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「まさみちゃん・・・ちょっといいかな?」
学校からの帰り道、あたしは突然声を掛けられた。
振りむくと、お店が加入している商工会の会長さんがあたしを見てニコニコしている。
「こんにちは、会長さん」あたしは話掛けてきた相手が判ってホッとして答えた。
実は最近変な勧誘とかが多くて困っていたから。
「まさみちゃん、じつはさ・・・ちょっと話があるんだ」会長さんはそう言って廻りをキョロキョロして、近くの喫茶店にあたしを誘った。
・・・会長さんがなんだろう?・・・あたしは不思議に感じながら、一緒に喫茶店に入っていく。
「実はさ・・・」会長さんはお店に入ってコーヒーを頼むと、あたしにいきなり話掛けてきた。

「・・・と、言うわけなんだ」会長さんはコーヒーを口にしないで、あたしの事を見つめている。
「でも、あたしなんか・・・」あたしは前に置かれたパフェに手をつけないままでどう答えていいか考えていた。
「まさみちゃんのことは色々聞いているよ・・・学校でも”かなり”だって話じゃない?」あたしの事をじっと見つめ会長さんは言った。
「それは、その・・・」あたしはどう答えて良いのか判らずただ俯いたままだった。
「まあ、お祭りだと思ってさ・・・気楽に考えてよ」
「はぁ・・・」
「ちゃんとアルバイト代出すからさ・・・考えておいてくれない?」会長さんはそう言うと、レシートを持って立ちあがり出ていく。
あたしは目の前に置かれた1枚の紙に目を落とたまま動けないでいた。





ぷれーん・あいどる?

ヒロイン 19th

作:kagerou6





「まさみちゃん、会長さんから聞いたけど・・・お返事したの?」家に帰るなりお母さんがそう言ってきた。
「そんな、急に返事なんか出来ないって」あたしは一旦奥に入り、着替えをしながらそう答える。
「なにか都合とか有るの?」
「そんなんじゃないけど・・・あたし・・・」
「良いじゃない・・・町内会のお祭りだしさ♪」お母さんは気楽に言ってくる。
「そうだけどさ・・・恥かしいし・・・」あたしはエプロンをつけながらそう答えると
「おやぁ〜自信ないのかなぁこの娘はぁ?」そう言ってあたしの事を見つめる。
「自信とかそんなんじゃ無くてさぁ」
「こんなに人気!あるんだもん・・・そうだねぇ」そう言って数枚の写真を取り出した。
「あ、それ!・・・いったいどうして?」あたしは写真を取り上げると、お母さんは別な写真を取り出す。
取っても取っても、お母さんは写真を取り出してあたしに見せる。
「もう、いったい何枚持っているの?」あたしは諦めて聞くと。お母さんは笑っている。
写真には学校での事をなぜか写っていたのだ(爆)・・・判らない人は読み返してね(作者;;;)


「まさみちゃん、今日はありがとうね」会長さんは舞台裏であたしに声を掛けて来た。
「もう、これっきりですからね」
「もちろんだよ・・・このイベントを盛り上げてくれたら十分さ」そう言うと、他の役員の所に行ってしまった。
「あたしなんかが出て良いのかなぁ」あたしはため息をついてベンチに座っていると
「あれ、まさみちゃん?」そう声を掛けられた。
「え?」その聞いた事のある声に、あたしは目を向けるとそこには恵先輩がいた。
「先輩・・・どうして?」
「商工会会長さんに頼まれちゃってね」そう言ってベンチに座る。
「そうだったんですかぁ」
「まさみちゃんは?」
「あたしも会長さんに頼まれて・・・」あたしがそう言うと、先輩は苦笑いしている。

「「今時美人コンテストなんかねぇ」」

二人して同じ事を言い、一緒になって笑っていた。

廻りが薄暗くなってくると、待望?のコンテストが始まった。
浴衣を着た若い女性が舞台に向かって歩いていく。
背筋が伸びて歩いている姿が自信に溢れているようだった!
・・・皆きれいだなぁ・・・そんな皆を見ていると、なんだか身体が震えてくる気がした。
・・・あれ、なんだろう?・・・いつのまにか柱を掴んでいた手にも汗をかいている。
・・・あれえ、あたし?・・・わけが判らずに自分が自制できなくなっている気がしていた。

「もう直ぐだね」先輩はそう言って見ているあたしに話掛けてきた。
だけどあたしは答えられなかった。
「どうかしたの?」
「・・・先輩、あたし・・・」なにも言えないあたしに先輩はポンっと肩をたたくと
「この間の学校の舞台・・・それとどっちがドキドキしている?」
「え?・・お、同じ位かなぁ」
「だったら大丈夫よ」そう言って舞台に目を向け
「歩くだけだもん・・・”セリフ”もないし簡単よ」先輩はそう言って笑った。
「そうですよね」あたしは同じように舞台に目を向けた。
「”セリフ”ないもん・・・大丈夫です」あたしがそう言うと先輩が頷く。
「いっそのこと、1・2位持っていっちゃいましょ♪」
「あはは、それ良いですね」あたしはそう答え、もうドキドキしていないいつもの自分に気付いた。

「先に出るわね」先輩が出ていくと、観客から歓声が上がった。
・・・さすが先輩・・・あたしが観客のほうに目を向けていると、観客が手を振って乗りまくっている。
・・・これは先輩で決まりかなぁ・・・観客を見てそんな事を思っていると、あたしの順がきた。
あたしは袖からゆっくりと中央に歩いていく。
・・・なんだか歩きにくい・・・裾が絡まる事を思っていると、

ズデーン!

と、転んでしまった(笑)
観客席からはクスクス笑う声が聞こえてくる。
あたしは恥かしくて、涙が出てくるのを感じていた。
「伊藤まさみです」あたしは涙を浮かべながら、無理やり笑顔を作ってそう言う。

「「「・・・・・」」」

観客席は一瞬に静まり、話し声すら消えていた。
・・・あぁやっぱりあたしの事なんて・・・そう思うなんだか体が震えてきて、普通に話す事すら出来ない気がした。

「・・・家が喫茶店をしています・・・」あたしはなんとか笑顔で観客席に話しかけた。

「「「・・・・・」」」

「趣・・・趣味とかはないです・・・」観客席の反応に段々小さい声になってしまっていた。

「「「・・・・・・・」」」


・・・もうだめ!・・・あまりに反応のない観客に、ここにいるのが恥かしくなってペコリお辞儀をして脇に下がった。

「せ、せんぱ〜い〜〜」袖にいた先輩に泣き付いてしまうあたし。
「気にしないで・・・まさみちゃん」先輩はあたしの事をそっと抱きしめてくれる。
「で、でも〜」
「気にしないで・・・頑張ったの判ってるから♪」
先輩はそのままであたしを抱いていてくれた。
「もう終りなんだから・・・夜店楽しみにいこうよ?」
「え?」
「せっかくにお祭りなんだし・・・頑張ったまさみちゃんのために」先輩はそう言って笑った。
あたしは先輩の笑顔に素直に頷いた。

舞台の裏から観客席の反対に廻り、夜店に向かって歩いていく。
「チケット10枚あるの・・・行って見たいところってある?」先輩はあたしの手を握りながらそう言う。
「あたしこういうところ初めてで・・・」
「そうなんだ・・・それじゃあ定番のわた飴からね♪」そう言い、目の前の夜店に立ち止まった。
「おじさん1つ頂戴ね♪」先輩はそう言いチケットを差し出す。
「ああ恵ちゃんか・・・はいよ♪」お店の人は先輩の事を知っていたのか、そう言うと店先にあった袋を取ってくれる。
「これがわた飴なんだぁ」あたしは袋を受け取りそんな事を言っていると
「なんだこのお嬢ちゃん知らないのかぁ」笑いながら小さな袋を一つ作ってあたしの前に置いた。
「あ、あのこれは?」あたしは驚いて聞くと
「サービスだよ、恵ちゃんの友達なんだろ?」そう言って笑っていた。
「あ、ありがとうございます」ぺこりお辞儀をして、袋からわた飴をすこしちぎって口に入れる。
ふんわりした飴がさっと溶け、口の中一杯に甘味が広がっていく。
「おいしー!」あたしはついそんな事を言っていた(笑)
「でしょ?・・・ここのわた飴絶品なんだ」先輩もそう言い、同じように食べていた。
「ホント美味しいです!」あたしは笑顔でおじさんにそう言うと、おじさんは笑い今度は大きい袋を差し出した。
「え?」受け取ったものの、あたしはどうして良いのか判らなかった。
「そんだけ喜んでくれれば嬉しいよ」
「ありがとうございます」あたしはお礼を言って、半分を先輩に渡しながらその店から離れた。
「こういうの、沢山あるから・・・」先輩はあたしにそう言い、別な夜店を指差していた。

・・・ズドドドドドドドドドドドドドドドドドド・・・・

「なんなのかな?」地響き(笑)が聞こえ振り返ると、そこは土煙で真っ白くなっていてなにも見えない。
「もう・・・ひどい煙ね」先輩と一緒にそこから離れるように歩き出したあたし。

煙のなかには、親衛隊?の襲撃(笑)を受け”廃墟”とかした屋台があったことをこの二人は知らない(爆)


「まさみちゃんお帰り!」

翌日、学校から帰るとお母さんがお店の前で待っていた。
「なんなのよ・・・こんなところで?」
「良いお話よ♪・・・早く着替えてお店にいらっしゃいな」笑顔でそう言うと、店のドアを開け中に入っていく。
・・・どうしたのかな?・・・一応気になることもあったけど、着替えてお店のドアを開けた。
「お母さん・・・エプロンないけどどうかしたの?」
「そんなの良いから早く♪」
「もう、なんなの?」ドアを開けお店に行くと、数人が一斉にあたしを見つめた。

「なんでしょう?」あたしの事をじっと見ている人にそう言って話しかけた。
「ね、良いでしょう?」商工会会長さんがそう呟くと他の人が頷く。
「あの・・・何が?」
「ああ、紹介遅れたわね・・・こちらは市役所の川島さん」会長さんはそう言い、座っていた一人が頭を下げた。
「市の広報・環境担当しています川島です」そう言って名刺を差し出す。
「はぁ」あたしはどうして良いのか判らず、やだ名刺を受け取り相手を見つめた。
「そしてこちらが名前は知っていると思うけど、地元企業のカワイ・ミネラルウオーターの宣伝担当さん」
「宣伝の菊地です」山本さんの隣の人があたしに名刺を差し出した。
「はぁぁぁ?」関係ない二つの名刺にあたしは何がなんだか判らなかった。
「あの・・・それで、あたしにいったい?」

「「宣伝ポスターに出ませんか?」」

突然ステレオで言われてしまった!
あたしの頭の中はもう滅茶苦茶になってしまった。

「昨日のコンテスト残念でしたね」あたしが落ちついたのを感じてたのか、一人が笑顔でそう言ってきた。
「コ、コンテストですってえぇぇぇぇぇ?」相手の話にあたしは蒼くなりつい叫んでしまう!
「ええ、コンテストでの人探しが目的だったんですけど・・・でもそんな事はどうでも良くなりまして・・・」そう言い、いくつかの写真を取り出した。
「私達は最高の笑顔を出会えましたから」そんな事を言いながら写真をあたしの目の前に置いた。
「最高の笑顔?」あたしは気になって写真を見ると、夜店で綿飴を食べているあたしが写してあったのだ!
嬉しそうに食べているあたし・・・その写真を見て顔が赤くなってしまった。

「街の振興に・・・地元の”銘水”の販売を計画していまして・・・」川島さんはそう言いながら、小さなペットボトルを取り出した。
「これがサンプルなんですよ」そう言いながらにこにこしてあたしを見ていた。
「キレイなボトルですね」手にとって見ると、ボトルの薄い緑が自然な感じを出している。
「森林公園の湧き水ですからね・・・銘水にもなっているのですよ」川島さんは自信ありそうに言う。
「それで・・・まさかその大事な?」あたしがそう聞くと二人は笑顔で頷く。
「そ、そんな・・・あたしなんて・・・」
「そうでしょうか?」自信ありそうに菊地さんはあたしを見つめている。
「この”自然な水”を伝えきれるのは・・・創られた笑顔なんかじゃ駄目だと思うのです」そう言うとボトルを開け、あたしの前に置いた。
「飲んで頂けますか?」そう言ってあたしを見る二人。
「はぁ・・・」あたしはボトルに目を落とし、その”水”を見つめた。

「あたしなんて、味とか判らないけど・・・」そう言って一口口に含む。
水道水とは違い、スっと喉を通っていく。
「どうでしょうか?」二人はあたしの事をじっと見つめ、答えが来るのを待っている。
「飲みやすいのですけど・・・よく判らなくて・・・」そう言ってもう一口、口にした。
ザラザラしている感じはなく、ただ喉を潤していく!
・・・これが自然て言うのかなぁ・・・飲みながらそんな事を考えるあたし。
そして、ボトルは空になった(笑)

「ふぅ〜」ボトルを置きながら少し息を吐くあたし。
「美味しかったでしょう?」と、前の二人はあたしを見ていた。
その言葉に急に恥かしくなって顔を伏せるあたし。
「有名タレントとか女優とか考えていたのですが・・・」菊地さんはそう言いながら、ボトルをいじっている。
「でも、自然な水を知って欲しくて・・・だから昨日の貴女を見て、是非にと!」
「街の為にも・・・お願いします!」
「ぜひ、これを広めて欲しいいんです!」
「まさみちゃん・・・私からも頼むよ!」
大人3人が頭を下げ、あたしの答えを待っている。
「あの、ホントにあたしで良いんですか?」
そう言うあたしに3人は頷いた。
週末、あたしは商工会会長さんと一緒にスタジオに向かっていた。

「こ、こんにちは〜」ドアをそっと開け中に入ると、もうスタジオにはこの間の人が来ていた。
「今日はよろしくね」そう言ってあたしに手を差し出す菊地さん。
「ええ、出来る限りは・・・」ぎこちない答えになってしまって赤くなるあたし・・・
「そう固くならないで・・・緊張しないで大丈夫さ」川島さんはそう言って、あたしを衝立の奥につれて行く。
「撮影用に持ってきたんだよ」いくつかの衣装を見ながら、そう言っている。
「イメージが大事なので・・・考え付くのを持ってきたんだ」女の人がそう言うと、掛けてあった衣装を持つとあたしに当てた。
「ちょっと”幼い”感じがするから・・・こっちのほうが良いかなぁ」そう言って別な衣装と交換してまた同じようにを当てている。
・・・これを着るの?・・・あたしは段々と撮影が近付いていることを実感して、心臓の音が聞こえてくる気がした(爆)
・・・駄目だドキドキしてきちゃった・・・胸を押さえて、ちょっと俯くあたし。
・・・ダメ!どんどんドキドキしてきちゃう!・・・あたしはここから逃げ出したくなってしまった!

「あ・・・少し休む?」女の人がそう言ってあたしの肩に手を置いた。
「え?」顔を上げると、彼女は優しい顔であたしを見ていた。
「初めてでしょ?・・・誰だってそうだもの」
あたしの気持ちを察してくれたのかそう言うと、窓際の椅子に座らせてくれた。
「ちょっと待ってて」そう言うと、撮影用と書かれた箱から例のペットボトルを取り出し、あたしに差し出す。
「これでも飲んでいてね」彼女はそう言って笑うと、あたしもつられて笑っていた。

「ふぅ」暫くして廻りを見る余裕が出来てきたあたし(笑)
撮影準備の為に人があちこち動いている。
それを見ていると”部活(笑)”を思い出し、どんどん落ちついてくる(爆)
本番ではない為かざわついた感じで、”仕事”に思えないのも原因だったりする(笑)

「「「ダメダメ!!!」」」

突然大声がしてあたしはまたドキリとしてしまった!
・・・な、なにかな?・・・声がするほうに目を向けると、さっきの衝立でなにも見えない(爆)
・・・”ダメ”ってなに?・・・衝立の脇から覗くと、3人が衣装を持って言い合いをしていた!
「この娘は・・・白がよくないか?」と菊地さん。
「いえ、この娘は清々しさを強調したいので、水色が・・・」と、川島さん。
「なにを・・・自然なベージュがこの娘には一番さ!」とカメラマン。
皆が言いたい事を言ってなかなか決まらない。
それどころか、このままだとケンカにさえなりかねない雰囲気だった!
・・・なんとかしなきゃ・・・撮影の事をコロッと忘れ(笑)、そんな事を考え出すまさみちゃん。
・・・えーと、こんなときは・・・そう考えかけ、手にしているペットボトルに気付く(爆)
あたしは箱から3本取り出すと、衝立の所に近付いていった。

「あ、あの・・・」あたしは恐る恐る声を掛けた。
「「「なに?!」」」3人は振り向くと、あたしを睨んでいる!
話を中断させたのが拙かったのか・・・怖い顔のままなのだ!
「あの・・・す、少しは休憩し・て・・考え・た・ら・・・ど、どうでしょう?」ドキドキしながらそう言って、さっき飲んだペットボトルを前に出す。
「お、美味しいお水ですもの・・・き、きっといい考えが思いつくと・・・」あたしは出来るだけ笑顔でそう言い、開けたボトルを持って一口口にする。
「あぁ、美味しい!」
「ね!・・・皆さんも・・・」・・・これを飲んで落ちつきましょう・・・と言いかけ、視線が集まっているのに気付いたあたし・・・
「あ、あの?」黙り込んでいる3人に話掛けると
「「「それだ!」」」3人はあたしを見つめたまま、そう言って指をさしていた!
「え?」驚いて聞き返すあたしに

「「「衣装は関係なかったんだよなぁ」」」

そう呟くと他のスタッフに衣装を片付けさせる彼ら(爆)
「あ、あの?」

「「「自然な感じが大事なんだよなぁ」」」

そう言うとカメラマンに声を掛け、あたしの手を取って部屋から出ていく!
「あれ?・・・どうして部屋の中から?」

「「「だから、そのままの君が1番!」」」

3人はそう言い、カメラマンに私服のままのあたしを写させていた。
・・・あれで良かったのかなぁ・・・月曜日、学校に向かいながら撮影の事を思い出すとついそんな事を考えてしまうまさみちゃん。
結局、写真を数枚撮ったきりだったからだ。


「まさみちゃん、CMに出たんだって?」学校に向かう途中、恵先輩に声を掛けられた。
「おはようございます・・・先輩そうじゃないですよ・・・」あたしは挨拶をして、撮影の事を話した。
「ふ〜ん、なるほどねぇ」先輩はそう言うとあたしをじっと見つめている。
「確かにまさみちゃんの魅力って、飾らないところだもの・・・皆は正解だわ」そう言って笑う。
「でも、先輩・・・あんなのだったらあたしじゃなくても」
「そう?・・・でもね、自然な娘ってそうはいないわよ」先輩はそう言うとなにか考えるそぶりをしていた。
「そうね・・・発売されたらたぶん写真はなくなるんじゃないのかな?」
「え?・・・それってどういう事なんです?」あたしは言っている意味が判らなくて聞き返す。
「まあ、なってみれば判るよ」先輩はそう言うとにこにこしてあたしを見ていた。

発売はまず商店・地元スーパー・市営球場などを中心に販売が開始された。
店頭販売も行われ、道行く人に試飲出来るようなところも出来ていた。
地元の新製品だけあって、それなりに買っていく人が目に付いた。
・・・もしかしたら売れているのかな?・・・あたしは買っていく人を見てそんな事を考えたりした(笑)
でも、1週間の販売は、他のものの半分にも満たなかったりする(爆)

「あまり芳しくないですね・・・」なぜかあの3人がウチのお店に来て会長さんと話をしていた。
「商工会は力を入れ販売しているのですが・・・なかなか売上には・・・」そう言って肩を落としている会長さん。
「市でも”地元の銘水”と、HPに記載してアピールしているのですが・・・・」
「「「はぁ・・・・」」」
3人は疲れた肩をさらに落としていた。
あたしはそんな3人に何も言えなかった。

・・・美味しいお水なのに、どうして売れないのかなぁ・・・街に買い物に行った帰り道、買った”ミネラルウォーター”を飲みながらそんな事を考えていた。
・・・今日みたいな暑い日には、ジュースなんかより良いけどなぁ・・・飲んでいる時の爽快さは、甘いジュースなんかでは味わえないからだ。
流れ出た水分を補うのには、ジュースより適しているといえよう。
「ふぅ・・・美味しい・・・」肌に伝わる風の爽快さと水の清涼感が、暑さなんかを忘れさせていく。
「あれ・・・無くなっちゃかぁ」空になったボトルを袋に入れ、新しいのを取り出して口を開ける。
「そうだ、この公園にちょっと寄っていこ♪」目に付いた公園に足を進めるまさみちゃん。
結局、家に帰りつくまでに3本も飲んでしまっていた(爆)


「あぁ・・・まさみちゃんだぁ」

数日後、学校帰りにあたしをそんな風に言う人がいた!
「え?」驚いて振り向くと、数人があたしを指差している。
その上なにやらひそひそ話をして、あたしをまるで観察でもするかのようにみている。
・・・もしかして”やばい人”?・・・あたしはそんな気がして逃げるように家に帰ってきた。
翌日は、もっと人が多かったりした(爆)

・・・今日はいないよね?・・・帰り道、あたしは廻りを見ながら歩いていた。
突然名前を呼ばれるのが恥かしいったらないから。
・・・でも、あたしの事どうしてなのかなぁ?・・・などと、とんちんかんな事を思っているまさみちゃん。
なぜか”写真”のことが全然浮かばなかったりするのである(笑)

「どうかしたの?」あたしに気付いた恵先輩が、後から声を掛けてきた。
「先輩・・・ポスターあたしじゃない方が良かったのかなぁ」
「どうして?」先輩はあたしの言っていることが判らないのか聞き返してくる。
「だって、駅にはポスター貼って無いし・・・きっとはがされちゃったんだと・・・」ため息を付いて答えるあたし。
「ふぅ〜ん、まさみちゃんはそう思うんだ♪」話を聞いて先輩は楽しそうな雰囲気をしている。
「え?・・・だってポスター無いのは、そうだからでしょ?」
「それじゃあ・・・あの人はどう思うの?」先輩はそう言うと、少し前にいる人を指差していた。
その人は涼しそうな服装で、楽しげに話をしているようだった。
・・・どこかで会った人?・・・不意にそんな気がして、あたしはじっと見つめた。
・・・初めて会う人だわ、でもどこかで会ったことある気が・・・あたしは彼女を見てそんな事を思っていた。

「判らないの♪」先輩はそう言いあたしを見ている。
「はい・・・初めて会う人です、でもなんでだか”初めて”っていう気がしなくて・・・」あたしがそう言うと、先輩は笑っている。
「ポスター・・・私服だったんでしょ♪」そう言うと、あたしの後ろに目を向け

「まさみちゃんのポスター・・・持っている〜〜〜?」

と、いきなり言い出した!
「せ、先輩いきなり何を?」突然の事にあたしは驚いていると

「「「ボトル箱買いして貰いました♪(笑)」」」

等と言う声が返ってきた(爆)
いまさらながら、恵はこの辺りの(高校・中学関係なく)有名人だったりする(笑)・・・前作参照(笑)
「まさみちゃんの事どう思う?」

「「「出来れば彼女に、それか友達になりたい!!!」」」

「ありがとー」先輩はそう言うと、あたしの手を取り歩き始めた。

「まさみちゃんは”アイドル”なのよ♪」先輩はそう言い笑っている。
「え・・・あたしがですか?」
「そうよ、アイドルなの♪」
「だから、皆がポスター欲しがるし真似したがるの♪」先輩は嬉しそうに言っていた。
「あはははは・・・」あたしは先輩の言う事に笑うしか出来なかった。


「増産計画・・・どうすりゃいいんだぁ・・・」
「HPサーバーパンク続出だって・・・始末書かなぁ」
「ポスター・・・単体販売しておいたら今ごろは・・・・」
まさみちゃんの撮影に関わった3人が、嬉しい悲鳴を上げていた。
それから1ヶ月後、全国販売が開始されたミネラルウォーターは記録的な売上を計上した!
そしてそれは、一人の少女を・・・

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