、何故か印象に残っている。ちなみに生徒手帳がなくなっている事に光が気付いたのはもう少し先である。

それから一週間が過ぎ、勝手に演劇部に借り出された光は、毎日のように演劇の練習をさせられていた。半強制的ではあるが。
「光、ドンマイ!」

いきなり光に演技が出来る訳もなく、困っていると演劇部の部長が話し掛けてきた。
「南部長!」
「まだまだ時間はあるのだからあなたなら何とかなるわ!」

南部長は、いつも光に優しい言葉をかけてくれる。正直、演劇のことを良く知らなかった光はありがたく思っていた。
「本来なら部長がヒロインを演じるべきです!」

南部長の演技は光から見ても凄いと言うのは分かる。素人目から見ても別格だと思う。そして、その人を差し置いて自分がヒロインを演じているのはどうかなと思う。
「そんな事はないわ。それに受けてくれてありがたく思っているわ!」

そう言うと南部長は、優しい笑顔を光に向けた。

そんな演劇部の練習の後、帰り道の公園に通りかかった時少し血のにおいがする事に気が付いた。
光は、警戒しながらそのにおいがする方向に行く事にした。ここは光が前に倒れた場所と同じ場所である。
そこに腹から血を流した人が倒れていた。かなりの血が流れているのは暗くても分かる。だが、助からない傷ではない。
「えっ、」

その人の顔を確認しようと顔を見た時、その顔はこないだぶつかった少年だと言う事に気が付いた。 なぜこんなところにと光は思ったが、そんな事も言ってられない為、救急車を呼ぼうと携帯電話を掛けようとした。
「うっ・・・」

その時、その少年が苦しそうに声を上げた。少しではあるが意識はあったようだ。
「大丈夫よ。今、救急車を呼ぶから!」

と光が心配し励ますように声をかけた。
「ダイ・・ジョ・・ウブ・・だから!」

しかし、その少年は大丈夫だと言うと光の顔を見た後、携帯を弱弱しい力で掴むと意識を失った。


タイムリミットまで4ヶ月と3週間



後書き
かなり話がずれてしまった気がしますが、ゆるして。
5話目で光ちゃんが修二君を看病する事になります。駄文ですがお許し下さい。 今回は光ちゃんサイドと修二君サイドを別々にさせていただきます。修二君がなんで倒れていたのかの 修二君サイドをご覧下さい。近い将来に出しますので。長くなりそうですが付き合っていただけると幸いです。


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