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沈姫 - Shizuhime -
《第五章/終章 沈姫》

作: 蘭 死郎




「お嬢様のご学友ですか? 残念ながら、当家にお招きすることはできかねます」
 放課後になり、二人で車のところまで来ると、霧島さんは強い口調で姉の同行を拒否した。これは予想した通りの反応だ。
「なぜ? 娘のボーイフレンドにも会いたくないか。南条先生は意外に了見の狭い人なんだねえ」
 姉は、わざと挑発するように言う。だが家政婦のペースは変わらない。
「理由を申し上げる必要はありません。お帰りください」
「理由なら、あるさ。あんたがたが僕を招待しなきゃならない理由がね――」
 そう言って姉は、私にそうして見せたように、ハイカラーのシャツの襟を開く。
 いつも決して表情を動かさない、あの霧島さんの片方の眉が、ぴくりと上がった。
「……なるほど。お待ちなさい。まず、当主に伝えます」
「駄目だ。今すぐ、僕たちを屋敷へ連れてゆけ!」
 霧島さんは医院のほうへ電話をかけようとして止められた。まだ携帯電話が今のように普及している時代ではない。車載電話でさえ珍しく、家まで連絡するとなれば近くの公衆電話を使うしかないのだ。
 立ちふさがる姉を前に、霧島さんは小さく嘆息し、肩をすくめた。彼女のせいいっぱい、最大級の感情表現だろう。
「仕方がありませんね。乗りなさい」
 私たちは車に乗り、南条医院を目指した。

 私たち三人は無言のままだった。重いエンジン音と、姉がナイフをもてあそぶ金属音だけが車内に響く。
「姉さん……手荒なことは、しないで」
「あいつをかばうのか?」
 睨まれて、私は目を伏せた。
「それに、今の僕を『姉さん』などと呼ぶな。おかしいだろう」
「じゃあ、恵一……さん」
「それでいい、彩香」
「私の今の名前――本当の名前は、『菫』です」
「ふうん? いい名前だ。似合ってるよ」
「…………」
 私たちの潜めた声が聞こえているのかいないのか、霧島さんは終止無言で、通い馴れた道での運転を続けていた。
「……姉さ……恵一さんって、左利きだった?」
 ふと、姉の手が止まる。
 そう。私を彩香と勘違いして脅した時も、姉はナイフを左手に構えていた。今もまた左の手で刃を出し入れする動作を行っており、私は疑問に思ったのだ。
 姉は無言で、右手を顔の高さぐらいまで上げる。
 その手は、小刻みに震えていた。
「……リハビリを続けたけど、これだけは治らなかった。物を持つぐらいはできるけど、字を書いたり箸を使ったりはできないんだ。左手が使えるようになるまで、苦労した」
「…………」
「あんたが……いや。死んだ弟が、僕を拒否してるんだと思ったよ。勝手に自分の体を使われるのが悔しいって……僕も同じ気持ちだったから、疑惑に思い至ったとき、あいつを絶対に許せないと思った……!」
 姉は右手を拳に握り、ドアを横ざまに強く叩いた。伏せた顔が苦渋に歪んでいる。
 私は何も言えず、体を固くして座っている。
 いつもの通学の道程みちのりが、永遠ほどに長いもののように感じられた――。

 車から降りて見上げた医院の建物は、いつもと違って無気味なものに見えた。
 事故のあとしばらく、姉は階下の病室にいたのだ。そのとき私は私邸のほうの上の階にいて、出会うことなく互いに死んだものと思い込まされていた。
 なぜ、そんなことをする必要があったのか? 南条医師は、どんなつもりで私たちを引き離す工作をしたのか。
 それに――彩香は、どこまでこのことを知っているのだろうか?
 姉には言わなかったが、事故を最初に発見したのは彼女だった。もちろん姉のことを全く知らないわけはないだろう。知っていて黙っていたのか、私にも。
 信じたくないが、そう考えるしかない。
「ご当主、申し訳ありません。この者が――」
「どけっ!」
 頭を下げる霧島さんを押しのけるようにして、姉は診察室に踏み込んだ。私も後に続く。
「君は? ……菫くん? ああ、そうか、君なのか」
 南条医師は、一緒に来た私と見比べて、やっと姉が何者なのかを了解したようだった。

 この医院に外来の患者は滅多に来ない。当然、通院患者もない。その日も例外ではなく、南条医師が開業時間中に診察室にいるのも、形ばかりのことだった。
 私たちは私邸部分の応接室へと通された。
 いつもと同じ家なのに、どうにも落ち着かない。気が滅入る。
「――話してもらおうじゃありませんか。あなたが何故、僕たちにこのような仕打ちをしたのかを」
 姉の語調は静かだったが、言葉の裡には烈しい怒りが込められていた。
 義父、南条医師は膝に肘をつき、組んだ手の中に顔を埋めるようにして無言を保っている。なぜか話すのをためらっているようで、思い悩む様子。
 横にいる姉の苛立ちが伝わってくる。私はそれを抑え留めるように、その腕にそっと手をかけた。
「……そうだな。もう隠し通せないだろう。
 すべては私が悪いんだ。だが、逆らえなかった……」
 苦渋に満ちた言葉が洩れてきて、私はおや、と思った。それは姉も同じだろう。
 彼がこんなにあっさりと非を認めることも予想外だったが、それより、妙なことを言った。『逆らえなかった』とは――?
 すると私たちに施された移植手術は、彼自らが画策したことではなかったのか。誰かに強要されて行ったというのだろうか?
 罪の告白と、同時に責任の所在が別にあることの示唆。私たちはその一見矛盾するような言葉を理解すべく、目まぐるしく思考を巡らせながら、南条医師の次の言葉を待った。
「妻の聖子が亡くなったのが、すべての発端だった。もう十年ほども前になるか――」
 彼は遠くを見るようにして語り出す。
「胃ガンが、気づいたときは全身に転移していてね……手遅れだった。もう少し早く気づいていればと、悔やんだよ。救うことができなかった。
 だが彼女の死を私より重く受け止めたのが、娘の彩香だった。五歳になって間もないような頃だったけれど、母親の死をしっかり認識していたばかりか、私を恨むとさえ言ったよ。その頃から、聡明さの片鱗はあったのだが……たぶん聖子の父親、私の義父に似たのだろうな。
 娘に責められて、弁解もできなかった。それはそうだ。医者なのに、愛する妻ひとりの命さえ救えなかったんだから。
 私は罪滅ぼしのつもりで、彩香の言うことは何でも聞いてやった。彩香は小学校への入学を拒み、家で学習することを望んだ。あらゆる教科について可能な限り最高の家庭教師をつけてやったよ。
 彩香は外科医になりたいと言っていた。果たして、あの子は凄まじい速さで知識と技術を吸収していった。数年のうちに、つまり十歳にも満たないうちに、医科大学レベルの技量を身につけてしまった。その頃にはもう教師は必要とせず、独学に切り替わっていた。
 本当のところ、私自身は医者として、たいした腕前を持っていたわけではなかったからね――医大には親の金で入ったようなものだったんだ。その私の力量を、娘は遥かに陵駕していたろう。
 じつは、私の代になって、この医院の経営は行き詰まっていたんだ。義父の遺産を食い潰すような形でなんとか存続させていた。それを娘が、腕一本で立て直した。
 表向きは私が一人で行っていることにしていたが、実際の診療は、投薬や執刀なども含め、いつしか彩香が受け持つようになっていた。
 もはや私は、娘に養ってもらっているようなものだったよ。今もそうさ」
 すっかり冷めたお茶を、南条医師は震える手で口に運び、一気に飲み干した。
 私と姉は意外な話の成行きに当惑し、沈黙を保っている。
「一方で彩香は、その頃から奇妙な実験を始めていた。実験用動物を使った生体移植――ラットや犬、猿などを使ってのものだった。
 外科的な技術上の問題は難なくクリアしたが、課題は免疫の抑制と、神経系の再生だったようだ。それも娘は、独自に開発した手法で成功させたようだった。
 もうわかったろう。私が君たちそれぞれに、私自身の成果として語った頭部移植の成功は、娘の彩香が行ったことだったんだ」
「――それじゃあ、僕たちの、この体は……」
 まだ信じられないといった様子で、姉が訊ねた。
「ああ。実験の仕上げとして、彩香がやった。あの事故は偶然とはいえ、娘には『お誂え向き』だったんだろうな。
 申し訳ない。私には、それを止められなかった。それどころか娘の言うがまま、君たちを騙す結果になってしまった。非常にすまないと思っている――」

 そんなことは聞きたくなかった。私は目を閉じ、両手で耳を押さえ、ソファの上で身を小さくしていた。いっそ、消えてしまいたいと思った。
 それでも塞いだ耳に、姉の怒号が届く。南条医師の襟首を掴まえて、食ってかかっているらしい。
 ふと私の脳裡に、あの鈍いナイフの光がよぎった。いけない。
 惨事を予想し、私は自らの裡に閉じこもるのをやめて顔を上げた。まだ姉は、義父に掴みかかっている。しかし様子がおかしかった。
 南条医師は自らの胸を押さえて苦しんでいた。だが、刺されたというわけでもなさそうだ。それが証拠には、姉のほうもまた為すすべもなく呆然としている。
 姉が手を離すと、彼は苦悶に胸を掻きむしりながら絨毯の上に倒れた。そのまま何度も、ひきつるように体を折り曲げ、やがて徐々に、衰弱していく様子だった――。
「な、何をしたのっ?」
「う……わ、わからない。勝手に、苦しみだして……」
 はっと思った。毒?
 姉も同じことを考えたようで、ふり返ってテーブルの上の湯呑み茶碗を見る。
「とにかく、医者を。救急車を!」
「だめ。間に合わない。彩香さんを……っ」
 そう言ってから、私は気づく。
 もしもお茶に毒が盛られたのなら、それをやったのはこの屋敷の中の誰かだろう。
 私自身は身に覚えがないし、姉も自分でしたことなら、こんなに取り乱しはしないはずだ。
 南条医師が全てを話したあとに自害を図ったという可能性を除けば、残るは二人。家政婦の霧島さんと、それから――。
「まあ、お父様ったら。そんなところで寝てしまっては、風邪をひきますわよ」
 ぎょっとして顔を上げる姉。私も声のしたほう、階段の上を見る。
 窓からの陽に照らされた逆光の中、白いドレスに身を包んだ彩香が、ゆっくりと降りてくるところだった。

「彩香さん! 違うの。先生がっ!!」
 私は叫ぶ。
 だが彼女はその歩みを速めることもなく、言った。
「菫さん。女の子がそんな大声を出しては、はしたないわ」
 そう。そうなのだ。
 彩香は事態を、この状況をすべて理解したうえで――。
「お前が、こいつの娘か!」
「おひさしぶりね、里穂さん。いいえ。恵一さんとお呼びすべきかしら? すっかり男の子になってしまわれて――でもあなたのほうは、わたくしのことをご存知なくってよね。あなたが眠っている時にしかお会いしなかったのですもの」
「く……っ!」
 彩香はそのままの歩みで、南条医師の傍らに立った。苦悶し目を見開き、次第に衰弱してゆく父親を、冷ややかに見下ろしながら彼女は言う。
「お父様。わたくし、やっとお母様の仇を取ることにいたしましたの。長かったけれど――そろそろ潮時ですものね。あなたは菫さんたちに、語るべきでないことまで申し上げてしまったようですし。
 さようなら、お父様。存分にお苦しみなさいな。お母様が味わった苦痛は、こんなものではなかったのですけれど、そこまでしないのは、わたくしの慈悲とお思いになってね」
「あ、あや……か……」
 南条医師は、目を見開いたまま手脚を固くし、動かなくなった。
 テレビドラマによくあるような、半ば美化された綺麗な死に方ではない。泡を吹き、失禁さえしているようだ。
「貴様!」
 姉が掴みかかろうとするが、彩香はそれを予期していたのか、ひらりと体をかわす。
「お待ちなさい。命が惜しかったら、わたくしに触れないことね」
「……なに?」
 彼女の言葉の意味がわからないのは、私も同じだった。
「……どういうこと……?」
「薬ですのよ。お父様は以前、心臓弁膜症で倒れられたことがありまして、わたくしが緊急手術いたしましたの。そのとき術部に、小さなカプセルを埋め込ませていただきました。
 中身は神経に作用するお薬で、心停止を引き起こしますけれど、体内では数時間で分解されてしまいますわ。
 カプセルを開かせるには、外部から特定の無線信号を送ればよろしいんですのよ。ほおら、この装置で」
 それは先刻から彩香が携えていた小箱だった。宝石箱か、オルゴールとばかり思っていたのだが、違ったらしい。お茶に毒が入っていたわけではなかったのだ。
「おっと。触らないでと言いましたでしょう。カプセルが一つだけとお思い? もちろん、あなたの首にも仕込んでありますのよ。こんな事態はすべて予想の内ですもの。それに、今までわたくしが菫さんだけでなくあなたも生かしておいたのは、ただの気まぐれでしかありませんのよ。
 でも、それもおしまい。わたくしがこのスイッチを押せば――」
 だが姉は、歩みを止めることなく彼女に近付いてゆく。
 彩香は、後じさりながら装置に触れた。
 スイッチを押す。が、姉の歩みは止まらない。
 彩香は見るみる蒼白となり、何度もボタンを押したが、事態は変わらなかった。
「あいにくだったな。僕が転院した病院での検査で、その“カプセル”が見つかったんだ。難しい位置にあったけれど、なんとか摘出できたよ。そして僕はその正体を知った。あんたたちを疑い始めたのも、それからだ。両親は何かの間違いだと言って認めたがらなかったけどね。
 君の親父さんの知り合いが優秀な医者でよかったよ。レントゲンで映った、あの小さな影を見落とさなかったんだから――まったく、皮肉なもんだな」
「……!」
 壁際まで追い詰められて、彩香は悔しげに顔を歪める。私はかつて、彼女のこんな表情を見たことがなかった。
「さてと、元に戻してもらおうか。僕と……いや。あたしと、弟を」

 私は驚愕した。
 そう。予想していて然るべきだった。姉がそれを望んでいたことを。
 だが――今さら戻れるものだろうか。私が男に、姉が女に。
 それに、移植手術そのものさえも完全ではないのだ。実際、姉の右手のことがある。前回はたまたま上手くいったのだとしても、今度は私たちのどちらかが死ぬかも知れない。半身不随になる可能性だってある。
 いや。事故で一度死んだのだと思えば、死ぬこと自体は特に怖いとも思えなかった。私が恐ろしいのは、それよりも――。
「嫌。いやですわ! わたくし、菫さんを、誰にも……っ」
「拒むのか? なら、ここで死んでもらってもいいんだぞ」
 カシャンと音がして、姉の手に例のバタフライナイフが現れる。
「やめて!!」
 私は、思わず叫んでいた。
 姉がそれに気を取られるのと、彩香が脚を大きく振り上げるのは同時だった。
 かつて二人でバレエの真似事をした時のように、高く上がった彼女の踵は、斜めに姉の側頭部を叩いた。
「が……っ!?」
 彩香は力の入らない姉の右手から逃れると、取り落としたナイフを拾って走った。そのまま先刻降りてきた階段を駆け上がる。
 姉も衝撃から立ち直り、直ちに追いすがろうとするが、彩香の言葉がそれを制した。
「止まりなさい! あの薬が、あなたのほうにだけ仕込んであったとお思い?」
 階段が壁に沿って大きく湾曲するその手前で、姉の足が止まった。私も二人を追いかけようと駆け出した、ちょうどその時だった。
「まさか――」
「そうですわ。動かないで」
 姉は彼女と、私とを交互に見る。
 私は、姉より数段下で立ち止まり、動けずにいた。
「やめろ! わかった。やめてくれ。弟を……助けて。お願いだから」
「ふふ。形勢逆転ですわね」
 彩香は、あの悪戯っぽい、ちょっと意地悪そうな目で笑う。
「でも。あなたにお願いされても困ってしまいますわ。それに、もう決めましたの。
 これまでありがとう。楽しかったわ、菫さん。それでは、さようなら――」
「やめろおおお!!」

 姉の絶叫が響く。彩香は、三つめのスイッチに指をかける。私は黙って、きつく目を閉じた。
 だが、何も起こらなかった。顔を上げると、彩香は悲しそうな顔で私を見つめている。
「……ばか。菫さんたら。わたくしが、あなたに、そんな仕打ちをするわけがないじゃありませんか……」
「くそっ。騙したな!?」
 再び追いすがろうとする姉に、彩香はもはや無用となった無線装置を投げつけ、階上へと駆け去る。私も二人の後を追った。
 そう――彩香の言うように、私は彼女を信じていなかったのだろう。実の父親さえも手にかけた少女である。どんな非道なことをしても不思議ではないと思った。
 だけど、その一方で。彼女の手にかかって命を落とすのだったら、私は――。
 その思いを伝えたかった。そして彼女を姉の手から救いたかった。そのために私は二人を追ったのだ。
 もちろん、そのときの私は無我夢中で、そこまではっきりと考えたわけではなかったのだけれど。
「くそっ。どこに隠れた?」
 姉は各階をしらみつぶしに調べるつもりのようで、すべての部屋に片端から踏み込んでゆく。その間に彩香が逃げぬよう、私は階段を見張るように言われた。
 だが、彼女の行方は見当がつく。姉が隅の部屋へと向かったのを見計らい、私は階上を目指す。最上階へ。
 私の自室と隣り合う、彩香の部屋のドアノブに手をかけ、ゆっくりと開く。果たしてそこに彼女はいた。大きく引き戸を開け放ち、こちらに背を向けてバルコニーに立っている。
「先に、いらっしゃると思いましたわ」
 淡々とした調子で、ふり返りもせずに彼女は言った。
 その眼下には静木湖の、深緑に澱んだ湖面が広がっている。バルコニーは湖に大きく突き出す格好になっていた。
「彩香さん……」
「近寄らないで、菫さん」
 体ごと向き直った彼女の手には、姉から奪ったあのナイフがあった。両手で捧げるように持ち、その刃先が自らの小さな喉に触れている。私は思わず立ち止まった。
 彼女はそのまま片手だけの支えで、身軽に手摺りの上に立つ。横風が彼女のドレスをはためかせた。
「あなたがたに施した手術――最初は、本当にただの腕試しのつもりでしたわ。言い訳はしませんけれど、でも、謝るつもりもありませんの。
 菫さんと過ごしたこの三年間、本当に楽しかったわ。幸せでした。そのことは、他の何に代えても決して後悔はいたしません。ですからわたくし、謝罪などするものですか。
 自分勝手なのはわかっています。ですから、これで終わりにしようと思いますの。さようなら、大好きな菫さん――」
「待って!」
 私は叫んだ。
「私も、私もあなたのことを……っ。だから、死なないで。一緒に生きて!」
 彩香は疲れたように、ふっと笑った。それは幼さの残るいつもの彼女からは想像もつかない、十六歳の少女とも思えない大人びた微笑だった。
「そう言ってくださるだけで、わたくしは幸せよ。
 ですから、もう思い残すことはなにもありませんわ。
 そして、菫さん。憶えていてくださいね。
 あなたは、この瞬間から、永遠にわたくしのものになるの――」
「ここかっ。貴様!」
 姉が部屋に飛び込んできて叫ぶのと、同時だった。
 彩香の白い喉に、ゆっくりとナイフの刃が潜り込んだ。
 その体が傾き、壊れた人形のように空中へ放り出される。
 時間が凍りついたようだった。どうやってか、私はバルコニーまでたどり着いた。
 遥か下の湖面に、水柱が上がった。

 気がつくと、私は部屋の床に伏して泣きじゃくっていた。
 姉も気がふれたように、バルコニーの手摺りに頭を押しつけてうめいている。
 ふと脳裡に、いつか彩香が話してくれた、静木湖の沈姫の伝説が蘇る。
 自らの業の深さ故、決して『浮かばれない』姫君たち――。



 そこまで語り終えると、私はゆっくりと客たちを見る。
 総勢十名ほどの宿泊客一同は皆、真剣な面持ちで私に注目している。
「そ、それで、どうなったんですか……?」
 中の一人、カップルの男性のほうが、沈黙に耐えきれなくなったように訊いた。
「そこに家政婦の霧島さんが来てね、すべてを良いように取り計らってくれたわ。もっとも、それもこれも彩香さんが起こりうる全ての事態を考慮に入れて、霧島さんに事後のことを任せていたらしいんだけど。
 私はそれからも『南条彩香』として暮らしていくことになったの。本当の彩香さんは、最初からいなかったことになったわ。幼い頃を除いては、家に籠りきりだった彼女には直接会った人のほうが少なかったし、唯一彼女が接していた“患者さんたち”も、もちろんなにも語ろうとはしなかったし、ね。
 警察が来たけど、この田舎の警察でしょう? 南条先生はろくな検屍を受けることもなく、病死ってことになったの。伝説の通りに彩香さんの遺体は沈んだまま発見されなかったし、事件は事件として扱われることさえなかった。
 南条家の遺産は私のものになった。私はその資産のうち、土地のほとんどをリゾート業者に売って、この温泉街の開発に協力したわ。それから病院だったこの建物を、今のようにペンションに改造したの。私は当時まだ高校生だったから、霧島さんを後見人に立ててね」
 再びの沈黙のあと、別の女性客が問う。
「あの……お姉さんは、どうしたんですか?」
「姉の里穂は、『加村恵一』として東京の両親の元に戻ったわ。それからは連絡も取ってない。今頃、どうしているかしら」
「霧島さん――家政婦さんは?」
「彼女は、私が成人してからいとまを申し出たの。いろいろよくしてくださったから、たっぷりの退職金を受け取っていただいたわ」
 それから私はふと息をつき、もう一度客たちに視線を巡らせる。それから、言った。
「信じてらっしゃらないかたもいるみたいね……いいわ。証拠を見せましょう」
「えっ?」
 客たちが息を飲む中、私は首のチョーカーに手をやった。
 充分に間をとって、ゆっくりとそれを外す――。
 ロビーには、ほっと息をつく音と笑い声が拡がった。
 そう。彼らが想像したような『傷痕』など、私の首には見つけられなかったのだ。
「あっはっは。なんだ……」
「びっくりしたー。おばさん、話が上手いんだもの。本当のことかと思っちゃった」
「こらこら。『おばさん』は失礼だろう」
「いいのよ。ペンションのおばさんって呼ばれるの、気に入ってるから。それに、もうとっくに三十過ぎてるしね」
 私は、再びチョーカーを首に止めながら言った。
「ここが病院だったのは本当だけど、あとは私の作り話。私は生まれた時から『南条彩香』よ。お嬢様っていうより、おてんば娘だったけどね」
「あれ? 生まれた時からっていうと……結婚はされてないんですか?」
「うーん。縁がなくって。ここのお仕事も忙しかったし」
「えー、もったいない。そんなに美人なのにー」
「そう? ありがと。お世辞でも嬉しいわ」
「ほんとほんと。だいたいこんな美女が“もと男”だなんて、おかしいと思ったよ」
「まったくだ。ははは!」
 こうして夕食後の“怪談サービス”が終わると、聴衆はそれぞれの客室へと戻った。一人残された私も簡単に片付けを済ませ、自室へと引揚げる。



 午後からの台風の接近で、窓の外は暴風雨だ。私は鏡台に向かい、化粧を落とす。
 厚く塗ったドーランをクレンジングで落とすと、鏡の中の私の首筋には、一文字の傷痕がくっきりと現れた。
 もはや薄れてしまったけれど、それでも細く紅く残る縫い傷。私の過去。
 鏡に映る今の私は、いつしか彩香の母親、南条聖子に似てきていた。そう。彩香は私の中にそのひとを見ていたのだろう。
 あのあと――二人が亡くなったあと、霧島さんに言われて彩香の遺したものを整理していた。私が南条彩香として生きていくために、最近の写真などの彼女の痕跡を消す必要があったからだ。霧島さん自身はといえば、地下の生体実験室と実験動物を処分するのに忙しいようだった。
 本棚に並ぶ彼女の蔵書には、私がまだ読んだことのないものも並んでいた。小説ではメアリー・シェリー女史の作品やバーナード・ショーの『ピグマリオン』など……そうした中にひっそり埋もれるように、数冊の日記帳があった。
 幼い字で書かれたその日記は、彩香が六歳の頃から書き綴られていた。
 淡々とした記述。だが文字も文章も、日を追う毎に急速に大人びたものになってゆく。
 彼女の医術への傾倒と『実験』の数々――それは幼い少女のものとは思えぬほど冷酷で、残忍さを帯びたもののように思えた。
 けれど、その時の私には彼女の気持ちがわかりすぎるほどに理解できた。
 幼くして母を失った喪失感、愛に満たされぬ故の虚無感。
 無機質、無感情に記されたそれらの言葉は、私の虚ろな瞳から、黒々とした蛇のように胸の中に潜り込んでくる。
 最後の日記は、いつも彩香が使っていた机の抽斗ひきだしにあった。
 その一冊の記述のみ、途中から他とは違っていた。
 あの事故のあと、私と過ごした彼女の日々。
 モノクロだった描写が、そこからだけ彩色されたように輝いている。少女らしい感動が不器用だが素直な言葉で書きつけられている。

 その時、私は始めて涙した。
 先刻、客たちには、彼女を失った私が泣きじゃくっていたと語ったが、それは嘘だ。
 実際には泣くこともできず、目の前の事実を受入れられず、取り乱す姉の横で、ただ立ち尽くすばかりだった。
 霧島さんの言うがまま、彩香の“遺言”に従ったのも、その時の私が全く判断力を欠いて木偶人形のような状態だったからに他ならない。
 だが。日記の中の、あの二人の日々が蘇ってくるにつれ、やっと私は私自身を取り戻したのだ。
 彩香を思い、彼女の最後の記録を胸に抱き、声を上げて泣いた。
 失って始めて、やっと南条彩香という少女を理解できた気がした。だがそれは、あまりに遅すぎた――。

 ノックの音が響く。私は我に返る。
 目の前には彩香と私が二人並んで映った写真があった。
 あの日記に挟まれていたものだ。彼女の他の写真も、日記帳もすべて燃やしてしまったのだが、この一枚だけは手放し難くて残しておいた。
 十五歳の、夏服の二人。医院の前で撮ったものだ。霧島さんが例の如く、にこりともせずシャッターを押してくれたのを憶えている。
 私はその写真立てを静かに鏡台に伏せてから、ノックの主に言った。
「どうぞ。開いてるわよ」
 扉が小さく軋み、長身の、不精髭を生やした男が姿を現わす。登山帽にヤッケと、山男ふうの出で立ち。先刻の客たちの中にいた一人だ。
 私の話が終わったとき、彼一人だけは笑いもせず、ただ他の客に合わせて手を叩くだけだったのが記憶の隅にある。
「――ひさしぶりね。来ると思ってた」
「……知ってたのか」
「ええ。その髭のせいで、最初はわからなかったけど」
 私はその男――姉の里穂、いや加村恵一――に向かって微笑を浮かべた。

 私が客たちに語った“怪談”には、他にも事実と違うところが二つあった。
 その一つ。“恵一”は、すぐにこの地を去ったわけではなかった。それどころか、ほとんど強引に、私と暮らし始めたのだ。
「あんな話、いつもするのか」
 言いながらポケットをまさぐり、煙草を取り出す恵一。
「ううん。今日がはじめて。誰かに知っておいてもらったほうがいいかもと思って。でも、だれもあれが本当のことだなんて考えないでしょうけど」
「そうか――」
 使い捨てライターで火を点け、喫った。壁に向かって煙を吐く。
 その様子は、私と目を合わせるのを避けているように感じられた。
 もちろん私があの話を語ったのは彼が、恵一がいたからだ。おそらく彼のほうも、薄々はそれがわかっているだろう。
「父さんと母さんは、どうしてるの?」
「死んだよ」
 恵一は口元を小さく歪めた。一瞬、不審に思ったが、おそらく自嘲の笑みなのだろう。
「親父は、飲めない酒に溺れるようになってね。肝臓をやられた。お袋は、その看病疲れと心労だったのかな。親父を看取った後ひと月もしないうちに、ぽっくり逝っちまった。『後を追うように』ってのはああいうのを言うのかな……。
 それもこれも“息子”がこんなろくでなしに育ったからだろうさ」
「そう……」
 両親に会えないのは今更だ。私は彩香に成り代わって生きる決心をした時から、二度と会うまいと決めていた。だがやはり、こうなってしまうと一抹の淋しさが胸に去来する。
「あなたは結婚、してたのよね」
「二回、した。その二人目の女房と、昨日別れてきたところだ」
 恵一とは、この二十余年会っていない。でも最初の結婚のことは知っている。
 その相手というのが、あの森千景だったからだ。
 あのあと千景とは次第に疎遠になり、クラスも変わってからは、同じ学校に通いながらもほとんど話さなかった。彼女が私を避けた、その本当の理由がわかったのはずっと後のことだ。
 高校を卒業した千景は、東京で暮らし始めた。そこで、やはり東京に戻っていた恵一とばったり出会い、交際し結婚した――ということになっている。
 だが実際は、彼女が追いかけて行き、偶然を装って再会するなりかなり強引に迫ったというのが真相らしい。
 八年前の、あの日のことは憶えている。恵一と離婚したという千景が、私のところに駆け込んで来たのだ。
 そして告白された。ずっと好きだったと。
 一度きりのキスが、彼女を変えてしまったらしい。もっとも、本人自身さえなかなかそれを認められずにいたというのだが。
 そうして私への気持ちを自らの裡に押し隠しているその時に、私と恵一の抱擁を目撃し、恋破れたのだという。
 もちろん、それは彼女の誤解だったのだけれど。
 自分をその気にさせておいて、あっさり男の元に走った――私に対してそんな感情を抱いた千景は、復讐のために私から恵一を奪うという、暗い情熱に駆られたらしい。
 それが間違いだったと気付いたのは、二人が結婚してかなり経ってからだったのだろう。そして、彼女はここに来た――。
 だが、その時の私に千景を受け止めることはできなかった。
 もちろん彼女の人生を狂わせてしまったことは、今でも申し訳ないと思っているが。しかし、自らを偽って彼女を受け入れることは不可能だった。
 千景は去った。そのあとの消息は知らないが、つい最近、新宿のレディース・バーで働いているのを見かけたという噂は人づてに聞いた。真偽のほどはわからない。
「……なんで別れたか、訊かないのか?」
 押し黙っていた私に、やや焦れたように恵一が言った。煙草を挟んだ彼の右手の指は、今も小刻みに震えている。
「千景のことを考えてたの」
「あいつのことか……」
 また、苦そうに煙を吸い込む。
 今でもまだ“男であろうとする”ために無理を重ねているように見える。言葉も、仕種も。
「あいつのときも、そうだった。そして今度も――もう自分に嘘はつけない」
 彼は、そこでやっと正面から私を見る。
「さっきの話の最初に『人生で“二番目に”幸せな時だった』と言ったよな。
 一番は……俺と暮らしていた頃じゃなかったのか?」

 恵一の思わぬ台詞に、私は言葉を失い――そして次には、思わず声を立てて笑っていた。
「なんだ。どうした? なにが可笑しい」
「あはははは……ううん。ずいぶん自惚れが強いのね」
 そう。私が彼と、ここで二人で暮らした日々。今思えば、私には地獄のようだった。
 それが彼にとっては、幸せな日々であったとは。
「違うのか? 俺はてっきり、お前も同じ気持ちだったと――」
「……忘れたの? 姉弟なのよ、私たち」
 私の強い口調に、恵一は再び視線を逸らす。
「……もう、“姉”でも“弟”でもないじゃないか。名前も違う」
 そんなことは言い訳にならない、と思った。彼の身勝手さに憤りを感じる。
 あのころ、二人で一緒に暮らし始めたとき――姉弟として許される一線を、彼はあっさり越えてしまった。
 しかし私も強く抗ったわけではないので、同罪だろう。
 互いに淋しかった。私のほうはいささか自暴自棄になっていたし、恵一も――たぶん、馴れない自らの“男”としての衝動や情動を持て余していたのだろう。
 そう思ったから、私も彼を受け入れた。許されないこととは知りながら。
 それから何ヶ月もしないうちに、恵一は家に呼び戻された。当然だろう。ろくに学校にも行かず、寮にも戻らない生活が続いたのだから。
 私が彼と会っていないのは、それ以来だ。私のほうも退学寸前だったが、成績優秀だったこともあって処分は軽く済んだ。卒業後は宮岡市内の女子短大に進んだ。
 それよりも、ひどかったのは恵一が去って何週間か後のこと。
 私は自分の妊娠を知ったのだ。
 産みたいという気持ちもなかったが、なにしろ実の姉弟であるという以上に、生体移植でほとんど拒絶反応も出ないほど似通った形質を持つ二人である。子供に遺伝的な欠陥が現れる確率を考えれば、産むことなどできなかった。
 中絶を考えて悩む間もなく、そのストレスも影響したのか流産した。
 そのとき医師に、もう子供はできないと言われた。
 悲しくはなかった。罰だと思った。
 姉からこの体を奪ってしまったことへの罰だと――。
「そうね。私はもう“弟”じゃない。けど、妹になったわけでもないわ」
 怪訝な顔をする恵一に、私は笑って言った。
「今のあなたは私にとって、やんちゃでどうしようもなく不器用な弟よ。どうやら私のほうが“お姉さん”になってしまったようね」
 不機嫌そうに首を振る恵一。短くなった煙草を、少し迷ってから手近にあった絵皿に押しつけた――私は喫わないので、部屋には灰皿もない。
「……なあ」
 彼は私のほうへ歩み寄りながら、再び口を開く。
「俺たち、もう一度やり直せないのか? ずっとお前が……お前のことだけが好きだった。忘れられないんだ。
 もう一度……あの頃に、戻れないのかなあ」
「後戻りは、できないのよ」
 私は優しく、だがきっぱりと言った。
「あの幸せな頃に、戻ることはできないわ」
 そして、あなたの幸せは私の幸せとは違う――私が見ているのは、あなたではない。
 そうだった。私は彼に抱かれながらも、別の人のことばかりを考えていた。
「見たところ、いい暮らしはしてないみたいね。南条家の財産が、必要なのね」
「えっ!? ち、違う! 俺は、ただ」
「いいのよ、正直に言って。もちろん私を好きだと言うのも嘘ではないんでしょうけれど。でも、肉親の情とそれ以外を取り違えてはいけないわ」
「…………」
「あなたには、お詫びしなきゃならないこともあるし、お金はあげる。土地も、建物も。
 でもね――私はあなたのものにはならない。
 だって、私はもうとっくに“あの人”のものなんだから」
「お、おい。なにを……うわっ!?」
 私は立ち上がり、素早く窓に寄ってサッシの戸を引き開けた。部屋に雨混じりの突風が吹き込んできて、恵一は腕で顔をかばう。部屋中が滅茶苦茶になり、鏡台の上の写真立ても床に落ちて割れた。
 その間に私は風に抗ってバルコニーに出て、手摺りの上に立った。あの日の彼女と同じように。
 そう。今私が自室として使っているこの部屋は、もともとは彩香のものだった。あの日と同じ場所に、私はいる。遥か眼下には湖水が、黒々と横たわっている。
「さようなら……姉さん。ぼくのことは忘れて、幸せになってよね」
 瞬間、ふり返った私の目に、驚愕に歪む恵一の――姉の、顔が見えた。
 私は、跳んだ。

 宿泊客に話さなかった最後の一つは、静木湖の伝説の残りの部分だ。
 湖水に沈んだ女性たちは、すべてが世をはかなんで命を絶ったわけではなかったのだ。
 湖には、古くから守り神の龍が住んでいるという。その龍神は、女ひとりの命と引き換えに、一つだけその願いを叶えるそうだ。
 その通り、彩香の最後の言葉は呪詛のように私を捕え、放さなかった。
 たった今の私の願いは姉に、また龍神に届いたろうか?
 あるいは伝説が真実ではないにしても、私の死後に南条家の資産が加村恵一の手に渡るよう、すでに正式な遺言書を弁護士に託してある。
 二十年前とは違い、この付近には民家も宿泊施設もある。この嵐の中ではあるが、もしかすると私の死は誰かに目撃されるかも知れない。それならそのほうが都合がいい。
 思い残すことは、なにもないのだ。
 不思議と、なかなか終わりは訪れなかった。まるで時が止まったようだ。私は宙に留まったまま、目を開いた。
 暴風雨のはずが、暗い空はまったく静かだ。私はゆっくり落ちてゆく。
 濃緑色の湖面に映る、私自身の姿――いや。あれは、彼女だ。
 私たち二人は、互いに母と娘、娘と母親だった。そして姉妹で、親友で、恋人同士だった。
 今こそ本当に一つになれる。それを思うと、私の胸は歓喜で一杯になる。
 十六歳のままの彼女が、彩香が、笑顔で両腕を拡げて迎えてくれる。私はその腕の中に、今まさに飛び込み、抱かれるのだ。
 そして私は永遠という名の、優しく暖かな水に包まれた――。


〈了〉








☆ あとがき ☆

 死郎です。『沈姫』全五章はこれにて終了です。最後まで読んでくださった方々に感謝。
 この作品を書くにあたっては、『性転換を題材にしたミステリーを書いてみました』のcheerkeyさんの作品群にかなり触発されました。もちろんストーリーやアイデア自体はオリジナルなんですが、一部の作品と若干似た部分があるのも否定しません。この場を借りてcheerkeyさんには御礼申し上げます。
 googleにて『沈姫』で検索かけてみると、淺田次郎氏の小説に『沈姫の井戸』というのがあるらしいことが判明(でも一件だけなので書き違いの可能性も)。こちらは中身を知らないので、たぶん内容的にも無関係でしょう。
 BGMはZELDAのアルバム『虹色のあわ』より『touch the light of my soul 〜魂の光にふれて〜』。特に二番の歌詞は菫と彩香を歌っているような。上のラスト近くに、その引用っぽい部分もあります。音楽著作権に触れない程度に。
 それではまた、機会がありましたら次の作品にて――。



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