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ふぁーすと・すてーじ

ヒロイン 18th

作:kagerou6





「今日の練習はここまでね」部長の直美先輩がメガホンを持ってそう言い、廻りで色々練習をしていた部員に集合をかけた。
「お疲れサマ・・・それじゃあ、夏休み後の公演会用の演目について色々話があるから・・・」そう言って持っていたボードを高く掲げ
「今度の公演では、新入部員の皆にも出てもらう予定で・・・」部長がそう言うと、一部の部員の間に歓声が沸き起こっていた。
声の主は当然今年の新入部員達である。
・・・もしかして、克也様と同じ舞台に?・・・あたしはそんな事を思って克也様を見つめていると
「あぁ、やっと先輩と同じ舞台に立てるのね♪」隣でそんな事を言っている娘がいた。
・・・ま、まさか・・・この娘も克也様を?・・・つい目を向けると、その娘は他の人を見ているようだった。
・・・違うみたいだわね?・・・そう思いホッとして他の娘に目を向けると、なぜか視線が同じ方を向いている。
「同じ衣装を着て、同じ舞台だなんて!」
「あたし、去年からずっとこの日を待ちつづけて・・・」
・・・え?そんなにも凄い人がいるの?・・・あたしは視線を追いかけてみた。
「だって、あんなにきれいな人で!」
・・・そか、きれいな人なのね・・・
「そうね、あんなにもマリア様が似合う・・・」
・・・マリア様?・・・それって・・・
「「「やっと恵先輩と(ハート)」」」
多くの娘がうるんだ瞳で恵をじっと見つめていたのだ(爆)
「「「やっと演劇部に入った甲斐があったなぁ」」」そうしみじみ言っている(笑)
・・・あ、あたしだって恵先輩と一緒の舞台に立ちたいもん・・・なぜかいきなり、同じように考えているまさみだったりする(笑)
「各人なにか演目考えておくようにね」部長がそう言ってその日の部活は終わった。


・・・演目かぁ・・・あたしはお店の前を掃除しながらそんな事を考えていた。
あたしははっきり言って演劇初心者(笑)
卒業までに追い出されなきゃいいレベルだと思う(爆)
・・・こんなあたしにも出来る”劇”ってなんだろう?・・・あたしはボーとしながらお店の前を掃除していた。
「「「お姉ちゃん、こんにちは!」」」
近所の小学生がそう言って、あたしの前に立って笑っている。
「どうしたの?・・・良い事でもあったの?」
「これ!お姉ちゃん待っていたんだ!」そう言って、バックからボールを取り出すとあたしに差し出した。
「なにこれ?」いきなり出されたボールの意味が判らなくてそんな事を口にすると、さっきよりも笑っている感じがする。
「今日も勝ったんだぜ!」
「え、それじゃあこのボールって・・・」あたしが聞くと大きく首を振って
「次が決勝、勝てば優勝なんだ」
「そっかぁ」あたしは彼ら?の手を取って店に入っていった。

「それじゃあ、これは今日勝ったお祝いね♪」あたしはそう言ってジュースを皆の前に置くと、喉が渇いていたのか一気に飲み干してしまった。
「早いなぁ・・・まあ、いいか♪」お替りを取りにカウンターに戻るとなにやら腕まくりをしている子がいた。
「どうかしたの?そんなとこ見つめて?」
「こいつ、ライナー直撃してあざできちゃったんだ」他の子がジュースを飲みながらそういうので見ると、青いあざがくっきり残っていた。
「痛そう・・・」
「大丈夫・・・慣れてるから」そう言ってコップに手を伸ばすと、顔が引きつっていた。
・・・やせ我慢してるなぁ・・・あたしは”痛い”とか言わない子をそんな風に感じてみていた。
「とりあえずシップね」あたしは奥から薬箱を持ってきて、あざになっている所にシップを貼り付けた。
「どう?」
「冷たくて気持ちいい」その子はそう言い、あざになったところをじっと見ている。
「慣れているとかいってもちゃんと直さないと・・・次の試合に勝てなくなるのよ」あたしはそう言って他の子を見ると、腕を捲り上げた。
「ほら・・・ここ!」同じようなあざに、同じように湿布していく。
そして、シップが無くなった(笑)

「今晩はそのままにしておくのよ」あたしは見送りながらそういうと、手を振って走っていく。
「判っているのかなぁ・・・」
「判っているはずよ、あの子達だって」いつのまにか隣に立っていた千晴ちゃんが同じように見ている。
「でも、お店の薬全部使っちゃうなんて・・・まさみってホントにお人好しなんだから」
「仕方ないじゃない・・・あたしが言った約束守ってきたんだから」
「約束って?」
「あの子達って近所の野球チームの子達なの」あたしは店のドアを開けながらそう答えて
「”勝ってきなさい”って言っちゃったもんだから、気になってさ」カウンターの椅子に座りそう言って千晴ちゃんを見つめた。
「そうだったんだ」千晴ちゃんはテーブル席に座ってあたしを見上げながら、説明に頷いていた。
「でもね・・・シップとかしているまさみって、ホントの看護婦さんみたいだったわ」
「え?」あたしは驚いて聞き返すと、千晴ちゃんは頷きながら
「優しい笑顔がとっても良かったわ・・・あ〜、写真撮れば良かった!」そう言っていきなり悔しそうな事を言い出した(笑)
・・・看護婦さんか・・・あたしには、彼女の言葉がいつまでも耳に残っていた。


「部長・・・”ナイチンゲール”とかはどうでしょう?」翌日の練習のときに、あたしは提案していた。
「ナイチンゲールねぇ・・・」
「ええ、昔お話読んだことがあって」あたしはそう説明を続ける。
「看護婦さんの理想で、女の子の憧れだもの」あたしはそう言うと、何人かが頷いている。
「きっと、共感出来る話になると思うんです」
部長はあたしの提案を静かに聞いていて、考えが纏まったのかほかの部員に目を向けた。
「まさみちゃんがこう提案してくれたんだけど、他には何かない?」部長はそう言って聞いているけど、他の部員からは提案はないようだった。
「それじゃあ、これをメインな考えて構成してみようね」部長はそう言うとあたしに笑い掛けて来た。
「克也・・・ちょっと」部長は克也様を呼ぶと、ぼそぼそ言って指示を出している。
「なる・・・それじゃあ・・・」克也様も話を聞いて同じように言い返しながら
「あ、そこの!・・・白い布を持ってきてくれないか?」って、克也様はあたしを指差してそう言うと、また部長と何やら話をしている。
・・・”そこの?”あたしって”そこの”なの・・・余りの言葉にあたしは肩を落としたまま、部室脇の倉庫に行った。
・・・もう3ヶ月も経つのに”そこの”なのかぁ・・・重い扉を開けながらさっきのことが思い出される。
・・・今のあたしは、”そこの”で終わっちゃう関係なんだ・・・そう考えると頼まれた事すら苦痛になってきてしまう。
あたしは考えなくただ布を何枚か抱えてまた体育館に戻った。
「・・・これで良いのですかぁ・・・」力無く言うと部長はあたしの事を見つめた。
「ああ、十分だな」そう言って脇から出てきた克也様の手には包帯が巻かれていた!

「きゃ〜、克也様の手に包帯がぁ〜〜〜」

ついあたしは叫んでしまうと、廻りがクスクス笑っている。
「なんで?ケガしているのに!」そうあたしが皆に怒鳴ると、あたしの肩に手が置かれた。
「邪魔しな・・・え?!」置かれた手を振り払おうとすると、それは包帯が巻かれた克也様の手だったのだ。
「えぇ〜〜〜〜」驚いてるあたしに
「ゴメン、心配掛けちゃったかな♪」克也様はそう言って笑っている。
「それって何ともないんですか?」恐る恐る手に触ると
「だってさっきまでケガなんてしてなかったじゃないか」そう言って笑った。
「心配してくれてありがとな!」克也様がそう言って笑うと、あたしの中ではさっきの事なんか消えていた。

「これで準備は良いわね」部長は白い布をかぶせたベットをぽんと叩くと、あたし達に目を向け
「まさみちゃん・・・来てくれる?」
「はい」
「ちょっと、やってみて」
「え?」
「だから、ナイチンゲール」
部長は提案したあたしに手本を見せろというのだ(爆)
「あ、あの・・・」
「貴女の考えているのでいいのよ・・・自分が持っているもので」部長にそう言われあたしは頷いた。
「克也・・・準備良いの?」部長は脇にいた克也様にもそう言い
「ここに寝ていれば良いんだろう?」そう言うとベットで横になった。
・・・相手克也様なんだ(ハート)・・・あたしはさっき部長に言われた事を忘れていた。

「痛い所はないですか?」あたしはそう言いながら、克也様の身体を拭いていく。
・・・がっしりしていて男らしいんだなぁ・・・
「背中も拭いておきますから」あたしは起き上がった克也様の後ろから、そっと背中に手を当てる。
「克也、役得だな!」見ていた男子部員がそう言ってからかうと、克也様も笑いをこらえているのか震えていた。
・・・あたし”達”ってどう見えてるのかなぁ・・・あたしはそんな事を考えながら、身体を触りまくっていた(笑)
「だめだめ!・・・そんなんじゃだめよ!」見ていた部長がそう言うと、あたしの持っていたタオルを取り上げた。
「もっとケガしている人の事考えて・・・そんな風にしたら相手が辛いんじゃないのかな?」
「はい」あたしは今度は優しく拭き上げていく。
「ちょっと変だなぁ」部長はそう言うと
「香織ちゃん、交代してくれる?」
「あ、はい」
「まさみちゃんはこっちで見ていてね」
「は〜ぃ」あたしは香織ちゃんにタオルを渡して、彼女の座っていた所に腰を下ろした。

「もう少し優しい感じで・・・」部長はそう言いながら香織ちゃんを見つめている。
「そうそう・・・良い感じね」
「上手いもんだね」克也様までそんな事を言っている。
「あたし、おばあちゃんの介護した事があるんです」
「そっか、だからかな」克也様も納得しているようだった。
「皆、香織ちゃんのようにね・・・ちゃんと考えてきなさいよ」部長はそう言うと、台本を作成しておくとその日は終わった。
・・・あたしと香織ちゃん・・・どこが違うのかな・・・家に帰ってあたしはさっきの事を考えていた。
「克也様も違い判っていたみたいだし」手を見ながら拭いていた感触を思いだしながら
「そんなにも、おかしいのかなぁ・・・」あたしにはなにが違うのか判らなかった。

・・・どうしたら良いのかなぁ・・・あたしは家の手伝いをしながらそんな事を考えていた。
「まさみ、なんだか上の空だねぇ」お母さんがそう言いながら
「そのままじゃコップ落とすよ」そう言ってあたしに手を指差す。
「え?」あたしが自分の手を見ると、持っているトレイにコップが偏って載っていた。
「あら・・・」あたしはコップを直し、カウンターに戻した。
「なんだか変だよ?」お母さんに言われどう答えて良いのか判らずただ首を振ると
「・・・ずっと手伝いさせているし・・・」そう言って考えて
「気分転換に散歩でもしてきたら?」お母さんにそう言われて、あたしは頷いた。

お店を出て少し歩いていくと、小さな運動場が見えてきた。
「そういえば、あの子達野球だって言っていたわね」あたしは中が覗けるところに歩いていくと、中からボールを打つ音が聞こえてきた。
「試合なのかな?」あたしが覗きこむと、もう試合が始まっているらしく小さなボールを追いかけ白いユニホームが走っている。
「どっちのチームなんだろう?」事前に聞いていなかったことを思い出し笑いをしながら、顔が見えるくらいまで近付いていく。
・・・あたしの知っている子は・・・グランドに目を向け確認していると、数人があたしに手を振っているのが判った。
・・・あ、あっちのチームなんだ・・・同じように手を振り、あたしはそこ子達を見つめていた。
試合がどうなっているのかあたしには判らなかった。
ただ、両方のチームの熱気だけはちゃんと伝わってきている。
・・・どっちも一生懸命なんだなぁ・・・あたしはその熱気に両方のチームを応援していた。

「「「お姉ちゃん来てたんだ」」」試合が終わって、近所の子があたしのところに来てそう言う。
「途中からだけどね・・・で、試合はどうだったの?」あたしがそう聞くと、顔を見合わせている。
「あ、あたし野球のこと良くわからなくて」
「もう。それくらい知っていないと彼氏出来ないよ」
「こらぁ、そう言う事言うのはどの口かなぁ〜?」そう言っている口を摘み上げる(爆)
「あはははは、ぼく達のチームの勝ちだよお姉ちゃん」他の子が笑いながらそう言う。
「そうか、頑張ったね」あたしはその子達を連れて店に戻った。

「それじゃあ、かんぱ〜い」あたしは皆の前にジュースをおいてそう言うと、子供達は一気に飲み干していた。
「相変わらず、凄いわね」あたしは新しいジュースを注ぎながら彼らを見ていると、一人変なことをしている子がいた。
「あれ、どうかしたの?」氷をおしぼりで包んで、膝につけているのだ。
「ちょっと、ボールが当たって」
「ちょっと見せて」あたしはその子のズボンを膝まで上げてみた。
「ちょっとこれじゃあ・・・」膝がかなり青くなっていて、跡がとても痛々しい。
「この子の家ってどこなの?」あたしが他の子に聞くと
「この先の青い家なんだ」と、他の子が教えてくれた。
「電話とかわかる?」そう聞くと首を振っている。
「そうなんだ」あたしは奥にいるお父さんに頼んで車を出してもらい、その子を送っていった。

「勝也、大丈夫かい」家まで送っていくと、おばあさんらしき人が出てきて子供を抱きしめていた。
「試合でケガをしたらしくて」あたしがそう言うと頷いている。
「中まで勝也君を運びますから」お父さんにそう言われて、慌てて扉を開けた。
「こちらへ」居間に通され勝也君を静かに置くと、お父さんはそのまま玄関に戻っていく。
「せっかく来たんですからお茶でも」おばあさんはそう言って引き止めたが
「私は店がありますので」お父さんはそう言って玄関を出ていく。
「あたしも帰るわ」そう言うと、お父さんは振りかえりながら
「まさみは暫く見ていてあげなさい」そう言って車に乗り込み、店に戻っていった。
「こちらでお待ちください」また居間に戻って見ると、勝也君はそのままでいた。
「着替えたほうが良いんじゃないの?」あたしがそう言うと苦笑いしている。
どうやらかなり痛いらしいのか、着替えるのもおっくうなようなのだ。
「あたしが手伝ってあげるから」あたしはそう言って勝也君の肩に手を置いた。

「イタタタタタ・・・」ユニホームをゆっくり脱がしていくと、肩を廻すのも痛いのかかなり辛そうだった。
「ゴメン、痛かった?」上着を取って見ると、肩にもアザがある。
・・・足しか言ってなかったけど・・・アザに優しく触ると、肩がビクっと震えた。
「頑張ったね」あたしは優しくそのアザをなでていた。
「お姉ちゃんくすぐったいよ」勝也君はそう言って笑っている。
「あはは、ゴメンね」あたしはそう言いながらシャツも脱いでもらった。
「どう?」シップを貼りながらそう聞くと、気持ちいいのか笑顔になっている。
「そう、それじゃあ次ね」あたしは別なシップを取り出した。

「御苦労様でした」シップを貼り終わってあたしはそう声を掛けられた。
いつのまにかおばあさんがドアを開けて、終わるまでじっと見ていたのだ。
「見ていたんですか?」気付かないでいたことがなんだか恥かしくなってあたしが聞くと
「とっても手際が良くて感心していましたのよ」そう言いながらお茶をテーブルに置くと、あたしの反対側に座る。
「そんな事は・・」そう言われ、つい照れていると
「ホント看護婦さんみたいだったわ」おばあさんはお茶に口をつけながら、あたしを見て微笑むとそう呟く。
「はぁ」あたしは手にしていたお茶を遊びながら、曖昧に答えるしかなかった。
「ホント、見た通りの優しいお嬢さんね」おばあさんはそう言ってあたしの事を見つめていた。
あたしはそんな事を言われたのは初めて(当然;;)で、つい俯いておばあさんを見ていた。

「どこが看護婦さんみたい・・・だったんでしょう?」あたしは思いきっておばあさんにそう話しかけてみた。
同じなのに”違う”といわれている今のあたしを知りたかったから。
おばあさんはあたしの言った事に驚いたのか、一瞬戸惑っている感じだったけど
「この子を優しく触れている・・・貴女の姿がそうね」そう言って勝也君を見つめると、穏やかな笑顔を見せた。
そしてあたしが見ていて感じるくらい優しく手を触れている。
・・・優しい・・・あたしはその手にただそう感じていた。
ゆっくりとかじゃなく
弱いとかじゃなく
ただ優しい
そして包み込むような”暖かさ”に
あたしはその姿に”いたわっている”という事を理解した気がしていた。


「判ったみたいね?」翌日、稽古の途中であたしの事を見ていた部長がそう言っていた。
「はい、なんとなくですけど」
「気持ちが入らないんじゃあどうしようかなと思ったけど、十分合格ね」あたしの言葉に独り言のように呟くと、別な部員を見に行ってしまった。
そしてその言葉のまま、あたしは”看護婦さん”になった(笑)

「そう固くならないで」部長はそう言って皆に目を向け
「本番前のリハーサルなんだから」そう言って観客席を指差した
「他の部の人がちらほらいるだけでしょ?・・・気楽に行こうよ」そう言うと、袖に行ってしまう。
「まさみちゃん、ガンバロ♪」香織ちゃんがそう言ってあたしに笑いかけ
「そだね」あたしも同じように笑った。
舞台ではそんな余裕がなかった。
初めての事に緊張しまくっていたから(笑)
セリフすらまともに言えなかった。
観客席ではクスクスと笑い声も聞こえる。
・・・あたしってやっぱりだめなのかなぁ・・・そんな暗い気持ちがあたしを包んでいった。
「急患よ!」突然香織ちゃんが叫んだ!
あたしが振りかえると、血まみれの包帯をした兵士が座りこんでいる。
化粧でアザ一杯になった兵士が!
・・・勝也君・・・そのアザを見て、あたしはなぜかそう思っていた。
あの時に頑張ってくれた”勝也君だと”
座りこんでいる兵士になにも言わず、あたしはそっとアザに触れた。
驚いて見上げる兵士にあたしは首を振り、優しく触わった。
・・・頑張ったんだね・・・アザに触るたび、傷に触れるたびに。
触れた後、あたしは包帯を巻いた。
触れた後、あたしは薬を塗った。
触れた後・・・

「まさみちゃんもう終り」あたしはそう言われ、廻りを見ると皆があたしを見つめている。
「あ、あの・・・」
「まさみちゃん・・・せりふ忘れ4回ね♪」香織ちゃんがそう言い皆が笑う。
「演技は良いけど、忘れちゃあ」腕に包帯を巻いた男子がそう言って頷く。
「ご、ごめんなさい!」あたしはただ謝るしかなかった。
はっきり言って途中から何をしているのか覚えてなかったから(笑)
「初めてにしてはいい演技だったわ・・・あとはセリフだね」恵先輩に言われてあたしは赤くなっていた。
「観客はかなり引き込めたし・・・ホントにそれだけだわ」部長もそういった。
「あたしの演技じゃないんですかぁ?」香織ちゃんがちょっと膨れ気味にそう言うと
「だから、皆でよ」恵先輩がそう言って笑う。
「ちぇ〜〜〜」香織ちゃんも笑い気味にそう膨れていた。


「部長、部室前にこんなものが置いてあったんですけど?」香織ちゃんがそう言いながら紙袋を持ってきて、練習していた舞台の前に置いた。
「なにかしら?」部長はそう言って舞台から降りると、袋を机の上に置く。
「ファンからの差し入れじゃないの?」
「あんたじゃきっとカミソリの差し入れね(笑)」
「なにさ、あんたなんか来た事すらないじゃないか?」
「喧嘩しないの!・・・で、なんだろう?」そう言いながら恵先輩が袋を開いた。
「あれ?」不思議そうな顔で手を入れると、中から包帯を取り出した。
「え・・・包帯なの?」他の部員も気になって袋を覗き込む。
「あ、キズバン」
「オキシフル?」
「ガーゼにテープ!」
「なにこれ(笑)」そう言って取り出されたものは、風邪薬であった(爆)

「「「いったい誰がこんなものを?」」」
演劇部の部員が驚いていると、体育館の扉が勢いよく開けられた!
よく見るとどうやら運動部員らしい連中がこっちに向かってくる。
それもかなりの人数が(爆)
何事か部長が近付いていくと、その脇をあっさり通り抜け

「「「ケガしちゃったんだぁ〜〜〜」」」

声を揃えながらどんどん近付いてくる!
「な、なにこの人達・・・ケ、ケガ人?」
「ほ、保健室は1階の・・・・」そう言っているあたし達の近くに来て

急に倒れてしまった!


「えぇ、なんなの?」
「ど、どうしたの急に!」他の部員達はどうして良いのか判らずにいる。
「と、とりあえず・・・」あたしは恐る恐る倒れている人に近付いていくと、一斉に手があがった!
驚いて立ち止まったあたしに

「「「出血多量で死んでしまう〜〜〜」」」

とか、言い出す(爆)
「え、出血なの・・・」
恐る恐る見ると、指先から小さな赤い点が(爆)

「「「だめだこりゃ・・・」」」
あたし達はそのままほっといて体育館を後にした。

翌日、部長から演目の変更が言渡され、あたしの出番は無くなった・・・







(まさみ)あ〜ん、あたしの初舞台(TT)
(kage)まあまあ、落ち着いて
(まさみ)あいつらのせいだ〜、なんなのあいつらは〜(ToT)
(kage)まあ、看護婦の君に惚れたんじゃない?
(kage)きっと君の魅力に・・・
(まさみ)そ、そんなぁ〜〜(*^^*)
(kage)まあ可能性があるかも・・・・
(まさみ)おかげで・・・あたし、舞台に立てないじゃない〜(ToT)
(まさみ)克也様との競演がぁ(ToT)
(kage)今回は気の毒したなぁ
(まさみ)そう思うなら責任取りなさいよ
(kage)せ、責任てなんだよ・・・
(kage)ま、まさかお前・・・

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