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TWIN MINDS(海でのお話 礫視点)

作:超!海老寿司



「わ〜い。海だぁ♪」
「あんまりはしゃぐと危ないよ緒里」
「は〜い」
あ、いきなりコケた・・・。
「言わんこっちゃない・・・じゃあ礫、私は緒里と泳いでるね」
「おう」
「女の子なんだから一人でふらついてたりしないでよ?」
「おう・・・・・・・・?」
・・・・・・ということはつまり・・・・・・俺の相手はさっきから俺の肩に手をのせてる・・・・・・
「仁・・・・・・お前か・・・・・・」
「何だ?ガッカリそうだな?」
帰りたいぐらいガッカリだよ・・・・・・何が悲しくて海でヤローと二人きり・・・
はぅ〜っ(泣)
・・・・・・まぁ、嘆いててもしょうがね―か。それじゃあとりあえず・・・・・・
「手ぇ離せ」
「やだ♪」
こいつ・・・・・・いっぺん殴ったろか。
「とにかく恥ずかし―から手ぇ離せ、俺たちも海入るぞっ」
「じゃあ夕方この場所で」
「おう」
「そんじゃあ礫、俺たちも行くとするか」
まぁたこいつは人の肩に手を・・・・・・。
「あのさ・・・・・・仁・・・・・・」
「何だ?」
「人のいない、静かなトコ行きたい・・・・・・」

・・・・・・・・・

「おぉぉぉっっ!?」
今の間は一体・・・・・・それに・・・・・・
「『おぉぉぉっっ!?』ってのは何だよ『おぉぉぉっっ!?』ってのは!」
「お前いつからそんな大胆になったんだ?」
ちょっと待て。
「なんで『大胆』なんだ?」
「だってさっきのお前の表情、誰がどう見ても『おとめのはじらい』の顔だったぞ。加えてさっきのセリフ、これはどう考えてもアレだろうが」
う゛・・・考えてみれば確かに・・・・・・でも
「20歳前後のにーちゃんがウキワもってゴーグルかけて肩に手ぇ置いてきたら誰だって恥ずいわ!!」
「またまたぁ、本当は俺と『あ〜んなコト』や『こぉんなコト』したいくせに」
おひコラ、何だよその『あ〜んなコト』や『こぉんなコト』って・・・・・・
第一お前と何するってんだ?
とにかく・・・
「俺はこーゆーときぐらい女のフリすんのやめてゆっくりしたいんだよ。」
「身体は女じゃねーか」
「俺自身は男だ」
「・・・・・・っち」
その『っち』ってのは何だよ『っち』ってのは・・・・・・。


* * *


・・・・・・あのウキワは俺用だったのか・・・・・・。
そーいや俺、この身体になってから一度も泳いでなかったっけ・・・・・・。
泳ぎは身体で覚えるものだしね・・・・・・。
まぁ・・・・・・ウキワにのっかってんのも楽でいーや。
・・・・・・あっ魚。
手、届くかな?・・・・・・届くわけないか。ここけっこー深いもんな・・・・・・ん?
「深・・・・・・い?」
え・・・・・・と・・・・・・岸が・・・・・・遠いよ・・・・・・。
「お〜い仁〜っ!」
・・・・・・っていねーしぃ(泣+苦笑)
「とにかく岸に戻んないと・・・・・・」
ウキワに乗ったままじゃ動けないからとりあえずここから下りて―――
ぐらっ・・・・・・
えっ『ぐらっ』・・・・・・?
「うわっ」

ばっしゃあぁぁんっ!!

身体が沈む・・・・・・息が・・・・・・苦し・・・・・・
何だ・・・・・・視界が・・・・・・魚?
・・・・・・ちがう・・・・・・人だ・・・・・・
あれは・・・・・・


* * *


「・・・・・・う・・・・・・ん・・・・・・」
・・・・・・砂浜?・・・・・・そっか、俺、溺れて・・・・・・それで・・・・・・
仁が・・・・・・
「よっ、起きたか?」
仁・・・・・・
「俺の身体に変な事してねーだろーな?」
「おいおい、助けてもらっていきなりそれかよ?」
「してねーよな?」

・・・・・・

「大丈夫、大丈夫」
今の間は何だ今の間は!?
「笑って言われても説得力ないわぁっ!?」
「大丈夫だって」
いや、だからって真顔で言い直しても説得力ないぞ、お前の場合。
「それにしてもビックリしたぞ?潜水で近づこうとしてたらいきなり落ちてくるんだからな」
え・・・・・・っと・・・・・・それはつまり・・・・・・
「お前は俺にちょっかいかけるつもりであの場で潜って隠れてた・・・・・・と?」

・・・・・・

「ひどいな礫、人工呼吸もしてやったのに」
だから何なんだよ今の間は・・・・・・って・・・・・・まさか・・・・・・
「あの・・・・・・仁さん?」
「何でしょう?」
「つかぬ事をお聞きしますが・・・・・・」
「ほいほい」
「『人工呼吸』とは・・・・・・どの様な?」
「もち、マウス トゥ マウス のあれ」
・ ・・・・・やっぱり・・・・・・。
俺の初キスがよりにもよって「こういうカタチ」だなんて・・・
「はぅ・・・・・・」
・ ・・・・・まぁ、溺れてたんなら・・・・・・仕方ないか・・・・・・。
「海の家で何か飲むか?」
仁・・・・・・
「おう」
ありがとな


* * *


空が海が日の光で赤く染まってく・・・・・・。
「もう夕方・・・・・・か」
まだ泳いで(浮かんで)たいのに・・・・・・。
「そろそろ戻るから早く上がってこい」
「ん、オッケ」
「結局ウキワは外せなかったな」
「うるせぇよ」
それにしても・・・・・・この時間帯に水から上がると少し寒・・・・・・

ふわっ

あ・・・・・・バスタオル・・・・・・?
「濡れたまま放っとくとカゼひくぞ」
「お前は?」
「それ一枚しかないんだ」
「だったら持ってきたお前が使えよ」
「お前も身体は女だからな、譲ってやるのは当然だろ?」
仁・・・・・・お前は本当に優しいやつだよ・・・・・・。
でも・・・・・・

ふわっ

「心は男だ、身体の分・・・・・・半分だけしか受け取ってやんない。それに・・・・・・」 こうしてくっついているん方が暖かいし・・・・・・ね。
「・・・・・・」
「何だよその『異世界の物を見るような眼』は?」
「いや・・・・・・腕組んでくるとは思わなかったから・・・・・・」
あれ?いつの間に腕組んだんだ・・・・・・俺?
・・・・・・まぁいっか。
「とにかく戻ろうぜ、沙耶と緒里が待ってるからさ。ちょっと遠いし」
「・・・・・・そうだな」


こうして二人で歩いてるとつい意識してしまう・・・・・・。もちろん自分が仁に想いを抱いてるのもわかってる・・・・・・。でも・・・・・・認めたくない・・・・・・。
認めてしまえば・・・・・・打ち明けてしまえばどんなに楽になるだろう・・・・・・。
でも・・・・・・怖い・・・・・・。
もし認めてしまったら、同時に、女になった事・・・・・・もう男じゃない事も認める事になってしまう。そしたら、俺が俺でなくなってしまいそうで・・・・・・。
ばかだよな・・・・・・俺は俺、変わる事なんてないのに・・・・・・。
仁・・・・・・。
お前は俺の事をどう想ってるんだ?
俺にとってお前は・・・・・・一番大切な・・・・・・
大切な・・・・・・
・・・・・・親友、今はそれでいい・・・・・・
俺が全てを受け入れる勇気を手に入れるまでは・・・・・・。

おわり


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