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碇ユカ物語
FILE1
作:caviar


時に西暦2015年
第一回期待相互互換試験より1週間
JAPAN-第三新東京市ネルフ本部
E計画担当責任者赤木リツコ博士私室

シンジはリツコに呼び出され、彼女の私室の中へと入っていった。

「何ですか?リツコさん」

「あっ、シンジ君。この前の試験の解決策がわかったわよ」

「何なんですか?」

不思議そうに聞くシンジ。

「集中力が足らないためよ・・・」

「集中力ですか?」

またまた、不思議そうに聞くシンジ。

「そう、集中力。ここに集中力を高めるための薬品があるわ」

そう言ってリツコは白衣のポケットから怪しげなあるビンを取り出す。

・・・・・

・・・・・

「本当に大丈夫なんですか?」

「大丈夫よ、ごくっと飲みなさい」

そう言ってリツコはシンジにビンを渡す。

何とも怪しげなカプセルが数十個つめられている。

シンジは思い切ってビンを手に握りそのまま
口にカプセルを流し込む。

しかし・・・

「ちょっとシンジ君。一個よ一個!!」

「えっ?ゴックン

リツコに言われて顔色が悪くなるシンジ。

「り、リツコさん。これ、一杯飲んでも大丈夫なんですよね・・・」

が、リツコは何も言わずにシンジを観察している。

「り、リツコさん?」

「ねぇ、シンジ君。一気に薬を一杯飲むのってあるのかな?」

リツコが笑いをこらえながら聞く。

「リツコさんが、ゴクッと飲めっていったんじゃないですか!」

「まぁ、副作用はないと思うから、今日のところは・・・」

そこまで言ってリツコは言葉を止めた。

シンジが突然、胸を押さえて苦しみ出したのだ。

「り、りりり、リツコさーん!!何なんですかーー!すごく苦しいんですけど!!ごほっ、ごほっ!!」

「だ、大丈夫よ・・・。シンジ君。ベッドに・・・」

バタン

その時、シンジが気絶し床に倒れた。

「ちょっと、シンジ君」







<同時刻、司令執務室>

片手に本を持った冬月とゲンドウが将棋をしながら雑談をしている。
いつも通りの部屋の中には駒を動かす『パチン』という音と
二人の声しか聞こえていない。

「ついに明後日だな。ユイ君の命日は・・・」

「死んでいるわけではない」

「(ユイ君が戻ってきたら碇はどうなるかな?)」

「シンジ君と墓参りだったな」

「あぁ、だが数分だ」

「たまには父親らしい姿を見せれんのか、お前は・・・」

「見せる必要はない」

「(ユイ君が帰ってきたら、こいつは死ぬな・・・。)」








「うーーん。ここは?」

シンジの視界がだんだん開いていく。

「あぁ、起きたのシンジ君」

「なんだか、体がぼーっとするんですけど・・・」

「シンジ君。今から私の話をよく聞いてね。」

「何ですか?」

「絶対にばらさないでね」

えっ!?と思ってシンジは体を見る。いつもと何かが違う!!
そう直感したシンジは布団をはらってみた。

そこには14歳の女の子の胸にしても少し大きいぐらいの胸が出てきた。

シンジは泣きそうになりながらも胸を触ってみる。

そこには決してパッドとは違う胸の充実感を感じる。

そう、以前事故で綾波の胸を触ってしまったときと同じような・・・。


さらにシンジは二つ目の異変に気づいてしまった。

胸だけでなく、下半身の方も変わってしまってるのだ。

不安になりシンジは学生服のズボンの上から自分の股間を触ってみる。

な、ない!?


シンジの口からは少しずつ声が漏れ始めていた。

うっ、うっ、うっ



さらに、シンジの髪の毛までもが伸びている事に気づいてしまった。

伸びてるといってもショートカットだが、少なくてもさっきのシンジよりは伸びていた。
そう、碇ユイの髪の毛のように・・・。

うっ、うわぁーーーーーーーーーーー!

泣き叫ぶシンジ。

「ちょ、ちょっとシンジ君。泣かないで・・・」

自分自身に責任感を感じているのか、リツコはシンジをなだめる。

「うっ、うっ。でも、女の子になっちゃうなんて・・・」

「結構、似合ってるわよ・・・」

いつもの冷静な姿ではなく、かなり慌てた口調でしゃべるリツコ。

「たしかに、僕はこっちのほうが似合ってるかも?って思った事はありましたよ。
 でも、こんな非科学的で非現実的なことがあるんですか?」

「まぁ、だからミサト達にはしばらくないしょに・・・」

「リツコさんの責任ですよ。僕は言いますからね。ミサトさんやアスカや父さんにも・・・」

「(まずいわ、碇司令にばれたら捨てられかねない、そうだ。)
 そう、いいわ。じゃぁ言いなさい」

あまりに冷静に言われて混乱するシンジ。

「えっ、いいんですか?」

「でもそのときは私も、『シンジ君が、薬を一気に飲んだからこうなった』て言うわよ・・・。
 これを知ったらアスカもミサトも『やっぱりバカねぇ・・・』って、本当のバカだと思われるわよ・・・」

シンジの弱みを握るリツコ。

「さらに、男の子が女の子になったなんて知られたらシンジ君の周りの男が黙ってないわよ。
 確かめてやるだの言って、性的犯行を受けかねないわ・・・。そんなふうになりたい?
 なりたいなら言ってもいいわよ。ただ言ったら一生私は解毒剤を作らないから・・・」




完全に弱みを握られてしまったシンジ。

こうなっては『わかりました』と言うしかない。

「わかりました。言いませんから、解毒剤作ってください」

「そう、それでいいのよ。シンジ君。でも女の子になったのに『シンジ君はまずいわね。」

「そんな事言われても・・・」

泣きべそをかきながら言うシンジ。


「そうね、シンジ君。母親がユイさんだからユのつく名前がいいわね」

「そんな簡単でいいんですか?」

「いいのよ、ネルフの人たちって結構鈍感なのよ・・・。
 ユア。だめね。
 ユイ。同じだから駄目ね。
 ユウ。なんかピンとこないわね?」

五十音順に名前を考えるリツコ。

そのとき・・・。


プシュー。(ドアの開く音)


アスカ「リツコ?帰っていいの?」

ずっとまたされていたアスカが文句を言いにやってきた。

リツコ「えぇ、いいわよ・・・」

だが、すでにアスカの目はシンジへと向いていた。


アスカ「この子誰?」

リツコ「フォースチルドレンよ・・・」

アスカ「フォースチルドレン!!?」

リツコ「そう。シンジ君の変わりに・・・」

アスカ「バカシンジはどうしたの?」

リツコ「そ、それがロストして・・・」

シンジ『なんてこと言うんですか、リツコさん!!
     そんなこと言ったら僕が探されるんですよ?』

不思議なアイコンタクトでリツコと会話するシンジ。

リツコ『大丈夫よ、探すのは保安部だし』

アスカ「ふーん。やっぱりあいつ逃げたんだ。しょせんは対した事ないのよね。
     それより、何かその子、シンジに似てない?男子用の制服着てるし」

リツコ「えぇと、それはユイさんの隠し子だからよ・・・。」

アスカ「隠し子!!?」

シンジ『な、なんてこと言うんですか!!』

リツコ『大丈夫よ・・・(不安)』

アスカ「名前は?」

リツコ「碇さんよ・・・。シンジ君と同じ碇姓よ。・・・一応・・・」

アスカ「そうじゃなくてしたの名前・・・」

アスカに近寄られて聞かれるシンジ。
それは異性をまったく感じさせない近づきであった。
アスカとしては女同士なので別に不思議な事ではないのだが・・・。
また、これはアスカがシンジに見せた初めてやさしい顔と口調でもあった。



アスカ「碇、なんて言うの?」

アスカに聞かれ必死にリツコに頼るシンジ。しかし・・・。

リツコ「何してるの、早く答えてあげなさい。碇さん?」

シンジ「(リツコさんが裏切った!?
     えぇと、ユエ、ユオ、ユカ。そうユカ!!)
     い、碇ユカです。」

アスカ「ふーん、ユカ?いい名前じゃない。私は惣流・アスカ・ラングレーよ。
     よろしくね。」

シンジ「よろしくお願いします。」

アスカ「それじゃぁ、私は帰るから。何かあったら尋ねてね」

そう言って出て行くアスカ。







リツコ「シンジ君。女の子になって嬉しいんじゃない?」

シンジ「そりゃ、アスカが優しいところは嬉しいですけど・・・・。
     それよりリツコさん!!なんてこと言うんですか!!」

リツコ「あぁ、あの事なら大丈夫だと思うわよ・・・」

シンジ「どこが大丈夫なんですか、隠し子だとかロストしたとか言って。それに碇だなんて・・・」

リツコ「気にしない、気にしない。碇ユ・カ・ちゃん!

ユカ(シンジ)「これのどこが気にしないで入れるんですか!!
         それにミサトさんみたいになってきてませんか?」

そう言って拳を握り締め、グーにするユカ(シンジ)。

リツコ「オッホン。誰がミサトだって?それに女の子が暴力的になっちゃいけないわよ・・・」

ユカ(シンジ)「大丈夫ですよ、軽くしますから・・・」

リツコ「ちょっと、あの優しいシンジ君が殴るの?」

ユカ(シンジ)「シンジはあなたに消されましたので・・・。」

ドゴッ!!

思いっきり後ろに倒れるリツコ。

リツコ「いたたた。これは貸しよシンジ君」

ユカ(シンジ)「いえ、これは仕返しです」

リツコ「・・・女の子になって強くなってない?」

ユカ(シンジ)「それより、早く元に戻す薬作ってくださいよ」

リツコ「わかってるわ、その前にシンジ君はミサトの家に住んでもらうから・・・」

ユカ(シンジ)「じょ、冗談じゃありませんよ!アスカと一緒にいたらすぐにバレちゃいますよ!」

リツコ「でも、チルドレンの保安の為に同じところに同居させるのが義務なの、
    レイみたいに、24時間どこにいても見られている生活がいいならそれでいいけど?」

ユカ(シンジ)「・・・・・」

リツコ「どうする?」

ユカ(シンジ)「わかりました。」


リツコ「それじゃぁ、これ・・・」

そう言ってリツコはシンジにレイの着替えの下着と思われる、ショーツとブラを手渡す。


ユカ(シンジ)「えっ、え?」

リツコ「男の子の下着をつけてたら一瞬でばれるわよ。笑い者にされたいならいいけど・・・」


ユカ(シンジ)「よくないです」

そして、恥ずかしそうにしながらもズボンを脱ぐ。

なぜか、それをじっと見つめるリツコ。


ユカ(シンジ)「(女の子の体って柔らかいんだ・・・。はぁー。いつになったら戻れるのかな・・・)」

そういって男物のパンツを脱ぎ、すばやく白一色のショーツを履く。

以外にも、意外と履き心地がいい事にシンジは気づいた。男物の下着では
女の子の体だと下着の隙間を空気が抜け、なんともいえない不快感に襲われるのだ。

もっともそれはそれが気持ちいい感覚だという人間もいるが、
シンジは少なくてもそんな人間ではなかった。


続いて、シンジはシャツを脱ぐ。

シャツの中からはミサトほどではないが、大きい胸が飛び出してきた。
その胸を見てシンジは、

リツコさんの言う通り、バレたら何されるかわからないな・・・、僕が男だったら・・・

とか考えていたりする。


リツコ「何、じろじろ自分の体見てるの?」

シンジ「な、なんでもありませんよ・・・」

案外、図星だった為、焦り過ぎて墓穴を掘るシンジ。

リツコ「そう?」

シンジ「とりあえず、これどうやって付けるんですか?」

リツコ「女の子なのに一人でそんな事もできないの?」

シンジ「無茶言わないで下さいよ、僕は男なんですから・・・」

リツコ「『シンジはあなたに消されましたので』とかいって、さっきは
     自分で女の子だって認識してたじゃないの?」

シンジ「そんな事、言われても。あの時はついものの弾みで・・・」

リツコ「そう。まぁ、いいけど。次からはちゃんとしなさいよ・・・。それと服を着たら司令の
    ところに行くわよ」

シンジ「父さんの所にですか?」
暗い声で言うシンジ。

リツコ「そうよ。チルドレンの着任届けを出さないと・・・」

自分の父親のところにいかなければならない事を知って落ち込むシンジ。

シンジ「大丈夫でしょうか?」

リツコ「何が?」

シンジ「先生から聞いたんです。母さんの髪型はショートカットだったって・・・」

リツコ「つまり、ユイさんに似てるからすぐにバレルって事?」

シンジ「はい」

リツコ「それなら大丈夫よ。ユイさんの髪の毛とシンジ君の髪の毛は色が少し違うし
    髪型はユイさんの方が少し長いから。
    それにユイさんの隠し子なんだし似ててもおかしくわないわ。」

リツコがユイのことを喋りだすのでシンジが不思議に思って聞く。

シンジ「母さんに会ったことがあるんですか?」

リツコ「そういえばシンジ君には言ってなかったわね。ネルフがゲヒルンだったころ、
    私がまだ高校生だったころにね。そういえば写真が一枚だけマギに残ってたわね」

リツコはマギにアクセスを開始する。ゲンドウが絶対にシンジに見せようとしないその写真を。

そして、写真が映し出す。発令所に気づかれないようにアクセスしている為か、画像の表示速度が
すごく遅い。


写真の中にはユイと当時のゲンドウがベッタリひっついて写っている写真と普通に写っている写真
が出てきた。

もちろん、それをリツコが見るのは初めてなので、
ゲンドウがその写真を追加した事を知らなかったのである。

リツコ「・・・何、これ?」

シンジ「な、なんなんですかこれ!?」

二人が驚くのも無理はない。ふつうにひっついているだけなら問題はないのだが、
あのゲンドウがユイとピースまでして写っている。しかも眼鏡をかけていない素顔のままだ。

リツコ「とんでもないものを見てしまったようね」










<司令執務室>

司令執務室にはリツコとシンジ、そして部屋の主であるゲンドウと冬月がいる。

ゲンドウ「赤木君。サードチルドレンがロストしたとは本当の話か?」

リツコ「はい、実話です」

冬月「保安諜報部に全力で探すよう命じろ」

リツコ「はい(やっぱりこうなるわね・・・)」

ゲンドウ「ところで隣の小娘は?」

ユカ(シンジ)「い、碇ユカです」

冬月「碇?」

リツコ「はい。記録によりますと碇ユイの隠し子だそうです」

ゲンドウ「か、か、隠し子だと!?」

リツコ「司令の元奥さんなのでとても申しにくいのですが、事実です」

ゲンドウ「それは本当か?」

ゲンドウが再度、ユカ(シンジ)に向かって聞く。

ユカ(シンジ)「は、はい」

その問いにユカ(シンジ)は俯いたまま小声で答えた。


ゲンドウ「そうか。ではフォースチルドレンとしての着任を認める。」

リツコ「すでに、初号機とのシンクロを確認しております」

冬月「わかった。住居は着任届け通り葛城三佐の家を与えておく。」

リツコ「それでは、失礼します」

ユカ(シンジ)をつれて退出するリツコ。



ゲンドウ「隠し子だと?」

冬月「碇が浮気をしてると思えば浮気しているのはユイ君のほうだったのか?」

ゲンドウ「ユイーーーーーーーー!!私はいらない人間なのか!!?

冬月は泣き崩れるゲンドウを見て、
どうしてこいつは他人の前でも感情がもてんのだ?
と思ったそうだ。この日は冬月がゲンドウの素顔を久しぶり見た日でもあった。






再びリツコの専用研究室に戻ってきた二人は今後のことを相談していた。

リツコ「いい、シンジ君。ぜったいにばらすんじゃないわよ」

シンジ「その代わり、解毒剤を作ってくださいね」

リツコ「シンジ君がばらさなければね」









そして、ここは葛城邸

ユカ(シンジ)「碇ユカです。よろしくお願いします」

ミサト「よろしく。えぇと、シンジ君の部屋が空いてるから、そこつかってね」

ユカ(シンジ)「あのぉ・・・。そのシンジ君の部屋とってしまっていいんですか?」

だがミサトは いいの、いいの というふうに手を動かしてユカ(シンジ)を見つめる。
その瞬間、ユカ(シンジ)の顔が暗くなる。

ユカ(シンジ)「あ、そうですか・・・」

そう言ってシンジは部屋の中へと移動した。





その後、リビングではミサトとアスカがユカ(シンジ)に聞こえないように話していた。

アスカ「あの子、怪しくない?」

ミサト「そうね、ちょっち怪しいわ。あまりにシンジ君に似すぎているし、
     碇だなんて、それに私がシンちゃんはどうでも言いように言って見せたら、あれでしょ?」

アスカ「あのリツコが隠し子だって言ったのよ。絶対におかしいわ・・・」

ミサト「すでに日向君や碇司令に頼んで、あの二人を調べる準備は済ましているわ。
    司令、顔には出してなかったけど隠し子はちょっちね・・・」





そして、ユカ(シンジ)が部屋から出てきた。

ユカ(シンジ)「ミサトさん。ご飯食べます?」

ミサト「えっ?えぇ・・・」

ミサトは混乱しながらもユカ(シンジ)の質問に答える。

ユカ(シンジ)「すぐに作りますから・・・」

ユカ(シンジ)は制服姿で料理を作っていく。
男の時よりもかなり違和感はなく、完全に似合ってしまったユカ(シンジ)だった。





その頃、司令執務室では

冬月「本当にいいのか?」

ゲンドウ「葛城三佐の計画だ。問題ない。(ユイの浮気を調べねばまらん)」

冬月「しかし、この計画は、万一間違っていた場合は信頼感がなくなるぞ(貴様のな)」

ゲンドウ「問題ない。間違っている可能性は1%にも満たない。」

冬月「だが、こんな非現実的なことが・・・」

ゲンドウ「計画の実行は明日だ」




不気味な計画が影で進んでいる中、ユカ(シンジ)は葛城邸で夕食を味わっていた。

ユカ(シンジ)「さ、食べて下さい・・・」

アスカとミサトが料理を食べる。

ミサト「おいしいわよ(怪しいわ)」

アスカは黙ったまま、食べつづけている。
ユカ(シンジ)はそんな同居人の異常な状態を見て、心臓がドキドキと
していた。バレてしまわないかと・・・







そして、夜が明けた。
ユカは学校の転校手続きが終わっていないという理由でネルフの
リツコの部屋へと呼び出されている事にしてきていた。

ユカ(シンジ)「わかりましたか、リツコさん」

リツコ「少しは原因がわかったわよ。でもまだ解毒剤は・・・」

ユカ(シンジ)「そうですか」

リツコ「私、研究室に行って資料とってくるから、15分ぐらい待ってて・・・」

ユカ(シンジ)「はい」

そういって、リツコは部屋を駆け出した。


一分後、ミサトが部屋に入ってくる。

ミサト「ユカちゃん、ちょっといいかな?」

ユカ(シンジ)「はい。ただリツコさんを待たしているので」

ミサト「すぐに終わるわ、ちょっとついてきてくれる」

そう言われてミサトと一緒についていくシンジ。

だが、ミサトと一緒に向かったさきは人通りの少ない本部内の通路。
かなり薄暗くて見にくいが、前には壁があり行き止まりだとわかる。

そして、ミサトが振り向いた。

ミサト「ごめんね、ユカちゃん」

ユカ(シンジ)「えっ?」

そのとき、背後からシンジの鼻にハンカチが当てられた。

ユカ(シンジ)「うっ」

ユカ(シンジ)がそのハンカチのにおいを嗅げば嗅ぐほど、頭はくらくらとしてくる。
それでも、ユカ(シンジ)は自分の後ろにいる人物のほうにふりかえった。

ユカ(シンジ)「あ、す、か・・・・・」

そう言ってユカ(シンジ)は床に崩れ落ちた。

ミサト「ユカちゃん、いやシンちゃん。ごめんね」



















数時間後

ユカ(シンジ)の視界がだんだん開いていった。

そして、視界が完全に開いたとき、自分が葛城邸のリビングにいる事に気づいた。

ユカ(シンジ)「はっ!!」

どうしてここに?と思ってシンジは立ち上がろうとした。しかし・・・

ユカ(シンジ)「な、なんで・・・」

ユカ(シンジ)はリビングの椅子に縛り付けられている事に気づいた。
隣にはリツコが同じく、縛られて眠らされている。

ユカ(シンジ)「(なんで、アスカが)リツコさん!起きてください!!」」

リツコ「何・・・?」

まだ頭がくらくらするのか、寝ぼけた声で聞き返すリツコ。

ユカ(シンジ)「大変ですよ!」

リツコ「な、なに、なんで!あなたがどうして縛られてるの!?」

ユカ(シンジ)「知りませんよ、アスカに眠らされたらこうなってたんですから・・・」

リツコ「なんで。それにここはミサトの家?え、私までなんで縛られてるの?」


「なんでか教えてあげましょうか?」


ユカ(シンジ)とリツコの視界にミサトとアスカが写った。

ユカ(シンジ)「な、なんでですか?」

アスカ「それはあんたが一番よく知ってるんでしょ。ユカいやバカシンジ!」

ユカ(シンジ)『き、気づかれてますよ?リツコさん』

リツコ『大丈夫よ、頑張りなさい』

またも、不思議なアイコンタクトで会話する二人。

ユカ(シンジ)「わ、私がシンジ君なわけないじゃない」

ミサト「へぇ、じゃぁ。どうして、シンジ君と出汁の味が同じだったの?」

ユカ(シンジ)「そ、それは・・・」

リツコ「そんな非現実的なことがあるわけないじゃない」

ミサト「おあいにく様、もう結果は出てるわよ、読んであげようか」

そういって一枚の解析結果のようなものを見せた。

リツコ「そ、それって・・・」

ミサト「そっ、この子のDNAの検査結果。どう、まだ続ける?」

ユカ(シンジ)「リツコさん、ばれてしまいましたよ・・・」

リツコ「そうね。さっすがミサト」

ミサト「さぁて、二人はこれからどうしましょうかね?」

ユカ(シンジ)「ぼ、僕は何もしてませんよ。僕は被害者ですから・・・」

ミサト「そうね、シンジ君はわるくないわ。でも人を騙すのは十分罪よ。
    なぜ、私に言ってくれなかったの?私達、もしあなたがシンジ君じゃなかったらどうしよって
    心配したのよ。碇司令もね。」

ユカ(シンジ)「・・・」

ゲンドウ「よって、明日午前11時までの禁固刑を与える」

突然、現れたゲンドウにびっくりするユカ(シンジ)。

ユカ(シンジ)「・・・と、父さん・・・」

リツコ「わ、私は?」

ミサト「今回のネルフ被害金額は30億円よ」

ゲンドウ「君には失望した。」

ミサト「半年間の減棒とボーナスなし。そして3年間、昇進なし。
    碇ユカ、碇シンジと同じく禁固刑を与えます」

リツコ「う、うそ・・・」

椅子に縛られたままぐったりとするリツコ。
本来は倒れたいのだが、両手両足を椅子と縛っているロープがそれを許さない。

そのままミサトとアスカ、ゲンドウは立ち去った。


▼作者より▼
碇ユカ物語FILE1のお届けです。この小説はアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」
の二次小説(SS)で、オリジナルキャラクター碇ユカちゃんが主役です。最後まで
お読みいただければ幸いです。また、こちらの説明ページにはユカちゃんの画像や
この物語を同人誌にしたRetouchEditionの説明があります。是非一度どうぞ!

新世紀エヴァンゲリオンは(株)GAINAXの作品です。
碇ユカ物語の碇ユカはcaviarによって考え出されたオリジナルキャラクターです。

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